説明

ストライエーションが減少した研磨パッドを形成する方法

【課題】ストライエーションが減少した研磨パッドを形成するための装置および方法を提供する。
【解決手段】ポリマー材料をタンクに供給するステップ、初期かさ密度を有する微小球をプレナム上方に設けられた多孔質膜を含む貯蔵ホッパに供給するステップ、流動化ガス供給源をプレナムに接続するステップ、ガスをプレナムに送り込むことによって微小球を流動化させ初期かさ密度を下げるステップ、送り出しシステムを設けてポリマー材料及び微小球を混合機に送り出すステップ、ポリマー材料と微小球との混合物を形成するステップ、混合物を型に注入して成形物を形成するステップ、及び成形物を研磨パッドに切り出すステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルメカニカルプラナリゼーションのための研磨パッドに関し、特に、ストライエーションが減少した研磨パッドに関する。さらに、本発明は、ストライエーションが減少した研磨パッドを形成するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子デバイスの製造においては、導体、半導体及び絶縁材料の多数の層を半導体ウェーハの表面に付着させたり同表面から除去したりする。導体、半導体及び絶縁材料の薄い層は、多数の付着技術によって付着させることができる。最新の加工で一般的な付着技術としては、スパッタリングとも知られる物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ化学蒸着法(PECVD)及び電気化学的めっき法(ECP)がある。
【0003】
材料層が順次付着され、除去されるにつれ、ウェーハの一番上の表面が非平坦になる。後続の半導体加工(たとえばメタライゼーション)はウェーハが平坦面を有することを要するため、ウェーハは平坦化されなければならない。望ましくない表面凹凸ならびに表面欠陥、たとえば粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料を除去する際にはプラナリゼーションが有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、半導体ウェーハのような基材を平坦化するために使用される一般的な技術である。従来のCMPでは、ウェーハがキャリヤアセンブリに取り付けられ、CMP装置中で研磨パッドと接する状態に配置される。キャリヤアセンブリが制御可能な圧力をウェーハに供給して、ウェーハを研磨パッドに押し当てる。パッドは外部駆動力によってウェーハに対して動かされる(たとえば回転させられる)。それと同時に、化学組成物(「スラリー」)又は他の研磨溶液がウェーハと研磨パッドとの間に供給される。このようにして、ウェーハ表面は、パッド表面及びスラリーの化学的かつ機械的作用によって研磨され、平坦化される。
【0005】
Reinhardtらの米国特許第5,578,362号は、当該技術で公知の典型的な研磨パッドを開示している。Reinhardtの研磨パッドは、中に分散した微小球を有するポリマーマトリックスを含む。一般に、微小球は、たとえばマスフロー原料送り出しシステムの中で液体ポリマー材料とブレンドされ、混合され、硬化のために型に移される。そして、成型品が切り出されて研磨パッドを形成する。残念ながら、この方法で形成された研磨パッドは、望まれないストライエーションを有することがある。
【0006】
ストライエーションは、ポリマーマトリックス中の微小球のかさ密度の変化の結果である。換言するならば、微小球の濃度が高め及び低めである異なる区域がポリマーマトリックス中に存在する。たとえば、Reinhardtの研磨パッドでは、微小球の低い真密度がマスフロー原料送り出しシステム中の微小球の自由な又は途切れのない流れを阻止する。その結果、微小球は、送り出し過程の異なるポイントで異なる程度に「凝集」する傾向にある(すなわち、かさ密度の変化又はストライエーションを生じさせる)。これらのストライエーションは、一つの研磨パッドから次の研磨パッドまで予測不可能かつおそらくは有害な研磨性能を生じさせるおそれがあるため、望ましくない。そのうえ、これらのストライエーションは、パッドそのものの中で研磨性能にマイナスの影響を及ぼすことがある。
【0007】
通常、これらのストライエーションは、重力、種々の貯蔵ホッパ設計、機械的力(たとえば振動)及び手作業の定期的な試料計測、加工条件の調節及び再計測を組み合わせて使用してかさ密度を測定することによって最小限にされてきた。しかし、従来技術の装置及び方法は、かさ密度を制御することにおいて、CMP産業の増大し続ける要求を満たすのには不十分かつ非効率的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、要望されているものは、ストライエーションが減少した研磨パッドである。そのうえ、要望されているものは、ストライエーションが減少した研磨パッドを形成する装置及び効率的な方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様で、ケミカルメカニカル研磨パッドを形成する方法であって、ポリマー材料をタンクに供給するステップ、初期かさ密度を有する微小球を、プレナムの上方に設けられた多孔質膜をさらに含む貯蔵ホッパに供給するステップ、ガス導入ラインを介して流動化ガス供給源をプレナムに接続するステップ、ガスをプレナムに送り込むことによって微小球を流動化させ、初期かさ密度を下げるステップ、送り出しシステムを設けてポリマー材料及び微小球を混合機に送り出すステップ、ポリマー材料と微小球との混合物を形成するステップ、混合物を型に注入して成形物を形成するステップ、及び成形物を研磨パッドに切り出すステップを含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ストライエーションが減少した研磨パッドを提供する。さらに、本発明は、ストライエーションが減少した研磨パッドを形成するための新規な装置及び方法を提供する。特に、本発明は、独自のかさ密度制御装置を使用して研磨パッドにおけるストライエーションを減らす。かさ密度制御装置は、微小球を貯蔵するための新規な貯蔵ホッパを含む。貯蔵ホッパはさらに、プレナムの上方に設けられた多孔質膜及びガス導入ラインを介してプレナムに接続された流動化ガス供給源を含む。ガスがプレナムに送り込まれ、そのガスが多孔質膜を透過し、貯蔵ホッパ中の微小球を流動化させる、又はその初期かさ密度を下げる。好ましくは、微小球の初期かさ密度を少なくとも20%下げる。初期かさ密度におけるこの低下が、一貫した途切れのない微小球の流れを可能にし、かさ密度の変化を小さくし、それが転じて、新規な研磨パッドにおけるストライエーションを減らす。本明細書で定義する「初期かさ密度」とは、微小球の真密度である。
【0011】
図1を参照すると、本発明の研磨パッド1が示されている。研磨パッド1は、研磨層又はパッド4及び省略可能な下層又はパッド2を含む。下層2は、フェルト地のポリウレタン、たとえば米デラウェア州NewarkのRohm and Haas Electronic Materials CMP社(「RHEM」)製のSUBA-IV(商標)パッドでできていることができる。研磨パッド4は、ポリウレタンパッド(たとえば微小球を充填したパッド)、たとえばRHEM製のIC1000(商標)パッドを含むことができる。場合によっては、研磨パッド4は、所望により、テキスチャーを施されていてもよい。感圧接着剤層6の薄い層が研磨パッド4と下層2とを合わせて保持することができる。接着剤6は、米ミネソタ州St, Paulの3M Innovative Properties社から市販されているものであってもよい。研磨層4は、終点検出を容易にするためにその中に設けられた透明な窓14を有してもよい。
【0012】
次に図2を参照すると、本発明の研磨パッド4を形成するための研磨パッド装置20が示されている。装置20は、十分な量の微小球又は微小エレメント48を保持するサイズの貯蔵ホッパ22を含む。貯蔵ホッパ22は、ホッパ22の底でプレナム26の上方に配置された多孔質膜24が設けられている。好ましくは、ポリマー微小球の少なくとも一部は一般に可撓性である。適切なポリマー微小球としては、無機塩、糖及び水溶性粒子がある。このようなポリマー微小球(又は微小エレメント)の例は、ポリビニルアルコール、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、デンプン、マレイン酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、シクロデキストリン及びこれらの組み合わせ(たとえば、スウェーデンSundsvallのAkzo NobelのExpancel(商標))を含む。微小球48を、たとえば分枝化、ブロッキング及び架橋によって化学的に改変して溶解度、膨潤度及び他の性質を変化させてもよい。好ましくは、微小球48は、150μm未満の平均直径を有し、より好ましくは、50μm未満の平均直径を有する。もっとも好ましくは、微小球48は、15μm未満の平均直径を有する。微小球の平均直径は異なってもよく、所望により、異なるサイズの微小球又は種々の微小球の混合物をポリマー材料52に含浸してもよいことに留意されたい。微小球に好ましい材料は、アクリロニトリルと塩化ビニリデンとのコポリマーである。
【0013】
さらには、ヘリカル攪拌機30が貯蔵ホッパ22の中に設けられ、多孔質膜24の表面の上方に配置されている。たとえば、ヘリカル攪拌機30は、多孔質膜24の表面から0.0127m〜0.457m上方に設けることができる。好ましくは、ヘリカル攪拌機30は、多孔質膜24の表面から0.0127m〜0.4m上方に設けることができる。もっとも好ましくは、ヘリカル攪拌機30は、多孔質膜24の表面から0.0127m〜0.0381m上方に設けることができる。ヘリカル攪拌機30の回転方向及び速度は、微小球48の、ホッパ22の外壁に沿う上向き垂直運動72を攪拌機30の軸に沿う下向き軸流とともに促進するために事前に決定される。たとえば、ヘリカル攪拌機30の速度は、5〜10rpmの範囲に設定することができる。
【0014】
加えて、装置20はさらに、ポリマー材料52を保持するためのタンク50を含む。本発明では多数のホッパ及びタンクを使用することができることに留意されたい。さらに、装置20は、第一及び第二の送り出しライン66、44からポリマー材料52と微小球48との混合物を生成するための混合機68を含む。プレナム26の上方に設けられた多孔質膜24を含む貯蔵ホッパ22、ヘリカル攪拌機30及び流動化ガス供給源23が、いっしょになってかさ密度制御装置21を構成する。
【0015】
有利には、多孔質膜24は、ホッパ22の外壁から下向きに傾斜して離れて、微小球の自由な流れを促進することができる。好ましくは、多孔質膜24は、ホッパ22の壁から下向きに0°〜60°の浅い角度で傾斜して離れることができる。より好ましくは、多孔質膜24は、ホッパ22の壁から下向きに0°〜30°の浅い角度で傾斜して離れることができる。もっとも好ましくは、多孔質膜24は、ホッパ22の壁から下向きに0°〜15°の浅い角度で傾斜して離れることができる。加えて、多孔質膜24は、プレナム26を通過し、送りライン34に接続する吐き出し口32を含む。さらには、送りライン34は、直接送りライン19によってポンプ46に接続したのち、ポリマー材料52との混合のために混合機68に入ることができる。
【0016】
有利には、多孔質膜24は、たとえば、焼結金属、圧縮ワイヤシート、ポリエステルフェルト、ガラスフリット又は0.152m/secの標準ガス速度で0.498〜13.780kPaの圧力降下の透過率を達成することができる他の材料から製造することができる。より好ましくは、多孔質膜24は、0.152m/secの標準ガス速度で0.498〜6.890kPaの圧力降下の透過率を達成することができる材料である。もっとも好ましくは、多孔質膜24は、0.152m/secの標準ガス速度で0.498〜3.445kPaの圧力降下の透過率を達成することができる材料である。
【0017】
作動中、流動化ガス28がガス導入ライン27からプレナム26に送り込まれる。ガス弁25が、流動化ガス供給源23からプレナム26に供給されるガスの量を調整する。ガスは、多孔質膜24の圧力降下を達成するのに必要な流量で供給される。このようにして、流動化ガス28は多孔質膜24を透過し、微小球48に作用する。換言するならば、流動化ガス28は、微小球48を流動化する、又はそのかさ密度を下げて、微小球48の自由な流れを促進し、研磨パッド4におけるストライエーションを減らす。好ましくは、流動化ガス(たとえばアルゴン、ヘリウム及び窒素)は、微小球48又はポリマー材料52と有害な反応を起こさない。
【0018】
有利には、ホッパ22からの微小球48の流れを促進するためには、微小球48の初期かさ密度を少なくとも20%下げるべきである。先に論じたように、「初期かさ密度」は微小球の真密度である。本明細書全体を通じて、かさ密度は、温度制御式比重びんにより、ヘリウムガスを使用して計測した。より好ましくは、微小球48のかさ密度は、微小球の初期かさ密度値に比較して、少なくとも30%下げるべきである。もっとも好ましくは、微小球48のかさ密度は、微小球の初期かさ密度値に比較して、少なくとも35%下げるべきである。たとえば、微小球(たとえばExpancel)が42kg/m3以下の初期かさ密度値を有する場合、微小球は、かさ密度を33.6kg/m3以下の値まで(20%)下げられるか、流動化されるべきである。より好ましくは、微小球が42kg/m3以下の初期かさ密度値を有する場合、微小球は、かさ密度を29.4kg/m3以下の値まで(30%)下げられるか、流動化されるべきである。もっとも好ましくは、微小球が42kg/m3以下の初期かさ密度値を有する場合、微小球は、かさ密度を27.3kg/m3以下の値まで(35%)下げられるか、流動化されるべきである。
【0019】
場合によっては、送りライン34を再循環ループ36に直結してもよい。再循環ループ36は、マスフローメータ38、再循環ポンプ40、第二の流動化ガス供給源17、そらせ弁15及び戻りライン42からなる。マスフローメータ38は、たとえば、米コロラド州BoulderのMicromotionから購入することができる。再循環ポンプ40は、接触潤滑を要しないダイアフラム型、ぜん動型、サイン型又はローブ型ポンプであることができる。ライン34及び42は、防錆金属、プラスチック又はポリマー材料を含むことができる。再循環ループ36の非存在では、送りライン34は、先に論じたように、計量ポンプ46に直結することができる。
【0020】
再循環ループ36は、微小球48をホッパ22中でより均一に分散させるのに役立ち、密度の層別化のおそれを減らす。換言するならば、フローメータ38を含む再循環ループ36は、微小球48のかさ密度を計測し、表示し、制御する効率的な方法を考慮している。したがって、かさ密度制御装置21は、所望のかさ密度が達成されるまで微小球48を再循環させるための再循環ループ36をさらに含む。
【0021】
有利には、マスフローメータ38は、微小球48の連続的なかさ密度を計測するための自動化方法を提供する。マスフローメータ38は、密度又はマスフローを計測し、計測値を表示することができる。あるいはまた、マスフローメータ38又は再循環ループ36の非存在では、微小球48のかさ密度は、手動により、流動化した微小球48を、スケール(図示せず)と関連させた送り出しライン44から定期的にサンプリングすることによってモニタすることもできる。
【0022】
作動中、マスフローメータ38は、微小球48の進入かさ密度を計測する。計算されたかさ密度が許容しうる所定範囲内であるならば、計測された微小球48は、そらせ弁15によって計量ポンプ46に送られ、送り出しライン44を介して混合機68に送られる。計算されたかさ密度が高すぎるか低すぎるならば、計測された微小球48は、そらせ弁15によって再循環ポンプ40に送られ、戻りライン42を介して貯蔵ホッパ22に戻されて再び流動化される。換言するならば、かさ密度が高すぎるならば、さらなる流動化が実施され、かさ密度が低すぎるならば、流動化が軽減され、微小球はかさ密度を増大させる。さらには、計算されたかさ密度が高すぎるならば、計測された微小球は、そらせ弁15によって再循環ポンプ40に送られ、そこで、第二の流動化ガス供給源17によって供給されるさらなる流動化ガスが再循環ポンプ40の受け側に直接送り込まれる。さらなる流動化ガスを供給することにより、再循環ポンプ40及び戻りライン42でかさ密度を効果的に下げて、送りライン34に入る微小球48をより低いかさ密度にすることができる。微小球48は、ホッパ22の底にある吐き出し口32からの微小球48の吐き出しを妨げないいかなるレベルでホッパ22に戻してもよいことに留意されたい。
【0023】
同様に、第二のヘリカル攪拌機54がタンク50の中に設けられている。第二のヘリカル攪拌機54の回転方向及び速度は、ポリマー材料52の、タンク50の外壁に沿う上向き垂直運動72を第二のヘリカル攪拌機54の軸に沿う下向き軸流とともに促進するために事前に決定される。
【0024】
ポリマー材料52は、第二の再循環ループ62の第二の送りライン56に接続する、タンク50の底にある開口を介して送られる。第二の再循環ループ62は、第二の送りライン56、第二の計量ポンプ58、そらせ弁60及び戻りライン64からなる。第二の計量ポンプ58は、接触潤滑を要しないダイアフラム型、ぜん動型、サイン型又はローブ型ポンプであることができる。ライン56及び64は、防錆金属、プラスチック又はポリマー材料を含むことができる。
【0025】
作動中、ポリマー材料52及び微小球48が、送り出しシステム、すなわち第一の送り出しライン66及び第二の送り出しライン44を介して混合機68に送り込まれる。微小球48とポリマー材料52とが適切に混合されたのち、その混合物が型70に供給され、それが加熱され、切り出されて研磨パッド4を形成する。有利には、場合によっては混合機68をガス抜きして、微小球を流動化するのに使用した過剰なガスを逃がしてもよい。
【0026】
したがって、図3に示すように、本発明は、ケミカルメカニカル研磨パッドを形成する方法であって、ポリマー材料52をタンク50に供給するステップ101、及び初期かさ密度を有する微小球48を、プレナム26の上方に設けられた多孔質膜24をさらに含む貯蔵ホッパ22に供給するステップ103を含む方法を提供する。加えて、ステップ105が、ガス導入ライン27を介して流動化ガス供給源23をプレナム26に接続するステップを提供する。ステップ107が、ガス28をプレナム26に送り込むことによって微小球48を流動化させ、初期かさ密度を下げるステップを提供する。ステップ109が、送り出しシステムを設けてポリマー材料52及び微小球48を混合機68に送り出すステップを提供する。ステップ111が、ポリマー材料52と微小球48との混合物を形成するステップを提供する。ステップ113が、混合物を型70に注入し、成形物を研磨パッド4に切り出すステップを提供する。
【0027】
本実施態様は、「1ホッパ、1タンク」システムに関して記載したが、本発明はそのように限定されないということに留意されたい。換言するならば、微小球及びポリマー材料をそれぞれ貯蔵するための多数のホッパ及びタンクを使用してもよい。たとえば、図4には、貯蔵ホッパ22及びタンク50、71を含む装置が示されている。タンク50と同様に、第三のヘリカル攪拌機76がタンク71の中に設けられている。第三のヘリカル攪拌機76の回転方向及び速度は、硬化剤74の、タンク71の外壁に沿う上向き垂直運動72を第三のヘリカル攪拌機76の軸に沿う下向き軸流とともに促進するために事前に決定される。この実施態様では、タンク50は、以下さらに論じる「プレポリマー」材料を含む。
【0028】
硬化剤74は、第三の再循環ループ86の第三の送りライン78に接続する、タンク71の底にある開口を介して送られる。第三の再循環ループ86は、そらせ弁82及び戻りライン88からなる。第三の計量ポンプ80は、接触潤滑を要しないダイアフラム型、ぜん動型、サイン型又はローブ型ポンプであることができる。ライン78及び88は、防錆金属、プラスチック又はポリマー材料を含むことができる。さらには、硬化剤74を混合機68に送り込む第三の送り出しライン84が設けられている。簡潔に示すため、微小球の再循環ループ36中に存在する部品のいくつか(たとえばマスフローメータ38)が、ポリマー材料の再循環ループ62、86中には記入されていないということに留意されたい。しかし、再循環ループ62、86は、微小球48の再循環ループ36の特徴のすべて又はいくつかを含むことができる。
【0029】
さらには、本発明の典型的な実施態様では、研磨パッド4のポリマー材料は、ポリイソシアネート含有材料(「プレポリマー」)から製造される。プレポリマーは、ポリイソシアネート(たとえばジイソシアネート)とヒドロキシル含有材料との反応生成物である。ポリイソシアネートは、脂肪族又は芳香族であることができる。そして、プレポリマーを硬化剤で硬化させる。好ましいポリイソシアネートとしては、メチレンビス4,4′−シクロヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート、ドデカン−1,12−ジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。好ましいポリイソシアネートは脂肪族である。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、14%未満の未反応のイソシアネート基を有する。
【0030】
有利には、ヒドロキシル含有材料はポリオールである。典型的なポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ終端化ポリブタジエン(部分的/完全に水素化された誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0031】
一つの好ましい実施態様では、ポリオールはポリエーテルポリオールを含む。例は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。炭化水素鎖は、飽和又は不飽和結合を有することもできるし、置換又は非置換の芳香族及び環状基を有することもできる。好ましくは、本発明のポリオールはPTMEGを含む。適切なポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、o−フタレート−1,6−ヘキサンジオール、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)グリコール及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。炭化水素鎖は、飽和又は不飽和結合を有することもできるし、置換又は非置換の芳香族及び環状基を有することもできる。適切なポリカプロラクトンポリオールとしては、1,6−ヘキサンジオール誘導ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール誘導ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン誘導ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール誘導ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール誘導ポリカプロラクトン、PTMEG誘導ポリカプロラクトン及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。炭化水素鎖は、飽和又は不飽和結合を有することもできるし、置換又は非置換の芳香族及び環状基を有することもできる。適切なポリカーボネートとしては、ポリフタレートカーボネート及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコールがあるが、これらに限定されない。
【0032】
有利には、硬化剤はポリジアミンである。好ましいポリジアミンとしては、ジエチルトルエンジアミン(「DETDA」)、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びその異性体、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及びその異性体、たとえば3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、4,4′−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン、1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4′−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(「MCDEA」)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、N,N′−ジアルキルジアミノジフェニルメタン、p,p′−メチレンジアニリン(「MDA」)、m−フェニレンジアミン(「MPDA」)、メチレン−ビス2−クロロアニリン(「MBOCA」)、4,4′−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(「MOCA」)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(「MDEA」)、4,4−メチレン−ビス−(2,3−ジクロロアニリン)(「MDCA」)、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチル−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、2,2′,3,3′−テトラクロロジアミノジフェニルメタン、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びその異性体を含む。適切なポリアミン硬化剤は、第一級及び第二級アミンを含む。
【0033】
加えて、他の硬化剤、たとえばジオール、トリオール、テトラオール又はヒドロキシ終端化硬化剤を前述のポリウレタン組成物に加えてもよい。適切なジオール、トリオール及びテトラオール群は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン、1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、レソルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル、ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル及びこれらの混合物を含む。好ましいヒドロキシ終端化硬化剤としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン、1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン、1,4−ブタンジオール及びこれらの混合物がある。ヒドロキシ終端化硬化剤及びアミン硬化剤は、いずれも、1個以上の飽和、不飽和、芳香族及び環状基を含むことができる。さらには、ヒドロキシ終端化硬化剤及びアミン硬化剤は、1個以上のハロゲン基を含むことができる。ポリウレタン組成物は、硬化剤のブレンド又は混合物で形成することができる。しかし、望むならば、ポリウレタン組成物は、1種の硬化剤で形成することもできる。
【0034】
本発明の好ましい実施態様では、ポリマー材料52は、たとえば、ポリウレタン、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、シリコーン、ポリイミド及びポリスルホンで形成することができる。ポリマー材料52のための他の典型的な材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、エチルビニルアセテート、ポリ酪酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フッ素化エチレンプロピレン及びペルフルオロアルコキシポリマーならびにこれらの組み合わせがあるが、これらに限定されない。好ましいポリマー材料52はポリウレタンである。
【0035】
次に図5を参照すると、本発明のストライエーション減少研磨パッドを使用するCMP装置73が示されている。装置73は、半導体ウェーハ83を研磨プラテン91に対して保持する又は押し当てるためのウェーハキャリヤ81を含む。研磨プラテン91は、本発明のストライエーション減少研磨パッド4をはじめとする積層研磨パッド1を備えている。先に論じたように、パッド1は、プラテン91の表面と対面する下層2と、ウェーハ83を研磨するために化学研磨スラリーとともに使用される研磨パッド4とを有する。図示しないが、研磨流体又はスラリーを供給するための手段をこの装置とともに使用することができることが理解されよう。プラテン91は通常、その中心軸79を中心に回転する。加えて、ウェーハキャリヤ81は通常、その中心軸75を中心に回転し、平行移動アーム77によってプラテン91の表面を平行移動する。図5には1個のウェーハキャリヤしか示されていないが、CMP装置は、研磨プラテンの周囲に円周方向に離間した2個以上のウェーハキャリヤを有してもよいことが理解されよう。加えて、透明な穴87がプラテン91に設けられ、パッド1の窓14に重なっている。したがって、透明な穴87は、ウェーハ83の研磨中に、正確な終点検出のために窓14を介してウェーハ83の表面へのアクセスを提供する。すなわち、レーザ分光光度計89がプラテン91の下方に設けられ、このレーザ分光光度計が、ウェーハ83の研磨中に、正確な終点検出のためにレーザビーム85を投射して透明な穴87及び窓14に通過させ、それらを通って跳ね返らせる。
【0036】
したがって、本発明は、ケミカルメカニカル研磨パッドを形成する方法であって、ポリマー材料をタンクに供給するステップ、及び初期かさ密度を有する微小球を、プレナムの上方に設けられた多孔質膜をさらに含む貯蔵ホッパに供給するステップを含む方法を提供する。方法はさらに、ガス導入ラインを介して流動化ガス供給源をプレナムに接続するステップ、及びガスをプレナムに送り込むことによって微小球を流動化させ、初期かさ密度を下げるステップを提供する。加えて、方法はさらに、送り出しシステムを設けてポリマー材料及び微小球を混合機に送り出すステップ、ポリマー材料と微小球との混合物を形成するステップ、混合物を型に注入して成形物を形成するステップ、及び成形物を研磨パッドに切り出すステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ストライエーションが減少した本発明の研磨パッドを示す。
【図2】本発明の研磨パッドを形成するための装置を示す。
【図3】本発明の研磨パッドを形成する方法を示す。
【図4】本発明の研磨パッドを形成するための装置のもう一つの実施態様を示す。
【図5】本発明の研磨パッドを使用するCMPシステムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケミカルメカニカル研磨パッドを形成する方法であって、
ポリマー材料をタンクに供給するステップ、
初期かさ密度を有する微小球を、プレナムの上方に設けられた多孔質膜をさらに含む貯蔵ホッパに供給するステップ、
ガス導入ラインを介して流動化ガス供給源を前記プレナムに接続するステップ、
ガスを前記プレナムに送り込むことによって前記微小球を流動化させ、前記初期かさ密度を下げるステップ、
送り出しシステムを設けて前記ポリマー材料及び前記微小球を混合機に送り出すステップ、
前記ポリマー材料と前記微小球との混合物を形成するステップ、
前記混合物を型に注入して成形物を形成するステップ、及び
前記成形物を研磨パッドに切り出すステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記微小球を流動化するステップが、前記初期かさ密度を少なくとも20%下げる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記多孔質膜が、0.152m/secの標準ガス速度で0.498〜13.780kPaの圧力降下の透過率を達成する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
再循環ループを設けて、前記微小球を前記混合機に送り出す前に前記微小球を再循環させて前記貯蔵ホッパに戻すステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
マスフローセンサを設けて前記微小球の連続かさ密度を計測するステップをさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
二次流動化ガス供給源を設けて前記微小球のかさ密度をさらに下げるステップをさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記貯蔵ホッパ中に攪拌機を設けて前記微小球の流動化を促進するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記混合物を注入する前に前記混合機をガス抜きするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記微小球が、ポリビニルアルコール、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、デンプン、マレイン酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、シクロデキストリン、アクリロニトリルと塩化ビニリデンとのコポリマー及びこれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー材料が、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、シリコーン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、エチルビニルアセテート、ポリ酪酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フッ素化エチレンプロピレン及びペルフルオロアルコキシポリマーならびにこれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−104467(P2006−104467A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−285785(P2005−285785)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(504089426)ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】