説明

ストリップ材料を貼付するための方法および装置

本発明は、ストリップ材料を基部へ貼付する方法および装置に関する。特に、本発明は、基部への弾性材料の細長いストリップの自動貼付に関する。本発明はさらに、ウェザーストリップシールなどのシールストリップを基部へ貼付する装置および方法に関する。細長いストリップを駆動手段5によって前進させ、貼付ユニット9によって基部へ位置決めする。細長いストリップ1の応力を、駆動手段と貼付ユニット9との間の領域に位置決めされた応力制御ユニット8によって制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップ材料を基部へ貼付けるための方法および装置に関する。詳細には、本発明は、基部への弾性材料の細長いストリップの自動貼付に関する。本発明はさらに、ウェザーストリップシールなどのシールストリップを基部へ貼付けるための装置および方法に関する。好ましい実施形態によれば、ストリップは、本体または開口部を画成する構造体(例えば、自動車、航空機、または船舶の本体などの車体の、車両のドアまたはドア枠)の基部または周辺端部へ貼付けるための、接着テープが貼付されたストリップ、例えば接着テープが貼付されたウェザーストリップシールなどである。
【背景技術】
【0002】
具体的には、そのような装置により、有限のまたは連続的な長さのストリップ、例えばテープが貼付されたウェザーストリップシールなどを、圧着装置のアプリケータヘッドまたはエンドエフェクタによって前進させることが可能となり、かつそのようなプロセスはそのようにすることを含む。
【0003】
接着面を備えるストリップを、基部へ貼付けるための方法および装置は、当該技術分野で周知である。例えば、ゴムまたは他の弾性異形材が、例えば自動車および冷蔵庫のドアに使用される防水および/または気密シール作製用として知られている。そのような弾性異形材は、一般に閉じたループ形式で、またはばらばらの長さで、または連続ロールで設けられ、少なくとも1つの熱成形またはモールド成形された角部を有することが多い。一般的に、弾性異形材やウェザーストリップなどの各ストリップは、各種の特定用途またはシールされる特定の基部専用に設計され、製造される。
【0004】
一般に、ウェザーストリップは、機械的な連動技術を使用して、シールされるドア開口部などの開口部へ取り付けられ、そこで、異形材が、ドア開口部またはドア自体にあるフランジまたはチャネルに係合する。その代わりに、弾性異形材を、ピンなどの他の機械的な手段を使用して取り付けてもよい。弾性異形材を所定の位置に接着剤で接着してもよいし、または感圧接着テープを使用してドア開口部へ取り付けることもできる。
【0005】
自動車のドアまたはトランクの開口部のシールに使用されるゴムまたは他の弾性異形材を付着するために特に好適なテープは、3M社(3M Company)(3M Deutschland GmbH、独国ノイス(Neuss,Germany))から入手可能である。例として、一方の側に弾性異形材に接合するための加熱活性化接着剤、および他方の側に、テープされた弾性異形材をドア開口部に付着するための粘着性感圧接着剤を備える二機能性の接着テープ、またはそれぞれの側に感圧接着剤を含むテープが挙げられる。選択される特定のテープは、弾性異形材が接合される基部に依存する。
【0006】
ロボットのエンドエフェクタ工具が、ウェザーストリップの閉じたループを、車両の開口部を囲むリップに機械的に据え付けるためのものとして公知である。一般に、装置は、ウェザーストリップをエンドエフェクタへ供給する手段、ウェザーストリップ長をループに形成するための複数の案内ローラ、およびウェザーストリップを開口部のリップに押圧するための複数のアームを含む。アプリケータヘッドのエンドエフェクタ工具はまた、車両の開口部への接着剤ベースのウェザーストリップの据え付けを容易にするものとして開示されている。
【0007】
独国特許出願公開第103 42 658A号明細書は、接着テープを基部ならびに個別の装置へ貼付する方法に関する。接着テープを、供給ユニットから案内ユニット上を渡って、基部へ接着テープを貼付するための開始位置として使用される貼付位置まで前進させる。基部への接着テープの貼付作業中、必要量の接着テープが、案内ユニットの前側にある保持ロールから引き出される。接着テープの供給は、テープの貼付作業中、供給量が、最小供給量を示す予め定められた最小閾値を下回る場合に、供給ユニットから案内ユニットへ自動的に再補充される。
【0008】
欧州特許第1 502 790B号明細書は、接着剤コーティングを備えるシールストリップを、自動車の車体または車体構造要素へ動的に連続的に嵌め込むユニットに関する。このユニットは、保護膜で覆われた、接着剤がコーティングされた取付部を備える押出形材用の少なくとも1つのフィーダーステーションと、切断手段によって押出形材において切断されたストリップを嵌め込むための自動アプリケータヘッドと、固定されている自動ヘッド周囲の車体構造要素を操作するかまたは固定されている車体もしくは車体構造要素周囲の自動ヘッドを操作するロボットとを有するものとして議論されている。嵌込ユニットは、押出形材における通気孔および/または排水孔の存在を検出する手段、および/または押出形材にこれらの孔の少なくとも1つを穿孔する手段を有することを特徴とする。
【0009】
独国特許出願公開第101 38 781A号明細書は、車体に連続シールを貼付する方法に関し、ここで、シールは、ロールから引き出されて車両のドアに供給される。上述の方法を実行するために、装置は、シールが案内される圧力ロール、ならびに貼付前にシールを案内する案内手段を備え、ここで車両のドアにシールを貼付する装置は、軸の周りを、好ましくは360°にわたって旋回可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術で公知の方法および装置は、それらが静的システム(固定されたストリップまたはシールに対して基部を動かす)、動的システム(基部に対してシールストリップおよび圧着装置を動かす)、またはハイブリッドシステムのいずれであるかに関わらず、これまで改良されてきてはいるものの、不都合である。具体的には、基部に貼付されたストリップがしわになることが多いこと、および/またはストリップが、貼付された基部から時間が経つにつれて緩むことが観察された。所望の使用によっては、そのようなしわまたは緩みはストリップの使用性を大きく損なう。
【0011】
ストリップ材料を基部に貼付するための、別の好ましくは改良された方法、および別の好ましくは改良された装置を提供することが望ましいであろう。特に、信頼性の高い、単純で効果的な、かつ公知の方法または装置の欠点を克服し得る別の方法および別の装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
貼付前のストリップの応力レベルが、貼付されたストリップの品質に非常に影響を及ぼすことが判明した。例えば、貼付前のストリップが圧縮応力の影響を受けると、ストリップ表面にしわができ、それにより品質を低下させる。その上、このことによりストリップが基部から緩んでしまうことが多い。貼付前のストリップが引張応力の影響を受けると、ストリップの基部からの緩みをもたらし得る。
【0013】
従って、引張応力および圧縮応力の双方とも、特に幾何学的形状の基部に貼付される細長いストリップ、例えば、車体のドア開口部に沿って設けられたウェザーストリップの隅部においては、細長いストリップの基部からの緩みをもたらし得る。
【0014】
それゆえ、本発明によれば、基部に貼付されるストリップの応力レベルを、貼付前に制御する。
【0015】
本発明の特定の実施形態によれば、これを、一般的に信頼性が高く取り扱いのしやすい、効果的で効率的な方法によって達成することができる。さらに、本発明の方法に従って貼付されたまたは本発明の装置によって貼付されたストリップは、一般的に耐久性を有して確実に基部に貼付され、本発明による方法および装置を、異なる分野において、かつ異なる貼付法、例えば静的、動的またはハイブリッド方法などを使用して可変的に使用することができる。さらに、本発明によって迅速、容易および信頼性の高い制御サイクルでの貼付が可能となる。
【0016】
従って、本発明は、例えば弾性材料のストリップ、一般に細長いストリップを基部へ貼付するための装置に関する。一般的に、細長いストリップは、一般にライナと称される除去可能な保護カバーシートを有する接着剤層をさらに含み、保護カバーシートは、一般に基部へのストリップの最終貼付のために感圧接着剤層の表面を保護する働きをする。細長いストリップを、駆動手段によって前進または駆動させる。これらの駆動手段は、例えば、細長いストリップを、反対に作用する案内レールに対して押圧する前進ローラであってもよい。一実施形態では、駆動手段は少なくとも1つの、好ましくは2つのベルト駆動手段である。一層好ましくは、そのようなベルト駆動手段を、互いに対向させて配置し、それにより、細長いストリップの対向面を接触させる。好ましくは、駆動手段を独立して駆動させる。一層好ましくは、駆動手段は、細長いストリップを貼付位置に前進させる働きをするだけでなく、例えば、伸縮力により細長いストリップに蓄積された応力に影響を与える働きもする。
【0017】
装置は、細長いストリップを基部に位置決めするおよび/または細長いストリップを基部に押圧するための貼付手段をさらに含む。貼付手段を、細長いストリップの前進方向で見て、駆動手段の後側に、すなわち、基部付近に配置する。貼付手段は一般にピンローラであり、以下、理解を容易にするためにそのように称する。しかしながら、ピンローラは、完全に円形のロールに限定されず、その機能を果たすために好適な例えば星形の貼付手段なども包含することを理解されたい。
【0018】
ピンローラは、従動回転または自由回転してもよい。特定の実施形態によれば、ピンローラのトルクは調整可能である。さらに、ピンローラを、一般的に、例えば、モータなどによって駆動する。具体的には、実施形態によれば、ピンローラは、規定の引張応力、規定の圧縮強度または応力がないなど規定の応力レベルを細長いストリップに生じさせることが可能である。
【0019】
装置は、細長いストリップの応力を制御するための応力制御ユニットをさらに含む。応力制御ユニットは、一般的にストリップの応力レベルを監視/決定するためのセンサユニットを含む。実施形態によれば、センサを、駆動手段とピンローラとの間に位置決めする。さらに、応力制御ユニットは一般に、センサユニットによって監視/決定された細長いストリップの応力レベルに基づいて駆動手段および/またはピンローラを制御するための制御ユニットを含む。
【0020】
特定の実施形態によれば、応力制御ユニットは、ピンローラの少なくとも1つのパラメータをさらに監視し、かつこの検出されたパラメータに基づいて駆動手段を制御する。一般的に、センサユニットは、細長いストリップの応力レベルによってもたらされるストリップの変位を測定する変位変換器である。
【0021】
具体的には、センサユニットが配置される領域においては、細長いストリップは、細長いストリップが引張応力下または圧縮応力下にあるかどうかに応じて、一定の予め定められた方向に自由に移動できる。実施形態によれば、駆動手段とピンローラとの間の、少なくともセンサユニットの領域において、細長いストリップは、ループのない状況と比較した場合に、圧縮応力または引張応力に起因する細長いストリップの変位を増大させるのに好適な、ループを作る。
【0022】
例えば、駆動手段とピンローラとの間において、細長いストリップは、例えばわずかに湾曲した経路に沿って延びる。ここで、細長いストリップが引張応力下にあると、曲率半径は増大し、細長いストリップはより直線的な経路に延びる。反対に、細長いストリップが圧縮応力下にあると、曲率半径は減少する。従って、引張応力または圧縮応力を細長いストリップへかけることによって、反対方向へのストリップの変位をもたらすことは明白である。そのような変位ならびにそれぞれの変位方向を応力制御ユニットのセンサユニットによって検出する。次に、以下説明するように、駆動手段および/またはピンローラを各々、検出された応力状況に基づいて制御してもよい。
【0023】
特定の実施形態によれば、センサユニットは、細長いストリップの接触によって少なくとも二方向に変位可能なフォーク状レバーを含む。細長いストリップの変位は、好ましくはレバー機構によって押し上げられ、別の測定手段によって測定される。
【0024】
別の実施形態によれば、装置は、ストリップを規定の長さに切断する切断機構を含む。一般的に、そのような切断プロセスを制御するために数個のセンサが設けられる。
【0025】
典型的には、ストリップが接着剤層を含み、ライナが使用される場合、装置は、制御された方法でライナを除去および処分するための機構をさらに含む。好都合には、装置は、貼付前に細長いストリップを案内するための案内機器をさらに含む。
【0026】
別の実施形態によれば、本発明による装置をモジュール式で組み立て、個々のパラメータ、例えば使用されるストリップまたは基部などに従って装置の修正を容易にすることができる。
【0027】
本発明はさらに、弾性材料の細長いストリップを基部に貼付する方法に関する。実施形態によれば、それぞれの方法は一般的に上述の装置の使用法に対応する。好都合には、この方法は、駆動手段によって細長いストリップを貼付側に前進させる工程と、ピンローラによって細長いストリップを基部に位置決めするおよび/または細長いストリップを基部に押圧する工程と、細長いストリップの応力を制御する工程と、駆動手段とピンローラとの間の領域において細長いストリップの応力レベルを監視する工程と、センサユニットによって検出された細長いストリップの応力レベルに基づいて、駆動手段によって細長いストリップの前進を制御する工程とを含む。
【0028】
本発明により、規定の応力状況下において基部への細長いストリップの貼付が可能となり、それにより、基部への貼付後のストリップのしわまたは緩みなどの引き戻しを回避する。それにより、本発明はまた、細長いストリップを規定の長さに切断することによって、基部に円形または閉ループで設けられる場合に、細長いストリップの間隙のない接合も保証する。
【0029】
さらに、本発明により、異なる種類の貼付、貼付ジオメトリ、ストリップ形状または輪郭のための細長いストリップを、効率的に信頼性の高い方法で短期間に提供することが可能となる。さらなる利点としては、特に循環するストリップ貼付のための、応力、歪み、圧力および長さなどの制御された規定のおよび再現性のあるプロセスパラメータが挙げられる。そのような改良された制御は、サイクル時間に関する厳しい要求を満たす再現性のある信頼性の高い高品質の貼付をもたらし得る。
【0030】
以下、本発明をさらに説明し、かつ図面に示すような好ましい実施形態を参照して例示する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】弾性材料の細長いストリップを貼付するための装置の概略図を示す。
【図2】本発明による装置の別の概略図を示す。
【図3a】応力制御ユニットのセンサユニットの概略図であって、個々のセンサ手段の側面図を示す。
【図3b】応力制御ユニットのセンサユニットの概略図であって、個々のセンサ手段の上面図を示す。
【図4】シールストリップを車体に貼付するためのロボットに装着された本発明による装置の概略図を示す。
【0032】
これらの図面は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明をそれに限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に、本発明の特定の実施形態による、弾性材料の細長いストリップを基部へ貼付するための装置を示す。本願の導入部分で既に説明したように、本発明による装置および方法は、一般に、ウェザーストリップなどのシールストリップを例えば車体に貼付するために使用されるが、それに限定されるわけではない。それゆえ、細長いストリップは、ライナで覆われた接着剤を備えて、細長いストリップを基部へ簡単に固定するようにしてもよい。しかしながら、当業者に認知されるように、そのような接着剤を必ずしも細長いストリップにもたらす必要はなく、細長いストリップの貼付前に基部にもたらしてもよい。例えばクリップなどの機械的な締結手段もまた、基部へのシールストリップの貼付に使用してもよい。
【0034】
それゆえ、図1に、接着剤層を備える細長いストリップ1を車体3のアパーチャまたは開口部2へ貼付するための装置(または手順)を示す。図示のように、エンドレスの細長いストリップまたはシール1が供給ロール4からもたらされる。ストリップはロール4から剥離され、駆動手段29によって前進させられる。それに加えてまたはその代わりに、装置は、細長いストリップをスリップすることなくさらに前進させるために、対向するベルト駆動手段5を備える。以下説明するように、駆動手段5を一般的にピンローラ9付近に配置する。一般に、駆動手段5とピンローラ9との間の距離は、約100〜300mmの範囲、例えば約150〜250mmの範囲または約170〜220mmの範囲である。一般に、この距離は、駆動手段5の端部とピンローラ9の中心点または軸との間を測定したものである。一般的に、この距離は、ピンローラ9と駆動手段5との間の、細長いストリップが駆動手段5およびピンローラ9に接触しない細長いストリップの自由長に対応する。駆動手段5によってもたらされる細長いストリップの前進方向から見ると、細長いストリップ1の接着剤層を覆うライナ6を駆動手段5の後側で除去する。ライナ6を制御された方法で個々の手段31によって除去し処分する。ライナ6を除去し処分する個々の手段31は任意選択であり、細長いストリップがライナを有するかどうかにより、それらは設けられる。
【0035】
センサ測定の特定の位置により、細長いストリップ1の前進方向から見た場合に細長いストリップが駆動手段5に達する前に有している初期応力による影響を受けずに、細長いストリップの応力を信頼性高く制御することができる。
【0036】
本発明の装置において、ライナ6を備える細長いストリップ1を使用する場合、細長いストリップ1の応力の測定は、ストリップ1の進行方向または前進方向から見た場合に好ましくはライナ6の除去後に行われ得る。
【0037】
装置は、貼付前に、定められた経路に沿ってシールを案内するために使用される案内ユニット7をさらに含む。
【0038】
装置はさらに、直接または貼付直前に、制御され再現性のある方法で細長いストリップの応力を制御するための応力制御ユニット8を含む。
【0039】
装置は、制御された方法で細長いストリップを基部、ここでは車体のフランジ10上に位置決めし、押圧しおよび/またはそこで回転させるためのピンローラ9、好ましくは従動ピンローラ9をさらに含む。
【0040】
貼付手順では、本発明による装置を備える貼付ヘッドを、好ましくは360度にわたって回転可能な軸に搭載する。細長いストリップを、その接着面を基部の指定軌道、ここでは車体のアパーチャのフランジ10に貼付して、循環させるように貼付する。
【0041】
特定の実施形態によれば、装置は、細長いストリップを規定の長さに切断するための、ピンローラ9と駆動手段5との間に配置された切断機構11をさらに備え、それにより、閉ループ(closed contour)で基部に貼付されるストリップの、間隙のない接合(始端/終端)を可能にするかまたは保証する。一般的に、個々の切断プロセスは、センサによって制御される。
【0042】
装置が切断ユニット11を備える特定の実施形態によれば、細長いストリップは、細長いストリップの長手方向軸の法線に対して約5°〜25°、例えば約7°〜15°または約10°の角度で切断される。これにより、細長いストリップが閉ループで基部に貼付される場合、第1の細長いストリップの終端と、先行する細長いストリップの始端との間に、改良されたより確実な閉ループがもたらされる。
【0043】
図2に、本発明による装置およびプロセスの概略図を示す。それゆえ、細長いストリップ1は、駆動手段5によって前進させられるかまたは駆動される。図2に示すように、駆動手段5は、ベルト駆動手段5’および5’’で構成される。本発明によれば、駆動手段5は、当該技術分野において公知の別の駆動手段、例えば駆動ローラなどで構成されてもよい。しかしながら、ベルト駆動手段、とりわけ、対向するベルト駆動手段が好ましい。なぜなら、そのような駆動手段は、細長いストリップ1の特に制御された、正確でスリップのない駆動を可能にするためである。
【0044】
さらに、図2に、細長いストリップ1を、制御された方法で基部13に位置決めし、押圧しおよび/またはそこで回転させるピンローラ9を示す。ピンローラ9のトルクは調整可能であり、ピンローラ9は好ましくはモータM15によって駆動される。特定の実施形態によれば、モータM15を使用して、ピンローラ9の回転モーメントとしてのトルクを制御する。モータM15を設けることによって、規定の応力レベル、例えば、規定の歪みまたは伸張において細長いストリップを基部へ貼付することが可能となる。しかしながら、モータM15を設けることは一つの特定の実施形態であり、ピンローラ9は、モータM15が設けられていなくても動作してよい。この場合、細長いストリップを、応力のない状態において基部に貼付する。
【0045】
図2から分かるように、本発明による装置は、細長いストリップが応力下、特に、引張応力または圧縮応力下にあるかどうかに応じて制御するための応力制御ユニット8を含む。応力制御ユニット8は、駆動手段5とピンローラ9との間の領域にある細長いストリップの応力を検出するために配置されかつそれに好適なセンサユニット17を含む。一般的に、センサユニット17は、オドメータ、またはストリップの応力の状態に起因するストリップの変位を検出および/または測定する変位変換器である。実施形態によれば、センサユニット17は、図3を参照して以下詳細に説明するようにフォーク状レバー機構である。
【0046】
センサユニット17は、細長いストリップ1の応力の状態を検出し、細長いストリップ1の応力を示す個々の信号を生成し、かつこの信号を応力制御ユニット8の制御ユニット21に提供する。応力制御ユニットは、評価・制御手段21をさらに含んでもよく、それは、センサ手段17によってもたらされたセンサ信号に基づいて、駆動手段5への入力信号を生成する。駆動手段5の速度および/またはモーメントを、応力制御ユニット17から受信した入力信号に従って変化させる。それにより、矢印Aで示す細長いストリップ1の供給方向から見た駆動手段の後側かつピンローラの前側での細長いストリップ1の応力、従って、基部への貼付時における応力を調整できる。
【0047】
一実施形態では、ピンローラ9は被駆動ピンローラである。この特定の実施形態を、図2にシステムBとして示す。ここでは、ピンローラ9はモータM15によって駆動される。被駆動ピンローラ9は、モータM15を設けることにより調整可能なトルクを有する。ピンローラ9が被駆動ピンローラである場合、応力制御ユニット8は、ピンローラ9の角度位置などの情報を検出するための第2のセンサユニット19をさらに含んでもよい。個々の信号はまた、応力制御ユニット8にもたらされる。応力制御ユニット8は、センサユニット17および19によってもたらされた信号に基づいて駆動手段5および/またはピンローラ9/モータM15に出力命令を提供する。
【0048】
特定の実施形態によれば、センサユニット19は、ピンローラ9の角度位置を示す値εPRを決定し、センサユニット17は、例えばフォーク状レバーを介して、例えばストリップ1の変位を示す値AFを決定する。ここで応力制御ユニット8は、応力制御ユニットによって駆動手段5に提供される駆動手段5の対応する角度位置を示す信号εDMを評価する。一般に、εDM=f(εPR,AF)。
【0049】
図3に、例えば、図2に示すような駆動手段5とピンローラ9との間の領域の細長いストリップ1の(平面)図を示す。ここに、特有のフォーク状レバー形状のセンサユニット17も示す。図3aに、フォーク状レバー形状のセンサユニット17の側面図を示す。図3bにセンサユニット17の平面図を示す。
【0050】
図3aから分かるように、細長いストリップ1は、フォーク状レバーまたはU字形部分を含むフォーク状レバーの2つのサイドアーム間に延びる。中立的な、すなわち、応力のない状態では、細長いストリップ1は、(フォーク状レバー機構17の図3aによる向きで見て)フォーク状部分の左アーム23にも右アーム25にも接触しない。
【0051】
しかしながら、図2および3bから分かるように、応力のない状況で細長いストリップ1が延びる中立的な経路20は、引張応力または圧縮応力が細長いストリップ1に加えられると、細長いストリップ1が中立的な経路から離れて、図2および3の矢印XおよびYで示すようにその中立的な経路20の右または左に位置を変える。図3bからさらに分かるように、特定の実施形態によれば、細長いストリップ1の中立的な経路20は、駆動手段5とピンローラ9との間の領域においてわずかに湾曲している。それゆえ、図3bに示す向きを参照すると、細長いストリップ1に圧縮応力が加えられると、曲率が増す、すなわち、曲率半径が低減し、図3bに矢印Yで示すように細長いストリップが右側へ移動する。それとは反対に、駆動手段5の後側の領域において細長いストリップ1に引張力が加えられると、曲率は真直ぐになる傾向を示す、すなわち、曲率半径が拡大し、センサユニット17の位置において細長いストリップ1は方向Xへ、すなわち図3の左側へ移動する。
【0052】
図3aに示す側面図から分かるように、細長いストリップ1が矢印Xの方向へ移動すると、ストリップはセンサユニット17のアーム23に接触し、それによりフォーク状レバー手段がその中立位置から変位して、この手段がピボット21の周りを(反時計回り)に回転し、その結果、アーム23および25を含むフォーク状位置、ならびにセンサユニット17の回転の中心21の他方の側の対向部分の双方に変位をもたらす。
【0053】
ここで、細長いストリップ1が右側、すなわち、矢印Xの方向に移動すると、これにより、アーム25の変位をもたらし、対応して、ピボット21の周りでフォーク状レバーユニット17が(時計回り)に回転する。フォーク状レバーセンサユニット17の形態および配置は例示的なものであり、非限定的な性質のものであるにすぎないことに留意されたい。
【0054】
フォーク状レバー手段の変位、アーム23、25の変位またはフォーク状レバーユニットの対向端部の変位のいずれかを検出し、個々の変位AFが応力制御ユニット8に提供される。
【0055】
当業者によって容易に理解されるように、センサユニットは、上述のレバーまたはフォーク状レバー機構とは異なる形態および技術であってもよい。具体的には、別の実施形態によれば、細長いストリップ1の変位を、例えば、光学的方法および光学的装置など接触式または非接触式センサユニットによってさらに決定してもよい。
【0056】
図4に、装置が、数個の移動自由度、例えば、Z1〜Z3を有するロボット27に搭載されている場合の、シールまたはウェザーストリップ1などの細長いストリップを車体3に貼付するための実装ヘッド33と共に使用する本発明による装置を示す。これにより、本発明による装置を、異なる特定応用において多くの方法で、かつ異なる細長いストリップを使用しても、使用可能とする。
【0057】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の方法は静的、動的またはハイブリッド方法であり、すなわち、圧着装置は、基部が静止している間に移動し(動的)、装置は、基部が移動している間に静止し(静的)、または装置および基部双方ともが移動する(ハイブリッド)。本発明による装置は、一般に静的、動的およびハイブリッド方法での使用に好適である。
【0058】
本発明による装置および方法によって、一般的に、基部への貼付直前に細長いストリップの応力を連続的で迅速に反応制御することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いストリップを基部に貼付するための装置であって、
前記細長いストリップを前進させるための駆動手段(5)と、
前記細長いストリップを基部上で、位置決め、押圧および回転の少なくとも1つを行うための貼付ユニット(9)と、
前記細長いストリップの応力を制御するための応力制御ユニット(8)であって、前記駆動手段(5)と貼付ユニット(9)との間の領域において、前記細長いストリップ(1)の応力レベルを測定するための少なくとも1つのセンサユニット(17;19)を含む応力制御ユニット(8)と、
前記センサユニット(8)によって測定された前記細長いストリップの応力の状態に基づいて前記駆動手段(5)を制御するための制御ユニット(21)と、
を備える装置。
【請求項2】
前記駆動ユニット(5)がベルト駆動手段である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記駆動手段(5)が、前記細長いストリップの互いに反対側に配置された2つの駆動手段(5’、5’’)を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記貼付ユニット(9)がピンローラである、請求項1、2、または3に記載の装置。
【請求項5】
前記貼付ユニット(9)が、従動回転または自由回転することと、前記貼付ユニット(9)が調整可能なトルクを有することとの少なくとも一方を満足する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記貼付ユニット(9)が、前記細長いストリップ(1)に規定の応力を与えるように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記応力制御ユニット(8)が、前記貼付ユニット(9)のパラメータ(εPR)をさらに測定し、かつ測定された前記パラメータ(εPR)にも基づいて前記駆動手段(5)を制御する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記センサユニット(17)が、前記細長いストリップの応力の状態に起因する前記細長いストリップ(1)の変位を感知する変位変換器(17)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記センサユニット(19)が、角度位置を検出するセンサである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記駆動手段(5)と前記貼付ユニット(9)との間において、前記細長いストリップ(1)が、前記ストリップ(1)の応力の状態に起因する前記ストリップ(1)の変位がループのない状況と比較して増大するようにループを形成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記センサユニット(17)が、レバー機構またはフォーク状レバー機構を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
ストリップを基部に貼付する方法であって、駆動手段(5)によって細長いストリップを前進させることと、貼付ユニット(9)によって前記細長いストリップを基部上で、位置決め、押圧および回転の少なくとも1つを行うことと、応力制御ユニット(8)によって前記細長いストリップの応力を制御することと、前記駆動手段と貼付ユニットとの間の領域に位置決めされたセンサユニットによって前記細長いストリップの前記応力レベルを測定することと、前記センサユニットによって測定された前記細長いストリップの前記応力レベルに基づいて前記駆動手段(5)を制御することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記駆動手段が、前記細長いストリップの前記応力レベルと、回転角度または回転モーメントのような前記貼付ユニットの信号とに基づいて制御される、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−504263(P2010−504263A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529593(P2009−529593)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008323
【国際公開番号】WO2008/037426
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【出願人】(500242786)フラウンホファー ゲセルシャフトツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ. (47)
【Fターム(参考)】