スパイラルインダクタおよびスパイラルインダクタの製造方法
【課題】誘電損を回避でき、挿入損失を小さくすることが可能なスパイラルインダクタを提供する
【解決手段】接地導体を設けた半絶縁性の基板2と、この基板2上に形成された誘電体膜3と、それぞれこの誘電体膜3上に形成された複数の支持体4と、これらの支持体4によって支持され、基板2上でスパイラル形状の導体パターンを有し、一方の端部7aから入力された信号を他方の端部7bへ通過させるマイクロストリップライン導体5と、を備え、このマイクロストリップライン導体5は、それぞれ導体パターンの形状に沿って設けられた複数の支持体4によってパターン裏面を支持される架橋構造を有する。
【解決手段】接地導体を設けた半絶縁性の基板2と、この基板2上に形成された誘電体膜3と、それぞれこの誘電体膜3上に形成された複数の支持体4と、これらの支持体4によって支持され、基板2上でスパイラル形状の導体パターンを有し、一方の端部7aから入力された信号を他方の端部7bへ通過させるマイクロストリップライン導体5と、を備え、このマイクロストリップライン導体5は、それぞれ導体パターンの形状に沿って設けられた複数の支持体4によってパターン裏面を支持される架橋構造を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスパイラルインダクタおよびスパイラルインダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MMIC(モニリシックマイクロ波集積回路)に設けられたスパイラルインダクタは、基板上に平面スパイラル形状の配線を形成し、この配線のパターンによって所望のインダクタンスを得るようにしている。
【0003】
誘電体基板上に形成されるスパイラルインダクタは、直接誘電体基板上、もしくは誘電体基板上の誘電体膜上に、金属層が蒸着により形成されている。
【0004】
従来、それぞれスパイラル形状のストリップ線路が2層に積層された構造を有し、高周波状態における信号電流を各ストリップ線路に均等に流すようにしたスパイラルインダクタが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のスパイラルインダクタは、半絶縁性基板上に形成されたスパイラル形状の第1ストリップ線路と、この第1ストリップ線路の上面に積層されこの上面から鉛直方向に所定間隔で形成される複数のスルーホールを備えたスルーホール形成線路と、このスルーホール形成線路の上面に積層されたスパイラル形状の第2ストリップ線路とを有する。
【0005】
また、スパイラル配線部が、基板に平行に設けられ且つ基板に接触する基板接触部と、基板に対して所定の間隙を有する配線中空部とからなるスパイラルインダクタも知られている(特許文献2参照)。このスパイラルインダクタでは、基板接触部が導電性の柱を介して基板に接触している。特許文献2は、基板接触部の面積より、基板に接触せず中空に浮いている中空部分の面積が大きい点を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−214414号公報
【特許文献2】特開2000−21635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、半絶縁性の誘電体基板と、基板表面上もしくはその面上に形成された誘電体膜上の金属パターンと、基板裏面の接地パターンとから形成されたマイクロストリップ構造の線路をマイクロ波が伝播すると、その半絶縁基板もしくは誘電体膜に固有の誘電率に起因する誘電損が生じ、その結果、挿入損失が大きくなり、Q値が低下するという問題がある。Q値とは等価回路のインピーダンスの虚数部係数の実数部係数に対する比率を指す。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、誘電損を回避でき、挿入損失を小さくすることが可能なスパイラルインダクタおよびスパイラルインダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明の一態様によれば、接地導体を設けた半絶縁性の基板と、それぞれこの基板上に形成された複数の支持体と、これらの支持体によって支持され、前記基板上でスパイラル形状の導体パターンを有し、一方の端部から入力された信号を他方の端部へ通過させるマイクロストリップライン導体と、を備え、このマイクロストリップライン導体は、それぞれ前記導体パターンの形状に沿って設けられた前記複数の支持体によってパターン裏面を支持される架橋構造を有することを特徴とするスパイラルインダクタが提供される。
【0010】
また、本発明の別の一態様によれば、接地導体を設けた半絶縁性の基板上に配線層を形成し、この配線層の上に第1レジスト層を形成してから、前記基板面上の複数の箇所に開口部を形成する工程と、各開口部から基板面に直交する方向に延びる複数のメタル層を積層形成する工程と、これらのメタル層上に第2レジスト層を形成し、この第2レジスト層に開口をパターニング形成して前記複数のメタル層が露出するようにエッチングする工程と、これらのメタル層を成長させる工程と、成長させた前記複数のメタル層上に配線パターン層を、この配線パターン層の上面視パターンがスパイラル状になるように形成する工程と、この配線パターン層と前記基板面との間に中空部が形成されるようにして、前記第1レジスト層および前記第2レジスト層を除去する工程と、を備え、それぞれ前記複数のメタル層のうちのいずれか2つと、2つの前記メタル層によって支持される前記配線パターン層とからなる架橋構造を有するマイクロストリップラインを作成することを特徴とするスパイラルインダクタの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、架橋構造により、マイクロストリップライン導体層の下方は空気になるため、基板又は基板上に形成される誘電体に起因する誘電損を回避することができ、挿入損失を小さくすることができる。また、インダクタのQ値を高くすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタの上面図である。
【図2】(a)は図1のV−V′線に沿った部分断面図であり、(b)は同図のW−W′線に沿った部分断面図である。
【図3】スパイラルインダクタの製造工程途中での上面図である。
【図4】マイクロストリップラインの導体パターンを示す上面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタの断面構造と従来例によるスパイラルインダクタの断面構造とを比較するための図である。
【図6】実施例及び従来例による各スパイラルインダクタのQ値の周波数特性を比較するための図である。
【図7】実施例及び従来例による各スパイラルインダクタの挿入損失の周波数特性を比較するための図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれスパイラルインダクタの引出し配線の作成方法を説明するための図である。
【図9】(a)から(d)はそれぞれスパイラルインダクタの製造工程を説明するための図である。
【図10】(a)から(c)はそれぞれメタル層を成長させる工程を説明するための図である。
【図11】(a)、(b)はそれぞれ本発明の実施の形態の変形例に係るスパイラルインダクタの断面構造と従来例によるスパイラルインダクタの断面構造とを比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタおよびスパイラルインダクタの製造方法について、図1乃至図11を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0014】
本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタは、主にマイクロ波帯域で動作するMMICの平面スパイラル状のインダクタである。本実施形態に係るスパイラルインダクタの製造方法は、このスパイラルインダクタをこのMMICに形成するための方法である。
【0015】
図1は本実施形態に係るスパイラルインダクタの上面図である。図2(a)は同図のV−V′線に沿った部分断面図であり、図2(b)は同図のW−W′線に沿った部分断面図である。スパイラルインダクタ1は、半絶縁性の基板2と、この基板2上に形成された誘電体膜3と、それぞれこの誘電体膜3上に柱状に形成された複数個の第1金属層4(支持体)と、スパイラル形状の導体パターンを有し、これらの第1金属層4によって支持されたマイクロストリップライン5(マイクロマイクロストリップライン導体)とを備えている。
【0016】
基板2には半絶縁性の化合物半導体基板が用いられる。半絶縁性とは電子の移動度が大きく、且つ不純物密度が十分低く高い抵抗値を有することを指す。化合物半導体としてGaAs(ガリウムヒ素)が用いられる。基板2は図示しない接地層又は接地配線(接地導体)を有する。
【0017】
第1金属層4はそれぞれこのマイクロストリップライン5の導体パターンの形状に沿って島状に配置されて形成されている。第1金属層4はレジスト膜を誘電体膜3上に塗布した後、このレジスト膜に複数の開口部を形成しパターニングされて得られたものである。図3に、第1金属層4が島状に形成された工程後の基板2の上面図を示す。複数個の小四角形により表される開口部に金(Au)を蒸着して金メッキ層を成長させ、それぞれの支持柱を形成させる。次にレジスト膜の塗布、パターニングを行って、各支持柱の柱頭部を互いに金蒸着により配線する。その後、全てのレジスト膜を除去すると、基板2上に第2金属層6が残留し、上面視スパイラル状にマイクロストリップライン5が得られるようになっている。図4に、第2金属層6からなるマイクロストリップライン5が形成された後の導体パターンを示す。導電率に優れた金を蒸着することにより、基板2に電磁的な影響を与えないようになっている。
【0018】
また、図1において斜線を付した箇所で表されるように、マイクロストリップライン5のパターン裏面は、複数箇所でそれぞれ各第1金属層4の柱頭によって支持されている。支持柱である各第1金属層4が橋脚又は橋台として機能しており、いずれか2箇所の第1金属層4の間のマイクロストリップライン5の導体パターンが橋桁として機能している。マイクロストリップライン5は、それぞれこのマイクロストリップライン5を支持する複数本の支持柱と、これらの支持柱の部分を除いては導体パターンの形状に沿って隣接する支持柱間を掛け渡すブリッジとから成る架橋構造を有する。
【0019】
また、スパイラルインダクタ1はスパイラル巻線の外方に配置された外部端7aと、スパイラル巻線の内方に配置された内部端7bとを有する。この内部端7bには、マイクロストリップライン5の導体パターンよりも下方に予め形成された引出し配線8が接続されている。この導体パターンと、引出し配線8との間には絶縁膜が成膜されている。引出し配線8を導体パターンの下に通すことによって、2つの導体が短絡せずに立体的に交叉可能に形成されている。
【0020】
このような構成のスパイラルインダクタ1がインピーダンス整合回路に用いられる場合の一例を述べると、マイクロストリップライン5の一端部を接地層に接地させてインダクタとして機能させる。マイクロストリップライン5の外部端7a又は引出し配線8の配線端部9から入力された高周波信号を、このマイクロストリップライン5の他方の端部、即ち配線端部9又は外部端7aへ通過させる。基板2には接地配線に接続される図示しない配線層が形成されており、この配線層とマイクロストリップライン5の導体パターンのいずれか一端部とが接触するようになっている。信号電圧に対してインダクタ成分を作用させる。
【0021】
図5(a)は図4の線A−A′線に沿った断面構造を示す図である。図5(b)は比較例としての従来のスパイラルインダクタを、線A−A′線に対応する箇所に沿って切断した場合の断面構造を示す図である。比較例としてのスパイラルインダクタは、半絶縁性の基板2、この基板2上の誘電体膜3、誘電体膜3上に形成された第1金属層50及び第1金属層50上に形成された第2金属層51からなり、この第2金属層51が上面視スパイラル形状に配置されている。
【0022】
従来技術では、A−A’の断面図は図5(b)のようであるが、本実施形態では、まず、図3のように、第1金属層4(小四角形で表したもの)を島状に配置し、その後に、第2金属層6で架橋構造を形成する。このとき、本実施形態に係るスパイラルインダクタ1のA−A’の断面図は図5(a)のようになる。架橋構造の部分は、空中に配置されているため、基板2もしくは誘電体膜3に起因する誘電損が減少する。
【0023】
従来技術は、図5(b)に示すように、基板2上の誘電体膜3上に形成された第1金属層50の上に、めっき金属層51を有している。それに対して、本実施形態に係るスパイラルインダクタ1では、第1金属層4を島状に配置し、各島を第2金属層6で架橋させている。この構造により、第2金属層6の下は空気になるため、誘電体に起因する誘電損を回避することができ、挿入損失を小さくすることができる。また、これにより高いQ値のインダクタを得ることができる。
【0024】
図6は実施例によるQ値の周波数特性と、比較例によるQ値の周波数特性とを示す図である。図7は実施例による挿入損失の周波数特性と、比較例による挿入損失の周波数特性とを示す図である。図6では高周波領域で縦軸のQ値が大きいほど信号の損失が小さい。図7の縦軸のMAG(Maximum Available Gain)は最大有能利得を表す。本実施例によれば、図6、図7に示すように挿入損失とQ値とを改善することができる。
【0025】
このような構造のスパイラルインダクタ1の製造方法を図8から図10を参照して説明する。
【0026】
図8(a)はスパイラルインダクタ1の製造工程途中において引出し配線8とする部分の上面図であり、図8(b)は製造工程終了後の引出し配線8の長手方向に直交する面での断面構造を示す図である。既出の符号は上述したそれらと同じ要素を表す。
【0027】
基板2上に誘電体膜3を形成し、この誘電体膜3にパターンニングを行って開口を設ける。誘電体膜3上に金属を蒸着等してパターンニングを行う等により、引出し配線8を形成する工程を行う。その後、引出し配線8を含む誘電体膜3上にシリコン窒化膜(SiN)10を形成する。レジストのパターニングを使用してシリコン窒化膜10に穴開けを行う。引出し配線8の露出部が誘電体膜3を介して基板2と接続され、配線層として機能する。
【0028】
続いて、窒化膜層上の全面にレジストを塗布する。
【0029】
図9(a)から図9(d)はそれぞれスパイラルインダクタ1の製造工程を説明するための図である。既出の符号は上述したそれらと同じ要素を表す。図9(a)のように、レジスト層11(第1レジスト層)上に、それぞれ橋脚位置とする複数の箇所に穴開けを行う。
【0030】
即ち、基板2上に配線層が形成され、この配線層上にレジスト層11を形成してから、架橋脚とする複数の箇所に開口部12が形成される。
【0031】
開口部12を有するレジスト層11にチタン/白金/金(Ti/Pt/Au)、あるいは金(Au)を堆積させる。即ち、各開口部12から基板2面に直交する方向に延びる複数のパッドメタル(メタル層)がメッキにより積層形成される。図9(b)に示すように、島状に点在したメタル13が基板2上で上方から視認される。
【0032】
図9(c)に示すように、これらのメタル13を覆うようにして第2のレジスト層14(第2レジスト層)を形成する。その後、各メタル13の箇所に位置決めされたパターンをマスクに用いてエッチングを行い、第2のレジスト層14に開口部を形成して下地のメタル13を露出させる。即ち、第2のレジスト層14に開口をパターニング形成して複数箇所のメタル層が露出するようにエッチングする。メタル13が露出した状態を図9(d)に示す。
【0033】
次に、開口パターンを有する第2のレジスト層14にチタン/白金/金等を蒸着し、各メタル層を成長させる。図10(a)は第2のレジスト層14を形成した状態の基板断面構造を示す図である。既出の符号は同じものである。メタル層15上のメッキ層16に電極を接続し、この電極からメッキ層16へ電圧を印加し、メッキ層16を基板面と直交する上方向に向けて成長させる。17は配線層を表す。図10(b)に、メッキ層16を成長させた状態の基板断面構造を示す。
【0034】
そして、成長させた各メッキ層16上に配線パターン層を、この配線パターン層の上面視パターンがスパイラル状になるように形成する。これによって、配線パターン層が、マイクロストリップライン5として図4のように得られる。
【0035】
最後に、図10(c)に示すように、スパイラル形状の配線パターン層と、基板2面との間に中空部が形成されるようにして、第1レジスト層11および第2のレジスト層14をエッチングにより除去する。メッキ層16が第2金属層6として機能する。
【0036】
このようにしてメッキ層16のうちのいずれか2つと、配線パターン層とからなる架橋構造を有するマイクロストリップライン5が作成される。
【0037】
本実施形態に係るスパイラルインダクタの製造方法によれば、中空の構造が得られ、第2金属層6の下は空気になるため、誘電体に起因する誘電損を回避することができ、挿入損失を小さくすることができる。また、インダクタのQ値を高くすることができるようになる。
【0038】
(変形例)
図1、図2の例では、基板2上に誘電体膜3を成膜した後に、この誘電体膜3上に第1金属層4を形成しているが、本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタは、基板2上に支持体としての第1金属層4を直接形成してもよい。
【0039】
図11(a)は変形例に係るスパイラルインダクタを信号伝送方向に直交する面で切断したときの断面構造を示す図である。図11(b)は比較例としての従来のスパイラルインダクタの導体パターンのうち、図11(a)の導体パターンと同じ箇所の断面構造を示す図である。既出の符号は上述したそれらと同じ要素を表す。
【0040】
図11(b)では基板2上に第1金属層50が形成されている。この変形例に係るスパイラルインダクタでも、基板2上に同図では図示しない第1金属層4が島状に配置され、各島が第2金属層6で架橋される。この構造により、第2金属層6の下は空気になるため、基板2に起因する誘電損を回避することができ、挿入損失を小さくすることができる。また、高いQ値のインダクタを得ることができる。
【0041】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0042】
上記の実施形態では、スパイラルの形状は、方形に限らず、円形に近い八角形など多角形でもよい。支持体としての第1金属層4(支持柱又は橋脚)の横断面形状は四角形であったが、この横断面形状はレジスト膜の開口形状に応じて種々変更できる。支持体には柱体以外の構造体を用いても良い。
【0043】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…スパイラルインダクタ、2…基板、3…誘電体膜、4…第1金属層、5…マイクロストリップライン(マイクロストリップライン導体)、6…第2金属層、7a…外部端、7b…内部端、8…引出し配線、9…配線端部、10…シリコン窒化膜、11…レジスト層(第1レジスト層)、12…開口部、13…メタル、14…レジスト層(第2レジスト層)、15…メタル層、16…メッキ層、17…配線層。
【技術分野】
【0001】
本発明はスパイラルインダクタおよびスパイラルインダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MMIC(モニリシックマイクロ波集積回路)に設けられたスパイラルインダクタは、基板上に平面スパイラル形状の配線を形成し、この配線のパターンによって所望のインダクタンスを得るようにしている。
【0003】
誘電体基板上に形成されるスパイラルインダクタは、直接誘電体基板上、もしくは誘電体基板上の誘電体膜上に、金属層が蒸着により形成されている。
【0004】
従来、それぞれスパイラル形状のストリップ線路が2層に積層された構造を有し、高周波状態における信号電流を各ストリップ線路に均等に流すようにしたスパイラルインダクタが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のスパイラルインダクタは、半絶縁性基板上に形成されたスパイラル形状の第1ストリップ線路と、この第1ストリップ線路の上面に積層されこの上面から鉛直方向に所定間隔で形成される複数のスルーホールを備えたスルーホール形成線路と、このスルーホール形成線路の上面に積層されたスパイラル形状の第2ストリップ線路とを有する。
【0005】
また、スパイラル配線部が、基板に平行に設けられ且つ基板に接触する基板接触部と、基板に対して所定の間隙を有する配線中空部とからなるスパイラルインダクタも知られている(特許文献2参照)。このスパイラルインダクタでは、基板接触部が導電性の柱を介して基板に接触している。特許文献2は、基板接触部の面積より、基板に接触せず中空に浮いている中空部分の面積が大きい点を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−214414号公報
【特許文献2】特開2000−21635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、半絶縁性の誘電体基板と、基板表面上もしくはその面上に形成された誘電体膜上の金属パターンと、基板裏面の接地パターンとから形成されたマイクロストリップ構造の線路をマイクロ波が伝播すると、その半絶縁基板もしくは誘電体膜に固有の誘電率に起因する誘電損が生じ、その結果、挿入損失が大きくなり、Q値が低下するという問題がある。Q値とは等価回路のインピーダンスの虚数部係数の実数部係数に対する比率を指す。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、誘電損を回避でき、挿入損失を小さくすることが可能なスパイラルインダクタおよびスパイラルインダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明の一態様によれば、接地導体を設けた半絶縁性の基板と、それぞれこの基板上に形成された複数の支持体と、これらの支持体によって支持され、前記基板上でスパイラル形状の導体パターンを有し、一方の端部から入力された信号を他方の端部へ通過させるマイクロストリップライン導体と、を備え、このマイクロストリップライン導体は、それぞれ前記導体パターンの形状に沿って設けられた前記複数の支持体によってパターン裏面を支持される架橋構造を有することを特徴とするスパイラルインダクタが提供される。
【0010】
また、本発明の別の一態様によれば、接地導体を設けた半絶縁性の基板上に配線層を形成し、この配線層の上に第1レジスト層を形成してから、前記基板面上の複数の箇所に開口部を形成する工程と、各開口部から基板面に直交する方向に延びる複数のメタル層を積層形成する工程と、これらのメタル層上に第2レジスト層を形成し、この第2レジスト層に開口をパターニング形成して前記複数のメタル層が露出するようにエッチングする工程と、これらのメタル層を成長させる工程と、成長させた前記複数のメタル層上に配線パターン層を、この配線パターン層の上面視パターンがスパイラル状になるように形成する工程と、この配線パターン層と前記基板面との間に中空部が形成されるようにして、前記第1レジスト層および前記第2レジスト層を除去する工程と、を備え、それぞれ前記複数のメタル層のうちのいずれか2つと、2つの前記メタル層によって支持される前記配線パターン層とからなる架橋構造を有するマイクロストリップラインを作成することを特徴とするスパイラルインダクタの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、架橋構造により、マイクロストリップライン導体層の下方は空気になるため、基板又は基板上に形成される誘電体に起因する誘電損を回避することができ、挿入損失を小さくすることができる。また、インダクタのQ値を高くすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタの上面図である。
【図2】(a)は図1のV−V′線に沿った部分断面図であり、(b)は同図のW−W′線に沿った部分断面図である。
【図3】スパイラルインダクタの製造工程途中での上面図である。
【図4】マイクロストリップラインの導体パターンを示す上面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタの断面構造と従来例によるスパイラルインダクタの断面構造とを比較するための図である。
【図6】実施例及び従来例による各スパイラルインダクタのQ値の周波数特性を比較するための図である。
【図7】実施例及び従来例による各スパイラルインダクタの挿入損失の周波数特性を比較するための図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれスパイラルインダクタの引出し配線の作成方法を説明するための図である。
【図9】(a)から(d)はそれぞれスパイラルインダクタの製造工程を説明するための図である。
【図10】(a)から(c)はそれぞれメタル層を成長させる工程を説明するための図である。
【図11】(a)、(b)はそれぞれ本発明の実施の形態の変形例に係るスパイラルインダクタの断面構造と従来例によるスパイラルインダクタの断面構造とを比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタおよびスパイラルインダクタの製造方法について、図1乃至図11を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0014】
本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタは、主にマイクロ波帯域で動作するMMICの平面スパイラル状のインダクタである。本実施形態に係るスパイラルインダクタの製造方法は、このスパイラルインダクタをこのMMICに形成するための方法である。
【0015】
図1は本実施形態に係るスパイラルインダクタの上面図である。図2(a)は同図のV−V′線に沿った部分断面図であり、図2(b)は同図のW−W′線に沿った部分断面図である。スパイラルインダクタ1は、半絶縁性の基板2と、この基板2上に形成された誘電体膜3と、それぞれこの誘電体膜3上に柱状に形成された複数個の第1金属層4(支持体)と、スパイラル形状の導体パターンを有し、これらの第1金属層4によって支持されたマイクロストリップライン5(マイクロマイクロストリップライン導体)とを備えている。
【0016】
基板2には半絶縁性の化合物半導体基板が用いられる。半絶縁性とは電子の移動度が大きく、且つ不純物密度が十分低く高い抵抗値を有することを指す。化合物半導体としてGaAs(ガリウムヒ素)が用いられる。基板2は図示しない接地層又は接地配線(接地導体)を有する。
【0017】
第1金属層4はそれぞれこのマイクロストリップライン5の導体パターンの形状に沿って島状に配置されて形成されている。第1金属層4はレジスト膜を誘電体膜3上に塗布した後、このレジスト膜に複数の開口部を形成しパターニングされて得られたものである。図3に、第1金属層4が島状に形成された工程後の基板2の上面図を示す。複数個の小四角形により表される開口部に金(Au)を蒸着して金メッキ層を成長させ、それぞれの支持柱を形成させる。次にレジスト膜の塗布、パターニングを行って、各支持柱の柱頭部を互いに金蒸着により配線する。その後、全てのレジスト膜を除去すると、基板2上に第2金属層6が残留し、上面視スパイラル状にマイクロストリップライン5が得られるようになっている。図4に、第2金属層6からなるマイクロストリップライン5が形成された後の導体パターンを示す。導電率に優れた金を蒸着することにより、基板2に電磁的な影響を与えないようになっている。
【0018】
また、図1において斜線を付した箇所で表されるように、マイクロストリップライン5のパターン裏面は、複数箇所でそれぞれ各第1金属層4の柱頭によって支持されている。支持柱である各第1金属層4が橋脚又は橋台として機能しており、いずれか2箇所の第1金属層4の間のマイクロストリップライン5の導体パターンが橋桁として機能している。マイクロストリップライン5は、それぞれこのマイクロストリップライン5を支持する複数本の支持柱と、これらの支持柱の部分を除いては導体パターンの形状に沿って隣接する支持柱間を掛け渡すブリッジとから成る架橋構造を有する。
【0019】
また、スパイラルインダクタ1はスパイラル巻線の外方に配置された外部端7aと、スパイラル巻線の内方に配置された内部端7bとを有する。この内部端7bには、マイクロストリップライン5の導体パターンよりも下方に予め形成された引出し配線8が接続されている。この導体パターンと、引出し配線8との間には絶縁膜が成膜されている。引出し配線8を導体パターンの下に通すことによって、2つの導体が短絡せずに立体的に交叉可能に形成されている。
【0020】
このような構成のスパイラルインダクタ1がインピーダンス整合回路に用いられる場合の一例を述べると、マイクロストリップライン5の一端部を接地層に接地させてインダクタとして機能させる。マイクロストリップライン5の外部端7a又は引出し配線8の配線端部9から入力された高周波信号を、このマイクロストリップライン5の他方の端部、即ち配線端部9又は外部端7aへ通過させる。基板2には接地配線に接続される図示しない配線層が形成されており、この配線層とマイクロストリップライン5の導体パターンのいずれか一端部とが接触するようになっている。信号電圧に対してインダクタ成分を作用させる。
【0021】
図5(a)は図4の線A−A′線に沿った断面構造を示す図である。図5(b)は比較例としての従来のスパイラルインダクタを、線A−A′線に対応する箇所に沿って切断した場合の断面構造を示す図である。比較例としてのスパイラルインダクタは、半絶縁性の基板2、この基板2上の誘電体膜3、誘電体膜3上に形成された第1金属層50及び第1金属層50上に形成された第2金属層51からなり、この第2金属層51が上面視スパイラル形状に配置されている。
【0022】
従来技術では、A−A’の断面図は図5(b)のようであるが、本実施形態では、まず、図3のように、第1金属層4(小四角形で表したもの)を島状に配置し、その後に、第2金属層6で架橋構造を形成する。このとき、本実施形態に係るスパイラルインダクタ1のA−A’の断面図は図5(a)のようになる。架橋構造の部分は、空中に配置されているため、基板2もしくは誘電体膜3に起因する誘電損が減少する。
【0023】
従来技術は、図5(b)に示すように、基板2上の誘電体膜3上に形成された第1金属層50の上に、めっき金属層51を有している。それに対して、本実施形態に係るスパイラルインダクタ1では、第1金属層4を島状に配置し、各島を第2金属層6で架橋させている。この構造により、第2金属層6の下は空気になるため、誘電体に起因する誘電損を回避することができ、挿入損失を小さくすることができる。また、これにより高いQ値のインダクタを得ることができる。
【0024】
図6は実施例によるQ値の周波数特性と、比較例によるQ値の周波数特性とを示す図である。図7は実施例による挿入損失の周波数特性と、比較例による挿入損失の周波数特性とを示す図である。図6では高周波領域で縦軸のQ値が大きいほど信号の損失が小さい。図7の縦軸のMAG(Maximum Available Gain)は最大有能利得を表す。本実施例によれば、図6、図7に示すように挿入損失とQ値とを改善することができる。
【0025】
このような構造のスパイラルインダクタ1の製造方法を図8から図10を参照して説明する。
【0026】
図8(a)はスパイラルインダクタ1の製造工程途中において引出し配線8とする部分の上面図であり、図8(b)は製造工程終了後の引出し配線8の長手方向に直交する面での断面構造を示す図である。既出の符号は上述したそれらと同じ要素を表す。
【0027】
基板2上に誘電体膜3を形成し、この誘電体膜3にパターンニングを行って開口を設ける。誘電体膜3上に金属を蒸着等してパターンニングを行う等により、引出し配線8を形成する工程を行う。その後、引出し配線8を含む誘電体膜3上にシリコン窒化膜(SiN)10を形成する。レジストのパターニングを使用してシリコン窒化膜10に穴開けを行う。引出し配線8の露出部が誘電体膜3を介して基板2と接続され、配線層として機能する。
【0028】
続いて、窒化膜層上の全面にレジストを塗布する。
【0029】
図9(a)から図9(d)はそれぞれスパイラルインダクタ1の製造工程を説明するための図である。既出の符号は上述したそれらと同じ要素を表す。図9(a)のように、レジスト層11(第1レジスト層)上に、それぞれ橋脚位置とする複数の箇所に穴開けを行う。
【0030】
即ち、基板2上に配線層が形成され、この配線層上にレジスト層11を形成してから、架橋脚とする複数の箇所に開口部12が形成される。
【0031】
開口部12を有するレジスト層11にチタン/白金/金(Ti/Pt/Au)、あるいは金(Au)を堆積させる。即ち、各開口部12から基板2面に直交する方向に延びる複数のパッドメタル(メタル層)がメッキにより積層形成される。図9(b)に示すように、島状に点在したメタル13が基板2上で上方から視認される。
【0032】
図9(c)に示すように、これらのメタル13を覆うようにして第2のレジスト層14(第2レジスト層)を形成する。その後、各メタル13の箇所に位置決めされたパターンをマスクに用いてエッチングを行い、第2のレジスト層14に開口部を形成して下地のメタル13を露出させる。即ち、第2のレジスト層14に開口をパターニング形成して複数箇所のメタル層が露出するようにエッチングする。メタル13が露出した状態を図9(d)に示す。
【0033】
次に、開口パターンを有する第2のレジスト層14にチタン/白金/金等を蒸着し、各メタル層を成長させる。図10(a)は第2のレジスト層14を形成した状態の基板断面構造を示す図である。既出の符号は同じものである。メタル層15上のメッキ層16に電極を接続し、この電極からメッキ層16へ電圧を印加し、メッキ層16を基板面と直交する上方向に向けて成長させる。17は配線層を表す。図10(b)に、メッキ層16を成長させた状態の基板断面構造を示す。
【0034】
そして、成長させた各メッキ層16上に配線パターン層を、この配線パターン層の上面視パターンがスパイラル状になるように形成する。これによって、配線パターン層が、マイクロストリップライン5として図4のように得られる。
【0035】
最後に、図10(c)に示すように、スパイラル形状の配線パターン層と、基板2面との間に中空部が形成されるようにして、第1レジスト層11および第2のレジスト層14をエッチングにより除去する。メッキ層16が第2金属層6として機能する。
【0036】
このようにしてメッキ層16のうちのいずれか2つと、配線パターン層とからなる架橋構造を有するマイクロストリップライン5が作成される。
【0037】
本実施形態に係るスパイラルインダクタの製造方法によれば、中空の構造が得られ、第2金属層6の下は空気になるため、誘電体に起因する誘電損を回避することができ、挿入損失を小さくすることができる。また、インダクタのQ値を高くすることができるようになる。
【0038】
(変形例)
図1、図2の例では、基板2上に誘電体膜3を成膜した後に、この誘電体膜3上に第1金属層4を形成しているが、本発明の実施の形態に係るスパイラルインダクタは、基板2上に支持体としての第1金属層4を直接形成してもよい。
【0039】
図11(a)は変形例に係るスパイラルインダクタを信号伝送方向に直交する面で切断したときの断面構造を示す図である。図11(b)は比較例としての従来のスパイラルインダクタの導体パターンのうち、図11(a)の導体パターンと同じ箇所の断面構造を示す図である。既出の符号は上述したそれらと同じ要素を表す。
【0040】
図11(b)では基板2上に第1金属層50が形成されている。この変形例に係るスパイラルインダクタでも、基板2上に同図では図示しない第1金属層4が島状に配置され、各島が第2金属層6で架橋される。この構造により、第2金属層6の下は空気になるため、基板2に起因する誘電損を回避することができ、挿入損失を小さくすることができる。また、高いQ値のインダクタを得ることができる。
【0041】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0042】
上記の実施形態では、スパイラルの形状は、方形に限らず、円形に近い八角形など多角形でもよい。支持体としての第1金属層4(支持柱又は橋脚)の横断面形状は四角形であったが、この横断面形状はレジスト膜の開口形状に応じて種々変更できる。支持体には柱体以外の構造体を用いても良い。
【0043】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…スパイラルインダクタ、2…基板、3…誘電体膜、4…第1金属層、5…マイクロストリップライン(マイクロストリップライン導体)、6…第2金属層、7a…外部端、7b…内部端、8…引出し配線、9…配線端部、10…シリコン窒化膜、11…レジスト層(第1レジスト層)、12…開口部、13…メタル、14…レジスト層(第2レジスト層)、15…メタル層、16…メッキ層、17…配線層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地導体を設けた半絶縁性の基板と、
それぞれこの基板上に形成された複数の支持体と、
これらの支持体によって支持され、前記基板上でスパイラル形状の導体パターンを有し、一方の端部から入力された信号を他方の端部へ通過させるマイクロストリップライン導体と、を備え、
このマイクロストリップライン導体は、それぞれ前記導体パターンの形状に沿って設けられた前記複数の支持体によってパターン裏面を支持される架橋構造を有することを特徴とするスパイラルインダクタ。
【請求項2】
接地導体を設けた半絶縁性の基板上に配線層を形成し、この配線層の上に第1レジスト層を形成してから、前記基板面上の複数の箇所に開口部を形成する工程と、
各開口部から基板面に直交する方向に延びる複数のメタル層を積層形成する工程と、
これらのメタル層上に第2レジスト層を形成し、この第2レジスト層に開口をパターニング形成して前記複数のメタル層が露出するようにエッチングする工程と、
これらのメタル層を成長させる工程と、
成長させた前記複数のメタル層上に配線パターン層を、この配線パターン層の上面視パターンがスパイラル状になるように形成する工程と、
この配線パターン層と前記基板面との間に中空部が形成されるようにして、前記第1レジスト層および前記第2レジスト層を除去する工程と、を備え、
それぞれ前記複数のメタル層のうちのいずれか2つと、2つの前記メタル層によって支持される前記配線パターン層とからなる架橋構造を有するマイクロストリップラインを作成することを特徴とするスパイラルインダクタの製造方法。
【請求項1】
接地導体を設けた半絶縁性の基板と、
それぞれこの基板上に形成された複数の支持体と、
これらの支持体によって支持され、前記基板上でスパイラル形状の導体パターンを有し、一方の端部から入力された信号を他方の端部へ通過させるマイクロストリップライン導体と、を備え、
このマイクロストリップライン導体は、それぞれ前記導体パターンの形状に沿って設けられた前記複数の支持体によってパターン裏面を支持される架橋構造を有することを特徴とするスパイラルインダクタ。
【請求項2】
接地導体を設けた半絶縁性の基板上に配線層を形成し、この配線層の上に第1レジスト層を形成してから、前記基板面上の複数の箇所に開口部を形成する工程と、
各開口部から基板面に直交する方向に延びる複数のメタル層を積層形成する工程と、
これらのメタル層上に第2レジスト層を形成し、この第2レジスト層に開口をパターニング形成して前記複数のメタル層が露出するようにエッチングする工程と、
これらのメタル層を成長させる工程と、
成長させた前記複数のメタル層上に配線パターン層を、この配線パターン層の上面視パターンがスパイラル状になるように形成する工程と、
この配線パターン層と前記基板面との間に中空部が形成されるようにして、前記第1レジスト層および前記第2レジスト層を除去する工程と、を備え、
それぞれ前記複数のメタル層のうちのいずれか2つと、2つの前記メタル層によって支持される前記配線パターン層とからなる架橋構造を有するマイクロストリップラインを作成することを特徴とするスパイラルインダクタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−114059(P2011−114059A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267326(P2009−267326)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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