説明

スルホニルフルオリドポリマーの単離方法、およびそれによって得られるポリマー

本発明は、スルホニルフルオリド官能基を含有する(ペル)フッ素化ポリマーを重合ラテックスから単離する方法に関する。この方法は、ポリマーのガラス転移温度以下の温度で、高剪断攪拌下、電解質水溶液に重合ラテックスを添加する工程を含んでなる。本発明は、さらに、この方法によって単離されたスルホニルフルオリド官能基を含有する(ペル)フッ素化ポリマーであって、熱重量分析によって決定した場合、200℃で1%未満の重量損失を特徴とするポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年10月29日出願の欧州特許出願第09174439.1号に基づく優先権を主張する。当該欧州特許出願の全内容は、全ての目的に関して、参照することによって本書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、スルホニルフルオリド官能基を含有する(ペル)フッ素化ポリマーを重合ラテックスから単離する方法、およびそれから得られるポリマーに関する。
【0003】
本発明は、さらに、スルホニルフルオリド官能基を含有する(ペル)フッ素化ポリマーを含んでなる重合ラテックスの調製方法であって、ポリマー鎖中への官能性モノマーの取り込みの割合が高いこと、およびポリマーの分子量が高いことを特徴とする方法に関する。
【背景技術】
【0004】
スルホニルフルオリド官能基を含有する(ペル)フッ素化ポリマーは、先行技術において、一般に「イオノマー」とよばれるイオン交換(ペル)フッ素化ポリマー群のための前駆体として知られている。
【0005】
それらのイオン特性のため、(ペル)フッ素化イオノマーは、燃料電池、電解セル、リチウム電池などの電気化学的デバイス用の電解質膜の製造に適している。
【0006】
燃料電池は、水素またはメタノールなどの燃料を触媒的に酸化することによって電気を生じる電気化学的デバイスである。既知の燃料電池の中で特に興味深いものは、燃料として水素、酸化剤として酸素または空気を使用するプロトン交換膜(PEM)燃料電池である。典型的なPEM燃料電池において、水素は陽極部分に導入されて、そこで水素は反応して、プロトンと電子とに分離する。膜はプロトンを陰極部分へ輸送し、その一方で、外部回路を通して電子の流れを陰極部分へ流し、電力をもたらす。酸素は陰極部分に導入されて、プロトンおよび電子と反応し、水および熱を生成する。
【0007】
膜は、電池作動条件での優れたイオン伝導性、(水素と酸素との直接的な混合を防ぐための)気体バリア特性、機械的強度、ならびに化学的、電気化学的および熱的安定性を必要とする。
【0008】
PEM燃料電池が長期間機能するために最も重要な必要条件の1つは、必要とされる水準のイオン伝導性を確保するように、膜自体で適切な含水量を維持するための膜の能力である。
【0009】
燃料電池膜は、乾燥した反応物や高い動作温度を使用して動作した場合、完全に乾燥して、それらのプロトン輸送能力に悪影響を及ぼす傾向があり、これによって次に、電池効率の損失がもたらされる。さらには、膜を通しての水輸送が効率的でない場合、陰極で生じた水が陽極で利用可能にはならず、結果的に完全に乾燥して、ここでも電池効率の損失がもたらされる。したがって、乾燥動作条件下で、膜が高いプロトン輸送能力を維持し、また電池動作時に生じる水を膜の片面から他の面に効率的に移動させることが重要である。
【0010】
これらの特性を有する膜を得る好ましい方法は、多数のイオン交換基を有するイオノマーを使用することと、膜の厚さを薄くすることである。
【0011】
イオノマー中のイオン交換基の数は、典型的にはイオノマーの当量で示される。当量が低いほど、鎖に存在するスルホン基の百分率は高い。
【0012】
低当量のイオノマー、典型的には750g/当量より低いイオノマーの調製で発生する1つの課題は、一般に、前駆体スルホニルフルオリドポリマーの分子量、したがって、イオノマーの分子量が低下するということである。
【0013】
低分子量のポリマーは、不十分な機械的特性をもたらし、それは次に、最終的なプロトン交換膜の不十分な特性を意味する。さらには、ポリマーが低分子量であることによって、溶融押出によるポリマーの加工が実施できなくなる。
【0014】
他方、溶融押出は、薄いポリマーフィルムの製造のために有利な方法である。溶融押出では、原料ポリマーが加工温度で熱的に安定であることのみならず、適切な溶融レオロジーを有することが必要であり、これは、部分的にポリマーの分子量に左右される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,940,525号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第A−1,167,400号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第A−1,323,751号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第A−1,172,382号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、溶融押出法によるフィルムの製造に使用されるスルホニルフルオリドポリマーが、溶融加工温度での揮発性物質の損失がないか、または限られている状態で提供されることが望ましい。
【0017】
さらには、溶融加工可能であり、また溶融加工温度で揮発性物質の損失がないか、または限られている、スルホニルフルオリドポリマー、低当量イオノマーの前駆体が利用可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、スルホニルフルオリドポリマーを重合ラテックスから単離する方法であって、高温、特に200℃でのポリマーの重量損失の低下によって示されるように、溶融加工温度で揮発可能な、スルホニルフルオリドポリマー中の揮発性物質の含有量低下をもたらす方法を提供することである。この方法に従って、スルホニルフルオリドポリマーは、ポリマーのガラス転移温度以下に保持された電解質溶液への高剪断撹拌下での添加によって、重合ラテックスから単離される。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、溶融加工が可能となるように十分高い分子量を有し且つ酸型に変換された時に700g/当量未満の当量質量を特徴とするスルホニルフルオリドポリマーを含んでなる重合ラテックスを調製する方法を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を含有する少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーの繰り返し単位を含んでなり、200℃で1%未満の重量損失を特徴とするポリマーである。好ましくは、重量損失は、ASTM E 1131−86に従って、熱重量分析(TGA)によって測定した場合に0.8重量%未満であり、より好ましくは0.7重量%未満であり、なおより好ましくは0.5重量%未満である。
【0021】
本発明の一態様において、スルホニルフルオリドポリマーは、酸型に変換された時に750g/当量未満の当量質量を有するポリマーを提供するために十分な量で、少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を含有する少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーの繰り返し単位を含んでなる。好ましくは、少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を含有するモノマーは、酸型に変換された時に700g/当量質量未満の当量質量を有するポリマーを提供するために十分な量で存在する。少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を含有するモノマーは、酸型に変換された時に少なくとも400g/当量の当量質量を有するポリマーをもたらすために十分な量で存在する。
【0022】
本発明のさらなる態様において、スルホニルフルオリドポリマーの溶融流れ速度(メルトフローレート)は、200℃/5kgでASTM D1238−04に準拠して測定した場合に50g/10分を越えず、好ましくは45g/10分を越えず、より好ましくは40g/10分を越えない。スルホニルフルオリドポリマーのメルトフローレートは、200℃/5kgでASTM D1238−04に従って測定した場合に少なくとも0.1g/10分、好ましくは少なくとも0.2g/10分、より好ましくは少なくとも0.5g/10分である。
【0023】
本発明のさらなる目的は、スルホニルフルオリドポリマーから製造された押出フィルム、ならびに加水分解された形態の、すなわち、押出フィルムを製造するスルホニルフルオリドポリマーが加水分解によってその酸型に変換されている押出フィルムを含んでなるプロトン交換膜である。
【0024】
定義
(ペル)フッ素化という用語は、本明細書において、完全に、または部分的にフッ素化された、すなわち、水素原子の全て、または一部のみがフッ素原子によって置換されている化合物(例えば、モノマー、ポリマーなど)を指すために使用される。
【0025】
「スルホニルフルオリドポリマー」という表現は、本明細書において、少なくとも1つのスルホニルフルオリド基(−SOF)を有する少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーの繰り返し単位を含んでなる(ペル)フッ素化ポリマーを指すために使用される。
【0026】
「イオノマー」という用語は、本願において、少なくとも1つのイオン交換基−SOを含んでなる少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーから誘導された繰り返し単位を含んでなる(ペル)フッ素化ポリマーを指すために使用される。
【0027】
「当量質量」という用語は、1当量のNaOHを中和するために必要とされる酸型のポリマーの質量として定義される。「酸型のポリマー」という句は、ポリマーの実質的に全てのイオン交換基がプロトン化されていることを意味する。
【0028】
「溶融加工可能」という句は、本明細書において、押出機および射出成形装置などの従来のポリマー加工装置で、溶融状態で加工可能な(すなわち、フィルム、繊維、チューブ、ワイヤーコーティングなどの造形品へと製造できる)ポリマーを指すために使用される。典型的には、溶融加工可能なポリマーは、その加工温度で、0.1〜100g/10分のメルトフローレートを有する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の目的は、スルホニルフルオリドポリマーを重合ラテックスから単離するための方法であって、そのポリマーのガラス転移温度未満の温度に保持された電解質水溶液に前記ラテックスを高剪断撹拌下で添加することを含んでなる方法である。この方法によって、揮発性物質の含有量が低下したスルホニルフルオリドポリマー、特に、熱重量分析によって測定した場合に200℃で1%未満の重量損失を有するスルホニルフルオリドポリマーを得ることができる。
【0030】
この方法は、少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を有するエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーを高い量で、典型的には酸型に変換された時に750g/当量未満の当量質量を有するポリマーを提供するために十分な量で含有するスルホニルフルオリドポリマーの単離のために特に有利であることが見出された。
【0031】
「重合ラテックス」という表現は、本明細書において、少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を有する少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーの分散相重合法によって直接得られるラテックス(またはスルホニルフルオリドポリマーの分散系)を指すために使用される。本発明の目的で、「分散相重合法」は、マイクロエマルジョンまたはミニエマルジョンを含む分散または乳化重合法を含む。重合ラテックスは、有利には、分散相重合工程を含んでなるいかなる方法によっても得られる。
【0032】
「ラテックス」という用語は、1〜1000nmの径を有する固体ポリマー粒子が懸濁媒体中に分散しているコロイドを示すために使用される。好ましくは、懸濁媒体は水である。
【0033】
重合ラテックス中に分散するスルホニルフルオリドポリマーは、少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を有する少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマー(A)から誘導された繰り返し単位を含んでなる。
【0034】
好ましくは、スルホニルフルオリドポリマーは、少なくとも1つのモノマー(A)と、少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマー(B)とから誘導された繰り返し単位を含んでなる。
【0035】
「少なくとも1つのモノマー」という句は、本明細書において、(A)および(B)の両種類のモノマーを指すために使用され、各種類のうちの1つまたは2つ以上のモノマーがポリマー中に存在することができることを示す。以下、モノマーという用語は、所与の種類の1つまたは2つ以上のモノマーを指すために使用される。
【0036】
適切なモノマー(A)の非限定的な例は、以下の通りである。
− 式:CF=CF(CFSO
(式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは、nは2または3に等しい)のスルホニルフルオリド(ペル)フルオロオレフィン;
− 式:CF=CF−O−(CFSO
(式中、mは、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは、mは2に等しい)のスルホニルフルオリド(ペル)フルオロビニルエーテル;
− 式:CF=CF−(OCFCF(RF))−O−CF(CF(RF))SO
(式中、wは0〜2の整数であり、RFおよびRFは、互いに等しいか、または異なり、独立して−F、−Cl、または1個またはそれ以上のエーテル酸素によって場合により置換されていてもよいC〜C10ペルフルオロアルキル基であり、yは0〜6の整数であり、好ましくは、wは1であり、RFは−CFであり、yは1であり、そしてRFは−Fである)のスルホニルフルオリド(ペル)フルオロアルコキシビニルエーテル;
− 式CF=CF−Ar−SO
(式中、ArはC〜C15芳香族または複素環式芳香族置換基である)のスルホニルフルオリド芳香族(ペル)フルオロオレフィン。
【0037】
好ましくは、モノマー(A)は、式CF=CF−O−(CF−SOF(式中、mは1〜6、好ましくは2〜4の整数である)のスルホニルフルオリドペルフルオロビニルエーテルの群から選択される。
【0038】
より好ましくは、モノマー(A)は、CF=CFOCFCF−SOF(ペルフルオロ−5−スルホニルフルオリド−3−オキサ−1−ペンテン)である。
【0039】
好ましくは、モノマー(A)は、酸型に変換された時に750g/当量未満の当量質量を有するポリマーをもたらすために十分な量で存在する。
【0040】
(B)種の適切なエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーの非限定的な例は、以下の通りである。
− テトラフルオロエチレン(TFE)、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびヘキサフルオロイソブチレンなどのC〜C(ペル)フルオロオレフィン;
− フッ化ビニリデン(VDF);
− クロロトリフルオロエチレン(CTFE)およびブロモトリフルオロエチレンなどのC〜Cクロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−(ペル)フルオロオレフィン;
− 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C〜C(ペル)フルオロアルキル、例えば、−CF、−C、−Cである)の(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF=CFOX(式中、Xは、1個またはそれ以上のエーテル基を有するC〜C12ペルフルオロ−オキシアルキル、例えば、ペルフルオロ−2−プロポキシ−プロピルである)の(ペル)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル;
− 式CF=CFOCFORf2(式中、Rf2は、C〜Cフルオロ−もしくはペルフルオロアルキル、例えば、−CF、−C、−C、あるいは−C−O−CFなどの1個またはそれ以上のエーテル基を有するC〜C(ペル)フルオロオキシアルキルである)のフルオロアルキル−メトキシ−ビニルエーテル;
− 式:
【化1】

(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか、または異なって、独立して、フッ素原子、1個またはそれ以上の酸素原子を場合により含んでいてもよいC〜Cフルオロ−もしくはペル(ハロ)フルオロアルキル、例えば、−CF、−C、−C、−OCF、−OCFCFOCFである)のフルオロジオキソール類。
【0041】
好ましくは、モノマー(B)は、
− C〜Cペルフルオロオレフィン、好ましくは、テトラフルオロエチレン(TFE)および/またはヘキサフルオロプロピレン(HFP);
− クロロトリフルオロエチレン(CTFE)および/またはブロモトリフルオロエチレンなどのクロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−C〜C(ペル)フルオロオレフィン;
− 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C〜Cペルフルオロアルキル、例えば、−CF、−C、−Cである)のペルフルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF=CFOX(式中、Xは、ペルフルオロ−2−プロポキシ−プロピルなどの、1個またはそれ以上のエーテル基を有するC〜C12ペルフルオロオキシアルキルである)のペルフルオロ−オキシアルキルビニルエーテル、
の中から選択される。
【0042】
より好ましくは、モノマー(B)はTFEである。
【0043】
任意選択で場合により、モノマー(A)および(B)に加えて、本発明の方法でビスオレフィンを使用することができる。適切なビスオレフィンの非限定的な例は、以下の式のものから選択される。
− RC=CH−(CF−CH=CR(式中、jは、2〜10、好ましくは4〜8の整数であり、そしてR、R、R、Rは、互いに等しいか、または異なり、−H、−F、またはC〜Cアルキルもしくは(ペル)フルオロアルキル基である);
− AC=CB−O−E−O−CB=CA(式中、各Aは、互いに等しいか、または異なり、独立して、−F、−Clおよび−Hから選択され、各Bは、互いに等しいか、または異なり、独立して、−F、−Cl、−Hおよび−ORから選択され、Rは、部分的に、実質的に、または完全にフッ素化もしくは塩素化されていることができる分枝または直鎖アルキル基であり、Eは、場合によりフッ素化され、エーテル結合が挿入されていてもよい2〜10個の炭素原子を有する二価基であり、好ましくは、Eは、zが3〜5の整数である−(CF−基である)、好ましいビスオレフィンは、FC=CF−O−(CF−O−CF=CFである;
− RC=CR−E−O−CB=CA(式中、E、AおよびBは、上記で定義されたものと同じ意味を有し、R、R、Rは、互いに等しいか、または異なり、−H、−F、またはC〜Cアルキルもしくは(ペル)フルオロアルキル基である)。
【0044】
本発明の重合法においてビスオレフィンが使用される場合、得られるポリマーは、典型的には、ポリマー中の単位の全量に対して、ビスオレフィンから誘導された単位を0.01モル%〜5モル%含む。
【0045】
任意選択で場合により、モノマー(A)および(B)に加えて、架橋反応において硬化可能な部位として、スルホニルフルオリドポリマー鎖中にヨウ素および/または臭素原子を提供するために、臭素化および/またはヨウ素化されたモノマーを本発明の方法で使用してもよい。適切なモノマーは、例えば、2〜10個の炭素原子を有するブロモ−および/またはヨード−オレフィン、あるいはヨード−および/またはブロモ−フルオロアルキルビニルエーテルである。典型的には、臭素化および/またはヨウ素化されたモノマーは、ポリマー中のモノマーの全量に対して、0.05〜2モル%の量で添加される。スルホニルフルオリドポリマー鎖中へのヨウ素および/または臭素原子の導入は、代わりに、または追加的に、重合法の間に、ヨウ素または臭素原子を有する連鎖移動剤を添加することによって実施可能である。適切な連鎖移動剤は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属ヨウ化物および/または臭化物、あるいは式Rg1(I)(Br)(式中、Rg1は、1〜8個の炭素原子を有する(ペル)フルオロアルキルまたは(ペル)フルオロクロロアルキル鎖であり、dおよびeが0〜2の整数であり、d+eは1〜2である)の化合物である。ヨウ素または臭素原子を含有する連鎖移動剤は、好ましくは、ビスオレフィンから誘導されたモノマー単位と組み合わせて使用される。
【0046】
本発明の単離方法に適切な重合ラテックスは、いかなる分散相重合法によっても都合よく得ることができる。重合ラテックスの調製のための適切な方法は、例えば、米国特許第4,940,525号明細書、欧州特許出願公開第A−1,167,400号明細書、欧州特許出願公開第A−1,323,751号明細書、欧州特許出願公開第A−1,172,382号明細書に記載の方法である。
【0047】
欧州特許出願公開第A−1,323,751号明細書に記載の方法などの典型的な分散相重合法では、次の一般工程を確認することができる。
− 重合温度での、水、界面活性剤、および少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を含んでなる少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーを含有する乳濁液(または溶液)の形成;
− 前記乳濁液(または溶液)への少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーの添加(これらが存在する場合);
− 重合反応を開始するための、前記重合温度でのフリーラジカル開始剤の添加;
− 任意選択によって場合により、一定期間のエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマーの供給;
− 重合ラテックスの回収。
【0048】
分散相重合法は、一般に、水を含む液体媒体中で実施される。
【0049】
スルホニルフルオリドポリマーを含んでなる重合ラテックスは、他の分散相重合法によって都合よく調製されてもよい。
【0050】
したがって、本発明の第2の目的は重合ラテックスの調製方法であって、その方法は、フリーラジカル開始剤の存在下、液相中での
− 少なくとも1つのモノマー(A)と、
− 任意選択で場合により、少なくとも1つのモノマー(B)と
から誘導された繰り返し単位の重合を含んでなる方法であり、前記フリーラジカル開始剤の少なくとも一部が、温度T1に保持された液相に添加され、前記方法は、インキュベーション時間後、液相の温度をT1より低い温度T2にすることを特徴とする。
【0051】
モノマー(A)および(B)は、上記のように定義される。
【0052】
好ましくは、モノマー(A)は、ポリマーの当量質量が、その酸型に変換された時に、750g/当量未満、好ましくは700g/当量未満、より好ましくは690g/当量未満、なおより好ましくは680g/当量未満であるような量で存在する。モノマー(A)は、ポリマーの当量質量が、その酸型に変換された時に、少なくとも400g/当量、好ましくは少なくとも450g/当量、より好ましくは少なくとも500g/当量であるような量で存在する。
【0053】
本発明の方法は、水の存在下で実施される。典型的には、水は、液相の全質量に対して、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%である。「液相」という表現は、本明細書において、分散された有機相が懸濁した連続的な水相を示すために使用される。有機相は、典型的には、特に、モノマー、界面活性剤、オリゴマーおよびポリマー鎖を含み得る。
【0054】
この方法は、50g/10分を超えない溶融流れ速度(メルトフローレート)(ASTM D1238−04に準拠して、200℃/5kgで測定される)を特徴とするスルホニルフルオリドポリマーを含んでなる重合ラテックスを有利にもたらす。ポリマーのメルトフローレートは、少なくとも0.1g/10分である(ASTM D1238−04に準拠して、200℃/5kgで測定される)。
【0055】
本発明の一実施形態において、重合ラテックスは、ミニエマルジョンまたはマイクロエマルジョンを含む乳化重合法によって得られる。水中の液体モノマー、典型的にはスルホニルフルオリド基を含有するモノマーの乳濁液は、例えば、界面活性剤の存在下でのモノマーと水との混合物の高速機械的攪拌によって調製することができる。
【0056】
本発明の方法のための適切な界面活性剤は、例えば、アニオン性フッ素化界面活性剤、例えば、ペルフルオロ−ポリエーテルまたはペルフルオロカーボン構造を有するフッ素化カルボン酸またはスルホン酸の塩、あるいは部分的にフッ素化されたカチオン性界面活性剤、例えば第4級フッ素化アンモニウム塩、あるいはフッ素化された非イオン性界面活性剤である。上記界面活性剤は混合物で使用することもできる。
【0057】
ペルフルオロカーボン構造を有する界面活性剤の非限定的な例は、例えば、式RO−CFCF−O−CF−COOX(式中、Rは、ペルフルオロ(オキシ)アルキル基であり、そしてXは、H、一価金属または式NRのアンモニウム基であり、Rは、それぞれ、等しいか、または異なり、HまたはC1〜6炭化水素基である)のC〜C10ペルフルオロカルボン酸またはペルフルオロオキシカルボキシレートのアンモニウムまたはアルカリ金属塩である。
【0058】
ペルフルオロポリエーテル構造を有する界面活性剤の非限定的な例は、例えば、式FClO(CFCF(CF)O)(CFO)CFCOOR’(式中、R’=H、Na、K、NH、p/q=10)を有するものから選択される。一般に、これらのフッ素化界面活性剤は、500〜700の範囲の平均分子量を有する。
【0059】
モノマー(B)は、存在する場合には、モノマー(A)の導入と同時、導入前または導入後に反応器に導入される。
【0060】
液相を第1の温度T1にする。典型的なフリーラジカル重合反応の場合のように、温度T1は、選択した開始剤の分解温度に関して選択される。
【0061】
フリーラジカル重合のために適切な任意の開始剤または開始剤系が、本発明の方法で使用されてもよい。適切なフリーラジカル開始剤の非限定的な例は、例えば、ビス(フルオロアシル)ペルオキシド、ビス(クロロフルオロアシル)ペルオキシド、ジアルキルペルオキソジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、アゾ化合物の中から選択される有機開始剤、あるいは任意選択で場合により、鉄、銅または銀塩と組み合わせたアンモニウムおよび/またはカリウムおよび/またはナトリウムペルスルフェートなどの無機開始剤、あるいはアンモニウムパーサルフェート/ジサルファイトおよび過マンガン酸カリウムなどの酸化還元系である。好ましくは、本発明の方法で使用されるフリーラジカル開始剤は、水相に可溶性の無機開始剤、より好ましくはアンモニウムおよび/またはカリウムおよび/またはナトリウムパーサルフェートである。
【0062】
典型的には、T1は、少なくとも0℃、好ましくは少なくとも15℃、より好ましくは少なくとも20℃、なおより好ましくは少なくとも30℃である。温度T1は、一般に、150℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、なおより好ましくは80℃以下である。
【0063】
T1の最大および最小値は、フリーラジカル開始剤次第である。本方法の好ましい実施形態において、開始剤が、アンモニウム、カリウムおよびナトリウムパーサルフェートの中から選択される場合、温度T1は、少なくとも25℃、好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも40℃、なおより好ましくは少なくとも55℃である。T1は、150℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、なおより好ましくは65℃以下である。
【0064】
所与のフリーラジカル開始剤に関する温度T1の適切な範囲について、当業者は通常の実験によって確認することができる。
【0065】
液相が温度T1である時に、開始剤の少なくとも一部を反応器に供給する。「インキュベーション時間」として本明細書に定義される、重合反応を開始するために十分な時間の後、液相の温度をT1よりも低い温度T2にする。インキュベーション時間は、開始剤が分解して、重合反応を開始させるために十分な量の活性ポリマー鎖キャリアを発生させるために必要とされる時間に相当する。活性ポリマー鎖キャリアは、ポリマー粒子が成長する活性ラジカル中心である。そのような方法で、(例えば、T1で)多数の活性ポリマー鎖キャリアの形成に都合がよい第1の条件で重合反応の開始段階を行い、次いで、(例えば、T2で)連鎖停止反応よりモノマー組み込みが優位である第2の条件で重合反応の成長段階を行うことが可能である。
【0066】
インキュベーション時間は、一般に、少なくとも5秒、好ましくは少なくとも10秒、より好ましくは少なくとも30秒、なおより好ましくは少なくとも1分である。インキュベーション時間は、一般に、1時間以下である。
【0067】
インキュベーション時間は、通常の実験によって、任意の所与のモノマー系、開始剤および温度について定義することができる。例えば、モノマーの少なくとも1つが気体である場合、インキュベーション時間は、反応器内の圧力が、開始剤が添加された時間における圧力値に関してある一定の値に達するために必要とされる時間であってもよい。
【0068】
T1に関して上に示したように、T2はフリーラジカル開始剤の選択次第である。典型的には、T2は、T1より少なくとも5℃低く、好ましくは、T1より5〜15℃低く、より好ましくは、T1より5〜10℃低い。
【0069】
例えば、開始剤が、アンモニウム、カリウムおよびナトリウムパーサルフェートの中から選択される場合、T2は、少なくとも25℃、好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも40℃である。温度T2は、55℃以下、好ましくは50℃以下である。
【0070】
重合系は、任意選択で場合によっては、マイクロエマルジョン法で使用されるものなどの緩衝剤、錯体形成剤、連鎖移動剤またはペルフッ素化油などの助剤、例えば、Solvay Solexis SpA(Bollate,Italy)から、商標名Galden(登録商標)D02で商業的に入手可能なl/k=20(400〜600の範囲の平均分子量)である式CFO(CF−CF(CF)O)(CFO)CFを有するものを少量含んでもよい。
【0071】
重合は任意の適切なpHで実施可能であり、pHは通常は重要ではないが、使用される開始剤系次第である。重合の間、スルホニルフルオリド基がイオン型へと変換するのを防ぐため、pHは典型的には7以下、より典型的に6以下である。
【0072】
本重合法の一実施形態において、モノマー(B)は、気体モノマー、好ましくはTFEである。気体モノマーを使用する場合、気体モノマーと液体モノマーとの比率を制御するために一般には反応器内の圧力が利用される。重合反応は、典型的には、少なくとも0.1MPa、好ましくは少なくとも0.2MPaの気体モノマーの分圧下で実施される。圧力は、1.5MPa、好ましくは1MPa、なおより好ましくは0.8MPa以下である。
【0073】
開始剤が水溶液として反応器に添加され、反応器内の圧力上昇を引き起こす特定の場合には、インキュベーション時間は、開始剤溶液を添加する前の値にまで反応器内の圧力を回復させるために必要とされる時間となるように都合よく設定することができる。
【0074】
反応器内の圧力が開始剤溶液添加前の値に戻った時に、液相の温度をT1より低い温度T2にする。
【0075】
重合反応終了時に、すべての未反応の気体モノマーを排気することによって反応器内の圧力を低下させ、そして重合ラテックスを反応器から取り出す。
【0076】
あるいは、未反応の気体モノマーを除去するための反応器の排気後、反応器内で減圧を生じさせて、残留未反応液体モノマーなどの、いかなるさらなる揮発性化合物もラテックスから除去する。この操作は、典型的には、0.01〜0.05MPaの反応器内残留圧力で、撹拌下に実施される。
【0077】
重合反応終了時に、重合ラテックスが得られる。典型的には、ラテックスの固体含有量は10〜50重量%である。
【0078】
微量の他の重合添加剤および/または重合残渣が、ラテックス中で乳化および/または溶解されてもよい。そのような他の重合添加剤および残渣の例は、例えば、連鎖移動剤、開始剤、未反応のモノマー、低分子量のペルフルオロカーボン、可溶性オリゴマーなどである。
【0079】
電解質水溶液への重合ラテックスの添加は、高剪断撹拌下で実施される。
【0080】
「高剪断撹拌」という句は、本明細書において、Reynolds数が10,000より大きいような撹拌速度を指すために使用される。Reynolds数(Re)は、次式:
Re=ρ・N・d/μ
(式中、ρは水の密度(kg/m)であり、Nは、1秒あたりのインペラーの回転数(1/s)であり、dはインペラーの直径(m)であり、そしてμは水の動的粘度(Pa・s)である)から算出される。
【0081】
典型的には、容器の直径は、インペラーの直径の2〜4倍以下となるように選択される。
【0082】
単離法に適切な電解質は、Al(NO、Al(SO、Ca(NO、Zn(NO、ZnSO、CaCl、(NHSO、NHNO、NaSO、NaHSO、MgSOなどの塩、ならびにHNO、HCl、HSO、クエン酸などの酸である。好ましくは、電解質は、HNO、Al(NO、Al(SO、Ca(NO、Zn(NO、ZnSO、CaCl、MgSOからなる群から選択される。好ましくは、電解質は、Al(NO、Al(SO、Ca(NO、Zn(NO、ZnSO、CaCl、MgSOからなる群から選択される。さらに好ましくは、電解質はAl(SOである。
【0083】
典型的には、水溶液中の電解質の濃度は、少なくとも3g/l、好ましくは少なくとも4g/lである。電解質の濃度は、50g/l以下、好ましくは40g/l以下とすることができる。
【0084】
電解質溶液の体積は、一般に、電解質溶液の体積と重合ラテックスの体積との比率が、少なくとも1:1、好ましくは少なくとも1.5:1であるように調節される。
【0085】
電解質溶液は、ポリマーのガラス転移温度以下の温度に保たれる。
【0086】
例えば、当量質量が1180〜650g/当量の範囲にあるイオノマーの前駆体であるTFEとCF=CFOCFCF−SOFとのコポリマーは、それぞれ、50〜15℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0087】
単離方法に0℃未満の温度が必要とされる場合は、凍結を防止するために、アルコールなどの凍結防止剤を電解質水溶液に添加してもよい。
【0088】
電解質水溶液に重合ラテックスを添加した後、通常の手順に従って、凝固したポリマーを液相から分離して、洗浄する。
【0089】
典型的には、凝固したポリマーを希釈酸水溶液で処理し、続いて脱イオン水で洗浄する。
【0090】
次いで、乾燥したポリマーに、従来法による後処置と、ペレット化手順を行ってもよい。例えば、当技術分野で知られているように、不安定な鎖末端基を除去するために、ポリマーにフッ素化処理を行ってもよい。
【0091】
本発明の方法によって凝固したスルホニルフルオリドポリマーは、凍結融解などによる他の従来の方法によって単離されたポリマーよりも、揮発性の低分子量成分の量が少ないことを特徴とする。低分子量成分の量は、高温でのポリマーの重量損失によって測定される。
【0092】
したがって、本発明の第3の目的は、
− 少なくとも1つのモノマー(A)と、
− 任意選択により場合によっては、少なくとも1つのモノマー(B)と
から誘導された繰り返し単位を含んでなり、ASTM E 1131−86法に準拠して、TGAによって測定した場合に200℃で1%未満の重量損失しか有しない(ペル)フッ素化ポリマーである。
【0093】
モノマー(A)および(B)は、上で定義したとおりである。
【0094】
好ましくは、本発明のポリマーは、TFEと、CF=CFOCFCF−SOFと、任意選択で場合によっては、上で定義したビスオレフィンとのコポリマーである。
【0095】
好ましくは、200℃での重量損失は、0.8%未満、より好ましくは0.7%未満、なおより好ましくは0.5%未満である。
【0096】
ポリマーの重量損失が低いことは、ポリマー自体の中の揮発性成分が低含有量であることを示す。揮発性成分がないこと、特にポリマー押出法の間に揮発可能な揮発性成分がないことは、押出によってポリマーをフィルムに加工する場合に有利である。
【0097】
本発明のスルホニルフルオリドポリマーの当量質量は、その酸型に変換された時に380〜1800g/当量の範囲であってもよい。好ましくは、当量質量は、800g/当量未満、好ましくは750g/当量未満、より好ましくは730g/当量未満、なおより好ましくは700g/当量未満である。当量は、少なくとも400g/当量、好ましくは少なくとも450g/当量、より好ましくは少なくとも480g/当量、なおより好ましくは少なくとも500g/当量である。
【0098】
スルホニルフルオリドポリマーは、ASTM D1238−04に準拠して、200℃/5kgで測定した場合に、50g/10分未満、好ましくは45g/10分未満、より好ましくは40g/10分未満のメルトフローレートを有する。
【0099】
スルホニルフルオリドポリマーは、ASTM D1238−04に準拠して、200℃/5kgで測定した場合に、少なくとも0.1g/10分、好ましくは少なくとも0.2g/10分、より好ましくは少なくとも0.5g/10分のメルトフローレートを有する。
【0100】
有利には、本発明のスルホニルフルオリドポリマーは、(ASTM D1238−04に準拠して、200℃/5kgで測定した場合)50g/10分未満、好ましくは45g/10分未満、より好ましくは40g/10分未満のメルトフローレートと、その酸型に変換された時に700g/当量未満の当量質量を有する。
【0101】
典型的には、本発明のスルホニルフルオリドポリマーの複素溶融粘度は、ASTM D4440−01に準拠して、160℃で測定した場合、10rad/秒で800Pa・sより高く、1rad/秒で1100Pa・sより高い。
【0102】
本発明のポリマーを、従来のフィルム押出装置によってフィルムに変換することができる。典型的には、本発明のスルホニルフルオリドポリマーは、120〜250℃、好ましくは150〜220℃の温度で溶融加工されることができる。典型的には、フィルムは、250μm未満、好ましくは1〜150μm、好ましくは3〜100μm、より好ましくは5〜60μm、なおより好ましくは5〜30μmの範囲の厚さを有する。
【0103】
その後、当技術分野で知られている方法に従って、加水分解によって、すなわち、膜を作っているスルホニルフルオリドポリマーを対応する酸型へと変換することによって、押出フィルムを電解質膜に変換することができる。
【0104】
本発明の膜は、任意選択で場合により、例えば、多孔質担体への押出フィルムのラミネーションによって強化されてもよい。ラミネーションは、熱によるラミネーションまたは接着剤によるミネーションなどの従来の方法によって実施することができる。ラミネーションは、典型的には、スルホニルフルオリド基をそれらの酸型へと変換する前にフィルムに対して実施される。
【0105】
多孔質担体は、広範囲の種々の成分から製造されていてもよい。多孔質担体は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの炭化水素ポリマー、あるいはポリエステル、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)から製造されていてもよい。ポリ(クロロトリフルオロエチレン)などの(ペル)ハロゲン化されたポリマー、およびクロロトリフルオロエチレンとエチレンとのコポリマーも使用できる。多孔質担体がPTFEなどのペルフッ素化ポリマーから製造された場合は、より高い温度および化学耐性が得られる。典型的なペルフッ素化多孔質担体は、二軸延伸PTFEおよび一軸延伸PTFEフィルムから選択される。
【0106】
参照によって本明細書に組み込まれるいずれかの特許、特許出願および刊行物の開示が、用語が不明確になるほど本記載と矛盾する場合、本記載が優先されるべきである。
【0107】
本発明を、以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例】
【0108】
〔特性分析〕
メルトフローレート(溶融流れ速度)は、ASTM D1238−04の手順に準拠して、200℃の温度で、5kgの重量下で測定した。
【0109】
ガラス転移温度は、ASTM D3418−03の手順に準拠して、20℃/分の加熱速度で、DSCによって決定した。示した値は、中間点温度に相当する。
【0110】
〔当量質量の決定〕
以下の手順に従って、当量質量を決定した。プレス機中200℃で加熱および押圧することによって、乾燥ポリマーの試料からフィルムを調製した。フィルム試料(10cm×10cm)を切断して、24時間80℃で10重量%KOH水溶液で処理した。脱イオン水で洗浄後、フィルムを20重量%HNO水溶液によって(1時間、室温で)処理し、脱イオン水で洗浄した。16時間80℃で真空乾燥した後、フィルム試料を秤量し、ヒドロアルコール溶液中に分散させ、計った過剰量の0.1N NaOH溶液を添加した。アルカリ過剰量は、0.1N HCl溶液で逆滴定した。
【0111】
〔複素溶融粘度の決定〕
ASTM D4440−01に準拠して、レオゴニオメーター Rheometrics RMS 800を使用して、160℃で複素溶融粘度(η*)を測定した。ポリマー試料を、乾燥窒素雰囲気下、2枚の25mm平行板の間で、振動モードで剪断した。周波数の範囲は、0.05〜100rad/秒であった。
【0112】
〔重量損失の決定〕
ASTM E 1131法に準拠して、Perkin−Elmer社のTGA PYRIS 1装置を使用して、200℃で重量損失を決定した。10mgのポリマー試料に、23℃から750℃まで10℃/分の速度で、空気中で一定加熱を行った。重量損失は、23℃と200℃との間の重量の差として決定した。
【0113】
〔一般的なポリマー単離手順〕
Al(SO水溶液(濃度12g/l)を密閉ガラス容器に導入し、撹拌下で温度を10±2℃に保持した。撹拌速度(1分あたりの撹拌器回転数)を、10,000より大きいReynolds数が得られるように調節した。重合ラテックスを、Al(SO溶液1リットルにつき1kgの量で、約40分で水溶液にゆっくり添加した。即座にポリマー凝固が始まった。全てのラテックスを添加した後、凝固した混合物を、同じ速度および温度で15分間撹拌した。撹拌を停止し、ポリマーを沈殿させた。凝固物より上の液相を除去した。凝固物を、10〜15℃の温度で、HNO水溶液(3重量%、各洗浄工程で、最初のAl(SO溶液1リットルにつき1lの量で)で2回洗浄し、次いで、上記と同じ速度および同じ温度で、脱イオン水(各洗浄工程で、最初のAl(SO溶液1リットルにつき1lの量で)で2回洗浄した。次いで、凝固したポリマーを、換気式オーブン中で20時間80℃で乾燥させた。
【0114】
〔一般的なフッ素化手順〕
スルホニルフルオリドポリマーの押出によって得られたポリマーペレットを、20時間60℃で換気式オーブン中で乾燥させ、そして20時間40℃で気体F(2.5Nl/時間)/N(1Nl/時間)混合物で処理した。F/N混合物による処理後、さらにこの材料を、最初に4時間40℃でN(5Nl/時間)で処理し、次いで、換気式オーブン中で20時間60℃で処理した。
【0115】
〔実施例1〕
(1)ポリマー合成
22リットル反応器中に、以下の反応原料:5重量%の式CFClO(CFCF(CF)O)(CFO)CFCOOKの界面活性剤(p/q=10、平均分子量527g/モル)と、95重量%の水とを含有する水溶液3100g;脱イオン水9l;式CF=CFOCFCF−SOFのモノマー756mlを導入した。
【0116】
反応器を540rpmで撹拌し、60℃まで加熱した。二酸化炭素およびTFEとの混合物によって、反応器内の圧力を1.5絶対MPaとした。反応器内のTFEの分圧は、0.41MPaであった。35g/lのカリウムパーサルフェート濃度を有する水溶液300mlを反応器に供給し、圧力上昇が起きた。その初期値までの反応器内の圧力の低下によって示されるように、反応は6分後に始まった。反応器温度を50℃まで低下させた。TFEを導入することによって、圧力を一定に保持した。重合の間、TFE160gごとに、160mlのCF=CFOCFCF−SOFを添加した。反応器に供給したTFEの全質量は3200gであった。TFEを排出し、0.03絶対MPaに達するまで連続して反応器圧を低下させることによって、反応を447分後に止めた。この操作の終了時に、撹拌を減速し、反応器を周囲圧力および温度にもっていき、31.6重量%の固体含有量の重合ラテックスを回収した。
【0117】
このポリマーの対応する酸型の当量は、606g/当量であると決定され、これはCF=CFOCFCF−SOFの23.5%モルに相当した。
【0118】
(2)ポリマー単離
重合ラテックス250gを一般的なポリマー単離手順によって凝固させた。インペラー(直径d=5cm)を、Re=24,690に相当する800rpmの速度に設定した。
【0119】
このポリマーは、以下の特性を有していた。200℃での重量損失:0.3%;ガラス転移温度:13℃;メルトフローレート(200℃/5kg):49.5g/10分;複素粘度(160℃にて):1rad/秒でη*=1210Pa・sおよび10rad/秒でη*=910Pa・s。
【0120】
〔比較例1〕
実施例1で得られた重合ラテックス250gを、一般的なポリマー単離手順に従って凝固させたが、Al(SO水溶液を60℃に保持した。HNOおよび脱イオン水でのすすぎを室温で実施した。200℃でのポリマーの重量損失は、2.6%であった。
【0121】
〔比較例2〕
実施例1で得られた重合ラテックス250gを、凍結(−20℃で20時間)および融解(23℃で6時間)によって凝固させた。凝固したポリマーを液相から分離し、高剪断撹拌下(Re=20,830)、室温で水(4×1.5リットル)によって洗浄し、80℃で20時間乾燥させた。
【0122】
このポリマーは、以下の特性を有していた。200℃での重量損失:4.4%;メルトフローレート(200℃/5kg):50g/10分。
【0123】
ポリマーを液体窒素で冷却後、顆粒状に粉砕した。20時間60℃の換気式オーブン中で顆粒を乾燥した。125〜135℃の温度で二軸スクリュー押出機を使用して、顆粒状材料をペレットに押出した。
【0124】
このポリマーペレットは、顆粒化段階の間に抽出される金属に起因する明るい青色を有していた。押出機スクリュー中で、化学分解の徴候が検出された。
【0125】
そのペレットについて測定したメルトフローレートは、79g/10分(200℃/5kg)であった。200℃でのポリマーペレットの重量損失は、1.2%であった。
【0126】
フッ素化処理の後、ポリマーペレットは、材料の分解および/または汚染が生じたことを示す暗褐色の色を有していた。
【0127】
本発明のポリマー単離方法によって単離された実施例1のポリマーの重量損失は、同じポリマーラテックスから単離されものであるが、ポリマーのガラス転移温度(13℃)より高い温度(60℃)に保持された電解質溶液を使用した場合のポリマーの重量損失の約9分の1であり(比較例1)、また従来の凍結融解法を用いて同じポリマーラテックスから単離されたポリマーの重量損失の約14分の1である(比較例2)。
【0128】
〔実施例2〕
(1)ポリマー合成
実施例1の手順に従って、TFEの分圧を0.46絶対MPaおよびT1=60℃に設定することによって、TFEとCF=CFOCFCF−SOFとのコポリマーを含んでなる重合ラテックスを調製した。カリウムパーサルフェート開始剤の添加から6分後、反応器内の温度はT2=50℃まで低下した。
【0129】
この重合ラテックスは、30.6の重量%の固体含有量を有していた。
【0130】
このポリマーの対応する酸型の当量は、649g/当量であると決定され、CF=CFOCFCF−SOFの21.3%モルに相当した。
【0131】
(2)ポリマー単離
重合ラテックス7kgを一般的なポリマー単離手順によって凝固させた。直径d=10cmのインペラーを、Re=180,560に相当する650rpmの速度に設定した。
【0132】
このポリマーは、以下の特性を有していた。200℃での重量損失:0.05%;ガラス転移温度:14℃;複素粘度(160℃にて):1rad/秒でη*=14,490Pa・sおよび10rad/秒でη*=8150Pa・s。
【0133】
(3)加工
このポリマーを、125〜135℃の温度で二軸スクリュー押出機を使用してペレットに押出した。このペレットに、上記の一般手順によるフッ素化処理を行った。
【0134】
ポリマーペレットは、半透明で無色の外観だった。ペレットは、19g/10分のメルトフローレート(200℃/5kg)を有し、そして200℃での重量損失は0.03%であった。
【0135】
〔実施例3〕
(1)ポリマー合成
実施例2の手順を繰り返し、404分後に反応を終了させ、31重量%の固体含有量の重合ラテックスを得た。
【0136】
このポリマーの対応する酸型の当量は、630g/当量であると決定され、CF=CFOCFCF−SOFの22.2%モルに相当した。
【0137】
(2)ポリマー単離
重合ラテックス250gを一般的なポリマー単離手順によって凝固させた。直径d=5cmのインペラーを、Re=24,690に相当する800rpmの速度に設定した。
【0138】
このポリマーは、以下の特性を有していた。200℃での重量損失:0.09%;ガラス転移温度:13℃;メルトフローレート(200℃/5kg):18g/10分。
【0139】
〔比較例3〕
実施例3で得られた重合ラテックス250gを、低剪断撹拌(Re=2130)下、23℃での0.5M HNO水溶液への添加によって凝固させた。凝固したポリマーを脱イオン水で洗浄し、換気式オーブンで乾燥した。200℃でのポリマーの重量損失は、2.6%であった。
【0140】
本発明のポリマー単離方法によって単離された実施例3のポリマーの重量損失は、低剪断撹拌下で、ポリマーのガラス転移温度(13℃)より高い温度(23℃)に保持された電解質溶液を使用して、同じポリマーラテックスから単離したポリマーの重量損失の約30分の1である(比較例3)。
【0141】
〔実施例4〕
(1)ポリマー合成
22リットル反応器中に、以下の反応原料:式CFClO(CFCF(CF)O)(CFO)CFCOOKの界面活性剤(p/q=10;平均分子量527g/モル)473gと、式CFO(CF−CF(CF)O)(CFO)CFのペルフルオロポリエーテル油(l/k=20;平均分子量400〜600;Galden(登録商標)D02 Solvay Solexis SpA,Bollate,Italy)338gと、540gの水とを混合することによってあらかじめ得られるマイクロエマルジョン1350g;脱イオン水10l;式CF=CFOCFCF−SOFのモノマー756mllを導入した。
【0142】
次いで、TFEの分圧を0.36絶対MPaおよびT1=60℃に設定することによって、実施例1の手順に従った。反応は、30g/lのカリウムパーサルフェート濃度を有する水溶液300mlの添加から5秒後に始まり、そして反応器温度は50℃まで低下した。TFEを導入することによって、圧力を一定に保持した。重合の間、TFE140gごとに、160mlのCF=CFOCFCF−SOFを添加した。反応器に供給したTFEの全質量は2800gであった。反応を174分後に止め、32質量%の固体含有量の重合ラテックスを回収した。
【0143】
このポリマーの対応する酸型の当量は、646g/当量であると決定され、CF=CFOCFCF−SOFの21.5%モルに相当した。
【0144】
(2)ポリマー単離
重合ラテックス250gを一般的なポリマー単離手順によって凝固させた。ポリマーの乾燥は、20時間180℃の換気式オーブンで実施した。直径d=5cmのインペラーを、Re=24,690に相当する800rpmの速度に設定した。
【0145】
このポリマーは、以下の特性を有していた。200℃での重量損失:0.6%;ガラス転移温度:14℃;メルトフローレート(200℃/5kg):8.5g/10分。
【0146】
〔比較例4〕
実施例3で得られた重合ラテックス250gを、凍結(−20℃で20時間)および融解(23℃で6時間)によって凝固させた。凝固したポリマーを液相から分離し、高剪断撹拌下(Re=20,830)、室温で水(4×1.5リットル)によって洗浄し、80℃で20時間乾燥させた。200℃でのポリマーの重量損失は、3.3%であった。
【0147】
〔実施例5〕
(1)ポリマー合成
5リットル反応器中に、以下の反応原料:5重量%の式CFClO(CFCF(CF)O)(CFO)CFCOOKの界面活性剤(p/q=10、平均分子量527g/モル)と、95重量%の水とを含有する水溶液720g;脱イオン水2.6l;式CF=CFOCFCF−SOFのモノマー134mlを導入した。
【0148】
反応器を650rpmで撹拌し、60℃まで加熱した。TFEによって、反応器内の圧力は0.9絶対MPaとなった。18g/lのカリウムパーサルフェート濃度を有する水溶液66mlを反応器に供給し、圧力上昇が起きた。その初期値までの反応器内の圧力の低下によって示されるように、反応は5分後に開始した。温度は、重合反応の間、60℃に保持された。TFEを導入することによって、圧力を一定に保持した。重合の間、TFE45gごとに、36.6mlのCF=CFOCFCF−SOFを添加した。反応器に供給したTFEの全質量は900gであった。TFEを排気することによって、反応を426分後に止め、撹拌を減速し、反応器を室温にし、26重量%の固体含有量の重合ラテックスを回収した。
【0149】
このポリマーの対応する酸型の当量は、596g/当量であると決定され、CF=CFOCFCF−SOFの24%モルに相当した。
【0150】
(2)ポリマー単離
重合ラテックス250gを一般的なポリマー単離手順によって凝固させた。直径d=5cmのインペラーを、Re=24,690に相当する800rpmの速度に設定した。
【0151】
このポリマーは、以下の特性を有していた。200℃での重量損失:0.2%;ガラス転移温度:12℃;メルトフローレート(200℃/5kg):186.7g/10分。
【0152】
〔比較例5〕
実施例5で得られた重合ラテックス250gを、凍結(−20℃で20時間)および融解(23℃で6時間)によって凝固させた。凝固したポリマーを液相から分離し、高剪断撹拌下(Re=20,830)、室温で水(4×1.5リットル)によって洗浄し、80℃で20時間乾燥させた。200℃でのポリマーの重量損失は、1.4%であった。
【0153】
本発明のポリマー単離方法によって単離された実施例5のポリマーの重量損失は、従来の凍結融解方法を使用して同じポリマーラテックスから単離されたポリマーの重量損失の約7分の1である(比較例5)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を含有する少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマー(A)から誘導された繰り返し単位を含んでなるポリマーであって、ASTM E 1131−86に準拠して、熱重量分析によって測定した場合、200℃で1%未満の重量損失しか有しないポリマー。
【請求項2】
少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマー(B)の繰り返し単位をさらに含んでなる請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ポリマーの当量質量が、その酸型に変換された時に、750g/当量未満であるような量でモノマー(A)が存在する請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記当量質量が少なくとも400g/当量である請求項3に記載のポリマー。
【請求項5】
ASTM D1238−04に準拠して、200℃/5kgで測定した場合、50g/10分未満のメルトフローレートを有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
モノマー(A)が、CF=CFOCFCF−SOFであり、モノマー(B)が、テトラフルオロエチレンである請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマーを重合ラテックスから単離する方法であって、前記ポリマーのガラス転移温度以下に保持された電解質水溶液に、高剪断撹拌下で、前記ラテックスを添加する工程を含んでなる方法。
【請求項8】
攪拌速度が、Reynolds数Re=ρ・N・d/μ(式中、ρは水の密度(kg/m)であり、Nは、1秒あたりのインペラーの回転数(1/s)であり、dはインペラーの直径(m)であり、そしてμは水の動的粘度(Pa・s)である)が、10,000より大きくなる速度である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電解質が、HNO、Al(NO、Al(SO、Ca(NO、Zn(NO、ZnSO、CaCl、MgSOからなる群から選択される請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマーを含んでなる押出フィルム。
【請求項11】
加水分解型である請求項10のフィルムを含んでなる膜。
【請求項12】
フリーラジカル開始剤の存在下、液相中での、少なくとも1つのスルホニルフルオリド基を有する少なくとも1つのエチレン系不飽和(ペル)フッ素化モノマー(A)の重合を含む重合ラテックスの製造方法であって、前記フリーラジカル開始剤の少なくとも一部が、温度T1に保持された前記液相に添加され、そしてインキュベーション時間後、前記液相の温度がT1より低い温度T2にされることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記インキュベーション時間が少なくとも5秒である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
T1が少なくとも0℃であり、150℃を超えない請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
T2が、T1より少なくとも5℃低い請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−509467(P2013−509467A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535751(P2012−535751)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065921
【国際公開番号】WO2011/051168
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508305960)ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア (53)
【Fターム(参考)】