説明

スループットを増大させ、運動ぶれを低減させるための方法

【課題】 感光材上での光変調器の結像ぶれを起こすことなくスループットを向上させた、感光材の露光方法を提供する。
【解決手段】 感光材(5)の露光方法であって、光源(2)からの光を、多数列の光変調セル(8)を備えた2次元の光変調器(4)へ結像させて該光変調器により変調させ、次に光変調器(4)を結像光路(11)を介して感光材(5)へ結像させ、その際感光材(5)を、光変調セル(8)から成る列の方向に対し実質的に垂直に光変調器(4)に対し相対速度で相対運動させ、且つ感光材(5)に結像されるべきデータパターンを、保持時間(T,T’)の間、光変調器(4)の最初の列からはじめて順次各列で表示させ、次に、該データパターンを光変調器(4)のそれぞれ次の列へシフトさせる前記方法において、保持時間(T,T’)の間、データパターンの結像部(10)を感光材(5)に対し実質的に不動に保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光材の露光方法であって、光源からの光を、多数列の光変調セルを備えた2次元の光変調器へ結像させて該光変調器により変調させ、次に光変調器を結像光路を介して感光材へ結像させ、その際感光材を、光変調セルから成る列の方向に対し実質的に垂直に、光変調器に対し相対速度で相対運動させ、且つ感光材に結像されるべきデータパターンを、保持時間の間、光変調器の最初に利用した列から始めて順次各列で表示させ、次に、データパターンが最後に利用した列から押し出されるまで該データパターンを光変調器のそれぞれ次の列へシフトさせ、所定のデータパターンの結像部が感光材に対し平均して相対的に不動に保持されるようなシフト率でデータパターンをシフトさせるようにした前記方法に関するものである。
【0002】
また、本発明は、冒頭で述べた種類の方法を実施するための露光・変調装置であって、光源と、多数列の光変調セルを含む2次元の光変調器と、光変調器へ結像させるための装置と、光変調器を感光材へ結像させるための装置と、光変調器と感光材との間に相対運動を生じさせるための装置であって、相対運動の方向が光変調セルから成る前記列の方向に対し実質的に垂直に延びている前記装置と、データパターンを保持時間の間に表示させ、次に該データパターンを光変調器の異なるカラムを通じてシフトさせるための装置であって、所定のデータパターンの結像部が運動の間に感光材に対し平均して相対的に不動であるように保持される前記装置とを備えた前記露光・変調装置にも関わる。
【背景技術】
【0003】
この種の方法およびこの種の装置は、たとえば独国特許出願公開第4121509A1号明細書から知られている。この種の装置および方法は、青色範囲および紫外線範囲の大量の変調光を必要とするプロセス、たとえば印刷版の露光、プリント回路の露光、ステレオリソグラフィのようなプロセスに対し重要である。その基本原理は、感光材を連続的に移動させ、他方画像情報を光変調器によって同じ速度で逆方向へスクロールすることである。したがって、画像情報は被露光材上にほぼ位置固定されてとどまっている。露光は1列のセルの短い個別露光をすべて統合させることによって構成される。したがって、光変調器の列数に相当する幅のストライプが露光される。複数個のストライプを並置することによってより大きな面が露光される。
【0004】
上記露光原理における問題点は、基本的に1回の露光ステップで伝送しなければならないデータ量が極めて大きいことである。この場合、電子制御装置と光変調器との間でのデータ伝送率は自ずと制限されている。光変調器としては、たとえば2次元のマイクロミラーセル(DMD(商標))、液晶表示器、回折格子、光弁、或いは反射型液晶セル(LCOS)が使用される。露光対象である印刷版の感度が十分であり、および/または、光源によって提供される光束がある程度の大きさに達していれば、この種の装置のスループット(単位時間あたりの印刷版の数量、または、単位時間あたりの露光面積で測定)は、データをディスプレイに伝送することのできるデータ伝送率によって制限される。従来のこの種のスクロール方式では、画像を1列分だけ先へ送る場合、光変調器全体を毎回新たに書き換えねばならないので、データ伝送率はスループットに対しては限界がある。
【0005】
それでもなおスループットを向上させるため、たとえば独国特許出願公開第102005015193A1号明細書では、光変調器によって実際に利用され制御されるセルの数量を、物理的に設けられているセルの数量に比べて低減させることが提案された。しかしながら、システムのエテンデューが低減し、光束の大きさも小さくなるという欠点がある。
【0006】
冒頭で述べた種類の従来のスクロール方式における更なる問題は、光変調器と感光材との間の相対運動が連続的な運動であるのに対し、光変調器でのデータパターンの運動は跳躍的運動であるという点である。光変調器でのデータパターンの運動が跳躍的運動であるのは、データパターンの運動が、すなわちスクロールが、光変調器を介して不連続なステップでしか行うことができず、その際のステップ幅が列の数量と光変調セルの幅とによって設定されているためである。すなわちデータパターンは光変調器を介して連続的に運動するのではなく、データパターンが運動しない保持時間の間に1列で表示され、いわば突然に隣の列へ跳躍する。その結果、所定のデータパターンの結像部は平均して感光材に対し相対的に不動のままで保持されるにすぎない。しかしながら、実際には、データパターンの結像部は保持時間の間に感光材上を移動し、その速度は光変調器と感光材との間の相対速度に相当している。このように保持時間の間にデータパターンの結像部が移動すると、技術水準の場合のようになんら対策をとらなければ、原理的には、光変調器の光変調セルの幅からの露光ぼけが発生する。
【0007】
それ故、前記独国特許出願公開第4121509A1号明細書では、被露光材上での光変調器の結像部をレンズを用いて縮小させて、被露光材上での露光面にぶれを生じさせることで結果的にオリジナルサイズが得られるようにすることが提案された。しかしながら、これには、場合によっては縮小光学系の構成に問題があり、特に被露光材と光変調器との間の相対速度並びに保持時間を変化させる必要がある場合に問題がある。このようなケースでは、基本的には、縮小レンズを新しいパラメータに適合させねばならない。しかし、これには、比較的コストがかかる付加的な光学要素を用いなければ可能でないという欠点が伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の課題は、この種の方法およびこの種の装置においてスループットを向上させることである。本発明の他の観点によれば、冒頭で述べた種類の方法および装置を次のように改善すること、すなわち感光材上での光変調器の結像ぶれが発生することなく、スループットを変化させることができるように改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、本発明によれば、冒頭で述べた種類の方法において、保持時間の間、データパターンの結像部を感光材に対し実質的に不動に保持させることによって解決される。この解決手段により、光変調器の列方向におけるデータパターンのシフト率を減少させてスループットを向上させることが可能である。前記シフト率が減少することにより、伝送されるべきデータ量が減少し、光変調器と感光材との間の相対速度をより高く選定することができ、それによってスループットが向上する。本発明によれば、前述のようにして延長される保持時間の間、データパターンの結像部は感光材に対し相対的にほぼ不動に保持されるので、感光材上で結像をぼかすことは行われない。したがって、データ伝送率を低下させることができるので、露光時の品質ロスが発生することなく、スループットが向上する利点がある。
【0010】
他方、基本的には結像部と感光材との間に相対運動が存在するにもかかわらず、短い時間であればデータパターンの結像部が感光材上で実質的に不動であることを達成するために、保持時間を短縮させてもよい。
【0011】
本発明の有利な構成では、光変調器と感光材との間の相対運動を、保持時間の間、実質的に相殺する。この手段により、印刷材上で光変調器の結像部のぶれが生じることなく、保持時間を増大させることが可能である。
【0012】
本発明の有利な構成で、データパターンの結像部を光変調器に対し周期的な運動プロファイルで運動させれば、光変調器と感光材との間の相対運動を保持時間の間特に効果的に相殺させることが可能であるという利点がある。これにより、たとえば、光変調器上に結像されるデータパターンを2列ごとにしか実現できない。これによって光変調器へのデータ伝送率は半分になる。それにもかかわらず、従来のスクロール方式で生じていたぶれが発生することなく、完全な解像度が得られる。
【0013】
本発明による方法をさらに改善するため、運動プロファイルは、フラットに上昇するエッジと、急激に下降するエッジとを有し、特に鋸歯形状を有している。基本的には、光変調器と感光材との間の一定の相対運動には、慣性系としての露光ユニット全体に対する光変調器の結像部の付加的な相対運動が重畳される。フラットに上昇するエッジにより、光変調器の結像部と露光される感光材との相対運動がほとんどの時間零になり、すなわち完全に解消されることが達成される。したがって、たとえば、光変調器が露光ユニット内に固定されている感光材の上方を移動するように光変調器と被露光材との間の相対運動が実現されていれば、光変調器が印刷版に対して移動するにもかかわらず、画像は前記運動プロファイルに基づき保持時間の間、露光されるべき印刷材上で不動に保持される。したがって、付加的に重畳される周期的な、特に鋸歯状の運動は、保持時間の間、前記相対運動とは反対方向に作用する。この場合、位置・時間図示で運動プロファイルのフラットに上昇するエッジは、光変調器と印刷版との間の相対運動とは反対方向の、光変調器に対する結像部の相対運動を生じさせて補償させる。鋸歯の前記エッジが生じている間、本発明によれば、できるだけ短時間で、理想的には無限に短い時間で、印刷版上の光変調器の結像部は跳躍的に基本位置へ戻って、データパターンが光変調器上の次のデータ列へ飛び越える準備を行う。
【0014】
特に有利な本発明の構成は、運動プロファイルを、各列の間でのデータパターンのシフトと同期させ、特にフラットに上昇するエッジを保持時間の間に実施することである。
【0015】
無限に高速の運動を生じさせることは実際には不可能であるので、位置・時間グラフで急激に下降しているエッジが垂直である可能性はない。それ故、本発明の特殊な構成では、前記エッジが急激に下降している間、光源をオフにさせると、運動プロファイルで急激に下降しているエッジの間も、印刷材上での結像部のぶれは発生しない。この処置により、本発明の範囲内では、急激に下降しないエッジを有する周期的な運動プロファイルも選択することができる。たとえば、下降エッジは上昇エッジと同じピッチを持つことができる。
【0016】
本発明による方法の他の有利な実施態様では、前記の急激に下降しているエッジの間、すべての光変調セルを切換えて非作動状態にさせる。この処置によっても、下降しているエッジの間でさえも、印刷材上での光変調器の結像部のぶれが阻止される。下降エッジが実際に有限の時間的幅を有している場合もそうである。それ故、この処置の効果は、下降しているエッジの間に光源をオフにする効果と結果的には同じである。
【0017】
本発明によれば、データパターンの結像部を運動させるため、光変調器を機械的に運動させ、特に傾動および/または変位させてよい。このようにして、印刷版上の光変調器の結像部と光変調器自体との相対運動を生じさせることができるので、有利である。光変調器の機械的運動によりシステムは付加的な自由度を獲得する。この自由度により、光変調器と印刷版との間の一定の相対運動とは関係なく、光変調器の結像部を基本的には光変調器に対して、および、印刷版に対して運動させることが可能になる。
【0018】
本発明による方法の他の有利な実施態様によれば、データパターンの結像部を運動させるため、結像光路を変位させる。結像光路の変位は、光変調器と印刷版との間の光路内に適当な光学要素を挿入することによって生じさせることができ、光変調器自体を移動させる必要はない。
【0019】
本発明による方法の上記実施態様の他の構成では、結像光路を変位させるため、電気光学的効果を利用して、特にカー効果を利用して、電圧を変化させる。たとえばカー・セルを結像光路内に挿入することができ、カー・セルは可変電圧で作動させる。この場合、カー・セルの光学的特性、特に屈折率を、印加電圧によって変化させる。この処置の利点は、本発明にしたがってデータパターンの結像部を光変調器に対し相対運動させるために機械的に可動な部品を必要としない点である。
【0020】
これとは択一的におよび/またはこれに加えて、本発明によれば、結像光路を変位させるため、転向ミラーおよび/またはレンズおよび/またはプリズムおよび/または楔板を機械的に運動させることができる。上記光学要素は、光変調器と印刷版との間の結像光路内に配置される。
【0021】
本発明によれば、結像光路を変位させるため、結像光路内に分散素子を配置して、光源の波長を変調させてもよい。たとえば、露光対象である印刷材上での光変調器の画像位置が光源から放射される光の波長に正確に依存するように、格子またはプリズムを結像光路内に挿入することができる。光源から放射される光の波長は、光変調器に対する該光変調器の結像部の所望の相対運動プロファイルを生じさせるために変調するのが合目的である。この実施態様の利点は、周期的な運動を生じさせるために機械的に可動な部品を必要としないことである。
【0022】
本発明による方法の他の有利な実施態様によれば、データパターンの結像部を運動させるため、感光材を機械的に運動させる。たとえば、光変調器が印刷版上方を移動するようなシステムでは、印刷版の周期運動によって付加的な周期運動を生じさせることができる。このケースでは、印刷版の運動プロファイルを適当に選定すれば、保持時間の間、光変調器と被露光材との間の相対運動が中断され、その結果保持時間の間、光変調器の結像は印刷版上で不動に保持される。これは、光変調器の結像を該光変調器に対し相対運動させる前記実施態様に対する基本的に択一的な実施態様である。しかし、本発明の範囲内でこれらの実施態様を組み合わせてもよい。
【0023】
本発明による方法の有利な実施態様によれば、保持時間をシフト率の逆数よりも小さく選定する。このようにして、上記各実施態様のように機械的な運動をさせずに、および、前述の技術水準の場合のように光変調器の結像部を縮小させることなしに、保持時間の間、相対運動により結像のぶれをほぼ実質的に回避することが達成される。それ故、保持時間の間運動を相殺したり、或いは、結像を縮小したりするコストのかかる処置を必要としないので、有利である。その前提は、適当な光束を持った十分に強い光源を使用して、有効露光時間を短くしても完全な露光が得られるようにすることである。これに対し、技術水準によれば、保持時間は実質的にシフト率の逆数に相当している。
【0024】
本発明による方法の他の構成では、保持時間を短くさせるため、光源をパルス作動させ、および/または、光変調器を切換えて周期的に非作動状態にさせる。
【0025】
また、本発明の前記課題は、冒頭で述べた種類の露光・変調装置において、保持時間の間にデータパターンの結像部を感光材に対し実質的に不動に保持させるため、露光・変調装置が光変調器と感光材との相対運動を相殺するための手段を有していることによって解決される。これにより、光変調器と印刷版との間の一定の相対運動によって保持時間の間に露光画像がぶれるのを阻止するため、保持時間の間、相対運動を中断させることができるので、有利である。本発明の範囲内では、感光材が駆動部によって付加的に運動せしめられるか、或いは、光変調器が適当な駆動部によって感光材に対し相対運動せしめられることによって、相対運動の相殺を行うことも可能である。
【0026】
また、本発明の前記課題は、冒頭で述べた種類の装置において、保持時間の間にデータパターンの結像部を感光材に対し実質的に不動に保持させるため、露光・変調装置が、結像光路を光変調器に対し相対的に変位させるための手段を有していることによって解決される。この処置は、光変調器と感光材との間の相対運動を相殺する前記処置とは独立に、或いは、前記処置に加えて適用することができる。本発明のこの択一的な解決手段によれば、可変光学要素によって結像光路が逆転する。これにより、結像部は光変調器に対し相対運動することができるので、システムは付加的な自由度を得る。
【0027】
本発明の構成において、前記変位させるための手段が、機械的に運動可能な光学要素、特にレンズおよび/またはプリズムおよび/またはミラーおよび/または楔板を含んでいれば、本発明による装置の特殊な構成において、保持時間の間に感光材上での光変調器の結像部の変位を減少させる目的で、該結像部を光変調器に対し特に好都合に変位させることができる。
【0028】
本発明による装置の他の構成によれば、前記変位させるための手段は、分散素子、特に格子および/またはプリズムを含んでおり、光源はその波長を変化させるための手段を有している。このようにして、波長に依存した分散素子の転向に基づいて、光変調器の結像部の該光変調器に対する相対運動が行われるように、放射光の波長を時間的に変えることができるので有利である。
【0029】
本発明による装置の他の実施態様によれば、前記変位させるための手段は、電気光学要素、特にカー・セルを含んでおり、電気光学要素を制御するために可変電圧源が設けられている。これにより、保持時間の間に結像部を印刷版上で不動に結像させる目的で、同様に光変調器の結像部の該光変調器に対する相対運動が行われるようにするために、可変電圧を変化させることによりカー・セルの屈折率を変化させることができる。
【0030】
本発明の有利な構成では、前記相殺するための手段は、特に圧電駆動部の周期的運動を光変調器および/または感光材に対して変調するための手段を含んでいる。圧電駆動部の利点は、必要なμm範囲の小ストロークをダイレクトに、すなわち伝動装置またはギヤ装置を用いずに、しかも高精度でダイナミックに生じさせることである。また、周期的運動を変調させるための手段として、振動コイルを使用することもできる。振動コイルは、電流により磁場が発生することによりダイヤフラムを運動させ、このようにして機械的運動を生じさせることができる。
【0031】
本発明による装置の他の有利な構成では、前記変調するための手段および/または前記変位させるための手段は、周期的運動の間にエネルギーを蓄積して放出するように構成されたエネルギー蓄積器を有している。エネルギー蓄積器は、機械的エネルギー形態、電気的エネルギー形態、磁気的エネルギー形態、或いは、他のいかなるエネルギー形態をも蓄積するように構成されていてよい。エネルギー蓄積器は、長いコンスタントな運動の場合に(たとえば鋸歯運動の上昇エッジの場合に)、急速な復帰運動(たとえば1つの鋸歯の急傾斜エッジ)を生じさせるためにそのエネルギーを解放するよう、エネルギーの蓄積をする。この実施態様は一方ではエネルギー効率的であり、他方鋸歯状の機械的運動を発生させることができるので、使用上好ましい。というのは、保持時間の間はコンスタントな運動を発生させねばならないが、保持時間が満了した後は、データパターンが光変調器の次の列へ跳躍する直前に急激な復帰運動が必要だからである。
【0032】
本発明による装置の他の有利な構成では、前記変調するための手段および/または前記変位させるための手段は、固体軸受を含んでいる。これが意味するところは、前記運動のためにローラも、ころも、レールも必要とせず、また滑動運動も必要ないということである。その代わり、運動させる構成要素はたとえば露光ユニットと堅牢な結合部材によって結合され、その際前記堅牢な結合部材は駆動部によって弾性範囲内で変形させることができる。この種の固体軸受の利点は、狭い空間での精密な案内を低コストで達成可能なことである。
【0033】
さらに、本発明の前記課題は、冒頭で述べた種類の方法において、相対速度と、シフト率と光変調セルの高さとの積との商が、少なくとも2であるように、特に2であるように、シフト率が選定されていることによって解決される。これによってディスプレイへのデータ伝送率が低下するので有利であり、特に半分になる。これは、本発明によれば、データパターンは2番目ごとにしか実現されず、或いは、N>2としたときN番目ごとにしか実現されないからである。データ伝送率を最大に設定すれば、相対速度を上げることができるので、スループットを向上させることができ有利である。したがって、露光過程を一種の「高速モード」のように実施させることができる。
【0034】
本発明の上記の主旨にしたがって本発明による方法を請求項1から15までのいずれか一つに記載のごとく構成すれば、スループットを向上させることができるとともに、同時に実質的にぶれのない品質を維持することができる。すなわち、本発明のこのような構成によれば、伝送されるデータ量を減らすことによって、本発明にしたがってスループットを向上させることと、ぶれを相殺するための前記個々の処置とを組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】露光・変調装置全体の概略図である。
【図2】技術水準の露光において、印刷枚葉紙上での露光パターンの位置を種々の時点t1,t2,…t6で1次元で示すとともに、時間的に累積した露光を1次元で示した図である。
【図3】図2に比べて光変調器へのデータ伝送率を本発明の主旨にしたがって半分にした露光時の、印刷枚葉紙上での露光パターンの位置を種々の時点t1,t2,…t10で1次元で示した図である。
【図4】本発明による露光の際の光変調器の画像の位置の経時的変化を説明するグラフで、(a)は光変調器に対して、(b)は光変調器の位置に対して、(c)は印刷枚葉紙に対して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面を参照して、本発明を有利な実施形態に関し例示する。なお、他の有利な詳細は図面から読み取れる。
【0037】
作用的に同じ部品には同じ符号を付した。
【0038】
図1には、露光・変調装置1が概略的に図示してある。光源2は、第1のレンズ3を使用して2次元の光変調器4に結像される。光変調器はマイクロミラーマトリックス(DMD(登録商標))であり、行と列で配置された、個別に傾動可能なマイクロミラーを備えている。マイクロミラーはそれぞれ光弁として作用する。マイクロミラーマトリックスの列は図面に垂直に延在し、これに対し行は図面内に延在している。これに対応して、図1では、1行が7つの列から成っていることがわかる。
【0039】
光変調器4に対する感光材5の相対位置は、位置決め装置6によって変更させることができる。相対運動は光変調器4の行に対し平行な方向で行われ、すなわち列に対し垂直に行われる。データパターンは、駆動回路7を使用して、光変調器4の光変調セル8を備えた第1のカラムに伝送される。ここで重要なことは、データパターン伝送と、光変調器4と感光材5の間での相対運動との同期である。第1列に伝送されたデータパターンは、そこで保持時間の間表示される。保持時間は、光変調器4でデータが更新されるフレーム率の逆数にほぼ相当している。次に、データパターンを第1列から相対運動の方向において次の列へシフトさせ、その結果感光材5へ伝送されたデータパターンは実質的に該感光材の特定の位置にとどまる。光変調器4は複数列のセル8から成っている。光変調器4に伝送されるデータパターンは、作動する光変調セル8と非作動の光変調セル8との組み合わせから構成される。光変調セル8が作動すると、その上に当たる光は第2のレンズ9を介して感光材5へ伝送される。非作動セルに当たった光は、感光材5から離れるように誘導される。
【0040】
符号10は、光変調器4の1つの列の光変調セル8に表示されるデータパターンが感光材5に結像された結像部10を示している。一般に、露光・変調装置1は定置である。露光・変調装置1の上述した基本的な構成要素は、技術水準で使用されるものに対応している。図1に図示した露光・変調装置1は、公知の構成要素に加えて、結像光路11内の光変調器4と感光材5との間に、概略的に図示したカー・セル12を有している。カー・セル12は可変電圧源13(同様に概略的に図示した)を介して制御可能である。図1では、カー・セル12を結像光路11の光変調器4とレンズ9との間の区域に配置したものを例示してある。しかし、カー・セル12を結像光路11の前記レンズ9と感光材5との間の区域に配置することも考えられる。
【0041】
図2には、従来の露光・変調装置の欠点を説明するため、光変調器4で表示されるデータパターンの結像部10の位置をグラフで概略的に図示してある。グラフでは、位置決め装置6によって生じる感光材5の相対運動の方向における位置軸14が水平方向に図示されている。感光材5の位置軸14の上方には、光変調器4で表示されるデータパターンの結像部10が種々の時点t1,t2,…t6で図示されている。各露光パターンにおいて、照射部分15をデジタル「1」信号で示し、これに対し非照射部分16をデジタル「ゼロ」信号で示した。露光パターンt1は位置軸14上方の最上位行に図示してある。その下の行には、時点t2での印刷枚葉紙(感光材)5上の露光パターンが図示されており、この場合t2=t1+Δt、Δt<Tであり、Tは前記保持時間である。このグラフからわかるように、露光パターンt2は露光パターンt1よりも位置軸14上でわずかに右側へシフトされている。これは照射部分15のシフト位置に明らかに見て取れる。光変調器4と印刷版(感光材)5とは一定の速度で互いに相対運動するので、位置軸14上での照射部分15の前記シフトは、保持時間の間に印刷版(感光材)5上で発生するものである。
【0042】
露光パターンt3は印刷版(感光材)5上に表示される露光パターンに対応しており、すなわち時点t3での光変調器4の結像部10に対応している。この場合、光変調器4でのデータパターンの保持時間をTとすると、t3−t1<Tである。グラフから見て取れるように、露光パターンt3では、照射部分15の位置軸14に沿ってさらにシフトが行われたことが観察される。照射部分15の初期位置17は、時点t3では、印刷版(感光材)5上で位置軸14に沿ってシフト初期位置17’のほうへシフトしている。同様に、露光パターンt1の最終位置18も時点t3では露光パターンt3に対応して印刷版(感光材)5上でシフト最終位置18’へシフトしている。
【0043】
時点t4(t4=t1+T)では、照射部分15は露光パターンt1に対応して印刷枚葉紙(感光材)5の位置軸14に沿って再び元の初期位置17と元の最終位置18との間に配置されている。光変調器4では、データパターンは時点t3と時点t4の間で隣の列へ変化している。それ故、露光パターンt3は正確に露光パターンt1に対応している。
【0044】
上記過程が反復することを説明するため、露光パターンt5,t6はそれぞれ露光パターンt2またはt3に対応している。データパターンが光変調器4で保持される保持時間Tの間に照射部分15は印刷枚葉紙(感光材)5の位置軸14に沿ってシフトする。このシフトは、光変調器4と印刷枚葉紙(感光材)5との間の一定の相対運動に起因するものである。
【0045】
図2の最下位の露光パターンに認められるように、印刷枚葉紙(感光材)5上での累積露光量19は、印刷枚葉紙(感光材)5上での光変調器4の結像部10に相当する露光パターンt1に正確に対応していない。その代わり、技術水準の場合、保持時間の間シフトが生じるので、累積露光量19は露光パターンt1,…t6に比べてぶれているのが難点である。
【0046】
前記ぶれは、すなわち初期位置17,シフト初期位置17’または最終位置18,シフト最終位置18’の間の間隔は、印刷枚葉紙(感光材)5と光変調器4との相対速度vと保持時間Tとの積に相当する、位置軸14上での位置シフト量に対応している。
【0047】
図3には、本発明の主旨を明確にするため、図2と同じ図が選択されている。図2に比べて図3が異なるのは、保持時間T’が図2の保持時間Tの2倍の大きさに選定されている点である。これに伴う利点は、前述したように、露光時に得ることのできるスループットが向上することである。これに対応して、まず、露光パターンt6が露光パターンt1に対応している。すなわち、時点t6ではじめて、光変調器4においてデータパターンを次の列へシフトさせ、その結果印刷枚葉紙(感光材)5の位置軸14において結像部10をシフトさせる保持時間T’が図2の場合の2倍の大きさになる。露光パターンt7,t8,t9,t10はそれぞれ露光パターンt2,t3,t4またはt5に対応している。しかし、時点t7,t8,t9,t10の場合、時点t1,t2,t3,t4,t5の場合よりもデータパターンが光変調器4においてさらに1列ぶんだけシフトされている。光変調器4において時点t6でデータパターンが跳躍する直前の、最大にシフトした露光パターンt5の場合に認められるように、位置軸14に沿った照射部分15のシフトは、該照射部分15のシフトした初期位置17’が照射部分15のシフトしなかった最終位置18と一致するように行われている。その結果、累積露光量19を考えた場合、長方形の照射部分15は累積露光量において実際には三角形の領域として照射されることになる。さらに、ぶれが増大するために、光変調器4に印加されるデータパターンに対応して露光パターンt1,…t10に存在している幅狭の非照射部分20は、累積露光量19においては、浅い凹部21として露光されるにすぎない。
【0048】
このように、図3から明らかになることは、保持時間Tを増大させて該保持時間Tの2倍に相当する保持時間T’にすると、多くの適用例において累積露光量19が受け入れ難いほどにぶれるということである。したがって、保持時間TまたはT’を増大させてデータ伝送率を減少させることにより露光・変調装置1のスループットを向上させることは、品質低下のために不可能である。
【0049】
図4は本発明の原理を説明するためのものである。時間軸22に記載した時間tに対し、垂直な位置軸23には、本発明による露光における光変調器4の結像部10の位置が示してある。(a)は光変調器に対する相対位置を示したもの、(b)は露光・変調装置1に対する光変調器の相対位置を示したもの、(c)は印刷枚葉紙に対する相対位置を示したものである。まず、曲線(a)において認められるように、公知のスクロール方式に対応させて画像を公知の光変調器4を介して段階的に移動させる。この曲線の場合、位置軸23は、列に対し垂直に延びる光変調器4の軸線に対応している。この図示では、段の幅は保持時間Tに相当している。
【0050】
図4の曲線(b)は、光変調器4の位置に対する該光変調器の結像部10の相対位置を経時的に示したものであり、定置の露光・変調装置1に対する光変調器4の位置を測定している。これからわかるように、本発明によれば、光変調器の位置に対し相対的に結像部(c)を周期的に鋸歯状の運動曲線により移動させる。また、鋸歯状の曲線が曲線(a)の段部と同期していること、すなわち光変調器4でのデータパターンの列ごとの跳躍と同期していることがわかる。この同期は、本発明によれば、データパターンの保持プラトー部分25の間に比較的フラットに上昇するエッジ24が光変調器4に印加されるように選定されている。急激に下降するエッジ26(図4bでは、無限速度に対応するように理想的に垂直に図示してある)は、光変調器4におけるデータパターンの運動プロファイルの段部エッジ27と同期している。
【0051】
最後に、図4の運動曲線(c)には、本発明による方法を適用したときの、印刷枚葉紙(感光材)5に対する光変調器4の結像部10の相対的な位置が理想的に図示されている。この図からわかるように、結像部10は光変調器4に対し曲線(b)に図示したような周期的な鋸歯状の相対運動を行うために、印刷枚葉紙(感光材)5上の結像部10は完全に不動である。特に、図2および図3を用いて説明した技術水準の場合のようなぶれが発生していない。このように、本発明による方法によれば、光変調器4に対する結像部10の運動が重畳されるので、光変調器4でのデータパターンの保持時間の間に印刷版(感光材)5上のぶれは補償される。補償は、急激に下降するエッジ26が垂直に下降している図4bの鋸歯曲線のケースで理想的になる。本発明によれば、印刷版(感光材)5上での結像部のぶれは生じないので、スループットを向上させるために、駆動回路7がデータを光変調器4へ伝送する際のデータ伝送率を低下させて、保持時間Tを強制的に増大させるにもかかわらず、有利である。
【0052】
図4bに図示した、光変調器4に対する結像部10の相対運動を技術的に発生させるため、本発明の有利な実施形態では、結像光路11のレンズの前後にカー・セル12を配置することができる。可変電圧源13を変化させることにより、カー・セル12の屈折率を印加電圧に依存して変化させることができる。これにより、光変調器4に対する該光変調器4の結像部10がシフトされる。
【0053】
可変電圧源13の電圧が図4bの鋸歯プロファイルに近似するように変化すれば、図4cに理想的に図示したように、印刷版(感光材)5に対して結像部10はほぼ完全に不動になる。
【0054】
結像部10の運動プロファイルを、図4bの鋸歯に正確に近似できなければ、特に急激に下降するエッジ26が実際にはより扁平に下降するようにしか構成できない場合には、印刷版(感光材)5上での結像部10のぶれを回避するため、急激に下降するエッジ26の間、光源2をオフにさせることができる。急激に下降するエッジ26の間に駆動回路7を介して光変調器4を切換えて完全に非作動状態にしても、光源2をオフにした場合と同等の効果が得られる。
【0055】
図4bの運動プロファイルによる本発明による相対運動は、光変調器4を定置の露光・変調装置1に対し機械的に、特に圧電駆動により運動させることで、技術的に実現させることができる。位置決め装置6に、図4bの付加的な運動プロファイルを感光材5に付与する付加的な駆動部を備えさせてもよい。
【0056】
最後に、図2および図3を用いて説明した、従来の露光装置において発生するぶれの問題は、本発明によれば、光源2をパルス駆動させて、図4aの保持プラトー部分25の間に印刷版(感光材)5の露光を行わないようにすることによって解決できる。
【0057】
このように、本発明によれば、技術水準において原理的に発生していた、印刷版(感光材)5上での累積露光量19のぶれの問題を緩和もしくは解消する方法および装置が提案され、一方では品質の改善をもたらし、他方ではデータ伝送率を減少させることによってスループットを向上させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 露光・変調装置
2 光源
3 第1のレンズ
4 光変調器
5 感光材
6 位置決め装置
7 駆動回路
8 光変調セル
9 第2のレンズ
10 結像部
11 結像光路
12 カー・セル
13 可変電圧源
14 位置軸
15 照射部分
16 非照射部分
17 初期位置
17’ シフトした初期位置
18 最終位置
18’ シフトした最終位置
19 累積露光量
20 幅狭の非照射領域
21 凹部
22 時間軸
23 位置軸
24 フラットに上昇するエッジ
25 保持プラトー部分
26 急激に下降するエッジ
27 段部エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光材(5)の露光方法であって、光源(2)からの光を、多数列の光変調セル(8)を備えた2次元の光変調器(4)へ結像させて該光変調器により変調させ、次に光変調器(4)を結像光路(11)を介して感光材(5)へ結像させ、その際感光材(5)を、光変調セル(8)から成る列の方向に対し実質的に垂直に、光変調器(4)に対し相対速度で相対運動させ、且つ感光材(5)に結像されるべきデータパターンを、保持時間(T,T’)の間、光変調器(4)の最初に利用した列から始めて順次各列で表示させ、次に、データパターンが最後に利用した列から押し出されるまで該データパターンを光変調器(4)のそれぞれ次の列へシフトさせ、所定のデータパターンの結像部(10)が感光材(5)に対し平均して相対的に不動に保持されるようなシフト率でデータパターンをシフトさせるようにした前記方法において、保持時間(T,T’)の間、データパターンの結像部(10)を感光材(5)に対し実質的に不動に保持させることを特徴とする方法。
【請求項2】
光変調器(4)と感光材(5)との間の相対運動を、保持時間の間、実質的に相殺することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
データパターンの結像部(10)を光変調器(4)に対し周期的な運動プロファイルで運動させることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
運動プロファイルが、位置・時間図において、フラットに上昇するエッジ(24)と、急激に下降するエッジ(26)とを有し、特に鋸歯形状を有していることを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
運動プロファイルを、各列の間でのデータパターンのシフトと同期させ、特にフラットに上昇するエッジ(24)を保持時間(T,T’)の間に実施することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
急激に下降するエッジ(26)の間、光源(2)をオフにさせることを特徴とする、請求項2から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
急激に下降するエッジ(26)の間、すべての光変調セル(8)を切換えて非作動状態にさせることを特徴とする、請求項2から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
データパターンの結像部(10)を運動させるため、光変調器(4)を機械的に運動させ、特に傾動および/または変位させることを特徴とする、請求項2から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
データパターンの結像部(10)を運動させるため、結像光路(11)を変位させることを特徴とする、請求項2から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
結像光路(11)を変位させるため、電気光学的効果を利用して、特にカー効果を利用して、電圧(13)を変化させることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
結像光路(11)を変位させるため、転向ミラーおよび/またはレンズ(9)および/またはプリズムおよび/または楔板を機械的に運動させることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
結像光路(11)を変位させるため、結像光路(11)内に分散素子を配置して、光源の波長を変調することを特徴とする、請求項9から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
データパターンの結像部(10)を運動させるため、感光材(5)を機械的に運動させることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
保持時間(T,T’)をシフト率の逆数よりも小さく選定することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
保持時間(T,T’)を短くさせるため、光源(2)をパルス作動させ、および/または、光変調器(4)を切換えて周期的に非作動状態にさせることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか一つに記載の方法を実施するための露光・変調装置(1)であって、光源(2)と、多数列の光変調セル(8)を含む2次元の光変調器(4)と、光変調器(4)へ結像させるための装置(3)と、光変調器(4)を感光材(5)へ結像させるための装置(9)と、光変調器(4)と感光材(5)との間に相対運動を生じさせるための装置(6)であって、相対運動の方向が光変調セル(8)から成る前記列の方向に対し実質的に垂直に延びている、前記相対運動を生じさせるための装置(6)と、データパターンを保持時間(T,T’)の間に表示させ、次に該データパターンを光変調器(4)の異なるカラムを通じてシフトさせるための装置(7)であって、所定のデータパターンの結像部(10)が運動の間に感光材(5)に対し平均して相対的に不動であるように保持される前記装置(7)とを備えた前記露光・変調装置(1)において、保持時間(T,T’)の間にデータパターンの結像部(10)を感光材(5)に対し実質的に不動に保持させるため、露光・変調装置(1)が光変調器(4)と感光材(5)との相対運動を相殺するための手段(12,13)を有していることを特徴とする装置。
【請求項17】
保持時間(T,T’)の間にデータパターンの結像部(10)を感光材(5)に対し実質的に不動に保持させるため、露光・変調装置が、結像光路(11)を光変調器に対し相対的に変位させるための手段(12,13)を有していることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記変位させるための手段が、機械的に運動可能な光学要素、特にレンズ(9)および/またはプリズムおよび/またはミラーおよび/または楔板を含んでいることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記変位させるための手段が、分散素子、特に格子および/またはプリズムを含み、光源(2)がその波長を変化させるための手段を有していることを特徴とする、請求項16または17に記載の装置。
【請求項20】
前記変位させるための手段が、電気光学要素、特にカー・セル(12)を含み、電気光学要素(12)を制御するために可変電圧源(13)が設けられていることを特徴とする、請求項17から19までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項21】
前記相殺するための手段が、特に圧電駆動部および/または振動コイルの周期的運動を光変調器(4)および/または感光材(5)に対して変調するための手段を含んでいることを特徴とする、請求項17から20までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
前記変調するための手段および/または前記変位させるための手段が、周期的運動の間にエネルギーを蓄積して放出するように構成されたエネルギー蓄積器を有していることを特徴とする、請求項17から21までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
前記変調するための手段および/または前記変位させるための手段が、固体軸受を含んでいることを特徴とする、請求項17から22までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項24】
請求項1に記載の方法において、相対速度と、シフト率と光変調セルの高さの積との商が、少なくとも2であるように、特に2であるように、シフト率が選定されていることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法がさらに請求項1から15までのいずれか一つの請求項にしたがって構成されていることを特徴とする、請求項24に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−537236(P2010−537236A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521326(P2010−521326)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005970
【国際公開番号】WO2009/024225
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510043881)ザイコン アイピー ビーヴイ (1)
【氏名又は名称原語表記】XEIKON IP BV
【Fターム(参考)】