説明

ズームレンズ系

本発明のズームレンズ系は、物体の最終像と、上記物体と上記最終像の間の第1中間実像とを形成し、物体と第1中間実像との間に第1光学ユニットを有する。上記第1光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、光学サブユニットが移動して、第1中間実像のサイズ(倍率)を変化させる。上記ズームレンズ系は、第1中間実像と最終像との間に第2光学ユニットを有し、その一部が移動して最終像の大きさ(倍率)が変化する。上記ズームレンズ系は、上記焦点距離と光学像安定化ユニットとの間で連続的なズーミングが可能で、広範なズーム範囲を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、カメラや他の光学装置のための光学レンズ系に関し、特に、ズーム範囲の全ての焦点距離に渡って高品質画像を作り出すとともに、非常に大きなズーム比を付与できる高性能ズームレンズ系に関する。
【0002】
2.関連技術の説明
本発明の一般背景。放送用テレビジョン、高精細度テレビジョン(HDTV)、高品位テレビジョン(ATV)、ビデオカムコーダー(ビデオカメラ)、映画撮像、スチール写真など、あらゆる種類の写真撮影用ズームレンズの使用が益々普及してきている。ズームレンズ系の使用が増大するにつれて、広範囲に渡るズーミングの要求、すなわち大きなズーム比の要求も増大している。例えば、放送用テレビに使用されるズームレンズ系は、ここ数年、ズーム比性能の大きなものが確実に増大していて、現在のところ最大約101対1であるが、更に大きなズーム比の要求が在る。従来型ズームレンズ系の焦点距離の範囲は、差し込み式のエキステンダー(望遠レンズ)や他の倍増器を使用することによって、増大することができる。例えば、8.9mmから900mmの焦点距離範囲を持つ放送用テレビジョンのズームレンズ系は、望遠性能を増大させて、17.8mmから1800mmの焦点距離範囲に増大される。なお、これは約101対1のズーム比を変化させるものではない。更に、放送用テレビジョンのレンズ系については、焦点距離範囲や許容可能な「f」ナンバーに関して、「スタジオ」(屋内)の使用と「実況放送」(屋外)の使用とでは、要求が幾らか異なる。これによって、従来、屋内放送テレビ用と屋外放送テレビ用の2つの異なるズームレンズ系を使用して、両種類の使用を最大化することが慣例となっていた。
【0003】
更に、広範囲の焦点距離のズームレンズ系を使用したいという要求や要望に加えて、このようなレンズは、以前には単に、異なる一定焦点距離を持つ対物レンズを使用することによって、或いは、限定されたズーム比を持つズームレンズ系を使用することによって実現されていた優れた光学特性や性能を維持しなければならない。ズーム比が増大するにつれて、優れた特性や性能を持つ高性能光学系を提供することも困難になる。限定されたズーム範囲の在来のズームレンズ系でさえも、全ての焦点距離範囲に渡って十分に焦点調整できなかったり、近接物体に対して焦点を合わすことができなかったり、全ての焦点距離範囲およびフォーカス距離に渡って十分な光学性能を欠如していたり、コスト高であったり、達成される限定ズーム範囲に対してサイズが大きかったり等、1以上の望ましくない制限事項を有している。
【0004】
更にまた、レンズ系のズーム範囲が増大するにつれて、一般的には、その長さや重量が増大し、これによって、レンズおよびカメラをぐらつかせないことも困難になる。したがって、実際に大きな焦点距離範囲とズーム比を有するズームレンズ系を設計するためには、像の安定化が課題となる。
【0005】
更に、ズームレンズ系の焦点距離範囲が増大するにつれて、一般的に、焦点合わせの問題も増大する。近接ピント合わせは、ズーム範囲の長い焦点距離では絶対的に必要という訳ではないが、短い焦点距離では必要である。過去においては、無限大から非常に短距離、例えば8フィート以下の物体までの、可成り共役的な範囲に渡って、連続的にピントを合わせることは達成するのが困難であった。更に、例えば、或る人からレンズ距離の異なる別人に焦点を変化させるとき、或る人が光景から消滅するのを回避するために、短い焦点距離での(フォーカス距離が変化すると認識サイズは変化する)最終像の「ブリージング(breathing)」の問題は最小限でなければならない。最終像の品質の維持を含めたこれら焦点性能の要求は、ガラスの選択を含む全体的なレンズ設計によってサイズの最小化がなされない限り、また、性能の最大化がなされない限り、ズームレンズ系の重量およびコストを実質的に増大させる。
【0006】
ズーミングに関する情報。上で検討したように、広範囲な焦点距離を持つズームレンズ系は、放送用テレビジョン、映画撮影、ビデオ、スチール写真を含む多くの写真撮像用途において、非常に望ましいものである。これらの用途に使用される標準的なズームレンズ系は、4つの群PN(PまたはN)P構造を有している。ここにおいて、Pは、レンズ群が正のパワー(拡大力)を有する少なくとも1つのレンズ要素の群を表わし、Nは、レンズ群が負のパワーを有する少なくとも1つのレンズ要素の群を表わす。これらの群は、従来通り、物体空間なら像空間に向かって連続的に識別される。前部正群は、どのような焦点距離位置にも移動できて、ズームレンズの他の如何なる焦点距離に対しても再焦点合わせを行う必要もなく、ズームレンズ系の焦点を合わせることができるので、しばしばフォーカス(焦点)群と呼ばれる。第2負群は、変量器(バリエータ)であって、ズームミング中に大きな倍率の変化をもたらす。第3群は、一般に、正のパワーまたは負のパワーを有し、補償器(コンペンセータ)である。第3群は、像平面が静止状態のままであることを保証するために、移動可能である。また、上記第3群は、幾らかの変化を倍率に与えることができて、ズーミングを効果的にする。最終の正の第4群は、鮮明な像を形成するので、しばしば主要レンズ群と呼ばれる。
【0007】
この基本ズームレンズ系は、50:1あるいはそれ以上のズーム比に適している。しかし、ズーム比が約100:1にまでなると、変量器は、収差が実際に大きくなって修正するのが困難になる程度まで、ズーム時に物体の倍率を変化させることが必要になる。更に、このような大きなズーム比では、入射瞳位置がズーミング時に非常に大きく変化する。これは、前部群を非常に大きくし、修正を困難にする傾向がある。もう1つの問題は、倍率の大きな変化から生じる収差変化を減少させるために、変量器は減少した光学パワーを有することが望ましいという事実に由来している。しかし、弱い光学パワーは、レンズ行程および光学系の長さを増大させる。これは、狭小な視野に対しては問題とはならないが、広範囲な視野に対しては、大きな動きは、レンズ系後部において主要光線高さの増大をもたらす。同時にではないが、レンズ系の前部か後部かに対して上記要求が満たされるので、これは開口絞りに対して理想的な場所とはならない。もしも開口絞りがレンズ前部近傍に配置されると、前部レンズ要素の直径が減少し、その結果、収差は減少する。もしも開口絞りがレンズ系の後部近傍に配置されると、後部レンズの直径が減少し、その結果、収差は減少する。
【0008】
本発明の概要
本発明の目的は、大きなズーム比を有する従来型ズームレンズ系の上記問題と不足部分を解消するズームレンズ系を提供することである。更なる目的は、屋内および屋外の両方に使用できるズーム範囲の広い焦点距離と高性能特性とを持ったズームレンズ系を提供することである。この発明の更に別の目的は、約300対1の比と、例えば約7mmから約2100mmの焦点距離のズーム範囲とを有し、上記焦点距離間では連続的にズーミングできるレンズ系を提供することである。この発明の更にもう1つの目的は、中間像を形成するための前部ズームレンズ群と、その像を拡大する後部ズーム群とを有して、これにより非常に大きなズーム比を生じさせる高性能ズームレンズ系を提供することである。更に別の目的は、光学的像を安定化させるズームレンズ系を提供することである。また別の目的は、ズーム比の全ての焦点距離範囲に渡って正確な焦点合わせが可能な集束レンズ群を提供することである。
【0009】
大きなズーム比を達成すると格別な利益があるが、本発明のズームレンズ系は、従来のズーム比、例えば、携帯型ビデオカメラやスチールカメラなどの消費者製品に使われるズーム比を有することができる。本発明の付加的な目的は、これら小さなズーム比に適用するズームレンズ系を生産することである。
【0010】
本発明のその他のより詳細な目的および利点は、当業者には、様々な好ましい実施形態から容易に理解される。
【0011】
本発明のズーム比アスペクトの概要。本発明は、ズームレンズ系を現在約101:1のズーム比に限定している障害を克服する。本発明の基本的な考えは、2つの分離されたズームレンズ部から成る複合レンズ系を使用することと見なすことができ、そこでは、前部ズームレンズ部は中間像を形成し、後部レンズ部は、上記前部ズームレンズ部によって形成された中間像を最終像に移すリレーである。この完成した複合レンズ系の全ズーム比は、上記リレーのズーム比によって掛算された前部ズームレンズのズーム比に等しい。こうして、前部ズームレンズ部のズーム比が20:1であり、リレーのズーム比が15:1であるならば、複合ズームレンズ系全体のズーム比は300:1である。本発明は、300:1以上のズーム比を達成するために使用され、これは従来型ズームレンズ系の実用限界を大幅に越える。
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
好ましい実施形態の以下の説明は、実施形態の一部を形成する添付の図面に言及して行われる。図面には、本発明が実施される特定の実施形態が例証として示されている。本発明の好ましい実施形態の範囲を逸脱することなく、他の実施形態が用いられたり、構造的変更が行なわれ得ることは理解されるべきである。
【0013】
本発明は、その一般的特徴によると、物体の最終像を形成するためのズームレンズ系であって、上記系は上記物体と上記最終像との間に第1中間実像を形成し、上記系は
(a)上記物体と上記第1中間実像との間の位置に第1光学ユニット(例えば図10のレンズ要素8〜15)を備え、上記第1光学ユニットは、上記第1中間実像のサイズ(倍率)を変化させるために移動する少なくとも1つのサブユニット(例えば、第1光学ユニットに対する倍率の変化の主要源である図10のレンズ要素8〜11)を備え、
(b)上記第1中間実像と上記最終像との間の位置に第2光学ユニット(例えば図10のレンズ要素26〜33)を備え、上記第2光学ユニットの少なくとも一部分が上記最終像のサイズ(倍率)を変化させるために移動する(例えば、図10では、第2光学ユニットのレンズ要素26〜28が上記最終像のサイズを変化させるために移動する)ズームレンズ系を提供する。
【0014】
好ましくは、ズームレンズ系は、上記第1と上記第2の光学ユニットのいずれか一方または両方において、1または2以上の光学サブユニットを含む(例えば、図10では、レンズ要素12から15は、この機能の主要源である)。しかし、このようなサブユニットは、例えば、光学系が軸方向に移動可能なセンサを有しているならば、如何なる場合も必要とされない。
【0015】
好ましくは、ズームレンズ系は、第1と第2の光学ユニットに加えて、フォーカスユニット(例えば、図10のレンズ要素1〜7)と、瞳孔像ユニット(例えば、図10のレンズ要素16〜25)と、像安定化ユニット(例えば、図10のレンズ要素34〜39)との少なくとも1つを備える。
【0016】
好ましくは、上記焦点ユニットは、(1)上記第1光学ユニットの前に配置され、(2)ズームレンズ系の光学軸に沿って移動可能な2つの光学サブユニット(例えば、図10のレンズ要素2と要素3,4)を備え、(3)7つ以下のレンズ要素を備える。
【0017】
好ましくは、像安定化ユニットは、(1)系の光学軸から横方向に移動可能な少なくとも1つのレンズ要素(例えば、図10のレンズ要素34〜36)と、(2)上記光学軸に沿って移動可能な少なくとも1つのレンズ要素(例えば、図10のレンズ要素37〜39)とを備える。好ましくは、系を通過する光は、上記像安定化ユニットの横方向に移動可能な要素と軸方向に移動可能な要素との間で、実質的に平行にされる。
【0018】
本発明のズームレンズ系は、上記第1中間実像に加えて、物体と最終像との間に付加的な中間実像を形成することができる。系は、これらの付加的中間実像のサイズ(倍率)を変化させるために、上記第1と第2ユニット以外に、付加的な光学ユニットを有することができる。
【0019】
好ましくは、第1中間実像は、ズーミング時、ズームレンズ系の光学要素(例えば、系内で使用されるレンズ要素、プリズム、折曲鏡など)の間の空域内に形成されて、光学要素の表面を通過しない。これは、2つ以上の中間実像が形成されるときも、全ての中間像に対して、当てはまることが好ましい。
【0020】
系の他ユニットと組合せた第1光学ユニットは、従来型のズームレンズの形態をしている。同様に、系の他ユニットと組合せた第2光学ユニットは、従来型のズームレンズの形態をしている。このように、系全体は、本発明によって複合ズームレンズ間の瞳孔撮像を制御する2つの従来型ズームレンズの複合物として見ることができる。
【0021】
系全体は、また、中間像を形成する前部ズームレンズと、上記中間像を受け取ってその倍率を変化させて最終像を形成するリレー系とから成るとして見ることができる。
【0022】
本発明のズームレンズ系を表すこれらのアプローチ(取り組み)は、本文では、本発明の様々な特徴を詳細に検討するときに使用される。これらのアプローチは本発明を説明するのには便利な方法であるが、本発明はこれらの説明に限定されるものではなく、本発明の様々な実施形態および適用例は、この説明に完全には従うものではないことを理解しなければならない。
【0023】
他の特徴によると、本発明は物体の最終像を形成するためのズームレンズ系であって、上記ズームレンズ系は、最大焦点距離と最小焦点距離との間の焦点距離範囲を有し、上記焦点距離範囲内の全焦点距離対して、上記物体と上記最終像との間に少なくとも第1中間実像を形成し、上記ズームレンズ系は、
(a) 上記第1中間実像の大きさ(倍率)を変化させるために変化する焦点距離を有するとともに、上記範囲内の全焦点距離対して上記物体と上記第1中間実像との間に配置されている第1レンズユニットと、
(b) 上記最終像の大きさ(倍率)を変化させるとともに、上記範囲内の全焦点距離対して上記第1中間実像と上記最終像との間に配置されている第2レンズユニットとを
備えているズームレンズ系を提供する。
【0024】
付加的な特徴によると、本発明は、中間実像を形成する可変焦点距離前部レンズユニットと、上記中間実像の像(好ましくは、実像)を形成する可変倍率後部レンズユニットとを備えたズームレンズ系を提供する。
【0025】
更なる特徴によると、本発明は、物体空間からの光を集めるとともに上記光を像空間の最終像に供給する複合レンズ系であって、多重ズームレンズ部を備えた複合レンズ系を提供する。上記多重ズームレンズ部は、上記物体空間からの光で中間像を形成する最初のズームレンズ部と、上記像空間に上記最終像を形成する最後のズームレンズ部とを含んでいる。
【0026】
更に別の局面では、本発明は、物体の最終像を形成するためのズームレンズ系を提供し、上記ズームレンズ系は光学軸と前部レンズ表面と開口絞りとを有し、主要光線は上記開口絞りにおいて上記光学軸と交差し、上記ズームレンズ系は、上記ズームレンズ系の焦点距離を変化させるために移動する第1と第2のレンズユニットを備え、
(a)上記前部レンズ表面と上記最終像との間において、上記主要光線は、上記系の全焦点距離に対して、上記開口絞りのほかに少なくとも1つの他の部分で上記光軸と交差し、
(b)上記系は、上記系の全焦点距離に対して、上記第1と第2のレンズユニットの間の位置に中間実像を形成する。
【0027】
本発明のズーミング原理と系の説明。非常に高度な光学修正を行うことができる複合レンズ系(すなわち、前部ズーム/ズームリレー系)には、ユニークな特徴がある。完全なズーミング・モーションが段階的に生じる簡単なシナリオをちょっと想像してみる。第1の段階では、リレーは最初短い焦点距離位置に設定されて、低倍率の中間像を与える。そのとき、リレーの物体共役は小さな開口数NAを有し、その像共役は大きな開口数NAを有する。(従来から定義されているように、開口数「NA」は、光学系や光学要素に入出可能な光線の子午線から成る最大円錐の頂角の正弦に、上記円錐の頂角内の媒体の屈折率を乗じたものに等しい。レンズ系光学的規定では、その下に記載された「f」ナンバーは2倍のNAの逆数、すなわち、f=1/(2NA)に等しい。)上記リレーに対する物体空間のNAが、前部ズームレンズ部の像空間のNAに等しいので、この第1段階では、前部ズームレンズ部は、小さいNAに対して僅かに修正するだけでよいことは明らかである。
【0028】
第2の段階では、前部ズームレンズ部は長い焦点距離の位置に静止される。そのとき、リレーがズームされて、中間像をより大きく拡大する。この第2段階中に、系の焦点距離が増大するにつれて、リレーの像のNAが小さくなるとともに、リレーの物体のNAが大きくなる。したがって、前部ズームレンズ部の像のNAも大きくなる。しかし、同時に、系の焦点距離が大きくなるにつれて、実際に使用される中間像の半径方向の部分は次第に小さくなる。
【0029】
したがって、大きな中間像サイズで同時に大きな比口径(「f」ナンバー)に対しては、前部ズームレンズ部を修正する必要はない。寧ろ、小さな口径で大きな中間像サイズに対して、また、大きな口径で小さな中間像サイズに対して、前部ズームレンズ部を修正する必要がある。これは、本発明の前部ズームレンズ系と同一のズーム比を持つ従来型レンズ系の設計よりも、前部レンズ部の設計を容易にする。
【0030】
同様に、小さな倍率の焦点距離限界において、大きな像NAと大きな物体サイズとに対しては、リレーを修正するだけでよい。
【0031】
上で検討したように、前部ズームレンズ部とリレーに加えて、本発明のズームレンズ部は、好ましくは、瞳孔像ユニットを含む。このユニットは、リレーの入射瞳に、前部ズームレンズ部の射出瞳を像形成させる機能がある。適切なパワーを選択することによって、リレーのレンズ直径および付随する収差を最小化するのみならず、系の射出瞳位置の制御も向上する。
【0032】
上述したように、前部ズームレンズ部によって形成される中間像は、系を最小焦点距離から最大焦点距離へズーム(拡大縮小)されるとき、好ましくは、如何なるレンズ表面をも通らない位置に配置される。上記中間像が前部ズームレンズ部と後部リレーとの間に存在することによって、上記中間像は、前部ズームレンズ部でズーミングさせる軸方向に移動可能なレンズユニットの後、且つ、後部ズームレンズ部でズーミングさせる軸方向に移動可能なレンズユニットの前に、自動的に存在することになる。本発明の実施形態では、中間像はズーミング中に移動できる。したがって、好ましくは、中間像のいずれかの側に在るレンズ表面の位置は、レンズ表面が固定されているか移動しているかに無関係に、また、中間像の動きに拘わりなく、上記表面が系の全ズーム範囲に渡って上記中間像から間隔が開くように、選択されている。
【0033】
図1〜3に、上述の本発明の様々な特徴が、約300:1のズーム比を持つPNPP−PNPP複合レンズ系について示されている。図1に示すように、この複合ズームレンズ系は、ズーム比が約20:1の前部ズームレンズ部と、ズーム比が約15:1の後部ズームレンズ部(リレー)とを有する。図1には、群(グループ)と正のパワー記号(P)あるいは負のパワー記号(N)が示されている。この複合ズームレンズ系において、前部ズームレンズ位置が(図1に示す)最短焦点距離位置から、(図2に示す)最長焦点距離位置へ作動するとき、リレーは静止している。一旦、前部ズームレンズ位置が長い焦点距離位置に到達すると、リレーは中間像の倍率を変化させ始め、複合系の焦点距離を更に増加させる。図3は最大焦点距離状態での系を示す。上記系では、前部ズームレンズ位置は最大焦点距離位置に在り、且つ、後部ズームレンズ(リレー)位置は最大倍率位置に在る。
【0034】
図1と図2は、中間像平面における小さなNAと、短から長へのズーミングの初期段階時に生じる最終像平面における大きなNAとを示す。図1と2に示すように、この段階の間、中間像のサイズは大きい。図3は、最長焦点距離位置で、NAは、中間像においてより大きくなり、最終像においてより小さくなることを示す。
【0035】
注意すべきは、この例では、8つのズームレンズ群が存在するが、その内の4つ群のみがズーミング用に独立して移動できる。第1群と第4群と第5群と第8群とは、全て、最終像に対して静止している。しかし、これらの群の内の1以上の群は、焦点合わせをするときに移動できる。
【0036】
ここに述べるシナリオは、例示目的のためにある。実際には、ズーミング運動を2つの段階に明確に分ける必要はない。その結果、リレーあるいはリレーの一部は、初期のズーミング中に移動できて、焦点距離の長限界近傍には存在しない。
【0037】
上述した図1〜3の例は、PNPP−PNPP構造を有し、上記ダッシュ「−」は前部ズームレンズ部の端部を示している。前部レンズ部と後部ズームレンズ部の双方は、変量器(バリエータ)と補償器(コンペンセータ)のズーミング群を有している。この形態の利点は、必要に応じて、中間像を完全に静止させることができることにある。像を静止させることによって、最終像に現れる表面欠陥や塵埃像を露呈させる光学表面を、像が通過するのが防止される。後部ズームレンズ部に4群構造を用いることにより、イメージセンサのテレセントリックな要求を満たすために重要となる優れた射出瞳位置の制御が可能となる。
【0038】
中間像の動きが許容されるならば、補償器の1つを除去することができる。この場合、ビーム(光線)直径が比較的小さいとき、後部補償器のみが動くので、後部補償器を取り外すのが好ましい。その際、結果的に生じる構造は、PNPP−PNP形態になる。
【0039】
これら双方の形態に対して、前部ズームレンズ部の射出瞳とリレーの入射瞳とを一致させるように、注意しなければならない。この目的のために、接眼レンズ状群は、中間像から広がる発散光線を略平行な光線に集束させるのに有効であり、上記略平行な光線は、無限共役のために修正された通常のPNP−PNPP型ズームレンズ系に入射する。
【0040】
この種の高速(大口径)で超広範囲な焦点距離の複合ズームレンズ系の特徴の一つは、中間像およびその像欠陥が、長い焦点距離の位置において、リレー内のズーム群によって大きく拡大されることである。このことによって、前部ズームレンズ部および特にフォーカシング群での第2色収差の修正に関する要求が厳しくなる。この修正を行うために、少なくとも1つ恐らくは数個の弗素クラウンガラス要素を使用することが必要になる。この代りに、フッ化カルシウムまたはバイナリ(回折性)表面がこの目的のために使用される。
【0041】
本発明の実施に際して、様々なバイナリ(回折性)表面(回折要素)が、使用される。例えば、応用例として、キャノンに付与された米国特許第6,507,437号に開示されている種類の1または2以上の回折光学要素は、色収差を修正するために、単独あるいは他の方法と組み合わせて使用することができる。
【0042】
既存のズームレンズ系よりもPNPP−PNPPまたはPNPP−PNP形態を使用することの大きな利点の一つは、前部ズームレンズ部と後部ズームレンズ部(リレー)系との双方が非常に大きなズーム比を有し得ることである。この場合、前部ズームレンズ部あるいは後部ズームレンズ部のいずれかが、20:1或いはそれ以上のズーム比を有することが極めて合理的である。したがって、全ズーム比は400:1或いはそれ以上が可能となる。しかし、このような大きなズーム比が必要でないならば、2つの移動群を有するNP形態のリレーを代用することにより、系を大幅に簡素化できる。このようなリレーは、リレーの全ズーム比が約3:1から10:1の大きな開口(口径)のものに適用するのには、非常に有用である。図4Aおよび図4Bには、ズーム比が約20:1のPNPP前部ズームレンズ部とズーム比が約6.5:1のリレーとを有して、約130:1のズーム比となった複合ズームレンズ系の例が示される。図4Aは約7mmの最小焦点距離を示し、図4Bは約900mmの最大焦点距離を示す。この形態の利点の一つは、最後部のレンズ群が静止してないことである。従って、大きな開口で相当の倍率変化に耐えるように設計しなければならなく、これは設計を多少難しくする。
【0043】
この場合、最大ズーム比は低下するが、NP前部ズームレンズ部とNP後部ズームレンズ部(リレー)とから成る更に簡素化された構造を設計することができる。明らかに、前部ズームレンズ部と後部ズームレンズ部に対して、技術を一般化して、様々なズームレンズ構造の多数の組合せを含むようにすることができる。例えば、高ズーム比の超広角ズームレンズ系は、ズーム比が約2:1のNP,NPPまたはNPNPの超広角前部ズームレンズ部と、ズーム比が約6.5:1のNP後部ズームレンズ部(リレー)とを用いて、組み立てることができる。この結果、上記複合レンズ系は100度以上の最大視野角と約13:1のズーム比を有することになる。図5Aと図5Bは、2/3センサに対して、ズーム比が約13:1の4.4mm〜57.2mm,f/3〜f/7複合ズームレンズ系を示す。この複合ズームレンズ系では、広角端の全画角が102度を越える。明らかに、図1〜3に使用のものと類似したPNPP型後部ズームレンズ部(リレー)を、これと同じ超広角前部ズームレンズ部と共に使用して、約30:1のズーム比を持つ超広角複合ズームレンズ系とすることができる。
【0044】
これら全ての形態について、中間像が存在することが共通していて、このことが、一般に従来型ズームレンズ系では利用できなかった収差修正に対して比類ない機会を提供している。例えば、中間像近傍に位置する要素の非球面は、歪およびその他の視野収差に大きな影響を与えるが、球面収差修正には影響を与えない。この領域に非球面を配置する利点は、光線直径が小さく要素自体も小さいために、許容差が大きくなることに在る。これは、この領域での非球面の使用コストが最小であることを意味する。
【0045】
好ましい実施形態の詳細な説明。「本発明のズーミング原理と系の説明」という題目の章に記載している如く、ここに開示された本発明の各実施形態は、前部ズームレンズ部と後部ズームレンズ部とを含み、これにより、複合ズームレンズ系を形成する。中間像は前部ズームレンズ部の後に形成され、これにより、後部ズームレンズ部が、中間像を拡大するズームリレーとして機能して、カメラのフィルムや、電荷結合素子(CCD)のような他の光検知器や捕獲装置によって捕えられる拡大最終像を生みだす。この適用目的に対して、「カメラ」という用語は、本発明のレンズ系の背後に配置される光検出装置あるいは光捕獲装置を記載するために、総称的に用いられ、スチール、ビデオ、映画などの捕獲装置、或いは、瞳孔、肉眼を含む。「カメラ」という用語は、フィルムやビデオテープや光学ディスクやCMOSやCCDあるいは他の記憶メディアの有無とは無関係である。このような「カメラ」は追加のレンズ要素を含んでもよい。現在のところ、前部ズームレンズ部は2つの移動ズームレンズ群から成り、後部ズームレンズ部は1つあるいは2つの移動ズームレンズ群から成ると考えられている。しかし、移動ズームレンズ群は、本発明から逸脱することなく、より多く或いは少ない移動ズームレンズ群が使用され得ると理解しなければならない。また、目下のところ、全複合ズームレンズ系には唯一の中間像が形成されるが、本発明の他の実施形態では2以上の中間像が形成され得ることが考えられる。
【0046】
本発明の複合ズームレンズ系は、好ましくは、上記前部ズームレンズ部および後部ズームレンズ部に加えて、集束レンズ群を含む。ここに開示されている各実施形態が示すように、焦点レンズ群はレンズ系の前部に配置されることが好ましい。しかし、本発明の他の実施形態の複合ズームレンズ系においては、焦点の一部或いはおそらく全部を他のところに合わせることも可能である。
【0047】
この複合ズームレンズ系に単一の中間像が形成されるとき、最終像は、対物レンズによって作られる従来の方位とは、上下左右逆である。したがって、像の方位はカメラによって調整されなければならない。例えば、検出器用の単一チップを使用するビデオカメラは、単に、チップを光学軸の周りに180度回転できて、上記チップは、最終画像が以前から方向付けられているかの如く、最終画像を読み込むことができる。ビデオカメラの方位の問題の解決法は、データを走査する順序を逆にすることである。すなわち、データは、左から右に上から下に読み込まれる代わりに、右から左に下から上に読み込まれて、従来の方位が達成される。ビデオカメラの方位の問題に対するもう1つの解決法は、使用転送前に「フレームストア(画面記憶)」機能を用いてメモリチップ上の全フレームを記憶するビデオカメラに対しては、記憶されたフレームをフレーム記憶メモリから逆の順で転送するだけである。映画フィルム用カメラについては、フィルムマガジン付きカメラ全体を上下逆にし、その結果、像方位の修正のためにフィルムを上方に走らせる。従来のように使用すると共に本ズームレンズ系を使用する映画フィルム用カメラの像方位に対するもう一つの解決法は、デジタル合成を使用することである。このデジタル合成では、フィルムがデジタル的に走査され、次に、例えば、デジタル操作後に、像が従来の方位で新しいフィルムに組み付けられる。本発明のレンズ系の中のプリズムあるいは本発明のレンズ系に接続されたプリズムは、最終像の方位を修正する。この方法については、最終像の品質が過度に劣化しないように注意しなければならない。特に本レンズ系の高性能な適用例に対しては、注意しなければならない。
【0048】
本発明のズームレンズ系が複合ズーム構造であるので、多くの場合、複合レンズ系のボディは相当に長い。このため、カメラに対するレンズ系の撓みや振動は、カメラの最終像に許容できない撓みや振動を引き起こす。したがって、少なくとも大きなズーム比や長い焦点距離や実質長さを有する本発明の複合ズームレンズ系では、像安定化構造を用いることが考えられる。ビデオカメラへの適用には、電子像安定化が適している。一方、高性能ズームレンズ系への適用については、光学像安定化構造が、複合レンズ系ボディ内に、好ましくはレンズ系のカメラ端の近傍に、含まれていることが望ましい。これは、下文に記載されているように図10〜62の実施形態に含まれている。
【0049】
本発明の複合レンズ系を最大性能の一体型ユニットとして設計し組立てることが望ましいが、基本的な特徴を発揮するために、2つ以上の分離可能な構成部品を使用することも可能である。例えば、従来型ズームレンズまたはその改良型が前部ズームレンズ部として使用され、次に、後部ズームレンズ部が分離アタッチメントから構成される。上記分離アタッチメントは、前部ズームレンズ部によって形成された像をリレーすると共に上記像の倍率を変化(ズーム)させる。上記像は、最終像を形成するために「中間」像となる。このように、前部ズームレンズ部は1つのズーム比を提供し、後部アタッチメントズーム部は別のズーム比を提供する。しかし、このような組合せに対して、許容できる光学品質の最終像を得るために、瞳孔画像は制御されねばならない。本発明の複合レンズ系を提供するために、その他の従来型改良型レンズ部の組合せも用いられる。
【0050】
図6A〜9Bは、本発明の4つの異なるズームレンズ系の光学線図を示す。図6A〜9Bの各図の右における2つの直方体のブロックは、3CCD2/3インチ検出器用のプリズムブロックを示している。上記3CCD2/3インチ検出器は、上記ビデオカメラの一部であり、したがってズームレンズ系の一部ではない。
【0051】
次の表は、これら4つの実施形態の各々について、レンズ系光学的規定と、様々な表面に対する可変厚さ位置と、様々な表面群に対する焦点距離および倍率等とを列挙している。多数の表面数と全要素を含む光学線図の小さな縮尺とを考慮し、簡単かつ明確にするために、図6A〜9Bでは幾つかの表面のみが、レンズ系光学的規定に記載の表面に対応して識別されている。表の詳細な説明は表の次に与えられている。

























【0052】
4つの実施形態の各々に対する上記レンズ系光学的規定において、レンズ要素の各表面は左端欄(「表面」)で識別されている。その表面の半径は第2欄(「半径」)で識別されている。上記表面と次の表面との間の光学軸の厚さは、ガラスと空気との如何に拘わらず、第3欄(「厚さ」)で識別されている。ガラスレンズ要素の屈折率は第4欄(「ガラスインデックス」)に記載されている。レンズ要素に対する分散値は第5欄(「ガラス分散」)に記載されている。第1欄の「表面」の表面番号は、従来のやり方で図の左から右すなわち物体空間から像空間に番号付与された表面を表している。
【0053】
上記各レンズ系光学的規定の左手すなわち「表面」の欄では、結像される(例えば撮影される)物体は、「物体」として識別され、調整可能なアイリスすなわち絞り(ストップ)は「絞り」として識別され、最終像は「像」として識別される。移動可能ズーム群の片側のようなレンズ要素間の調整可能空間は、レンズ系光学的規定の第3欄すなわち厚さの欄において「可変」として識別される。EFLと半径と厚さの寸法は、ミリメートル単位で与えられ、上記厚さは光学軸上の上記表面の後方距離である。ダブレットやトリプレットのように、隣接する要素の2つの表面が同じ半径を有して合致するとき、第1欄すなわち「表面」欄では、1つの表面のみが識別されている。
【0054】
4つの実施形態の各々について、各非球面に対する非球面係数は光学的規定の表の次に与えられている。
【0055】
更に、4つの実施形態の各々について、各レンズ系光学的規定の様々な表面に対する可変厚さ位置の表が付与されている。上記表は、(光学的規定表の表面の欄の項目に対応する)様々な表面に対し、書式「Px」において位置を識別している。また、各位置に対して、有効焦点距離(EFL)と「f」ナンバー(F/No.)とが与えられている。
【0056】
図6〜図9Bの4つの実施形態の各々について、それらの違いを特定するために、簡単に説明する。図6Aと図6Bの実施形態は、レンズの物体空間端の焦点レンズ群「焦点」と共に3つの移動可能なレンズ群すなわちズーム1群とズーム2群とズーム3群を用いて、約7.25mm〜900mmの有効焦点距離範囲を有し、約125:1のズーム比を与える。ズーム3群は、実際には、表面S47とS48との間で少し動く2つの要素群から成る(図6Aと図6Bとを比較)。図7Aと図7Bとの実施形態は、4つの移動可能ズームレンズ群(ズーム1,2,3,4)と1つの焦点レンズ群とを用いて、約7.27mm〜2088mmの有効焦点距離の範囲を有し、これは約287:1のズーム比を与える。図8Aと図8Bとは、約7.27mm〜2095mmの有効焦点距離範囲を有し、これも約287:1のズーム範囲を与えて、図7Aと図7Bのレンズ実施形態の性能と酷似している。同様に、図9Aと図9Bとの実施形態は、約7.27mm〜2092mmの有効焦点距離範囲を有し、これも約287:1のズームレンズ比を与えるが、3つの移動ズームレンズ群のみを使用する。これら4つの実施形態は各々複数の非球面を含んでいる。レンズ系光学的規定に示すように、図8A〜8Bおよび図9A〜9Bの実施形態はこのような表面を2つのみ有し、一方、図7A〜7Bの実施形態はこのような表面を8つ有する。また、図9Aと図9Bの実施形態は、以下に記載するように、図10〜62の実施形態と同様、レンズ系のカメラ端部近傍に光学像安定化レンズ要素を含んでいる。
【0057】
図10〜図62の実施形態の詳細な説明。「図面の簡単な説明」と題する章で述べているように、図10〜図62は、全て、放送用テレビ市場に直接且つ即座に適用できる本発明の単一の実施形態に関するものである。もっとも、他の市場も利用でき、本発明の他の実施形態や変形例は他の市場にも適用できる。本発明の複合レンズ系の実施形態は、焦点距離が約7mm〜2100mmのズーム範囲を有していて、これによって約300:1のズーム比を与える。このズーム比は、放送用テレビズームレンズ系において現在入手可能なズーム比の3倍以上である。図10の光学線図を詳細に参照すると、ズームレンズ系ZLは、焦点レンズ群FGと、前部ズーム群FZGと、後部ズーム群RZGとから成っている。この実施形態を説明するにあたって、レンズ系の絞りは、レンズの「前部」と「後部」の間の分割器として使用されている。上に記載の「本発明の様々な特徴と開示された実施形態の説明」で使用されている用語について、焦点レンズ群FGは焦点ユニットであり、前部レンズ群FZGは第1光学ユニットであり、後部レンズ群RZGは瞳孔撮像ユニットと像安定化ユニットと第2光学ユニットとを含んでいる。
【0058】
焦点レンズ群FGは、静止した前部レンズ要素1を含めて7つのレンズ要素1−7から成り、これにより、要素1をレンズバレル(図示せず)に固定し密封することによって前部においてレンズは密封される。第1焦点群FG1はレンズ要素2を備え、第2焦点群FG2をレンズ要素3,4は備える。これら両群は独立して移動できて、各焦点距離において所望の焦点合わせを行う。焦点群FGの要素5〜7は静止している。
【0059】
前部ズーム群FZGは、レンズ要素8〜11から成る第1ズーム群ZG1と、レンズ要素12〜15から成る第2ズーム群ZG2とを有する。これらズームレンズ群は、両方とも、独立して移動できる。アイリスすなわち開口絞りである「絞り」は、第2ズーム群ZG2と、後部ズーム群RZGの前部を形成する第1群RG1との間に、配置されている。
【0060】
第1群RG1は、静止したままのレンズ要素16〜25から成る。中間像は上記第1群RG1内のレンズ要素22と23の間に形成される。この第1群RG1のレンズ要素16〜25は、全て常に静止したままである。レンズ系を最大と最小の焦点距離間でズーミングするとき、中間像は、長い焦点距離でレンズ要素22と23との間の光学軸に沿って移動し、これらの要素に接触することはない。後部ズーム群RZG内の次のレンズ群は第3ズーム群ZG3である。第3ズーム群ZG3は軸方向に移動可能なレンズ要素26〜28から成る。後部ズーム群RZG内の次のレンズ群は第2群RG2である。第2群RG2は、静止のレンズ要素29〜33から成る。後部ズーム群RZG内の次の要素は安定化群SGを備える。安定化群SGは、レンズ要素34〜36を持つ半径方向分散化群SG1と、レンズ要素37〜39を持つ軸方向調整群SG2とを有している。上記3つのズーム群ZG1,ZG2,ZG3は独立して光学軸に沿って移動できて、焦点距離の全範囲は約7mm〜2100mmに渡る。最後に、図10は、元来ズームレンズ系の一部でない2つのプリズムブロック40,41をも示している。上記プリズムブロック40,41はビデオカメラの3個の従来型CCD2/3インチ検出器に匹敵する。上記検出器は物体空間から最終像までの光学ダイヤグラムを完成するためのものである。
【0061】
第1分安定群すなわち散化安定群SG1は、検知されたレンズの振動に対応して、系の光学軸からどの半径方向にも、約0.5mm以上移動できて、最終像を像平面の安定化された位置に維持する。振動の検知および群SG1の移動は従来型手段によって行われる。従来手段には、加速度計、電算処理装置、この電算処理装置によって閉ループ系で連続的に制御されるモータなどが在る。第2安定群すなわち軸方向安定化群SG2は、後方焦点を調整するために、軸の両方向に約1.2mm以上移動し調整することができる。また、第2安定化群SG2は、軸方向に大幅に移動して、伸長された近接焦点をレンズの短焦点距離に合わせることができる。第1安定化群SG1と第2安定化群SG2との間、すなわち、レンズ要素36と37の間の光線は、実質的に平行にされるので、安定化の達成、近接焦点の伸長、或いは後方焦点の調整のために、これら2つの安定化群が動いても、最終像に重大な劣化を引き起こすことはない。
【0062】
また、上記分散安定化群SG1は、レンズ群SG1を或る振動のパターンで半径方向に移動させることによって、特殊効果を生じさせるために使用することができ、これにより、例えば、地震や移動車両あるいは戦争映画での爆発によって引き起こされるような振動をシミュレート(模倣)することができる。このような特殊効果は、レンズ群SG2を軸方向に振動するように移動させることによっても生じるが、映像は少しピンぼけになる。SG1の半径方向の動きは、SG2の軸方向の動きと組み合わせて、異なる特殊効果を生じさせることができる。
【0063】
図10〜図62の実施形態に対するズームレンズ系ZLの完全なレンズ設計要件は、遍く「図10〜図62の表」と題した下記表に記載されている。このレンズ系光学的規定の表は、図6A〜図9Bのズームレンズに対する前述のレンズ規定と類似したものである。この表の詳細な説明は、表の次に与えられている。







【0064】
上記レンズ系光学的規定の表は、レンズ仕様の「リスト」であり、左手欄に各レンズ「表面」を数値列挙している。また、上記レンズ系光学的規定の表は設計に用いるダミー表面を含み、これは、例えば、ダミー表面S1,S8,S9,S18,S65,S74,S84である。第2欄の「半径」は各表面の半径を列挙し、負の半径は曲率の中心が左に在ることを示す。第3欄の「厚み」は、レンズ要素の厚み、或いは、光学軸上の表面から次ぎの表面への間隔を列挙している。第4欄の「ガラス名」はガラスの種類を列挙している。第5欄の「製造者」は各ガラス材料の製造者を列挙している。第5欄の「半開口」は、各レンズ要素の開口直径の測定の半値である。
【0065】
左手欄の銘「物体」は、撮像(例えば撮影)される物体を意味する。銘「絞り」は、アイリスすなわち絞り(ストップ)を意味する。銘「像」は最終像を意味する。各表面は、表面を上記レンズ要素識別数値と区別するために、「S」付きの数値で識別されている。なお、上記レンズ要素は、図10に関連して上述した39個のガラスレンズ要素と、検出器のプリズム40,41とを備えたものである。
【0066】
表面を列挙した上記表の第3欄に記載された各厚みの寸法値は、光学軸に沿った要素の厚みまたは空域であるが、その際、ズームレンズ系ZLは最小焦点レンズ(7.39mmEFL)にセットされ、焦点は無限大に合わせられている。
【0067】
各非球面については、非球面係数が光学的規定の表の次に与えられている。
【0068】
図11〜30は、図10のズームレンズ系に対して、代表的な二十の配置を示している。これら二十の配置は次の「レンズ配置の表」に列挙されている。

【0069】
図10のズームレンズ系ZLの典型的な性能を確証するために、中間配置の外に焦点距離およびフォーカス距離の典型的な究極配置として、上記二十の配置が選択された。すなわち、配置1は約7.4mmという最小近軸焦点距離(広角)に在って、無限大に焦点を合わせている。一方、配置18は、同じ焦点距離に対して、2550mm(約8フィート)に焦点を合わせている。同様に、配置12は、無限大焦点で、約2065mmの最大近軸焦点距離を示す。一方、配置15は、同じ近軸焦点距離で、2550mmの焦点を示す。第1欄の近軸EFLは無限大焦点でのものである。「f」ナンバーは、所定の焦点および全開口での値である。12の異なる焦点距離は、ズームレンズ系ZLの全範囲に渡って、典型的な焦点距離を提供する。また、注目すべきことは、下記レンズ系光学的規定のデータ域を越えたズームレンズ群の物理的な過剰移動(オーバートラベル)や歪みの結果として、実際の視野は、見掛け上約7.0mmから2100mmの焦点距離範囲すなわち約300:1のズーム比を生じる。歪みは主に最小近軸EFLの減少に影響し、過剰移動は主に最大近軸EFLに影響する。焦点が8フィートにセットされた2100mmのEFLでは、倍率は約1.33:1.00である(像のサイズに対する物体)。図10〜図62の実施形態の公称レンズの設計値は、図10〜図62用のレンズ光学的規定表に記載されているが、気温77°F(25°C,298K)および標準大気圧(760mmHg)の下で与えられる。
【0070】
図11〜図30を参照すると、前述のレンズ光学的規定表およびレンズ配置表に記載にされている二十の配置1〜20が、順番に示されている。例えば、図11は、配置1のレンズ要素の光学線図である。すなわち、図11は、7.391mmの近軸有効焦点距離(EFL)で無限大に焦点が合わされた光学線図であって、第1焦点群FG1と第2FG2とは近接分離され、第1ズーム群ZG1と第2ズーム群ZG2とは遠隔分離されている。第3ズーム群ZG3は最前方の位置に在る。一方、図25は、配置15を示す光学線図であって、最も大きな焦点距離と最も短いフォーカス距離とを有する。ここにおいて、第1焦点群FG1と第2焦点群FG2とは共に最後尾の位置に在る。第1ズームレンズ群ZG1と第2ズームレンズ群ZG2とは、間隔が近接した位置に在るが、隣接するレンズ群の間の中間に位置している。第3ズームレンズ群ZG3は最後尾の位置に在る。
【0071】
図31〜図34は、7つの焦点群FG要素1〜7のみの拡大された光学線図であって、それぞれ、配置1,18,12,15を示している。注意すべきことは、図32および図34は、レンズ要素の位置が同じで2550mmのフォーカス距離を示すが、図32の約7.4mmの最小値から図34の約2065mmの最大値へと近軸焦点距離が異なるために、光線のトレーシングが異なる点である。
【0072】
図35および図36は、それぞれ、最小近軸焦点距離の配置1と最大近軸焦点距離の配置12における焦点群FGの最終レンズ要素7と第1ズーム群ZG1と第2ズーム群ZG2とを示す拡大光学線図である。同様に、図37と図38とは、それぞれ、第3ズーム群ZG3が最前方に在って最小近軸焦点距離位置を示す配置1の後部ズーム群RZGと、第3ズーム群ZG3が最後方に在って最大近軸焦点距離位置を示す配置12の後部ズーム群RZGを示す。
【0073】
図39〜図58を参照すると、それぞれ、配置1〜20の光線収差グラフが従来の手法で示されている。各図は、そこに列挙されているように、最上部で最大視野高さを持つとともに最下部(底部)で零の視野高さを持つ5つの別々のグラフであって、それぞれのグラフが5つの波長を対するものである。当業者には容易に理解されるであろうが、これらの性能曲線は、二十の配置全てにおいて、当該ズームレンズ系が、現放送用テレビNTSCに対して並外れた品質を発揮することを保証すると共に、HDTV放送用テレビに対しても並外れて十分な品質を発揮することを保証するものである。配置12を表す図50は、この焦点距離で無限大に焦点を合わせたこの光線収差においては大きな変化を示すが、変調伝達機能が回折限界に近いために、性能は満足すべきものとなっている。同様に、図52と図53とは、それぞれ配置14と15とを表し、光線収差が広範に変化することを示すが、これらの近接焦点および長い焦点距離の位置に対する回折限界に関しても、許容できるものである。
【0074】
さて図59を参照すると、第1焦点群FG1と第2焦点群FG2のカムグラフ(cam graph)が、物体空間を左にして無限大から近接焦点までの全範囲の焦点移動に渡って、(それぞれ左と右に)示されている。上記第1焦点群FG1と第2焦点群FG2とは、別々に移動し、図59の実線で示されたカム線は殆ど平行に見えるが、正確には非同速度で移動する。図59の頂部と底部のクロスハッチング(斜交平行線模様)部は、温度変化とか製造許容誤差とか組立位置合わせとかを考慮したものである。図60は、同様に、3つのズーム群ZG1,ZG2,ZG3に対するカムグラフをそれぞれ左から右へ示したものであり、所望の焦点距離が得られるように全範囲に渡って連続的に調整されるものの、3つのズーム群全てが独立して移動することは容易に分かる。図61は、近軸有効焦点距離に対する開放絞り(オープンストップ)の「f」ナンバーのグラフである。同様に、図62は、全範囲を通しての近軸有効焦点距離に対する完全開口完全絞り(フルアパーチュア・フルストップ)の直径のグラフである。
【0075】
その他の実施形態の詳細な説明。図63と図64とは、本発明のその他の実施形態の例を示す。このズームレンズ系の実施形態は、双対(回折)表面が設けられている以外、図8Aおよび図8Bの実施形態と酷似している。具体的には、双対表面は、第2レンズ要素の前部表面(上記規定における表面3)上に設けられている。レンズ系光学的規定は、あまねく「図63と図64の表」と題された下記表に記載されている。この表の詳細な説明は、表に続いて与えられている。



双対表面3の規定は、上に挙られたレンズ系光学的規定の表に続いて記載されている。双対表面3は波面に相(フェーズ)を付与する。双対表面3を設けることによって、レンズの焦点部内にある第2〜第5レンズ要素の2,3,4,5は、BK7などのような比較的安価なガラスから作ることができ、したがって、SFPL51などの異常分散特性を有する高価な光学ガラスから作る必要はない。軸方向光線の直径が最も大きいレンズ系前部の近傍にこの双対表面3を含むことは有利である。一方、双対(回折)表面を別の所に設けること、或いは、このような表面を2箇所以上設け得ることは、当業者には容易に理解される。また、その他の収差修正法も有利に用いることができる。注意すべき点は、この実施形態も2つの非球面12,26を組み込んでいることである。
【0076】
図63はズームレンズ系を示す。上記ズームレンズ系は、最も長い焦点距離に配置されたズームレンズ群と、無限大に焦点を合わせた焦点レンズ群とを有する。同様に、図64の光線収差のグラフは、無限大の焦点且つ最大焦点距離のものである。注意すべき点は、この実施形態の双対表面が、ここに開示された発明の如何なる実施形態にも、また、今後生じる本発明の変形例にも使用できることである。
【0077】
図65と図66とは、本発明の別の実施形態の例を示す。本発明のズームレンズ系に関するこの実施形態は、双対表面が設けられていることを除いて、図10〜図62の実施形態に酷似している。具体的には、双対表面は、左から第3目のレンズ要素の前表面(規定では表面番号6)に設けられている。図10〜図62に関連して上述したように、第3レンズ要素は、第2焦点群FG2を形成する2つのレンズ要素の内の第1番目(前)のレンズ要素である。上記第2焦点群FG2は、焦点合わせのために、第2レンズ要素のみから成る第1焦点群と共に軸方向に移動できる。図65と図66の実施形態のレンズ系光学的規定は、あまねく「図65と図66の表」と題された下記表に記載されている。





【0078】
双対表面6の規定は、上に列挙されたレンズ系光学的規定の表に続いて記載されている。図10〜図62の実施形態に関する基本的なレンズ系光学的規定に双対表面6を追加することによって、レンズ要素3,4(図65の左から第3番目と4番目)のフルオロ・クラウン・ガラスの代わりに、例えばBK7のような安価なガラスを使用することができる。その他の小さな変化は規定においてもなされるが、図65と図66のズームレンズ系は、図10〜図62の実施形態と同一番号のレンズ要素と、焦点合わせやズームするための同一番号の移動群を有している。図65は、最長の焦点距離に配置されたズームレンズ群と、無限大に焦点を合わせた焦点レンズ群とを有するズームレンズ系を示している。同様に、図66の光線収差グラフは、無限大の焦点且つ最長焦点距離のものである。
【0079】
図67〜図70は、本発明の別の実施形態の例を示す。本発明のズームレンズ系に関するこの実施形態は、約400:1のズーム比を有する。具体的には、この実施形態は、焦点距離が約7.47mm(図67に示す位置)から約2983mm(図68に示す位置)のズーム範囲を有している。図10〜図62の実施形態と同様に、この実施形態は3つの移動ズームレンズ群ZG1,ZG2,ZG3を有していて、その内の2つは前部ズームレンズ位置に在り、もう1つは後部ズームレンズ位置に在る。図69と図70の光線収差のグラフは、それぞれ7.47mmと2983mmの近軸有効焦点距離(EFL)でのものである。図69と図70の光線収差のグラフは、非常に広範囲な焦点距離と図10〜図62の性能特性に類似した広いズーム比を考慮すると、この実施形態が十分な性能を発揮することを示している。図67と図68の光学線図と図69と図70との光線収差グラフとは、無限焦点で示されている。





【0080】
図67〜図70のレンズ系光学的規定は、あまねく「図67〜図70の表」と題された下記表に記載されている。次のレンズ系光学的規定のデータは前述のレンズ系光学的規定と同様に記載され、銘は前述のレンズ系光学的規定と同じ意味を有する。
【0081】
折曲レンズの実施形態の詳細な説明。図71は、本発明の別の実施形態の例を示す光学線図である。上記実施形態では、小型化するために、1つ以上のミラーを組み込んで、レンズ(の配列)を折り曲げている。図71の例は、上述した実施形態に類似したものであるが、50,52,54で識別された3つの汎用ズームレンズ群を有している。中間像は56に位置している。焦点群66は、焦点を合わせる時に移動できるが、一定の焦点の時は静止している。開口絞りは84に位置している。図71の折曲ズームレンズの実施形態においてユニークなものはミラー64である。上記ミラー64は、前部ズーム群52と後部ズーム群54との間に位置して、放射光線を折曲すなわち曲げる。図71の実施形態は、どんなカメラにも用いることができるが、折曲設計によってレンズを小空間内に嵌め込むことができるので、特にポイント撮影用携帯カメラのような小型カメラに適している。図71は、反射鏡60と接眼レンズ62とを含む一眼レフ(SLR)の実施形態を示す。反射鏡60が図71に示される位置に在るときに、ユーザーは像を見ることができる。
【0082】
本発明の実施形態は、ズームレンズ群52と54の動きを妨げることのない領域である中間像空間58内にミラー64を配置できるので、特に折曲に適している。対照的に、従来の小型ズームレンズのレンズ要素は、カメラボディの中に格納しなければならない。このため、レンズ間内に空隙が殆ど或いは全く無くなってしまって、ミラーが挿入できない。図71の例では、ミラー64は中間像56の像側に位置している。しかし、他の実施形態においては、ミラー64は中間像56の物体側に位置してもよい。本発明の他の実施形態は多重の折曲(ミラー)を有し得ること、また、ミラーは光学軸に対して45度に方向付ける必要はないことを理解しなければならない。
【0083】
図71の例に示された折曲レンズは、幾つかの有用な設計の可能性と利点を与える。上述したように、レンズの折曲によって、ズームレンズがより小さい空間を占めることが可能となる。更に、折曲したズームレンズによって、幾つかのレンズ要素或いは全レンズ要素がカメラボディ内に収まり、小型化が推進される。一実施形態においては、焦点レンズ群66の全体さえもがカメラボディ内に収容されて、レンズを防護すると共に、カメラをより小型化できる。更に、この折曲ズームレンズによって、コンパクトカメラは10:1以上のズーム比を得ることができる。このズーム比は、従来型コンパクトカメラでの最大約4:1のズーム比と比較される。また、従来の一眼レフカメラは、像を反転させるために大きなペンタプリズムを必要とする。したがって、コンパクトカメラでは、典型的には、レンズを通した観察が忌避される。しかし、本発明では、本発明の中間像56およびミラー64と60によって、最終像が、大きなペンタプリズムを必要することもなく、適切な方向に既に向けられており、小型サイズのカメラであってもレンズを通して観察できる。
【0084】
図71の例示的な折曲ズームレンズは、約12mmから120mmの有効焦点距離(EFL)と、約10:1のズーム比と、最大径で約f/3からf/5の「f」ナンバー範囲と、約84.1度から10.3度の物体空間の最大視野角とを与え、少なくとも486nmから588nmの波帯内の光を受け取る。図71の実施形態によって生じる像は、幅が約18mmで高さが約12mm、対角線寸法が21.65mmの像である。これは、従来型35mm静止写真カメラの像の約半分のサイズである。
【0085】
図72A〜72Dは、図71の実施形態の他のズーム配置での折曲ズームレンズ実施形態例を示す光学線図である。図72A〜72Dでは、折曲レンズは明確にするために平坦な(折曲されていない)方位で示され、ズーム群は様々な例示的位置に在る。図72A〜72Dの例に示す焦点レンズ群66は、図71のように、焦点を合わせるために移動できるが、一定焦点では静止している。また、ミラー64と接眼レンズ62は静止している。開口絞りは、84に配置され、ズーミングのとき移動する。図72A〜72Dのズームレンズの例は、実際に、8個の移動ズーム群68,70,72,74,78,80,82から成る。しかし、折曲ズームレンズの他の実施形態では、それより多くのズーム群或いは少ないズーム群であってもよい。上記図72A〜72Dの折曲ズームレンズの例では、全て球形面を使用しているが、他の実施形態では、非球面や双対(回折)表面を使用し得ることは理解されなければならない。
【0086】
赤外線の実施形態の詳細な説明。図73A〜73Cは、本発明のズームレンズ系の赤外線実施形態の光学線図であり、様々な位置のズーム群を示す。中間像は86に位置している。焦点群88は、焦点合わせ時に移動するが、一定焦点では静止している。最終像平面は90に位置している。開口絞りは92に位置している。図73A〜73Cの実施形態は、ズームレンズ系が赤外線波長用に設計されているので、低光量カメラや監視カメラに使用できる。図73A〜73Cは、6.68mm〜1201.2mmのEFLと、f/2.00〜f/5.84の「f」ナンバー範囲と、8.0mmの対角線の像と、64.5度〜0.388度の物体空間最大視野角と、902.28mmの頂上長さとを与える。6.68mmの焦点距離位置では−4.93%の歪みが存在し、1201.2mmの焦点距離位置では+0.34%の歪みが存在する。この歪みは、有効ズーム比を190:1に増大させる。図73A〜73Cの例では、全部で9個の要素が存在する。すなわち、ズームカーネル(ズーム中心部)106内に6個の要素(94,96,98,100,102,104)が存在し、ズームリレー114内に3個の要素(108,110,112)が存在する。注意すべき点は、ここで言う「ズームカーネル」が物体空間から中間像までの全要素を示し、一方、「ズームリレー」が中間像から最終像までの全要素を示すことである。
【0087】
図73A〜図73Cの赤外線実施形態のレンズ系光学的規定は、あまねく「図73A,73B,73Cの表」と題されて下記表に記載されている。レンズ系光学的規定の下記データは前述のレンズ系光学的規定と同様に記載され、銘は前述のレンズ系光学的規定と同じ意味を持つ。





【0088】
図74〜図76は、光線収差のグラフであって、それぞれ、図73A〜図73Cに示すズーム群の配置に対応している。図74〜図76の光線収差のグラフは、それぞれ、近軸有効焦点距離(EFL)が6.68mmと133.46mmと1201.18mmで、波長範囲が8〜12ミクロンでのものである。
【0089】
本発明は、実施形態に関した説明が添付の図面に言及して十分になされているが、注意すべき点は、様々な変更および修正が当業者には明らかだということである。このような変更や修正は、下記特許請求の範囲に記載の本発明の範囲の中に含まれるものとして、理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の約300:1のズーム比を有する複合ズームレンズ系の光学線図であって、幾つかの原理と、系で用いる移動ユニットと固定ユニットの変化と、本発明の可能な幾つか実施形態とを説明する光学線図の1つである。
【図2】本発明の約300:1のズーム比を有する複合ズームレンズ系の光学線図であって、幾つかの原理と、系で用いる移動ユニットと固定ユニットの変化と、本発明の可能な幾つか実施形態とを説明する光学線図の1つである。
【図3】本発明の約300:1のズーム比を有する複合ズームレンズ系の光学線図であって、幾つかの原理と、系で用いる移動ユニットと固定ユニットの変化と、本発明の可能な幾つか実施形態とを説明する光学線図の1つである。
【図4A】本発明の約130:1のズーム比を有する複合ズームレンズ系の光学線図であって、幾つかの原理と、系で用いる移動ユニットと固定ユニットの変化と、本発明の可能な幾つか実施形態とを説明する光学線図の1つである。
【図4B】本発明の約130:1のズーム比を有する複合ズームレンズ系の光学線図であって、幾つかの原理と、系で用いる移動ユニットと固定ユニットの変化と、本発明の可能な幾つか実施形態とを説明する光学線図の1つである。
【図5A】本発明の約13:1のズーム比を有する超広角レンズ系の複合ズームレンズ系光学線図であって、幾つかの原理と、系で用いる移動ユニットと固定ユニットの変化と、本発明の可能な幾つか実施形態とを説明する光学線図の1つである。
【図5B】本発明の約13:1のズーム比を有する超広角レンズ系の複合ズームレンズ系光学線図であって、幾つかの原理と、系で用いる移動ユニットと固定ユニットの変化と、本発明の可能な幾つか実施形態とを説明する光学線図の1つである。
【図6A】3つの移動レンズ群を使用する本発明のズームレンズ系のその他の実施形態の光学線図であって、3つの移動レンズ群は図6Aでは短い焦点距離に配置されている。
【図6B】3つの移動レンズ群を使用する本発明のズームレンズ系のその他の実施形態の光学線図であって、3つの移動レンズ群は図6Bでは長い焦点距離に配置されている。
【図7A】4つの移動レンズ群を使用する本発明のズームレンズ系のその他の実施形態の光学線図であって、4つの移動レンズ群は図7Aでは短い焦点距離に配置されている。
【図7B】4つの移動レンズ群を使用する本発明のズームレンズ系のその他の実施形態の光学線図であって、4つの移動レンズ群は図7Bでは長い焦点距離に配置されている。
【図8A】4つの移動レンズ群を使用する本発明のズームレンズ系のその他の実施形態の光学線図であって、4つの移動レンズ群は図8Aでは短い焦点距離に配置されている。
【図8B】4つの移動レンズ群を使用する本発明のズームレンズ系のその他の実施形態の光学線図であって、4つの移動レンズ群は図8Bでは長い焦点距離に配置されている。
【図9A】3つの移動レンズ群を使用する本発明のズームレンズ系のその他の実施形態の光学線図であって、3つの移動レンズ群は図9Aでは短い焦点距離に、図9Bでは長い焦点距離に配置されている。
【図9B】3つの移動レンズ群を使用する本発明のズームレンズ系のその他の実施形態の光学線図であって、3つの移動レンズ群は図9Bでは長い焦点距離に配置されている。
【図10】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、レンズ系全体の光学線図である。
【図11】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図12】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図13】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図14】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図15】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図16】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図17】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図18】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図19】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図20】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図21】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図22】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図23】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図24】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図25】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図26】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図27】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図28】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図29】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図30】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一実施形態に関する図であって、移動可能レンズ要素の異なる二十の代表的配置の内の1つを示すレンズ系光学線図である。
【図31】上記代表的配置の内の4つの配置の1つにおける焦点ユニットのレンズ要素のみの光学線図である。
【図32】上記代表的配置の内の4つの配置の1つにおける焦点ユニットのレンズ要素のみの光学線図である。
【図33】上記代表的配置の内の4つの配置の1つにおける焦点ユニットのレンズ要素のみの光学線図である。
【図34】上記代表的配置の内の4つの配置の1つにおける焦点ユニットのレンズ要素のみの光学線図である。
【図35】上記代表的配置の内の2つの配置の1つにおける2個の前部レンズ群のみを示す。
【図36】上記代表的配置の内の2つの配置の1つにおける2個の前部レンズ群のみを示す。
【図37】上記代表的配置の内の2つの配置の1つにおける後部レンズ群のみを示す。
【図38】上記代表的配置の内の2つの配置の1つにおける後部レンズ群のみを示す。
【図39】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図40】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図41】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図42】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図43】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図44】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図45】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図46】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図47】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図48】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図49】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図50】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図51】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図52】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図53】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図54】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図55】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図56】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図57】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図58】図11〜30に図示された全レンズ要素の二十の代表的配置の1つに対応した光線収差図である。
【図59】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一の実施形態に関する図であって、最小(底部)から無限大(頂部)までのフォーカス距離に対する焦点カムの移動のグラフである。
【図60】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一の実施形態に関する図であって、系の焦点距離に対する3つのズームカムの移動のグラフである。
【図61】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一の実施形態に関する図であって、上記系の焦点距離に対する最終像での系の「f」ナンバーのグラフである。
【図62】約300:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の単一の実施形態に関する図であって、上記系の焦点距離に対する絞り直径のグラフである。
【図63】双対(回折)表面を組み込んだ本発明のズームレンズ系の別の実施形態の光学線図である。
【図64】双対(回折)表面を組み込んだ本発明のズームレンズ系の上記別の実施形態の光線収差のグラフである。
【図65】双対(回折)表面を組み込んだ本発明のズームレンズ系の更に別の実施形態の光学線図である。
【図66】双対(回折)表面を組み込んだ本発明のズームレンズ系の上記更に別の実施形態の光線収差のグラフである。
【図67】約400:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の更に異なる実施形態に関する図であって、焦点距離が7.47mmの光学線図である。
【図68】約400:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の上記更に異なる実施形態に関する図であって、焦点距離が2983mmの光学線図である。
【図69】約400:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の上記更に異なる実施形態に関する図であって、焦点距離が7.47mmの光線収差図である。
【図70】約400:1のズーム比を有する本発明のズームレンズ系の上記更に異なる実施形態に関する図であって、焦点距離が2983mmの光線収差図である。
【図71】小型化するためにレンズ折曲用の鏡を組み込んだ本発明のズームレンズ系の更に別の実施形態例の光学線図である。
【図72A】小型化するためにレンズ折曲用の鏡を組み込んだ本発明のズームレンズ系の更に別の実施形態例の光学線図であって、折曲レンズを簡明のため平坦(非折曲)方向で示す。
【図72B】小型化するためにレンズ折曲用の鏡を組み込んだ本発明のズームレンズ系の更に別の実施形態例の光学線図であって、折曲レンズを簡明のため平坦(非折曲)方向で示す。
【図72C】小型化するためにレンズ折曲用の鏡を組み込んだ本発明のズームレンズ系の更に別の実施形態例の光学線図であって、折曲レンズを簡明のため平坦(非折曲)方向で示す。
【図72D】小型化するためにレンズ折曲用の鏡を組み込んだ本発明のズームレンズ系の更に別の実施形態例の光学線図であって、折曲レンズを簡明のため平坦(非折曲)方向で示す。
【図73A】本発明のズームレンズ系の赤外線実施形態例の光学線図であって、ズームレンズ群の様々な配置を示す。
【図73B】本発明のズームレンズ系の赤外線実施形態例の光学線図であって、ズームレンズ群の様々な配置を示す。
【図73C】本発明のズームレンズ系の赤外線実施形態例の光学線図であって、ズームレンズ群の様々な配置を示す。
【図74】図73Aに示すズームレンズ群の配置に対応した光線収差グラフである。
【図75】図73Bに示すズームレンズ群の配置に対応した光線収差グラフである。
【図76】図73Cに示すズームレンズ群の配置に対応した光線収差グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の最終像を形成するためのズームレンズ系であって、上記系は、物体側と像側とを有し、上記物体と上記最終像との間に第1中間実像を形成し、上記物体側から上記像側に順番に
少なくとも2つのレンズ要素を含むとともに、上記物体と上記第1中間実像との間に位置し、上記第1中間実像の大きさ(倍率)を変化させるために移動される少なくとも1つの光学サブユニットを備えた第1光学ユニットと、
少なくとも2つのレンズ要素を含むとともに、上記第1中間実像と上記最終像との間に位置し、上記最終像の大きさ(倍率)を変化させるために少なくとも一部分が移動される第2光学ユニットとを
備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項2】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、上記系の焦点距離を変化させるとき、上記光学サブユニットの少なくとも1つは、上記最終像の軸方向の位置を実質的に静止保持するために、移動できることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項3】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、上記系の焦点距離を変化させるとき、上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットとの各々における上記光学サブユニットの少なくとも1つは、連続的に移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項4】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、上記系の焦点距離を変化させるとき、上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットの内の一方における上記光学サブユニットの少なくとも1つは、少なくとも一時的に静止し、上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットの内の他方における上記光学サブユニットの少なくとも1つは、移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項5】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
(a)上記第2光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、
(b)上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(i)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(ii)上記第1移動に対しては、上記第1光学ユニットの少なくとも1つの光学サブユニットが移動し、上記第2光学ユニットのいずれの光学サブユニットも移動しなく、
(iii)上記第2移動に対しては、上記第2光学ユニットの少なくとも1つの光学サブユニットが移動し、上記第1光学ユニットのいずれの光学サブユニットも移動しないことを特徴とするズームレンズ系。
【請求項6】
請求項5に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含むことを特徴とするズームレンズ系。
【請求項7】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記中間像と上記最終像の少なくとも1つに焦点を合わせるために、上記第1光学ユニットの上記物体側に、焦点ユニットを更に備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項8】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第1光学ユニットは開口絞りを備え、上記系は上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットとの間の位置に瞳孔撮像ユニットを更に備えて、上記第1光学ユニットの射出瞳を撮像し、上記第2光学ユニットの入射瞳を形成することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項9】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットは開口絞りを備え、上記系は上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットとの間の位置に瞳孔撮像ユニットを更に備えて、上記第2光学ユニットの入射瞳を撮像し、上記第1光学ユニットの射出瞳を形成することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項10】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットの像側に像安定化ユニットを更に備えて、上記最終像を安定化させることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項11】
請求項7に記載のズームレンズ系において、
上記焦点ユニットは、上記ズームレンズ系の光学軸に沿って移動できる2つの光学サブユニットを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項12】
請求項11に記載のズームレンズ系において、
上記光学軸は一直線であることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項13】
請求項7に記載のズームレンズ系において、
上記焦点ユニットは7つ以下のレンズ要素を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項14】
請求項10に記載のズームレンズ系において、
上記像安定化ユニットは、上記レンズ系の光学軸から離れて横方向に移動できる少なくとも1つのレンズ要素を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項15】
請求項10に記載のズームレンズ系において、
上記像安定化ユニットは、上記レンズ系の光学軸に沿って軸方向に移動できる少なくとも1つのレンズ要素を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項16】
請求項10に記載のズームレンズ系において、
上記像安定化ユニットは、上記レンズ系の光学軸から離れて横方向に移動できる少なくとも1つの横方向に移動可能なレンズ要素と、上記レンズ系の光学軸に沿って軸方向に移動できる少なくとも1つの軸方向に移動可能なレンズ要素とを備え、上記少なくとも1つの横方向に移動可能なレンズ要素は、空隙によって、上記少なくとも1つの軸方向に移動可能なレンズ要素から分離され、上記物体から上記空隙を通過した光は実質的に平行にされることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項17】
請求項14に記載のズームレンズ系において、
上記物体から上記系を通過した光は、上記少なくとも1つの横方向に移動可能なレンズ要素において、実質的に平行にされることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項18】
請求項15に記載のズームレンズ系において、
上記物体から上記系を通過した光は、上記少なくとも1つの軸方向に移動可能なレンズ要素において、実質的に平行にされることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項19】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
1つ以上の付加的な中間実像が、上記物体と上記最終像との間に形成されることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項20】
請求項19に記載のズームレンズ系において、
上記1つ以上の付加的な中間実像の大きさ(倍率)を変化させるために、1つ以上の付加的な光学ユニットを更に備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項21】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第1中間実像は、上記ズームレンズ系内の光学要素の間の空域に形成され、ズーミング時に上記空域内に留まることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項22】
請求項19に記載のズームレンズ系において、
上記1つ以上の付加的な中間実像は、上記ズームレンズ系内の光学要素の間の1つ以上の空域に形成され、ズーミング時に上記1つ以上の空域内に留まることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項23】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記系は、少なくとも1つの非球光学表面を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項24】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記系は、少なくとも1つの回折光学表面を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項25】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記系は、少なくとも1つの非球光学表面と少なくとも1つの回折光学表面とを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項26】
物体の最終像を形成するためのズームレンズ系であって、上記系は、上記物体と上記最終像との間に第1中間実像を形成すると共に、複合された第1と第2のズームレンズを備え、
上記複合された第1と第2のズームレンズは、互いに制御された瞳孔撮像を有することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項27】
請求項26に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記第1と第2のズームレンズの各々の少なくとも一部分が連続的に移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項28】
請求項26に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記第1と第2のズームレンズの内の一方の少なくとも一部分は少なくとも一時的に静止し、上記第1と第2のズームレンズの内の他方の少なくとも一部分は移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項29】
請求項26に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(a)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(b)上記第1移動に対しては、上記第1ズームレンズのみが上記系の焦点距離を変化させ、
(c)上記第2移動に対しては、上記第2ズームレンズのみが上記系の焦点距離を変化させることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項30】
請求項29に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含んでいることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項31】
物体の最終像を形成するためのズームレンズ系であって、上記系は物体側と像側とを有し、上記物体側から上記像側に順番に
中間実像を形成するズームレンズと、
上記中間実像を受け取るとともに上記中間実像の倍率を変化させて最終像を形成する可変焦点距離リレー系とを
備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項32】
請求項31に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記ズームレンズと上記リレー系との各々の少なくとも一部分が連続的に移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項33】
請求項31に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記ズームレンズと上記リレー系の内の一方の少なくとも一部分が少なくとも一時的に静止し、上記ズームレンズと上記リレー系の内の他方の少なくとも一部分が移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項34】
請求項31に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(a)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(b)上記第1移動に対しては、上記第1ズームレンズのみが上記系の焦点距離を変化させ、
(c)上記第2移動に対しては、上記リレー系のみが上記系の焦点距離を変化させることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項35】
請求項34に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含んでいることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項36】
物体の最終像を形成するためのズームレンズ系であって、上記ズームレンズ系は、最大焦点距離と最小焦点距離との間の焦点距離範囲を有し、上記焦点距離範囲内の全ての焦点距離対して、上記物体と上記最終像との間に少なくとも第1中間実像を形成し、上記ズームレンズ系は、物体側と像側とを有して、上記物体側から上記像側に順番に
上記物体と上記第1中間実像との間に配置されて、上記第1中間実像のサイズ(倍率)を変化させるために変化する焦点距離を有する第1レンズユニットと、
上記第1中間実像と上記最終像との間に配置されて、上記最終像の大きさ(倍率)を変化させる第2レンズユニットとを
備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項37】
請求項36に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記第1と第2のレンズユニットの各々の少なくとも一部分が連続的に移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項38】
請求項36に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記第1と第2のレンズユニットの内の一方の少なくとも一部分は少なくとも一時的に静止し、上記第1と第2のレンズユニットの内の他方の少なくとも一部分は移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項39】
請求項36に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(a)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(b)上記第1移動に対しては、上記第1レンズユニットのみが上記系の焦点距離を変化させ、
(c)上記第2移動に対しては、上記第2レンズユニットのみが上記系の焦点距離を変化させることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項40】
請求項39に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含んでいることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項41】
上記系は物体側と像側とを有し、上記物体側から上記像側に順番に
物体の中間実像を形成する可変焦点距離レンズユニットと、
上記中間実像の実像を形成する可変焦点距離レンズユニットとを
備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項42】
請求項41に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記可変焦点距離レンズユニットの各々の少なくとも一部分が連続的に移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項43】
請求項41に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記可変焦点距離レンズユニットの内の一方の少なくとも一部分が少なくとも一時的に静止し、上記可変焦点距離レンズユニットの内の他方の少なくとも一部分が移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項44】
請求項41に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(a)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(b)上記第1移動に対しては、上記中間実像を形成する上記可変焦点距離レンズユニットのみが上記系の焦点距離を変化させ、
(c)上記第2移動に対しては、上記中間実像の実像を形成する上記可変焦点距離レンズユニットのみが上記系の焦点距離を変化させることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項45】
請求項44に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含んでいることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項46】
物体からの光を集めるとともに上記光を検知器に供給する複合レンズ系であって、上記系は多重ズームレンズ部を備え、上記多重ズームレンズ部は、上記物体の中間像を形成するための上記物体に最も近い最初のズームレンズ部と、上記中間像からの光を上記検知器に供給するための上記検知器に最も近い最後のズームレンズ部とを含んでいることを特徴とする複合ズームレンズ系。
【請求項47】
請求項46に記載の複合ズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記最初と最後のズームレンズ部の各々の少なくとも一部分が連続的に移動することを特徴とする複合ズームレンズ系。
【請求項48】
請求項46に記載の複合ズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記最初と最後のズームレンズ部の内の一方の少なくとも一部分は少なくとも一時的に静止し、上記最初と最後のズームレンズ部の内の他方の少なくとも一部分は移動することを特徴とする複合ズームレンズ系。
【請求項49】
請求項46に記載の複合ズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(a)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(b)上記第1移動に対しては、上記最初のズームレンズ部のみが上記系の焦点距離を変化させ、
(c)上記第2移動に対しては、上記最後のズームレンズ部のみが上記系の焦点距離を変化させることを特徴とする複合ズームレンズ系。
【請求項50】
請求項49に記載の複合ズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含んでいることを特徴とする複合ズームレンズ系。
【請求項51】
請求項46に記載の複合ズームレンズ系において、
上記多重ズームレンズ部は、上記最初のズームレンズ部と上記最後のズームレンズ部のみを含んでいることを特徴とする複合ズームレンズ系。
【請求項52】
物体の最終像を形成するためのズームレンズ系であって、上記系は可変焦点距離と光学軸と開口絞りとを有し、主要光線は上記開口絞りにおいて上記光学軸と交差し、上記系は、
上記系の焦点距離を変化させるとともに上記最終像を形成する2つのレンズユニットを備え、一方のユニットは可変焦点距離を有し、他方のユニットは少なくとも移動可能な部分を有し、
上記主要光線は、上記系の全焦点距離に対して、上記開口絞り以外に、少なくとも1つの他の部分で上記光軸と交差し、
上記系は、上記系の全焦点距離に対して、上記2つのレンズユニットの間の位置に中間実像を形成することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項53】
請求項52に記載のズームレンズ系において、
上記光学軸は一直線であることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項54】
請求項52に記載のズームレンズ系において、
上記系は上記物体に最も近いレンズ表面を有し、上記系の全焦点距離に対して、上記主要光線が上記光軸と交差する上記少なくとも1つの他の部分は、上記レンズ表面と上記最終像との間に在ることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項55】
請求項52に記載のズームレンズ系において、
上記2つのレンズユニットの各々の少なくとも一部分は連続的に移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項56】
請求項52に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記2つのレンズユニットの一方の少なくとも一部分は少なくとも一時的に静止し、上記2つのレンズユニットの他方の少なくとも一部分は移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項57】
請求項52に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(a)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(b)上記第1移動に対しては、可変焦点距離を有する上記レンズユニットのみが上記系の焦点距離を変化させ、
(c)上記第2移動に対しては、少なくとも可動部を有する上記レンズユニットのみが上記系の焦点距離を変化させることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項58】
請求項57に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含んでいることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項59】
中間実像を形成するズームカーネルと、
最終像を形成するために上記中間実像を拡大するズームリレーとを
備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項60】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記ズームカーネルと上記ズームリレーとの各々の少なくとも一部分は連続的に移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項61】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離を変化させるとき、上記ズームカーネルと上記ズームリレーの一方の少なくとも一部分は少なくとも一時的に静止し、上記ズームカーネルと上記ズームリレーの他方の少なくとも一部分は移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項62】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(a)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(b)上記第1移動に対しては、上記ズームカーネルのみが上記系の焦点距離を変化させ、
(c)上記第2移動に対しては、上記ズームリレーのみが上記系の焦点距離を変化させることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項63】
請求項62に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含んでいることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項64】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームカーネルは、+−++構造を有するズームレンズを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項65】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームカーネルは、+−−+構造を有するズームレンズを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項66】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームカーネルは、−+構造を有するズームレンズを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項67】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームカーネルは、−++構造を有するズームレンズを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項68】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームカーネルは、−+−+構造を有するズームレンズを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項69】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームリレーは、+−++構造を有するズームレンズを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項70】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームリレーは、+−+構造を有するズームレンズを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項71】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームリレーは、−+構造を有するズームレンズを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項72】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記ズームカーネルは、上記中間像と上記最終像の少なくとも1つに焦点を合わせるための第1レンズユニットを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項73】
請求項72に記載のズームレンズ系において、
上記第1レンズユニット内の内部移動は、フォーカスブリージングの修正に寄与するために使用されることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項74】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記系は、歪みと球面収差の内の少なくとも1つの修正に寄与するために、各々が少なくとも1つの非球面を有するレンズ要素を1つ以上備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項75】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記系は、色収差の修正に寄与するために、1つ以上の弗珪クラウンガラス要素またはフッ化カルシウムレンズ要素を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項76】
請求項59に記載のズームレンズ系において、
上記系は、色収差の修正に寄与するために、回折表面を有する1つ以上のレンズ要素を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項77】
中間実像を形成する第1レンズユニットと、上記中間実像の第2像を形成する第2レンズユニットとを有し、少なくとも120対1のズーム比を有することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項78】
請求項77に記載のズームレンズ系において、
上記ズーム比は、少なくとも200対1であることを特徴とするズームレンズ系。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の最終像を形成するためのズームレンズ系であって、上記系は、物体側と像側とを有し、上記物体と上記最終像との間に第1中間実像を形成し、上記物体側から上記像側に順番に
少なくとも2つのレンズ要素を含むとともに、上記物体と上記第1中間実像との間に位置し、上記第1中間実像の大きさ(倍率)を変化させるために移動される少なくとも1つの光学サブユニットを備えた第1光学ユニットと、
少なくとも2つのレンズ要素を含むとともに、上記第1中間実像と上記最終像との間に位置し、上記最終像の大きさ(倍率)を変化させるために少なくとも一部分が移動される第2光学ユニットとを
えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項2】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、上記系の焦点距離を変化させるとき、上記光学サブユニットの少なくとも1つは、上記最終像の軸方向の位置を実質的に静止保持するために、移動できることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項3】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、上記系の焦点距離を変化させるとき、上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットとの各々における上記光学サブユニットの少なくとも1つは、連続的に移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項4】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、上記系の焦点距離を変化させるとき、上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットの内の一方における上記光学サブユニットの少なくとも1つは、少なくとも一時的に静止し、上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットの内の他方における上記光学サブユニットの少なくとも1つは、移動することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項5】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
(a)上記第2光学ユニットは少なくとも1つの光学サブユニットを備え、
(b)上記系の焦点距離における変化は、少なくとも1つの第1移動と少なくとも1つの第2移動とを含み、
(i)上記第1移動は上記第2移動に先行あるいは追従でき、
(ii)上記第1移動に対しては、上記第1光学ユニットの少なくとも1つの光学サブユニットが移動し、上記第2光学ユニットのいずれの光学サブユニットも移動しなく、
(iii)上記第2移動に対しては、上記第2光学ユニットの少なくとも1つの光学サブユニットが移動し、上記第1光学ユニットのいずれの光学サブユニットも移動しないことを特徴とするズームレンズ系。
【請求項6】
請求項5に記載のズームレンズ系において、
上記系の焦点距離における変化は、単一の第1移動と単一の第2移動のみを含むことを特徴とするズームレンズ系。
【請求項7】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記中間像と上記最終像の少なくとも1つに焦点を合わせるために、上記第1光学ユニットの上記物体側に、焦点ユニットを更に備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項8】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第1光学ユニットは開口絞りを備え、上記系は上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットとの間の位置に瞳孔撮像ユニットを更に備えて、上記第1光学ユニットの射出瞳を撮像し、上記第2光学ユニットの入射瞳を形成することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項9】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットは開口絞りを備え、上記系は上記第1光学ユニットと上記第2光学ユニットとの間の位置に瞳孔撮像ユニットを更に備えて、上記第2光学ユニットの入射瞳を撮像し、上記第1光学ユニットの射出瞳を形成することを特徴とするズームレンズ系。
【請求項10】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第2光学ユニットの像側に像安定化ユニットを更に備えて、上記最終像を安定化させることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項11】
請求項7に記載のズームレンズ系において、
上記焦点ユニットは、上記ズームレンズ系の光学軸に沿って移動できる2つの光学サブユニットを備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項12】
請求項11に記載のズームレンズ系において、
上記光学軸は一直線であることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項13】
請求項7に記載のズームレンズ系において、
上記焦点ユニットは7つ以下のレンズ要素を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項14】
請求項10に記載のズームレンズ系において、
上記像安定化ユニットは、上記レンズ系の光学軸から離れて横方向に移動できる少なくとも1つのレンズ要素を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項15】
請求項10に記載のズームレンズ系において、
上記像安定化ユニットは、上記レンズ系の光学軸に沿って軸方向に移動できる少なくとも1つのレンズ要素を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項16】
請求項10に記載のズームレンズ系において、
上記像安定化ユニットは、上記レンズ系の光学軸から離れて横方向に移動できる少なくとも1つの横方向に移動可能なレンズ要素と、上記レンズ系の光学軸に沿って軸方向に移動できる少なくとも1つの軸方向に移動可能なレンズ要素とを備え、上記少なくとも1つの横方向に移動可能なレンズ要素は、空隙によって、上記少なくとも1つの軸方向に移動可能なレンズ要素から分離され、上記物体から上記空隙を通過した光は実質的に平行にされることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項17】
請求項14に記載のズームレンズ系において、
上記物体から上記系を通過した光は、上記少なくとも1つの横方向に移動可能なレンズ要素において、実質的に平行にされることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項18】
請求項15に記載のズームレンズ系において、
上記物体から上記系を通過した光は、上記少なくとも1つの軸方向に移動可能なレンズ要素において、実質的に平行にされることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項19】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
1つ以上の付加的な中間実像が、上記物体と上記最終像との間に形成されることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項20】
請求項19に記載のズームレンズ系において、
上記1つ以上の付加的な中間実像の大きさ(倍率)を変化させるために、1つ以上の付加的な光学ユニットを更に備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項21】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記第1中間実像は、上記ズームレンズ系内の光学要素の間の空域に形成され、ズーミング時に上記空域内に留まることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項22】
請求項19に記載のズームレンズ系において、
上記1つ以上の付加的な中間実像は、上記ズームレンズ系内の光学要素の間の1つ以上の空域に形成され、ズーミング時に上記1つ以上の空域内に留まることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項23】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記系は、少なくとも1つの非球光学表面を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項24】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記系は、少なくとも1つの回折光学表面を備えていることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項25】
請求項1に記載のズームレンズ系において、
上記系は、少なくとも1つの非球光学表面と少なくとも1つの回折光学表面とを備えていることを特徴とするズームレンズ系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4B】
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【図5A】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72A】
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【図72B】
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【図72C】
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【図72D】
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【図73A】
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【図73B】
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【図73C】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【公表番号】特表2006−512595(P2006−512595A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−523536(P2004−523536)
【出願日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/022418
【国際公開番号】WO2004/010199
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(598100058)パナビジョン・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PANAVISION, INC.
【Fターム(参考)】