説明

ズームレンズ系

【課題】像ぶれ補正レンズ群を小型化及び軽量化するとともに、像ぶれ補正時の像面湾曲の発生を抑えたズームレンズ系を提供する。
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群、負の屈折力を持つ第2レンズ群、正の屈折力を持つ第3レンズ群、及び第4レンズ群からなり、第3レンズ群は少なくとも2枚の正単レンズを含んでおり、この少なくとも2枚の正単レンズのうち物体側から2枚目以降のいずれかの正単レンズを、光軸直交方向に移動して結像位置を変位させて像ぶれを補正する像ぶれ補正レンズとし、次の条件式(1)(2)を満足する。(1)0<De<15(2)2.0<1/((1−G3Rmt)Fmt)<3.0但し、De、G3Rmt、Fmtは、それぞれ長焦点距離端、無限遠合焦時における像ぶれ補正レンズの物体側の面から入射瞳迄の距離、像ぶれ補正レンズの横倍率、像ぶれ補正レンズの後続レンズ群の横倍率である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式像ぶれ補正機能を有するズームレンズ系に関する。
【背景技術】
【0002】
写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラのような製品分野では近年、ズームレンズ系が使用されることが一般化している。また従来にも増して高性能、高変倍、コンパクト性を市場から要求されることが多い。
【0003】
ズームレンズ系の形式には倍率や用途によって様々なパワー配置を持つものが存在するが、Fナンバーを明るくして高性能化を狙ったタイプとして、物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群、負の屈折力を持つ第2レンズ群、正の屈折力を持つ第3レンズ群、及び正の屈折力を持つ第4レンズ群からなる4群ズームレンズ系が知られている。
【0004】
さらにこのタイプの4群ズームレンズ系において、カメラに加わる手ぶれの大きさに応じてレンズ群の一部を光軸直交方向に駆動して画像のぶれを補正する、いわゆる光学式像ぶれ補正機能を搭載したものが知られている(特許文献1、2)。
【0005】
特許文献1では、第3レンズ群の全体を像ぶれ補正レンズ群とすることで、収差変動量を抑えて光学性能の向上を図っている。
しかし、第3レンズ群の全体を像ぶれ補正レンズ群としているため、像ぶれ補正レンズ群とこれを駆動する機構系、ひいてはレンズ全系が大型化及び重量化する。特に正負正正の4群ズームレンズ系では、マスターレンズ群である第3レンズ群が大きくなる傾向があるため、このデメリットが顕著になる。
【0006】
特許文献2では、第3レンズ群中の一部のレンズを像ぶれ補正レンズとすることで、像ぶれ補正レンズ群とこれを駆動する機構系、ひいてはレンズ全系の小型化及び軽量化を図っている。
しかし、像ぶれ補正レンズの横倍率(結像倍率)の設定が不適切であるため、像ぶれ補正レンズを光軸直交方向に駆動(シフト)したとき、大きな像面湾曲が発生して光学性能が劣化する。また像ぶれ補正レンズの防振感度が高すぎて、像ぶれ補正レンズの機構上の位置決めを高精度で行わなければならず、高コストで組み付けが難しくなるとともに、防振制御を精度良く行うことができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−122019号公報
【特許文献2】特開2005−107280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、像ぶれ補正レンズ群を小型化及び軽量化するとともに、像ぶれ補正レンズ群の横倍率(結像倍率)と防振感度を適切に設定し、像ぶれ補正時の像面湾曲の発生を抑えて優れた光学性能を達成できるズームレンズ系を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のズームレンズ系は、その一態様にあっては、物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群、負の屈折力を持つ第2レンズ群、正の屈折力を持つ第3レンズ群、及び第4レンズ群からなるズームレンズ系において、第3レンズ群は少なくとも2枚の正単レンズを含んでおり、この少なくとも2枚の正単レンズのうち物体側から2枚目以降のいずれかの正単レンズを、光軸直交方向に移動して結像位置を変位させることにより像ぶれを補正する像ぶれ補正レンズとしたこと、及び次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴としている。
(1)0<De<15
(2)2.0<1/((1−G3Rmt)Fmt)<3.0
但し、
De:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの物体側の面から入射瞳迄の距離[mm]、
G3Rmt:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの横倍率(結像倍率)、
Fmt:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの後続レンズ群の横倍率(結像倍率)、
である。
【0010】
本発明のズームレンズ系は、第4レンズ群が正の屈折力と負の屈折力のいずれを持っていてもよい。
【0011】
「第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの後続レンズ群」とは、レンズ全系のうち像ぶれ補正レンズよりも後方に位置するレンズ群を意味する。従って、像ぶれ補正レンズが第3レンズ群の最も像側に位置している場合、「第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの後続レンズ群」は「第4レンズ群」を意味している。また像ぶれ補正レンズが第3レンズ群の最も像側以外に位置している場合、「第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの後続レンズ群」は「第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズよりも後方に位置するレンズ群及び第4レンズ群」を意味している。
【0012】
本発明のズームレンズ系は、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
(3)2.0<G3Rf/G3f<3.5
但し、
G3Rf:第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの焦点距離[mm]、
G3f:第3レンズ群の焦点距離[mm]、
である。
【0013】
本発明のズームレンズ系は、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
(4)1.0<Ft/G3Rf<2.0
但し、
Ft:長焦点距離端における全系の焦点距離[mm]、
G3Rf:第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの焦点距離[mm]、
である。
【0014】
本発明のズームレンズ系は、次の条件式(5)を満足することが好ましい。
(5)3.0<1/((1−G3Rmw)Fmw)<5.0
但し、
G3Rmw:短焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの横倍率(結像倍率)、
Fmw:短焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの後続レンズ群の横倍率(結像倍率)、
である。
【0015】
本発明のズームレンズ系は、第3レンズ群を、物体側から順に、正単レンズ、全体として負の屈折力を持つ物体側から順に位置する正レンズと負レンズの接合レンズ、及び正単レンズから構成し、像側の正単レンズを像ぶれ補正レンズとすることができる。
【0016】
本発明のズームレンズ系は、第3レンズ群を上記のように構成した上で、次の条件式(6)及び(7)を満足することが好ましい。
(6)−0.5<G3Fmw<−0.15
(7)0.35<(R2+R1)/(R2−R1)<0.65
但し、
G3Fmw:短焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の物体側の正単レンズの横倍率(結像倍率)、
R2:第3レンズ群中の物体側の正単レンズの像側の面の曲率半径[mm]、
R1:第3レンズ群中の物体側の正単レンズの物体側の面の曲率半径[mm]、
である。
【0017】
本発明のズームレンズ系は、第3レンズ群を上記のように構成した上で、次の条件式(8)を満足することが好ましい。
(8)−1.5<G3Fmt<−0.4
但し、
G3Fmt:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の物体側の正単レンズの横倍率(結像倍率)、
である。
【0018】
本発明のズームレンズ系は、第3レンズ群を上記のように構成した上で、次の条件式(9)を満足することが好ましい。
(9)−0.25<φ/(n2−n1)<−0.05
但し、
φ:第3レンズ群中の接合レンズの合成パワー、
n2:第3レンズ群中の接合レンズの負レンズのd線に対する屈折率、
n1:第3レンズ群中の接合レンズの正レンズのd線に対する屈折率、
である。
【0019】
本発明のズームレンズ系は、別の態様にあっては、物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群、負の屈折力を持つ第2レンズ群、正の屈折力を持つ第3レンズ群、及び第4レンズ群からなるズームレンズ系において、第3レンズ群は、物体側から順に、空気間隔最大の箇所で分けられた、正の屈折力を持つ前群、及び正の屈折力を持つ後群からなること、この後群を、光軸直交方向に移動して結像位置を変位させることにより像ぶれを補正する像ぶれ補正レンズ群としたこと、及び次の条件式(1’)及び(2’)を満足することを特徴としている。
(1’)0<De’<15
(2’)2.0<1/((1−G3Rmt’)Fmt’)<3.0
但し、
De’:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズ群の物体側の面から入射瞳迄の距離[mm]、
G3Rmt’:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズ群の横倍率(結像倍率)、
Fmt’:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズ群の後続レンズ群の横倍率(結像倍率)、
である。
【0020】
第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズ群は正単レンズから構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、像ぶれ補正レンズ群を小型化及び軽量化するとともに、像ぶれ補正レンズ群の横倍率(結像倍率)と防振感度を適切に設定し、像ぶれ補正時の像面湾曲の発生を抑えて優れた光学性能を達成できるズームレンズ系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるズームレンズ系の数値実施例1の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【図2】図1の構成における諸収差図である。
【図3】同数値実施例1の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【図4】図3の構成における諸収差図である。
【図5】本発明によるズームレンズ系の数値実施例2の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【図6】図5の構成における諸収差図である。
【図7】同数値実施例2の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【図8】図7の構成における諸収差図である。
【図9】本発明によるズームレンズ系の数値実施例3の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【図10】図9の構成における諸収差図である。
【図11】同数値実施例3の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【図12】図11の構成における諸収差図である。
【図13】本発明によるズームレンズ系の数値実施例4の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【図14】図13の構成における諸収差図である。
【図15】同数値実施例4の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【図16】図15の構成における諸収差図である。
【図17】本発明によるズームレンズ系のズーム軌跡を示す簡易移動図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施形態のズームレンズ系は、全数値実施例1−4を通じて、図17の簡易移動図に示すように、物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群G1、負の屈折力を持つ第2レンズ群G2、正の屈折力を持つ第3レンズ群G3、及び正の屈折力を持つ第4レンズ群G4からなる。第4レンズ群G4は必ずしも正の屈折力を持つ必要はなく、負の屈折力を持っていてもよい。第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に位置する絞りSは、第3レンズ群G3と一体に移動する。フォーカシングは、第4レンズ群G4を光軸方向に移動させる(例えば物体側に繰り出す)ことにより行う。Iは像面である。
【0024】
本実施形態のズームレンズ系は、短焦点距離端(Wide)から長焦点距離端(Tele)への変倍(ズーミング)に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2のレンズ群間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3のレンズ群間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4のレンズ群間隔が増大するように(あるいは第3レンズ群G3と第4レンズ群G4のレンズ群間隔がほぼ一定となるように)、第1レンズ群G1ないし第4レンズ群G4の全てのレンズ群が光軸方向に移動する。
【0025】
より具体的には、第1レンズ群G1は、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、全数値実施例1−4を通じて単調に物体側に移動する。第2レンズ群G2は、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、全数値実施例1−4を通じて単調に像側に移動する。第3レンズ群G3は、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、全数値実施例1−4を通じて単調に物体側に移動する。第4レンズ群G4は、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、数値実施例1−3では単調に物体側に移動し、数値実施例4では一旦像側に移動してから短焦点距離端の位置を超えて物体側に戻る(結果として物体側に移動する)。
【0026】
第1レンズ群G1は、全数値実施例1−4を通じて、物体側から順に位置する負レンズ11と正レンズ12の接合レンズからなる。
【0027】
第2レンズ群G2は、数値実施例1−3では、物体側から順に、負レンズ21、及び物体側から順に位置する負レンズ22と正レンズ23の接合レンズからなる。
第2レンズ群G2は、数値実施例4では、物体側から順に、負レンズ24、負レンズ25、正レンズ26、及び負レンズ27からなる。
【0028】
第3レンズ群G3は、全数値実施例1−4を通じて、物体側から順に、正レンズ(正単レンズ)31、全体として負の屈折力を持つ物体側から順に位置する正レンズ32と負レンズ33の接合レンズ、及び正レンズ(正単レンズ)34からなる。正レンズ31はその両面が非球面である。
正レンズ34は、光軸直交方向に移動して結像位置を変位させる(防振駆動する)ことにより像ぶれを補正する像ぶれ補正レンズ(防振駆動レンズ)である。
【0029】
第4レンズ群G4は、数値実施例1では、物体側から順に位置する正レンズ41と負レンズ42の接合レンズからなる。
第4レンズ群G4は、数値実施例2−4では、正レンズ(正単レンズ)43からなる。この正レンズ43はその両面が非球面である。
【0030】
第3レンズ群G3の最も物体側には軸上光束が最も太い状態で光軸から離れた位置に入射する。このため、第3レンズ群G3中の2枚の正単レンズのうち物体側の正単レンズ(第3レンズ群G3中の最も物体側に位置する正単レンズ)31を像ぶれ補正レンズとして光軸直交方向に移動させると、球面収差の発生が増大して光学性能が劣化してしまう。
そこで本実施形態のズームレンズ系では、全数値実施例1−4を通じて、第3レンズ群G3中の2枚の正単レンズのうち像側の正単レンズ(第3レンズ群G3中の最も像側に位置する正単レンズ)34を像ぶれ補正レンズとすることで、球面収差の発生を抑えて光学性能の劣化を防いでいる。また、像ぶれ補正レンズ34とこれを駆動する機構系、ひいてはレンズ全系を小型化及び軽量化している。
【0031】
第3レンズ群G3は少なくとも2枚の正単レンズを含んでいればよく、例えば3枚以上の正単レンズを含む態様も可能である。この態様にあっては、第3レンズ群G3中の正単レンズのうち物体側から2枚目以降のいずれかの正単レンズを像ぶれ補正レンズとすればよい。
【0032】
条件式(1)は、長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群G3中の像ぶれ補正レンズ34の物体側の面から入射瞳迄の距離を規定している。条件式(1)を満足することで、像ぶれ補正レンズ34を光軸直交方向に駆動(シフト)したときの像面湾曲を小さく抑えて優れた光学性能を得ることができる。
条件式(1)の上限を超えると、像ぶれ補正レンズ34を光軸直交方向に駆動(シフト)したとき、その駆動方向と反対側の像面座標で正の像面湾曲が大きく発生して光学性能が劣化する。
条件式(1)の下限を超えると、像ぶれ補正レンズ34を光軸直交方向に駆動(シフト)したとき、その駆動方向と反対側の像面座標で負の像面湾曲が大きく発生して光学性能が劣化する。
【0033】
条件式(2)は、長焦点距離端における無限遠合焦時の像ぶれ補正レンズ34とその後続レンズ群(第4レンズ群G4)との横倍率の比、つまり像ぶれ補正レンズ34の長焦点距離端における防振感度を規定している。条件式(2)を満足することで、像ぶれ補正レンズ34の防振感度を適切に設定して、像ぶれ補正時に優れた光学性能を得るとともに、像ぶれ補正レンズ34の防振駆動量(シフト量)を小さくして防振駆動機構を含むレンズ系全体を小型化することができる。
像ぶれ補正レンズ34の横倍率が大きくなると、結像位置のずれ量を補正するためのレンズ移動量(シフト量)は小さくてすむが、収差変動量が大きくなるため光学性能が劣化する。またレンズ移動量(シフト量)が小さくて防振感度が高くなると、機械的な位置決め精度が追い付かず、これが原因で光学性能が劣化することもある。反対に、像ぶれ補正レンズ34の横倍率が小さくなると、光学性能の劣化は小さくてすむが、レンズ移動量(シフト量)が大きくなるため、防振駆動機構を含むレンズ系全体が大型化する。このため、像ぶれ補正レンズ34の横倍率と収差変動量のバランスをとることが極めて肝要となる。
条件式(2)の上限を超えると、像ぶれ補正レンズ34の防振感度が低くなりすぎて、要求される像ぶれ補正量を確保するための防振駆動量(シフト量)が大きくなる結果、防振駆動機構を含むレンズ系全体が大型化する。
条件式(2)の下限を超えると、像ぶれ補正レンズ34を光軸直交方向に駆動(シフト)したとき、大きな像面湾曲が発生して光学性能が劣化する。また像ぶれ補正レンズ34の防振感度が高くなりすぎて、像ぶれ補正レンズ34の機構上の位置決めを高精度で行わなければならず、高コストで組み付けが難しくなるとともに、防振制御を精度良く行うことができなくなる。
【0034】
本実施形態のズームレンズ系では、第3レンズ群G3を、空気間隔最大の箇所で、正の屈折力を持つ前群(レンズ31、32、33)と、正の屈折力を持つ後群(像ぶれ補正レンズ34)とに切り分けることも可能である。
条件式(1’)及び(2’)は第3レンズ群G3のこの切り分け構成を前提としており、条件式(1)及び(2)と実質的に同じ内容を規定している。
条件式(1’)を満足することで、後群(像ぶれ補正レンズ34)を光軸直交方向に駆動(シフト)したときの像面湾曲を小さく抑えて優れた光学性能を得ることができる。
条件式(2’)を満足することで、後群(像ぶれ補正レンズ34)の防振感度を適切に設定して、像ぶれ補正時に優れた光学性能を得るとともに、後群(像ぶれ補正レンズ34)の防振駆動量(シフト量)を小さくして防振駆動機構を含むレンズ系全体を小型化することができる。
【0035】
条件式(3)は、像ぶれ補正レンズ34の焦点距離と、第3レンズ群G3の焦点距離との比を規定している。条件式(3)を満足することで、像ぶれ補正時に優れた光学性能を得るとともに、像ぶれ補正レンズ34の防振駆動量(シフト量)を小さくして防振駆動機構を含むレンズ系全体を小型化することができる。
条件式(3)の上限を超えると、像ぶれ補正レンズ34に要求される防振駆動量(シフト量)が大きくなる結果、防振駆動機構を含むレンズ系全体が大型化する。また球面収差が大きく発生して光学性能が劣化する。
条件式(3)の下限を超えると、像ぶれ補正レンズ34を光軸直交方向に駆動(シフト)したときの光学性能の劣化が大きくなる。
【0036】
条件式(4)は、長焦点距離端における全系の焦点距離と、像ぶれ補正レンズ34の焦点距離との比を規定している。条件式(4)を満足することで、像ぶれ補正レンズ34の防振駆動量(シフト量)を適切に設定して、像ぶれ補正時に優れた光学性能を得るとともに、防振制御を精度良く行い、防振駆動機構を含むレンズ系全体を小型化することができる。
条件式(4)の上限を超えると、所望の像ぶれ補正量(結像位置補正量)を得るために要する像ぶれ補正レンズ34の防振駆動量(シフト量)が小さくなりすぎて、防振制御が精度良く行えなくなる。また像ぶれ補正時の光学性能の劣化が大きくなる。
条件式(4)の下限を超えると、像ぶれ補正レンズ34に要求される防振駆動量(シフト量)が大きくなる結果、防振駆動機構を含むレンズ系全体が大型化する。
【0037】
条件式(5)は、短焦点距離端における無限遠合焦時の像ぶれ補正レンズ34とその後続レンズ群(本実施形態では第4レンズ群G4)との横倍率の比、つまり像ぶれ補正レンズ34の短焦点距離端における防振感度を規定している。条件式(5)を満足することで、像ぶれ補正レンズ34の防振感度を適切に設定して、像ぶれ補正時に優れた光学性能を得るとともに、像ぶれ補正レンズ34の防振駆動量(シフト量)を小さくして防振駆動機構を含むレンズ系全体を小型化することができる。
条件式(5)の上限を超えると、像ぶれ補正レンズ34の防振感度が低くなりすぎて、要求される像ぶれ補正量を確保するための防振駆動量(シフト量)が大きくなる結果、防振駆動機構を含むレンズ系全体が大型化する。
条件式(5)の下限を超えると、像ぶれ補正レンズ34を光軸直交方向に駆動(シフト)したとき、大きな像面湾曲が発生して光学性能が劣化する。また像ぶれ補正レンズ34の防振感度が高くなりすぎて、像ぶれ補正レンズ34の機構上の位置決めを高精度で行わなければならず、高コストで組み付けが難しくなる。像ぶれ補正レンズ34の機械的な位置決め精度が極端に低くなると、防振制御を精度良く行うことができなくなる。
【0038】
本実施形態のズームレンズ系では、全数値実施例1−4を通じて、第3レンズ群G3を、物体側から順に、正レンズ(正単レンズ)31、全体として負の屈折力を持つ物体側から順に位置する正レンズ32と負レンズ33の接合レンズ、及び正レンズ(正単レンズ)34から構成し、像側の正レンズ34を像ぶれ補正レンズとしている。
条件式(6)ないし(9)は、第3レンズ群G3のこのレンズ構成を前提として規定したものである。
【0039】
条件式(6)は、短焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群G3中の物体側の正単レンズ31の横倍率を規定している。条件式(6)を満足することで、球面収差の発生を抑えて優れた光学性能を得るとともに、軸外性能とのバランスを良好にすることができる。
条件式(6)の上限を超えると、アンダー方向の球面収差が増加して光学性能が劣化する。また軸外性能とのバランスが崩れる。
条件式(6)の下限を超えると、オーバー方向の球面収差が増加して光学性能が劣化する。また軸外性能とのバランスが崩れる。
【0040】
条件式(7)は、第3レンズ群G3中の物体側の正単レンズ31のシェーピングファクターを規定している。第3レンズ群G3の最も物体側には軸上光束が最も太い状態で入射するため、正単レンズ31のシェーピングファクターを適切に設定することで、球面収差の発生を抑えて優れた光学性能を得るとともに、軸外性能とのバランスを良好にすることができる。
条件式(7)の上限を超えると、球面収差の発生量は減少するが、後続するレンズ系(第3レンズ群中のレンズ32、33、34)との球面収差バランスがオーバー側に増加して光学性能が劣化する。また軸外性能とのバランスが崩れる。
条件式(7)の下限を超えると、アンダー方向の球面収差が増加して光学性能が劣化する。また軸外性能とのバランスが崩れる。
【0041】
条件式(8)は、長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群G3中の物体側の正単レンズ31の横倍率を規定している。条件式(8)を満足することで、球面収差の発生を抑えて優れた光学性能を得るとともに、軸外性能とのバランスを良好にすることができる。
条件式(8)の上限を超えると、アンダー方向の球面収差が増加して光学性能が劣化する。また軸外性能とのバランスが崩れる。
条件式(8)の下限を超えると、オーバー方向の球面収差が増加して光学性能が劣化する。また軸外性能とのバランスが崩れる。
【0042】
条件式(9)は、第3レンズ群G3中の接合レンズの合成パワーと、この接合レンズの正レンズ32と負レンズ33のd線に対する屈折率の差との比を規定している。条件式(9)を満足することで、第3レンズ群G3中の接合レンズの合成パワーによる接合面での球面収差を適切に補正して、優れた光学性能を得ることができる。
条件式(9)の上限を超えると、第3レンズ群G3中の接合レンズの合成パワーによる接合面での球面収差が補正不足となって光学性能が劣化する。またペッツバール和が負の方向に大きく減少するため像面湾曲が増加し、同様に光学性能が劣化する。
条件式(9)の下限を超えると、第3レンズ群G3中の接合レンズの合成パワーによる接合面での球面収差が過剰補正となって光学性能が劣化する。
【実施例】
【0043】
次に具体的な数値実施例を示す。諸収差図及び表中において、d線、g線、C線、F線、e線はそれぞれの波長に対する収差、Sはサジタル、Mはメリディオナル、FNO.はFナンバー、fは全系の焦点距離、Wは半画角(゜)、Yは像高、fB はバックフォーカス、Lはレンズ全長、rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、N(d)はd線に対する屈折率、νdはd線に対するアッベ数、「E-a」は「×10-a」を示す。Fナンバー、焦点距離、半画角、像高、バックフォーカス、レンズ全長及び変倍に伴って間隔が変化するレンズ間隔dは、短焦点距離端−中間焦点距離−長焦点距離端の順に示している。
回転対称非球面は次式で定義される。
x=cy2/[1+[1-(1+K)c2y2]1/2]+A4y4+A6y6+A8y8 +A10y10+A12y12・・・
(但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、・・・・・は各次数の非球面係数、xはサグ量)
【0044】
[数値実施例1]
図1〜図4と表1〜表4は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例1を示している。図1は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図2はその諸収差図であり、図3は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図4はその諸収差図である。表1は面データ、表2は各種データ、表3は非球面データ、表4はレンズ群データである。
【0045】
本数値実施例1のズームレンズ系は、物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群G1、負の屈折力を持つ第2レンズ群G2、正の屈折力を持つ第3レンズ群G3、及び正の屈折力の第4レンズ群G4からなる。第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間に位置する絞りSは、第3レンズ群G3と一体に移動する。第4レンズ群G4の後方(像面Iとの間)には、光学フィルタOPが配置されている。
【0046】
第1レンズ群G1は、物体側から順に位置する物体側に凸の負メニスカスレンズ11と物体側に凸の正メニスカスレンズ12の接合レンズからなる。
【0047】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズ21、及び物体側から順に位置する両凹負レンズ22と両凸正レンズ23の接合レンズからなる。
【0048】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸正レンズ(正単レンズ)31、全体として負の屈折力を持つ物体側から順に位置する物体側に凸の正メニスカスレンズ32と物体側に凸の負メニスカスレンズ33の接合レンズ、及び物体側に凸の正メニスカスレンズ(正単レンズ)34からなる。両凸正レンズ31はその両面が非球面である。
正メニスカスレンズ34は、光軸直交方向に移動して結像位置を変位させる(防振駆動する)ことにより像ぶれを補正する像ぶれ補正レンズ(防振駆動レンズ)である。
【0049】
第4レンズ群G4は、物体側から順に位置する両凸正レンズ41と両凹負レンズ42の接合レンズからなる。
【0050】
(表1)
面データ
面番号 r d N(d) νd
1 43.396 1.000 1.64769 33.8
2 21.648 6.500 1.73000 64.5
3 854.098 d3
4 872.623 1.000 1.74000 46.6
5 8.919 5.405
6 -22.722 1.000 1.58000 46.8
7 11.780 3.000 1.81000 27.8
8 -212.731 d8
9絞 ∞ 0.100
10* 11.284 3.000 1.61881 63.8
11* -29.454 0.619
12 7.829 2.500 1.62000 38.0
13 16.686 1.500 2.01000 19.2
14 5.683 2.397
15 21.054 1.400 1.80420 46.5
16 84.858 d16
17 13.506 2.500 1.58000 59.8
18 -57.803 1.000 1.81000 47.4
19 234.896 d19
20 ∞ 2.000 1.51680 64.2
21 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表2)
各種データ
ズーム比(変倍比) 3.92
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 1.8 2.5 2.7
f 6.18 11.43 24.22
W 41.8 21.5 10.5
Y 4.62 4.62 4.62
fB 0.50 0.50 0.50
L 64.12 64.51 65.94
d3 0.598 10.009 16.315
d8 23.326 12.239 1.919
d16 4.176 5.207 9.866
d19 0.602 1.637 2.421
(表3)
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である)
面番号 K A4 A6 A8
10 -0.084 -0.8275E-04 -0.2109E-06 -0.2226E-07
11 0.000 0.4831E-04 0.1240E-06 -0.2802E-07
(表4)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 55.85
2 4 -12.06
3 10 13.33
4 17 27.71
【0051】
[数値実施例2]
図5〜図8と表5〜表8は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例2を示している。図5は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図6はその諸収差図であり、図7は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図8はその諸収差図である。表5は面データ、表6は各種データ、表7は非球面データ、表8はレンズ群データである。
【0052】
この数値実施例2のレンズ構成は、以下の点を除き、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
(1)第4レンズ群G4が両凸正単レンズ43からなる。この両凸正単レンズ43はその両面が非球面である。
【0053】
(表5)
面データ
面番号 r d N(d) νd
1 46.872 1.000 1.64769 33.8
2 20.841 6.500 1.72916 54.7
3 949.720 d3
4 571.285 1.000 1.72916 54.7
5 8.946 5.284
6 -22.119 1.000 1.59270 35.5
7 11.603 3.000 1.80518 25.5
8 -192.682 d8
9絞 ∞ 0.100
10* 11.167 3.000 1.61881 63.8
11* -30.372 0.462
12 7.776 2.500 1.61800 63.4
13 18.407 1.500 2.00069 25.5
14 5.672 3.010
15 21.649 1.400 1.80420 46.5
16 61.813 d16
17* 14.561 2.500 1.54358 55.7
18* -318.960 d18
19 ∞ 2.000 1.51680 64.2
20 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表6)
各種データ
ズーム比(変倍比) 3.96
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 1.9 2.5 2.7
f 6.23 11.65 24.67
W 41.6 21.4 10.5
Y 4.62 4.62 4.62
fB 0.50 0.50 0.50
L 65.41 65.40 68.93
d3 0.538 10.216 16.964
d8 24.494 12.401 2.558
d16 3.988 4.611 9.856
d18 1.632 3.418 4.801
(表7)
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である)
面番号 K A4 A6 A8 A10
10 -0.089 -0.8159E-04 -0.1912E-06 -0.2336E-07
11 0.000 0.4891E-04 0.8330E-07 -0.2924E-07
17 0.000 -0.2235E-03 -0.6484E-05 0.8419E-07 -0.3262E-10
18 0.000 -0.3264E-03 -0.4659E-05 0.4986E-07 0.4967E-09
(表8)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 58.88
2 4 -11.90
3 10 13.95
4 17 25.69
【0054】
[数値実施例3]
図9〜図12と表9〜表12は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例3を示している。図9は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図10はその諸収差図であり、図11は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図12はその諸収差図である。表9は面データ、表10は各種データ、表11は非球面データ、表12はレンズ群データである。
【0055】
この数値実施例3のレンズ構成は、数値実施例2のレンズ構成と同様である。
【0056】
(表9)
面データ
面番号 r d N(d) νd
1 45.964 1.000 1.64769 33.8
2 21.568 6.500 1.72916 54.7
3 716.971 d3
4 242.699 1.000 1.72916 54.7
5 8.861 5.358
6 -22.380 1.000 1.59270 35.5
7 11.422 3.000 1.80518 25.5
8 -321.778 d8
9絞 ∞ 0.100
10* 11.026 3.000 1.61881 63.8
11* -32.157 0.307
12 7.745 2.500 1.61800 63.4
13 18.948 1.500 2.00069 25.5
14 5.668 3.108
15 21.673 1.400 1.80420 46.5
16 73.047 d16
17* 15.271 2.500 1.54358 55.7
18* -199.252 d18
19 ∞ 2.000 1.51680 64.2
20 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表10)
各種データ
ズーム比(変倍比) 3.96
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 1.9 2.5 2.7
f 6.20 11.61 24.55
W 41.7 21.5 10.6
Y 4.62 4.62 4.62
fB 0.50 0.50 0.50
L 64.50 65.40 69.17
d3 0.157 10.200 17.081
d8 23.836 12.277 2.518
d16 3.581 4.340 9.393
d18 2.150 3.814 5.400
(表11)
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である)
面番号 K A4 A6 A8 A10
10 -0.068 -0.7916E-04 -0.2220E-06 -0.2827E-07
11 0.000 0.5255E-04 0.7978E-08 -0.3308E-07
17 0.000 -0.2285E-03 -0.6377E-05 0.8554E-07 -0.5555E-10
18 0.000 -0.3171E-03 -0.4685E-05 0.4823E-07 0.4354E-09
(表12)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 59.18
2 4 -11.78
3 10 14.02
4 17 26.20
【0057】
[数値実施例4]
図13〜図16と表13〜表16は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例4を示している。図13は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図14はその諸収差図であり、図15は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図16はその諸収差図である。表13は面データ、表14は各種データ、表15は非球面データ、表16はレンズ群データである。
【0058】
この数値実施例4のレンズ構成は、以下の点を除き、数値実施例2及び数値実施例3のレンズ構成と同様である。
(1)第2レンズ群G2が、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズ24、両凹負レンズ25、物体側に凸の正メニスカスレンズ26、及び像側に凸の負メニスカスレンズ27からなる。
【0059】
(表13)
面データ
面番号 r d N(d) νd
1 42.898 1.000 1.65000 32.4
2 22.283 6.500 1.72916 54.7
3 247.701 d3
4 73.623 1.000 1.64000 44.8
5 9.618 5.573
6 -24.004 1.000 1.56000 44.4
7 10.863 0.949
8 13.277 2.800 1.84666 23.8
9 171.000 0.726
10 -44.323 0.700 1.89000 46.8
11 -161.869 d11
12絞 ∞ 0.100
13* 11.023 3.000 1.61881 63.8
14* -25.753 0.382
15 7.719 2.500 1.61000 83.0
16 18.388 1.500 2.00069 25.5
17 5.569 2.547
18 20.239 1.400 1.66000 43.3
19 223.372 d19
20* 20.937 2.500 1.54358 55.7
21* -44.837 d21
22 ∞ 2.000 1.51680 64.2
23 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表14)
各種データ
ズーム比(変倍比) 3.91
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 1.9 2.6 2.8
f 6.21 11.30 24.31
W 41.4 22.1 10.6
Y 4.62 4.62 4.62
fB 0.10 0.10 0.10
L 64.61 67.84 72.06
d3 0.176 9.502 19.277
d11 21.836 13.015 2.209
d19 5.247 8.095 8.001
d21 0.481 0.358 5.712
(表15)
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である)
面番号 K A4 A6 A8 A10
13 -0.059 -0.7948E-04 -0.2759E-06 -0.1973E-07
14 0.000 0.7571E-04 0.6359E-06 -0.4347E-07
20 0.000 -0.2518E-03 -0.5854E-05 0.7614E-07 -0.7350E-10
21 0.000 -0.3019E-03 -0.6102E-05 0.6461E-07 0.2836E-09
(表16)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 62.65
2 4 -10.65
3 13 13.00
4 20 26.61
【0060】
各数値実施例の各条件式に対する値を表17に示す。
(表17)
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
条件式(1) 4.616 2.560 4.984 11.436
条件式(2) 2.349 2.592 2.396 2.220
条件式(3) 2.587 2.925 2.701 2.587
条件式(4) 1.424 1.654 1.542 1.383
条件式(5) 3.887 4.425 4.086 3.579
条件式(6) -0.396 -0.392 -0.407 -0.424
条件式(7) 0.446 0.462 0.489 0.401
条件式(8) -0.875 -0.911 -0.949 -1.020
条件式(9) -0.110 -0.115 -0.116 -0.120
【0061】
表17から明らかなように、数値実施例1〜数値実施例4は、条件式(1)〜(9)を満足しており、諸収差図から明らかなように諸収差は比較的よく補正されている。
【符号の説明】
【0062】
G1 正の屈折力を持つ第1レンズ群
11 負レンズ
12 正レンズ
G2 負の屈折力を持つ第2レンズ群
21 負レンズ
22 負レンズ
23 正レンズ
24 負レンズ
25 負レンズ
26 正レンズ
27 負レンズ
G3 正の屈折力を持つ第3レンズ群
31 正レンズ(正単レンズ)
32 正レンズ
33 負レンズ
34 正レンズ(正単レンズ、像ぶれ補正レンズ、防振駆動レンズ)
G4 正の屈折力を持つ第4レンズ群
41 正レンズ
42 負レンズ
43 正レンズ(正単レンズ)
S 絞り
OP 光学フィルタ
I 像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群、負の屈折力を持つ第2レンズ群、正の屈折力を持つ第3レンズ群、及び第4レンズ群からなるズームレンズ系において、
第3レンズ群は少なくとも2枚の正単レンズを含んでおり、この少なくとも2枚の正単レンズのうち物体側から2枚目以降のいずれかの正単レンズを、光軸直交方向に移動して結像位置を変位させることにより像ぶれを補正する像ぶれ補正レンズとしたこと、及び
次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴とするズームレンズ系。
(1)0<De<15
(2)2.0<1/((1−G3Rmt)Fmt)<3.0
但し、
De:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの物体側の面から入射瞳迄の距離[mm]、
G3Rmt:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの横倍率、
Fmt:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの後続レンズ群の横倍率。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズ系において、次の条件式(3)を満足するズームレンズ系。
(3)2.0<G3Rf/G3f<3.5
但し、
G3Rf:第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの焦点距離、
G3f:第3レンズ群の焦点距離。
【請求項3】
請求項1または2記載のズームレンズ系において、次の条件式(4)を満足するズームレンズ系。
(4)1.0<Ft/G3Rf<2.0
但し、
Ft:長焦点距離端における全系の焦点距離、
G3Rf:第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの焦点距離。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(5)を満足するズームレンズ系。
(5)3.0<1/((1−G3Rmw)Fmw)<5.0
但し、
G3Rmw:短焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの横倍率、
Fmw:短焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズの後続レンズ群の横倍率。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のズームレンズ系において、第3レンズ群は、物体側から順に、正単レンズ、全体として負の屈折力を持つ物体側から順に位置する正レンズと負レンズの接合レンズ、及び正単レンズからなり、像側の正単レンズが像ぶれ補正レンズであるズームレンズ系。
【請求項6】
請求項5記載のズームレンズ系において、次の条件式(6)及び(7)を満足するズームレンズ系。
(6)−0.5<G3Fmw<−0.15
(7)0.35<(R2+R1)/(R2−R1)<0.65
但し、
G3Fmw:短焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の物体側の正単レンズの横倍率、
R2:第3レンズ群中の物体側の正単レンズの像側の面の曲率半径、
R1:第3レンズ群中の物体側の正単レンズの物体側の面の曲率半径。
【請求項7】
請求項5または6記載のズームレンズ系において、次の条件式(8)を満足するズームレンズ系。
(8)−1.5<G3Fmt<−0.4
但し、
G3Fmt:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の物体側の正単レンズの横倍率。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(9)を満足するズームレンズ系。
(9)−0.25<φ/(n2−n1)<−0.05
但し、
φ:第3レンズ群中の接合レンズの合成パワー、
n2:第3レンズ群中の接合レンズの負レンズのd線に対する屈折率、
n1:第3レンズ群中の接合レンズの正レンズのd線に対する屈折率。
【請求項9】
物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群、負の屈折力を持つ第2レンズ群、正の屈折力を持つ第3レンズ群、及び第4レンズ群からなるズームレンズ系において、
第3レンズ群は、物体側から順に、空気間隔最大の箇所で分けられた、正の屈折力を持つ前群、及び正の屈折力を持つ後群からなること、
この後群を、光軸直交方向に移動して結像位置を変位させることにより像ぶれを補正する像ぶれ補正レンズ群としたこと、及び
次の条件式(1’)及び(2’)を満足することを特徴とするズームレンズ系。
(1’)0<De’<15
(2’)2.0<1/((1−G3Rmt’)Fmt’)<3.0
但し、
De’:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズ群の物体側の面から入射瞳迄の距離[mm]、
G3Rmt’:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズ群の横倍率、
Fmt’:長焦点距離端における無限遠合焦時の第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズ群の後続レンズ群の横倍率。
【請求項10】
請求項9記載のズームレンズ系において、第3レンズ群中の像ぶれ補正レンズ群は正単レンズからなるズームレンズ系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−97143(P2013−97143A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239181(P2011−239181)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】