説明

セルラーゼ及び漂白触媒を含む組成物

本発明は、(i)エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を示す細菌性アルカリ酵素と、(ii)ペルオキシ酸から酸素原子を受け取りこの酸素原子を酸化可能基質に受け渡すことのできる漂白触媒と、を含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を示す細菌性アルカリ酵素と漂白触媒とを含む組成物に関する。さらに具体的には、本発明は、このようなエンドグルカナーゼと、ペルオキシ酸から酸素原子を受け取りその酸素原子を酸化可能基質に受け渡すことができる漂白触媒と、を含む組成物に関する。本発明の組成物は典型的には、洗濯用洗剤組成物として用いるのに好適である。
【背景技術】
【0002】
セルラーゼ酵素類は、脱ピリング性(depilling)、柔軟性、及び色ケアに関するそれらの既知の利益のためにこれまで何年間も洗剤組成物において使用されてきた。しかしながら、セルラーゼが結晶性セルロースを加水分解することによって布地の繊維の引張り強度に与える場合のある悪影響のために、セルラーゼ類のほとんどの使用は制限されてきた。最近では、好ましくない引張り強度の損失を回避しつつセルラーゼ類の洗浄性を活用するために、非晶質セルロースに対して高い特異性を有するセルラーゼ類が開発されている。特に、アルカリ性洗浄条件における使用により良好に適合するようにアルカリエンドグルカナーゼ類が開発されている。
【0003】
例えば、ノボザイムズ(Novozymes)はPCT国際公開特許WO02/099091において、洗剤及び織物用途に使用するための、バチルス種(strain Bacillus sp.)、DSM 12648に内因性のエンド−β−グルカナーゼ活性(EC 3.2.1.4)を示す新規な酵素を開示している。ノボザイムズ(Novozymes)は更にPCT国際公開特許WO04/053039において、耐再付着性エンドグルカナーゼ、及びそれの、アニオン性界面活性剤に対する増大された安定性を有する特定のセルラーゼ類及び/又は更に特異的な酵素類との組み合わせを含む、洗剤組成物について記載している。花王(Kao)の、EP265 832は、バチルス種KSM−635の培養生成物から単離することによって得られる新規なアルカリセルラーゼK、CMCアーゼ(CMCase)I、及びCMCアーゼIIについて記載している。花王(Kao)は更にEP1 350 843において、アルカリ性環境において良好に作用し、かつ高い分泌能を有し又は向上された比活性を有するために容易に大量生産可能な、アルカリセルラーゼについて記載している。
【0004】
洗剤メーカーはまた、良好な漂白性能を提供するための試みにおいて、漂白触媒、特にオキサジリジウム(oxaziridium)又はオキサジリジニウム(oxaziridinium)形成漂白触媒を、彼らの洗剤製品の中に組み込もうと試みてきた。EP 0 728 181、EP 0 728 182、EP 0 728 183、EP 0 775 192、米国特許第4,678,792号、米国特許第5,045,223号、米国特許第5,047,163号、米国特許第5,360,568号、米国特許第5,360,569号、米国特許第5,370,826号、米国特許第5,442,066号、米国特許第5,478,357号、米国特許第5,482,515号、米国特許第5,550,256号、米国特許第5,653,910号、米国特許第5,710,116号、米国特許第5,760,222号、米国特許第5,785,886号、米国特許第5,952,282号、米国特許第6,042,744号、PCT国際公開特許WO95/13351、WO95/13353、WO97/10323、WO98/16614、WO00/42151、WO00/42156、WO01/16110、WO01/16263、WO01/16273、WO01/16274、WO01/16275、WO01/16276、WO01/16277は、オキサジリジウム及び/又はオキサジリジニウム形成漂白触媒を含む洗剤組成物に関するものである。
【0005】
本発明者らは、アルカリ性細菌性エンドグルカナーゼ類と特定のオキサジリジニウム形成漂白触媒との組み合わせが洗浄性能及び白色化性能において驚くべき改善をもたらすということを見出した。理論に束縛されるものではないが、次の機構によりこうした利益が生じる可能性が高いと考えられる:エンドグルカナーゼ酵素が、綿表面上に存在する非晶質セルロースを加水分解し、布地の孔構造を広げて、それがオキサジリジニウム形成漂白剤の化学作用に対してよりアクセスし易くなるようにする。加えて、黄色汚れに除去(アルカリ性細菌性エンドグルカナーゼ)及び漂白(オキサジリジニウム形成漂白剤)の両方によって作用することにより、洗浄性の知覚における改善が達成される。また、オキサジリジニウム形成漂白化学とアルカリ性細菌性エンドグルカナーゼとの組み合わせが、そうでなければこれらの物質の付着及び/又は蛍光の発生を阻害し得る汚れを除去することによって、蛍光増白剤の向上された性能をもたらすとも考えられる。
【0006】
本発明者らは、アルカリ性細菌性エンドグルカナーゼ及びオキサジリジニウム形成漂白剤を適切に選択することで、利益を最大限にし、かつ洗浄プロセス中又は貯蔵中のセルラーゼの酸化分解のようなマイナスの相互作用を最小限に抑えることが可能となるということを見出した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(i)エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を示す細菌性アルカリ酵素と、(ii)ペルオキシ酸から酸素原子を受け取りこの酸素原子を酸化可能基質に受け渡すことのできる漂白触媒と、を含む、組成物を提供する。
【0008】
配列表
SEQ ID NO:1は、バチルス種AA349からのエンドグルカナーゼのアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:2は、バチルス種KSM−S237からのエンドグルカナーゼのアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
組成物
本組成物は、(i)エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を示す、細菌性アルカリ酵素と、(ii)ペルオキシ酸から酸素原子を受け取りこの酸素原子を酸化可能基質に受け渡すことのできる、0.0005%〜0.1%の漂白触媒と、を含む。
【0010】
本発明の組成物は好ましくは過酸の供給源を含む。このような過酸源は、例えば添加剤又は前処理剤を介して、洗濯物上又は洗浄溶液中に既に存在していることができる。過酸の供給源は、漂白活性化剤及び過酸化物源を含む活性漂白系の形態であることもでき、又は予備形成された過酸の形態であることもでき、又はジアシルペルオキシド/リパーゼ漂白系、及び/又はテトラアシルペルオキシド/リパーゼ漂白系の形態であることもできる。
【0011】
好ましい活性化漂白系は、(i)組成物の0重量%以上15重量%未満、好ましくは7重量%以下、若しくは4重量%以下、又は1重量%以上、若しくは1.5重量%以上、のテトラアセチルエチレンジアミン及び/又はオキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤と、(ii)組成物の0重量%以上40重量%未満、好ましくは15重量%以下、若しくは4重量%以下、又は1重量%以上、若しくは2重量%以上、の過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、又は過ホウ酸ナトリウム四水和物のような過酸化物源と、を含む。
【0012】
好ましい予め形成される過酸漂白系は、次のうちの1つ以上のものを0〜10%、最も好ましくは0.2〜3%含む、(i)その三塩の形態のカリウムペルオキシモノサルフェート2KHSO・KHSO・KSO(オキソン(Oxone)(登録商標))、(ii)ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸、及び(iii)モノペルオキシフタル酸マグネシウム。
【0013】
好ましくはジアシルペルオキシド漂白系は、0〜3%、最も好ましくは0〜2%のジノナノイルペルオキシド、及び0〜0.02%、最も好ましくは0〜0.001%の純粋酵素リパーゼ酵素を含み、リパーゼは好ましくはリペックス(Lipex)(登録商標)(ノボザイムズ(Novozymes)(デンマーク、バグスバード(Bagsvaerd))の製品)である。
【0014】
本発明の組成物は以下に記載するような更なる洗剤成分を含んでもよい。キレート剤、及び特にヒドロキシエタン−ジメチレン−ホスホン酸(HEDP)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)及び/又は4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンジスルホン酸、二ナトリウム塩(チロン(Tiron)(登録商標))は好ましい。実際に、本発明のエンドグルカナーゼ及び漂白触媒とこれらのキレート剤との組み合わせが、汚れの除去、特に飲料、果物、及び粒子状の汚れの除去を助けることにより、かつ(HEDP及びPBTCの場合には)、そうでなければ漂白剤及びエンドグルカナーゼの作用を妨害し得る繊維上での炭酸カルシウム結晶の形成を軽減することにより、漂白触媒とエンドグルカナーゼの布地表面上での洗浄性能を改善するものと考えられる。別の好ましい成分は蛍光増白剤、特に次のものである:
【化1】

式中R1及びR2は、それらと結合する窒素原子と共に、非置換の又はC1〜C4アルキル置換された、モルホリノ、ピペリジン、又はピロリジン環を形成する。実際に、本発明のエンドグルカナーゼ及び漂白触媒とこれらの蛍光増白剤との組み合わせは、そうでなければ蛍光増白剤の付着又は蛍光を妨害し得る汚れを除去又は漂白することにより、布地の白色化を高めるものと考えられる。
【0015】
本組成物は、洗濯洗剤組成物、洗濯用添加組成物、食器洗浄用組成物、又は硬質面清浄用組成物として用いるのに好適であることがある。本組成物は典型的には洗剤組成物である。本組成物は、布地処理用組成物であってよい。好ましくは、本組成物は洗濯洗剤組成物である。
【0016】
本組成物は、液体又は固体といったいずれの形状であることもできるが、好ましくは本組成物は、固形状である。典型的には、本組成物は、粒塊(agglomerate)、噴霧乾燥された粉末、押出品、フレーク、針状、麺状、ビーズ、又はこれらのいずれかの組み合わせなどの微粒子状である。本組成物は、圧縮粒子状、例えば、タブレット又はバーの形状であってよい。本組成物は、他の何らかの1回用量形状、例えば小袋形状であってよく、その場合、本組成物は典型的には、少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全に、ポリビニルアルコールなどの水溶性フィルムで包囲される。好ましくは本組成物は、自由流動粒子状であり、自由流動粒子形状とは典型的に、組成物が別個の離散粒子状であることを意味する。本組成物は、アグロメレーション、噴霧乾燥、押出成形、混合、乾燥混合、液体噴霧、ローラー圧縮、球形化、錠剤化、又はこれらのいずれかの組み合わせを包含する、いずれかの好適な方法で作製してよい。
【0017】
本組成物は典型的には350g/L〜1,000g/Lのバルク密度を有し、好ましい低バルク密度洗剤組成物は550g/L〜650g/Lのバルク密度を有し、好ましい高バルク密度洗剤組成物は750g/L〜900g/Lのバルク密度を有する。本組成物は、650g/L〜750g/Lのバルク密度を有してもよい。洗濯プロセス中、本組成物は典型的には水と接触して、7より高く13未満の、好ましくは7より高く10.5未満のpHを有する洗浄溶液をもたらす。これは、良好な洗浄を提供すると同時に、良好な布地ケア特性も確保するために最適なpHである。
【0018】
本組成物は、組成物の0重量%以上、又は1重量%以上、又は2重量%以上、又は3重量%以上、又は4重量%以上、又は5重量%以上、及び30重量%以下、又は20重量%以下、又は10重量%以下のカーボネートアニオン源を含むのが好ましい。上記濃度のカーボネートアニオン源は、本組成物が良好な全体的洗浄性能と良好な漂白性能を有することを確実にする。
【0019】
本組成物は移染防止剤を含んでもよい。好適な移染防止剤は、好ましくは重量平均分子量が6.6E−20g(40,000Da)〜1.3E−19g(80,000Da)、好ましくは8.3E−20g(50,000D1)〜1.2E−19g(70,000Da)であるポリビニルピロリドン、好ましくは重量平均分子量が1.6E−20g(10,000Da)〜6.6E−20g(40,000Da)、好ましくは2.5E−20g(15,000Da)〜4.2E−20(25,000Da)であるポリビニルイミダゾール、好ましくは重量平均分子量が5.0E−20g(30,000Da)〜1.2E−19g(70,000Da)、好ましくは6.6E−20g(40,000Da)〜10E−20g(60,000Da)であるポリビニルピリジンN−オキシドポリマー、重量平均分子量が5.0E−20g(30,000Da)〜1.2E−19g(70,000Da)、好ましくは6.6E−20g(40,000Da)〜10E−20g(60,000Da)であるポリビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマー、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
本組成物は、組成物の0重量%以上5重量%未満、好ましくは4重量%以下、又は3重量%以下、又は2重量%以下、又は更には1重量%以下のゼオライトビルダーを含んでよい。本組成物は5重量%以上の濃度でゼオライトビルダーを含んでもよいが、好ましくは本組成物は5重量%未満のゼオライトビルダーを含む。本組成物はゼオライトビルダーを本質的に含まないのが好ましいことがある。「ゼオライトビルダーを本質的に含まない」とは典型的には、本組成物が、意図的に組み込まれたゼオライトビルダーを含まないことを意味する。これは、組成物が洗濯用固体洗剤組成物である場合に特に好ましく、非水溶性残留物(例えば、布地表面上に堆積することがある)の量を最小限に抑えるために、また透明な洗浄液を有することが非常に望ましい場合にも、本組成物は、可溶性が非常に高いのが望ましい。好適なゼオライトビルダーとしては、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP、及びゼオライトMAPが挙げられる。
【0021】
本組成物は組成物の0重量%以上40重量%未満、又は20重量%未満、好ましくは4重量%以下、3重量%以下、又は2重量%以下、又は更には1重量%以下のホスフェートビルダーを含んでよい。本組成物は20重量%以上の濃度でホスフェートビルダーを含んでもよいが、本組成物は20重量%未満のホスフェートビルダーを含むのが好ましい。さらには、本組成物がホスフェートビルダーを本質的に含まないことが好ましいこともある。「ホスフェートビルダーを本質的に含まない」とは典型的に、本組成物が、意図的に添加されたホスフェートビルダーを含まないことを意味する。これは、組成物が非常に良好な環境特性を持つことが望ましい場合に、特に好ましい。好適なホスフェートビルダーとしては、トリポリリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0022】
本組成物は組成物の0重量%以上20重量%未満、又は好ましくは5重量%以下、又は3重量%以下、又は更には2重量%以下、又は1重量%以下のケイ酸塩を含んでよい。本組成物はケイ酸塩を10重量%以上の濃度で含んでもよいが、好ましくは本組成物は5重量%未満のケイ酸塩を含む。さらには、本組成物がケイ酸塩を本質的に含まないことが好ましいこともある。「ケイ酸塩を本質的に含まない」とは典型的に、本組成物が、意図的に添加されたケイ酸塩を含まないことを意味する。これは、組成物が洗濯用固体洗剤組成物であり、組成物が確実に、非常に良好な投与特性及び溶解特性を有し、組成物が確実に、水に溶解すると透明な洗浄液を提供することが望ましい場合に特に好ましい。ケイ酸塩としては、非水溶性ケイ酸塩類が挙げられる。ケイ酸塩としては、非晶質ケイ酸塩類及び結晶層状ケイ酸塩類(例えばSKS−6)も挙げられる。ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウムが挙げられる。
【0023】
本組成物は典型的に、補助剤成分を含んでいる。補助剤成分としては、アニオン性洗浄性界面活性剤、非イオン性洗浄性界面活性剤、カチオン性洗浄性界面活性剤、双極性洗浄性界面活性剤、両性洗浄性界面活性剤などの洗浄性界面活性剤;(好ましいアニオン性洗浄性界面活性剤は、アルコキシル化したアニオン性洗浄性界面活性剤、例えば、平均アルコキシル化度が1〜30、好ましくは1〜10である直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC12〜18アルキルアルコキシル化サルフェート類、より好ましくは平均エトキシル化度が1〜10である直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC12〜18アルキルエトキシル化サルフェート類、最も好ましくは平均エトキシル化度が3〜7である直鎖で非置換のC12〜18アルキルエトキシル化サルフェート類であり、別の好ましいアニオン性洗浄性界面活性剤は、アルキルサルフェート類、アルキルスルホネート類、アルキルホスフェート類、アルキルホスホネート類、アルキルカルボキシレート類、又はこれらのいずれかの混合物であり、好ましいアルキルサルフェートとしては、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC10〜18アルキルサルフェート類が挙げられ、別の好ましいアニオン性洗浄性界面活性剤は、C10〜13直鎖アルキルベンゼンスルホネート類であり;好ましい非イオン性洗浄性界面活性剤は、平均アルコキシル化度が1〜20、好ましくは3〜10であるC8〜18アルキルアルコキシル化アルコール類であり、平均アルコキシル化度が3〜10であるC12〜18アルキルエトキシル化アルコール類が最も好ましく;好ましいカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノC6〜18アルキルモノヒドロキシエチルジメチル4級アンモニウムクロリド類であり、モノC8〜10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル4級アンモニウムクロリド、モノC10〜12アルキルモノヒドロキシエチルジメチル4級アンモニウムクロリド、及びモノC10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル4級アンモニウムクロリドがより好ましい);過酸素源、例えば、過炭酸塩類及び/又は過ホウ酸塩類(過炭酸塩が好ましい)(過酸素源は好ましくは、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、ボロシリケート、又はこれらの混合塩類を包含する混合物などのコーティング成分によって、少なくとも部分的にコーティングされており、好ましくは完全にコーティングされている);テトラアセチルエチレンジアミンのような漂白活性化剤、ノナノイルオキシベンゼンスルホネートのようなオキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤、カプロラクタム漂白活性化剤、N−ノナノイル−N−メチルアセトアミドのようなイミド漂白活性化剤;アミラーゼ類、アラビナーゼ類、キシラナーゼ類、ガラクタナーゼ類、グルカナーゼ類、カルボヒドラーゼ類、他のセルラーゼ類、ラッカーゼ類、オキシダーゼ類、ペルオキシダーゼ類、プロテアーゼ類、ペクテートリアーゼ類、及びマンナナーゼ類(プロテアーゼ類が特に好ましい)などの酵素;シリコーン系泡抑制剤など泡抑制系;蛍光増白剤;光漂白剤;硫酸塩類、好ましくは硫酸ナトリウムなどの充填剤塩;粘土、シリコーン、及び/又は4級アンモニウム化合物などの布地柔軟化剤(所望によりシリコーンと組み合わせたモンモリロナイト粘土が特に好ましい);ポリエチレンオキシドなどの凝集剤;ポリビニルピロリドン、ポリ4−ビニルピリジンN−オキシド、及び/又はビニルピロリドンとビニルイミダゾールのコポリマーなどの移染防止剤;疎水変性セルロース、及びイミダゾールとエピクロルヒドリンの縮合によって生成されたオリゴマー類などの布地一体性構成成分(fabric integrity components);アルコキシル化ポリアミン類及びエトキシル化エチレンイミンポリマー類などの汚れ分散剤及び汚れ再付着防止助剤;カルボキシメチルセルロース及びポリエステル類などの再付着防止構成成分;香料;スルファミン酸又はその塩類;クエン酸又はその塩類;炭酸塩類(炭酸ナトリウムが特に好ましい);並びに、オレンジ色染料、青色染料、緑色染料、紫色染料、ピンク色染料、又はこれらのいずれかの混合物などの染料、が挙げられる。
【0024】
エンドグルカナーゼ
本組成物は、エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を示す、1つ以上の細菌性アルカリ酵素(類)を含む。エンドグルカナーゼと漂白触媒との組み合わせは、貯蔵中及び洗浄プロセス中の酵素の良好な安定性を保持しながら、洗浄及び白色化の性能を顕著に改善する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「アルカリエンドグルカナーゼ」とは、7を超える最適pHを有し、かつpH10においてその最適活性の70%を超える活性を保持するエンドグルカナーゼを意味するものとする。エンドグルカナーゼは典型的には、本洗剤組成物中に、純粋な酵素の0.00005重量%〜0.15重量%、0.0002重量%〜0.02重量%、又は更には0.0005重量%〜0.01重量%の濃度で含まれることになる。
【0026】
好ましくは、エンドグルカナーゼはバチルス属の一員に内因性の細菌性ポリペプチドである。
【0027】
より好ましくは、エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を示すアルカリ酵素が、(i)少なくとも1つのファミリー17糖質結合モジュール(ファミリー17CBM)、及び/又は(ii)少なくとも1つのファミリー28糖質結合モジュール(ファミリー28CBM)、を含有するポリペプチドである。CBMの定義及び分類については、例えば、構造生物学におけるカレントオピニオン(Current Opinion in Structural Biology)、2001年、593〜600(ブーレ(Y. Bourne)及びヘンリサット(B. Henrissat))(論文タイトル「グリコシドヒドロラーゼ及びグルコシルトランスフェラーゼ:ファミリー及びファンクショナル・モジュール(Glycoside hydrolases and glycosyltransferases: families and functional modules)」を参照されたし。ファミリー17及び28CBMの特性については、バイオケミカル・ジャーナル(Biochemical Journal)、2002年、361巻、35〜40(ボラストン(A.B. Boraston)ら)、論文タイトル:「新規な糖質結合モジュールファミリーの同定及びグルカン結合特性(Identification and glucan-binding properties of a new carbohydrate-binding module family)」も更に参照されたし。
【0028】
より好ましい実施形態では、前記酵素が、次のバチルス種の1つに内因性のポリペプチド(又はそれらの変異型)を含む:
【表1】

【0029】
本発明の組成物のために好適なエンドグルカナーゼは、次のものである:
1)エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を示す酵素であって、GCGプログラムにおいて提供されるGAPによって、GAPクリエーション・ペナルティー3.0及びGAPエクステンション・ペナルティー0.1を用いて同一性を決定した場合に、SEQ ID NO:1(PCT国際公開特許WO02/099091のSEQ ID NO:2に相当)の1位〜773位のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは94%、より好ましくは97%、及び更により好ましくは99%、100%同一の配列を有するもの;又はエンド−β−1,4−グルカナーゼ活性を有するそのフラグメント。その酵素及び対応する生成法は、PCT国際公開特許出願WO02/099091(2002年12月12日、ノボザイムズ(Novozymes A/S)により公開)に広く記載されている。4〜17頁の詳細説明(the detailed description)及び20〜26頁の実施例を参照されたし。このような酵素の1つは、商標名セルクリーン(Celluclean)(商標)でノボザイムズ(Novozymes A/S)により市販されている。
【0030】
GCGとは、アッチェリーズ(Accelrys)(米国、カリフォルニア州、サンディエゴ(San Diego))により提供される配列分析ソフトウェアパッケージを指す。これは、GAPと呼ばれるプログラムを導入しており、このプログラムは、ニードルマン(Needleman)及びワンシュ(Wunsch)のアルゴリズムを使用して、一致数を最大にしギャップ数を最小にする2つの完全配列の整列を見出す。
【0031】
2)EP1 350 843A(花王(Kao corporation)、2003年10月8日公開)に記載されているアルカリエンドグルカナーゼ酵素類もまた好適である。酵素及びその生成に関する詳細説明に関しては、発明を実施するための最良の形態(the detailed description)[0011]〜[0039]及び実施例1〜4[0067]〜[0077]を参照されたし。アルカリセルラーゼ変異型は、SEQ. ID NO:2(EP1 350 843、11〜13頁におけるSEQ. ID NO:1に相当)によって表されるアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは98%、更には100%の同一性を示すアミノ酸配列を有するセルラーゼのアミノ酸残基を、SEQ ID NO:2における(a)10位、(b)16位、(c)22位、(d)33位、(e)39位、(f)76位、(g)109位、(h)242位、(i)263位、(j)308位、(k)462位、(l)466位、(m)468位、(n)552位、(o)564位、又は(p)608位で、又はそれらに相当する位置で、別のアミノ酸残基で置換することにより得られる。
【0032】
前記「SEQ.ID NO:2により表されるアミノ酸配列を有するアルカリセルラーゼ」の例としては、Egl−237[バチルス種KSM−S237(FERM BP−7875)(ハカマダ(Hakamada)ら、バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci. Biotechnol. Biochem.)、64、2281〜2289、2000年)由来のもの]が挙げられる。「SEQ.ID NO:2によって表されるアミノ酸配列と少なくとも90%の相同性を示すアミノ酸配列を有するアルカリセルラーゼ」の例としては、SEQ. ID NO:2によって表されるアミノ酸配列と、好ましくは少なくとも95%の相同性、より好ましくは少なくとも98%の相同性を示すアミノ酸配列を有するアルカリセルラーゼ類が挙げられる。具体的な例としては、バチルス種1139(Egl−1139)(フクモリ(Fukumori)ら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ミクロバイオロジー(J. Gen. Microbiol.)、132、2329〜2335)由来のアルカリセルラーゼ(91.4%相同性)、バチルス種KSM−64(Egl−64)(スミトモ(Sumitomo)ら、バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci. Biotechnol. Biochem.)、56、872〜877、1992年)由来のアルカリセルラーゼ(相同性:91.9%)、及びバチルス種KSM−N131(Egl−N131b)(日本特許出願番号(Japanese Patent Application No.)2000−47237)由来のセルラーゼ(相同性:95.0%)が挙げられる。
【0033】
アミノ酸は好ましくは以下によって置換される:位置(a)ではグルタミン、アラニン、プロリン、又はメチオニン、特にグルタミンが好ましく、位置(b)ではアスパラギン又はアルギニン、特にアスパラギンが好ましく、位置(c)ではプロリンが好ましく、位置(d)ではヒスチジンが好ましく、位置(e)ではアラニン、トレオニン、又はチロシン、特にアラニンが好ましく、位置(f)ではヒスチジン、メチオニン、バリン、トレオニン、又はアラニン、特にヒスチジンが好ましく、位置(g)ではイソロイシン、ロイシン、セリン、又はバリン、特にイソロイシンが好ましく、位置(h)ではアラニン、フェニルアラニン、バリン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、チロシン、トレオニン、メチオニン、又はグリシン、特にアラニン、フェニルアラニン、又はセリンが好ましく、位置(i)ではイソロイシン、ロイシン、プロリン、又はバリン、特にイソロイシンが好ましく、位置(j)ではアラニン、セリン、グリシン、又はバリン、特にアラニンが好ましく、位置(k)ではトレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、又はアルギニン、特にトレオニンが好ましく、位置(l)ではロイシン、アラニン、又はセリン、特にロイシンが好ましく、位置(m)ではアラニン、アスパラギン酸、グリシン、又はリジン、特にアラニンが好ましく、位置(n)ではメチオニンが好ましく、位置(o)ではバリン、トレオニン、又はロイシン、特にバリンが好ましく、及び位置(p)ではイソロイシン又はアルギニン、特にイソロイシンが好ましい。
【0034】
前記「それに相当する位置におけるアミノ酸残基」は、公知のアルゴリズム、例えばリップマン−ピアソン法(Lipman-Pearson’s method)のものを用いてアミノ酸配列を比較し、各アルカリセルラーゼのアミノ酸配列中の類似性を有する多数の領域(the multiple regions of simirality)に対して最大の類似性スコアを与えることにより特定することができる。このような態様でセルラーゼのアミノ酸配列を整列させることにより、アミノ酸配列中に存在する挿入又は欠失に関わらず、各セルラーゼの配列中での相同のアミノ酸残基の位置を決定することができる(EP1 350 843の図1)。相同位置は三次元的に同一の位置に存在し、及びそれが対象セルラーゼの特異的機能に関してほぼ同様の効果をもたらすと推定される。
【0035】
SEQ.ID NO:2と少なくとも90%の相同性を示すアミノ酸配列を有する別のアルカリセルラーゼについて、SEQ.ID NO:2によって表されるアルカリセルラーゼ(Egl−237)の(a)10位、(b)16位、(c)22位、(d)33位、(e)39位、(f)76位、(g)109位、(h)242位、(i)263位、(j)308位、(k)462位、(l)466位、(m)468位、(n)552位、(o)564位、及び(p)608位に相当する位置、及びこれらの位置におけるアミノ酸残基の具体例を、以下に示す:
【表2】

【0036】
3)EP265 832A(花王(Kao)、1988年5月4日公開)に記載されているアルカリセルラーゼKもまた好適である。酵素及びその生成の詳細説明については、その記述の4頁35行〜12頁22行並びに19頁の実施例1及び2を参照されたし。アルカリセルラーゼKは次の物理的及び化学的特性を有する:
・(1)活性:弱いC酵素活性及び弱いβ−グルコキシダーゼ活性と共にカルボキシメチルセルロースに作用するCx酵素活性を有する;
・(2)基質への特異性:カルボキシメチルセルロース(CMC)、結晶性セルロース、アビセル(Avicell)、セロビオース、及びp−ニトロフェニルセロビオシド(PNPC)に作用する;
・(3)4〜12の範囲に作用pHを有し、9〜10の範囲に最適pHを有する;
・(4)40℃で10分間及び30分間静置されたとき、それぞれ4.5〜10.5、及び6.8〜10の安定なpH値を有する;
・(5)10〜65℃の広い温度範囲で作用し、最適温度は約40℃において認められる;
・(6)キレート化剤の影響:エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス−(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N”−四酢酸(EGTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン(ニトリロ三酢酸)(NTA)、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、及びゼオライトにより活性が妨げられない;
・(7)界面活性剤(surface active agents)の影響:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類(LAS)、アルキル硫酸ナトリウム類(AS)、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム類(ES)、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム類(AOS)、ナトリウムα−スルホン化脂肪酸エステル類(α−SFE)、アルキルスルホン酸ナトリウム類(SAS)、ポリオキシエチレン二級アルキルエーテル類、脂肪酸塩類(ナトリウム塩類)、及びジメチルジアルキルアンモニウムクロライドなどの界面活性剤による活性の阻害はほとんど受けない;
・(8)プロテイナーゼ類に対して強い抵抗力を有する;及び
・(9)分子量(ゲルクロマトグラフィーにより決定):180,000±10,000に最大ピークを有する。
【0037】
好ましくはこのような酵素は、バチルス種KSM−635の培養生成物から単離することによって得られる。
【0038】
セルラーゼKは、花王(Kao Corporation)によって市販されており、例えばKAC(登録商標)として既知のセルラーゼの調製品Eg−Xは、共にバチルス種KSM−635バクテリウムからのE−HとE−Lとの混合物である。セルラーゼE−H及びセルラーゼE−Lは、イトー(S. Ito)、エクストリーモファイルス(Extremophiles)、1997年、1巻、61〜66、及びイトー(S. Ito)ら、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric Biol Chem)、1989年、53巻、1275〜1278に記載されている。
【0039】
4)EP271 004A(花王(Kao)、1988年6月15日公開)に記載されているアルカリ性細菌性エンドグルカナーゼ類もまた、本発明の目的のために好適である。酵素及びその生成の詳細説明については、その記述の9頁15行〜23頁17行、及び31頁1行〜33頁17行を参照されたし。それらには次のものがある:
KSM 534、FERM BP 1508からのアルカリセルラーゼK−534、
KSM 539、FERM BP 1509からのアルカリセルラーゼK−539、
KSM 577、FERM BP 1510からのアルカリセルラーゼK−577、
KSM 521、FERM BP 1507からのアルカリセルラーゼK−521、
KSM 580、FERM BP 1511からのアルカリセルラーゼK−580、
KSM 588、FERM BP 1513からのアルカリセルラーゼK−588、
KSM 597、FERM BP 1514からのアルカリセルラーゼK−597、
KSM 522、FERM BP 1512からのアルカリセルラーゼK−522、
KSM 522、FERM BP 1512からのアルカリセルラーゼE−II、
KSM 522、FERM BP 1512からのアルカリセルラーゼE−III、
KSM 344、FERM BP 1506からのアルカリセルラーゼK−344、
KSM 425、FERM BP 1505からのアルカリセルラーゼK−425。
【0040】
5)最後に、JP2005287441A(花王(Kao)、2005年10月20日公開)に記載されているバチルス種KSM−N由来のアルカリエンドグルカナーゼ類もまた、本発明の目的のために好適である。酵素及びその生成の詳細説明については、その記述の4頁39行〜10頁14行を参照されたし。このようなアルカリエンドグルカナーゼの例には次のものがある:
バチルス種KSM−N546からのアルカリセルラーゼEgl−546H、
バチルス種KSM−N115からのアルカリセルラーゼEgl−115、
バチルス種KSM−N145からのアルカリセルラーゼEgl−145、
バチルス種KSM−N659からのアルカリセルラーゼEgl−659、
バチルス種KSM−N440からのアルカリセルラーゼEgl−640。
【0041】
進化分子工学(directed evolution)のような、当業者には公知の種々の技術によって得られる上述の酵素類の変異型もまた本発明に包含される。
【0042】
漂白触媒
漂白触媒は、ペルオキシ酸及び/又はその塩から酸素原子を受け取りその酸素原子を酸化可能基質に受け渡すことができる。好適な漂白触媒としては、イミニウムカチオン類及びポリイオン類、イミニウム双性イオン類、変性アミン類、変性アミンオキシド類、N−スルホニルイミン類、N−ホスホニルイミン類、N−アシルイミン類、チアジアゾールジオキシド類、ペルフルオロイミン類、環状糖ケトン類、並びに、これらの混合物が挙げられるが、これらに限らない。
【0043】
漂白触媒は典型的には洗剤組成物中に、0.0005重量%〜0.2重量%、0.001重量%〜0.1重量%、又は更には0.005重量%〜0.05重量%の濃度で含まれる。
【0044】
好適なイミニウムカチオン及びポリイオンとしては、「テトラヘドロン(Tetrahedron)」(1992年)、49(2)号、423〜38頁(例えば433頁の化合物4を参照)に記載されているとおりに調製したN−メチル−3,4−ジヒドロイソキノリニウムテトラフルオロボレート、米国特許第5,360,569号(例えば11段落目の実施例1を参照)に記載されているとおりに調製したN−メチル−3,4−ジヒドロイソキノリニウムp−トルエンスルホネート、及び米国特許第5,360,568号(例えば10段落目の実施例3を参照)に記載されているとおりに調製したN−オクチル−3,4−ジヒドロイソキノリニウムp−トルエンスルホネートが挙げられるが、これらに限らない。
【0045】
好適なイミニウム双性イオンとしては、米国特許第5,576,282号(例えば31段落目の実施例IIを参照)に記載されているとおりに調製したN−(3−スルホプロピル)−3,4−ジヒドロイソキノリニウム分子内塩、米国特許第5,817,614号(例えば32段落目の実施例Vを参照)に記載されているとおりに調製したN−[2−(スルホオキシ)ドデシル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩、PCT国際公開特許WO05/047264(例えば18頁の実施例8を参照)に記載されているとおりに調製した2−[3−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩、及び2−[3−[(2−(ブチルオクチル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩が挙げられるが、これらに限らない。
【0046】
好適な変性アミン酸素移動触媒としては、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−メチル−1−イソキノリノール(「テトラヘドロンレターズ(Tetrahedron Letters)」(1987年)、28(48)号、6061〜6064頁に記載されている手順に従って生成させることができる)が挙げられるが、これに限らない。好適な変性アミンオキシド酸素移動触媒としては、ナトリウム1−ヒドロキシ−N−オキシ−N−[2−(スルホオキシ)デシル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが挙げられるが、これに限らない。
【0047】
好適なN−スルホニルイミン酸素移動触媒としては、「有機化学会誌(Journal of Organic Chemistry)」(1990年)、55(4)号、1254〜61頁に記載されている手順に従って調製した3−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾール1,1−ジオキシドが挙げられるが、これに限らない。
【0048】
好適なN−ホスホニルイミン酸素移動触媒としては、「化学会誌(Journal of the Chemical Society)」、ケミカルコミュニケーションズ(Chemical Communications)(1994年)、(22)号、2569〜70頁に記載されている手順に従って生成させることのできる[R−(E)]−N−[(2−クロロ−5−ニトロフェニル)メチレン]−P−フェニル−P−(2,4,6−トリメチルフェニル)−ホスフィン酸アミドが挙げられるが、これに限らない。
【0049】
好適なN−アシルイミン酸素移動触媒としては、「ポーランド化学会誌(Polish Journal of Chemistry)」(2003年)、77(5)号、577〜590頁に記載されている手順に従って生成させることのできる[N(E)]−N−(フェニルメチレン)アセトアミドが挙げられるが、これに限らない。
【0050】
好適なチアジアゾールジオキシド酸素移動触媒としては、米国特許第5,753,599号(9段落目、実施例2)に記載されている手順に従って生成させることのできる3−メチル−4−フェニル−1,2,5−チアジアゾール1,1−ジオキシドが挙げられるが、これに限らない。
【0051】
好適なペルフルオロイミン酸素移動触媒としては、「テトラヘドロンレター(Tetrahedron Letters)」(1994年)、35(34)号、6329〜30頁に記載されている手順に従って生成させることのできる(Z)−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−N−(ノナフルオロブチル)ブタンイミドイルフルオリドが挙げられるが、これに限らない。
【0052】
好適な環状糖ケトン酸素移動触媒としては、米国特許第6,649,085号(12段落目、実施例1)において調製されるような1,2:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−エリトロ−2,3−ヘキソジウロ−2,6−ピラノースが挙げられるが、これに限らない。
【0053】
好ましくは、漂白触媒はイミニウム及び/又はカルボニル官能基を含み、及び典型的には、酸素原子を受け取ると、とりわけペルオキシ酸及び/又はその塩から酸素原子を受け取ると、オキサジリジニウム及び/又はジオキシラン官能基を形成することができる。好ましくは、漂白触媒はオキサジリジニウム官能基を含み、及び/又は、酸素原子を受け取ると、とりわけペルオキシ酸及び/又はその塩から酸素原子を受け取ると、オキサジリジニウム官能基を形成することができる。好ましくは、漂白触媒は環状イミニウム官能基を含み、好ましくはその場合、環状部分の環のサイズは、原子5〜8個(窒素原子も包含して)、好ましくは原子6個である。好ましくは、漂白触媒は、アリールイミニウム官能基、好ましくは2環状アリールイミニウム官能基、好ましくは3,4−ジヒドロイソキノリニウム官能基を含む。典型的にはイミン官能基は4級イミン官能基であり、及び典型的には、酸素原子を受け取ると、とりわけペルオキシ酸及び/又はその塩から酸素原子を受け取ると、4級オキサジリジニウム官能基を形成することができる。
【0054】
好ましくは、漂白触媒は次の化学式に相当する化学構造を有する。
【化2】

式中、n及びmは独立して0〜4であり、好ましくはn及びmはいずれも0であり、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、縮合アリール、複素環、縮合複素環、ニトロ、ハロ、シアノ、スルホナト、アルコキシ、ケト、カルボキシル(carboxylic)、及びカルボアルコキシラジカルからなる群から選択した置換又は非置換ラジカルから選択され、近接している2つのR置換基のいずれかが結合して縮合アリール環、縮合炭素環、又は縮合複素環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルカリール、アリール、アラルキル、アルキレン、複素環、アルコキシ、アリールカルボニル基、カルボキシアルキル基、及びアミド基からなる群から独立して選択した置換又は非置換ラジカルから選択され、いずれかのRはいずれかの他のRと結合して共通環の一部を形成してもよく、いずれかのジェミナルなRが結合してカルボニルを形成してもよく、いずれかの2つのRが結合して置換又は非置換の縮合不飽和部分を形成してもよく、RはC〜C20の置換又は非置換アルキルであり、Rは水素又は部分Q−A(式中、Qは分枝状又は非分枝状アルキレンであり、tは0又は1であり、Aは、OSO、SO、CO、OCO、OPO2−、OPO、及びOPOからなる群から選択したアニオン基である)であり、Rは水素又は部分−CR1112−Y−G−Y−[(CR10−O]−R(式中、Yはそれぞれ独立してO、S、N−H、又はN−Rからなる群から選択され、Rはそれぞれ独立してアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、前記部分は置換又は非置換であり、及び置換又は非置換を問わず前記部分は21個未満の炭素を有し、Gはそれぞれ独立してCO、SO、SO、PO、及びPOからなる群から選択され、R及びR10は独立して、H及びC〜Cアルキルからなる群から選択され、R11及びR12は独立して、H及びアルキルからなる群から選択され、あるいは、1つにまとまると、結合してカルボニルを形成してもよく、bは0又は1であり、cは0又は1であることができるが、bが0の場合cは0でなければならず、yは1〜6の整数であり、kは0〜20の整数である)であり、RはH、又はアルキル、アリール、若しくは、ヘテロアリール部分であり、前記部分は置換又は非置換であり、Xは、存在する場合、好適な電荷のバランスをとる対イオンであり、Rが水素である場合にはXが存在しているのが好ましく、好適なXとしては、クロリド、ブロミド、サルフェート、メトサルフェート、スルホネート、p−トルエンスルホネート、ボロンテトラフルオリド(borontetraflouride)、及びホスフェートが挙げられるが、これらに限らない。
【0055】
本発明の1つの実施形態では、漂白触媒は、以下の一般式に相当する構造を有する。
【化3】

式中、R13は、3〜24個の炭素原子(分枝している炭素原子を包含)を含有する分枝状アルキル基、又は1〜24個の炭素原子を含有する直鎖アルキル基であり、好ましくは、R13は、8〜18個の炭素原子を含有する分枝状アルキル基、又は8〜18個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり、好ましくは、R13は、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、イソノニル、イソデシル、イソトリデシル、及びイソペンタデシルからなる群から選択され、好ましくは、R13は、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、イソトリデシル、及びイソペンタデシルからなる群から選択される。
【0056】
オキシベンゼンスルホネート及び/又はオキシベンゾイン漂白活性化剤
別の実施形態では、組成物は更に、(i)オキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤及び/又はオキシベンゾイン酸漂白活性化剤、並びに(ii)過酸素源、を含むことができる。典型的には、オキシベンゾイン酸漂白活性化剤は、その塩の形態をしている。好ましいオキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤としては、一般式を有する漂白活性化剤が挙げられる。
R−(C=O)−L
式中、Rは、漂白活性化剤が疎水性の場合に6〜14個の炭素原子、又は8〜12個の炭素原子を有する、所望により分枝状のアルキル基であり、Lは脱離基である。好適な脱離基の例は、ベンゾイン酸及びその誘導体類、特にはその塩類である。特に好ましい別の脱離基はオキシベンゼンスルホネートである。好適な漂白活性化剤としては、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゾイン酸の塩、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、ノナノイルアミドカプロイルオキシベンゼンスルホネート、及びノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)が挙げられる。好適な漂白活性化剤はPCT国際公開特許WO98/17767にも開示されている。これらの漂白活性化剤を本組成物に組み込むのは、本組成物が低濃度のゼオライトビルダーとホスフェートビルダーを含む場合に特に好ましい。
【0057】
ジアシルペルオキシド
別の実施形態では、組成物は更に、(i)リパーゼ;並びに(ii)洗浄プロセス中に過酸を生成するためのジアシル及び/又はテトラアシルペルオキシド種を含む。ジアシルペルオキシド漂白種は好ましくは、次の一般式のジアシルペルオキシドから選択される:
−C(O)−OO−(O)C−R
式中、RはC〜C18アルキル、好ましくは、少なくとも5個の炭素原子の直鎖を含有しており、所望により1つ以上の置換基(例えば、−N(CH、−COOH又は−CN)及び/又はアルキルラジカルの隣接炭素原子間に挿入されている1つ以上の妨害部分(例えば、−CONH−又は−CH=CH−)を含有しているC〜C12アルキル基を表しており、Rはペルオキシド部分と相溶性のある脂肪族基を表しており、RとRとで合計8〜30個の炭素原子を含有するようになされている。好ましいある1つの態様では、R及びRは非置換の直鎖C〜C12アルキル鎖である。R及びRは同一であるのが最も好ましい。ジアシルペルオキシド(R及びRの両方がC6〜C12アルキル基である)が特に好ましい。R基(R又はR)のうちの好ましくは少なくとも1つ、最も好ましくは1つのみでは、α位に、又は好ましくはα位にもβ位にも、又は最も好ましくはα位、β位、γ位のいずれにも、分枝又はペンダント環を含有していない。さらに好ましいある1つの実施形態では、DAPは非対称であってよく、過酸を生成させるためにR1のアシル基の加水分解は急速であるが、R2のアシル基の加水分解はゆっくりであるようにするのが好ましい。
【0058】
テトラアシルペルオキシド漂白種は好ましくは、次の一般式のテトラアシルペルオキシド類から選択される:R−C(O)−OO−C(O)−(CH)n−C(O)−OO−C(O)−R
式中、RはC〜C、好ましくはC〜Cアルキル基を表しており、nは2〜12、好ましくは4〜10(端数を包含)の整数を表す。
【0059】
ジアシル及び/又はテトラアシルペルオキシド漂白種は、洗浄溶液の少なくとも0.5重量ppm、より好ましくは少なくとも10重量ppm、更に好ましくは少なくとも50重量ppmになるのに十分な量で存在するのが好ましい。好ましい実施形態では、前記漂白種は、洗浄溶液の約0.5〜約300重量ppm、より好ましくは約30〜約150重量ppmになるのに十分な量で存在している。
【0060】
予備形成されたペルオキシ酸
予備形成されたペルオキシ酸(pre-formed peroxyacid)又はその塩は典型的に、ペルオキシカルボン酸若しくはその塩、又はペルオキシスルホン酸若しくはその塩のいずれかである。
【0061】
予形成されたペルオキシ酸又はその塩は好ましくは、典型的に次の化学式に相当する化学構造を有するペルオキシカルボン酸又はその塩である。
【化4】

式中、R14は、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は複素環基から選択され、R14の基は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換であることができ、Yは電荷中性を実現するいずれかの好適な対イオンであり、好ましくはYは、水素、ナトリウム、又はカリウムから選択される。好ましくはR14は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC6〜9アルキルである。好ましくはペルオキシ酸又はその塩は、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、及びこれらの塩のいずれか、又はこれらの組み合わせのいずれかから選択される。ペルオキシ酸又はその塩の融点は、30℃〜60℃の範囲内であるのが好ましい。
【0062】
予形成されたペルオキシ酸又はその塩は、典型的には次の化学式に相当する化学構造を有するペルオキシスルホン酸又はその塩とすることもできる。
【化5】

式中、R15は、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は複素環基から選択され、R15の基は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換であることができ、Zは電荷中性を実現するいずれかの好適な対イオンであり、好ましくは、Zは水素、ナトリウム、又はカリウムから選択される。好ましくはR15は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC6〜9アルキルである。
【0063】
好ましい予め形成される過酸漂白系は、次の(i)その三塩の形態のカリウムペルオキシモノサルフェート2KHSO・KHSO・KSO(オキソン(Oxone)(登録商標))、(ii)ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸、及び(iii)モノペルオキシフタル酸マグネシウム、のうちの1つ以上のものを0〜10%、最も好ましくは0.2〜3%含む。
【実施例】
【0064】
(実施例1):硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
2−エチルヘキシルグリシジルエーテルの調製:エピクロロヒドリン(15.62g、0.17モル)が充填されている滴下漏斗が備わっている火力乾燥された500mLの丸底フラスコに、2−エチルヘキサノール(16.5g、0.127モル)と塩化第2スズ(0.20g、0.001モル)を加える。反応物をアルゴン雰囲気下で保ち、油浴を用いて90℃まで加温する。エピクロロヒドリンを60分かけて攪拌溶液に滴下した後、90℃で18時間攪拌する。反応物に真空蒸留ヘッドを取り付け、1−クロロ−3−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−プロパン−2−オールを0.2mm Hgの下で蒸留する。1−クロロ−3−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール(4.46g、0.020モル)をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解させて、室温にてアルゴン雰囲気下で攪拌する。攪拌溶液に、カリウムt−ブトキシド(2.52g、0.022モル)を加え、その懸濁液を室温で18時間攪拌する。次に、反応物を蒸発乾固し、残留物をヘキサン中に溶解させ、水(100mL)で洗浄する。ヘキサン相を分離させ、NaSOによって乾燥させ、ろ過及び蒸発乾固して、粗製2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを得、これはさらに、真空蒸留によって精製することができる。
【0065】
硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−エチルへキシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製:凝縮器、乾燥アルゴン注入口、電磁攪拌棒、温度計、及び加熱浴装備の火力乾燥された250mLの三つ口丸底フラスコに、3、4−ジヒドロイソキノリン(0.40モル、米国特許第5,576,282号の実施例Iに記載されたように調製された)、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(0.38モル、上記のように調製された)、SO−DMF錯体(0.38モル)、及びアセトニトリル(500mL)を加える。反応を80℃まで温め、温度で72時間攪拌する。反応を室温まで冷却して蒸発乾固し、残留物をエチルアセテート及び/又はエタノールから再結晶化させて、所望の生成物を得る。溶媒アセトニトリルは、1,2−ジクロロエタンが挙げられるが、これに限らない他の溶媒に置き換えてよい。
【0066】
(実施例2):硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−ブチル−オクチルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の生成物は、2−ブチルオクタノールを2−ヘキシルオクタノールに置き換える以外は実施例1に従って調製する。
【0067】
(実施例3):洗濯洗剤組成物
次の洗濯洗剤組成物A、B、C、及びDは、本発明で用いるのに適している。それらはフロントローディング自動洗濯機で使用するのに好適である。
【表3】

【0068】
次の洗濯洗剤組成物E、F、G及びHは、本発明で用いるのに適している。これらはまた、フロントローディング洗濯機で用いるのにも好適である。
【表4】

【0069】
次の洗濯洗剤組成物I、J、K、及びLは、本発明で用いるのに適している。これらはまた、フロントローディング洗濯機で用いるためにも好適である。
【表5】

【0070】
顆粒洗濯洗剤の形状をしている漂白洗剤組成物は、次の配合によって例示されている。下記の組成物のいずれかを使用して、例えばトップローディング洗濯機又は手洗いプロセスで、水中600〜10000ppmの濃度で布地を洗濯する。
【表6】

†エンドグルカナーゼは好ましくは、ノボザイムズ(Novozymes)(デンマーク、バグスバード(Bagsvaerd))により供給されるセルクリーン(Celluclean)(登録商標)である。
ノボザイムズ(Novozymes)(デンマーク、バグスバード(Bagsvaerd))により供給される酵素
**実施例1若しくは2に従って調製した有機触媒、又はこれらの混合物
***ジアシルペルオキソドは、ジノナノイルペルオキシドであるのが好ましい。
【0071】
「発明を実施するための最良の形態」において引用された全ての文献は、その関連部分において、参照により本明細書に組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であるとの承認として解釈されるべきではない。
【0072】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるこうした全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を示す細菌性アルカリ酵素と、
(b)ペルオキシ酸から酸素原子を受け取り、前記酸素原子を酸化可能基質に受け渡すことのできる漂白触媒と、
を含む、組成物。
【請求項2】
酵素が、バチルス属の一員に内因性の細菌性ポリペプチドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酵素が、(i)少なくとも1つのファミリー17糖質結合モジュール、及び/又は(ii)少なくとも1つのファミリー28糖質結合モジュールを含有するポリペプチドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記酵素が、以下の、AA349(DSM 12648)、KSM S237、1139、KSM 64、KSM N131、KSM 635(FERM BP 1485)、KSM 534(FERM BP 1508)、KSM 53(FERM BP 1509)、KSM 577(FERM BP 1510)、KSM 521(FERM BP 1507)、KSM 580(FERM BP 1511)、KSM 588(FERM BP 1513)、KSM 597(FERM BP 1514)、KSM 522(FERM BP 1512)、KSM 3445(FERM BP 1506)、又はKSM 425(FERM BP 1505)からなる群から選択されるバチルス種の1つに内因性のポリペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記酵素が、
(i)SEQ ID NO:1の1位〜773位のアミノ酸配列を有するエンドグルカナーゼ、
(ii)GCGプログラムにおいて提供されるGAPによって、GAPクリエーション・ペナルティー3.0及びGAPエクステンション・ペナルティー0.1を用いて同一性を決定した場合に、SEQ ID NO:1の1位〜773位のアミノ酸配列に対し少なくとも90%同一の配列を有するエンドグルカナーゼ、又は、エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性を有するそのフラグメント、及び
(iii)これらの混合物、
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記酵素が、SEQ.ID NO:2によって表されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を示すアミノ酸配列を有するセルラーゼのアミノ酸残基を、SEQ ID NO:2中の(a)10位、(b)16位、(c)22位(d)33位、(e)39位、(f)76位、(g)109位、(h)242位、(i)263位、(j)308位、(k)462位、(l)466位、(m)468位、(n)552位、(o)564位、及び/若しくは(p)608位において、並びに/又はそれに相当する位置において、別のアミノ酸残基で置換することによって得られる、アルカリエンドグルカナーゼ変異型である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記酵素が、次の置換:
(a)10位における、グルタミン、アラニン、プロリン、又はメチオニン、
(b)16位における、アスパラギン又はアルギニン、
(c)22位における、プロリン、
(d)33位における、ヒスチジン、
(e)39位における、アラニン、トレオニン、又はチロシン、
(f)76位における、ヒスチジン、メチオニン、バリン、トレオニン、又はアラニン、
(g)109位における、イソロイシン、ロイシン、セリン、又はバリン、
(h)242位における、アラニン、フェニルアラニン、バリン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、チロシン、トレオニン、メチオニン、又はグリシン、
(i)263位における、イソロイシン、ロイシン、プロリン、又はバリン、
(j)308位における、アラニン、セリン、グリシン、又はバリン、好ましくはアラニン、
(k)462位における、トレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、又はアルギニン、
(l)466位における、ロイシン、アラニン、又はセリン、
(m)468位における、アラニン、アスパラギン酸、グリシン、又はリジン、
(n)552位における、メチオニン、
(o)564位における、バリン、トレオニン、又はロイシン、及び/又は
(p)608位における、イソロイシン又はアルギニン、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記酵素が、次のエンドグルカナーゼ変異型:Egl−237、Egl−1139、Egl−64、Egl−N131b、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記酵素が、次の物理的及び化学的特性:
(1)活性:弱いC酵素活性及び弱いβ−グルコキシダーゼ活性と共にカルボキシメチルセルロースに作用するCx酵素活性を有する;
(2)基質への特異性:カルボキシメチルセルロース(CMC)、結晶性セルロース、アビセル(Avicell)、セロビオース、及びp−ニトロフェニルセロビオシド(PNPC)に作用する;
(3)4〜12の範囲の作用pH及び9〜10の範囲の最適pHを有する;
(4)40℃にて10分間及び30分間静置された場合に、それぞれ4.5〜10.5及び6.8〜10の安定なpH値を有する;
(5)10〜65℃の広い温度範囲で作用し、最適温度は約40℃において認められる;
(6)キレート化剤の影響:エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス−(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N”−四酢酸(EGTA)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン(ニトリロ三酢酸)(NTA)、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、及びゼオライトによって活性が妨げられない;
(7)界面活性剤類の影響:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類(LAS)、アルキル硫酸ナトリウム類(AS)、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム類(ES)、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム類(AOS)、ナトリウムα−スルホン化脂肪酸エステル類(α−SFE)、アルキルスルホン酸ナトリウム類(SAS)、ポリオキシエチレン二級アルキルエーテル類、脂肪酸塩類(ナトリウム塩類)、及びジメチルジアルキルアンモニウムクロライドなどの界面活性剤により、活性の阻害をほとんど受けない;
(8)プロテイナーゼ類に対して強い抵抗力を有する;及び
(9)分子量(ゲルクロマトグラフィーにより決定):180,000±10,000に最大ピークを有する;
を有するアルカリセルラーゼKである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記アルカリセルラーゼKが、バチルス種KSM−635の培養生成物から単離することにより得られる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記酵素が、
KSM 534、FERM BP 1508からのアルカリセルラーゼK−534、
KSM 539、FERM BP 1509からのアルカリセルラーゼK−539、
KSM 577、FERM BP 1510からのアルカリセルラーゼK−577、
KSM 521、FERM BP 1507からのアルカリセルラーゼK−521、
KSM 580、FERM BP 1511からのアルカリセルラーゼK−580、
KSM 588、FERM BP 1513からのアルカリセルラーゼK−588、
KSM 597、FERM BP 1514からのアルカリセルラーゼK−597、
KSM 522、FERM BP 1512からのアルカリセルラーゼK−522、
KSM 522、FERM BP 1512からのアルカリセルラーゼE−II、
KSM 522、FERM BP 1512からのアルカリセルラーゼE−III、
KSM 344、FERM BP 1506からのアルカリセルラーゼK−344、
KSM 425、FERM BP 1505からのアルカリセルラーゼK−425、及び
これらの混合物、
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記酵素が、バチルス種KSM−N由来のエンドグルカナーゼ類からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性を示す細菌性アルカリ酵素が、純粋な酵素の約0.00005重量%〜約0.15重量%の濃度で含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記漂白触媒が、前記組成物の約0.0005重量%〜約0.2重量%の濃度で含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記漂白触媒が、イミニウム及び/又はカルボニル官能基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記漂白触媒が、オキサジリジニウム及び/若しくはジオキシラン官能基を含み、並びに/又は前記漂白触媒が、酸素原子を受け取るとオキサジリジニウム及び/若しくはジオキシラン官能基を形成することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記漂白触媒が、化学式:
【化1】

{式中、n及びmは独立して0〜4であり、各Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、縮合アリール、複素環、縮合複素環、ニトロ、ハロ、シアノ、スルホナト、アルコキシ、ケト、カルボキシル、及びカルボアルコキシラジカルからなる群から選択される置換又は非置換ラジカルから独立して選択され、かつ、いずれか2つの隣接したR置換基は、組み合わされて縮合アリール環、縮合炭素環、又は縮合複素環を形成してもよく、各Rは、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルカリール、アリール、アラルキル、アルキレン、複素環、アルコキシ、アリールカルボニル基、カルボキシアルキル基、及びアミド基からなる群から独立して選択される置換又は非置換ラジカルから独立して選択され、いずれかのRがいずれかの他のRと共に結合して共通環の一部を形成してもよく、いずれかのジェミナルなRが組み合わされてカルボニルを形成してもよく、かつ、いずれかの2つのRは組み合わされて置換又は非置換の縮合不飽和部分を形成してもよく、RはC〜C20の置換又は非置換アルキルであり、Rは水素又は部分Q−A(式中、Qは分枝状又は非分枝状アルキレンであり、t=0又は1であり、Aは、OSO、SO、CO、OCO、OPO2−、OPO、及びOPOからなる群から選択されるアニオン基である)であり、Rは水素又は部分−CR1112−Y−G−Y−[(CR10−O]−R(式中、各YはO、S、N−H、又はN−Rからなる群から独立して選択され、各Rはアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記部分は置換又は非置換であり、置換又は非置換にかかわらず前記部分が21個未満の炭素を有し、各GはCO、SO、SO、PO、及びPOからなる群から独立して選択され、R及びR10は水素及びC〜Cアルキルからなる群から独立して選択され、R11及びR12は、水素及びアルキルからなる群から独立して選択され、或いは1つにまとまると、結合してカルボニルを形成してもよく、b=0又は1であり、c=0又は1であることができるが、b=0の場合c=0でなければならず、yは1〜6の整数であり、kは0〜20の整数である)であり、RはH、又はアルキル、アリール、若しくはヘテロアリール部分であり、前記部分は置換又は非置換であり、並びにXは、存在する場合、好適な電荷のバランスをとる対イオンである}
に相当する化学構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記漂白触媒が、化学式:
【化2】

(式中、R13は、3〜24個の炭素原子を含有する分枝状アルキル基、又は1〜24個の炭素原子を含有する直鎖アルキル基である)
に相当する化学構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記漂白触媒が、化学式:
【化3】

(式中、R13は、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、イソ−トリデシル、及びイソ−ペンタデシルからなる群から選択される)
に相当する化学構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
漂白活性化剤及び過酸化物源を含む活性化漂白系、予備形成された過酸、リパーゼ酵素を伴ったジアシルペルオキシド及び/又はテトラアシルペルオキシド種、並びにこれらの混合物からなる群から選択される過酸の供給源を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記活性化漂白系が、オキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤及び過酸素源を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、予備形成されたペルオキシ酸を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
約0.01重量%〜約10重量%のキレート剤を含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項24】
次の構造:
【化4】

(式中、R及びRは、それらと結合する窒素原子と共に、非置換の又はC〜Cアルキルで置換された、モルホリノ、ピペリジン、又はピロリジン環を形成する)
の蛍光増白剤を含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項25】
リパーゼ酵素(E.C.3.1.1.3)を更に含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項26】
前記組成物が、
(a)前記組成物の約5重量%未満のゼオライトビルダーと、
(b)所望により、前記組成物の約5重量%未満のホスフェートビルダーと、
(c)所望により、前記組成物の約5重量%未満のケイ酸塩と、
を含む、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−540859(P2009−540859A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517591(P2009−517591)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052651
【国際公開番号】WO2008/007319
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】