説明

センサーパッケージおよびその製造方法

【課題】小型で信頼性の高いセンサーパッケージと、このようなセンサーパッケージを簡便に製造するための製造方法を提供する。
【解決手段】センサーパッケージを、センサーと、このセンサーの表面のアクティブ面に空隙部を介して対向するようにセンサー表面に所定の高さをもつ封止部材により固着された保護材と、センサーの表面および裏面にそれぞれ配設された配線と、センサーを貫通し両面の所望の上記配線に接続した複数の表裏導通ビアと、を有し、裏面の配線が外部端子を有し、この外部端子に外部端子凸部材を備えるとともに、センサーのアクティブ面と保護材との間の空隙部は、封止部材により設定され、アクティブ面に対して封止部材は表裏導通ビアよりも外側の領域に位置しているものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーパッケージに係り、特にセンサーのアクティブ面側に保護材を備えたセンサーパッケージと、このセンサーパッケージを簡便に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CCD、CMOS等のイメージセンサー、加速度センサー等のセンサーが種々の用途に用いられている。例えば、イメージセンサーは、半導体チップの一方の面が、光電変換を行う受光素子が配設されたアクティブ面となっている。このようなセンサーは、配線基板等に実装され、センサーからの信号を信号処理系に出力するために、ワイヤボンディング等の接続手段を介して配線基板に接続され、さらに、アクティブ面に空隙部を設けるように保護材、例えば、赤外線カットフィルタが配設され封止されることにより、撮像素子等が構成されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−88339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の撮像素子は、実装工程、封止工程等の一連の製造工程においてセンサーのアクティブ面に汚染が生じ易く、歩留まりの向上に支障を来たしていた。
また、実装時にワイヤボンディングが行われるため、面方向の広がりが必要であった。このため、小型化に限界があり、また製造の効率化にも限界があった。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、小型で信頼性の高いセンサーパッケージと、このようなセンサーパッケージを簡便に製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明のセンサーパッケージは、センサーと、該センサーの表面のアクティブ面に空隙部を介して対向するようにセンサー表面に所定の高さをもつ封止部材により固着された保護材と、センサーの表面および裏面にそれぞれ配設された配線と、センサーを貫通し両面の所望の前記配線に接続した複数の表裏導通ビアと、を有するとともに、裏面の配線は外部端子を有し、該外部端子には外部端子凸部材を備え、前記センサーのアクティブ面と前記保護材との間の前記空隙部は、前記封止部材により設定されており、前記アクティブ面に対して前記封止部材は前記表裏導通ビアよりも外側の領域に位置しているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記空隙部の厚みは、1〜20μmの範囲であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記センサーは、イメージセンサーであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記センサーは、MEMSセンサーであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記保護材は、赤外線カットフィルターであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記表裏導通ビアは、裏面側の開口径が表面側の開口径より広いテーパー形状であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記保護材は、ガラスであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記外部端子と前記外部端子凸部材の間に、応力緩和導電層が介在するような構成とし、前記応力緩和導電層は、合成ゴム中に導電粒子を分散させたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記外部端子は、前記応力緩和導電層との当接面に切欠き部を有するような構成とした。
【0006】
本発明のセンサーパッケージの製造方法は、ウエハを多面付けに区画し、各面付け毎にセンサーを作製する工程と、各面付け毎に前記センサー表面のアクティブ面の外側の領域に複数の微細貫通孔を形成し、該微細貫通孔に導電材料を配設して表裏導通ビアを形成し、該表裏導通ビアと接続する配線を各面付け毎にセンサーの両面に形成し、センサー裏面に前記配線に接続した外部端子を形成する工程と、各面付け毎に前記センサー裏面の前記外部端子に外部端子凸部材を形成する工程と、多面付けの前記センサーのアクティブ面と対向するように、ウエハサイズの保護材を、各面付け毎に前記アクティブ面に対して前記表裏導通ビアよりも外側に配設した封止部材に固着させて、前記センサーのアクティブ面と前記保護材との間に前記封止部材の高さで設定される所定の空隙部を形成する工程と、多面付けの前記ウエハと前記保護材をダイシングする工程と、を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、半硬化の状態の前記封止部材に前記保護材を押圧して前記センサーのアクティブ面との間に所定の大きさの空隙部が確保された状態で、前記封止部材を硬化させて前記保護材と前記封止部材とを固着するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記外部端子上に応力緩和導電層を形成し、該応力緩和導電層上に前記外部端子凸部材を形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記外部端子に切欠き部を形成し、該切欠き部を被覆するように前記応力緩和導電層を形成するような構成とした。
【発明の効果】
【0007】
このような本発明のセンサーパッケージは、外部端子凸部材を備えているので、配線基板上への実装が容易であるとともに、ワイヤボンディングが不要であり、面方向の広がりが抑制され、装置の小型化が可能であり、また製造の高効率化も可能である。また、センサーのアクティブ面の汚染が保護材により防止され、実装工程中等においてセンサーパッケージが汚染された場合には、保護材面を清浄化するだけで良好な状態のセンサーパッケージが得られ、製造歩留まりが向上する。
本発明のセンサーパッケージの製造方法では、ウエハレベルでセンサーの作製と保護材の固着を行う一括アッセンブリーが可能であり、その後、ダイシングしてセンサーパッケージを得るので、個々のセンサーパッケージでの組み付けが不要であり、工程管理が容易で製造コストの低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のセンサーパッケージの一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明のセンサーパッケージの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明のセンサーパッケージの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明のセンサーパッケージの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明のセンサーパッケージの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明のセンサーパッケージの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明のセンサーパッケージの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明のセンサーパッケージの製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【図9】本発明のセンサーパッケージの製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[センサーパッケージ]
図1は、本発明のセンサーパッケージの一実施形態を示す概略断面図である。図1において、本発明のセンサーパッケージ1は、センサー11と、このセンサー11の表面11aに封止部材32により固着された保護材31と、センサー11の表面11aおよび裏面11bそれぞれ配設された配線13,17と、センサー11を貫通し両面の所望の配線13,17に接続した複数の表裏導通ビア16と、を有し、裏面11bの配線17は外部端子18を有し、この外部端子18には外部端子凸部材21を備えている。
【0010】
本発明のセンサーパッケージ1を構成するセンサー11は、表面11aにアクティブ面12を有していおり、このアクティブ面12は、その外側の領域の表面11aに配設された所望の配線13に接続されている。センサー11には特に制限はなく、CCD、CMOS等のイメージセンサーや、加速度センサー、圧力センサー、ジャイロセンサー等の各種MEMS(Micro Electromechanical System)センサー等であってよい。尚、上記のアクティブ面12は、例えば、光電変換を行う受光素子が複数の画素をなすように配列された領域等、センサーの所望の検知機能を発現する領域を意味する。
表裏導通ビア16は、アクティブ12の外側の領域のセンサー11に設けられた複数の微細貫通孔14内に、絶縁層15を介して配設されている。この表裏導通ビア16は、センサー11の表面11aに配設された配線13と、裏面11bに配設された配線17に接続されている。尚、微細貫通孔14内には絶縁材料が充填されて絶縁材料層19が形成されており、この絶縁材料層19は、配線17を被覆しているとともに、外部端子18が露出する開口部を有している。
【0011】
センサー11の裏面11bに配設された配線17は、外部端子18を有しており、この外部端子18上には応力緩和導電層22、導電層23、バリア金属層24を介して外部端子凸部材21が配設されている。
本発明のセンサーパッケージ1を構成する保護材31は、例えば、ガラス、ポリイミド、ポリカーボネート等の材質を使用することができ、また、赤外線吸収機能を有する材質をもちいて赤外線カットフィルタを兼ねるものであってもよい。この保護材31の厚みは、材質、光透過性等を考慮して、例えば、400〜1000μmの範囲で設定することができる。また、保護材31と、センサー11のアクティブ面12との間に存在する空隙部33の厚みは、例えば、1〜20μmの範囲で設定することができる。
【0012】
上記のような保護材31を、センサー11の表面11aに所定の空隙部33を介して固着するための封止部材32は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
センサーパッケージ1が備える配線13,17、表裏導通ビア16、外部端子18の材質は、Cu、Ag、Au、Sn等の導電材料とすることができる。
センサー11の複数の微細貫通孔14は、開口径が1〜50μm、好ましくは5〜30μm程度である。この微細貫通孔14の形状は、図示例では裏面11b側の開口径が広いテーパー形状をなすものであるが、これに限定されず、厚み方向で内径がほぼ一定のストレート形状、厚み方向のほぼ中央で内径が狭くなっているような形状等であってもよい。
【0013】
また、微細貫通孔14の内壁面に配設された絶縁層15は、二酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒化チタン膜等の単層膜とすることができ、また、ポリイミド樹脂薄膜等の絶縁層15上にチタン等の金属薄膜を下地導電薄膜として積層したものであってもよい。
微細貫通孔14内に充填され、配線17を被覆するように配設されている絶縁材料層19は、例えば、ポリベンズオキサゾール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、カルド樹脂、ポリイミド樹脂等の有機材料等とすることができる。
外部端子18に配設された外部端子凸部材21は、センサーパッケージ1を配線基板等に実装するためのものであり、はんだ、Au、Ag等の材質であってよい。尚、外部端子凸部材21の形状、寸法は特に制限されないが、例えば、高さは70〜150μmの範囲で設定することができる。
【0014】
外部端子18と外部端子凸部材21の間に介在する応力緩和導電層22は、配線基板等に実装されたセンサーパッケージ1と、配線基板等の熱収縮性の相違による応力が外部端子凸部材21に集中して破損するのを防止するためのものである。このような応力緩和導電層22は、例えば、合成ゴム、樹脂等に導電粒子を分散させたものとすることができる。具体的には、シリコーンAgペースト、エポキシAgペースト、ウレタンAgペースト等を用いて形成することができる。応力緩和導電層22の厚みは、使用する材料、面積等に応じて適宜設定することができ、例えば、10〜50μmの範囲で設定することができる。
外部端子18と外部端子凸部材21の間に介在する導電層23は、例えば、Cuを用いることができる。また、バリア金属層24は、例えば、導電層23側からNi層とAu層の積層膜、Ti層とCr層の積層膜等とすることができる。
【0015】
上述のような本発明のセンサーパッケージ1は、外部端子凸部材21を備えているので、配線基板上への実装が容易であるとともに、ワイヤボンディングが不要であり、面方向の広がりが抑制され、装置の小型化が可能であり、また、製造の高効率化も可能である。また、センサー11のアクティブ面12の汚染が保護材31により防止され、実装工程中等においてセンサーパッケージ1が汚染された場合には、保護材31を清浄化するだけで良好な状態のセンサーパッケージ1が得られ、製造歩留まりが向上する。
本発明のセンサーパッケージは、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、図2に示されるように、外部端子18の中央に切欠き部18aが存在し、応力緩和導電層22が外部端子18とともに絶縁層15にも固着するような構成であってもよい。このような構成とすることにより、応力緩和導電層22の密着性をより高いものとすることができる。
【0016】
また、図3に示されるように、絶縁材料層19上に更に1層の絶縁材料層19′が配設されたものであってもよい。このような構造とすることにより、外部端子18と外部端子凸部材21との間に介在する導電層23、バリア金属層24が保護され、より信頼性の高いものとなる。このような絶縁材料層19′は、上述の絶縁樹脂層19で挙げた材料からなるものであってよく、その厚みは、例えば、10〜50μmの範囲で適宜設定することができる。
また、図4に示されるように、応力緩和導電層22や導電層23を介在させずに、バリア金属層24のみを介在させて外部電極凸部材21を配設してもよい。
【0017】
また、図5に示されるように、応力緩和導電層22、導電層23およびバリア金属層24を介在させず、代わりにチタン薄膜層25を介在させて外部電極凸部材21を配設してもよい。このチタン薄膜層25は、外部端子18と外部電極凸部材21との密着性を高いものとすることができ、信頼性の高いセンサーパッケージが可能となる。尚、チタン薄膜層25の代わりにクロム薄膜等を用いることもできる。
さらに、図6に示されるように、チタン薄膜層25と外部電極凸部材21との間に導電層26を介在させた構成としてもよい。導電層26としては、例えば、Cu、Ni等からなるものとすることができる。
【0018】
また、図7に示されるように、表裏導通ビア16が配設された微細貫通孔14内に導電材料が充填されて導電材料層16′が形成されたものであってもよい。この導電材料としては、Cu、Au、Ag等の金属、導電性ペースト等を使用することができる。そして、絶縁材料層19が、この導電材料層16′の表面と配線17を被覆するように配設されている。
尚、上述の本発明のセンサーパッケージは例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、アクティブ面12および配線13を被覆するように透明保護膜を備えるものであってもよい。この透明保護膜としては、例えば、酸化珪素、窒化珪素等からなる厚み0.1〜10μm程度の薄膜を挙げることができる。
【0019】
[センサーパッケージの製造方法]
次に、本発明のセンサーパッケージの製造方法について説明する。
図8および図9は、本発明のセンサーパッケージの製造方法の一実施形態を、上述の図1に示すセンサーパッケージ1を例として示す工程図である。
まず、一方の面に酸化珪素膜52を形成したシリコンウエハ51を多面付けに区画し、各面付け51A毎にセンサー11を作製する(図8(A))。センサー11は、例えば、MEMS(Micro Electromechanical System)手法等を用いて作製する。
【0020】
次に、センサー11のアクティブ面12と配線13を被覆するように透明保護膜53を形成し、その後、各面付け51A毎に、センサー11の裏面側から、アクティブ面12の外側の部位(配線13が配設されている部位)に複数の微細孔14′を形成する(図8(B))。このように形成した微細孔14′内には配線13が露出している。透明保護膜53は、例えば、スパッタリング法等の真空成膜法により形成した酸化珪素、窒化珪素等の薄膜とすることができる。また、微細孔14′は、例えば、シリコンウエハ51上にマスクパターンを形成し、露出している部位に対して、プラズマを利用したドライエッチング法であるICP−RIE(Inductively Coupled Plasma − Reactive Ion Etching:誘導結合プラズマ−反応性イオンエッチング)法により形成することができる。また、サンドブラスト法、ウエットエッチング法、フェムト秒レーザ法により微細孔14′を形成することもできる。この微細孔14′の開口径は、1〜50μm、好ましくは5〜30μmの範囲で設定することができる。
【0021】
次いで、微細貫通孔14の内壁面を含むシリコンウエハ51の裏面に絶縁層15を形成する。その後、各面付け51A毎に、センサー11の表面(アクティブ面12)側から、上記の微細孔14′に対応する位置の透明保護膜53をRIE法によりエッチングして除去し、さらに、配線13をウエットエッチング法により除去し、さらに、絶縁層15をRIE法によりエッチングして除去することにより、微細貫通孔14を形成する(図8(C))。絶縁層15は、プラズマCVD法等の真空成膜法、珪素酸化物の前駆体溶液等を用いた塗布方法等により形成した二酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒化チタン膜等とすることができる。
【0022】
次に、微細貫通孔14内の絶縁層15上に表裏導通ビア16を形成し、シリコンウエハ51の裏面の絶縁層15上に配線17、外部端子18を形成する(図8(D))。表裏導通ビア16、配線17および外部端子18の形成は、絶縁層15が二酸化珪素膜のように、無電解めっきの触媒付与が困難な材質である場合には、例えば、スパッタリング法や、プラズマを利用したMOCVD(Metal Organic − Chemical Vapor Deposition)法等によりTiN薄膜やCu薄膜等の薄膜を形成して下地導電薄膜とし、その後、配線17および外部端子18を形成するためのパターニングを下地導電薄膜に施す。次いで、下地導電薄膜を給電層として電解めっきにより導電層を形成して、表裏導通ビア16、配線17および外部端子18を形成する。また、絶縁層15が二酸化珪素膜以外の材質である場合には、無電解めっきによって下地導電薄膜を形成し、その後、上記の方法と同様に、パターニング、電解めっきにより、表裏導通ビア16、配線17および外部端子18を形成する。
【0023】
次に、微細貫通孔14内を充填し、配線17を被覆し、外部端子18のみを露出するようにレジストパターン(絶縁材料層19)を形成する(図9(A))。このレジストパターンは、例えば、感光性のポリベンズオキサゾール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、カルド樹脂、ポリイミド樹脂等をシリコンウエハ51の裏面に塗布し、その後、外部端子18が露出するように露光、現像することにより形成できる。
次いで、露出している外部端子18上に応力緩和性を備えた導電性ペースト(シリコーンAgペースト、エポキシAgペースト、ウレタンAgペースト等)をスクリーン印刷法等により塗布して応力緩和導電層22を形成する(図9(B))。
【0024】
次に、応力緩和導電層22上に、電解めっきにより導電層23を形成し、この導電層23を被覆するようにバリア金属層24を形成した後、外部端子凸部材21を形成する(図9(C))。バリア金属層24の形成は、電解めっき法、真空成膜法等により行うことができる。また、外部端子凸部材21は、例えば、ペースト印刷、ボール搭載、電解もしくは無電解めっきを行った後にリフローを行う方法等により形成することができる。
その後、シリコンウエハ51のアクティブ面12側に、アクティブ面12と対向するように所定の空隙部33を介して保護材31を封止部材32により固着する(図9(D))。封止部材32は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができ、アクティブ面12、配線13を囲むように封止部材32を形成し、保護材31を押圧して空隙部33を確保した状態で封止部材32を硬化させることにより、固着することができる。
次いで、多面付けのシリコンウエハ51と保護材31をダイシングすることにより、図1に示されるようなセンサーパッケージ1が得られる。
【0025】
また、図2に示されるようなセンサーパッケージの製造方法は、外部端子18の形成時に、外部端子18の中央に切欠き部18aを形成すればよく、基本的に上述のセンサーパッケージ1の製造方法と同様である。
【0026】
また、図3に示されるようなセンサーパッケージの製造方法は、外部端子18上に応力緩和導電層22、導電層23およびバリア金属層24を形成した後に、絶縁材料層19を被覆するように、感光性のポリベンズオキサゾール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、カルド樹脂、ポリイミド樹脂等を裏面に塗布し、その後、バリア金属層24が露出するように露光、現像して絶縁材料層19′を形成し、その後、外部端子凸部材21を形成する点を除いて、上述のセンサーパッケージ1の製造方法と同様である。
【0027】
また、図4に示されるようなセンサーパッケージの製造方法は、応力緩和導電層22を形成しない他は、基本的に上述のセンサーパッケージ1の製造方法と同様である。
また、図5に示されるようなセンサーパッケージの製造方法は、応力緩和導電層22、導電層23およびバリア金属層24を形成せずに、外部電極18上にチタン薄膜層25のみを形成し、このチタン薄膜層25上に外部端子凸部材21を形成する点を除いて、上述のセンサーパッケージ1の製造方法と同様である。
【0028】
さらに、図6に示されるようなセンサーパッケージの製造方法は、応力緩和導電層22、導電層23およびバリア金属層24を形成せずに、外部電極18上にチタン薄膜層25と導電層26を形成し、このチタン薄膜層25、導電層26上に外部端子凸部材21を形成する点を除いて、上述のセンサーパッケージ1の製造方法と同様である。
また、図7に示されるようなセンサーパッケージの製造方法は、表裏導通ビア16を形成した後、微細貫通孔14の位置に開口を備えたレジストパターンをシリコンウエハ51の裏面に形成し、次いで、表裏導通ビア16、配線17を給電層として、微細貫通孔14内に電解めっきにより導電材料を充填して導電材料層16′を形成する点を除いて、上述のセンサーパッケージ1の製造方法と同様である。
【0029】
上述のような本発明のセンサーパッケージの製造方法は、ウエハレベルでセンサーの作製と保護材の固着を行う一括アッセンブリーが可能であり、その後、ダイシングしてセンサーパッケージを得るので、個々のセンサーパッケージでの組み付けが不要であり、工程管理が容易で製造コストの低減が可能である。
尚、上述の本発明のセンサーパッケージの製造方法は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、外部端子凸部材21の形成は、保護材31を固着した後に行ってもよく、また、ダイシング後に外部端子凸部材21を形成してもよい。
【実施例】
【0030】
次に、具体的実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
まず、厚み625μmのシリコンウエハを準備し、一辺5mmである正方形で多面付けに区画した。上記のシリコンウエハのXY方向(シリコンウエハの表面に平行な平面)の熱膨張係数は3ppmであった。
次に、このシリコンウエハの一方の面に、プラズマCVD法により酸化珪素膜(厚み5μm)を成膜した。次に、この各面付け毎に、酸化珪素膜上に従来の手法によりセンサー(アクティブ面寸法:4000μm×4000μm)を作製し、その後、シリコンウエハの裏面からバックグラインドを行って厚みを200μmとした。アクティブ面の周囲には、パッドを有する配線が配設され、パッドは直径100μmで総数100個であった。
次に、センサーのアクティブ面側にプラズマCVD法により酸化珪素膜(厚み5μm)を成膜し、アクティブ面と配線を被覆する透明保護膜を形成した。
【0031】
次いで、センサーのアクティブ面の反対側の面に、プラズマCVD法により窒化珪素膜(厚み5μm)を成膜した。次に、この窒化珪素膜の全面にポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−800)を塗布し、微細貫通孔形成用のフォトマスクを介して露光、現像することによりレジストパターンを形成した。次に、CF4をエッチングガスとして、レジストパターンから露出している窒化珪素膜をドライエッチングし、その後、レジストパターンを剥離し、窒化珪素からなるマスクパターンを形成した。上記のマスクパターンは、各面付け毎に、直径が10μmである円形開口が100μmピッチで、センサーの外側の領域に100個形成されたものであった。各円形開口は、上記のアクティブ面の周囲に配設された100個のアルミニウムパッドに、シリコンウエハを介して対応する位置とした。
【0032】
次に、センサーのアクティブ面の反対側の面においてマスクパターンから露出しているシリコンウエハを、ICP−RIE装置によりエッチングガスにSF6を用いて、表面のアルミニウムパッドが露出するまでドライエッチングした。これにより、微細孔が形成され、この微細孔は、開口径が15μmであり、内部の径が10μmであるテーパー形状であった。
次に、センサーのアクティブ面の反対側の面(微細孔内を含む)に、プラズマCVD法により酸化珪素膜を成膜して絶縁層を形成した。この絶縁層は、シリコンウエハ表面上では2μm、微細孔の内壁面では1μmであった。
【0033】
次いで、各面付け毎に、アクティブ面側から、上記の微細孔に対応する位置の透明保護膜をRIE法によりエッチングして除去し、アルミニウムパッドをウエットエッチング法により除去し、さらに、絶縁層をRIE法によりエッチングして除去することにより、上記の微細孔を露出させて微細貫通孔を形成した。
その後、シリコンウエハの一方の面(センサーのアクティブ面の反対側面)から、Ti−Cuの順に蒸着法により下地導電薄膜を0.3μmの厚みで形成した。次いで、この下地導電薄膜上にドライフィルムレジスト(旭化成(株)製APR)をラミネートした。次いで、表裏導通ビアおよび配線・外部端子形成用のフォトマスクを介し露光、現像してレジストパターン(厚み15μm)を形成した。このレジストパターンをマスクとし、上記の下地導電薄膜を給電層として、電解Cuめっきを行ない、微細貫通孔内に表裏導通ビアを形成するとともに、シリコンウエハ面(センサーのアクティブ面の反対側面)に配線および外部端子(直径500μm)を形成した。
【0034】
次に、レジストパターンと下地導電薄膜を除去し、その後、シリコンウエハ面(センサーのアクティブ面の反対側面)に、ポリベンズオキサゾール樹脂を含有する感光性ソルダーレジスト(住友ベークライト(株)製 CRC−8600)を塗布し、所望のマスクを介して露光、現像することにより、外部端子のみが露出した絶縁材料層を形成した。
次に、絶縁材料層の開口部(直径250μm)に露出している外部端子上に、シリコーンAgペースト(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 AGX)をスクリーン印刷で塗布し、硬化させて、厚み40μmの応力緩和導電層を形成した。
次いで、電解Cuめっきにより、応力緩和導電層上に厚み10μmの導電層を形成し、この導電層上に、電解めっきによりNi層(厚み3μm)、Au層(厚み0.2μm)を形成してバリア金属層とした。
【0035】
次に、バリア金属層上に、ボール搭載法により、直径300μmのはんだボールを搭載して、外部端子凸部材とした。
次に、シリコンウエハのアクティブ面側において、各面付けの境界上に、封止部材用の樹脂組成物(協立化学産業(株)製 ワールドロック)を幅60μm、高さ20μmとなるように塗布し、半硬化させた。この状態で、センサーのアクティブ面との間に14μmの空隙部が形成されるように、厚み500μmのガラス基板を封止部材に押圧し、封止部材を硬化させて保護材を封止した。
これにより、ウエハレベルでセンサーパッケージが作製された。
次に、多面付けのセンサーパッケージをダイシングして、本発明のセンサーパッケージを得た。このセンサーパッケージは、5mm×5mm、高さが約1mm(はんだボールを含む)であった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
小型で高信頼性のセンサーが要求される種々の分野において適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1…センサーパッケージ
11…センサー
12…アクティブ面
13,17…配線
14…微細貫通孔
15…絶縁層
16…表裏導通ビア
16′…導電材料層
18…外部端子
19,19′…絶縁材料層
21…外部端子凸部材
22…応力緩和導電層
23…導電層
24…バリア金属層
51…シリコンウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーと、該センサーの表面のアクティブ面に空隙部を介して対向するようにセンサー表面に所定の高さをもつ封止部材により固着された保護材と、センサーの表面および裏面にそれぞれ配設された配線と、センサーを貫通し両面の所望の前記配線に接続した複数の表裏導通ビアと、を有するとともに、裏面の配線は外部端子を有し、該外部端子には外部端子凸部材を備え、前記センサーのアクティブ面と前記保護材との間の前記空隙部は、前記封止部材により設定されており、前記アクティブ面に対して前記封止部材は前記表裏導通ビアよりも外側の領域に位置していることを特徴とするセンサーパッケージ。
【請求項2】
前記空隙部の厚みは、1〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のセンサーパッケージ。
【請求項3】
前記センサーは、イメージセンサーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサーパッケージ。
【請求項4】
前記センサーは、MEMSセンサーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサーパッケージ。
【請求項5】
前記保護材は、赤外線カットフィルターであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のセンサーパッケージ。
【請求項6】
前記表裏導通ビアは、裏面側の開口径が表面側の開口径より広いテーパー形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のセンサーパッケージ。
【請求項7】
前記保護材は、ガラスであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のセンサーパッケージ。
【請求項8】
前記外部端子と前記外部端子凸部材の間に、応力緩和導電層が介在することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のセンサーパッケージ。
【請求項9】
前記応力緩和導電層は、合成ゴム中に導電粒子を分散させたものであることを特徴とする請求項9に記載のセンサーパッケージ。
【請求項10】
前記外部端子は、前記応力緩和導電層との当接面に切欠き部を有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載のセンサーパッケージ。
【請求項11】
ウエハを多面付けに区画し、各面付け毎にセンサーを作製する工程と、
各面付け毎に前記センサー表面のアクティブ面の外側の領域に複数の微細貫通孔を形成し、該微細貫通孔に導電材料を配設して表裏導通ビアを形成し、該表裏導通ビアと接続する配線を各面付け毎にセンサーの両面に形成し、センサー裏面に前記配線に接続した外部端子を形成する工程と、
各面付け毎に前記センサー裏面の前記外部端子に外部端子凸部材を形成する工程と、
多面付けの前記センサーのアクティブ面と対向するように、ウエハサイズの保護材を、各面付け毎に前記アクティブ面に対して前記表裏導通ビアよりも外側に配設した封止部材に固着させて、前記センサーのアクティブ面と前記保護材との間に前記封止部材の高さで設定される所定の空隙部を形成する工程と、
多面付けの前記ウエハと前記保護材をダイシングする工程と、を有することを特徴とするセンサーパッケージの製造方法。
【請求項12】
半硬化の状態の前記封止部材に前記保護材を押圧して前記センサーのアクティブ面との間に所定の大きさの空隙部が確保された状態で、前記封止部材を硬化させて前記保護材と前記封止部材とを固着することを特徴とする請求項11に記載のセンサーパッケージの製造方法。
【請求項13】
前記外部端子上に応力緩和導電層を形成し、該応力緩和導電層上に前記外部端子凸部材を形成することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のセンサーパッケージの製造方法。
【請求項14】
前記外部端子に切欠き部を形成し、該切欠き部を被覆するように前記応力緩和導電層を形成することを特徴とする請求項13に記載のセンサーパッケージの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−103473(P2011−103473A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281358(P2010−281358)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【分割の表示】特願2004−256687(P2004−256687)の分割
【原出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】