説明

センサ信号処理回路

【課題】大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても十分な利得を確保し、かつ十分な周波数帯域によりセンサの出力信号を増幅できるようにする。
【解決手段】センサ信号処理回路11より交流結合容量を削除すると共に、出力信号Voutからローパスフィルタ(R2、C1)により直流成分を分離し、この直流成分と基準電圧Vrefとの差電圧に応じた直流電流を入力側に電流帰還する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトリック・コンデンサ・マイクロフォン、圧力センサ、セキュリティセンサ、高低差センサ、加速度センサ、生体信号センサなどの出力信号を増幅するセンサ信号処理回路に関する。本発明は、交流結合容量を削除すると共に、センサ信号処理回路の出力信号から直流成分を分離し、この直流成分と基準電圧との差電圧に応じた直流電流を入力側に電流帰還することにより、大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても十分な利得を確保し、かつ十分な周波数帯域によりセンサの出力信号を増幅できるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、電流出力型センサでは、例えば演算増幅回路を用いたセンサ信号処理回路で出力信号を増幅している。
【0003】
ここで図9及び図10は、この演算増幅回路を用いたセンサ信号処理回路の従来構成を示す接続図である。図9のセンサ信号処理回路1は、入力抵抗R1及び帰還抵抗R2を反転入力端に接続した非反転増幅回路により演算増幅回路2が構成され、圧力センサの出力信号Vinを演算増幅回路2で増幅して出力する。また図10のセンサ信号処理回路3は、帰還抵抗R2を反転入力端に接続した反転増幅回路により演算増幅回路2が構成され、同様に圧力センサの出力信号Vinを演算増幅回路2で増幅して出力する。なお図9との対比により図11に示すように、従来、センサ信号処理回路5は、カップリングコンデンサC1を介して、センサの出力信号Vinを演算増幅回路2に入力する場合もある。
【0004】
この種のセンサ信号処理回路の利用に関して、例えば特開2002−224092号公報には生体監視に利用する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2002−224092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこの種の電流出力型センサは、バイアス電流が流れることから、このバイアス電流の分だけ出力信号Vinの直流レベルがオフセットして出力される。またさらにこの種の電流出力型センサは、温度により特性が変化し、さらにこの特性にばらつきを避け得ない等から、出力信号Vinの直流レベルが種々に変動する。その結果、図9及び図10のセンサ信号処理回路では、大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなければ、センサの出力信号Vinを十分な利得で増幅できない問題がある。
【0007】
これに対して図11のセンサ信号処理回路5では、カップリングコンデンサC1を介してセンサの出力信号Vinを入力していることから、直流レベルの影響を回避することができ、これにより大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても、十分な利得で出力信号Vinを増幅することができる。
【0008】
しかしながら図11のセンサ信号処理回路5では、カップリングコンデンサC1を設けたことにより、低域側に十分な周波数特性を確保することが困難になり、その結果、生体検出等には適用できない問題がある。
【0009】
すなわち図12は、図11のセンサ信号処理回路5の等価回路を示す図であり、図12(A)は、センサを電流出力型モデルで表した場合であり、図12(B)は、センサを電圧出力型モデルで表した場合ある。なおこの図12において、RLは、センサの負荷抵抗である。ここでセンサ信号処理回路5の周波数伝達関数H(ω)の振幅及び位相特性は、それぞれ次式により示すように、ハイパスフィルタの特性を示す。
【0010】
【数1】

【0011】
【数2】

【0012】
これに対して生体に特有の信号成分(生体信号)を検出する場合には、周波数0.1〔Hz〕〜100〔Hz〕の周波数帯域を増幅することが必要であり、またセキュリティーに適用して各種の異常を検出する場合には、数〔Hz〕〜数10〔Hz〕の周波数帯域を増幅することが必要である。これにより図11のセンサ信号処理回路5は、カップリングコンデンサC1の容量を極めて大きな容量に設定しなければ、生体検出等には適用できないことになる。なお図13は、この周波数伝達関数H(ω)の振幅特性を示す特性曲線図である。
【0013】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても十分な利得を確保し、十分な周波数帯域によりセンサの出力信号を増幅することができるセンサ信号処理回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明に係るセンサ信号処理回路は、上記の課題を解決するために、電流出力型のセンサからのセンサ出力信号と基準電圧との差電圧を増幅する第1の増幅回路と、前記第1の増幅回路の出力信号から直流成分を抽出するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号と前記基準電圧との差電圧に応じた直流電流を前記第1の増幅回路の入力端に帰還する第2の増幅回路とを有することを特徴とする。
【0015】
(2)本発明では、(1)のセンサ信号処理回路において、前記第1又は第2の増幅回路が、反転増幅回路であり、前記第2又は第1の増幅回路が、非反転増幅回路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても十分な利得を確保し、かつ十分な周波数帯域を確保してセンサの出力信号を増幅することができる。また従来のカップリングコンデンサを使用する場合(図11)との対比では、カップリングコンデンサ(図11のC1)が省略され、その代わりにローパスフィルタにコンデンサ(図1ではC1)を設けることになる。ここでカップリングコンデンサには無極性コンデンサを使用することが必要であるのに対し、ローパスフィルタのコンデンサには、直流電圧の高低が確定するために通常の有極性コンデンサを使用することができ、これにより従来に比してコストを低減し、小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るセンサ信号処理回路を示す接続図である。
【図2】図1のセンサ信号処理回路との対比により従来構成のセンサ信号処理回路における直流レベルの説明に供する特性曲線図である。
【図3】図1のセンサ信号処理回路における直流レベルの説明に供する特性曲線図である。
【図4】図1のセンサ信号処理回路の周波数特性の説明に供する特性曲線図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るセンサ信号処理回路を示す接続図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るセンサ信号処理回路を示す接続図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るセンサ信号処理回路を示す接続図である。
【図8】図7のセンサ信号処理回路における増幅回路の詳細構成を示す接続図である。
【図9】演算増幅回路を非反転増幅回路により構成した場合のセンサ信号処理回路の従来構成を示す接続図である。
【図10】演算増幅回路を反転増幅回路により構成した場合のセンサ信号処理回路の従来構成を示す接続図である。
【図11】カップリングコンデンサを使用したセンサ信号処理回路の従来構成を示す接続図である。
【図12】図11のセンサ信号処理回路の等価回路である。
【図13】図12の等価回路による周波数特性を示す特性曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態の一例について説明する。
〔第1の実施の形態〕
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るセンサ信号処理回路を示す接続図である。このセンサ信号処理回路11は、例えば各種のセキュリティーシステム、生体信号を処理する各種装置等に適用され、センサS1の出力信号Iinを増幅して出力信号Voutを出力する。なおこの図1のセンサ信号処理回路11では、センサS1に電流吐き出し型センサ又は吸い込み型センサが適用され、このセンサを電流源の符号により示す。
【0020】
センサ信号処理回路11は、加算回路12を介して、センサS1の出力信号Iinを演算増幅回路(AMP1)2の反転入力端に入力する。ここで演算増幅回路2は、帰還抵抗R1を有する反転増幅回路により構成され、非反転入力端が基準電圧Vrefに接続される。センサ信号処理回路11は、この演算増幅回路2でセンサS1の出力信号Iinと基準電圧Vrefとの差電圧を増幅して出力信号Voutを出力する。なおここで基準電圧Vrefは、演算増幅回路2の電源電圧Vccのほぼ1/2の電圧である。従って電源電圧Vccが5〔V〕の場合、基準電圧Vrefは、2.5〔V〕である。
【0021】
またセンサ信号処理回路11は、抵抗R2、コンデンサC1の直列回路によるローパスフィルタにより、出力信号Voutから直流成分を抽出して増幅回路(AMP2)13の非反転入力端に入力する。ここで増幅回路13は、差動電圧入力及びシングル電流出力のトランスコンダクタンス型増幅器であり、反転入力端に基準電圧Vrefが入力される。
【0022】
センサ信号処理回路11は、この増幅回路13の出力信号を加算回路12に入力する。なおセンサに電流吐き出し型センサ又は吸い込み型センサが適用され、増幅回路13が電流出力であることから、加算回路12は単純に配線パターンの接続により構成される。
【0023】
これによりセンサ信号処理回路11は、フィードバックループを形成して出力信号Voutの直流レベルを入力側に負帰還し、センサS1から出力される出力信号Vinの直流レベルを基準電圧Vrefに保持する。これによりセンサ信号処理回路11は、大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても十分な利得を確保し、かつ十分な周波数帯域を確保してセンサの出力信号Vinを増幅する。
〔第1の実施の形態の動作〕
【0024】
このセンサ信号処理回路11では、測定対象である物理量の変化によりセンサS1に流れるバイアス電流が変化し、このバイアス電流によるセンサS1の出力信号Vinが加算回路12を介して演算増幅回路2に入力される。このセンサS1の出力信号Vinは、演算増幅回路2において帰還抵抗R1で決まる増幅率でセンサS1の出力信号Vinと基準電圧Vrefとの差電圧が反転増幅されて出力信号Voutにより出力される。従って何ら対応策を講じていない場合にあって、基準電圧Vrefに対して出力信号Vinの直流レベルが大きく異なっている場合には、結局、出力信号Vinの増幅に利用可能な入出力ダイナミックレンジが演算増幅回路2で減少することになり、十分に高い利得で出力信号Vinを増幅できなくなる。
【0025】
またさらにこの出力信号Vinの直流レベル自体、種々の要因で変動することから、この直流レベルの変動によっても、出力信号Vinの増幅に利用可能な入出力ダイナミックレンジが演算増幅回路2で減少することになる。このため結局、演算増幅回路2には、入出力ダイナミックレンジを過大に確保することが必要になる。
【0026】
具体的に図2は、従来構成(図10)のセンサ信号処理回路3の直流特性を示す特性曲線図である。センサ信号処理回路3において、センサの出力信号Vinの直流レベルが変動すると、この直流レベルの変動分ΔVinが演算増幅回路2の増幅率で増幅され、出力信号Voutの直流成分がΔVout変動することになる。なお入力電圧Vinと出力信号Voutの変動方向が逆になる理由は、演算増幅回路2が反転増幅回路により構成されているからである。センサの出力信号Vinは、この直流成分に交流成分が重畳されることから、直流レベルの変動等は、演算増幅回路2のダイナミックレンジを縮小させることになる。
【0027】
そこでこの実施の形態のセンサ信号処理回路11では、抵抗R2及びコンデンサC1によるローパスフィルタにより、演算増幅回路2の出力信号Voutから直流成分が抽出されて増幅回路13に入力され、ここで基準電圧Vrefに対する差電圧が増幅されてセンサS1の出力信号Vinに加算される。これによりセンサ信号処理回路11では、フィードバックループにより、センサS1の出力信号Vinの直流レベルを基準電圧Vrefに保持するように出力信号Vinの直流レベルを制御し、直流レベルの偏り、温度特性、初期漂動等の種々の要因による直流レベルの変動をキャンセルして出力信号Vinを演算増幅回路2に入力する。
【0028】
具体的に図3は、図2との対比によりセンサ信号処理回路11の直流特性を示す特性曲線図である。このセンサ信号処理回路11では、演算増幅回路2の反転入力端の直流レベルを電源電圧Vccの1/2の電圧Vcc/2(Vref)に保持することができる。従ってセンサ信号処理回路11では、出力信号Vinの直流レベルの変動、偏りによるダイナミックレンジの縮小を有効に回避することができ、大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても十分な利得を確保してセンサS1の出力信号Vinを増幅することができる。
【0029】
またこれにより電源電圧Vccを低電圧化した場合でも、十分な入出力ダイナミックレンジ、利得を確保してセンサの出力信号を増幅することができる。
【0030】
またローパスフィルタを用いて演算増幅回路2の出力信号Voutから直流成分を抽出し、フィードバック制御により出力信号Vinの直流レベルを基準電圧Vrefに保持していることから、センサS1のバイアス電流とは無関係に、演算増幅回路2の増幅率を自由に設定することができる。従って設計の自由度を従来に比して格段的に向上することができる。
【0031】
またさらにローパスフィルタの特性を種々に設定して低域周波数特性を向上することができ、これにより十分な周波数帯域によりセンサの出力信号を増幅することができる。
【0032】
すなわち増幅回路13の相互コンダクタンスをgmとおくと、次式の関係式を得ることができる。なお次式におけるIout及びVinは、増幅回路13の出力電流及び入力電圧である。
【0033】
【数3】

【0034】
また抵抗R2、コンデンサC1によるローパスフィルタの時定数をTとすると、次式の関係式を得ることができる。
【0035】
【数4】

【0036】
ここでセンサ信号処理回路11において、フィードバックループの一巡電圧方程式は、相互コンダクタンスgmと時定数Tとを用いて、次式により表すことができる。なおこの(5)式におけるIsigは、センサS1の出力信号Vinである。
【0037】
【数5】

【0038】
この式を整理すれば、次式の関係式を得ることができ、図4は、この次式の関係式による特性曲線である。
【0039】
【数6】

【0040】
この図4の特性から、センサ信号処理回路11は、周波数特性がリードラグ特性を示し、所望する周波数帯域が通過域となるようにローパスフィルタの時定数Tを選定すれば、遮断周波数以下では十分な帰還量により直流成分を負帰還するように機能し、遮断周波数以上の帯域では、カップリングコンデンサを使用する場合(図11)と同様の特性を得ることができる。
【0041】
また従来のカップリングコンデンサを使用する場合(図11)との対比では、カップリングコンデンサ(図11のC1)が省略され、その代わりにローパスフィルタにコンデンサ(図1ではC1)を設けることになる。しかしながらカップリングコンデンサには無極性コンデンサを使用することが必要であるのに対し、ローパスフィルタのコンデンサには、直流電圧の高低が確定するために通常の有極性コンデンサを使用することができ、これにより従来に比してコストを低減し、小型化することができる。
〔第1の実施の形態の効果〕
【0042】
以上の構成によれば、交流結合容量を削除すると共に、センサ信号処理回路の出力信号から直流成分を抽出して入力側に帰還し、センサの出力信号の直流レベルを一定値に保持することにより、大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても十分な利得を確保し、十分な周波数帯域によりセンサの出力信号を増幅することができる。また従来に比してコストを低減し、形状を小型化することができる。
【0043】
またこのフィードバック制御に係る増幅回路に電流出力型の増幅回路を適用することにより、電流出力型センサの出力信号を処理するセンサ信号処理回路に適用して、大きな入出力ダイナミックレンジを確保しなくても十分な利得を確保し、かつ十分な周波数帯域を確保してセンサの出力信号を増幅することができる。
〔第2の実施の形態〕
【0044】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るセンサ信号処理回路を示す接続図である。このセンサ信号処理回路21は、センサS1に電流吸い込み型センサが適用され、さらに演算増幅回路2が非反転増幅回路により構成される。またこの演算増幅回路2の構成に対応して増幅回路13の反転入力端に、抵抗R3、コンデンサC1によるローパスフィルタの出力信号が入力され、増幅回路13の非反転入力端が基準電圧Vrefに接続される。このセンサ信号処理回路21は、これらの点を除いて、第1の実施の形態のセンサ信号処理回路11と同一に構成される。
【0045】
この実施の形態によれば、電流吸い込み型センサを使用して演算増幅回路2を非反転増幅回路により構成する場合でも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
〔第3の実施の形態〕
【0046】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係るセンサ信号処理回路を示す接続図である。このセンサ信号処理回路23は、センサS1に電流吐き出し型センサが適用され、これに対応して負荷抵抗RLによりセンサS1の出力端が終端される。このセンサ信号処理回路23は、これらの点を除いて、第2の実施の形態のセンサ信号処理回路21と同一に構成される。
【0047】
この実施の形態によれば、電流吐き出し型センサを使用して演算増幅回路2を非反転増幅回路により構成する場合でも、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
〔第4の実施の形態〕
【0048】
図7は、図1との対比により本発明の第4の実施の形態に係るセンサ信号処理回路を示す接続図である。このセンサ信号処理回路25は、電流吸い込み型センサの1例であるECM(エレクトリック・コンデンサ・マイクロフォン)がセンサS1に適用され、また増幅回路13に図8の構成が適用される。このセンサ信号処理回路25は、これらの点を除いて、第1の実施の形態のセンサ信号処理回路11と同一に構成される。
【0049】
ここでセンサS1は、ECMエレメントを抵抗Rg、ダイオードDsにより終端し、Nチャンネル型のFETQsを介して出力信号Vinを出力する。
【0050】
また増幅回路13(図8)は、トランジスタQ1及びQ2による差動対により入力段が構成され、それぞれエミッタを電源Vcc及びアースに接続したPNPトランジスタQ7及びNPNトランジスタQ8のコレクタを接続して出力段が形成される。増幅回路13は、トランジスタQ1のコレクタに設けられたトランジスタQ3と出力段のトランジスタQ7とによりカレントミラー回路が構成される。またトランジスタQ4とトランジスタQ5とによりトランジスタQ2のコレクタ電流を折り返してトランジスタQ6に入力し、このトランジスタQ6と出力段のトランジスタQ8とによりカレントミラー回路が構成される。これにより増幅回路13は、差動電圧入力及びシングル電流出力のトランスコンダクタンス型増幅器を構成する。
【0051】
ここで図7において、出力信号Vinの直流成分及び交流成分をそれぞれIbias及びIsigとすると、センサS1の出力信号Vinは、次式により表すことができる。
【0052】
【数7】


【0053】
従って演算増幅回路2の出力信号Voutは、次式により表される。
【0054】
【数8】

【0055】
しかしながらローパスフィルタ、増幅回路13の帰還路により、ローパスフィルタの時定数Tだけ時間経過すると、増幅回路13の出力電流は、(8)式における交流成分Isig×R1が除去され、電圧Vref−Ibias×R1と基準電圧Vrefとの差電圧が増幅回路13で増幅、電流変換される。その結果、次式により示すように、増幅回路13の出力電流Ibias(t)は、出力信号Vinの直流成分Ibiasに限りなく近づくことになる。
【0056】
【数9】



【0057】
その結果、次式により示すように、センサS1の出力端子では直流成分がキャンセルされて、交流信号成分のみが出力される。
【0058】
【数10】



【0059】
【数11】

【0060】
この図7の構成によっても、第1の実施の形態について上述したと同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1、3、5、11、21、23、25 センサ信号処理回路
2 演算増幅回路
12 加算回路
13 増幅回路
S1 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流出力型のセンサからのセンサ出力信号を入力し、前記センサ出力信号と基準電圧との差電圧を増幅する第1の増幅回路と、
前記第1の増幅回路の出力信号から直流成分を抽出するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタの出力信号と前記基準電圧との差電圧に応じた直流電流を前記第1の増幅回路の入力端に帰還する第2の増幅回路とを有する
ことを特徴とするセンサ信号処理回路。
【請求項2】
前記第1又は第2の増幅回路が、反転増幅回路であり、
前記第2又は第1の増幅回路が、非反転増幅回路である
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ信号処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−249786(P2010−249786A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102494(P2009−102494)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(500304132)株式会社ジェピコ (7)
【Fターム(参考)】