説明

センサ装置を備えたボールジョイント並びに負荷を測定するための方法並びに摩耗を測定するための方法

本発明は、例えば自動車の車軸系のためのボールジョイント並びに、ボールジョイントにおける負荷及び摩耗を測定するための方法に関する。ボールジョイントは、ほぼリング状またはポット状のジョイントケーシング1を有しており、そのほぼ円筒状の内室にはボールシェル2が配置されている。ボールシェル2には、ボールピンのボール3が滑動可能に収容されている。さらにボールジョイントは、力若しくは負荷を測定するためのセンサ装置を有している。
本発明によれば、ボールジョイントは、センサ装置が、ボールシェル2の領域に配置された、ジョイントボール1とボールシェル2との間に作用する力もしくは押圧力を測定するための少なくとも2つの圧力もしくは力センサ6から成るセンサ装置4によって形成されていることを特徴としている。
本発明によるボールジョイントは、センサ機器を内蔵しているにもかかわらず堅牢であって、力若しくは、ボールジョイントに作用する負荷のベクトル検出を可能にする。本発明による方法により、ボールジョイントの運転状態若しくは摩耗状態の永続的な監視が、特にボールシェルのプレロード力を測定することにより可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、例えば自動車の車軸系またはホイールサスペンションのための、センサ装置を備えたボールジョイントに関する。さらに本発明は、請求項10のボールジョイントにおける負荷を測定するための方法、並びに、請求項13のボールジョイントにおける摩耗を測定するための方法に関する。
【0002】
冒頭で述べた形式のボールジョイントは例えば、これに限ったものではないが、自動車のシャシ若しくはホイールサスペンションにおいて、例えば支持ジョイントまたはガイドジョイントとして使用される。冒頭で述べた形式のボールジョイントはこの場合、センサ装置を有しており、このセンサ装置によって、ボールジョイントに作用する力及び負荷を所定の範囲で検出し、測定することができる。
【0003】
冒頭で述べた形式の、力もしくは負荷を測定するための装置を備えたボールジョイントは、例えば自動車で使用され、ここで、実際の走行運転や、テスト状態における試験運転で、ボールジョイントに加えられる力または曲げモーメントを確実に検出することができる。このような形式の、自動車のシャシの領域におけるボールジョイントの力の測定により、自動車の走行状態を推測することができる。これにより特に、例えばESPまたはABSのような走行安全システムのためのデータベースを改善することができる。冒頭で述べた形式のボールジョイントは従って特に、自動車のおける走行安全性の改善のために使用することができる。
【0004】
力センサを備えたボールジョイントは例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10107279号明細書により公知である。この明細書により公知のボールジョイントは特に、自動車の所定の構成部分に作用する力、例えば、タイロッドにおいてシャシからの反応力により生じる軸方向の力を検出もしくは評価するために用いられる。このためにこの明細書の教示によれば特に、ステアリングリンケージの種々の構成部分の間に配置されたボールジョイントのシャフトの領域に、ストレインゲージまたはピエゾ圧力ピックアップを設けることが記載されており、このセンサの信号により、ボールジョイントの負荷、ひいては、ステアリングリンケージに作用する軸方向の力を推定している。
【0005】
しかしながら、このような形式の、シャフト領域に配置されたストレインゲージまたはピエゾセンサをボールジョイントに設けることは著しく手間がかかる。まず、相応の取付面をボールピンに形成しなければならず、次いでこの面に例えばストレインゲージを貼り付けなければならない。さらに電子評価機器への電気的なワイヤ接続を、ボールピンの内側に設けなければならない。この場合、電子評価機器は、ボールピンに配置されたセンサエレメントがボールジョイントとは別個である場合には、付加的に保護されて適当な個所に取り付けられなければならない。全体としてこのようなことは、負荷センサが設けられたこのような形式のボールジョイントの手間とコストのかかる製造につながる。さらには、このようなボールジョイントの、危険な個所に露出して配置されたセンサ機器や接続ワイヤは敏感であり、故障する危険がある。
【0006】
公知の力センサ装置を備えたボールジョイントの使用はさらに制限されたものである。従って、公知の力センサ装置によっては主として、所定の方向に作用する力しか検出することができない。従って、公知の力センサ装置を備えたボールジョイントは、ボールジョイント若しくはボールジョイントに結合された構成部分に作用する力及び/又はモーメントの包括的なベクトル検出には適していない。
【0007】
さらに公知の力センサ装置を備えたボールジョイントでは、この力センサ装置によって、ボールジョイントの実際の負荷状態の他に、特にボールジョイント自体の状態に関するさらなる情報を得ることは殆ど不可能である。しかしながら、自動車のシャシ若しくはステアリングの領域に配置されたボールジョイントは、安全に関わる構成部分であり、特に走行中におけるその故障は致命的な結果を招きうるので、特に、永続的にボールジョイントの目下の運転状態若しくは摩耗状態に関する情報も得られるのが望ましい。
【0008】
このような背景技術に基づき本発明の課題は、先行技術の上記欠点を克服することができるようなセンサ装置を備えたボールジョイントを提供することである。特にこのボールジョイントによって、安価かつ確実に、かつ大きな構造的自由度をもって、力若しくはボールジョイントに作用する負荷の大きさと方向に関するベクトル算出が可能であるのが望ましい。さらに、ボールジョイントの摩耗状態に関する情報も得られるのが望ましく、これにより、ボールジョイントに生じうる故障を適当な時期に検知し、防止することができる。
【0009】
この課題は、請求項1の特徴を備えたボールジョイント、請求項10記載のボールジョイントにおける負荷を測定するための方法、請求項13記載のボールジョイントにおける摩耗を測定するための方法により解決される。有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0010】
本発明によるボールジョイントはまず、公知のようにジョイントケーシングを有しており、ジョイントケーシングのほぼ円筒状の内室にはボールジョイントのボールシェルが配置されている。ボールシェルにはボールジョイントのジョイントボールが滑動可能に収容されている。
【0011】
同様に公知のように、このボールジョイントはさらに、ボールジョイントの力若しくは負荷を測定するためのセンサ装置を有している。
【0012】
しかしながら本発明によるボールジョイントの特徴は、センサ装置が、少なくとも2つの圧力若しくは力センサから成る、ボールシェルの領域に配置されたセンサ装置から形成されていることにある。この場合、これらのセンサは、ジョイントボールとボールシェルとの間に作用する力若しくは押圧力を測定するために働く。
【0013】
これによりまず得られる主要な利点は、先行技術のものとは異なり、センサ装置全体が良好に保護されてジョイントケーシングの内側に配置されており、ジョイントケーシング若しくはボールシェルに堅固に結合されていることにある。これにより既に本発明によるボールジョイントの、堅牢かつ確実でしかも安価な構造が得られる。
【0014】
これにより、先行技術とは異なり、センサ機器や電子評価機器及びその間に接続される壊れやすい接続ワイヤを、中空のボールピンを通して手間をかけて別個に取り付ける必要はもはやなく、本発明によればセンサ機器も電子評価機器も一緒にジョイントケーシングの内側に配置され、互いに接続される。センサ機器と電子評価機器を1つの同じ共通のフレキシブルな導体路に配置することも可能である。ボールジョイントの安定性を損なう恐れのある、ボールピンまたはジョイントボールにおける機械的な変更も必要ない。これまでこのような機械的な変更に伴っていたコストも削減できる。
【0015】
本発明により、ボールシェルの領域に少なくとも2つの圧力センサを配置することは換言すれば、少なくとも2つのセンサがボール中心点と共に、少なくとも2次元的な座標系を形成することを意味している。このようにして、これらのセンサによって、少なくとも2つの異なる空間方向のための力若しくは圧力信号を求めることができ、これらの信号によりさらに、適当なベクトル加算によって、ボールジョイントに目下作用するベクトル合力の大きさと方向を、少なくとも2次元的な座標系において求めることができる。
【0016】
また、本発明による測定原理により、外部からボールジョイントに作用する力の他に付加的に、ボールジョイント内部の力に関する情報も得られる。この場合特に、ボールシェルのプレロード力の検出が考えられ、時間と共に減少するプレロード力の大きさは、ボールシェルの増大する摩耗の尺度として考慮することで検出することができる。
【0017】
本発明の実現のために、2つのセンサがボール中心点と共に少なくとも2次元的な座標系を形成するならば、ボールジョイントの少なくとも2つのセンサがどのように空間的に正確に配置されているかは問題ではない。
【0018】
本発明の有利な構成では、センサ装置が、3つの圧力若しくは力センサから成る、ボールシェルの領域に配置されたセンサ装置によって形成されている。この場合、これらのセンサも、ジョイントボールとボールシェルとの間に作用する力若しくは押圧力を測定するために働く。この場合、これら3つのセンサは実質的に、ジョイントボールに対して同心的な仮想のセンサボール面に沿って、これら3つのセンサを通る平面が、センサボール面もしくはジョイントボールの中心点を通らないように配置されている。
【0019】
このことは換言すれば、3つのセンサが、ジョイントボール若しくはボールシェルを仮想のボール表面に沿ってほぼ取り囲むことを意味する。この場合、これらのセンサはボール中心点共に3次元な座標系を形成する。このようにしてこれらのセンサによって、3つの異なる空間方向での力若しくは圧力信号を求めることができ、これらの信号からベクトル加算により、ボールジョイントに目下加えられている合力としてのベクトル合成力を求めることができる。従ってボールジョイントに作用する力の完全なベクトルの検出が3次元空間において可能である。
【0020】
本発明の別の特に有利な構成によれば、センサ装置が8つのセンサを有しており、これらのセンサは、仮想のセンサボール面の少なくとも2つの互いに異なる大円に沿って配置されている。この場合、8つのセンサは有利には、センサボール面に内接する仮想の直方体、即ち方形の底面を有する六面体の角隅に配置されており、直方体の垂直線は、ボールピンの長手方向軸線に一致する。
【0021】
このことは換言すると、ジョイントボールが、ボールピンに関して対称的に配置され、ジョイントボールに対して同心的に配置された8つのセンサによって取り囲まれていることを意味する。
【0022】
センサの数が多いことはまず、測定精度の向上につながり、回避できない測定誤差の低減につながる。さらに、対称的な、有利には直角のデカルト座標系に相当する8つのセンサの配置により、均一な測定精度が、ボールジョイントに作用する負荷の作用方向とは実際には無関係に得られ、これにより、個々のセンサの測定信号の評価が簡単になり、デカルト座標系における合力としてのベクトル合成力への変換が容易に行われる。
【0023】
8つのセンサから成るこのような配置は、実際にボールジョイントに作用する力の確実な検出を困難な条件下でも可能にする。例えば、ボールジョイントに作用する力が、ジョイント内部のプレロード力を完全に越えるほど大きく、これによりジョイントボールが、力方向とは反対の側でボールシェルから持ち上がることが考えられる。このような場合、ボールジョイントに作用する力の大きさと方向の、3次元空間における確実な検出は、ジョイントボールが部分的にボールシェルから持ち上がった状態であっても、同じ大円上に位置していない、少なくともあと3つのセンサが、ボールジョイントに作用する力によって負荷される場合にのみ保証される。
【0024】
しかしながら8つのセンサが上記の配置で使用されるならば、ジョイントボールが、全ての考えられ得る負荷のもとで、8つのうち少なくとも4つのセンサの領域ではボールシェルから持ち上がってないことが保証されている。このようにして、ボールジョイントのその都度、考えられ得る負荷に関するベクトル合成力を確実に求めることができる。
【0025】
本発明は、使用されるセンサが、生じ得る力若しくは面圧の測定に適しているならば、これらのセンサがどのように形成されているか、どのような動作原理でこれらのセンサが働くかといったこととは無関係に実現可能である。しかしながら本発明の有利な構成ではセンサはストレインゲージまたはピエゾピックアップとして形成されている。これには、市販されている安価なセンサを使用することができるという利点がある。
【0026】
これに対して本発明の別の特に有利な構成によれば、これらのセンサは容量型のピックアップとして形成されている。この場合、各容量型のピックアップは、ボールシェルの外面に、若しくはボールシェルの壁の内側に配置された電極を有しており、容量型のピックアップの対応電極はこの場合、ジョイントボール自体によって形成されている。
【0027】
このように形成された容量型のピックアップの使用は、本発明によるボールジョイントの簡単かつ堅牢な構成及び妨げられない運転に関して特に有利である。この場合、容量型のピックアップの動作原理は、ボールシェルの領域に配置された電極が、この電極からボールシェルの材料によって電気的に絶縁されたジョイントボールと共にコンデンサを形成し、このコンデンサの容量が、電極とジョイントボールとの間の距離の変化と共に変化することにある。
【0028】
別の領域の内側におけるボールシェルの壁厚さの弾性的な変化が、ジョイントボールとボールシェルとの間に作用する面圧に比例するので、各容量型のピックアップの容量の変化の記録により、直接的に極めて正確に、その時点で生じる局所的な面圧を推定することができる。
【0029】
容量型のピックアップのさらなる利点は、継続的に実質的に完全に摩耗なしに作用し、簡単な評価回路を有し、最小限の稼動電流しか要さないことにある。
【0030】
この関係で、本発明の別の構成では、各容量型のピックアップが、直列に接続された2つのコンデンサを有している。この場合、直列に接続された2つのコンデンサは、ボールシェルの外面若しくはボールシェルの壁の内側に互いに隣接して配置された2つの電極と、両コンデンサに共通の中間電極としての、この場合無電圧のジョイントボールとによって形成される。
【0031】
このような構成が有する付加的な重要な利点は、この場合、ジョイントボールの電気的なコンタクトがもはや必要ないことにある。容量型のセンサの互いに隣接する2つの電極と、所属の評価回路との間に1つの導電的な接続を設ければ十分であり、このようにして、互いに隣接して配置された2つの電極の間の容量を監視することができる。
【0032】
本発明はさらに、請求項10記載のボールジョイントにおける力を測定するための方法に関する。この場合、ボールジョイントは、請求項1から9までのいずれか1項記載の特徴を有する。
【0033】
ボールジョイントに作用する力を求めるために、第1の方法ステップで、ボールジョイントのセンサの力若しくは圧力測定信号を記録する。次いで、次の方法ステップで、センサの求められた測定信号に基づき、センサの領域にそれぞれ生じる局所的な力若しくは圧力若しくは面圧を算出する。次いで、次の方法ステップで、局所的な力、若しくは圧力、若しくは面圧の合力である力ベクトルを、デカルト座標系において求める。
【0034】
本発明による方法が有する利点は、ボールジョイントに加えられる力を、その大きさに関してのみならず、3次元空間での方向に関しても検出し、測定することができることにある。完全にジョイントケーシング内に取り付けられていて、これにより確実かつ堅牢なセンサ装置による、ボールジョイントにおける力の大きさと方向の測定値は、簡単かつ確実に、例えば試運転の優れたデータベース又は、例えばABSやESPのような自動車の走行安全システム及び走行アシストシステムのための、または例えばX・バイ・ワイヤ技術のような最新の車両システムのための優れたデータベースを提供する。
【0035】
負荷を測定するための本発明による方法の有利な実施例では、センサ信号から合力を算出する際に、ボールジョイントに作用する力ベクトルの算出に加えて付加的に、またはこれと選択的に、ボールシェルとジョイントボールとの間のプレロード力も算出される。
【0036】
ボールシェルとジョイントボールとの間のプレロード力の算出はこの場合、有利には、ボールジョイントの互いに向かい合って位置するセンサの信号の足し算により行われる。このようにしてプレロード力を、変化することもある付加的な外力が存在している場合でも確実に導き出すことができる。
【0037】
ボールジョイントのボールシェルにおけるプレロード力の算出は、時間の経過と共に減少するプレロード力の大きさを特に、ボールジョイントの摩耗の進行の尺度として援用することができる場合、特に有利である。というのもボールジョイントのボールシェルは主として、粘弾性的なポリマから製造されていて、ボールジョイントの寿命の経過と共に、ボール表面とボールシェルとの間の相対運動に基づく表面の摩耗や、プラスチックのクリープ運動に基づくある程度の弛緩を免れないからである。これら両者は、時間の経過と共にボールジョイントにおけるプレロードを弱め、これによりジョイントの遊びも特に負荷のもとで大きくなる恐れがある。
【0038】
従って、時間とともに減少するプレロード力の大きさを、ボールジョイントのそのときの状態及びまだ残っている耐用寿命の指標として援用することができる。さらに例えば、ボールジョイントにおいて短時間で大きく減少するプレロード力からは、ボールジョイントの破損、特に、シールベローズの損傷が推測でき、更にはその後、例えば侵食性の塩水がボールジョイントに進入することが予測できる。
【0039】
このような背景から、本発明はさらに、ボールジョイントにおける摩耗測定のための方法に関する。この場合、ボールジョイントは、ボールシェルの領域にあるセンサ装置を有しており、このセンサ装置は、ジョイントボールとボールシェルとの間に作用する力若しくは押圧力を測定するための少なくとも1つの圧力若しくは力センサを有している。
【0040】
本発明によるボールジョイントにおける摩耗測定の方法を実施するために、この場合、第1の方法ステップでまず、単数又は複数の条件、即ち、「力が作用していない」、「一定の力」若しくは「ボールジョイントの静止状態負荷」、「ジョイントケーシングにおけるボールピンの、摩耗測定に適した所定の相対位置」、又は「ボールジョイント若しくは自動車の運動停止」の条件が存在するかどうかがチェックされる。
【0041】
これらの条件が多く満たされているほど、それだけ確実かつ正確にその後の測定が行われ、外的影響による測定誤差が回避される。
【0042】
その後、さらなる方法ステップでボールジョイントの力センサ装置により、ボールシェルとジョイントケーシングの間、若しくは、ボールシェルとジョイントボールとの間のプレロード力を表わしている、センサ装置の力若しくは圧力測定信号の値が求められる。さらなる方法ステップで、次いで、測定信号から若しくは求められたプレロード力から、このプレロード力に対応するボールジョイントの摩耗値が算出される。
【0043】
最後に、算出された摩耗値が、メモリされている最大値と比較され、最大値を超過している場合、警告が発せられる。
【0044】
従って、本発明の方法によれば、ボールジョイントの状態、並びに、ボールジョイントの予測される残りの耐用寿命に関する確実な情報が得られる。ボールジョイントの起こり得る目前の故障も、本発明による、ボールシェルのプレロード力若しくは摩耗値の監視により、適当な時期に確認して、予告することができる。このようにして、ボールジョイント若しくは、ひいてはボールジョイントを備えた自動車の運転安全性を決定的に改善することができる。
【0045】
本発明による摩耗を測定するための有利な構成によれば、センサ装置が偶数の、即ち少なくとも2つの圧力若しくは力センサを有している。この場合、圧力若しくは力センサは、それぞれ互いに対になって、ボールジョイントのジョイントボールの直径上でそれぞれ互いに向かい合って位置するように配置されており、摩耗値の算出を、互いに向かい合って位置するセンサの力もしくは圧力測定信号の足し算により行う。
【0046】
互いに向かい合って位置する圧力若しくは力センサの信号を使用して行う、ボールジョイントにおける摩耗値の検出は、このようにして、ボールシェルのプレロード力の測定に関して比較的高い精度が得られるので有利である。さらに、互いに向かい合って位置するセンサの信号の足し算によるプレロード力は、ボールジョイントに作用する他の外的な力と良好に区別することができる。これは、ボールジョイントに外的に加えられる力の変化は、互いに向かい合って位置するセンサの信号を常に逆方向に変化させるので、互いに向かい合って位置するセンサの信号を足し算する際に、更には、これに基きプレロード力及び摩耗値を求める際に、外的な力の影響が自動的に排除されることに起因している。
【0047】
従って、プレロード力及び摩耗値を求めるために、互いに向かい合って位置するセンサの信号を援用すると、測定された力の値が、プレロード力の変化であるか、又はボールジョイントに作用する外的な力であるかを確実に区別することができる。
【0048】
以下に、本発明による実施例を図面につき詳しく説明する。
【0049】
図1には、ベクトル合成力を算出する場合の力の分解が極めて簡略化された縦断面図で示されている。この場合、まず、理想的なボールジョイントが考察されていて、このボールジョイントは、全ての運転条件下で製造時のプレロード力(初期荷重)を維持している。理想的なボールジョイントでは、換言すれば、プレロード力によって生じる、ジョイントボールとボールシェルとの間の面圧が常に、運転力によって生じる面圧よりも大きいので、運転力の作用によりジョイントボールがボールシェルから離れることはない。
【0050】
このような理想的な条件のもとでは原則的に3つの力もしくは圧力センサで十分であって、これら3つのセンサの信号から、ボールジョイントに加えられる運転力の大きさも3次元空間における方向も検出することができる。これは、これら3つのセンサを通る(あるいは含む)仮想平面がジョイントボールの中心点を通らないように、3つのセンサがジョイントボールを取り囲んで分配配置されている場合に言えることである。というのはこの場合、3つのセンサの位置と基準点としてのジョイントボールの中心点によって、1つの座標系が3次元空間に生じ、そのベクトルは難なくデカルト座標系に、即ち直角座標系に変換することができるからである。
【0051】
このような理想的な場合では、ボールシェルからジョイントボールの表面が持ち上がらないという前提であるので、3つ全てのセンサが、ボールジョイントに作用する考えられ得る各運転力のためにそれぞれ1つの力成分を発信する。これら3つの力成分から、ベクトル加算により、運転力Fの大きさ及び方向が算出される。
【0052】
しかしながらいくつかの理由により、ベクトルの運転力Fの確実かつ正確な測定のために、3つだけの力もしくは圧力センサではなく8つのセンサが使用される。
【0053】
一方では、より多くの数のセンサによって基本的により高い測定精度が得られる。何故ならば回避できない統計的な測定誤差がこのようにして突き止められるからである。また他方では、ジョイントボールが常にボールシェルに接触しているという理想的な条件が常に実際の状況に一致しているわけではないことも考慮しなければならない。従って現実的には、ジョイントボールのプレロードにより生じるボールシェルとジョイントボールとの間の面圧を越える程大きな運転力が生じることがある。この場合、ジョイントボールは部分的にボールシェルから持ち上がり、これによりこの領域にあるセンサは役に立つ測定信号をもはや発信しない。
【0054】
部分的にジョイントボール表面がボールシェルから持ち上がった場合であっても、運転力Fの大きさと方向を検出するためには、理論的には、センサボール面に内接する四面体の角隅に配置された4つのセンサで十分であるが、4つだけではなく8つの圧力もしくは力センサを、運転力Fのベクトルの検出のために使用することは極めて有効である。
【0055】
何故ならば一方では、これら8つのセンサは、ジョイントケーシングとボールシェルの実際のジオメトリ的な状況を考慮すると、ボールシェルにおける四面体配置よりも良好に配置することができるからである。他方では、既に述べたように、8つのセンサによって、4つのセンサよりも著しく高い測定精度が得られるからである。また、8つのセンサは、測定信号をデカルト座標系における力ベクトルに簡単に変換することができるように分配配置することができる。
【0056】
運転力が、ジョイントボールが部分的にボールシェルから持ち上がる程大きい場合には、有利には、最も強い測定信号を発する4つのセンサが、即ち、最も大きな力が加わる4つのセンサが、力ベクトルの算出のために考慮される。
【0057】
以下により良い理解のために、運転力Fの力ベクトルの算出の原理を、まず2次元的な例で示す。
【0058】
図1には、ジョイントボール1と、ボールシェル2と、ジョイントケーシング3とを備えたボールジョイントの2次元的な図が示されている。ボールシェル2とジョイントケーシング3との間には4つの圧力もしくは力センサSOL,SOR,SUR,SULが配置されている。これら4つのセンサSOL,SOR,SUR,SULには、力もしくは面圧FSOL,FSOR,FSUR,FSULが作用する。
【0059】
測定されたセンサ力FSOL,FSOR,FSUR,FSULに基づく力ベクトルの算出の根底を成す力の分解を明瞭に示すために、導入された力ベクトルFは、まず、ボールピンの長手方向に対して垂直な力成分Fと、ボールピンに対して平行な力成分Fに分解される。
【0060】
相互に影響を与えず互いに重ならない両力成分FとFにより、個々のセンサSOL,SOR,SUR,SULに関連して、力もしくは面圧FSOL,FSOR,FSUR,FSULが生じる。これらの力の、それぞれ両力成分FとFに由来する、加算すべき成分は、図1に、見易くするためにさらに別個に示されている。この場合、センサに作用する力成分若しくは面圧は常にセンサ表面に対して垂直である。何故ならば、接線方向の力はセンサによって記録されない、もしくは、ボールシェルにジョイントボールがスライドするように接触することにより伝えられないからである。
【0061】
しかしながら厳密に言うとこの場合、ジョイントボールに導入される全ての力Fがこれらの力センサに分配されるのではない。何故ならば力Fの大部分はセンサ領域の外側のボールシェル面によって吸収されるからである。従って力Fは図1の実施例では、ジョイントボールとボールシェルとの間のセンサの領域で実際に伝達された部分力の合力である。しかしながらこれにより、実際にボールジョイントに作用する運転力Fの算出は問題ない。何故ならば、実際に作用する力Fの大きさは、いかなる場合でも、センサ力の合力に比例するからである。このような比例係数は、センサを較正する段階でいずれにせよ算出され、考慮される。
【0062】
図1には、センサの領域における力の分解を、見易さのために、単に下の2つのセンサSUR,SULに関してのみ示している。しかしながら原則的には同じ力の分解が、上の2つのセンサSOR,SOLについても当てはまる。
【0063】
両力成分FとFはこの場合、図1に詳しく示したセンサSUR,SULに均等に分配されるので、センサに作用する力成分は、理解しやすくするためにそれぞれ両力成分FとFの半分のサイズで示されている。しかしながら上述したように、センサにおける力成分と、実際作用する運転力Fの成分FとFとの間の、この場合1/2と設定された換算係数の絶対値は、力の分解を示すためには重要ではない。何故ならば、換算係数の実際の値はいずれにせよ、センサを較正する段階で規定されるからである。
【0064】
基本的に、センサにそれぞれ作用する力は3つの成分を有している。これら3つの成分は以下のものである。
【0065】
i.ボールジョイントの製造後(若しくは、ジョイントケーシングにジョイントカバーを取り付け後)永続的にほぼ一定にセンサ垂線に対して平行にセンサに作用するプレロード力FV
ii.合成力Fの、ボールピンに対して平行な成分Fの比例割合(ここではF/2として設定されている)、
iii.合成力Fの、ボールピンに対して垂直な成分Fの比例割合(ここではF/2と設定されている)。
【0066】
ボールジョイントにおける各センサの位置から導き出される、ボールピンの軸線と、センサに対して垂直なセンサ力との間の角度αにより、図面で下方に示した両センサSUR,SULにおける両合成力FSUL,FSURが次のように得られる;
【数1】

【0067】
同様に、図面で上方に示した両センサSOL,SORについても両センサ力FSOL,FSORを次のように計算により得ることができる;
【数2】

【0068】
上記の式を足し算もしくは引き算し、続いて力成分FとFについて解くことにより、測定されたセンサ力から、合成力Fのボールピンに対して平行若しくは垂直な成分FとFが次のように算出される;
【数3】

【0069】
この場合、上方の符号(−)は上方のセンサSOL,SORに関するものであって、下方の符号(+)は下方のセンサSUR,SULに関するものである。
【0070】
合成力Fの作用方向とボールピンの長手方向軸線との間の角度βについては、図1によれば以下の関係が成り立つ;
【数4】

【0071】
これら両式において上の式を下の式で割り、これに、合成力Fの両成分FとFを表す前述の式を適用すると、次のようになる;
【数5】

【0072】
これにより、合成力Fの作用方向とボールピンの長手方向軸線との間の角度βは次のようになる;
【数6】

【0073】
ベクトル合成力Fの値は最終的に次のように得られる;
【数7】

【0074】
これにより、測定されたセンサ力によりベクトル合成力Fの大きさと方向がわかる。
【0075】
さらに、測定されたセンサ力により付加的に、ボールジョイントのプレロード力FVも算出することができる。互いに対角線状に互いに向かい合って配置されたセンサのセンサ力、即ちFSOLとFSURまたはFSORとFSULが足し算され、これにより、プレロード力FVの2倍が得られる。これにより、プレロード力FVの値は次のようになる;
【数8】

【0076】
時間と共に減少するプレロード力の大きさは主に、ボールジョイントの摩耗に依存しているので、図示したセンサ装置によって、ベクトルの運転力Fの他に、算出されたプレロード力FVに応じていつでも、ボールジョイントの実際の摩耗状態に関する情報を得ることができる。
【0077】
プレロード力は、ジョイントボールが、外部から導入された運転力Fによって部分的にボールシェルから持ち上がっていない場合にだけ確実に算出することができる。ボールシェルへのジョイントボールの全面的な接触を保証にするために、プレロード力もしくはジョイントの摩耗の測定は、所定の周辺条件がそろっている場合にのみ行われる。例えば常に自動車のエンジンが始動される瞬間であるか、または測定された車両速度がゼロである場合である。
【0078】
見易さのために2次元的な考察として図1に示された力分解を出発点として、ベクトル合成力Fの3次元空間における成分をも検出するために、既に上述したように、図1に示した4つのセンサだけでなく、より多くの全部で8つの圧力もしくは力センサが使用される。
【0079】
8つのセンサの配置の一例は図2に概略的に示されている。1つの仮想直方体、即ち方形の底面を有した平行六面体の角に8つのセンサが配置されているのがわかる。この場合、この直方体は、ジョイントボールに対して同心的な仮想のセンサボール面(図示せず)に内接しており、直方体の垂直軸がボールピンの長手方向軸線に一致する。このようにしてセンサ信号の合成として全ての空間的方向に対して均一な測定精度が得られ、比較的簡単な三角法の計算により、3次元空間におけるベクトル合成力の大きさと方向を算出することができる。
【0080】
三角法の関係は、図2及び図3のような3次元の場合に、図1の2次元的な例と全く同様に、図1と図3をまとめたように生じる。図1に示した力の分解は、3次元の場合には、単に2回別個に、2つの切断面abcdとabefのために、もしくは、その内部にある4つのセンサのために、もしくは、力成分F及びFのために行えば良い(図3参照)。図3に示したように、最終的に合力F3Dが両力成分F及びFから得られる。
【0081】
合成された合力F3Dの両大きさを算出するために、両力成分F,Fにより形成される仮想の六面体abcdefghに内接する直角三角形ahc(点描で示されていて、cは直角)が考慮される。ここではピタゴラスの定理が当てはまる;
【数9】

【0082】
別の三角法の関係によれば、
【数10】

【0083】
従って3次元空間における合力F3Dの大きさは、次のように得られる;
【数11】

【0084】
このように算出された力F3Dの値と、両角度βとβとにより、3次元的な場合でも力ベクトルF3Dの方向と長さが明確に特定される。
【0085】
図3には力分解の図の他に、全部で8つの圧力もしくは力センサ6のうち2つのセンサの配置が付属の導線7とともに示されている。残り6つのセンサは図3には示されていない。何故ならば、これらのセンサは図面の裏側にあるか、ジョイントケーシングもしくはジョイントケーシングカバーの構成部分5によって隠されているからである。
【0086】
図4〜図7には、容量型の圧力もしくは力センサを備えた本発明によるボールジョイントの構成が極めて概略的に縦断面図で示されている。この場合、図4及び図5には、1つの極が、ボールシェル2の外面に配置された電極によって形成されていて、ジョイントボール1が電気的な対応極を成している容量型センサ6が示されている。
【0087】
容量型センサ6の動作原理は、ボールシェル2の領域に配置された容量型センサ6の電極と、この電極からボールシェル2の材料によって電気的に絶縁されたジョイントボール1とによってコンデンサ7が形成されていて、このコンデンサ7の容量が、センサ6の電極とジョイントボール1との間の距離の変化によって変動することにある。
【0088】
図6及び図7には同様に容量型センサ6が示されているが、このセンサは直列に接続された2つのコンデンサ7として形成されている。この場合、直列に接続された2つのコンデンサ7は、両コンデンサ7に共通の中間電極としてのこの場合は無電圧のジョイントボール1と、ボールシェル2の外面に配置された2つの電極とによって形成されている。
【0089】
図6及び図7の容量型センサ6は、従って付加的な大きな利点を備えており、このセンサのもとでは、図4及び図5のセンサとは異なり、ジョイントボール1若しくはボールピンのコンタクトがもはや必要でない。両リード線が、センサ6の、隣接して配置された2つの電極に設けられるだけで良い。
【0090】
このように形成された容量型センサの使用は、簡単で堅牢な構成及びボールジョイントの妨げられない運転に関して有利である。ボールシェル2の壁厚さの弾性的な変化は、ジョイントボール1とボールシェル2との間に作用する面圧にほぼ比例するので、センサの容量の測定により直接的に正確に、局所的に存在する面圧を推定することができる。
【0091】
このような容量型センサのさらなる利点は特に、このようなセンサが実際、摩耗することなく働き、簡単な評価回路で済み、消費電力が僅かであることにある。
【0092】
従って結果として、本発明によれば、ボールジョイントの負荷測定と摩耗測定のためのボールジョイントと方法が得られ、これにより極めて正確かつ確実な、ボールジョイントの運転状態及び負荷状態の検出、若しくは摩耗の検出が可能になる。本発明によれば、確実な方法で、力もしくはボールジョイントに作用する負荷のベクトル算出が可能である。さらにボールジョイントの摩耗状態についての正確な情報が得られ、これによりボールジョイントに生じ得る故障を適当な時期に検知し防止することができる。
【0093】
従って本発明は、ボールジョイントにおいて安全性、確実性、故障防止の改善に関して大きく貢献し、また、特にボールジョイントが要求の多い自動車の車軸系及びホイールサスペンションの領域で使用されるところでは、走行アシストシステムのデータベースの拡大に大きな貢献をする。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明による、ボールジョイントにおけるベクトル合成力を検出するための、力分解の原理を概略的に示した図である。
【図2】本発明によるボールジョイントの構成を概略的に等尺に示した図である。
【図3】本発明によるボールジョイントの別の構成を、ベクトル合成力と共に、概略的に等尺に示した図である。
【図4】容量型力センサを備えた本発明によるボールジョイントの別の構成を概略的に示した縦断面図である。
【図5】図4のボールジョイントの容量型力センサを拡大して示した部分図である。
【図6】容量型力センサを備えた本発明によるボールジョイントの別の構成を図4と相応に示した縦断面図である。
【図7】図6のボールジョイントの容量型力センサを、図5と相応に拡大して示した部分図である。
【符号の説明】
【0095】
1 ジョイントボール、 2 ボールシェル、 3 ジョイントケーシング、 4 センサ装置、 5 ジョイントケーシングカバー構成部分、 6,S センサ 7 コンデンサ、 F,F3D ベクトルの力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば自動車の車軸系のためのボールジョイントであって、ジョイントケーシング(3)を有しており、該ジョイントケーシングの内室にはボールシェル(2)が配置されており、該ボールシェル(2)にはボールピンのジョイントボール(1)が滑動可能に収容されており、ボールジョイントはさらに、力もしくは負荷を測定するためのセンサ装置を有している形式のものにおいて、
センサ装置が、ボールシェルの領域に配置された、ジョイントボール(1)とボールシェル(2)との間に作用する力もしくは押圧力を測定するための少なくとも2つの圧力もしくは力センサ(6)から成るセンサ装置(4)によって形成されていることを特徴とするボールジョイント。
【請求項2】
センサ装置が、ボールシェルの領域に配置された、ジョイントボール(1)とボールシェル(2)との間に作用する力もしくは押圧力を測定するための3つの圧力もしくは力センサ(6)から成るセンサ装置(4)によって形成されており、これら3つのセンサ(6)が、ジョイントボール(1)に対して同心的な仮想のセンサボール面上に、これらのセンサ(6)を通る平面が、センサボール面の中心点を通らないように配置されている、請求項1記載のボールジョイント。
【請求項3】
センサ装置(4)が8つのセンサ(6)を有しており、これらのセンサが、センサボール面の、少なくとも2つの異なる大円に沿って配置されている、請求項1記載のボールジョイント。
【請求項4】
8つのセンサ(6)が、センサボール面に内接する仮想の直方体の角隅に配置されており、直方体の垂直軸が、ボールピンの長手方向軸線に一致する、請求項3記載のボールジョイント。
【請求項5】
センサ(6)がストレインゲージとして形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のボールジョイント。
【請求項6】
センサ(6)がピエゾピックアップとして形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のボールジョイント。
【請求項7】
センサ(6)が容量型ピックアップとして形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のボールジョイント。
【請求項8】
容量型ピックアップ(6)が、ボールシェル(2)内もしくはボールシェル(2)の外面に配置された電極を有しており、対応電極はジョイントボール(1)によって形成されている、請求項7記載のボールジョイント。
【請求項9】
容量型ピックアップ(6)が、直列接続された2つのコンデンサを有しており、これらのコンデンサは、無電圧のジョイントボール(1)と共に、ボールシェル(2)内もしくはボールシェル(2)の外面に互いに隣接して配置された2つの電極によって形成されている、請求項7記載のボールジョイント。
【請求項10】
ボールジョイントの負荷を測定するための方法であって、ボールジョイントが、請求項1から9までのいずれか1項記載の特徴を有しており、当該方法が以下の方法ステップを有している、即ち、
a)センサ(6)の力もしくは圧力測定信号を検出し、
b)センサ(6)の測定信号から、局所的な圧力若しくは力を算出し、
c)局所的な圧力若しくは力の合力である力ベクトル(F3D)を形成する、
の方法ステップを有していることを特徴とする、ボールジョイントの負荷を測定するための方法。
【請求項11】
前記方法ステップc)において、ボールシェル(2)とジョイントボール(1)との間のプレロード力を算出する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ボールシェル(2)とジョイントボール(1)との間のプレロード力の算出を、互いに向かい合って位置するセンサ(6)の信号の足し算により行う、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ボールジョイントにおける摩耗を測定するための方法であって、ボールジョイントがボールシェル(2)の領域に配置された、ジョイントボール(1)とボールシェル(2)との間に作用する力もしくは押圧力を測定するための少なくとも1つの圧力もしくは力センサ(6)を備えたセンサ装置(4)を有しており、当該方法が以下の方法ステップ、即ち、
a)単数又は複数の条件、即ち、「力が作用していない、もしくは一定の力」、「ボールピンとジョイントケーシングの所定の相対位置」、又は「運動停止状態」の条件が満たされているかどうかをチェックし、
b)センサ装置(4)の力もしくは圧力測定信号を検出し、
c)該測定信号から摩耗値を算出し、
d)該摩耗値を最大値と比較し、最大値を超過した際には警告を発する、
の方法ステップを有していることを特徴とする、ボールジョイントにおける摩耗を測定するための方法。
【請求項14】
センサ装置が、偶数の圧力もしくは力センサ(6)を有しており、これらのセンサが互いに対になって、ジョイントボールの直径上でそれぞれ互いに向かい合って位置するように配置されており、方法ステップc)における摩耗値の算出を、互いに向かい合って位置するセンサ(6)の力もしくは圧力測定信号の足し算により行う、請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−547036(P2008−547036A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519790(P2008−519790)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001098
【国際公開番号】WO2007/003162
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(506054589)ツェットエフ フリードリヒスハーフェン アクチエンゲゼルシャフト (151)
【氏名又は名称原語表記】ZF Friedrichshafen AG
【住所又は居所原語表記】D−88038 Friedrichshafen,Germany
【Fターム(参考)】