説明

センシングシステムおよび方法

【課題】電力消費に制限があるセンシングを異常発生確率の高さに応じて効率的に行う。異常の発生を自律的に遠隔地の救命センタなどに知らせる。
【解決手段】モーションセンサ116により手首動作の加速度を検出する。この手首動作の加速度の変動数が規定値α以下となった場合、意識不明状態に陥ったと判断し、その旨を携帯型広域通信手段118に知らせる。これをトリガとして、携帯型広域通信手段118は、脈拍センサ117による脈拍の検出を開始させる。脈拍センサ117により検出される脈拍数がβ以下となれば、救命措置が必要な事態が発生したと判断し、その時の脈拍数を携帯型広域通信手段118に送る。携帯型広域通信手段118は、脈拍センサ117からの脈拍数を広域ネットワーク103を通し、管理サーバ104へ転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体に装着もしくは常時携行可能なセンサによって、モバイル環境下などで生体が遭遇する身辺の自然環境の変化、特に健康上の被害をもたらす可能性のある危険事象の発生や生体の異常を検出するセンシングシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に進む少子高齢化を背景として、高齢者の身体能力の衰えや健康リスクの増大に伴う高齢者医療とこれを支える社会システムの在り方が大きな社会問題になっている。例えば、脳血管疾患と虚血性心疾患を含む循環器疾患は、日本の主要な死亡原因となっているばかりでなく、65歳以上の高齢者による循環器疾患の患者数が全入院患者数の約18%を占め(平成8年度患者調査)、その急性期治療や後遺症治療によって個人的・社会的負担が増大していることから、循環器疾患の死亡率・罹患率の改善が急務となっている。
【0003】
〔従来例1:ウェアラブルセンサ〕
こうした状況を背景として、高齢者医療・福祉における予防的観点から、重篤症状に至る疾患の早期発見と事故防止の日常的なセルフケアを支援する情報機器、システムへのニーズが高まっている。特に、循環器疾患においては、日常生活における急激な環境変化など様々な危険因子を回避する必要があり、その1次予防として生活者自らが日常的に自らの健康状態を注視し、セルフケアするために、体温、血圧、脈拍、心電、動脈血酸素飽和度などの生体情報や身体動作加速度などの情報を検出するセンサとして、身体に装着あるいは携行して使用可能な小型のウェアラブルセンサが開発されている。
【0004】
具体的な、従来のウェアラブルセンサとして、例えば非特許文献1に記載されたものがある。これは、ウェアラブル健康管理システムとして、脈波、体温、発汗、外気温などを検出する複数のセンサを一体の装置として手首に装着し、生活習慣病に係わる生体の異常を検出して装着者に通知すると共に、身体動作を検出するための加速度センサを組み合わせて一定期間身体動作情報を計測、解析することによって本人の行動認識を行い、その行動パターンから日常生活行動における異常検出や投薬管理、ダイエット管理などを含めた広範囲の生活支援を行う機能を有するものである。
【0005】
従来のウェアラブルセンサの機能ブロック図を図10に示す。同図において、1はセンサ部、2は情報処理部、3は情報記憶部、4はLCDやスピーカなどの通知手段、5は電力供給部である。センサ部1は、脈波、体温、血圧などの各種生体情報や外気温湿度などの身辺の環境情報、さらに身体動作を検出する複数の小型センサチップから構成されている。電力供給部5は、センサ部1,情報処理部2,情報記憶部3,通知手段4に電力を供給する。
【0006】
このウェアラブルセンサ100では、装着者が意図的に起動を開始すると(例えば、電源スイッチをオンとすると)、センサ部1での検出動作や情報処理部2での処理動作が開始される。この場合、センサ部1では、センサ部1を構成する各々のセンサ(小型センサチップ)によって、検出対象の各種事象の状態量(被検出情報)が個別、独立に検出される。すなわち、脈波、体温、血圧などの各種生体情報や身体動作が装着者自身に生じる事象の状態量として検出され、外気温湿度などの環境情報が装着者の身辺に生じる事象の状態量として検出される。このセンサ部1での各種事象の状態量の検出は、常時行われるか、あるいは予め設定された一定の時間間隔で行われる。
【0007】
情報処理部2では、センサ部1からの各種事象の状態量を入力とし、これら事象の状態量の分析、統合などの処理を行うと共に、情報記憶部3に格納されている既往データを参照することによって、異常事態が発生したか否かの判定を行う。情報処理部2における処理結果は、通知手段4によって装着者に通知されると共に、必要に応じて情報記憶部3に記憶され、その後の計測データの参照情報として利用される。
【0008】
なお、図11に符号100’で示すように、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの近距離無線インタフェース6を設け、情報処理部2で処理されるセンサ情報の計算負荷量が大きい場合には、PDA(Personal Digital Assistan )などの携帯型の情報処理装置にセンサ情報を転送して処理を分担する構成をとることもある。
【0009】
〔従来例2:ヘルスケアネットワークシステム〕
一方、ウェアラブルセンサによって検出される脈拍、心電、血中酸素飽和濃度、体温などの生体情報や身体動作情報を携帯電話網などの広域ネットワークを介して遠隔地の医療機関や健康管理センタ、救命センタなどに設置されている管理サーバへ転送し、専門的な分析、判断に使用するヘルスケアネットワークシステムも開発されつつある。
【0010】
具体的な、従来のヘルスケアネットワークシステムとして、例えば非特許文献2に記載されたものがある。これは、生活習慣の改善を目的とした日常生活における健康管理や高齢者の遠隔介護支援に加えて、自宅における継続的な病後ケアが必要な人、あるいは在宅介護を要する重篤患者などに対してウェアラブルセンサを装着し、各種生体情報や身体動作情報を広域ネットワークを介して常時モニタリングすることによって、医療機関や健康管理センタ,救命センタなどに在駐する医療専門家によるアドバイスや診断が受けられると共に、健康上の急激な異変を早期に発見する救急医療を可能にするものである。
【0011】
従来のヘルスケアネットワークシステム(センサ情報転送システム)の機能ブロック図を図12に示す。同図において、101はウェアラブルセンサ、102は携帯電話機やPDAなどの携帯型広域通信手段、103は携帯電話網やインターネットなどの広域ネットワーク、104は医療機関や健康管理センタ、救命センタなどに設置された管理サーバである。
【0012】
ウェアラブルセンサ101は、図11に示したウェアラブルセンサ100’と同構成とされ、近距離無線インタフェース6を備えている。携帯型広域通信手段102は、ウェアラブルセンサ101と通信するための近距離無線インタフェース7と、情報通信処理部8と、管理サーバ104と通信するための広域通信インタフェース9と、情報記憶部10と、LCDやスピーカなどの通知手段11と、電力供給部12とを備えている。
【0013】
なお、ウェアラブルセンサ101における情報記憶部3および通知手段4は、携帯型広域通信手段102が備えている情報記憶部10および通知手段11を補完するものであり、情報処理結果の記憶ならびに装着者への通知が携帯型広域通信手段102のみで実現される場合は省略される。また、携帯型広域通信手段102において電力供給12は、近距離無線インタフェース7、情報通信処理部8、広域通信インタフェース9、情報記憶部10および通知手段11に電力を供給する。
【0014】
このヘルスケアネットワークシステムでは、ウェアラブルセンサ101を装着した装着者が意図的に起動を開始すると(例えば、電源スイッチをオンとすると)、センサ部1での検出動作や情報処理部2での処理動作が開始される。あるいは、管理サーバ104から広域ネットワーク103,携帯型広域通信手段102の経路でウェアラブルセンサ101の情報処理部2へ検出情報転送要求(ポーリング)が与えられると、これをトリガとしてセンサ部1での検出動作が開始される。
【0015】
この場合、センサ部1では、センサ部1を構成する各々のセンサ(小型センサチップ)によって、検出対象の各種事象の状態量(被検出情報)が個別、独立に検出される。すなわち、従来例1で説明したと同様に、脈波、体温、血圧などの各種生体情報や身体動作が装着者自身に生じる事象の状態量として検出され、外気温湿度などの環境情報が装着者の身辺に生じる事象の状態量として検出される。このセンサ部1での各種事象の状態量の検出は、常時行われるか、あるいは予め設定された一定の時間間隔で行われる。
【0016】
情報処理部2は、センサ部1から送られてくる各種事象の状態量に対してノイズ除去などの1次処理を施し、この1次処理を施した各種事象の状態量を近距離無線インタフェース6を介して携帯型広域通信手段102へ送信する。携帯型広域通信手段102は、ウェアラブルセンサ101からの各種事象の状態量を近距離無線インタフェース7を介して受信する。近距離無線インタフェース7で受信されたウェアラブルセンサ101からの各種事象の状態量は、情報通信処理部8へ送られ、さらに広域通信インタフェース9を介し、広域ネットワーク103を通して、遠隔地の管理サーバ104に転送される。
【0017】
管理サーバ104では、転送されてきた各種事象の状態量の分析、統合などの高度な処理を行うと共に、データベースに格納されている既往データを参照することによって異常事態が発生したか否かの判定を行う。また、管理サーバ104の設置場所に在駐する医療専門家が直接各種事象の状態量を分析するか、あるいは管理サーバ104の分析結果を参照することによって、より高度な診断を行う。
【0018】
診断結果は、広域ネットワーク103を通して、携帯型広域通信手段102へ転送され、ウェアラブルセンサ101の装着者に通知される。また、診断結果によって緊急の措置が必要と認められる場合には、医療専門家もしくは管理サーバ104から対処方法などがウェアラブルセンサ101の装着者に通知されると共に、救急車の手配など所要の救急措置が行われる。
【0019】
【非特許文献1】文部科学省科学技術振興調整費平成14年中間報告課題第I期成果報告書、2002年、土井、『人間支援のための分散リアルタイムネットワーク基盤技術の研究』、P73〜P82。<http://www.chousei-seika.com/search/info/inforesult.aspx?sendno=3>
【非特許文献2】三菱総合研究所所報43号、2004年8月18日、佐藤、桑田、堀江、『ウェアラブルセンサを用いた健康情報システムの可能性』、P78〜P98。<http://www.mri.co.jp/DATA/D/E/F/journal0406.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述したように、各種事象の状態量を検出する従来のウェアラブルセンサは、装着者が検出を必要と認めた時点で意図的に起動操作した後、電力供給が可能な時間に渡って各種事象の状態量を常時もしくは一定時間間隔で検出する場合と、遠隔地の管理サーバからの検出情報転送要求をトリガとして検出する場合とがある。
【0021】
前者は、主に、健常者とほゞ同程度の日常生活が可能なものの、生活スタイルの改善を目的とした長期的かつ断続的な生体情報の監視を行い、かつ緊急救命措置が必要な事態が想定されない場合に利用される。
後者は、在宅医療や在宅介護において、緊急救命措置が必要な事態の発生が想定され、時々刻々と変化する健康状態に応じて適切な措置を講じなければならないような重篤な事態が想定される場合に利用される。
【0022】
一方、高血圧症や喘息などの既往症を有する人は、平常時には健常者と同様に戸外などモバイル環境下でもほとんど支障なく行動することができるが、却ってそのために、一旦症状を悪化させ得る身辺の環境変化に曝されると、これによって血管障害や発作の発症といった重篤な事態が誘発されるリスクが高まる。例えば、循環器疾患を発症する直接的かつ最も大きな危険因子は高血圧と言われており、従って、高血圧症患者は、循環器疾患を発症するハイリスク者となり、僅かな外部環境の変化でも容易に変動する血圧を注意深く管理することが要求される。特に、冬季において暖房が施された屋内から外出する時や、夏季において外出から冷房の施された屋内に入った時などには、急激で大きな気温低下に曝されるため体熱の放散を防ごうとして血管が収縮し、このため急激な血圧上昇を起こし易い。外気温度変化による血圧上昇の影響は、例えば参考文献(日本建築学会大会学術講演梗概集D−2、1999年、佐藤、郡、『冬期住環境および住まい方と血圧変動に関する実測研究』、P209〜P210)に報告されているように、両者には強い相関がある。
【0023】
このように、モバイル環境下で行動する個人が遭遇する身辺の自然環境の変化、特に健康上の被害をもたらす可能性のある危険事象の発生もしくは生体の異常に対応する処置としては、発生してしまった後の危険事象または生体異変そのものを検出する事後措置よりも、むしろその未然のうちにこれらを誘発する虞れのある事象を検出し、リスクの段階で予防措置をとることが重要である。結果的に危険事象の発生もしくは生体の異常に至らなかったとしても、その予兆となる事象を検出した時点で危険事象の発生もしくは生体の異常に至るリスクが高まったとみなし、これを検出することによってその予防的措置を本人自ら講ずることが重要である。
【0024】
なぜならば、予防措置の段階では、本人が自助自立的に実行可能な簡易な対応措置で済む場合が多いが、一旦危険事象が発生してしまった段階では、一刻を争うレベルの迅速で高度な対応が要求され、従って、もはや自助自立的な措置では対応しきれず、第三者による救命措置が必要な場合が多いからである。例えば、高血圧症を有するハイリスク患者が脳卒中を発症しても、重症のクモ膜下出血を除けば、ただちに生命が危険となることはほとんどなく、特に脳梗塞の場合には、発症してから3時間以内に治療を開始すれば、症状を早期に回復させ、後遺症を最小限にくいとめることができると言われている。すなわち、外気温度の急激な変化に伴って血圧が上昇し、その結果脳卒中を発症したとしても、その初期措置において自助努力を施す余地があり、かつその適切な対応によって生命喪失へのリスクを大きく低減できることになる。
【0025】
しかしながら、上述した従来のセンシングシステム(ウェアラブルセンサを用いて各種事象の状態量を検出するシステム)では、以下のような問題点がある。なお、ここでいう「装着者」とは、ウェアラブルセンサを装着した人のことを指す。
【0026】
第1に、装着者が健康上の被害をもたらす危険事象の発生や生体異常を認識するには、当該事象の発生そのものによって生じる事象の状態量をウェアラブルセンサが検出した後、この検出した事象の状態量を処理して異常と判定し、本人に通知するという過程を経る。すなわち、装着者が異常と認識するのは既に異常な事象が生起した後であるから、その結果、実際に危険事象や生体異常が発生した後の措置の遅延が回避できず、その分、回復不可能な重大な事態に至るリスクが大きくなるという問題がある。
【0027】
第2に、装着者が自ら意図的にウェアラブルセンサを起動操作した後、常時監視するためにセンサを常時駆動するか、もしくは予め定められた一定時間間隔で駆動するか、もしくは管理サーバからの検出情報転送要求をトリガとして駆動するという方法では、ウェアラブルセンサの検出タイミングと無関係に発生する発作的な危険事象や生体異常を検出する際に遅延が生じるという問題がある。さらに、これまでの履歴データを参照して、ウェアラブルセンサからの各種事象の状態量を異常と判定するには、さらにこの情報処理に要する時間が必要であり、一層緊急措置に遅延が生じるという問題がある。
【0028】
第3に、危険事象や生体異常の発生には、その前段にこれを誘発する原因事象が発生する場合が多いが、従来のウェアラブルセンサは所要の事象の状態量を検出するのみで、その原因事象を検出することができない。そのために、リスク段階で予防的措置をとることができないという問題がある。
【0029】
第4に、センサの駆動電力供給において制約の多いモバイル環境下では、ウェアラブルセンサを常時駆動させることは不要なエネルギー消費を伴い、充電の頻度を多くしなければならないという問題がある。加えて、万一、ウェアラブルセンサ駆動用の電力が不足した場合、モバイル環境下では充電することも代替えバッテリを入手することも必ずしも容易ではなく、このような事態に至った場合にはウェアラブルセンサを使用できないという問題がある。
【0030】
第5に、従来は、装着者が検出を必要と認めた時点で意図的にウェアラブルセンサを起動操作した後、ウェアラブルセンサが危険事象や生体異常の発生を検出していたため、万一、装着者が意識不明、あるいは意識があったとしても第三者に救命要請が不可能な事態に至った場合に救命措置が手遅れになる危険性が大きいという問題がある。また、管理センタなどに設置された管理サーバが常時監視する場合であっても、生体異常の発生後、これを検出し、救命センタへ救命措置の要請が行われるまでの間に、装着者の症状は悪化し、救命措置が手遅れになる危険性は解消されない。
【0031】
第6に、個別具体的な問題として、光化学スモッグの発生に対する被曝防護の問題がある。主に都市部において、自動車や工場、事業場などから排出される大気中の窒素酸化物、炭化水素などが強い紫外線を受けると、光化学反応によって光化学オキシダント、いわゆる光化学スモッグが生成される。光化学スモッグは、4月から10月にかけて、強い日差しで高温になり、紫外線照射量が多い日中に発生することが多い。
【0032】
この光化学スモッグの成分のほとんどはオゾンであるが、オゾンには強力な酸化作用があるため人体には有害で、環境基準である0.06ppmの濃度で数時間被曝すると、呼吸器や目に異常が現れる。現状では、自治体からの注意報、警報の予報を受けて屋内へ避難するなどの措置をとるしかないため、自己防護に大幅な時間遅れが生じ、毎年、児童などに被害報告が出ている。さらに、自治体からの注意報などは短時間の高濃度予測値であり、注意報などが発令されない低い濃度レベルでの長時間継続被曝については、住民が光化学スモッグの発生を知る術がないという問題がある。
【0033】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、装着者が意識的にウェアラブルセンサを起動することなく、またこれを常時駆動することなく、緊急の対応を要する事象の発生を異常発生確率の高さに応じて効率的に予測し、電力消費の抑制、自律的なリスク回避、緊急避難のための初動的行動を支援することが可能なセンシングシステムおよび方法を提供することにある。
また、万一、本人が意識不明、あるいは意識があったとしても第三者に救命要請が不可能な事態に至った場合に、本人になり代わって自律的に通信を確立し、遠隔地の医療機関や健康管理センタ、救命センタなどの第三者に所要のセンサ情報を転送することによって装着者の安否確認、救命措置などの所要の対応を可能とするセンシングシステムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
このような目的を達成するために本発明(請求項1)は、生体の身辺に生じる事象もしくは生体自身に生じる事象の状態量を検出対象とする第1のセンサおよび第2のセンサと、第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる検出開始手段とを設けたものである。
一般に、危険事象の発生は、これを誘発する原因事象が前もって発生し、この原因事象がトリガとなって引き起こされる場合が多い。特に、身体の異常の発生は、身辺の急激な環境変化、有害物質等の危険因子と遭遇することで誘発される場合が多い。この発明において、例えば、第1のセンサが検出する事象を原因事象、第2のセンサが検出する事象を原因事象によって誘発される危険事象とすると、第1のセンサが検出する原因事象の状態量が所定の条件を満たすまでは第2のセンサによる危険事象の状態量の検出は行われず、第1のセンサが検出する原因事象の状態量が所定の条件を満たした時点で、始めて第2のセンサによる危険事象の状態量の検出が開始される。すなわち、異常の発生確率が低い場合には第1のセンサによる原因事象の状態量の検出しか行われず、異常の発生確率が高くなった時点で始めて第2のセンサによる危険事象の状態量の検出が開始される。
【0035】
第2のセンサによる危険事象の状態量の検出に際しては、その危険事象の状態量と既往データなどとを比較することによって異常事態が発生したか否かの判定処理やその判定処理結果の本人への通知を伴うために、電力消費が大きくなる。本発明において、この第2のセンサによる危険事象の状態量の検出は、第1のセンサによって検出される原因事象の状態量が所定の条件を満たさなければ行われないから、すなわち通常は第1のセンサによる原因事象の状態量の検出しか行われないから、第2のセンサによる危険事象の状態量の検出を常時行う場合や予め設定された一定の時間間隔で行う場合と比較し、電力消費を大きく抑制することができる。
【0036】
これにより、例えば第1のセンサによる原因事象の状態量の検出を常時あるいは定期的に行うようにすれば、装着者が意識的に起動操作を行うことなく、異常の発生確率が高くなった時点で自律的に第2のセンサによる危険事象の状態量の検出が開始され、低消費電力で長期的に、自ら知覚が困難な予期しない危険事象の発生を確実に知ることが可能となる。また、第1のセンサにより検出される原因事象の状態量が所定の条件を満たした時点で、すなわち第2のセンサで検出すべき危険事象の誘因となる原因事象の異常を予兆として第1のセンサで検出した時点で、これをリスクとして本人に通知するようにすれば、突発的事象の発生を予測し、予防的措置の初動対応をとることが可能となる。例えば、高血圧症、喘息などの既往症を有するためにより重篤な疾患を発症するリスクを保有する非健常者に対して、重篤疾患を誘発する虞れのある事象を検出した時点で、自助自立による緊急避難のための初動対応が可能となる。また、予防的措置の初動対応をとることが可能であるので、突発的事態が発生した場合でも、自助自立的にその対応措置の遅延を最小とすることが可能となる。
【0037】
例えば、本発明では、第1のセンサの検出対象を紫外線の量とし、第2のセンサの検出対象を大気中のオゾンの暴露量とする。この場合、検出開始手段は、第1のセンサが検出する紫外線の量が所定値を超えたことをトリガとして、第2のセンサによる大気中のオゾンの暴露量の検出を開始させる(請求項2)。これにより、紫外線の量が所定値を超え、光化学スモッグが発生する確率が高くなった場合に、大気中のオゾンの暴露量の検出が開始される。
【0038】
請求項1に係る発明において、第1のセンサの最小単位は1つであるが、第1のセンサを複数設けて第1のセンサ群としてもよい。第1のセンサを複数設ける場合、第2のセンサによる当該センサの検出対象の事象の状態量の検出開始方法として次のような方法が考えられる。
(1)複数の第1のセンサのうち少なくとも1つのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる(請求項3)。
例えば、第1のセンサとして歩行時の装着者の上下動加速度を検出する歩数センサと装着者の身辺の外気温度を検出する外気温度センサとを設け、第2のセンサとして装着者の血圧を検出する血圧センサを設け、歩数センサが所定値を超える歩行時の上下動加速度変動を検出した場合、あるいは外気温度センサが所定温度差を超える外気温度の変動を検出した場合、血圧センサによる血圧の検出を開始させる。
(2)複数の第1のセンサの全てのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる(請求項4)。
例えば、第1のセンサとして歩行時の装着者の上下動加速度を検出する歩数センサと装着者の身辺の外気温度を検出する外気温度センサとを設け、第2のセンサとして装着者の血圧を検出する血圧センサを設け、歩数センサが所定値を超える歩行時の上下動加速度変動を検出し、かつ外気温度センサが所定温度差を超える外気温度の変動を検出した場合、血圧センサによる血圧の検出を開始させる。
【0039】
また、本発明では、第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させるが、この後の処理として、第2のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たした場合に、その事象の状態量に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信するようにしてもよい(請求項5)。
【0040】
例えば、第1のセンサが検出する事象の状態量を身体動作の加速度とし、第2のセンサが検出する事象の状態量を脈拍とする。そして、第1のセンサが検出する身体動作の加速度の一定時間内の変動数を計算し、この加速度の変動数が所定値以下となった場合を意識不明状態に陥ったと判断し、第2のセンサによる脈拍の検出を開始する。そして、この第2のセンサが検出する脈拍数が所定値以下となれば、救命措置が必要な事態が発生したと判断し、その脈拍数に関する情報をネットワークを介して遠隔地の医療機関や健康管理センタ、救命センタなどに送信する(請求項6)。
これにより、万一、意識喪失など意図的な通信起動操作が不可能な事態に至っても、本発明によるセンシングシステムが自律的に通信を確立し、医療機関や健康管理センタ、救命センタなどの第三者へ緊急事態を知らせることが可能となる。
【0041】
請求項5に係る発明において、第2のセンサの最小単位は1つであるが、第2のセンサを複数設けて第2のセンサ群としてもよい。第2のセンサを複数設ける場合、当該センサの検出対象の事象の状態量の検出開始方法や遠隔地への情報の送信方法として次のような方法が考えられる。
第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、全ての第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる。そして、複数の第2のセンサのうち少なくとも1つのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たした場合に、その事象の状態量に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信する(請求項7)。
【0042】
例えば、第1のセンサが検出する事象の状態量を身体動作の加速度とし、第2のセンサ群が検出する事象の状態量を脈拍や血圧、体温などとする。そして、第1のセンサが検出する身体動作の加速度の一定時間内の変動数を計算し、この加速度の変動数が所定値以下となった場合を意識不明状態に陥ったと判断し、第2のセンサ群による脈拍や血圧、体温などの検出を一斉に開始する。そして、この第2のセンサ群が検出する脈拍や血圧、体温などのうち、1つでも所定の条件を満たせば、救命措置が必要な事態が発生したと判断し、その情報をネットワークを介して遠隔地の医療機関や健康管理センタ、救命センタなどに送信する。
【0043】
なお、本発明は、ウェアラブルセンサを用いたセンシングシステムとしてではなく、ウェアラブルセンサを用いたセンシング方法としても実現することが可能である(請求項8〜14)。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、生体の身辺に生じる事象もしくは生体自身に生じる事象の状態量を検出対象とする第1のセンサおよび第2のセンサを設け、第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させることにより、第1のセンサが検出する事象を原因事象、第2のセンサが検出する事象を原因事象によって誘発される危険事象とするなどして、緊急対応を要する事象の発生を異常発生確率の高さに応じて効率的に行い、電力消費を大幅に抑制することが可能となる。
【0045】
また、本発明において、例えば、第1のセンサが検出する事象を原因事象、第2のセンサが検出する事象を原因事象によって誘発される危険事象とし、第1のセンサによる原因事象の状態量の検出を常時あるいは定期的に行うようにすれば、装着者が意識的に起動操作を行うことなく、異常の発生確率が高くなった時点で自律的に第2のセンサによる危険事象の状態量の検出が開始され、低消費電力で長期的に、自ら知覚が困難な予期しない危険事象の発生を確実に知ることが可能となる。また、第1のセンサにより検出される原因事象の状態量が所定の条件を満たした時点で、すなわち第2のセンサで検出すべき危険事象の誘因となる原因事象の異常を予兆として第1のセンサで検出した時点で、これをリスクとして本人に通知するようにすれば、突発的事象の発生を予測し、予防的措置の初動対応をとることが可能となる。
【0046】
また、本発明によれば、生体の身辺に生じる事象もしくは生体自身に生じる事象の状態量を検出対象とする第1のセンサおよび第2のセンサを設け、第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させ、第2のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たした場合に、その事象の状態量に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信することにより、例えば、第1のセンサが検出する事象の状態量を身体動作の加速度、第2のセンサが検出する事象の状態量を脈拍とするなどして、電力消費に制限があるセンシングを異常発生確率の高さに応じて効率的に行うと共に、異常の発生を自律的に遠隔地の医療機関や健康管理センタ、救命センタなどに知らせ、装着者の安否確認、救命措置などの所要の対応をとることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1:紫外線量トリガによるオゾン検出システム〕
図1に本発明に係るセンシングシステムの一実施の形態(実施の形態1)の機能ブロック図を示す。この実施の形態では、第1のセンサ(1次センサ)を紫外線センサとし、第2のセンサ(2次センサ)をオゾンセンサとしている。紫外線センサは、地表に達する紫外線波長域(280〜400nm)の感度を持つ、素子サイズ10mm角程度のものが販売され、また、オゾンセンサは、50mm角基板上に実装されたものが販売されている。
【0048】
そこで、この実施の形態では、情報処理制御部16、情報記憶部18、LCDやスピーカなどの通知手段17、シリアルインタフェース19および電力供給部20を縦横70mm角、厚さ20mm程度のボックス21に収納して本体部105とし、紫外線量検出部(紫外線センサ)13とオゾン暴露量検出部(オゾンセンサ)14を同一基板上に実装してセンサ部106とし、両者をシリアルインタフェース15で接続した形態としている。
【0049】
この例では、本体部105を装着者の胸ポケット等に収納し、センサ部106は外気に露出させた状態とする。なお、本体部105とセンサ部106とを合わせたものをペンダント型にし、首から吊すなどして装着者に携帯させるようにしてもよい。また、紫外線量検出部13と並列して太陽電池の受光部を配置し、太陽電池からの電力を補助的に利用すれば、省電力化が可能となる。
【0050】
図2に本体部105における情報処理制御部16が行う情報処理フローを示す。情報処理制御部16は、電力供給部20からの電力の供給を常時受けて、シリアルインタフェース15を介して紫外線量検出部13を定期的に起動し(ステップ201)、予め定められた所定時間T内の紫外線量Xを検出する(ステップ202)。そして、この検出した紫外線量Xと情報記憶部18に格納されている規定値αとを比較し、紫外線量Xが規定値α以上となれば(X≧α:ステップ203のYES)、これをトリガとして、オゾン暴露量検出部14による大気中のオゾンの暴露量Yの検出を開始する(ステップ204)。
【0051】
なお、この実施の形態において、紫外線量Xに対する規定値αは、健康上の被害が生じる程度のオゾン発生に要する紫外線照射を過去の実測値から経験的に定め、この定めた値を規定値αの初期設定値として情報記憶部18に格納しておく。また、工場、事業所の立地条件や地勢的な影響によって1次汚染物質(窒素酸化物等)の濃度依存性があるため、装着者の利用環境に応じて紫外線量Xに対する規定値αは変更可能とする。
【0052】
情報処理制御部16は、通知手段17を駆動し、オゾン暴露量検出部14によって検出された大気中のオゾンの暴露量Yを表示する(ステップ205)。また、オゾン暴露量検出部14によって検出された大気中のオゾンの暴露量Yと情報記憶部18に格納されている規定値βとを比較し、オゾンの暴露量Yが規定値β以上であれば(Y≧β:ステップ206のYES)、通知手段17へ指令を送り、警報音を鳴らして装着者に通報する(ステップ207)。
【0053】
なお、この実施の形態において、オゾンの暴露量Yに対する規定値βは、健康上の被害が生じる程度のオゾンの暴露量の過去の実測値から経験的に定め、この定めた値を規定値βの初期設定値として情報記憶部18に格納しておく。また、オゾンの暴露量Yに対する規定値βについても、紫外線量Xに対する規定値αと同様に変更可能とする。
【0054】
この実施の形態において、紫外線量検出部(紫外センサ)13は原因事象の状態量として紫外線量Xを検出し、オゾン暴露量検出部(オゾンセンサ)14は原因事象によって誘発される危険事象の状態量としてオゾンの暴露量Yを検出する。紫外線量検出部13が検出する紫外線量Xが規定値αに達するまではオゾン暴露量検出部14によるオゾンの暴露量Yの検出は行われず、紫外線量検出部13が検出する紫外線量Xが規定値αに達した時点で、始めてオゾン暴露量検出部14によるオゾンの暴露量Yの検出が開始される。すなわち、オゾンの発生確率が低い場合には紫外線量検出部13による紫外線量Xの検出しか行われず、オゾンの発生確率が高くなった時点で始めてオゾン暴露量検出部14によるオゾンの暴露量Yの検出が開始される。
【0055】
オゾン暴露量検出部14によるオゾンの暴露量Yの検出に際しては、そのオゾンの暴露量Yと規定値βとの比較によって異常事態が発生したか否かの判定処理を伴うために、またその判定処理結果の本人への通知(暴露量Yの表示、警報音の発信)を伴うために、電力消費が大きくなる。本実施の形態において、オゾン暴露量検出部14によるオゾンの暴露量Yの検出は、紫外線量検出部13によって検出される紫外線量Xが規定値αに達しなければ行われないから、すなわち通常は紫外線量検出部13による紫外線量Xの検出しか行われないから、オゾン暴露量検出部14によるオゾンの暴露量Yの検出を常時行う場合や予め設定された一定の時間間隔で行う場合と比較し、電力消費を大きく抑制することができる。
【0056】
これにより、本実施の形態では、装着者が意識的に起動操作を行うことなく、異常の発生確率が高くなった時点で自律的にオゾン暴露量検出部14によるオゾンの暴露量Yの検出が開始され、低消費電力で長期的に、自ら知覚が困難な予期しないオゾンの発生を確実に知ることが可能となる。また、本実施の形態では、紫外線量検出部13により検出される紫外線量Xが規定値αに達した時点で、すなわちオゾン暴露量検出部14で検出すべきオゾンの発生の誘因となる紫外線量Xの異常を予兆として紫外線量検出部13で検出した時点でオゾンの暴露量Yが表示され、これがリスクとして本人に通知されるので、オゾンの発生を予測し、予防的措置の初動対応をとることが可能となる。
【0057】
なお、この実施の形態では、1次センサ(第1のセンサ)が検出する原因事象の状態量を紫外線量Xと、2次センサ(第2のセンサ)が検出する危険事象の状態量をオゾンの暴露量Yとしたが、例えば1次センサが検出する原因事象の状態量を外気温度とし、2次センサが検出する危険事象の状態量を血圧などとしてもよい。このように検出対象を変えることによって、例えば高血圧症、喘息などの既往症を有するためにより重篤な疾患を発症するリスクを保有する非健常者に対して、重篤疾患を誘発する虞れのある事象を検出した時点で、自助自立による緊急避難のための初動対応が可能となる。また、予防的措置の初動対応をとることが可能であるので、突発的事態が発生した場合でも、自助自立的にその対応措置の遅延を最小とすることが可能となる。
【0058】
〔実施の形態2:外気温度差による異常血圧検出システム〕
実施の形態1では、1次センサ(第1のセンサ)を1つとしたが、1次センサを複数設けるようにしてもよい。図3に1次センサを2つ設けたセンシングシステムの構成例(実施の形態2)を示す。
【0059】
同図において、107は外気温度を検出する温度センサ、108は身体動作の加速度変化によって歩数を検出する歩数センサであり、温度センサ107および歩数センサ108は1次センサとして設けられている。109は血圧を検出する血圧センサであり、血圧センサ109は2次センサとして設けられている。
【0060】
温度センサ107は、外気温度を検出する外気温度検出部22と、情報処理部23と、情報記憶部24と、シリアルインタフェース25とを備えている。歩数センサ108は、歩行時の身体の上下運動に伴って生じる加速度を検出する加速度検出部26と、情報処理部27と、情報記憶部28と、近距離無線インタフェース29と、電力供給部30とを備えている。血圧センサ109は、血圧を検出する血圧検出部31と、情報処理制御部32と、情報記憶部33と、LCDやスピーカなどの通知手段34と、シリアルインタフェース35と、近距離無線インタフェース36と、電力供給部37とを備えている。
【0061】
血圧センサは手首に装着可能なものが販売されている。この実施の形態では、温度センサ107を半導体素子で構成し、血圧センサ109と温度センサ107とを一体的に実装し、手首に装着する形態としている。この場合、温度センサ107と血圧センサ109とはシリアルインタフェース25,35を介して情報の送受信を行い、血圧センサ109内の電力供給部37は血圧センサ109だけではなく、温度センサ107への電力の供給も行う。また、歩数センサ108は、市販の歩数計と同じ原理で歩数を計算するものであり、腰など歩行時の身体の上下動加速度を検出することができる部位に装着する。歩数センサ108と血圧センサ109とは近距離無線インタフェース29と36を介して情報の送受信を行う。
【0062】
図4に温度センサ107の情報処理部23と歩数センサ108の情報処理部27と血圧センサ109の情報処理制御部32とが連携して行う情報処理フローを示す。装着者が歩行を開始すると(ステップ401のYES)、その上下動動作により電源スイッチ(図示せず)がオンとなり、歩数センサ108が起動し始める(ステップ402)。
【0063】
これにより、歩数センサ108の情報処理部27は、加速度検出部26による歩行時の上下動加速度の検出を開始し、この上下動加速度の単位時間内の変動数(加速度変動数)Xを計算する(ステップ403)。そして、この加速度変動数Xと情報記憶部28に格納されている規定値αとを比較し、加速度変動数Xが規定値α以上であれば(X≧α:ステップ404のYES)、歩行中であると判断し、その旨を近距離無線インタフェース29を介して血圧センサ109へ送る。
【0064】
なお、この実施の形態において、加速度変動数Xに対する規定値αは、歩行動作以外の一時的な動作を除外できる値として経験的に定め、この定めた値を規定値αとして情報記憶部28に格納しておく。すなわち、歩数センサ108内の加速度検出部26は、装着者の上下動動作に伴う鉛直方向の加速度成分のみを検出する。通常の人が歩行する場合の歩行速度の範囲内であれば、短時間内の加速度変動数Xがある値以上になる場合には歩行、すなわち移動が行われているとみなすことができ、歩行動作以外の一時的な動作は除外できる。そこで、本実施の形態では、予め経験的に定めた規定値αに対して加速度変動数XがX≧αの条件を満たしたとき、歩行中であると判断し、その旨の情報を近距離無線インタフェース29を介して血圧センサ109へ送る。
【0065】
血圧センサ109の情報処理部32は、歩数センサ108からの歩行中である旨の情報を受けると、これをトリガとして、シリアルインタフェース35を介して温度センサ107へ指令を送り、温度センサ107を起動する(ステップ405)。温度センサ107の情報処理部23は、血圧センサ109からの起動指令を受けて、情報記憶部24に格納されている一定時間間隔T1を読み出し、この一定時間間隔T1で外気温度検出部22による外気温度の検出を開始する(ステップ406)。そして、相前後する2時刻間の温度差ΔYを算出し(ステップ407)、この算出した温度差ΔYと情報記憶部24に格納されている規定値βとを比較し、温度差ΔYが規定値β以上であれば(ΔY≧β:ステップ408のYES)、血圧異常の危険リスクに遭遇したと判断し、その旨を近距離無線インタフェース25を介して血圧センサ109へ送る。
【0066】
なお、この実施の形態において、外気温度検出に際する一定時間間隔T1は、装着者の温度差の異なる場所間の移動を検出することができる値として経験的に定め、この定めた値を一定時間間隔T1として情報記憶部24に格納しておく。例えば、温度差の異なる場所間の距離をD、通常の人の歩行速度をVとした場合、T1=D/Vとして求める。また、温度差ΔYに対する規定値βは、前述した参考文献(日本建築学会大会学術講演梗概集D−2、1999年、佐藤、郡、『冬期住環境および住まい方と血圧変動に関する実測研究』、P209〜P210)の他、既往症の有無や個人差などに応じて医学的見地から定めることが可能である。
【0067】
血圧センサ109の情報処理制御部32は、温度センサ107からの血圧異常の危険リスクに遭遇した旨の情報を受けると、これをトリガとして、情報記憶部33に格納されている一定時間T2を読み出すと共に、血圧検出部31による血圧Zの検出を開始する(ステップ409)。そして、検出された血圧Zの瞬時値と情報記憶部33に格納されている規定値γとを比較し、血圧Zの瞬時値が一定時間T2内に規定値γ以上となれば(Z≧γ:ステップ410のYES)、通知手段34へ指令を送り、血圧異常による体調変化に対する注意を警報音を鳴らして喚起すると共に、その時の血圧Zを表示する(ステップ411)。
【0068】
なお、この実施の形態において、血圧Zの瞬時値に対する規定値γは、高血圧症患者のように比較的血圧管理を厳格に実行する必要がある人に対しては管理指標が定められているので、この管理指標を規定値γとして情報記憶部33に格納しておく。また、一定時間T2についても、血圧の異常上昇を検出できる値として経験的に定め、この定めた値を一定時間T2として情報記憶部33に格納しておく。
【0069】
また、この実施の形態において、温度差ΔYが規定値β以上でなければ(ステップ408のNO)、歩行中であるか否かを確認し(ステップ412)、歩行中であればステップ406へ戻って上述した処理を繰り返し、歩行中でなければ一連の処理を終了する。また、血圧Zの瞬時値が一定時間T2内に規定値γ以上とならなければ(ステップ410のNO)、歩行中であるか否かを確認し(ステップ412)、歩行中であればステップ406へ戻って上述した処理を繰り返し、歩行中でなければ一連の処理を終了する。
【0070】
なお、この実施の形態では、歩数センサ108,温度センサ107、血圧センサ109をシーケンシャルに起動するようにしているが、これは本願の請求項4に記載した「複数の第1のセンサの全てのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる」ことに相当する。
【0071】
また、この実施の形態では、歩数センサ108における加速度変動数Xが規定値α以上となり、かつ温度センサ107における外気温度の温度差ΔYが規定値β以上となった場合に、血圧センサ109での血圧の検出を開始させるようにしたが、歩数センサ108における加速度変動数Xが規定値α以上となった場合に直ちに血圧センサ109での血圧の検出を開始させるようにしてもよく、温度センサ107における外気温度の温度差ΔYが規定値β以上となった場合に直ちに血圧センサ109での血圧の検出を開始させるようにしてもよい。これは本願の請求項3に記載した「複数の第1のセンサのうち少なくとも1つのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる」ことに相当する。
【0072】
上述した実施の形態1や2を代表するセンシングシステムの基本構成の概略を図5に示す。同図において、111は第1のセンサ群(1次センサ群)、112は第2のセンサ(2次センサ)、113は情報処理制御部、114は情報記憶部、115は通知手段である。1次センサ群111は、n個の1次センサS1(S11 〜S1n)により構成され、1次センサS1および2次センサ112は装着者の身辺に生じる事象もしくは装着者自身に生じる事象の状態量を検出対象とする。実施の形態1の構成(図1)は、1次センサ群111において、1次センサS1を1つとした場合である。実施の形態2の構成(図3)は、1次センサ群111において、1次センサS1を2つとした場合である。
【0073】
なお、実施の形態2では、1次センサS1に情報処理部や情報記憶部などを設けた構成としている。また、2次センサ112を、情報処理制御部113や情報記憶部114、通信手段115などを含む構成としている。
【0074】
〔実施の形態3:身体動作停止時の脈拍情報転送システム〕
図6に本発明に係るセンシングシステムの他の実施の形態(実施の形態3)の機能ブロック図を示す。この実施の形態では、加速度変化によって身体動作の有無を検出するモーションセンサ116を第1のセンサとし、身体の脈拍を検出する脈拍センサ117を第2のセンサとしている。また、携帯電話機やPDAなどの携帯型広域通信手段118を設け、モーションセンサ116および脈拍センサ117と携帯型広域通信手段118との間で近距離無線通信を行う一方、携帯型広域通信手段118と遠隔地の医療機関や健康管理センタ、救命センタなどに設置された管理サーバ104との間で広域ネットワーク103を介して情報の送受信を行う。
【0075】
モーションセンサ116は、身体の動きによって生じる互いに直交する3軸方向の加速度成分を検出する加速度検出部38と、情報処理部39と、情報記憶部40と、携帯型広域通信手段118と通信するための近距離無線インタフェース41と、電力供給部42とを備えている。
脈拍センサ117は、血流量の変化を光学的に検出する光電脈波検出部43と、情報処理部44と、情報記憶部45と、携帯型広域通信手段118と通信するための近距離無線インタフェース46と、電力供給部47とを備えている。
携帯型広域通信手段118は、モーションセンサ116や脈拍センサ117と通信するための近距離無線インタフェース48と、情報処理制御部49と、管理サーバ104と通信するためのW−CDMA方式の広域通信インタフェース50と、情報記憶部51と、LCDやスピーカなどの通知手段52と、電力供給部53とを備えている。
【0076】
なお、脈波センサとして、手首動脈部の血流量を検出して脈拍数を計算する手首装着型のものが販売されており、3軸加速度センサとして、縦横10mm角で厚さ1mm程度のチップが販売されている。本実施の形態では、脈拍センサ117を手首装着型とし、モーションセンサ116を3軸加速度センサとし、両者を一体的に実装し、手首に装着する形態としている。したがって、脈拍センサ117は装着者の手首動脈部の脈拍を検出し、モーションセンサ116は身体動作として装着者の手首動作の加速度を検出する。なお、この場合、モーションセンサ116における近距離無線インタフェース41および電力供給部42と、脈拍センサ117における近距離無線インタフェース46および電力供給部47とは共通化することにより、何れか一方を省略することが可能である。
【0077】
図7にモーションセンサ116の情報処理部39と脈拍センサ117の情報処理部44と携帯型広域通信手段118の情報処理制御部49とが連携して行う情報処理フローを示す。モーションセンサ116は定期的に起動を開始する(ステップ701)。これにより、モーションセンサ116の情報処理部39は、情報記憶部40に格納されている一定時間Tを読み出すと共に、加速度検出部38による装着者の手首動作の加速度の検出を開始し、この手首動作の一定時間T内の変動数(加速度変動数)Xを計算する(ステップ702)。そして、この加速度変動数Xと情報記憶部40に格納されている規定値αとを比較し、加速度変動数Xが規定値α以下であれば(X≦α:ステップ703のYES)、装着者が意識不明状態に陥ったと判断し、その旨を近距離無線インタフェース41を介して携帯型広域通信手段118へ送る。
【0078】
なお、この実施の形態において、一定時間Tは、装着者の意識の有無を判別するために設定するものであり、通常の活動時に検出される加速度変動を除外できる程度の長い値として経験的に定め、この定めた値を一定時間Tとして情報記憶部40に格納しておく。また、規定値αは、日常生活における手首の動作に伴う加速度変動よりも十分に小さい値として経験的に定め、この定めた値を規定値αとして情報記憶部40に格納しておく。
【0079】
携帯型広域通信手段118の情報処理制御部49は、モーションセンサ116からの意識不明状態に陥った旨の情報を受けると、これをトリガとして、近距離無線インタフェース48を介して脈拍センサ117へ指令を送り、脈拍センサ117を起動する(ステップ704)。また、これに続いて、情報処理制御部49は、広域通信インタフェース50を起動し(ステップ705)、携帯型広域通信手段118と管理サーバ104との間の通信を確立する(ステップ706)。
【0080】
脈拍センサ117の情報処理部44は、携帯型広域通信手段118からの起動指令を受けて、光電脈波検出部43による装着者の血流量の変化の検出を開始させ、この光電脈波検出部43が検出する血流量の変化から単位時間あたりの脈拍数、例えば1分間の脈拍数Yを検出する(ステップ707)。この脈拍数Yの検出は規定回数δ回行う。そして、この検出した脈拍数Yと情報記憶部45に格納されている規定値βとを比較し、脈拍数Yが規定値β以下であれば(X≦β:ステップ708のYES)、救命措置が必要な事態が発生したと判断し、その時の脈拍数Yを近距離無線インタフェース46を介して携帯型広域通信手段118へ送る(ステップ709)。
【0081】
携帯型広域通信手段118の情報処理制御部49は、脈拍センサ117からの脈拍数Yを広域通信インタフェース50を介し、広域ネットワーク103を通して、遠隔地の管理サーバ104へ転送する(ステップ710)。この脈拍数Yの転送は、既にステップ706で携帯型広域通信手段118と管理サーバ104との間の通信が確立されているので、素早く行われる。
【0082】
管理サーバ104では、転送されてきた脈拍数Yを分析し、その分析結果に対応した措置を実行する。例えば、その分析結果によって緊急の措置が必要と認められる場合には、管理サーバ104の設置場所に在駐する医療専門家への緊急連絡、救急車の手配など所要の救急措置を行う。
【0083】
このようにして、本実施の形態では、万一、意識喪失など意図的な通信起動操作が不可能な事態に至っても、センシングシステムが自律的に通信を確立し、医療機関や健康管理センタ、救命センタなどの第三者へ緊急事態の通知を行い、速やかに適切な処置を施すことが可能となる。
【0084】
なお、この実施の形態において、脈拍センサ117で使用する規定値βは、装着者の脈拍数の異常を判別するために設定するものであり、通常の活動時に検出される脈拍数を除外できる値として定め、この定めた値を規定値βとして情報記憶部45に格納しておく。また、本実施の形態では、規定値αやβの値を適当に設定することにより、装着者が在宅療養中または、要介護者である場合でも適用可能である。
【0085】
〔実施の形態4:身体動作停止時の脈拍/血圧情報転送システム〕
実施の形態3では、第1のセンサとしてモーションセンサ116を設け、第2のセンサとして脈拍センサ117を設け、モーションセンサ116によって手首動作の一定時間T内の加速度変動数Xが規定値α以下となった場合に、脈拍センサ117による脈拍の検出を開始するようにしたが、第2のセンサとして脈拍センサ117の他に例えば図8に示すように血圧センサ119を設け、脈拍センサ117による脈拍の検出と血圧センサ119による血圧の検出を一斉に開始するようにしてもよい。
【0086】
なお、このシステムにおいて、血圧センサ119は、一定時間T2内に検出される血圧Zの瞬時値が規定値γ1以上あるいはγ2(γ1>γ2)以下となった場合に、救命措置が必要な事態が発生したと判断し、その時の血圧Zを携帯型広域通信手段118へ転送する。また、携帯型広域通信手段118の情報処理制御部49は、脈拍センサ117から脈拍数Yが送られてくると、その脈拍数Yを管理サーバ104へ転送する。同様に、血圧センサ119から血圧Zが送られてくると、その血圧Zを管理サーバ104へ転送する。すなわち、携帯型広域通信手段118は、脈拍センサ117および血圧センサ119のうち少なくとも一方が救命措置が必要な事態が発生したと判断した場合、その時の脈拍数Xや血圧Zを広域ネットワーク103を介して管理サーバ104に送信する。
【0087】
上述した実施の形態3や4を代表するセンシングシステムの基本構成の概略を図9に示す。同図において、120は第1のセンサ、121は第2のセンサ群、122は情報処理制御部、123は情報記憶部、124は広域通信手段である。第2のセンサ群121は、n個の第2のセンサS2(S21 〜Sn)により構成され、第1のセンサ120および第2のセンサS2は装着者の身辺に生じる事象もしくは装着者自身に生じる事象の状態量を検出対象とする。実施の形態3の構成(図6)は、第2のセンサ群121において、第2のセンサS2を1つとした場合である。実施の形態4の構成(図8)は、第2のセンサ群121において、第2のセンサS2を2つとした場合である。
【0088】
なお、実施の形態3,4では、第1のセンサ120や第2のセンサS2に情報処理部や情報記憶部などを設けた構成としているが、第1のセンサ120や第2のセンサS2には情報処理部や情報記憶部などを設けず、その機能を情報処理制御部122や情報記憶部12に持たせてもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態3や4では、第1のセンサを手首動作の加速度を検出するモーションセンサとしたが、第1のセンサはモーションセンサに限られるものではないことは言うまでもない。例えば、第2のセンサ群の中の特定のセンサを第1のセンサとして用いてもよい。
また、上述した実施の形態1〜4では、人体への適用例として説明したが、犬や猫など動物に対しても同様にして適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係るセンシングシステムの一実施の形態(実施の形態1)の機能ブロック図である。
【図2】このセンシングシステムの本体部における情報処理部が行う情報処理動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係るセンシングシステムの他の実施の形態(実施の形態2)の機能ブロック図である。
【図4】このセンシングシステムにおける温度センサの情報処理部と歩数センサの情報処理部と血圧センサの情報処理制御部とが連携して行う情報処理動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1や2を代表するセンシングシステムの基本構成の概略図である。
【図6】本発明に係るセンシングシステムの他の実施の形態(実施の形態3)の機能ブロック図である。
【図7】このセンシングシステムにおけるモーションセンサの情報処理部と脈拍センサの情報処理部と携帯型広域通信手段の情報処理制御部とが連携して行う情報処理動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るセンシングシステムの他の実施の形態(実施の形態4)の機能ブロック図である。
【図9】実施の形態3や4を代表するセンシングシステムの基本構成の概略を示す図である。
【図10】従来のウェアラブルセンサの機能ブロック図(近距離無線インタフェース無し)である。
【図11】従来のウェアラブルセンサの機能ブロック図(近距離無線インタフェース有り)である。
【図12】従来のヘルスケアネットワークシステム(センサ情報転送システム)の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0091】
13…紫外線量検出部(紫外線センサ)、14…オゾン暴露量検出部(オゾンセンサ)、15,19…シリアルインタフェース、16…情報処理制御部、17…通知手段、18…情報記憶部、20…電力供給部、105…本体部、106…センサ部、22…外気温度検出部、23…情報処理部、24…情報記憶部、25…シリアルインタフェース、26…加速度検出部、107…温度センサ、27…情報処理部、28…情報記憶部、29…近距離無線インタフェース、30…電力供給部、108…歩数センサ、31…血圧検出部、32…情報処理制御部、33…情報記憶部、34…通知手段、35…シリアルインタフェース、36…近距離無線インタフェース、37…電力供給部、109…血圧センサ、113…情報処理制御部、114…情報記憶部、115…通知手段、S1(S11 〜S1n)…1次センサ、38…加速度検出部、39…情報処理部、40…情報記憶部、41…近距離無線インタフェース、42…電力供給部、116…モーションセンサ、43…光電脈波検出部、44…情報処理部、45…情報記憶部、45…近距離無線インタフェース、47…電力供給部、117…脈拍センサ、48…近距離無線インタフェース、49情報処理部、50…広域通信インタフェース、51…情報記憶部、52…通知手段、53…電力供給部、118…携帯型広域無線通信手段、103…広域通信ネットワーク、104…管理サーバ、120…第1のセンサ、121…第2のセンサ群、122…情報処理制御部、123…情報記憶部、124…広域通信手段、S2(S21 〜Sn)…第2のセンサ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の身辺に生じる事象もしくは生体自身に生じる事象の状態量を検出対象とする第1のセンサおよび第2のセンサと、
前記第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる検出開始手段と
を備えることを特徴とするセンシングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載されたセンシングシステムにおいて、
前記第1のセンサは、紫外線の量を検出対象とし、
前記第2のセンサは、大気中のオゾンの暴露量を検出対象とし、
前記検出開始手段は、前記第1のセンサが検出する紫外線の量が所定値を超えたことをトリガとして、前記第2のセンサによる大気中のオゾンの暴露量の検出を開始させる
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項3】
請求項1に記載されたセンシングシステムにおいて、
前記第1のセンサを複数備え、
前記検出開始手段は、前記複数の第1のセンサのうち少なくとも1つのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項4】
請求項1に記載されたセンシングシステムにおいて、
前記第1のセンサを複数備え、
前記検出開始手段は、前記複数の第1のセンサの全てのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項5】
生体の身辺に生じる事象もしくは生体自身に生じる事象の状態量を検出対象とする第1のセンサおよび第2のセンサと、
前記第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる検出開始手段と、
前記第2のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たした場合に、その事象の状態量に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信する送信手段と
を備えることを特徴とするセンシングシステム。
【請求項6】
請求項5に記載されたセンシングシステムにおいて、
前記第1のセンサは、身体動作の加速度を検出対象とし、
前記第2のセンサは、身体の脈拍を検出対象とし、
前記検出開始手段は、前記第1のセンサが検出する加速度の一定時間内の変動数が所定値以下となったことをトリガとして、前記第2のセンサによる脈拍の検出を開始させ、
前記送信手段は、前記第2のセンサが検出する脈拍数が所定値以下となった場合に、その脈拍数に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信する
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項7】
請求項5に記載されたセンシングシステムにおいて、
前記第2のセンサを複数備え、
前記検出開始手段は、前記第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、全ての前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させ、
前記送信手段は、前記複数の第2のセンサのうち少なくとも1つのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たした場合に、その事象の状態量に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信する
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項8】
生体の身辺に生じる事象もしくは生体自身に生じる事象の状態量を第1のセンサおよび第2のセンサにより検出するセンシング方法において、
前記第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる検出開始ステップ
を備えることを特徴とするセンシング方法。
【請求項9】
請求項8に記載されたセンシング方法において、
前記第1のセンサは、紫外線の量を検出対象とし、
前記第2のセンサは、大気中のオゾンの暴露量を検出対象とし、
前記検出開始ステップは、前記第1のセンサが検出する紫外線の量が所定値を超えたことをトリガとして、前記第2のセンサによる大気中のオゾンの暴露量の検出を開始させる
ことを特徴とするセンシング方法。
【請求項10】
請求項8に記載されたセンシング方法において、
前記第1のセンサは複数とされ、
前記検出開始ステップは、前記複数の第1のセンサのうち少なくとも1つのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる
ことを特徴とするセンシング方法。
【請求項11】
請求項8に記載されたセンシング方法において、
前記第1のセンサは複数とされ、
前記検出開始ステップは、前記複数の第1のセンサの全てのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる
ことを特徴とするセンシング方法。
【請求項12】
生体の身辺に生じる事象もしくは生体自身に生じる事象の状態量を第1のセンサおよび第2のセンサにより検出するセンシング方法において、
前記第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させる検出開始ステップと、
前記第2のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たした場合に、その事象の状態量に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信する送信ステップと
を備えることを特徴とするセンシング方法。
【請求項13】
請求項12に記載されたセンシング方法において、
前記第1のセンサは、身体動作の加速度を検出対象とし、
前記第2のセンサは、身体の脈拍を検出対象とし、
前記検出開始ステップは、前記第1のセンサが検出する加速度の一定時間内の変動数が所定値以下となったことをトリガとして、前記第2のセンサによる脈拍の検出を開始させ、
前記送信ステップは、前記第2のセンサが検出する脈拍数が所定値以下となった場合に、その脈拍数に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信する
ことを特徴とするセンシング方法。
【請求項14】
請求項12に記載されたセンシング方法において、
前記第2のセンサは複数とされ、
前記検出開始ステップは、前記第1のセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たしたことをトリガとして、全ての前記第2のセンサによる当該センサが検出対象とする事象の状態量の検出を開始させ、
前記送信ステップは、前記複数の第2のセンサのうち少なくとも1つのセンサが検出する事象の状態量が所定の条件を満たした場合に、その事象の状態量に関する情報をネットワークを介して遠隔地に送信する
ことを特徴とするセンシング方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−170751(P2006−170751A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362481(P2004−362481)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】