説明

ソルダレジスト保護用粘着テープ、その製造方法及びソルダレジストの表面粗さ制御方法

【課題】ソルダレジスト層の保護と、ソルダレジスト層に接着されるものとの接合信頼性向上のために、ソルダレジストの表面粗さを制御する方法、及び前記目的に使用するソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法の提供。
【解決手段】基材フィルムAと、基材フィルムAの片面に形成される粘着剤層Bと、粘着剤層Bに貼合される離型フィルムCとからなるソルダレジスト保護用粘着テープであって、粘着剤層Bの離型フィルムCと接する面は、粘着剤層Bを貼付してソルダレジスト層を保護するとき、ソルダレジスト層がこれに接着されるものと強固に接着し得るに十分な表面粗さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルダレジスト保護用粘着テープ、その製造方法及びソルダレジスト表面粗さ制御方法に関する。更に詳しくは、ソルダレジスト層の保護と、同時にソルダレジスト層とこれに接着されるものとの接合信頼性の向上とを、少ない工程で達成することができる、粘着剤層の表面粗さの制御がされているソルダレジスト保護用粘着テープ、離型フィルムをラミネートする前記ソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法及び前記ソルダレジスト保護用粘着テープを未露光ソルダレジストに貼付し未露光ソルダレジスト面を特定の表面粗さに制御するソルダレジストの表面粗さ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の製造工程において基板の表面保護、ショート防止等のために基板表面にソルダレジスト層を設けている。このソルダレジスト層には、主として液状の感光性レジストが用いられる。
このソルダレジスト層は、樹脂を介して他の部品と接着されたり、銅メッキにより配線パターンの作成がなされたりと、さまざまな物質と密着又は接着するものであるため、ソルダレジスト層の表面はこれらのものとの一定の接着性や密着性を持つことが必要である。
【0003】
従来より、ソルダレジスト層は液状レジストを基板全面に塗布して乾燥することによって形成され、これをフォトマスクでマスクし、露光、現像した後に未露光部分を溶解除去して配線パターンを形成するものである。高タック液状レジストの基板両面塗布の際は、これによって密着露光時のフォトマスクへレジストが付着することが問題となっている。フォトマスクへのレジスト付着防止のために、フォトマスク保護用粘着テープが使用されている。フォトマスク保護用粘着テープは、テープ基材背面に液状レジスト付着防止のための離型処理層が設けられている。
【0004】
フォトマスク保護用粘着テープは一般的にポリエステルフィルム等の透明フィルムの片面に粘着剤層、反対面に離型処理層(一般的にオルガノポリシロキサン(すなわちシリコーン)離型剤)が設けられている。
【0005】
液状レジストが塗布された基板はフォトマスク保護用粘着テープの貼合されたフォトマスクでマスクされ、真空中で密着露光、現像した後に未露光部分を溶解除去して配線パターンが形成される。
【0006】
図1は上記従来の基板製造プロセスの一例を示すフローシートであり、フォトマスク1にフォトマスク保護用粘着テープが貼合され、液状レジストが塗布された基板と密着露光される。
【0007】
上記の方法によると、フォトマスク保護用粘着テープの離型処理層が液状レジストと密着するため、露光後のソルダレジスト層の表面粗さは離型処理層の表面粗さによって形成されるが、その場合のソルダレジスト層の表面粗さは1.0μm以下となり、基板表面と封止樹脂との密着性が低下する。フォトマスク保護用粘着テープの基材フィルムの表面粗さを大きくする方法も考えられるが、離型処理層がコーティングされるため表面粗さの制御が困難である。
【0008】
基板表面の粗さを制御する方法として、基板表面をナシ地に処理する方法が提案されている。(特許文献1参照。)この方法によると、ソルダレジスト表面をジェットスクラブ法、液体ホーニング法、ワイヤブラシ法、クレンジング法、サンディング法、あるいは研削除去などの様に別プロセスで表面粗さを制御している。
【0009】
しかし、この方法では、別プロセス付与によってしかソルダレジスト層の表面粗さを任意に制御できないため、工程数が増加する、別プロセスによる汚染が発生するあるいはコストアップ等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−55579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術に鑑み、ソルダレジスト層の保護と、同時にソルダレジスト層とこれに接着されるものとの接合信頼性の向上とを、少ない工程で達成することができる、粘着剤層の表面粗さの制御がされているソルダレジスト保護用粘着テープ、離型フィルムをラミネートする前記ソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法及び前記ソルダレジスト保護用粘着テープを未露光ソルダレジストに貼付し未露光ソルダレジスト面を特定の表面粗さに制御するソルダレジストの表面粗さ制御方法により、従来技術の問題点が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、基材フィルム(A)と、基材フィルム(A)の片面に形成される粘着剤層(B)と、粘着剤層(B)に貼合される離型フィルム(C)とからなるソルダレジスト保護用粘着テープであって、粘着剤層(B)の離型フィルム(C)と接する面は、粘着剤層(B)を貼付してソルダレジスト層を保護するとき、ソルダレジスト層がこれに接着されるものと強固に接着し得るに十分な表面粗さを有するソルダレジスト保護用粘着テープ、基材フィルム(A)の片面に粘着剤層(B)を形成した後、さらにその上に、粘着剤層(B)と接する面における中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が1.0μm〜3.0μmである離型フィルム(C)をラミネートするソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法及び前記ソルダレジスト保護用粘着テープを用いてソルダレジストの表面粗さを制御する方法であって、該ソルダレジスト保護用粘着テープの離型フィルム(C)を剥離した後、粘着剤層(B)を未露光ソルダレジストに貼付し、未露光ソルダレジストの粘着剤層(B)と接する面を中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)で1.0μm〜3.0μmに制御するソルダレジストの表面粗さ制御方法により、ソルダレジスト層の保護と同時に該層の表面粗さを制御し、ソルダレジスト層とこれに接着されるものとの接合信頼性の向上を少ない工程で達成でき、従来技術の問題点が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、基材フィルム(A)と、基材フィルム(A)の片面に形成される粘着剤層(B)と、粘着剤層(B)に貼合される離型フィルム(C)とからなるソルダレジスト保護用粘着テープであって、
粘着剤層(B)の離型フィルム(C)と接する面は、粘着剤層(B)を貼付してソルダレジスト層を保護するとき、ソルダレジスト層がこれに接着されるものと強固に接着し得るに十分な表面粗さを有することを特徴とするソルダレジスト保護用粘着テープが提供される。
【0014】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、粘着剤層(B)の離型フィルム(C)と接する面は、中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が、1.0μm〜3.0μmであることを特徴とするソルダレジスト保護用粘着テープが提供される。
【0015】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、離型フィルム(C)の粘着剤層(B)と接する面は、中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が、1.0μm〜3.0μmであることを特徴とするソルダレジスト保護用粘着テープが提供される。
【0016】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれか1項の発明において、離型フィルム(C)の粘着剤層(B)と接する面は、エンボス加工により表面粗さが制御されていることを特徴とするソルダレジスト保護用粘着テープが提供される。
【0017】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜3のいずれか1項の発明において、離型フィルム(C)の粘着剤層(B)と接する面は、マット加工により表面粗さが制御されていることを特徴とするソルダレジスト保護用粘着テープが提供される。
【0018】
また、本発明の第6の発明によれば、基材フィルム(A)の片面に粘着剤層(B)を形成した後、さらにその上に、粘着剤層(B)と接する面における中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が1.0μm〜3.0μmである離型フィルム(C)をラミネートすることを特徴とする第1〜5のいずれか1項の発明のソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法が提供される。
【0019】
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、離型フィルム(C)の表面粗さ(Ra)は、エンボス加工またはマット加工により制御されていることを特徴とするソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法が提供される。
【0020】
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれか1項の発明のソルダレジスト保護用粘着テープを用いてソルダレジストの表面粗さを制御する方法であって、
該ソルダレジスト保護用粘着テープの離型フィルム(C)を剥離した後、粘着剤層(B)を未露光ソルダレジストに貼付し、未露光ソルダレジストの粘着剤層(B)と接する面を中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)で1.0μm〜3.0μmに制御することを特徴とするソルダレジストの表面粗さ制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明のソルダレジスト保護用粘着テープは、粘着剤層の表面粗さの制御がされていることにより、ソルダレジスト層の保護と、ソルダレジスト層とこれに接着されるものとの接合信頼性の向上とを、少ない工程で同時に達成することができる。
また、本発明のソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法は、前記粘着剤層の表面粗さの制御がされているソルダレジスト保護用粘着テープを、特定の離型フィルムをラミネートするという簡便な方法で製造することができる。
また、本発明のソルダレジストの表面粗さ制御方法は、前記ソルダレジスト保護用粘着テープの表面粗さの制御がされている粘着剤層を未露光ソルダレジストに貼付するという簡便な方法で、前記未露光ソルダレジスト面を特定の表面粗さに制御することができる。
これにより、ソルダレジスト層の保護と同時にソルダレジスト層に接着されるものとの接合信頼性の向上を少ない工程で達成でき、これを用いた基板において、剥離向上による水分の侵入の防止、耐湿性の改善、振動や加速度、高温などに対する耐環境性を向上させることができる。そのため、本発明は、特に両面にパターンがある2層基板やフレキシブルプリント基板に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、従来のプリント基板製造方法を示すフローシートである。
【図2】図2は、本発明のプリント基板製造方法を示すフローシートである。
【図3】図3は、本発明のソルダレジスト保護用粘着テープの実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 :基材フィルム
2 :粘着剤層
3 :離型フィルム
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のソルダレジスト保護用粘着テープについて、詳細に説明する。
【0025】
1.ソルダレジスト保護用粘着テープ
本発明のソルダレジスト保護用粘着テープは、基材フィルム(A)と、基材フィルム(A)の片面に形成される粘着剤層(B)と、粘着剤層(B)に貼合される離型フィルム(C)とからなるソルダレジスト保護用粘着テープであって、粘着剤層(B)の離型フィルム(C)と接する面は、粘着剤層(B)を貼付してソルダレジスト層を保護するとき、ソルダレジスト層がこれに接着されるものと強固に接着し得るに十分な表面粗さを有することを特徴とするソルダレジスト保護用粘着テープである。本発明のソルダレジスト保護用粘着テープは、粘着剤層(B)の離型フィルム(C)と接する面が、離型フィルム(C)の粘着剤層(B)への貼付により、表面粗さの制御がされていることを特徴とするものである。
本発明のソルダレジスト保護用粘着テープに用いられる基材フィルム(C)及び粘着剤層(B)は、ソルダレジストを保護すること及びソルダレジストの表面粗さを制御することに加えて、ソルダレジストに貼付した後、さらにフォトマスクが積層され、露光、現像及び未露光部分の溶解除去等が行われることから、紫外線を含む光透過性が高いこと等も必要である。
【0026】
(1)基材フィルム(A)
上記基材フィルム(A)としては、紫外線を含む光透過性の高いものであれば特に限定されず、例えば、基材フィルムとしては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、セロハン等の樹脂からなるもの等が挙げられる。
本発明に用いる基材フィルム(A)としては、透明フィルムである汎用のPET、ポリプロピレン等が好ましい。特に厚さ4〜25μm、より好ましくは6〜12μmのPETフィルムが、透明性、厚み精度の点からより好適である。
【0027】
また、上記基材フィルム(A)には、本発明に悪影響を与えない限りにおいて、粘着剤との粘着性を向上させるためのプラズマ処理や、ロール状に巻き回された基材フィルムを巻き戻す際に基材フィルム同士が合着して巻き戻すことが難しくならないような滑り性の付与処理等の処理がされていてもよい。また、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、艶調整剤、滑剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、難燃剤、減摩剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
【0028】
その他、上記基材フィルム(A)に帯電防止処理として、帯電防止剤をコートあるいは配合等することもできる。上記帯電防止処理によって、離型フィルムを剥離した際に、静電気の発生が抑制され、塵埃等の異物の付着による回路パターンの信頼性の低下を実質的になくすことができる。前記帯電防止処理手段は、所望の帯電防止性能を付与しえるものであればとくに限定されるものではないが、界面活性剤等の帯電防止剤を、基材フィルム内に配合する方法、基材フィルム表面に蒸着又はコートする方法等が挙げられる。
【0029】
(2)粘着剤層(B)
上記粘着剤層としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤等を用いることができる。透明性、非変色性、解像度等の点からアクリル系粘着剤が好ましい。
【0030】
アクリル系粘着剤としては、特に、アルキル基の炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに少量の官能性モノマーや改質モノマーを共重合させて得られる共重合体が好適に用いられる。
【0031】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル等が例示される。
【0032】
上記官能性モノマーの例としては、水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、ピロリドン環を有するモノマー等が挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等が例示される。
【0033】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、マレイン酸モノブチル等のマレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が例示される。無水マレイン酸もマレイン酸と同様の(共)重合成分を与える。
【0034】
アミド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が例示される。アミノ基を有するモノマーとしてはジメチルアミノエチルアクリレート等が例示される。ピロリドン環を有するモノマーとしてはN−ビニルピロリドン等が例示される。
【0035】
特に好ましいアクリル系粘着剤としては、アクリル酸アルキルエステルとアクリル酸の共重合体が挙げられる。
【0036】
本発明においては、特に、粘着剤への架橋剤の添加により重合体間に架橋が生じ、それにより粘着剤の内部凝集力が増大し、離型フィルムの表面粗さの粘着剤表面への転写性が向上するため、粘着剤へ架橋剤を添加することが望ましい。
このような架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系、有機金属系、キレート系、アミン系等の後添加型架橋剤や、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ジビニル系化合物等の共重合性架橋剤が例示される。
【0037】
共重合性架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレングリコールやオクタメチレングリコール等のポリメチレングリコール類と(メタ)アクリル酸とを結合させて得られるジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類と(メタ)アクリル酸とを結合させて得られるジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートやグリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;およびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらのうちでも、離型フィルムの凹凸を粘着剤表面に離型フィルムとのラミネート後に転写させるために、後添加型架橋剤が好ましく、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)が、特に好ましい。
【0038】
上記架橋剤の配合量は、粘着剤100重量部を基準として、1.0〜5.0重量部の割合で混合するのが、粘着剤表面凹凸保持の点から望ましい。より好ましくは、2.0〜4.0重量部の割合で混合するのが望ましい。1.0重量部より少ないと離型フィルム剥離後に粘着剤表面の凹凸形状が変化することがあり、5.0重量部より多いと架橋反応に関与しない余分な架橋剤が粘着剤中に残るため、好ましくない。
【0039】
すなわち、本発明における粘着剤層(B)としては、アクリル酸アルキルエステルとアクリル酸の共重合体に、架橋剤としてHMDIを2.0重量部加えた粘着剤が、好ましい組合わせである。この組合わせにより、本発明における粘着剤層として、一般に粘着剤層として必要な機能に加えて、特に、離型フィルム(C)を貼付及び剥離した際の粘着剤層表面の表面粗さ制御機能が好ましく発揮されるものとなる。本発明においては、離型フィルム(C)剥離後の粘着剤層の基材フィルムと接していない面における中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が、1.0μm〜3.0μmであることが好ましい。
【0040】
また、上記粘着剤には、必要に応じて粘着付与剤、可塑剤、安定剤といった添加剤を加えることもできる。これらは光線透過率、色相等の光学特性を損わない範囲で配合するのが好ましい。この他、上記粘着剤中に、帯電防止剤をコートあるいは配合することもできる。
【0041】
例えば、本発明においては、粘着力を向上させるために、いわゆるタッキファイアー成分を配合して用いることができる。タッキファイアー成分とは、粘着付与剤ともいい、エラストマーに配合されて粘着性の機能を向上させる物質であり、通常、分子量が数百から数千の無定形オリゴマーで、常温で液状または固形の熱可塑性樹脂である。
【0042】
タッキファイアーの種類は、特に限定されず、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂に代表される天然樹脂系や、脂肪族系、芳香族系、共重合系の石油樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂系が例示される。これらは単独で用いても、2種類以上併用して用いても良い。
【0043】
タッキファイアーは、通常、光の透過を阻害するため、ヘイズ値を大きくさせず、かつ好適な粘着性能を達成するためには、ロジン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂を併用して用いることが好ましい。
【0044】
タッキファイアー成分の配合量は、粘着剤100重量部に対して、5〜80重量部が好ましく、8〜50重量部であることがより好ましい。タッキファイアーの配合量が少なすぎると、必要な粘着力が得られず、逆に多すぎると、糊残りの問題が生じやすくなり、事実上使用することが困難になる。
【0045】
本発明において、基材フィルム(A)と粘着剤層(B)の粘着力は、糊残りの点から、200gf/25mm以上であることが好ましい。また、以下に説明する離型フィルムとの粘着力は、粘着剤との容易な剥離製、粘着剤の表面凹凸形状の維持の点から、1.0〜10.0gf/25mmであることが好ましい。
【0046】
本発明の粘着剤層(B)は、基材フィルム(A)に塗布され形成されるものであるが、乾燥後の粘着剤層の厚みは1〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは、2〜8μmの範囲である。1μm未満であると、ソルダレジストへの接着強度が不足することがあり、一方、10μmを超えると、充分な光透過性が得られなくなることがある。
【0047】
(3)離型フィルム(C)
本発明において、離型フィルム(C)は、上記粘着剤層に貼付し剥離した際に、粘着剤層(B)の表面粗さを制御するものである。
本発明に用いられる離型フィルム(C)としては、離型フィルム(C)の粘着剤層(B)と接する面における中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が、基板の接合信頼性から、1.0μm〜3.0μmであることが好ましい。より好ましくは1.0〜2.0μmである。1.0μmより小さいと、基盤の接合信頼性向上の効果が現れにくく、3.0μmより大きいと、基板表面凹凸への封止樹脂含侵が不足することがあるため好ましくない。
【0048】
前記離型フィルム(C)としては、合成樹脂フィルムあるいはポリエチレンラミネートされた紙に離型処理を施したもの等が使用可能であり、中でも汎用のPETフィルムにシリコーン離型剤を用いて離型処理を施したものが好適に用いられる。また、汎用のポリエチレン(PE)フィルムの場合には、離型処理を施さなくても使用できる。PEフィルムの場合は、粘着剤との剥離時に粘着剤表面に微細な凹凸を形成されることが確認されている。
【0049】
離型フィルム(C)の表面粗さを任意に制御する方法としては、エンボス加工、マット加工などが好適である。その際の表面粗さは基板の接合信頼性から、中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)で1.0μm〜3.0μmであることが好ましい。
【0050】
この離型フィルム(C)は、本発明のソルダレジスト保護用粘着テープをソルダレジスト表面に貼付する前に、粘着テープから剥離される。
【0051】
2.ソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法
本発明のソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法は、基材フィルム(A)の片面に粘着剤層(B)を形成し、前記粘着剤層(B)の基材フィルム(A)と接していない面に、前記粘着剤層(B)と接する面における中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が1.0μm〜3.0μmである離型フィルム(C)をラミネートすることを特徴とする。より好ましくは1.0〜2.0μmである。前述と同様、1.0μmより小さいと、基盤の接合信頼性向上の効果が現れにくく、3.0μmより大きいと、基板表面凹凸への封止樹脂含侵が不足することがあるため好ましくない。
【0052】
前記基材フィルム(A)の片面に、粘着剤層(B)を形成する方法としては、調整した粘着剤溶液を、グラビアコーター、コンマコーター、ロールコーター等により基材フィルム上に層状に所望の厚みになるよう塗工し、乾燥後に離型フィルム(C)をラミネートすることで粘着テープが形成される。
【0053】
離型フィルム(C)のラミネート方法としては、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、通常のラミネート方法を使用することができる。
【0054】
3.ソルダレジストの表面粗さ制御方法
本発明のソルダレジストの表面粗さ制御方法は、ソルダレジスト保護用粘着テープの粘着剤層を未露光ソルダレジストに貼付し、未露光ソルダレジストの前記粘着剤層と接する面を中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)で1.0μm〜3.0μmに制御することを特徴とする。
【0055】
具体的には、プリント基板等のソルダレジスト層を保護する際に、粘着剤が任意な表面粗さを有した基板保護用粘着テープを液状レジストに貼合して露光、現像した後に未露光部分を溶解除去して配線パターンを形成することにより、別プロセスを付与することなくソルダレジスト層の表面粗さを任意に制御することができ、プリント基板等の接合信頼性が向上するものである。
【0056】
図2に本発明による基板製造プロセスのフローシートを示す。未露光部分を溶解除去した後のソルダレジスト表面において、本発明のソルダレジスト保護用粘着テープの粘着剤層(B)が未露光のソルダレジスト表面に貼付されたことから、前記粘着剤層(B)の表面粗さが、ソルダレジスト表面に転写される。こうして、ソルダレジスト表面が任意の表面粗さに制御され、その後に、例えば、配線パターンを形成する際に、配線パターンの密着性がよく、プリント基板の接合信頼性が向上するものである。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、測定方法は以下の方法を用いた。
表面粗さRa:レーザー顕微鏡(キーエンス製、VK8500:倍率200倍、エリア1.4mm×1.0mm)を用いて測定した値である。
ソルダレジスト表面Gloss%:堀場製作所製、IG330の装置によって測定した値。数値が小さいほど表面が粗いことを示す。
封止樹脂の接合信頼性(接合強度):熱衝撃試験法(150℃−65℃×500サイクル)によって、樹脂剥離が発生しないものを○、樹脂剥離が発生したものを×として測定。
【0058】
(実施例1)
粘着剤としてアクリル酸5重量部、アクリル酸ブチル95重量部を共重合させた粘着剤に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製,商品名「コロネートL−45」)を2重量部加えた10%トルエン溶液を、12μmの基材フィルム1(帝人DF社製,E−12)に乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布・乾燥し、表面粗さRaが1.7μmにマット処理された厚さ25μmのポリエステルフィルム2(帝人DF社製,TS−25)の離型処理面を貼り合わせて基板保護用粘着テープを得た。
【0059】
(実施例2)
実施例1で得たものと同じ粘着テープの粘着剤面に厚さ30μmのPEフィルム(タマポリ製,GF−30)を貼り合せて基板保護用粘着テープを得た。
【0060】
(比較例1)
実施例1で得たものと同じ粘着テープの粘着剤面に厚さ25μmのポリエステルフィルムフィルム(東洋紡績製,E−7002)を貼り合せて基板保護用粘着テープを得た。
比較例にて使用したポリエステルフィルムの表面粗さRaは0.05μmである。
【0061】
ガラスエポキシ基板に液状レジスト(太陽インキ製,AUS308)を乾燥後に35μmとなるようにスクリーン印刷した基板を80℃×30分乾燥を行い、上記実施例1、2比較例1に示した基板保護用粘着テープをラミネートし、UV露光装置にて500mJ照射を行った。
【0062】
[評価]
上記各実施例および比較例で得られた基板保護用粘着テープの粘着剤面の表面粗さ及び、それらを用いて作製したガラスエポキシ基板につき、ソルダレジスト層の表面粗さ、Gloss、ソルダレジスト層と封止樹脂の接合強度を測定した。
これらの結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表1から明らかなように、実施例1〜2で得られた基板保護用粘着テープを用いて作成した基板の接合強度は比較例1で得られたものに比べて良好な結果を示した。
つまり、実施例1又は2と比較例1とを対比すると、本発明の製造方法の特定事項である、「前記粘着剤層の基材フィルムと接していない面が、離型フィルムの貼付と剥離とにより表面粗さの制御がされている」との要件を満たさない方法で製造した比較例1では、本発明のソルダレジスト保護用粘着テープを用いた実施例1又は2では、粘着剤の表面粗さを制御することにより、ソルダレジスト表面粗さを制御することができ、表面粗さが制御されたソルダレジストを用いた封止樹脂の接合強度信頼性が向上していることがわかる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム(A)と、基材フィルム(A)の片面に形成される粘着剤層(B)と、粘着剤層(B)に貼合される離型フィルム(C)とからなるソルダレジスト保護用粘着テープであって、
粘着剤層(B)の離型フィルム(C)と接する面は、粘着剤層(B)を貼付してソルダレジスト層を保護するとき、ソルダレジスト層がこれに接着されるものと強固に接着し得るに十分な表面粗さを有することを特徴とするソルダレジスト保護用粘着テープ。
【請求項2】
粘着剤層(B)の離型フィルム(C)と接する面は、中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が、1.0μm〜3.0μmであることを特徴とする請求項1に記載のソルダレジスト保護用粘着テープ。
【請求項3】
離型フィルム(C)の粘着剤層(B)と接する面は、中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が、1.0μm〜3.0μmであることを特徴とする請求項1に記載のソルダレジスト保護用粘着テープ。
【請求項4】
離型フィルム(C)の粘着剤層(B)と接する面は、エンボス加工により表面粗さが制御されていることを特徴とする請求1〜3のいずれか1項に記載のソルダレジスト保護用粘着テープ。
【請求項5】
離型フィルム(C)の粘着剤層(B)と接する面は、マット加工により表面粗さが制御されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のソルダレジスト保護用粘着テープ。
【請求項6】
基材フィルム(A)の片面に粘着剤層(B)を形成した後、さらにその上に、粘着剤層(B)と接する面における中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)が1.0μm〜3.0μmである離型フィルム(C)をラミネートすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法。
【請求項7】
離型フィルム(C)の表面粗さ(Ra)は、エンボス加工またはマット加工により制御されていることを特徴とする請求項6に記載のソルダレジスト保護用粘着テープの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のソルダレジスト保護用粘着テープを用いてソルダレジストの表面粗さを制御する方法であって、
該ソルダレジスト保護用粘着テープの離型フィルム(C)を剥離した後、粘着剤層(B)を未露光ソルダレジストに貼付し、未露光ソルダレジストの粘着剤層(B)と接する面を中心線平均粗さによる表面粗さ(Ra)で1.0μm〜3.0μmに制御することを特徴とするソルダレジストの表面粗さ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−77520(P2011−77520A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205014(P2010−205014)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【分割の表示】特願2006−299508(P2006−299508)の分割
【原出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(502308826)積水テクノ商事東日本株式会社 (5)
【Fターム(参考)】