タイヤ内の気体圧力監視装置
【課題】発振子の増加を伴うことなく、かつ、コストの上昇を伴うことなく、無線通信におけるデータ送信レートの精度を確保が可能なタイヤ内の気体圧力監視装置を実現する。
【解決手段】タイヤ圧測定モジュール1はマイコン3、起動回路21、圧力センサ22、温度センサ23、分周回路4、送信回路5、電池10を備えマイコン3はクロック発生回路31、A/D変換回路32、33、制御部34を備える。送信回路5は発振回路53を備え分周回路4は発振回路53からの搬送波CWを分周してマイコン3の制御部34に出力しデータ信号線DLへのデータ送出タイミングに用いる。送信回路5の発振回路53を利用し安価な分周回路4によりマイコン3のデータ送信用クロック信号を生成することでマイコン3に高価な発振子を用いず高精度のデータ送信用クロック信号の生成を行う。
【解決手段】タイヤ圧測定モジュール1はマイコン3、起動回路21、圧力センサ22、温度センサ23、分周回路4、送信回路5、電池10を備えマイコン3はクロック発生回路31、A/D変換回路32、33、制御部34を備える。送信回路5は発振回路53を備え分周回路4は発振回路53からの搬送波CWを分周してマイコン3の制御部34に出力しデータ信号線DLへのデータ送出タイミングに用いる。送信回路5の発振回路53を利用し安価な分周回路4によりマイコン3のデータ送信用クロック信号を生成することでマイコン3に高価な発振子を用いず高精度のデータ送信用クロック信号の生成を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに使甫されるタイヤ内の気体圧力監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等に使用されるタイヤの内部の気体圧力を測定し、圧力の低下時に警告を通知するシステムに注目が集まっている。この理由として、タイヤ内の気体圧力は、乗用車であれば常温において220kPa程度に保っておく必要があるが、タイヤ内の気体圧力が低下すると乗り心地や燃費が悪化するだけでなく、場合によってはタイヤの破裂につながることもあるためである。
【0003】
また、米国においては、法規制により自動車にタイヤ内の気体圧力を監視するシステムの搭載が義務付けられている。
【0004】
ところで、タイヤは回転体であるためにタイヤ内に設置されたタイヤ圧測定モジュールへ外部からの電源供給が難しい。このため、タイヤ圧測定モジュールは電池を内蔵していることが多い。
【0005】
しかしながら、電池で供給できる電力量は限られるのにもかかわらず、自動車は長期(例えば10年)にわたって使用されるため、低消費電力化が必要不可欠となっており、例えば、特許文献1に記載されているモジュールが知られている。
【0006】
このモジュールは、自動車の走行/停止を判定するためのタイヤの回転を検出する回路が内蔵され、自動車の走行時にモジュールの回路を動作させてタイヤの圧力を検出し、UHF帯の無線通信により測定した圧力値などを車両へ送信する構成となっている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−94917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、周波数精度の良い水晶発振子により生成した駆動クロック信号により動作するマイコン内のプログラムにより、無線通信におけるデータ送信レートの精度を確保している。
【0009】
このため、発振子の増加による基板面積の大型化やコストの上昇の問題が生じていた。
【0010】
本発明の目的は、発振子の増加を伴うことなく、かつ、コストの上昇を伴うことなく、無線通信におけるデータ送信レートの精度を確保が可能なタイヤ内の気体圧力監視装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0012】
本発明のタイヤ内の気体圧力監視装置は、タイヤ内の気体圧力を電気信号に変換して出力する圧力センサと、この圧カセンサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力する変換部と、この変換部から出力される気体圧力情報を含むデータを無線により送出するための搬送波を出力する発振回路を有し、タイヤの外部に上記データを無線送信する送信部と、上記圧力センサ、変換部、送信部に電力を供給するバッテリとを備えると共に、上記発振回路から出力された搬送波を分周してクロック信号を生成し、上記変換部に出力する分周部を備え、上記変換部は、上記分周部から出力されたクロック信号を、上記データの上記送信部への送信タイミングに用いる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タイヤ内の気体圧力監視装置において、マイコンの駆動クロック信号の生成に周波数精度の良い発振子を用いることなく、単純な回路によりデータの無線送信における通信レートの装置間ばらつきを小さくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1から図7を用いて、本発明の第1の実施形態であるタイヤ内の気体圧力監視装置の構成および動作について説明する。
【0016】
最初に、図1から図4を用いて、本発明の第1の実施形態によるタイヤ内の気体圧力監視装置を用いたシステムの全体の構成について説明する。ここで、図1、図2は、それぞれ、タイヤ圧測定モジュール1、車両搭載機8の概略構成ブロック図である。また、図3は自動車の車両底面から見たシステム全体の構成を示したものである。
【0017】
まず、図3において、システム全体を説明する。図3において、車両7には、前後左右に配されたタイヤ71a〜71dと、これらタイヤ71a〜71dのそれぞれの内部に設置されたタイヤ圧測定モジュール1a〜1dと、車両搭載機8とが備えられる。
【0018】
次に、図1を参照して、タイヤ圧測定モジュール1を説明する。図1において、タイヤ圧測定モジュール1は、大きく分けて、マイコン(変換部)3と、起動回路21と、圧力センサ(気体圧力センサ)22と、温度センサ23と、分周回路4と、送信回路5と、タイヤ圧測定モジュール1全体に電力を供給する電圧VBATの電池10とを備えている。
【0019】
圧力センサ22は、タイヤ内の気体圧力を電圧信号に変換して出力する回路であり、例えば、図4に示すように、圧力Pが増加するに従って出力電圧が増加する出力特性を持っている。
【0020】
また、温度センサ23は、タイヤ内の気体温度を電圧信号に変換して出力する回路である。なお、圧カセンサ22と温度センサ23は、いずれも、マイコン3からイネーブル制御信号線ENに出力される制御信号により出力/非出力の制御が可能となっている。また、圧カセンサ22と温度センサ23は、非出力制御時には非動作となり、消費電流を小さくすることが可能となっている。
【0021】
マイコン3は、マイコン3内の各部を駆動させるクロックとして利用される内蔵または外付け回路を一部含むクロック発生回路31と、圧カセンサ22及び温度センサ23から出力される電圧信号VP及びVTをデジタル値に変換するアナログデジタル変換回路32、33と、変換されたデジタル値を必要に応じて計算処理し、データ信号線DLにデジタル値として出力する制御部34を備える。
【0022】
なお、クロック発生回路31は、例えば、コンデンサCと抵抗Rとインバータにより構成された充放電回路からなり、例えば4MHzの周波数を有する。ただし、クロック発生回路31においては、コンデンサCと抵抗Rのばらつきにより、個々のタイヤ圧測定モジュール間で周波数が±30%程度のばらつきが生じる。また、送信回路5は、マイコン3からデータ信号線DLに出力されるデータを図2に示す車両搭載機8に対し無線にて送信する回路である。
【0023】
この送信回路5は、発振子54を発振させて搬送波CWを出力する発振回路53と、マイコン3から出力されたデジタル値と搬送波CWとを掛け合わせASK(Amplitude Shift Keying)変調する乗算器51と、この乗算器51からの出力を増幅しアンテナ6に出力するパワーアンプ52とを備える。
【0024】
ここで、搬送波CWは、例えば315.0MHzとする。なお、発振子54には、例えば、弾性表面波(SAW)発振子を用いる。また、分周回路4は、発振回路5が出力した搬送波CWを分周してマイコン3の制御部34に出力する。この分周回路4は、搬送波CWを、例えば、2の15乗分周して315.0MHzから9.613kHzのクロック信号を生成する。分周して得られたクロック信号は、タイミング信号線TIに出力されてマイコン3に入カし、データ信号線DLへのデータ送出タイミングに用いる。
【0025】
通常、マイコン3は、発振子54と同様な発振子が配置され、データ伝送用のクロック信号を発生する。本発明の第1の実施形態においては、マイコン3には、高価な発振子は配置されておらず、送信回路5の発振回路からの搬送波CWを分周回路4により分周してマイコン3のデータ送信用クロック信号を生成している。
分周回路4は発振子に比較して安価である。
【0026】
つまり、本発明の第1の実施形態においては、送信回路5に配置された発振回路53を利用して、安価な分周回路4によりマイコン3のデータ送信用クロック信号を生成することにより、マイコン3に高価な発振子を配置することなく、高精度のデータ送信用クロック信号の生成を行なっている。
【0027】
マイコン3のクロック発生回路31を用いてデータ送信用のクロック信号を生成することが考えられるが、上述したように、クロック発生回路31においては、コンデンサCと抵抗Rのばらつきが存在するため、データ通信レートのばらつきが存在する。
【0028】
このため、送信回路5に配置された発振回路53と、安価な分周回路4とを利用することにより、高精度のデータ送信用クロック信号の生成が可能となる。
【0029】
なお、送信回路5と分周回路4は、いずれも、マイコン3からイネーブル制御信号線ENに出力される制御信号により動作/非動作の制御が可能となっており、非動作時は消費電流を小さくすることが可能となっている。
【0030】
起動回路21は、例えば、回転センサや加速度センサによりタイヤが回転したことを検出したときに、一定時間(例えば10秒)ごとにトリガパルスを出力する回路である。このトリガパルスにより、マイコン3をスリープ状態から起動する。また、電池10は、電圧が公称3Vで500mAh程度の容量を持っている。
【0031】
図2において、車両搭載機8は、受信回路82と、この受信回路82からのデータの入力と計算を行なう計算処理・制御部81と、アンテナ83と、測定値や警告を表示する表示部86とを備えている。
【0032】
計算処理・制御部81は、受信回路82を介して図1に示すタイヤ圧測定モジュール1から無線送信されたデータを受信し、圧力測定値や圧力低下などの注意、警告を表示部86に表示する回路である。なお、車両搭載機8の動作に必要な電力は、図示しない自動車に搭載されているバッテリから供給される。
【0033】
次に、図5から図7を参照して、タイヤ圧測定モジュール1における動作の概略を説明する。タイヤ圧測定モジュール1は、マイコン3により予め、図示しないメモリに書き込まれたプログラムに基づいて、図5に示す動作フローに従って動作する。
【0034】
図5において、タイヤ圧測定モジュール1は、通常スリープ(ステップS1)の状態となっている。スリープの状態では、マイコン3内のクロック発生回路31、制御部34、アナログデジタル変換回路32、33、ならびに、圧力センサ22と温度センサ23、さらに、送信回路5と分周回路4はいずれも非動作状態となっており、タイヤ圧測定モジュール1全体の消費電流は最も小さい状態となっている。
【0035】
このスリープ状態(ステップS1)において、起動回路21からのトリガパルスがマイコン3に入力されると、初期化処理(ステップS2)に移行する。この初期化処理(ステップS2)では、停止状態となっているクロック発生回路31を起動してクロックを発生させ、プログラム動作を開始する。
【0036】
次に、計測処理(ステップS3)に移行する。この計測処理(ステップS3)では、圧カセンサ22と温度センサ23とをマイコン3からの制御信号により動作させて、タイヤ内の圧力測定値及び温度測定値を得る。タイヤ内の圧力測定値及び温度測定値の取得後、圧カセンサ22と温度センサ23とはマイコン3からの制御信号により非動作状態となる。
【0037】
続いて、データ送信処理(ステップS4)に移行する。データ送信処理(ステップS4)では、送信回路5と分周回路4とをマイコン3からの制御信号により動作させる。これにより、発振回路53が発振を始めて搬送波CWを生成するとともに、分周回路4にてデータのビット列を順次送出するためのタイミング信号がタイミング信号線TIを介してマイコン3に入力される。
【0038】
マイコン3から送信回路5に送信されるデータは、例えば、スタートビットST(1ビット)、個々のタイヤ圧測定モジュールを区別するための識別番号ID(16ビット)、圧力測定値P(8ビット)、温度測定値T(8ビット)、ストップビットSP(1ビット)の34ビットからなる。この34ビットからなるビット列を、NRZ方式で符号化し、マイコン3からデータ信号線DLに出力する。
【0039】
マイコン3では、例えば、図6に示すフローチャートに従って、図7に示すようにタイミング信号TIの立ち上がりタイミングで、「0」または「1」の2進数の列で表されるデータのビット列を順次データ信号線DLに送出し、送信回路5によりASK変調されてアンテナ6から車両搭載機8に向けて無線送信が行なわれる。
【0040】
具体的には、図6に示したフローチャートのように、ステップF1からF6まででスタートビットSTの送信が行なわれ、ステップF7からF12までで識別番号IDの送信が行なわれる。また、ステップF13からF18までで圧力測定値Pの送信が行なわれ、ステップF19からF24までで温度測定値Tの送信が行なわれる。そして、ステップF25からF28まででストップビットSPの送信が行なわれる。
【0041】
まず、ステップF1にてデータ信号線DLを「0」の初期状態とする。次に、ステップF2でタイミング信号線TIが「0」となったのを確認し、さらにステップF3で「1」となったことを確認する。これにより、タイミング信号線TIが「0」から「1」へ立ち上がったことが確認できる。
【0042】
次に、ステップF4で、データ信号線DLに「1」を出力してスタートビット「1」を送出する。さらに、ステップF5、F6にてタイミング信号線が「1」から「0」へ、さらに「0」から「1」へとなるのを確認し、この間スタートビット「1」を保持する。
【0043】
次に、識別番号IDの送信を行なう。識別番号IDは16ビットであるので、ビット長16をカウントするカウンタiを用意し、ステップF7にてカウンタiをゼロクリアする。次に、ステップF8で識別番号IDの最初のビットをデータ信号線DLに出力し、ステップF9、F10で出力したビットを保持する。さらに、ステップF11でカウンタiをインクリメントし、カウンタiが16となるまでステップF7からステップF12までを繰り返し、データ信号線DLに識別番号IDのビット列を順次送出する。
【0044】
同様にして、圧力測定値Pと温度測定値Tのデータも送出する(ステップF13〜F24)。
【0045】
最後に、ステップF25にてデータ信号線DLにストップビットとなる「1」を出力し、ステップF26、F27で保持して、ステップF28でデータ信号線DLに「0」を出力して終了する(F29)。
【0046】
データ送信終了後、送信回路5と分周回路4とをマイコン3からの制御信号により非動作として、図5のスリープ処理(ステップS1)に移行する。
【0047】
上記構成とすることで、マイコン3内のプログラムでデータのビット列をタイヤ圧測定モジュール間の個体差ばらつきの大きいクロック発生回路31のクロックを基準として送出する場合と比較して、データ通信レートのばらつきを十分に小さくすることが可能となる。
【0048】
これは、車両搭載機8におけるタイヤ内の圧力等のデータ受信において、受信同期信号は、スタートビットSTの受信後、車両搭載機8内部のクロックから容易に生成することが可能となる。
【0049】
ここで、マイコン3内の、ばらつきの大きいクロック発生回路31のクロックを基準としてデータを送信するし、車両搭載機8で同期の取りやすいマンチェスタ符号方式などの符号化方式を採用する方法も考えられる。しかし、その場合、NRZ方式と比較して、送信レートが1/2となり通信時間が長くなるため、NRZ方式を採用できる本発明の実施形態における構成の方が通信時間が短く、消費電流量を抑えることが可能となる。
【0050】
ところで、送信回路5の消費電流は、例えば、最大10mAと大きいため、本発明の第1実施形態における構成のように、通信時間を短くして消費電流量を小さくすることで、電池の寿命を長くする、あるいは、容量の小さい小型の電池を採用することが可能となる。小型の電池の採用は、タイヤ圧測定モジュールの軽量化に有利である。
【0051】
なお、送信するビット列には、エラー訂正用の符号、さらには、タイヤ圧測定モジュールで測定される加速度などの物理情報、電池(バッテリ10)の電圧、タイヤ圧測定モジュールの自己診断結果などを示すフラグなどのデータを含んでいても良い。また、符号化形式はNRZI方式を用いても良い。さらに、4B/5B変換されていても良い。
【0052】
また、分周回路4は、分周数を適宜変更できる構成となっていても良い。例えば、分周回路の入力端子を複数とし、入力端子ごとに分周数が変わる構成とし、選択できる構成とすることもできる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、図8を用いて、本発明の第2の実施形態におけるタイヤ内の気体圧力監視装置の構成及び動作について説明する。なお、基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるので、異なる点についてのみ説明する。
【0054】
つまり、第1の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、図8に示すように、発振回路53と乗算器51との間に逓倍回路55が配置されていることである。また、送信回路5の発振子は、第1の実施形態における弾性表面波発振子に代えて、例えば発振周波数が9.84375MHzの水晶発振子を用い、逓倍回路55で周波数を32倍として315.0MHzを生成し、乗算器51に入力する構成となっている。
【0055】
一方、分周回路4は2の10乗分周とし、9.613kHzを生成する構成となっている。
【0056】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。そして、この第2の実施形態においては、9.84375MHzの水晶発振子を用い、分周回路4で2の10条分周する構成となっているので、第1の実施形態と比較して、データ送信レートをより高精度とすることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施形態におけるタイヤ内の気体圧力監視装置の構成および動作について説明する。なお、基本的な構成は、本発明の第1の実施形態における構成と同様であるので、異なる点についてのみ説明する。
【0058】
つまり、第1の実施形態と第3の実施形態との異なる点は、図9に示すように、送信回路50をASK変調方式からFSK(Frequency Shift Keying)変調方式に変更したことである。具体的には、発振回路56で発振させる搬送波周波数をデータ信号線DLの「0」または「1」の信号により、例えば、315.0MHzか315.1MHzに切り替える構成となっている。
【0059】
この場合、分周回路4で生成されるタイミング信号の周波数変化は0.03%と無視できる程度に小さいので、車両搭載機8における受信において、同期ずれを起こす可能性はほとんどない。
【0060】
この第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0061】
(第4の実施形態)
次に、図10から図12を参照して、本発明の第4の実施形態におけるタイヤ内の気体圧力監視装置の構成及び動作について説明する。なお、基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるので、異なる点についてのみ説明する。
【0062】
つまり、第1の実施形態と第4の実施形態との異なる点は、図10に示すように、タイヤ圧測定モジュール13には、タイヤ外部の車両搭載機80(図11に示す)から送信された無線信号を受信する受信回路24とアンテナ25とが追加された点である。
【0063】
また、図11に示すように、車両搭載機80には、図2に示した車両搭載機8に送信回路84とアンテナ85とが追加されている。車両搭載機80からタイヤ圧測定モジュール13への無線送信における搬送波周波数はLF帯、例えば125kHzが用いられ、搬送波に対しNRZ方式やNRZI方式などで変換した送信データをASK変調して、例えば、通信レート1kbpsで通信を行なう方式とした。
【0064】
また、動作フローも図12に示すように、ステップS5とS6とが、図5に示したフローに追加されている。図12において、タイヤ圧測定モジュール13はデータ送信(ステップS4)後に、データ受信待ち(ステップS5)の状態となる。
【0065】
車両搭載機80では、タイヤ圧測定モジュール13からデータの受信後、必要に応じて、例えば、タイヤ圧測定モジュール13の動作条件の変更を行なうための信号を送信する。タイヤ圧測定モジュール13は、車両搭載機80からデータが送信されれば、データ受信・チェック(ステップS6)に移行し、受信データに応じてタイヤ圧測定モジュール13の動作条件の変更などを行なう。このデータ受信についても、タイミング信号TIを用いて同期をとる。
【0066】
動作条件の変更等が完了すると、スリープ(ステップS1)に移行する。また、データ受信待ち(ステップS5)の状態で、一定時間(例えば10ms)、車両搭載機80からデータが送信されずデータを受信できなかった場合は、そのままスリープ(ステップS1)に移行する。
【0067】
以上のように、本発明の第4の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0068】
さらに、この第4の実施形態によれば、車載搭載機80に送信回路84を設け、タイヤ圧測定モジュール13に、車載搭載機80からの動作条件等の変更データを受信する受信回路24を設ける構成としたので、例えば、タイヤ内の圧力等の送信を周期的に行なう場合、その周期を変更することが可能となり、種々の状況に応じた適切なタイヤ圧等の監視を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置のタイヤ圧測定モジュール概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置の車両搭載機の概略ブロック図である。
【図3】自動車の車両底面からみたタイヤ内の気体圧力監視システムの全体構成を示した図である。
【図4】圧カセンサにおける圧力Pと出力電圧VPとの特性の一例を示したグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるタイヤ圧測定モジュールの概略動作フローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるタイヤ圧測定モジュールのデータ送信時の動作フローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるタイヤ圧測定モジュールの信号の波形の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置のタイヤ圧測定モジュールの概略構成図である。
【図9】本発明の第3の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置のタイヤ圧測定モジュールの概略構成図である。
【図10】本発明の第4の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置のタイヤ圧測定モジュールの概略構成図である。
【図11】本発明の第4の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置の車両搭載機の概略ブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施形態におけるタイヤ圧測定モジュールの概略動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1、11、12、13・・・タイヤ圧測定モジュール、3・マイコン、4・・・分周回路、5・・・送信回路、6、25、83、85・・・アンテナ、7・・・車両、8、80・・・車両搭載機、10・・・バッテリ、21・・・起動回路、22・・・圧力センサ、23・・・温度センサ、24、82・・・受信回路、31・・・クロック発生回路、32、33・・・A/D変換回路、34・・・制御部、51・・・乗算器、52・・・パワーアンプ、53、56・・・発振回路、54・・・発振子、55・・・逓倍回路、71a〜71d・・・タイヤ、81・・・計算処理・制御部、84・・・送信回路、86・・・表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに使甫されるタイヤ内の気体圧力監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等に使用されるタイヤの内部の気体圧力を測定し、圧力の低下時に警告を通知するシステムに注目が集まっている。この理由として、タイヤ内の気体圧力は、乗用車であれば常温において220kPa程度に保っておく必要があるが、タイヤ内の気体圧力が低下すると乗り心地や燃費が悪化するだけでなく、場合によってはタイヤの破裂につながることもあるためである。
【0003】
また、米国においては、法規制により自動車にタイヤ内の気体圧力を監視するシステムの搭載が義務付けられている。
【0004】
ところで、タイヤは回転体であるためにタイヤ内に設置されたタイヤ圧測定モジュールへ外部からの電源供給が難しい。このため、タイヤ圧測定モジュールは電池を内蔵していることが多い。
【0005】
しかしながら、電池で供給できる電力量は限られるのにもかかわらず、自動車は長期(例えば10年)にわたって使用されるため、低消費電力化が必要不可欠となっており、例えば、特許文献1に記載されているモジュールが知られている。
【0006】
このモジュールは、自動車の走行/停止を判定するためのタイヤの回転を検出する回路が内蔵され、自動車の走行時にモジュールの回路を動作させてタイヤの圧力を検出し、UHF帯の無線通信により測定した圧力値などを車両へ送信する構成となっている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−94917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、周波数精度の良い水晶発振子により生成した駆動クロック信号により動作するマイコン内のプログラムにより、無線通信におけるデータ送信レートの精度を確保している。
【0009】
このため、発振子の増加による基板面積の大型化やコストの上昇の問題が生じていた。
【0010】
本発明の目的は、発振子の増加を伴うことなく、かつ、コストの上昇を伴うことなく、無線通信におけるデータ送信レートの精度を確保が可能なタイヤ内の気体圧力監視装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0012】
本発明のタイヤ内の気体圧力監視装置は、タイヤ内の気体圧力を電気信号に変換して出力する圧力センサと、この圧カセンサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力する変換部と、この変換部から出力される気体圧力情報を含むデータを無線により送出するための搬送波を出力する発振回路を有し、タイヤの外部に上記データを無線送信する送信部と、上記圧力センサ、変換部、送信部に電力を供給するバッテリとを備えると共に、上記発振回路から出力された搬送波を分周してクロック信号を生成し、上記変換部に出力する分周部を備え、上記変換部は、上記分周部から出力されたクロック信号を、上記データの上記送信部への送信タイミングに用いる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タイヤ内の気体圧力監視装置において、マイコンの駆動クロック信号の生成に周波数精度の良い発振子を用いることなく、単純な回路によりデータの無線送信における通信レートの装置間ばらつきを小さくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1から図7を用いて、本発明の第1の実施形態であるタイヤ内の気体圧力監視装置の構成および動作について説明する。
【0016】
最初に、図1から図4を用いて、本発明の第1の実施形態によるタイヤ内の気体圧力監視装置を用いたシステムの全体の構成について説明する。ここで、図1、図2は、それぞれ、タイヤ圧測定モジュール1、車両搭載機8の概略構成ブロック図である。また、図3は自動車の車両底面から見たシステム全体の構成を示したものである。
【0017】
まず、図3において、システム全体を説明する。図3において、車両7には、前後左右に配されたタイヤ71a〜71dと、これらタイヤ71a〜71dのそれぞれの内部に設置されたタイヤ圧測定モジュール1a〜1dと、車両搭載機8とが備えられる。
【0018】
次に、図1を参照して、タイヤ圧測定モジュール1を説明する。図1において、タイヤ圧測定モジュール1は、大きく分けて、マイコン(変換部)3と、起動回路21と、圧力センサ(気体圧力センサ)22と、温度センサ23と、分周回路4と、送信回路5と、タイヤ圧測定モジュール1全体に電力を供給する電圧VBATの電池10とを備えている。
【0019】
圧力センサ22は、タイヤ内の気体圧力を電圧信号に変換して出力する回路であり、例えば、図4に示すように、圧力Pが増加するに従って出力電圧が増加する出力特性を持っている。
【0020】
また、温度センサ23は、タイヤ内の気体温度を電圧信号に変換して出力する回路である。なお、圧カセンサ22と温度センサ23は、いずれも、マイコン3からイネーブル制御信号線ENに出力される制御信号により出力/非出力の制御が可能となっている。また、圧カセンサ22と温度センサ23は、非出力制御時には非動作となり、消費電流を小さくすることが可能となっている。
【0021】
マイコン3は、マイコン3内の各部を駆動させるクロックとして利用される内蔵または外付け回路を一部含むクロック発生回路31と、圧カセンサ22及び温度センサ23から出力される電圧信号VP及びVTをデジタル値に変換するアナログデジタル変換回路32、33と、変換されたデジタル値を必要に応じて計算処理し、データ信号線DLにデジタル値として出力する制御部34を備える。
【0022】
なお、クロック発生回路31は、例えば、コンデンサCと抵抗Rとインバータにより構成された充放電回路からなり、例えば4MHzの周波数を有する。ただし、クロック発生回路31においては、コンデンサCと抵抗Rのばらつきにより、個々のタイヤ圧測定モジュール間で周波数が±30%程度のばらつきが生じる。また、送信回路5は、マイコン3からデータ信号線DLに出力されるデータを図2に示す車両搭載機8に対し無線にて送信する回路である。
【0023】
この送信回路5は、発振子54を発振させて搬送波CWを出力する発振回路53と、マイコン3から出力されたデジタル値と搬送波CWとを掛け合わせASK(Amplitude Shift Keying)変調する乗算器51と、この乗算器51からの出力を増幅しアンテナ6に出力するパワーアンプ52とを備える。
【0024】
ここで、搬送波CWは、例えば315.0MHzとする。なお、発振子54には、例えば、弾性表面波(SAW)発振子を用いる。また、分周回路4は、発振回路5が出力した搬送波CWを分周してマイコン3の制御部34に出力する。この分周回路4は、搬送波CWを、例えば、2の15乗分周して315.0MHzから9.613kHzのクロック信号を生成する。分周して得られたクロック信号は、タイミング信号線TIに出力されてマイコン3に入カし、データ信号線DLへのデータ送出タイミングに用いる。
【0025】
通常、マイコン3は、発振子54と同様な発振子が配置され、データ伝送用のクロック信号を発生する。本発明の第1の実施形態においては、マイコン3には、高価な発振子は配置されておらず、送信回路5の発振回路からの搬送波CWを分周回路4により分周してマイコン3のデータ送信用クロック信号を生成している。
分周回路4は発振子に比較して安価である。
【0026】
つまり、本発明の第1の実施形態においては、送信回路5に配置された発振回路53を利用して、安価な分周回路4によりマイコン3のデータ送信用クロック信号を生成することにより、マイコン3に高価な発振子を配置することなく、高精度のデータ送信用クロック信号の生成を行なっている。
【0027】
マイコン3のクロック発生回路31を用いてデータ送信用のクロック信号を生成することが考えられるが、上述したように、クロック発生回路31においては、コンデンサCと抵抗Rのばらつきが存在するため、データ通信レートのばらつきが存在する。
【0028】
このため、送信回路5に配置された発振回路53と、安価な分周回路4とを利用することにより、高精度のデータ送信用クロック信号の生成が可能となる。
【0029】
なお、送信回路5と分周回路4は、いずれも、マイコン3からイネーブル制御信号線ENに出力される制御信号により動作/非動作の制御が可能となっており、非動作時は消費電流を小さくすることが可能となっている。
【0030】
起動回路21は、例えば、回転センサや加速度センサによりタイヤが回転したことを検出したときに、一定時間(例えば10秒)ごとにトリガパルスを出力する回路である。このトリガパルスにより、マイコン3をスリープ状態から起動する。また、電池10は、電圧が公称3Vで500mAh程度の容量を持っている。
【0031】
図2において、車両搭載機8は、受信回路82と、この受信回路82からのデータの入力と計算を行なう計算処理・制御部81と、アンテナ83と、測定値や警告を表示する表示部86とを備えている。
【0032】
計算処理・制御部81は、受信回路82を介して図1に示すタイヤ圧測定モジュール1から無線送信されたデータを受信し、圧力測定値や圧力低下などの注意、警告を表示部86に表示する回路である。なお、車両搭載機8の動作に必要な電力は、図示しない自動車に搭載されているバッテリから供給される。
【0033】
次に、図5から図7を参照して、タイヤ圧測定モジュール1における動作の概略を説明する。タイヤ圧測定モジュール1は、マイコン3により予め、図示しないメモリに書き込まれたプログラムに基づいて、図5に示す動作フローに従って動作する。
【0034】
図5において、タイヤ圧測定モジュール1は、通常スリープ(ステップS1)の状態となっている。スリープの状態では、マイコン3内のクロック発生回路31、制御部34、アナログデジタル変換回路32、33、ならびに、圧力センサ22と温度センサ23、さらに、送信回路5と分周回路4はいずれも非動作状態となっており、タイヤ圧測定モジュール1全体の消費電流は最も小さい状態となっている。
【0035】
このスリープ状態(ステップS1)において、起動回路21からのトリガパルスがマイコン3に入力されると、初期化処理(ステップS2)に移行する。この初期化処理(ステップS2)では、停止状態となっているクロック発生回路31を起動してクロックを発生させ、プログラム動作を開始する。
【0036】
次に、計測処理(ステップS3)に移行する。この計測処理(ステップS3)では、圧カセンサ22と温度センサ23とをマイコン3からの制御信号により動作させて、タイヤ内の圧力測定値及び温度測定値を得る。タイヤ内の圧力測定値及び温度測定値の取得後、圧カセンサ22と温度センサ23とはマイコン3からの制御信号により非動作状態となる。
【0037】
続いて、データ送信処理(ステップS4)に移行する。データ送信処理(ステップS4)では、送信回路5と分周回路4とをマイコン3からの制御信号により動作させる。これにより、発振回路53が発振を始めて搬送波CWを生成するとともに、分周回路4にてデータのビット列を順次送出するためのタイミング信号がタイミング信号線TIを介してマイコン3に入力される。
【0038】
マイコン3から送信回路5に送信されるデータは、例えば、スタートビットST(1ビット)、個々のタイヤ圧測定モジュールを区別するための識別番号ID(16ビット)、圧力測定値P(8ビット)、温度測定値T(8ビット)、ストップビットSP(1ビット)の34ビットからなる。この34ビットからなるビット列を、NRZ方式で符号化し、マイコン3からデータ信号線DLに出力する。
【0039】
マイコン3では、例えば、図6に示すフローチャートに従って、図7に示すようにタイミング信号TIの立ち上がりタイミングで、「0」または「1」の2進数の列で表されるデータのビット列を順次データ信号線DLに送出し、送信回路5によりASK変調されてアンテナ6から車両搭載機8に向けて無線送信が行なわれる。
【0040】
具体的には、図6に示したフローチャートのように、ステップF1からF6まででスタートビットSTの送信が行なわれ、ステップF7からF12までで識別番号IDの送信が行なわれる。また、ステップF13からF18までで圧力測定値Pの送信が行なわれ、ステップF19からF24までで温度測定値Tの送信が行なわれる。そして、ステップF25からF28まででストップビットSPの送信が行なわれる。
【0041】
まず、ステップF1にてデータ信号線DLを「0」の初期状態とする。次に、ステップF2でタイミング信号線TIが「0」となったのを確認し、さらにステップF3で「1」となったことを確認する。これにより、タイミング信号線TIが「0」から「1」へ立ち上がったことが確認できる。
【0042】
次に、ステップF4で、データ信号線DLに「1」を出力してスタートビット「1」を送出する。さらに、ステップF5、F6にてタイミング信号線が「1」から「0」へ、さらに「0」から「1」へとなるのを確認し、この間スタートビット「1」を保持する。
【0043】
次に、識別番号IDの送信を行なう。識別番号IDは16ビットであるので、ビット長16をカウントするカウンタiを用意し、ステップF7にてカウンタiをゼロクリアする。次に、ステップF8で識別番号IDの最初のビットをデータ信号線DLに出力し、ステップF9、F10で出力したビットを保持する。さらに、ステップF11でカウンタiをインクリメントし、カウンタiが16となるまでステップF7からステップF12までを繰り返し、データ信号線DLに識別番号IDのビット列を順次送出する。
【0044】
同様にして、圧力測定値Pと温度測定値Tのデータも送出する(ステップF13〜F24)。
【0045】
最後に、ステップF25にてデータ信号線DLにストップビットとなる「1」を出力し、ステップF26、F27で保持して、ステップF28でデータ信号線DLに「0」を出力して終了する(F29)。
【0046】
データ送信終了後、送信回路5と分周回路4とをマイコン3からの制御信号により非動作として、図5のスリープ処理(ステップS1)に移行する。
【0047】
上記構成とすることで、マイコン3内のプログラムでデータのビット列をタイヤ圧測定モジュール間の個体差ばらつきの大きいクロック発生回路31のクロックを基準として送出する場合と比較して、データ通信レートのばらつきを十分に小さくすることが可能となる。
【0048】
これは、車両搭載機8におけるタイヤ内の圧力等のデータ受信において、受信同期信号は、スタートビットSTの受信後、車両搭載機8内部のクロックから容易に生成することが可能となる。
【0049】
ここで、マイコン3内の、ばらつきの大きいクロック発生回路31のクロックを基準としてデータを送信するし、車両搭載機8で同期の取りやすいマンチェスタ符号方式などの符号化方式を採用する方法も考えられる。しかし、その場合、NRZ方式と比較して、送信レートが1/2となり通信時間が長くなるため、NRZ方式を採用できる本発明の実施形態における構成の方が通信時間が短く、消費電流量を抑えることが可能となる。
【0050】
ところで、送信回路5の消費電流は、例えば、最大10mAと大きいため、本発明の第1実施形態における構成のように、通信時間を短くして消費電流量を小さくすることで、電池の寿命を長くする、あるいは、容量の小さい小型の電池を採用することが可能となる。小型の電池の採用は、タイヤ圧測定モジュールの軽量化に有利である。
【0051】
なお、送信するビット列には、エラー訂正用の符号、さらには、タイヤ圧測定モジュールで測定される加速度などの物理情報、電池(バッテリ10)の電圧、タイヤ圧測定モジュールの自己診断結果などを示すフラグなどのデータを含んでいても良い。また、符号化形式はNRZI方式を用いても良い。さらに、4B/5B変換されていても良い。
【0052】
また、分周回路4は、分周数を適宜変更できる構成となっていても良い。例えば、分周回路の入力端子を複数とし、入力端子ごとに分周数が変わる構成とし、選択できる構成とすることもできる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、図8を用いて、本発明の第2の実施形態におけるタイヤ内の気体圧力監視装置の構成及び動作について説明する。なお、基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるので、異なる点についてのみ説明する。
【0054】
つまり、第1の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、図8に示すように、発振回路53と乗算器51との間に逓倍回路55が配置されていることである。また、送信回路5の発振子は、第1の実施形態における弾性表面波発振子に代えて、例えば発振周波数が9.84375MHzの水晶発振子を用い、逓倍回路55で周波数を32倍として315.0MHzを生成し、乗算器51に入力する構成となっている。
【0055】
一方、分周回路4は2の10乗分周とし、9.613kHzを生成する構成となっている。
【0056】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。そして、この第2の実施形態においては、9.84375MHzの水晶発振子を用い、分周回路4で2の10条分周する構成となっているので、第1の実施形態と比較して、データ送信レートをより高精度とすることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施形態におけるタイヤ内の気体圧力監視装置の構成および動作について説明する。なお、基本的な構成は、本発明の第1の実施形態における構成と同様であるので、異なる点についてのみ説明する。
【0058】
つまり、第1の実施形態と第3の実施形態との異なる点は、図9に示すように、送信回路50をASK変調方式からFSK(Frequency Shift Keying)変調方式に変更したことである。具体的には、発振回路56で発振させる搬送波周波数をデータ信号線DLの「0」または「1」の信号により、例えば、315.0MHzか315.1MHzに切り替える構成となっている。
【0059】
この場合、分周回路4で生成されるタイミング信号の周波数変化は0.03%と無視できる程度に小さいので、車両搭載機8における受信において、同期ずれを起こす可能性はほとんどない。
【0060】
この第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0061】
(第4の実施形態)
次に、図10から図12を参照して、本発明の第4の実施形態におけるタイヤ内の気体圧力監視装置の構成及び動作について説明する。なお、基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるので、異なる点についてのみ説明する。
【0062】
つまり、第1の実施形態と第4の実施形態との異なる点は、図10に示すように、タイヤ圧測定モジュール13には、タイヤ外部の車両搭載機80(図11に示す)から送信された無線信号を受信する受信回路24とアンテナ25とが追加された点である。
【0063】
また、図11に示すように、車両搭載機80には、図2に示した車両搭載機8に送信回路84とアンテナ85とが追加されている。車両搭載機80からタイヤ圧測定モジュール13への無線送信における搬送波周波数はLF帯、例えば125kHzが用いられ、搬送波に対しNRZ方式やNRZI方式などで変換した送信データをASK変調して、例えば、通信レート1kbpsで通信を行なう方式とした。
【0064】
また、動作フローも図12に示すように、ステップS5とS6とが、図5に示したフローに追加されている。図12において、タイヤ圧測定モジュール13はデータ送信(ステップS4)後に、データ受信待ち(ステップS5)の状態となる。
【0065】
車両搭載機80では、タイヤ圧測定モジュール13からデータの受信後、必要に応じて、例えば、タイヤ圧測定モジュール13の動作条件の変更を行なうための信号を送信する。タイヤ圧測定モジュール13は、車両搭載機80からデータが送信されれば、データ受信・チェック(ステップS6)に移行し、受信データに応じてタイヤ圧測定モジュール13の動作条件の変更などを行なう。このデータ受信についても、タイミング信号TIを用いて同期をとる。
【0066】
動作条件の変更等が完了すると、スリープ(ステップS1)に移行する。また、データ受信待ち(ステップS5)の状態で、一定時間(例えば10ms)、車両搭載機80からデータが送信されずデータを受信できなかった場合は、そのままスリープ(ステップS1)に移行する。
【0067】
以上のように、本発明の第4の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0068】
さらに、この第4の実施形態によれば、車載搭載機80に送信回路84を設け、タイヤ圧測定モジュール13に、車載搭載機80からの動作条件等の変更データを受信する受信回路24を設ける構成としたので、例えば、タイヤ内の圧力等の送信を周期的に行なう場合、その周期を変更することが可能となり、種々の状況に応じた適切なタイヤ圧等の監視を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置のタイヤ圧測定モジュール概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置の車両搭載機の概略ブロック図である。
【図3】自動車の車両底面からみたタイヤ内の気体圧力監視システムの全体構成を示した図である。
【図4】圧カセンサにおける圧力Pと出力電圧VPとの特性の一例を示したグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるタイヤ圧測定モジュールの概略動作フローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるタイヤ圧測定モジュールのデータ送信時の動作フローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるタイヤ圧測定モジュールの信号の波形の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置のタイヤ圧測定モジュールの概略構成図である。
【図9】本発明の第3の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置のタイヤ圧測定モジュールの概略構成図である。
【図10】本発明の第4の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置のタイヤ圧測定モジュールの概略構成図である。
【図11】本発明の第4の実施形態によるタイヤ内気体圧力監視装置の車両搭載機の概略ブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施形態におけるタイヤ圧測定モジュールの概略動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1、11、12、13・・・タイヤ圧測定モジュール、3・マイコン、4・・・分周回路、5・・・送信回路、6、25、83、85・・・アンテナ、7・・・車両、8、80・・・車両搭載機、10・・・バッテリ、21・・・起動回路、22・・・圧力センサ、23・・・温度センサ、24、82・・・受信回路、31・・・クロック発生回路、32、33・・・A/D変換回路、34・・・制御部、51・・・乗算器、52・・・パワーアンプ、53、56・・・発振回路、54・・・発振子、55・・・逓倍回路、71a〜71d・・・タイヤ、81・・・計算処理・制御部、84・・・送信回路、86・・・表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ内の気体圧力を電気信号に変換して出力する圧力センサと、この圧カセンサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力する変換部と、この変換部から出力される気体圧力情報を含むデータを無線により送出するための搬送波を出力する発振回路を有し、タイヤの外部に上記データを無線送信する送信部と、上記圧力センサ、変換部、送信部に電力を供給するバッテリとを備えたタイヤ内の気体圧力監視装置において、
上記発振回路から出力された搬送波を分周してクロック信号を生成し、上記変換部に出力する分周部を備え、
上記変換部は、上記分周部から出力されたクロック信号を、上記データの上記送信部への送信タイミングに用いることを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記変換部は、上記圧力センサの動作・非動作を制御することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項3】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記変換部は、上記送信部及び分周部の動作・非動作を制御することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項4】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記分周部は複数の分周数と、複数の入力端子とを有し、入力端子の選択により分周数が変化することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項5】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、タイヤ内の温度を電気信号に変換して出力する温度センサを備え、上記変換部は、上記温度センサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項6】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記変換部は、上記気体圧力情報を含むデータをNRZ方式で符号化して、上記送信部に出力することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項7】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記変換部は、上記バッテリの電圧情報を送信部に出力することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項8】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、送信部は、ASK変調方式によりタイヤの外部に上記データを無線送信することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項9】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、送信部は、FSK変調方式によりタイヤの外部に上記データを無線送信することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項10】
タイヤ内の気体圧力を電気信号に変換して出力する圧力センサと、この圧カセンサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力する変換部と、この変換部から出力される気体圧力情報を含むデータを無線により送出するための信号を出力する発振回路を有し、タイヤの外部に上記データを無線送信する送信部と、上記圧力センサ、変換部、送信部に電力を供給するバッテリとを備えたタイヤ内の気体圧力監視装置において、
上記発振回路から出力された信号を分周してクロック信号を生成し、上記変換部に出力する分周部と、
上記発振回路から出力された信号を逓倍して上記データを無線により送出するための搬送波とする逓倍回路と、
を備え、上記変換部は、上記分周部から出力されたクロック信号を、上記データの上記送信部への送信タイミングに用いることを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項11】
タイヤ内の気体圧力を電気信号に変換して出力する圧力センサと、この圧カセンサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力する変換部と、この変換部から出力される気体圧力情報を含むデータを無線により送出するための搬送波を出力する発振回路を有し、タイヤの外部に上記データを無線送信する送信部と、上記圧力センサ、変換部、送信部に電力を供給するバッテリとを備えたタイヤ内の気体圧力監視装置において、
上記発振回路から出力された搬送波を分周してクロック信号を生成し、上記変換部に出力する分周部と、
タイヤ外からの動作条件を示す無線信号を受信し、上記変換部に出力する受信回路と、
を備え、上記変換部は、上記分周部から出力されたクロック信号を、上記データの上記送信部への送信タイミング及び上記受信回路の受信動作タイミングに用いることを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項1】
タイヤ内の気体圧力を電気信号に変換して出力する圧力センサと、この圧カセンサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力する変換部と、この変換部から出力される気体圧力情報を含むデータを無線により送出するための搬送波を出力する発振回路を有し、タイヤの外部に上記データを無線送信する送信部と、上記圧力センサ、変換部、送信部に電力を供給するバッテリとを備えたタイヤ内の気体圧力監視装置において、
上記発振回路から出力された搬送波を分周してクロック信号を生成し、上記変換部に出力する分周部を備え、
上記変換部は、上記分周部から出力されたクロック信号を、上記データの上記送信部への送信タイミングに用いることを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記変換部は、上記圧力センサの動作・非動作を制御することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項3】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記変換部は、上記送信部及び分周部の動作・非動作を制御することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項4】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記分周部は複数の分周数と、複数の入力端子とを有し、入力端子の選択により分周数が変化することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項5】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、タイヤ内の温度を電気信号に変換して出力する温度センサを備え、上記変換部は、上記温度センサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項6】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記変換部は、上記気体圧力情報を含むデータをNRZ方式で符号化して、上記送信部に出力することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項7】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、上記変換部は、上記バッテリの電圧情報を送信部に出力することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項8】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、送信部は、ASK変調方式によりタイヤの外部に上記データを無線送信することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項9】
請求項1記載のタイヤ内の気体圧力監視装置において、送信部は、FSK変調方式によりタイヤの外部に上記データを無線送信することを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項10】
タイヤ内の気体圧力を電気信号に変換して出力する圧力センサと、この圧カセンサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力する変換部と、この変換部から出力される気体圧力情報を含むデータを無線により送出するための信号を出力する発振回路を有し、タイヤの外部に上記データを無線送信する送信部と、上記圧力センサ、変換部、送信部に電力を供給するバッテリとを備えたタイヤ内の気体圧力監視装置において、
上記発振回路から出力された信号を分周してクロック信号を生成し、上記変換部に出力する分周部と、
上記発振回路から出力された信号を逓倍して上記データを無線により送出するための搬送波とする逓倍回路と、
を備え、上記変換部は、上記分周部から出力されたクロック信号を、上記データの上記送信部への送信タイミングに用いることを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【請求項11】
タイヤ内の気体圧力を電気信号に変換して出力する圧力センサと、この圧カセンサより出力された電気信号をデジタル値に変換して出力する変換部と、この変換部から出力される気体圧力情報を含むデータを無線により送出するための搬送波を出力する発振回路を有し、タイヤの外部に上記データを無線送信する送信部と、上記圧力センサ、変換部、送信部に電力を供給するバッテリとを備えたタイヤ内の気体圧力監視装置において、
上記発振回路から出力された搬送波を分周してクロック信号を生成し、上記変換部に出力する分周部と、
タイヤ外からの動作条件を示す無線信号を受信し、上記変換部に出力する受信回路と、
を備え、上記変換部は、上記分周部から出力されたクロック信号を、上記データの上記送信部への送信タイミング及び上記受信回路の受信動作タイミングに用いることを特徴とするタイヤ内の気体圧力監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−73244(P2009−73244A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242087(P2007−242087)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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