説明

タイヤ空気圧監視装置

【課題】送信機の消費電力を低減し電池の寿命を延ばせるようにする。
【解決手段】車両のタイヤに送信機を取り付け、この送信機から無線で送られてくる空気圧信号を受信機で受信して運転者に知らせるようにした、電池駆動のタイヤ空気圧監視装置において、送信機は図示されないモーションセンサにより走行中か停車中かを判断し、停車中と判断したら送信周期tは変えずに無線送信フレームを走行中(a)よりも(b)のように短くすることにより、送信機の消費電力を低減し電池の寿命を延ばす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のタイヤ空気圧等の情報を運転者に知らせることができるタイヤ空気圧監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5にタイヤ空気圧監視装置の従来例を示す。
この種のタイヤ空気圧監視装置は図示のように、車両1の各タイヤ2に取り付けられる送信機3(その1つのみが図示されている)、車両1の所定位置に取り付けられ、送信機3からの無線信号を受信するための受信アンテナ4、この受信アンテナ4を介して受け取った信号を処理する受信機6、受信機6の処理結果にしたがい表示を行なう表示器7等から構成される。
【0003】
送信機3は例えば図6に示すように、空気圧センサ31、電源(電池)32、制御部33、無線送信回路34、送信アンテナ35およびモーションセンサ36などから構成され、測定したタイヤ空気圧の信号を高周波に変調して無線送信する。
受信機6は、受信アンテナ4で受けた無線信号(高周波)を復調して、タイヤ空気圧の信号を取り出し、表示器7への表示指示などを行なう。表示器7は、受信機6からの指示に従って、空気圧の正常/異常などの表示を行なう。
【0004】
送信機3はタイヤの回転を検出するモーションセンサ36の出力より車両が走行中か停車中かを判断し、走行中には一定の周期で無線送信を行ない、停車中には無線送信を休止したり、特許文献1に示すようにセンサの作動インターバルを長くし送信機の電力消費を減らして、電源である電池の寿命を延ばすようにしている。なお、ここでいうモーションセンサとは、タイヤの回転を検出できるセンサ一般を指しており、具体的には遠心力センサや振動センサ等がある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−203218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなタイヤ空気圧監視装置では、送信機3が停車中と判断したとき無線信号がなくなったりセンサの作動インターバルが長くなったりするので、受信機6において通信状態による送信機3の監視ができなくなるか、時間が掛かりすぎるという問題がある。
したがって、この発明の課題は、停車中であっても受信機において通信状態による送信機の監視が可能で、かつ停車中における送信機の低消費電力化が可能なタイヤ空気圧監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、請求項1の発明では、タイヤの回転状態から停車中と判断したときは、無線送信する周期は同じであるが、送信する情報を減らして無線送信フレームの長さを短くすることを特徴とする。
上記請求項1の発明においては、タイヤの回転状態から停車中と判断しているときであっても、タイヤの空気圧の変化が所定値よりも大きいときは、送信する情報を減らすことなく走行中と同じ長さの無線送信フレームを送信することができる(請求項2の発明)。
請求項1または2の発明においては、タイヤの回転状態から停車中と判断しているときであっても、或る一定時間毎には、送信する情報を減らすことなく走行中と同じ長さの無線送信フレームを送信することができる(請求項3の発明)。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、停車中には送信する無線送信フレームを短くするので、停車中の送信機の電力消費が少なくなり、電池の寿命を延ばすことができる。かつ、停車中も無線送信の周期は変わらないので、受信機による送信機の監視が可能である。
請求項2または3の発明によれば、上記の効果に加えて、停車中であってもタイヤの空気圧の変化が大きいとき、または、一定時間毎に、走行中と同じ長さの無線送信フレームを送信するので、停車中に空気圧の状態が全く把握できない事態を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はこの発明の第1の実施の形態を説明する説明図である。
これは、車両が走行中から停車中に移るときの受信送信の様子を示すものである。ここに、図1(a)は図4(a)に示すフレームを短縮して、図1(b)は図4(b)に示すフレームを短縮してそれぞれ示している。すなわち、図5で説明した送信機3がモーションセンサ36の出力から走行中か停車中かを判断し、走行中ならば図4(a)のようなフレームを図1(a)のように、また、停車中ならば図4(b)のようなフレームを図1(b)のように無線送信するものである。フレームbはフレームaに対し、「空気圧データ」と「温度データ」が省略された短いフレームとなっている。
【0010】
つまり、送信機の消費電力の多くは無線送信に費やされるが、停車中は図1または図4(b)のようなフレームを使用することで、消費電力を抑え電池の寿命を延ばそうとするものである。一方、図3の受信機6から見て、停車中であっても一定の周期t(図1参照)で無線送信が行なわれるので、一定期間送信機から無線信号が来なければ送信機は異常であるとして、送信機の監視が可能となる。
【0011】
図2はこの発明の第2の実施の形態を説明する説明図である。
これは、停車中にタイヤの空気圧が所定値以上変化したときの様子を示している。停車中なので送信機は図4(b)のようなフレームを一定周期tで送信するが、空気圧が大きく変化した直後だけ、空気圧データと温度データを含むaのフレームを送信し、その後にbフレームの送信に戻る。これにより、停車中の送信機の消費電力を抑えつつ、圧力の急変を受信機に知らせることができる。なお、ここでは圧力に着目したが温度の急変に着目しても良い。また、変化量ではなく、送信機に予め圧力または温度の設定値を与えておき、この設定値をこえたときaのフレームを送信することもできる。
【0012】
図3はこの発明の第3の実施の形態を説明する説明図である。
停車中なので送信機は図4(b)のようなフレームを一定周期tで送信するが、ここではtよりも大きい一定の周期T毎に空気圧データと温度データを含むaのフレームを送信する。このとき、送信の定周期性を保つため、Tはtの整数倍である必要がある。これにより、停車中の送信機の消費電力を抑えつつ、圧力または温度の状態が全く把握できなくなる不都合を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1の実施の形態を説明する説明図
【図2】この発明の第2の実施の形態を説明する説明図
【図3】この発明の第3の実施の形態を説明する説明図
【図4】この発明で用いる無線送信フレーム構成例図
【図5】従来例を示す概要図
【図6】図5の送信機の具体例を示すブロック図
【符号の説明】
【0014】
1…車両、2…タイヤ、3…送信機、31…空気圧センサ、32…電源、33…制御部、34…無線送信回路、35…送信アンテナ、36…モーションセンサ、4…受信アンテナ、6…受信機、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤ内に設けられてタイヤの空気圧状態を検知し空気圧信号を出力する圧力検出手段と、車両のタイヤ内に設けられてタイヤの回転状態を検知する回転検出手段と、車両のタイヤ内に設けられて前記圧力検出手段から出力されたタイヤ空気圧信号を無線送信する送信手段と、前記送信手段から無線送信されたタイヤ空気圧信号を受信して所定の表示制御信号を出力する受信手段と、前記受信手段から出力された表示制御信号に基きタイヤの空気圧状態を表示する表示手段とを備えたタイヤ空気圧監視装置において、
前記送信手段は、タイヤの回転状態から停車中と判断したときは、無線送信の周期は走行中と同じとし、送信する情報量を減らすことにより無線送信フレームの長さを短くすることを特徴とするタイヤ空気圧監視装置。
【請求項2】
前記送信手段は、タイヤの回転状態より停車中と判断したときであっても、前記タイヤの空気圧の変化が所定値よりも大きい場合は、送信する情報は減らさずに走行中と同じ長さの無線送信フレームを送信することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧監視装置。
【請求項3】
前記送信手段は、タイヤの回転状態より停車中と判断したときであっても、或る一定時間毎には、送信する情報は減らさずに走行中と同じ長さの無線送信フレームを送信することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧監視装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−137226(P2006−137226A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326243(P2004−326243)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】