説明

タイヤ転がり面の粗さを決定する方法及び装置

タイヤ転がり面の粗さを決定する方法であって、表面上を転動中のタイヤの少なくとも1点の運動を表す第1の信号(Sa)を提供する段階と;タイヤの前記転がり面の粗さを示す出力(OU)を提供するため第1の信号を処理する段階とを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に装着されたタイヤに関連付けることができる測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ自体の動作条件を特徴付ける所定数量の検出用のタイヤ内部に配置された測定装置の使用が知られている。
【0003】
とりわけ、米国特許出願公開第2003/0058118号明細書は、荷重下のタイヤの路面接触領域用の検出装置を説明している。このような検出装置は、タイヤが装着される車輪の半径と一致する検出軸を有する半径方向加速度計(radial accelerometer)を組み込む。この半径方向加速度計は、分析によって(by means of elaborations)、接触領域に関する情報がそこから受信される信号を提供する。この特許出願では、これらの分析が、道路にできた穴、石及び砂利の存在に関係する「ロードノイズ」を除去する低周波濾波動作をも含むことが明記されている。
【0004】
米国特許出願公開2003/0095050号明細書は、タイヤの変形についての連続測定用の装置を説明しており、それにより生じるタイヤの垂直圧縮や、自動車によって実行された運動の種類(直線又は曲線の前進走行)に関する情報が得られる。この特許出願に記載されたセンサ装置は、タイヤの支持リムに取り付けられた発光装置とタイヤの一方の内壁に固定された反射面とを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願者は、周知技術で記載されるタイヤに関連する測定装置が、情報の限定的な類型(a limited typology of information)を提供するということに関する問題を扱った。特に、本出願者は、タイヤに関する測定の従来の装置や方法が、タイヤが転がる表面についての情報を収集できないことに気付いた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願者は、従来の測定装置から生じる限界が、タイヤに関する測定装置によって供給された信号から、自動車がその上を前進し、タイヤがその上を転がる表面の粗さを示す出力を、抽出することによって克服されることに気付いた。道路面のような、タイヤ転がり面の粗さに関する情報は、自動車自体が装備しても良い監視及び/又は制御装置において非常に有用な用途がある。例えば、このような情報は、ABS(アンチブロッキングシステム)装置で実行される点検段階において重要な役割を果たす。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、添付請求項1に記載のタイヤの転がり面の粗さを決定する方法に関する。このような方法の好ましい実施形態は、従属請求項2〜16に記載される。第2の態様によれば、本発明は、請求項17に記載の車両の挙動を点検する方法、及び請求項18に記載の、その好ましい実施形態に関する。
【0008】
第3の態様に一致して、本発明は、請求項19に記載のタイヤ転がり面の粗さを決定する装置、及びその従属請求項20〜43に記載の好ましい実施形態に関する。
【0009】
第4の態様によれば、本発明は、請求項44に記載のタイヤに関する。タイヤの好ましい実施形態は、従属請求項45〜50に記載される。請求項51に記載の車輪も本発明の主題をなす。
【0010】
本発明をより良く理解し、利点を享受するために、その非限定的な例示的実施形態の幾つかは、添付図面を参照して以下に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1、2、3を参照して、本発明に従う、自動車(図示せず)用タイヤ11に動作可能に関連付けることができる測定装置の例が、以下で説明される。このような装置は、自動車がその上を前進する表面の粗さの度合いに関する情報の獲得を可能にする。本発明の装置は、この「ランタイム」情報を有利に提供できる、すなわち、それは自動車の前進中に動作して、粗さに関する、基本的に自動車がその上を前進する同表面の、情報を利用できるようにしても良い。注目すべきは、以下の説明から明白となるように、本発明の装置(それが関連している同タイヤを含む)が、タイヤに固定されないが、自動車に搭載されるか、又はタイヤが装着される車輪に固定された構成要素又は構成要素のブロックを有しても良い点である。いずれの場合も、このような装置は、特にタイヤ自体の転動中、タイヤ又はその部分と動作時に相互に作用し合う少なくとも1つの構成要素を備えているので、タイヤに動作可能に関連付けることができると見なされるべきである。
【0012】
記載例によれば、本発明の装置は、タイヤ11に動作可能に関連付けられたセンサ装置3、及び任意に、自動車に搭載された固定ユニット2を備える。
【0013】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、センサ装置3は、タイヤ11に固定可能であり、特にタイヤ自体によって特定されたキャビティ内部に搭載可能である。この実施形態に関して、図1は、タイヤ11及び支持リム12を備える自動車の車輪の断面を示す。このようなタイヤ11は、用語「チューブレス」で、すなわち、内部チューブが無いことで知られている種類のものである。タイヤ11は、例えば、前記支持リム12のチャネルに位置決めされた空気注入弁13によって膨張可能である。
【0014】
タイヤ11は、カーカス16を含み、該カーカスは、タイヤ11を対応支持リム12に固定するための、それぞれがカーカス16の一方の内周縁部に沿って形成された、2つのビード14及び14’で終わる。これらのビード14及び14’は、ビードコアとして知られている、それぞれの強化輪状コア15及び15’を備える。
【0015】
カーカス16は、トロイダル形状で一方のビード14から他方14’に軸方向に延び、両端部がそれぞれのビードコア15及び15’に関連付けられる、紡織又は金属コードを含む、少なくとも1つの強化プライによって形成される。
【0016】
「ラジアル」として知られている種類の従来のタイヤでは、上述のコードは、タイヤの回転軸を含む面にある。ベルトとして知られている、輪状構造17は、カーカス16に対して半径方向外部位置に配置される。典型的に、ベルト構造17は、互いに重なり合う金属及び/又は紡織コードを組み込むエラストマ材料の1つ又はそれ以上の帯状体を含む。エラストマ材料の、トレッドバンド18は、ベルト構造17の回りに巻かれ、路面のような、転がり面との接触用の、特定の構成に従って分布された複数のレリーフ又はブロックパターン(図示せず)を有する。エラストマ材料の2つのサイドウォール19及び19’も、カーカスの半径方向対向側部位置に配置され、それぞれが対応ビード14及び14’の外縁部から半径方向外方に延びる。
【0017】
チューブレスタイヤでは、カーカス16の内面は、通常、通気性エラストマ材料の1層又はそれ以上の層からできている、ライナとして知られている、保護被膜111で覆われる。タイヤ11は、例えば、ビード用充填剤のような、特定の類型にしたがう他の従来の要素又は構成要素を内蔵しても良い。
【0018】
図1で示されるように、次の基本的な方向がタイヤ11に対し画定可能である:半径方向Z、縦方向(又は前進の)X、及び横方向Y。
【0019】
図1の例によれば、その構造が例示的に後述される、センサ装置3は、トレッド18と反対側のタイヤ11の内壁に配置される。より詳しくは、それは、基本的に、半径方向軸Zと一致するタイヤ11の中心線にある。
【0020】
センサ装置3は、センサ装置3のケーシングの1つの壁と内部ライナ自体との両者に接着する固定要素332によって、内部ライナ111の少なくとも1つの観察点Pに固定される。本発明によれば、用語「点」は、ゼロ寸法(null dimensions)ではないが、全タイヤの寸法に比べて小さいタイヤ11の領域又は一部となり、その有効値はセンサ装置3の分解能によることが分かる。
【0021】
固定要素332は、天然又は合成ゴム(例えば、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴムなどのような、4〜10炭素原子を有する共役ジエンからできているゴム)のような、軟質ゴムからできている。固定要素332は、センサ装置3のための保護効果をも有利に有するので、損傷の可能性を低減する。
【0022】
代わりの実施形態によれば、センサ装置3は、トレッド18の領域のタイヤ11の構造内に、例えば、トレッドバンド自体内部に、又はベルト17とトレッド18との間に組み込まれても良い。
【0023】
タイヤ11の1つの壁にではなく、例えば、支持リング12に固定されたセンサ装置、及び/又はタイヤの中心線に配置されるのではなく、タイヤ11のサイドウォール19及び19’に、又はタイヤ11の他の領域に固定又は組み込まれたセンサ装置、が使用されても良いことが分かる。
【0024】
さらに、本発明によれば、タイヤ11自体に関連付けられた複数のセンサ装置3が使用されても良い。特に、基本的に、固定角度だけ、互いに周方向に間隔を空けた位置に配置されたセンサ装置が使用されても良い。例えば、タイヤ11内部に周方向に配置され、略120°に等しい角度だけ互いに距離を空けて配置された、装置3に類似する3つのセンサ装置が使用されても良い。
【0025】
図2を参照するに、1つの特定の実施形態によれば、センサ装置3は、路面を転動中のタイヤ自体の前記少なくとも1点Pの少なくとも一方の方向の運動を表す電気信号を対応する出力端末50に提供するような測定装置(M−D)32を含む。測定装置32は、転動中にタイヤ11が受ける変形に起因する観察点Pの運動の成分をも表す電気信号を出力50に提供するような種類のものである。測定装置32によって検出可能なタイヤ11の変形はまた、タイヤが転がる表面の粗さ、すなわち路面の特定のテクスチャが原因のこれらの粗さによって、引き起こされたものであることが分かる。
【0026】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、測定装置32は、1つ又はそれ以上の次の方向(通常この分野で使用される用語に従って定義された):半径方向又は向心方向Z;縦方向(又は前進又は接線方向)X;横方向Y、に沿ってタイヤの前記点Pが受ける加速度を表す少なくとも1つの信号を提供するような加速度計である。
【0027】
本発明で使用されるのに適している測定装置は、商業的に入手可能であり、例えば、MEMS(Micro−Electro−Mechanical−Systems)技術を使用して製造され、又は例えば、光学又は音響センサである。
【0028】
これに関し、上述の特許出願の米国特許出願公開第2003/0095050号明細書は、転動中にタイヤ11が受ける変形に起因する観察点の運動の成分を表す信号を発生するために本発明で使用されても良い、タイヤのフットプリント領域の測定に使用される光学式センサを記述している。この種類の光学センサは、リム12に取り付けることができ、タイヤ11の所定観察点Pの運動を検出することができる。観測点Pは、タイヤ11の内壁にあり、そこには、光学センサによって発光された光学的放射の十分な反射面が付着される。
【0029】
本発明の1つの実施形態によれば、センサ装置3は、タイヤ11の転がり面の粗さを示す出力を提供するための測定装置32によって提供された信号の処理ステージ(processing stage)51を追加的に備える。
【0030】
処理ステージ51がアナログ信号の処理用の回路ブロック及び/又はデジタル信号の処理用の回路ブロックを包含しても良いことは注目すべきである。さらに、測定装置32からの出力信号の上述の処理は、ソフトウエアを介して、すなわち、電子データプロセッサ(コンピュータ)プログラムの実行で完全に又は部分的に行われても良い。
【0031】
図2に示された特定の実施形態によれば、処理ステージ51は、測定装置32の出力50に接続された入力端子とアナログデジタル(A/D)コンバータ53の入力端子に接続された出力端子とを有する濾波ブロック52を含む。
【0032】
濾波ブロック52は、帯域パス濾波を実行できるようになっており、第1の低域パスフィルタ(LPF)56及び高域パスフィルタ(HPF)57の直列接続として図2に概略的に示されている。これらのフィルタ56及び57は、例えば、従来形のアナログフィルタから構成されても良い。
【0033】
フィルタブロック52の通過帯域Bは、出力端子50に存在する加速度信号から、その起源がタイヤ11の構造への路面の粗さによって引き起こされた応力に帰することができる周波数成分を含む一部分を抽出できるように、選択される。さらに、そのような通過帯域Bは、例えば、接地荷重、横滑り又はドリフトと関係している現象のような、無関係である現象に関するこれらの低周波成分を低減、又は実質的に除去できるように選択される。
【0034】
事前選択通過帯域Bは、濾波ブロック52の下部カットオフ周波数fと上部カットオフ周波数fとで識別される。通過帯域Bは、300Hzと5,000Hzとの間、好ましくは300Hzと2,500Hzとの間、より好ましくは500Hz〜1,200Hzの間に包含されると有利である。
【0035】
上記通過帯域値Bは、本出願者によって実験的に決定され、加速度信号からの対象の周波数の抽出に適しているものとして浮上した。このことに関して、本出願者が注目したことは、路面上を転動中のタイヤ11の構造の振動が、路面自体の粗さの振幅に直接関連する振幅を有すること、さらに、濾波ブロック52を使用して抽出される周波数帯域が、特定の路面の特定励振波長(particular excitatory wavelengths)に相当する振動数を有する応力に対する、タイヤ11の構造の振動の精密モード(exact mode)によって決まることである。上述の周波数の間隔は、タイヤが転がる路面に起因するタイヤへの応力に関する定性的理論的検討に一致するものとして浮上したことが分かる。
【0036】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、高パスフィルタ57と第1の低パスフィルタ56とは、f定数未満、及びf定数(特に、定数は、タイヤ11の角速度と共に変動する)より高いそれぞれのカットオフ周波数を有し、ゆえに対応通過帯域Bは上述の値の範囲内にある。
【0037】
あるいは、高パスフィルタ57と第1の低パスフィルタ56とは、トラッキング型のもの、すなわち、固定されないが、フィルタ自体に伝送可能なそれぞれの制御信号を介して修正可能又は調整可能な下部カットオフ周波数f及び/又は上部カットオフ周波数fを有するものであっても良い。特に、上部及び下部カットオフ周波数f及びfは、タイヤの転動の角速度の変化と共に変化しても良い。このような場合、下部及び上部カットオフ周波数は、次の等式を使用して推定されても良い:
【数1】


【数2】


ここで:
:i番目の回転時のタイヤの向心加速度、
:タイヤのインフレート半径、
:下部調和成分;
:上部調和成分である。
【0038】
等式(1)及び(2)に従って、上部及び下部カットオフ周波数は、タイヤのインフレート半径rまで及び同半径rからの、向心加速度による、タイヤの瞬間角速度ωの、ファクターn及びnによる、倍数である。
【0039】
ファクターn及びnは、タイヤ自体の振動の調和成分数に影響するタイヤ11のトレッド18の外部表面に提供されるブロックパターン数を考慮に入れる。例えば、トレッド18上に存在する全ブロックパターンの数がnに等しい場合、タイヤの振動の調和成分が正確にnに等しいと想定することも可能である。下部調和成分の値nは値nよりも小さく、上部調和成分の値nは値nよりも大きいので、それらは対象の調和成分を包含する間隔を識別できる。1つの特定の実施形態によれば、上部調和成分の値nは、2n未満となるように、ブロックパターン数nに近い。
【0040】
例えば、ブロックパターン数n=70に対し、nは65に等しく選択され、nは75に等しく選択される。下部及び上部調和成分のこのような例示的値で、100Km/hに等しいタイヤの角速度ωに対し、等式(1)及び(2)を適用することによって、930Hzに等しい上部カットオフ周波数fと1,070Hzに等しい下部カットオフ周波数fとを得ることができる。
【0041】
あるいは、nの倍数に等しいか又はそれ以上となるように値nを選択することも可能である。換言すれば、値nは、2n又は他のnの倍数(3n、4n等)に等しいか又はそれ以上であっても良い。このように、より高位の調和に関連する現象への寄与にも配慮する。
【0042】
以下でさらに詳細に説明されるように、トラッキング型低パス56及び高パス57フィルタを使用する本発明の実施形態によれば、下部及び上部カットオフ周波数の値は、等式(1)及び(2)に従って計算され(例えば、タイヤ11の回転毎に)、次にそれぞれのフィルタに供給されても良い。
【0043】
トラッキング型フィルタの場合と、固定カットオフ周波数フィルタの場合との両方で、第1低パスフィルタ56及び高パスフィルタ57とは、例えば、タイヤの角速度に従って、非連続的に、但し徐々に又は予め定めたステップでカットオフ周波数の調整を可能にする離散レベル型のような、従来形のものであっても良い。
【0044】
処理ステージ51は、二次パラメータの決定用の第2の低パスフィルタ(LPF)54と、出力端子50に接続された対応入力端子及びアナログデジタルコンバータ53の入力に接続された対応出力端子を有する処理ユニット(CPU)34とを備えていても良い。
【0045】
一般に第2の低パスフィルタ54のカットオフ周波数fは、帯域パスフィルタステージ52の下部カットオフ周波数fよりも低いか又はそれに等しい。好ましくは、カットオフ周波数fは300Hzよりも低い。例えば、速度依存フィルタの場合、第2の低パスフィルタ54は、20km/hにおいて略40Hzに等しい、及び100km/hにおいて略240Hzに等しいカットオフ周波数fを有する。
【0046】
第2の低パスフィルタ54は、定カットオフ周波数fを有するか又はトラッキングタイプのものであってもよい。また、以下でさらに例示的に説明されるような、本発明に従って計算できる、タイヤ11の角速度ωで調整可能なカットオフ周波数を有してもよい。特に、カットオフ周波数fは、設定定数Kに従い角速度ωに比例する:
【数3】

【0047】
ファクターK(例えば、1よりも大きい整数)は、検討中のタイヤの種類によって決まり、例えば、検討中の特定のタイヤの運動を完全に表現する調和成分を抽出するためにその寸法を基に選択されても良い。
【0048】
さらに、メモリ装置(MEM)35と関連付けられ、バス55を経由してアナログデジタルコンバータ53に接続された処理ユニット(CPU)34は、コンバータ53からデジタル値を受け入れる処理ステージ51内に包含される。
【0049】
例えば従来形マイクロプロセッサを使用して、造られた処理ユニット34は、路面の粗さを表す出力の発生のため、例えば、メモリ装置35に記憶された、及び/又はアナログデジタルコンバータ53が起源である(originating from)デジタルデータの分析を実行するためにある。有理には、この処理ユニット34は、関連制御/監視ラインで有効にされた制御信号S及び監視信号S(監視されている装置又はブロックが起源である)を介して、測定装置32とセンサ装置3に包含された他のブロックの制御及び監視作業をも実行する。表現の簡素化のため、センサ装置3の対応構成要素に接続された制御/監視ラインは図2から省かれている。
【0050】
処理ユニット34は少なくとも1つの出力ラインOUを有し、そのラインに、その処理から得られ、少なくとも路面の粗さに関する情報を搬送する少なくとも1つの出力信号Sが提供される。
【0051】
測定装置32及び処理ステージ51の幾つかのブロックはまた、粗さに関する信号に加えて、測定装置自体によって生成された信号から推定できる他の情報を搬送する他の信号をも、発生させるために使用されても良いことが分かる。例えば、処理ユニット34は、タイヤの現在の加速度及び現在の角速度に関するデータ、又は、例えば、タイヤに作用する接地荷重のようなタイヤの他の動作条件に関する情報を搬送する信号を提供しても良い。
【0052】
さらに、センサ装置3は、自動車に搭載された固定ユニット2へ/からの信号の受信及び送信を可能にするために出力ラインOU及びアンテナ37に接続された従来形の通信機(R/T)装置31を含む。
【0053】
センサ装置3は、例えば、バッテリのような電源(PW)33を備えている。しかしながら、センサ装置3内部で実行される処理や、通信機装置31に関連する処理が、バッテリの寿命を、タイヤ11の寿命と比べて、短縮させる可能性がある。したがって、好ましい実施形態によれば、電源33は、自己充電装置自体が受ける機械的応力(例えば、遠心力又はライナ111の変形又は不均一道路上の前進が原因の運動)から結果的に生じる電気エネルギーを発生させる自己充電装置(図示せず)を含む。例えば、自己充電装置は、圧電材料内の1種類又はそれ以上の要素を包含しても良い。自己充電装置は、典型的に抵抗とコンデンサとを有する電気エネルギー蓄積回路(図示せず)をも含む。他の代わりになるものとして、センサ装置3は、可動アンテナ37に接続された適当な受信装置(図示せず)を経由して固定ユニット2によって電力供給されても良い。好ましくは、電気エネルギー分配装置(PW−D)36は、処理ユニット34、メモリ装置35、通信機装置31、及び測定装置32に、それらの要求に従って、適切な方法で電源33によって提供された電力を分配する。
【0054】
同じケーシング又はパッケージ内に必ずしも上述のセンサ装置3の全ての構成要素(例えば、測定装置32、通信機装置31、および処理ステージ51のような)を包含する必要がないことに注目すると有用である。例えば、処理ステージ51や通信機装置31は、測定装置32が含まれるケーシングとは別のケーシングに含まれ、タイヤ11又は車輪の他の部分に(例えば支持リム12に)に取り付けられ、ケーブル又は無線接続(例えば、光学波によって又は無線周波数での)に接続されても良い。このような場合、測定装置32は、例えば、センサ装置3用に図1で示されたものと同じようにタイヤに取り付けられるケーシング内に配置されても良い。
【0055】
図3は、本発明の装置で使用できる固定ユニット2の実施例を、機能的ブロックを使用して、非常に概略的に示す。好ましくは、固定ユニット2は、センサ装置3によって送信された信号の受信ができるように、固定アンテナ25に接続された受信機装置(R)26(例えば、無線周波数受信機)を有する。好ましくは、受信機装置26は、受信されたデータの復調用の復調器(DEM)27に接続される。例えば、EPROMのようなメモリユニット(MEM)28は、センサ装置32から受信され、復調器27によって復調されたデータを記憶しても良い。センサ装置3から受信され、及び/又はメモリユニット28内に記憶されたデータの分析及び計算を実行する働きを有し、例えば固定ユニット2の構成要素を制御する、追加処理ユニット(CPU)24に、メモリユニット28は関連付けられても良い。さらに、固定ユニット2は、好ましくはセンサ装置3に信号を送信するのに適している送信及び変調装置(T/Mod)23を包含する。
【0056】
例えばセンサ装置3を使用して実施可能な、タイヤ11がその上を転がる路面の又は他の試験面の粗さを表す1つ又はそれ以上のパラメータの計算方法について説明される。
【0057】
測定装置32が、タイヤ11の観察点Pの一時的加速度トレンドを示す少なくとも1つの信号Saを出力端子50に返す加速度センサである特定の場合が考えられる。例えば、信号Saがタイヤ11の観察点Pの半径又は向心加速度(すなわち、方向Zに沿う)を表す例示的な場合が、考えられる。
【0058】
次の処理をより良く理解するために、図4は、回転角度Rの関数(0°と360°との間で可変)として向心加速度aの振幅(gの倍数で表現された(expressed in multiples of g))を表す加速度信号Saであって、タイヤ11の予め定めた角速度ωに対して推定された加速度信号Saの、1つの可能なトレンドを示す。図4のトレンドは、タイヤ11によって実行された1回転を指す。
【0059】
信号Saのトレンドの観察から、接触又はフットプリントの領域C−Zは、区別され(図4に示された例では略180°において局所化され)、そこではセンサ装置3によって監視されたタイヤの領域は路面と接触状態にあることが分かる。接触の領域の範囲内で、加速度aは、ほとんど消えるまで急峻に減少し、続いて増加する。タイヤが回転する間、タイヤがその観察点Pを接触の領域C−Zに移動する前に、これは、向心加速度aが増加する入力ゾーンIN−Z(接触のものと隣接する)に見つけられることになる。観察点Pが接触の領域C−Zを離れると、加速度信号Saは、加速度aが減少する出口領域OU−Z(接触のものと隣接する)の識別を可能にする。
【0060】
3つの上述のゾーン以外(例えば、0°と100°との間の角度の)の信号Saの部分では、向心加速度は低減された振幅間隔の様々な値をとる。
【0061】
本出願者は、路面の粗さに関するパラメータの決定のため、接触領域C−Zに近接する状況での信号Saを解析することが特に重要であることに気付いた。例えば、入力ゾーンIN−Z、接触C−Z及び出口OU−Z領域を有する信号の一部は、対象のものである。さらに、本出願者は、表面の粗さに関係する大部分の情報を提供する領域が入力ゾーンIN−Zにあることに気付いた。この結果は、実験的に検証され、路面によるタイヤの構造への直接応力が起こる接触領域C−Zと隣接している入力ゾーンが、路面の粗さによって誘導された応力を、例えば、荷重によって誘導されたより大きい又はより小さい衝突のようなフットプリント領域下の通路に関連する他の現象によってあまり乱されることなく、「感知」することができるということの可能な説明となる。
【0062】
上述の粗さパラメータの決定の解析が実行される信号Saの部分は、図2だけでなく、図5にも触れて、次に説明される方法論に従って決定される。
【0063】
測定装置32からの出力信号Saは、高周波分を低減又は除去し、濾波済み低パス信号SLPを返す第2の低パスフィルタ54に送られる。特に、低パスフィルタ54は、路面からタイヤ11が受ける応力に起因する周波数成分を除去又は著しく低減する。
【0064】
図5において、時間tの関数として濾波済み低パス信号SLPのトレンドが定性的に示される。さらに、より明確にするために、図5では、タイヤ11、その回転方向も示されており、さらに同タイヤの外部表面に、路面と接触する領域C−Z(タイヤが衝撃を受ける)、入力ゾーンIN−Z及び出口領域OU−Zが示されている。
【0065】
測定装置32によって検出された信号Saについての記述と同様に、濾波済み低パス信号SLPは、入力ゾーンIN−Z内で第1の最大Pまで増加するトレンドを有する。接触の領域C−Zにおいて、濾波済み低パス信号SLPは、最小値に達するまで減少し、次に第2の最大値Pに達するまで再度増加するトレンドを有する。出口領域OU−Zにおいて、信号SLPは、第2の最大値Pから開始する減少トレンドを有する。
【0066】
そして、低パス信号SLPはアナログデジタルコンバータ53に送られ、アナログデジタルコンバータ53は対応デジタルデータを返し、対応デジタルデータはメモリ35に記憶される。
【0067】
続いて、記憶されたデジタルデータの解析が、第1の最大値P、第2の最大値P、及びそれらに従ってこのような最大が検証される(初期の瞬間からの開始によって評価される)値又は時間座標t及びtを識別することを目的として、実行される。
【0068】
記述した例によれば、最大値P及びPの時間座標(t及びt)の識別に至る解析は、当業者には明白なアルゴリズムを実行するプログラムに基づいて処理ユニット34によって実行される。時間座標の代わりに、上述の最大値に対応するタイヤ11の回転角度が推定されても良いことが分かる。
【0069】
本発明の方法によれば、入力ゾーンIN−Zの振幅は、下記の分析で処理することが要求されるデータの量を考慮に入れることによって決定される。
【0070】
例えば、入力ゾーンIN−Zは、タイヤの長さの増加と共により広くなる、設定角度αを有する角度セクタ(タイヤ11の中心Cにおいて測定された)に相当する延長部を有する。例えば、角度αは、30°と100°との間で選択されても良い。自動車タイヤの場合(例えば、モデル195/65/R15のタイヤ)、このような角度の都合の良い値は約50°に等しいが、トラック用タイヤの場合、その角度は約70°に等しくても良い。その角度αは、第1の最大値Pに相当する値tから始まって、入力ゾーンIN−Zを定めるもう1つの時間座標t(又は角度)の識別を可能にする。
【0071】
同様に、接触の領域C−Zは、座標tとtとの間に含まれる。出口領域OU−Zは、時間座標tと、入力ゾーンIN−Zの場合と同じように対象の出口領域OU−Zの延長部を設定することによって得られたもう1つの時間座標tとの間に含まれる。このように決定された時間座標t、t、t、tは、メモリ35に記憶される。
【0072】
あるいは、入力ゾーンIN−Zの振幅と、出口領域OU−Zの振幅とは、事前に確立された開口角セクタ(pre-established angular aperture angular sector)に基づくのではなく、次の分析による検討用に得られたサンプル数を事前設定することによって決定されても良い。
【0073】
注目すべきは、時間座標t、t、t、tの決定段階(加速度信号の対象の部分を識別する)がタイヤ11の回転毎に反復されても良いことである。
【0074】
さらに、加速度信号の対象の部分を識別する時間座標の決定には、必ずしも向心加速度信号であるとは限らない、任意の方向X、Y、Zに基づく加速度信号が、例示的に上述したように、有利に使用されても良いことがわかる。
【0075】
本発明の方法は、タイヤ11の第i番目の回転に関するタイヤ11の角速度ωの推定に至る処理段階(それ自体がタイヤの回転毎に反復可能)をも含む。
【0076】
角速度ωの推定は、測定装置32によって提供された向心加速度信号から開始することによって有利に実行される。
【0077】
例えば、この推定用に、第2の低パスフィルタ54から出力され、アナログデジタルコンバータ53に送られた、同じ濾波済み低パス信号SLPが使用されても良い。あるいは、端子50に存在する信号Saは、アナログデジタルコンバータ53に直接供給されるか、又は低パス濾波がもう1つのフィルタ(図示せず)によって実行されても良い。
【0078】
従来的に動作するアナログデジタルコンバータ53は対応デジタル値を返し、対応デジタル値は次にメモリ35に記憶される。角速度の決定用の計算動作は、例えば、これらの記憶されたデジタル値を使用する処理ユニット34によって実行される。
【0079】
好ましくは、角速度ωは、対象の領域、好ましくは、接触の領域C−Zの前後で推測された、向心加速度振幅値aを検討することによって推定される。
【0080】
図5を参照するに、入力ゾーンIN−Zの開始及び出口領域OU−Zの終了を識別する時間座標t及びtに対し推定された向心加速度aの値ai及びauを検討することが可能である。
【0081】
値ai(対象の領域前の向心加速度)と値au(対象の領域の後に続く向心加速度)とに基づいて、平均加速度値aiが計算される:
ai=(ai+au)/2 (3)
【0082】
角速度ωは、したがって、以下の式で得られる:
【数4】

【0083】
ここで観察点Pに関する膨張半径rはメモリ35に事前に記憶されている。
【0084】
角速度ωの値は、これ自体もメモリ35に記憶可能であり、本発明の方法の幾つかの処理段階に有用である。さらに、同角速度ω値は、例えば、上述の等式(1’)に従って、第2の低パストラッキングフィルタ54のカットオフ周波数fを修正するために使用されても良い。
【0085】
タイヤ11の転がり運動中に、帯域パス濾波ブロック52に出力端子50から送られる加速度信号Saが次に検討される。
【0086】
帯域パス濾波ブロック52は、その起源がタイヤ11の構造への路面のテクスチャ又は粗さによって誘導された応力に起因している周波数成分を含む、濾波済み帯域パス信号SBPを返す。このような濾波済み帯域パス信号SBP内では、対象のものではない、他の現象に起因するそれらの周波数成分は、大いに減衰されるか、又は基本的に除去されている。
【0087】
図5は、濾波済み帯域パス加速度信号SBPの1つの可能な時間トレンドを定性的に示す。
【0088】
濾波ブロック52が、トラッキングフィルタ及び不定カットオフ周波数フィルタで造られた第1の低パスフィルタ56と第2の高パスフィルタ57とを使用する場合、処理ユニット34は、以前に計算され、検討対象とされたタイヤの回転に対応する角速度ωに基づいて、上述の等式(1)及び(2)を適用することによって下部f及び上部fカットオフ周波数の計算を実行することが分かる。処理ユニット34は次に、カットオフ周波数について計算された値、又は計算されたこれらの値にフィルタの種類によって許可された最も近い可能値を与える対応制御信号を、2つのフィルタ56及び57に送る。
【0089】
続いて、濾波済み帯域パス信号SBPは、所定周波数f、数量化及び符号化の従来型のサンプリングを想定するコンバータ53内で、アナログデジタル変換を受ける。
【0090】
サンプリング周波数fは、例えば、10KHzに等しく、ナイキストの定理に従って選択され、所定単位時間内に得られたサンプル数Nに等しい。
【0091】
前に記述したように、本発明の1つの好ましい実施形態によれば、濾波済み帯域パス信号SBPのアナログデジタル変換から結果として得られ、タイヤの1回転に関する全ての加速度信号(the entire acceleration signal)が、次の分析のために使用されるわけではない。続く分析のために、濾波済み帯域パス信号SBP(又は、より詳しくは、変換から結果として得られる対応デジタル信号の)の、路面の粗さを推定するための対象のものであると判断された部分だけが、有利に考慮に入れられる。
【0092】
特に、接触の領域C−Z、及び/又は入力ゾーンIN−Z及び/又は出口ゾーンOU−Zのような隣接領域に対応する信号の、これらの部分が考慮に入れられる。
【0093】
信号SBPのこれらの部分は、前述のように推定され、メモリ35に記憶された時間座標t、t、t、tに基づいて処理ユニット34によって画定されても良い。図5に示されるように、濾波済み帯域パス信号SBPは、時間座標t及びtによって制限された第1の計算部分δ1、時間座標t及びtによって制限された第2の計算部分δ2、及び時間座標t及びtによって制限された第3の計算部分δ3に細分される。
【0094】
忘れてならないのは、タイヤ11の角速度ω(その値はメモリ35に記憶される)が等式:ω=2πfによって角周波数f(単位時間当たりの回転数)と関連していることである。
【0095】
回転周波数f及びサンプリング周波数fに基づいて、タイヤの1回転に相当するデジタル信号内に存在するサンプル総数nptは推定される:
pt=f/f
【0096】
3つの計算部分δ1、δ2、δ3のそれぞれに対し、考慮されるサンプル数は、対象の特定領域の延長部と相関関係がある、総計値nptの適当な割合である。例えば、第1の計算部分δ1に対し、npt/8に等しいサンプル数nが選択されても良い。
【0097】
同様に、残りの計算部分δ2及びδ3に対し、相当数のサンプルが使用されるために選択される、n2及びn3。これらのサンプルに基づいて、路面の粗さについて重要なパラメータが計算される。本発明の1つの好ましい実施形態によれば、このようなパラメータは、低パス濾波済み信号SBPによって想定された平均値である。特に、推定されたパラメータは平方平均である。
【0098】
より詳しくは、処理ユニット34は、加速度信号によって推定された振幅値の平方平均(quadratic mean)として表現された記号OLj(ここでイニシヤルOLは、用語「全高(Overall Level)」、すなわち、全表面高さに由来する)で示されたエネルギーパラメータの計算であって、次の等式を有する計算を実行する:
【数5】


ここで:
‐ aiは、k番目のサンプルに対応する加速度aの振幅(ここで説明された例によれば本質的に半径方向)であり、
‐ 指数j(値1、2、3を想定しても良い)は、パラメータOLjがそれに対して推定される特定の計算部分δ1、δ2又はδ3を識別する(例えば、パラメータOLjは、デジタル変換された低パス濾波済み信号SBPの3つの全ての部分に対して推定されても良い)。
【0099】
等式(5)で示された合計は、nj個のサンプルにわたり拡張され、j番目の計算部分の一部を成す。
【0100】
前述のように、入力ゾーンIN−Zに対応する計算部分δ1内で得られたパラメータOLjの値は、測定されるべき粗さについて特に重要である。例えば、本発明の1つの特定な実施形態によれば、パラメータOLjの推定は、計算領域δ2及びδ3に対しては実行されず、第1の計算領域δ1から推定された情報だけが考慮される。あるいは、他の領域δ2及びδ3の一方又は両方に対しても計算を反復することによって、計算δ2及び/又はδ3の第2及び/又は第3の領域から推定されたパラメータOLjの値で、第1の計算領域から推定されたパラメータOLjを平均化することが可能である。
【0101】
エネルギーパラメータOLjの計算は、半径又は向心加速度信号Saから開始することによるだけでなく、縦方向Xや横方向Yのような、他の方向又は他の全方向に関する加速度信号から開始することによって有利に実行されても良い。
【0102】
3軸加速度計のような測定装置32から得ることができる、2種類又は3種類の加速度信号が使用される場合、センサ装置3は適当な信号処理ステージを備えている。例えば、このような場合、センサ装置3は、縦方向又は横方向加速度信号を濾波するブロックための、ブロック52と同様の、少なくとも1つの他の濾波ブロックを有しても良い。他の計算動作は、十分な処理能力を備えた処理ユニット34によって実行されても良い。
【0103】
エネルギーパラメータOLjの計算が、1個のセンサ装置3ではなく、説明されたものと同様で、タイヤ1内の様々な観察点に取り付け可能な、多数のセンサ装置によって実行されても良いことも注目される。
【0104】
図1に示される、タイヤ11の中心線に配置されたセンサ装置3のほかに、サイドウォール19及び19’に向かってトレッド18の領域内でそれに横方向に固定されるか、又は例えば、サイドウォール自体に配置された追加の2つのセンサ装置を想定する実施形態は、特に有利である。
【0105】
タイヤ11の中心線に配置されたセンサ装置3は、自動車の直線に前進走行中のエネルギーパラメータOLjの計算に有利である。一方、サイドウォール19及び19’に向かって配置された各センサ装置は、カーブ走行中のエネルギーパラメータOLjの計算用に有用である。
【0106】
3つのセンサ装置が利用できると、それらによって提供されたOLjパラメータのうち1つだけを考慮に入れることを、例えば、適当なソフトウエアを使用することによって、確立することが可能となる。例えば、特定の動作条件下での(例えば、トレッド、又はコンバージェンス、又はキャンバの特性に基づいて)最良動作を確実にする、3つの設置されたセンサ装置のうち1つが起源である信号だけを、考慮に入れることが決定されても良い。
【0107】
対象の周波数及び対象の領域におけるタイヤ11の観察点の加速度の関数としての、パラメータOLiは、路面の粗さについて重要である。エネルギーパラメータOLjの値は、リアルタイムで、さらに、タイヤ11の回転毎に計算可能である。
【0108】
したがって、処理ユニット34は、パラメータOLjを示す、したがってタイヤ11が転がる路面の粗さを表す、1つ又はそれ以上のデジタル信号Sを、出力ラインOUで利用できるようにしても良い。
【0109】
この信号Sは、次に、通信機装置31によって、処理される(例えば、増幅され、変調される)。通信機装置31は、アンテナ37を介して、それを自動車に搭載された固定ユニット2に送る。
【0110】
上述の計算動作は、センサ装置3によるのではなく、固定ユニット2によって、全て又は部分的に、実行されても良いことが注目される。
【0111】
本発明の方法の適用の特定の例を説明する。この適用は、本出願者によって実行された実験を参考にして説明されるが、このような実験が実行される方法は、より一般的に、異なるテクスチャの路面によって示される、異なる粗さの特徴付けを実行するために使用されても良い。
【0112】
明確なMPD(「平均きめ深さ」)パラメータ値を有する3つの異なる路面が検討される。MPDパラメータは、通常では路面のテクスチャレベルを画定するために使用される指標であり、ISO13473−1標準によって定義される。
【0113】
検討された3つの異なる路面は、次のMPD値を有する:0.6(「非常に平滑な」類型表面);1.0(「中間」類型表面)及び1.8(「非常に粗い」類型表面)。
【0114】
これらの表面に対し、エネルギーパラメータOLjの値は、上述のものと同様のセンサ装置及び計算方法を用いて、タイヤの変動する角速度ωで推定された。特に、これらの試験では、本出願者によって製造されたタイヤ、ピレリ(Pirelli)モデルのP7 225/55R16が使用され、2.2バールに等しい圧力まで空気を注入され、440Kgの静的荷重を掛けて、自動車の右前車軸に装着された。これらの試験は、20と100Km/hとの間に含まれる自動車の前進速度で行われた。
【0115】
さらに、OLjパラメータを計算するために、図1に示されるように中心線にではなく、自動車に向く側の半分割内の、タイヤの中心線に対して横方向に配置されたセンサ装置3から得られた半径方向加速度信号Saが考慮に入れられた。これらの実験的試験のため、入力ゾーンIN−Zが考慮された。
【0116】
OLjパラメータは、車輪の回転毎に、及び検討された3つの表面毎に、リアルタイムで(等式(5)を使用して)計算された。少なくとも1回転前に推定された同パラメータの値を用いて個々の回転のOLjパラメータの値の重み付けを想定する次の平均化動作が、有利に実行された。特に、この平均化のために、4つの連続した回転が検討され、変動平方平均(variable quadratic mean)が実行された。
【0117】
このような方法は、リアルタイム計算で得られた情報の安定性を増し、路面の全体の不規則性を起源とする偶然(ランダム)の影響を低減し、粗さに関する試験表面特性の関数として、エネルギーパラメータOLjにおける違いを明確に示す利点を有する。
【0118】
詳しくは、k番目の回転に関する平均化エネルギーパラメータOLj(k)は以下の等式で得られる:
【数6】

【0119】
等式(6)は、対象となるエネルギーパラメータの値がタイヤの運動中に、特にタイヤの回転毎に更新される、変動平均を表す。平均化エネルギーパラメータOLj(k)は、3つの表面毎に、角速度ωの幾つかの値に対し推定された。
【0120】
続いて、検討された3つの表面のそれぞれに関連する、平均化エネルギーパラメータ ̄OLj(k)の値による補間曲線が識別された。
【0121】
例えば、適当な補間曲線は、次の等式を有する、角速度変数ωを用いた二次多項式OLj(ω)によって記述される:
OLj(ω)=aω+bω+c
【0122】
ここでa、b、cは補間多項式の係数である。
【0123】
図6には、上述の実験条件下で得られた補間曲線C1(非常に平滑な表面に関する)、C2(中間表面に関する)、及びC3(非常に粗い表面に関する)が示される。各曲線C1、C2、C3の横には、係数a、b、c(左から右へ)の数値が示される。図6の各曲線は、平均化エネルギーパラメータの値(Y軸で示される)を、rad/sで表現された角速度ω(X軸で示される)に結びつける(equate)。
【0124】
図6の観察から、曲線C1、C2、C3の明白な違いが、中でも40rad/sよりも大きい角速度値における違いが、注目される。非常に粗い表面(C3)に対してエネルギーパラメータ値がより高いこと、中間表面(C2)に対し低いこと、及び非常に平滑な表面(C1)に対して更に低いことが、解明される。
【0125】
この結果は、本発明によって実行されたエネルギーパラメータの計算が、いかに路面のテクスチャについて、事実上重要であるかを示す。
【0126】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、曲線C1、C2、C3に対応するデジタルデータは、移動車両が存在する路面の特徴付けを可能にするために基準曲線を構成できるように、固定ユニット24のメモリ28に記憶される。例えば、補間曲線の式や対応補間係数がメモリに記憶されても良い。
【0127】
センサ装置3は、例えば車輪の回転毎に、(等式(5)に従って推定された)エネルギーパラメータOLjの計算値に対応する信号を、(等式(4)に従って推定された)タイヤの角速度ωを含むもう1種類の信号と共に、送信できる。
【0128】
固定ユニットの処理ユニットは、これらの信号を受信し、エネルギーパラメータ及び角速度の値を、図6の線図で識別される点Dの座標として、使用する。曲線C1、C2、C3との間で、点Dに最も近い曲線を決定することによって、自動車が存在する表面の種類が分類化され、それが非常に平滑、中間又は非常に粗い表面に対応するかを定める。
【0129】
この情報は、固定ユニット2によって、例えば、自動車の運動の条件についての追加記述情報(additional descriptive information)に基づいて動作し、例えば、自動車自体の挙動への影響を有する1つ又はそれ以上の動作パラメータを修正する、ABS制御装置のような、自動車に搭載されたもう1つの装置にとって利用できるようにされても良い。
【0130】
図7は、少なくとも、平均化エネルギーパラメータOLj(k)が、測定装置32によって半径方向加速度信号Zではなく縦方向加速度信号Xが提供され、縦方向加速度信号Xから開始することによって推定されているという事実のもと、図6の線図の曲線C1、C2、C3に対し説明されたものと同様にして、且つ同実験的条件下で得られた3つの曲線C1’、C2’、C3’の線図を示す。図7では、各補間曲線の隣に、特定の実験的試験用に使用された対応二次補間多項式を定義する係数a、b、cの値が示されている。曲線C1’、C2’、C3’に対し、図6のものに対して行われた3つの表面類型の区別の可能性に関する、同じ検討が有効である。
【0131】
これは、本発明の方法が、半径方向加速度信号を基準にして記述されていたとしても、タイヤの他の方向を基準にする加速度信号を使用するときでも、いかに有効であるかを示す。
【0132】
図8は、3つの異なるタイヤのモデル:Pirelli(ピレリ)P6000 205/55R16、Pirelli(ピレリ)P7 205/55R16(図6の曲線で使用されたような)、及びPirelli(ピレリ)Pzero205/55R16に対する、上述の方法を用いて及び同実験的条件下で(半径方向加速度信号の処理によって)得られた、同じデカルト平面の補間曲線を示す。
【0133】
図8には、各曲線が、上掲のモデル(非常に平滑な表面に関する、F1族;中間表面に関する、F2族;非常に粗い表面に関する、F3族)のうち1つに対応する、3族の曲線が示される。
【0134】
図8の観察から、タイヤのモデルが変えても、3つの異なる表面に対し推定された族の曲線間の明白な違いが、特に略40rad/sの角速度を超えたところで、なおも観察されることが分かる。
【0135】
各族の3つの曲線は、互いにあまり違わない。換言すれば、タイヤ転がり面の粗さについての情報を得るための上述の方法は、タイヤの構造とは基本的に無関係であるように思われる。それでも、本出願者は、特定のモデルのタイヤを装着している、自動車が走行する路面の特徴付けに、同じモデルのタイヤを使用して行われた測定から得られた基準曲線を記憶することがより好都合であると考えている。
【0136】
本発明の追加の適用形態によれば、自動車の運動中、タイヤの数回転を基準にしてエネルギーパラメータOLjの値を記憶することが可能であるので、例えば、検討対象の道路のある区画の表面の均一性又は不規則性についての指標のように、道路の長い区画の一般的な特徴についての情報を得るために、これらの値の分散(又は平均平方差分(the mean quadratic difference))を推定できる。
【0137】
本発明の教示は、それらが、走行中の自動車がその上に存在する表面のテクスチャ/粗さを特徴付けるパラメータの決定を可能にするので、特に有利となる。このパラメータは、例えば、ABS制御装置(アンチブロッキングシステム)のような車載装置が次にそれを利用できる場合、かなり重要となる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の特定の実施例によるセンサ装置が取り付けられるタイヤの断面を示す。
【図2】本発明によるセンサ装置の例を、概略的に、及び機能的ブロックで示す。
【図3】本発明による車載可能な固定ユニットの例を、概略的に、及び機能的ブロックで示す。
【図4】前記センサ装置から得られる加速度信号の挙動を定性的に示す。
【図5】前記センサ装置の濾波ステージから得られる低域パス濾波加速度信号SLP及び帯域パス濾波加速度信号SBPの挙動を定性的に示す。
【図6】タイヤの角速度の関数として粗さパラメータのトレンドを表す、第1の実験的条件下で得られ、3つの異なるタイヤ転がり面を特徴付ける、3つの曲線を示す。
【図7】図6のものに似ているが、第2の実験的条件下で推測された他の3つの曲線を示す。
【図8】タイヤの3つの異なるモデルに対する、3つの明確なタイヤ転がり面に関する図6のものに似た3つの曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(11)の転がり面の粗さを決定する方法であって:
− 表面上を転動中のタイヤの少なくとも1点(P)の運動を表す第1の信号(Sa)を提供するステップと、
− タイヤの前記転がり面の粗さを示す出力(OU)を提供するために第1の信号を処理するステップと、を含む方法。
【請求項2】
処理ステップが、転動中にタイヤが受けた変形に起因する前記少なくとも1点の運動成分を表す第2の信号(SBP)を抽出するための第1の信号(Sa)の周波数濾波ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処理ステップが、転がり面の粗さを示す少なくとも1つのパラメータを計算するための前記第2の信号の少なくとも1つの部分(δ1)のデータ処理ステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1の信号(Sa)が、表面上で転動中のタイヤの前記少なくとも1点の加速度を表す加速度信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加速度信号が、タイヤの少なくとも1点の次の加速度:半径方向加速度、縦方向加速度、横方向加速度、のうち少なくとも1つを表す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1の信号が、タイヤの回転中の前記少なくとも1点(P)の運動を表し、前記処理ステップが:
− 前記少なくとも1点がタイヤの転がり面との接触ゾーン(C−Z)内にある場合、タイヤ転動ステップに関連する第1の信号の第1の部分に対応する第1の一時的/角座標を決定するステップと、
− 前記少なくとも1点が前記接触ゾーンに隣接するゾーン(IN−Z、;OU−Z)内にある場合、タイヤ転動ステップに関連する第1の信号の第2の部分に対応する少なくとも1つの第2の一時的/角座標を決定するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記隣接ゾーンが、タイヤの回転方向に従って前記接触ゾーン(C−Z)に先行する入力ゾーン(IN−Z)である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記入力ゾーン(IN−Z)が、所定開口角を有するタイヤの角度セクタに対応する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
処理ステップが、タイヤ(11)の回転中の同タイヤ(11)の角速度の推定ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
推定ステップが、タイヤの向心加速度の少なくとも1つの値に基づく、及びタイヤの半径に基づく角速度の計算ステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
処理ステップが、前記一時的/角座標に基づく第2の信号(SBP)の前記少なくとも1つの部分(δ1)の画定ステップを含み、前記少なくとも1つの部分が接触ゾーン(C−Z)と隣接ゾーン(IN−Z)との間のものに対応する、請求項3及び6に記載の方法。
【請求項12】
処理ステップが:
− 第2の信号(SBP)を抽出するために第1の信号を濾波するステップと、
− 前記第2の信号に対応するデジタルデータを得るためのアナログデジタル変換を実行するステップと、
− 前記デジタルデータの少なくとも一部を分析し、タイヤの転動が起こる表面の粗さを示す現在パラメータを搬送する出力信号を提供するステップとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
デジタルデータの少なくとも一部の前記分析ステップが、所定数のデジタルサンプルに関連する値の平均の計算を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
タイヤの変動角速度で測定された粗さパラメータの第1のトレンドを表す少なくとも1つの第1の基準曲線を画定するデータ(a、b、c)の事前記憶ステップをさらに含み、第1の基準曲線が第1の基準転がり面に関連する第1クラスの粗さを示す、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
タイヤの変動角速度で測定された粗さパラメータの第2のトレンドを表す第2の基準曲線を画定する追加データ(a、b、c)の事前記憶ステップをさらに含み、第2の基準曲線が、第1クラスの粗さと異なる、第2の基準転がり面に関連する第2クラスの粗さを示す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
− 現在パラメータを搬送する出力信号を受信するステップと、
− 基本的に現在パラメータの測定中にタイヤで推測された現在角速度を示す追加的出力信号を受信するステップと、
− 基本的に現在パラメータの測定中に、タイヤの転動が起こっている表面が属する粗さ類型を確立できるように、前記少なくとも第1の基準曲線の値との現在パラメータの比較分析を実行するステップとをさらに含み、比較分析が現在角速度を考慮に入れることによって実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのタイヤが装着される自動車の挙動を制御する方法であって:
− 先行請求項の少なくとも1項に記載の方法に従ってタイヤ(11)の転がり面の粗さに関する情報を決定するステップと、
− 自動車制御装置が粗さに関する情報を利用できるようにするステップとを含む、方法。
【請求項18】
前記制御装置がABS(アンチブロッキングシステム)装置である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
自動車に装着されるタイヤ(11)の転がり面の粗さを決定する装置であって、タイヤに動作可能に関連付けることができ:
− それぞれの粗さを有する表面上を前記タイヤが転動中に、該タイヤの少なくとも1点(P)の運動を表す第1の信号(Sa)を提供するセンサ装置(3、32)を備え、
前記タイヤ転がり面の粗さを示す出力(OU)を発生させるための第1の信号の処理ステージ(51、2)をさらに備える、装置。
【請求項20】
処理ステージが、転動中にタイヤが受けた変形に起因する前記少なくとも1点の運動の成分を表す第2の信号(SBP)を抽出するための第1の信号(Sa)の周波数濾波を実行できるような種類である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
処理ステージが、転がり面の粗さを示す少なくとも1つのパラメータを計算するための前記第2の信号の少なくとも一部の分析を実行できるような種類である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記センサ装置が加速度計を含み、第1の信号(Sa)が表面上を転動中のタイヤの前記少なくとも1点の加速度を表す加速度信号である、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記加速度信号が、次のタイヤ加速度:半径方向、縦方向、横方向、のうち少なくとも1つを表す、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
第1の信号がタイヤ(11)の1回転中の前記少なくとも1点(P)の運動を表し、処理ステージ(54、53、34)が第1の信号(Sa)を処理し:
− 前記少なくとも1点が表面との接触ゾーン(C−Z)内に見受けられるタイヤの転動ステップに関連する第1の信号の第1の部分、
− 前記少なくとも1点が前記接触ゾーンに隣接するゾーン(IN−Z、OU−Z)内に見受けられるタイヤの転動ステップに関連する第1の信号の第2の部分、に対応する一次的/角座標を決定できる、請求項19に記載の装置。
【請求項25】
前記隣接ゾーンが、タイヤの回転方向に従って前記接触ゾーン(C−Z)に先行する入力ゾーン(IN−Z)である、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記入力ゾーン(IN−Z)が、所定開口角を有するタイヤの角度セクタに対応する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
処理ステージが、タイヤ(11)の回転中に想定されたタイヤ(11)の角速度を推定することができる、請求項19に記載の装置。
【請求項28】
処理ステージが、タイヤの少なくとも1つの向心加速度値に基づき、及びタイヤ半径に基づき、角速度を推定できる、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
処理ステージが、前記一時的/角座標に基づいて第2の信号(SBP)の前記少なくとも1つの部分(δ1)を識別でき、前記少なくとも1つの部分が接触領域(C−Z)と隣接領域(IN−Z)との間のものに対応する、請求項21及び24に記載の装置。
【請求項30】
前記処理ステージが、第1の信号から開始することで前記第2の信号を提供するための帯域パス濾波ブロック(52)を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項31】
− 前記第2の信号(SBP)に対応し、所定サンプリング周波数に関連させたデジタルデータを得るためのアナログデジタルコンバータ(53)と、
− 少なくとも前記デジタルデータを記憶するためのメモリ装置(35)と、をさらに備える、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記処理ステージが前記デジタルデータの少なくとも一部を分析し、転がり面の粗さを示す少なくとも1つのパラメータを提供する処理ユニット(34)を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記帯域パス濾波ブロック(52)が300Hzと5,000Hzとの間に含まれる通過帯域を有する、請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記帯域パス濾波ブロック(52)が300Hzと2,500Hzとの間に含まれる通過帯域を有する、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記濾波ブロックが、タイヤの回転の角速度の関数として修正可能なそれぞれのカットオフ周波数(f、f)を有し、前記タイヤのトレッドに存在するブロックパターン数によって決まるファクターと相関関係にある、少なくとも1つのトラッキングフィルタ(56、57)を含む、請求項30に記載の装置。
【請求項36】
処理ユニットによって処理されるサンプルの前記少なくとも一部が、前記サンプリング周波数の関数として、及び前記隣接ゾーンと前記接触ゾーンとの間のものの延長部の関数として決定される、請求項29及び32に記載の装置。
【請求項37】
前記センサ装置がタイヤに固定しやすいように処理されている、請求項19に記載の装置。
【請求項38】
前記処理ステージ(51)に接続され、少なくとも1種類の外部信号を照射するために第1のアンテナ(37)を備えた送信装置(31)を、さらに備える、請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記少なくとも1種類の外部信号が第1の信号の情報内容を搬送する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記少なくとも1種類の外部信号がタイヤ転がり面の粗さを示す情報を搬送する、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記少なくとも1種類の外部信号が転動中のタイヤの現在角速度を表す速度信号を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項42】
− 自動車に搭載可能であり、前記外部信号を受信するために受信装置(25)に連結された第2のアンテナ(25)を含む固定ユニット(2)と;
− 受信された外部信号を処理するために受信装置に接続された追加処理ユニットと;をさらに備える、請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記センサ装置がタイヤの支持リム(12)に固定しやすいように処理されている、請求項19に記載の装置。
【請求項44】
それぞれの粗さを有する表面上をタイヤが転動中に該タイヤの少なくとも1点(P)の運動を表す第1の信号(Sa)を提供するための該タイヤに動作可能に関連付けられたセンサ装置(3)を備え、
前記センサ装置が、前記タイヤ転がり面の粗さを示す出力(OU)を発生させるための第1の信号の処理ステージ(51)を備える、自動車用のタイヤ(11)。
【請求項45】
処理ステージが、転動中にタイヤが受けた変形に起因する前記少なくとも1点の運動成分を表す第2の信号(SBP)を抽出するための第1の信号(Sa)の周波数濾波を実行できる、請求項44に記載のタイヤ。
【請求項46】
処理ステージが、転がり面の粗さを示す少なくとも1つのパラメータを計算するための前記第2の信号の少なくとも一部の処理を実行できる、請求項45に記載のタイヤ。
【請求項47】
前記センサ装置が加速度計(32)を含み、第1の信号(Sa)が表面上を転動中のタイヤの前記少なくとも1点の加速度を表す加速度信号である、請求項45に記載のタイヤ。
【請求項48】
前記加速度信号が次のタイヤ加速度:半径方向、縦方向、横方向、のうち少なくとも1つを表す、請求項47に記載のタイヤ。
【請求項49】
センサ装置が、固定要素(332)によってタイヤ内部の1つの壁に固定された、ケーシングを備える、請求項44に記載のタイヤ。
【請求項50】
表面上を前記タイヤが転動中に該タイヤの少なくとも1つの追加点の運動を表す追加対応信号(Sa)を提供するための該タイヤに動作可能に関連付けることができる少なくとも1つの追加的センサ装置を含む、請求項44に記載のタイヤ。
【請求項51】
支持リム(12)と、前記支持リムに関連する請求項44〜50の少なくとも一項に記載のタイヤ(11)とを有する車輪。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−518965(P2007−518965A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510127(P2005−510127)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/IT2003/000706
【国際公開番号】WO2005/042322
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(598164186)ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (123)
【Fターム(参考)】