説明

タクシー料金システム装置

【課題】利用者が途中で目的地を変更した場合においても、利用者に対して事前にタクシー料金の提示を行うことができるタクシー料金システム装置を得る。
【解決手段】GPSから現在位置のデータを得て、入力された目的地までの経路を検索するとともに、VICS情報から渋滞情報を得て、時間距離併用運賃制による予測タクシー料金を算出して、利用者に提示する。また、利用者が途中で目的地を変更し、変更後の目的地が入力された場合には、その地点から変更後までに予測タクシー料金を計算し、現在のタクシー料金に、当該予測タクシー料金を加算して、利用者に提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はタクシー料金システム装置に関し、特に、タクシー料金の見積もり額を予測することができるタクシー料金システム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は従来のタクシー料金システム装置の構成を示すブロック図である。図2において、20は従来のタクシーメータ装置であり、21はタクシーの走行距離を検出する走行距離検出部、22はタクシー料金を計算するタクシー料金計算部、23は乗車時間および乗車時刻を管理する時間管理部、24はタクシー料金を表示するタクシーメータ表示部、25は特別料金等の条件を入力するタクシーメータ入力部、26は領収書を印刷する印字部、27は売り上げ等の営業情報を蓄積する営業情報蓄積部、28は営業情報の転送やパラメータの変更等に使用する外部インタフェース部である。
【0003】
また、29はカーナビゲーション装置であり、30はカーナビゲーション情報処理部、31はGPS(Global Positioning System)情報処理部、32はVICS(Vehicle Information and Communication System)情報処理部、33はカーナビゲーション表示部、34はカーナビゲーション入力部、35はカナビゲーション装置29のアンテナ部である。なお、GPS情報処理部31は、GPSからの情報に基づいて自車の地球上の位置情報を得る。GPSは、説明するまでもないが、人工衛星を利用して地球上の自分の位置を正確に割り出すことができるシステムである。また、VICSとは、FM多重放送や道路上の発信機から受信した交通情報を、図形や文字で表示するシステムのことであり、VICS情報処理部32は、VICSセンターで編集・処理された渋滞や交通規則などの道路交通情報をリアルタイムに送信し、カーナビゲーション装置29に予め格納されている地図データによる地図表示の上に重ね書きして表示するためのデータを作成する。
【0004】
また、36は高速料金支払い等に利用するETC(Electronic Toll Collection)装置、37はETCアンテナ部である。ETCとは、有料道路の料金所などに設置されたアンテナと自動車に搭載した端末(車載器)とで通信を行い、自動車を止めずに有料道路の料金支払いなどを処理するシステムであり、ETC装置36は当該端末(車載器)のことである。
【0005】
18は、タクシー会社のセンター局との通信に使用する無線通信装置、19は無線通信装置18の無線通信装置アンテナ部である。
【0006】
なお、図2に示すように、タクシーメータ装置20と、カーナビゲーション装置29、および、ETC装置36とは、互いに接続されておらず、個別に動作する。
【0007】
従来のタクシー料金システム装置は以上のように構成され、次のように動作する。まず、タクシーメータ装置20に接続されている走行距離検出部21からの情報と、時間管理部23の深夜割増情報と、タクシーメータ入力部25より入力された追加料金の条件とを元にして、タクシー料金計算部22がタクシー料金を算出し、タクシーメータ表示部24に表示する。高速道路等の有料道路を利用した場合はETC装置36からの情報もしくは実費を乗務員がタクシー料金に加算する。なお、従来のカーナビゲーション装置29は単に目的地への経路検索に使用されるものであり、当然ながら、タクシー料金には関係しない。
【0008】
このように、タクシー料金体系は目的地までの走行距離による距離運賃制,時間距離併用運賃制,割増料金,割引料金,送迎回送料金,無線車待料金,予約料金などの条件が組み合わされており、利用者が目的地に到着したときに、はじめてタクシー料金が決定する。
【0009】
特に、従来のタクシーでは渋滞等の場合、時間距離併用運賃が適用される場合があるため、目的地に到着した時にタクシー料金が確定する。なお、時間距離併用運賃とは、渋滞などにより走行速度が低下した場合に、予め設定された値よりも低い走行速度で走行した区間に対して、所定時間ごとに所定金額を、走行距離に基づくタクシー料金にさらに追加する料金制度のことである。
【0010】
従来のタクシーにおいては、利用者が予算内でタクシーを利用しようとする場合には、タクシーメータに表示されている金額が、利用者が予定している予算金額に達した地点で、利用者は目的地に到着していなくても、タクシーを降りなければならない。
【0011】
なお、補足ながら、タクシーの走行距離の算出は、一般に、タイヤの回転数により算出されている。
【0012】
また、利用者の乗車地点,目的地,乗車時間などの業務日誌とタクシー料金の売り上げデータは別個に管理されている。
【0013】
一方、従来のタクシー料金予想装置として、出発地点と目的地点までの距離情報と渋滞情報とに基づいてタクシー料金を予想するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0014】
【特許文献1】特開2002−150330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のように、タクシー料金体系は、一般的に、目的地までの走行距離による距離運賃制に割増料金,割引料金,送迎回送料金,無線車待料金,予約料金などの条件が組み合わされるため、従来のタクシー料金システム装置においては、利用者は目的地に到着するまで正確なタクシー料金を知ることが出来ないという問題点があった。
【0016】
また、渋滞時には時間距離併用運賃制が適用されるため、渋滞時とそうでない時とでは同じ経路であってもタクシー料金が大幅に異なる可能性があり、利用者は目的地に到着するまで正確なタクシー料金を知ることが出来ないという問題点があった。
【0017】
さらに、利用者が予算内でタクシーを利用する場合には、タクシー料金が予算金額に達した地点が到達地点となり、明確にならないため、到達地点が利用者の予想と乖離してしまうことがあるという問題点があった。
【0018】
従来のタクシー料金予想装置においては、利用者が途中で目的地を変更した場合や、予算内でタクシーを利用したい場合等には、利用者は得たい情報を得ることが出来ないという問題点があった。
【0019】
また、従来においては、走行距離の算出はタイヤの回転数により算出されるため、タイヤの空気圧・グリップ力等の営業車両の性能および乗員の運転技術・経験等の要因により走行距離の誤差が発生し、タクシー料金に差が出てしまうという問題点があった。
【0020】
また、タクシー事業者は利用者の乗車地点,目的地,乗車時刻などの業務日誌の情報とタクシー料金の売り上げ情報などを関連付ける作業が必要であった。
【0021】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、GPSを利用して現在位置を取り込むようにして、利用者が途中で目的地を変更した場合においても、利用者に対して事前にタクシー料金の提示を行うことができ、また、運転者や営業車両によるタクシー料金の誤差削減によりタクシー料金の信頼性を提供することができるタクシー料金システム装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明は、時間距離併用運賃制によりタクシー料金を計算し表示するタクシー料金システム装置であって、GPSから現在地点の情報を受信する現在地点情報受信手段と、目的地を入力する目的地入力手段と、上記目的地が入力されたときに、予め格納されている地図データに基づいて前記現在地点から前記目的地までの経路検索を行うカーナビゲーション手段と、探索した前記経路の渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段と、前記経路に基づいて走行距離を算出する走行距離算出手段と、前記走行距離に基づいて予測距離制料金を算出する距離運賃制料金予測手段と、前記渋滞情報に基づいて予測走行速度を算出し、前記予測走行速度がしきい値以下の範囲について、予測乗車時間に応じて加算される予測時間制料金を算出する時間制料金予測手段と、前記予測距離運賃制料金と前記予測時間制料金とを加算して予測タクシー料金を算出する予測タクシー料金算出手段と、前記予測タクシー料金を表示する表示手段とを備えたことを特徴とするタクシー料金システム装置である。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、時間距離併用運賃制によりタクシー料金を計算し表示するタクシー料金システム装置であって、GPSから現在地点の情報を受信する現在地点情報受信手段と、目的地を入力する目的地入力手段と、上記目的地が入力されたときに、予め格納されている地図データに基づいて前記現在地点から前記目的地までの経路検索を行うカーナビゲーション手段と、探索した前記経路の渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段と、前記経路に基づいて走行距離を算出する走行距離算出手段と、前記走行距離に基づいて予測距離制料金を算出する距離運賃制料金予測手段と、前記渋滞情報に基づいて予測走行速度を算出し、前記予測走行速度がしきい値以下の範囲について、予測乗車時間に応じて加算される予測時間制料金を算出する時間制料金予測手段と、前記予測距離運賃制料金と前記予測時間制料金とを加算して予測タクシー料金を算出する予測タクシー料金算出手段と、前記予測タクシー料金を表示する表示手段とを備えたことを特徴とするタクシー料金システム装置であるので、
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るタクシー料金システム装置の構成を示したブロック図である。
【0025】
以下、この発明の実施の形態1の構成を図について説明する。図1において、1はタクシーメータ装置であり、タクシーメータ装置1は、タクシー料金を計算するタクシー料金計算部2と、乗車時間および乗車時刻を管理する時間管理部3と、タクシー料金を表示するタクシーメータ表示部4と、特別料金等の条件を入力するタクシーメータ入力部5と、領収書を印刷する印字部6と、売り上げ等の営業情報と業務日誌情報を蓄積する営業情報蓄積部7と、蓄積された営業情報の転送やパラメータを変更等に使用する外部インタフェース部8とを備えている。
タクシー料金計算部2は、カーナビゲーション装置9からの情報と、ETC装置16からの情報と、タクシーメータ入力部5からの情報と、時間管理部3からの情報とに基づいて予測タクシー料金を計算するとともに、ETC装置16からの情報と、タクシーメータ入力部5からの情報と、時間管理部3からの情報とに基づいて実際のタクシー料金を計算する。
時間管理部3は、乗車時刻を管理して、乗車時刻が深夜割増対象の時刻か否かを判定して深夜割増対象の時刻だった場合に、それを知らせる信号をタクシー料金計算部2に送信する。また、時間管理部3は、渋滞などにより走行速度が低下した場合に、時間制運賃を計算するための情報をタクシー料金計算部2に送信する。
タクシーメータ表示部4は、予測タクシー料金および実際のタクシー料金を表示する。
タクシーメータ入力部5は、各種割引や追加料金などの特別料金の条件が入力される。
印字部6は、予測タクシー料金および実際のタクシー料金を印字する。
営業情報蓄積部7は、売り上げ等の営業情報と業務日誌情報を蓄積する。なお、カーナビゲーション装置9のGPS情報処理部11からの情報に基づいて、乗車位置および降車位置の情報を営業情報として自動的に蓄積するようにしてもよい。
外部インタフェース部8は、蓄積された営業情報の転送やパラメータの変更時等に使用され、種々のデータが入力される。
【0026】
9はカーナビゲーション装置であり、カーナビゲーション装置9は、カーナビゲーション情報処理部10と、GPS情報処理部11と、VICS情報処理部12と、カーナビゲーション表示部13と、カーナビゲーション入力部14と、アンテナ部15とを備えている。
カーナビゲーション情報処理部10は、予め格納されている地図データに基づいて、GPS情報処理部11から得た自車の地球上の現在の測位位置(現在位置)と、カーナビゲーション入力部14に入力される目的地との情報に基づいて、目的地までの経路を検索する。
GPS情報処理部11は、GPSから得た情報に基づいて、自車の現在位置の情報を出力する。
VICS情報処理部12は、VICSセンターで編集・処理された渋滞や交通規則などの道路交通情報をリアルタイムに送信し、カーナビゲーション装置29に予め格納されている地図データに基づく地図表示の上に重ね書きして表示するための表示データを作成するとともに、予測タクシー料金を算出する際の時間制運賃を算出するための渋滞情報を出力する。
カーナビゲーション表示部13は、予め用意されている地図情報を用いて、現在位置付近の地図を画面表示するとともに、渋滞情報と検索された目的地までの経路とを当該地図上に重ね表示する。
カーナビゲーション入力部14は、乗務員の操作によって、目的地が入力される。
アンテナ部15は、GPSからの情報を受信する。
【0027】
16は高速料金支払い等のETC装置、17はETCアンテナ部である。
ETC装置16は、ETCアンテナ部17が送受信する情報に基づいて、自動車を止めずに有料道路の料金支払いなどの処理を行う。
ETCアンテナ部17は、有料道路の料金所などに設置されたアンテナとの間で通信を行う。
【0028】
18は、タクシー会社のセンター局との通信に使用する無線通信装置、19は無線通信装置のアンテナ部である。
無線通信装置18は、タクシー会社に依頼のあった迎車依頼や予約依頼などの情報や、忘れ物情報などの各種連絡事項が音声でタクシー会社から送信されてくるので、それを乗務員に対して放送する装置である。
無線通信装置アンテナ部19は、上記各種連絡事項の音声データを受信する。
【0029】
本実施の形態においては、図1に示すように、カーナビゲーション装置9、ETC装置16、および、無線装置18は、タクシーメータ装置1に接続されており、タクシーメータ装置1は、これらの装置から得た情報を用いて予測タクシー料金および実際のタクシー料金の算出を行う。
【0030】
なお、タクシー料金は、距離運賃制と時間制の二つの料金体系から成り立つ時間距離併用運賃制に従って計算される。すなわち、予測タクシー料金も、実際のタクシー料金と同様に、時間距離併用運賃制に従って計算される。距離運賃制料金は、初乗り料金(乗車後の2km以下における範囲の料金)の660円に、以降、所定距離(274m)追加ごとに80円ずつ加算する。時間距離併用運賃制は、距離運賃制と同じ計算方法で求めた料金に、さらに、時間制料金を加算する。時間制料金とは、渋滞などで走行速度が低下し、予め設定されたしきい値以下の走行速度(例えば、時速10km以下)で走行した区間に対し、所定時間(1分40秒)ごとに80円ずつ加算されていく料金制度である。なお、実際の走行速度は、車速センサ(図示せず)からの値を用いるようにする。時間管理部3は、渋滞情報に基づいて、時速10km以下で走行することが予測される区間を求め、当該区間について乗車時間を計測し、所定時間経過ごとに時間制料金が発生することをタクシー料金計算部2に通知する。
【0031】
また、乗車時刻が深夜23時〜早朝5時までの間は、深夜割増として、通常時の運賃の3割増しとなる。時間管理部3は、乗車時刻が深夜23時〜早朝5時の範囲に含まれるときに走行した区間について、深夜割増料金が発生したことをタクシー料金計算部2に通知する。タクシー料金計算部2は、その区間については、通常通りに計算したタクシー料金に1.3を乗算して、タクシー料金を補正する。
【0032】
また、タクシー会社によっては、各種特別料金を設定している。例えば、障害者手帳の提示があった場合には、タクシー料金を1割引にするといった割引制度を設定している場合等がある。この場合には、通常通りに計算されたタクシー料金に0.9を乗算して、タクシー料金を補正する。あるいは、遠距離の場合(予め設定した閾値以上の距離を乗車した場合)に、1割引にするといったサービスを行っている場合も想定される。この場合も、同様に、通常通りのタクシー料金に0.9を乗算して補正する。また、利用者が予約した場合には、予約料金として所定の額(例えば、500円)が加算されるとともに、予約時間から利用者が実際に乗車するまでの待ち時間に比例した追加料金が加算される。このような各種特別料金等に関する条件をタクシーメータ入力部5に入力すると、タクシーメータ入力部5はその情報をタクシー料金計算部2に通知する。
【0033】
次に、動作について説明する。まず、本実施の形態におけるタクシー料金の算出動作について説明する。まず、実際の走行距離の情報と、時間管理部3の深夜割増情報と、タクシーメータ入力部5より入力された追加料金の条件とを元にして、タクシー料金計算部2がタクシー料金を算出し、タクシーメータ表示部4に表示する。なお、この際に、渋滞などにより走行速度が所定のしきい値より低下した区間においては、時間管理部3からの情報に基づいて、時間に比例した時間制料金が加算される。また、高速道路等の有料道路を利用した場合は、ETC装置16からの情報に基づく実費をタクシー料金に加算する。
【0034】
なお、このようにして算出した料金を実際のタクシー料金として利用者に請求するようにしてもよいが、下記のようにして算出した予測タクシー料金を見積もり額として、実際にかかったタクシー料金の額にかかわらず、見積もり額通りの金額を利用者に請求するようにしてもよい。
【0035】
次に、本実施の形態における予測タクシー料金の算出動作について説明する。
カーナビゲーション装置9においては、カーナビゲーション入力部14に入力された目的地とGPS情報処理部11での現在の測位情報とVICS情報処理部12からの渋滞情報を基に、カーナビゲーション情報処理部10が目的地までの経路を検索して走行距離と予測乗車時間を算出する。また、カーナビゲーション装置9には、高速道路等の有料道路の情報(有料道路の区間とその料金の情報)が予め用意されており、カーナビゲーション装置9は、検索された経路上の有料道路の有料料金情報を検索する。なお、探索する経路は1つに限らず、複数経路を検索して、それぞれの経路に対して、走行距離と予測乗車時間を算出するようにしてもよい。このようにして、カーナビゲーション装置9は、算出された走行距離と予測乗車時間の情報と、経路上の高速道路等の有料料金情報とをタクシーメータ装置1に送信する。
【0036】
タクシーメータ装置1においては、カーナビゲーション装置9から受信した走行距離と予測乗車時間と有料料金の情報と、時間管理部3からの深夜割増情報と、タクシーメータ入力部5より入力された特別料金の条件とを元にして、タクシー料金計算部2が時間距離併用運賃制により予測タクシー料金を算出し、タクシーメータ表示部4に表示することにより事前にタクシー料金を利用者に提示する。
【0037】
また、乗車中の利用者が途中で目的地を変更した場合には、カーナビゲーション装置9で現地点から変更した目的地までの経路を検索し、走行距離と予測乗車時間を算出する。カーナビゲーション装置9は、これらの情報と高速道路等の有料料金情報をタクシーメータ装置1に送信する。タクシーメータ装置は、これらの情報に基づいて、上述した計算方法と同様の方法により、変更した目的地までの予測タクシー料金を算出し、現在のタクシー料金にそれを加算して、タクシーメータ表示部4に表示して、利用者に変更後の予測タクシー料金を提示する。
【0038】
以上のように、本実施の形態によれば、カーナビゲーション装置9から受信した走行距離と予測乗車時間と有料料金の情報と時間管理部3の深夜割増情報およびタクシーメータ入力部5より入力された特別料金の条件を元にして、タクシー料金計算部2が時間距離併用運賃制により予測タクシー料金を算出し、タクシーメータ表示部4に表示することにより事前にタクシー料金を利用者に提示するようにしたので、利用者は精度の高い予測タクシー料金を事前に知ることができるので、安心してタクシーを利用することができる。
【0039】
さらに、利用者が乗車中に目的地を変更した場合にも、現地点から変更後の目的地までの予測タクシー料金を計算し、現時点のタクシー料金に当該予測タクシー料金を加算した値を、新たな予測タクシー料金として利用者に提示するようにしたので、さらに利便性を向上させることができる。
【0040】
実施の形態2.
本実施の形態においては、上記実施の形態1で説明した、カーナビゲーション装置9からの乗車地点、降車地点、走行距離の情報、タクシーメータ装置1の時間管理部3からの利用者の乗降者日時等の付加情報、ETC装置16からの高速道路等の有料料金、及び、タクシーメータ入力部5に入力された各種追加料金などの利用明細を、タクシーメータ装置1の印字部6から印字して利用者に提供する。なお、他の構成および動作については、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0041】
以上のように、本実施の形態においては、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、予測タクシー料金を算出するために用いた各種情報が含まれた利用明細を印字して利用者に提供できるようにしたので、利用者はタクシー乗車時だけでなく、その後のタクシー利用に関しての参考資料とすることができる。
【0042】
実施の形態3.
本実施の形態においては、上記実施の形態1の構成において、乗車中の利用者が検索した経路の途中で途中下車する場合、カーナビゲーション装置9により、カーナビゲーション装置9で現地点から途中下車予定地点までの走行距離と予測乗車時間を計算する。なお、この際に、経路としては、乗車地点から当初の目的地点までを対象にして最初に検索した経路を用いることとし、経路の検索は再度行わないこととする。カーナビゲーション装置9は、これらの情報と高速道路等の有料料金情報をタクシーメータ装置1に送信する。タクシーメータ装置1は、これらの情報に基づいて、実施の形態1で上述した計算方法と同様の方法により、途中下車予定地点までの予測タクシー料金を算出し、現在のタクシー料金にそれを加算して、タクシーメータ表示部4に表示して、利用者に変更後の予測タクシー料金を提示する。
【0043】
以上のように、本実施の形態においては、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、利用者が乗車中に目的地を変更して途中下車する場合にも、現地点から変更後の途中下車予定地点までの予測タクシー料金を計算し、現時点のタクシー料金に当該予測タクシー料金を加算した値を、新たな予測タクシー料金として利用者に提示するようにしたので、さらに利便性を向上させることができる。
【0044】
実施の形態4.
上記実施の形態1においては、目的地までの経路での予測タクシー料金を提示したが、本実施の形態においては、あらかじめ利用者の予算がある場合には、タクシーメータ装置1のタクシーメータ入力部5から、利用者の予算を入力して、タクシー料金計算部2で走行可能距離を算出する。タクシーメータ装置1は、算出した走行可能距離情報をカーナビゲーション装置9に送信する。この時点では渋滞情報は考慮されていない。
【0045】
カーナビゲーション装置9では、カーナビゲーション情報処理部10が、GPS情報処理部11からの現在位置情報と、カーナビゲーション入力部14から入力された目的地とから経路を検索し、タクシーメータ装置1から受信した走行可能距離情報から、当該経路上において、到達可能な地点を算出する。その後、VICS情報処理部12からの渋滞情報に基づいて、渋滞が発生していると予想された場合に、算出した到達可能な地点を修正する。すなわち、渋滞区間が予測されると、その区間については、時間制運賃が加算されるので、その分だけ、予算内での走行可能距離が短くなるため、最初に算出した到達可能な地点の修正を行う。渋滞が予想されない場合には、当該修正は行わない。このようにして、カーナビゲーション表示部13に表示することにより、利用者に予算の範囲で到達可能な地点を提示することができる。他の構成および動作については実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、利用者の予算がある場合には、当該予算の範囲で到達可能な地点をカーナビゲーション装置9が求めて表示するようにしたので、利用者は予算に合わせてタクシーを利用することができる。
【0047】
実施の形態5.
上記実施の形態1では目的地までの経路での予測タクシー料金を提示したが、走行距離の算出にカーナビゲーション装置9の情報を利用し、本実施の形態においては、予測タクシー料金を実際のタクシー料金として請求するようにしたため、乗員の技量や経験、あるいは、図2の従来用いていた走行距離検出部21で発生する営業車毎の差異が発生しないので、乗員や車両の違いに関係なくタクシー料金の精度を確保することができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、走行距離の算出にカーナビゲーション装置9の情報を利用し、予測タクシー料金を実際のタクシー料金として請求するようにしたため、乗員や車両の違いに関係なくタクシー料金の精度を確保することができる。
【0049】
実施の形態6.
本実施の形態においては、上記実施の形態1で利用者の乗車地点と目的地、走行距離・乗車時間・タクシー料金などの営業情報と業務日誌情報をタクシーメータ装置1の営業情報蓄積部7に蓄積させて一元管理する。
【0050】
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、利用者の乗車地点、目的地、乗車時間などの業務日誌の情報とタクシー料金の売り上げ情報を一元管理することにより業務日誌と売り上げ情報の差異をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の実施の形態1に係るタクシー料金システムの構成を示すブロック図である。
【図2】従来のタクシー料金システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
1 タクシーメータ装置、2 タクシー料金計算部、3 時間管理部、4 タクシーメータ表示部、5 タクシーメータ入力部、6 印字部、7 営業情報蓄積部、8 外部インタフェース部、9 カーナビゲーション装置、10 カーナビゲーション情報処理部、11 GPS情報処理部、12 VICS情報処理部、13 カーナビゲーション表示部、14 カーナビゲーション入力部、15 アンテナ部、16 ETC装置、17 ETCアンテナ部、18 無線通信装置、19 無線通信装置アンテナ部、21 走行距離検出部、22 タクシー料金計算部、23 時間管理部、24 タクシーメータ表示部、25 タクシーメータ入力部、26 印字部、27 営業情報蓄積部、28 外部インタフェース部、29 カーナビゲーション装置、30 カーナビゲーション情報処理部、31 GPS情報処理部、32 VICS情報処理部、33 カーナビゲーション表示部、34 カーナビゲーション入力部、35 アンテナ部、36 ETC装置、37 ETCアンテナ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間距離併用運賃制によりタクシー料金を計算し表示するタクシー料金システム装置であって、
GPSから現在地点の情報を受信する現在地点情報受信手段と、
目的地を入力する目的地入力手段と、
上記目的地が入力されたときに、予め格納されている地図データに基づいて前記現在地点から前記目的地までの経路検索を行うカーナビゲーション手段と、
探索した前記経路の渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段と、
前記経路に基づいて走行距離を算出する走行距離算出手段と、
前記走行距離に基づいて予測距離制料金を算出する距離運賃制料金予測手段と、
前記渋滞情報に基づいて予測走行速度を算出し、前記予測走行速度がしきい値以下の範囲について、予測乗車時間に応じて加算される予測時間制料金を算出する時間制料金予測手段と、
前記予測距離運賃制料金と前記予測時間制料金とを加算して予測タクシー料金を算出する予測タクシー料金算出手段と、
前記予測タクシー料金を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とするタクシー料金システム装置。
【請求項2】
乗車中に、前記目的地入力手段に別の目的地が入力された場合には、現在地点から前記別の目的地までの予測タクシー料金を算出して、現在のタクシー料金にそれを加算して、新たな予測タクシー料金として表示することを特徴とする請求項1に記載のタクシー料金システム装置。
【請求項3】
前記別の目的地が、行き先変更された別の目的地であった場合に、前記カーナビゲーション手段が経路探索をし直すことを特徴とする請求項2に記載のタクシー料金システム装置。
【請求項4】
前記別の目的地が、探索された経路上の途中下車予定地だった場合に、前記距離制料金予測手段と前記時間制料金予測手段とは、先に行った経路探索で得られた経路に従って、予測距離制料金および予測時間制料金をそれぞれ算出することを特徴とする請求項2に記載のタクシー料金システム装置。
【請求項5】
乗車地点、降車地点、走行距離、および、タクシー料金を印字する印字手段を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタクシー料金システム装置。
【請求項6】
利用者の乗車地点、目的地、乗車時間などの業務日誌の情報とタクシー料金の売り上げ情報を一元管理する一元管理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタクシー料金システム装置。
【請求項7】
時間距離併用運賃制によりタクシー料金を計算し表示するタクシー料金システム装置であって、
タクシー料金の予算額を入力する予算額入力手段と、
前記予算額に基づいて、走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段と、
GPSから現在地点の情報を受信する現在地点情報受信手段と、
目的地を入力する目的地入力手段と、
上記目的地が入力されたときに、予め格納されている地図データに基づいて前記現在地点から前記目的地までの経路検索を行うカーナビゲーション手段と、
前記走行可能距離算出手段によって算出された前記走行可能距離に基づいて、前記経路上の前記予算額の範囲の到達可能地点を算出する到達可能地点算出手段と、
探索した前記経路の渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段と、
前記渋滞情報に基づいて予測走行速度を算出し、前記予測走行速度がしきい値以下の範囲があると予測された場合に、当該範囲について、予測乗車時間に応じて加算される予測時間制料金を算出する時間制料金予測手段と、
前記予測時間制料金の分に比例した走行距離を算出し、当該走行距離の分だけ前記到達可能地点を近距離の位置に修正する到達可能地点修正手段と、
前記到達可能地点修正手段による修正が行われた場合には修正された前記到達可能地点を表示し、修正が行われなかった場合には前記到達可能地点算出手段によって算出された前記到達可能地点を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とするタクシー料金システム装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−334472(P2007−334472A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163217(P2006−163217)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】