説明

タググループの設定方法及び移動体位置監視システム

【課題】 グループIDコードの設定が不要で、グループからの離脱が確実に検出でき、しかも離脱したタグの位置をユーザーが知ることができるタググループの設定方法を提供する。
【解決手段】 マスタタグは記憶領域として少なくとも、書き換え不能な複数ビットのIDコードを記憶する固定領域と、書き換え可能な複数ビットを有する可変領域を有し、スレーブタグは少なくとも書き換え不能で、且つマスタタグと同一ビットのIDコードを記憶する固定領域を有し、マスタタグの可変領域は、少なくともグループ情報領域を備え、当該グループ情報領域には、複数ビットのIDコードの内、グループIDコードとして使用する領域を指定する情報を設定し、タググループは、各タグ自身のIDコードの内、グループ情報領域でグループIDコード領域と指定されたIDコードの部分が同一のタグとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、単独またはグループで移動している人または物の移動経路と、グループから離脱した人または物の位置を、グループ内のマスタに通知するための移動体位置監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグ(以下単にタグとする)を利用して、移動体の監視とグループ離脱を検出する従来例として特許文献1がある。特許文献1では、複数のタグに、グループを識別するためのグループIDコードと、自身のタグIDコードを持たせ、同一のグループに属する複数のタグの位置情報および該位置情報に対応する時刻情報を複数のタグリーダで読み取り、タグリーダからの情報は転送装置によりタグ移動状況判断装置に送られる。
【0003】
タグ移動状況判断装置は、複数のタグリーダらから送られる情報に基づいてタグの変位状態を算出し、算出されたタグの変位状態に基づいて、タグが一緒に移動している状況であるか否かを判断する。
【0004】
判断した結果はサービス提供システムに送られる。サービス提供システムは、例えば、同一グループに属する複数のタグのうち、一部のタグが離脱したことを示す情報を、タグが付された物品の所有者に離脱した物品が発生したことを通知するサービスを提供するものである。
【特許文献1】特開2005−252868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術のタグではグループを示すグループIDコードと自身を示すタグIDコードの2つのIDコードが必要であった。グループIDコードを書き換え不能の記憶装置に書き込んでしまうと、同一グループに必要なダグの数が大きく変動する場合は、その最大値に合わせて同一グループIDコードを書き込んだタグを用意する必要がある。このようにすると同一グループで使うタグ数が少ない場合は使用しないタグがたくさん出てしまい不経済である。
【0006】
この問題は、グループIDコードを書き込む記憶領域を書き換え可能な記憶装置にすることで、同一グループとして実際に使用する数だけ、同じグループIDコードを書き換え可能な記憶装置に書き込むことで回避できる。
【0007】
しかし、全てのタグに書き換え可能な記憶装置を備えなければならず、タグのコストアップにつながる。また、タグを使用する前に、同一グループに属する全てのタグに対し、グループIDコードの書き込み作業を行わなければならず、繁雑な作業を必要とする。
【0008】
また、グループから離脱したタグの検出を各タグと通信しているタグリーダからの情報に基づいて位置情報と時間情報の2つから行っているが、実際に離脱かどうかの判定は完全ではない。
【0009】
さらに、サービス提供システムは、離脱したタグが付されている物品の位置をユーザーに知らせる手段を備えていないので、ユーザーは離脱を確認しても離脱した物品を探し出すことが困難であるという問題が発生する。
【0010】
この発明は、上述した実情を考慮してなされたものであって、グループIDコードの設定が不要で、グループからの離脱が確実に検出でき、しかも離脱したタグの位置をユーザーが知ることができるタググループの設定方法、および移動体位置監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のタググループの設定方法は、マスタタグと通信可能な一つ以上のスレーブタグを含むタググループにおいて、前記マスタタグは記憶領域として少なくとも、書き換え不能な複数ビットのIDコードを記憶する固定領域と、書き換え可能な複数ビットを有する可変領域を有し、前記スレーブタグは少なくとも書き換え不能で、且つ前記マスタタグと同一ビットのIDコードを記憶する固定領域を有し、前記マスタタグの前記可変領域は、少なくともグループ情報領域を備え、当該グループ情報領域には、前記複数ビットのIDコードの内、グループIDコードとして使用する領域を指定する情報を設定し、前記タググループは、各タグ自身のIDコードの内、前記グループ情報領域でグループIDコード領域と指定された前記IDコードの部分が同一のタグとすることを特徴とする。
【0012】
上記のようにタググループを設定することで、別途グループIDコードを備える必要がない。
【0013】
さらに、この発明は、上記の構成に加え、前記グループIDコードとして使用する前記IDコードの領域は、前記IDコードの内、前記グループ情報領域に設定された数の下位ビットを除く前記IDコードの上位ビットとして設定することができる。
【0014】
このように構成することで、IDコードが連番で付されているタグをタググループとして利用することができる。
【0015】
また、この発明は、上記の構成に加え、前記マスタタグの前記可変領域には、同一グループに設定する前記スレーブタグの数を設定するスレーブ数情報領域を備える用に構成できる。
【0016】
上記のように構成することで、スレーブタグの数が任意に選ぶことができる。
【0017】
また、前記マスタタグの前記グループ情報領域のビット数をNビットとしたとき、前記スレーブ数情報領域のビット数は2Nビットとすればよい。
【0018】
さらに、前記マスタタグの前記可変領域には、前記スレーブタグとの通信が不能になったことを示す警報ステータス領域を備えるとよい。
【0019】
さらに、前記マスタタグの前記可変領域には、前記スレーブタグとの通信が不能になった場合、前記通信が不能になったスレーブタグの位置を示す位置情報領域を備えるとよい。
【0020】
また、前記スレーブタグは前記マスタタグと同じ前記記憶領域を備え、前記可変領域には、マスタタグかスレーブタグかを識別するためのマスタ/スレーブ識別領域を備えるように構成できる。
【0021】
また、前記マスタタグと前記スレーブタグは同一の装置で構成できる。かかる構成によれば、全て同じタグを用いてタググループを構成することができる
この発明の移動体位置監視システムは、上記のいずれかに記載のタググループの設定方法により設定されたタググループと、前記タググループの各タグが所定のエリアに入ったとき当該タグと通信可能な複数のリーダ/ライタと、前記複数のリーダ/ライタと通信を行い、これらのリーダ/ライタを管理するリーダ/ライタ管理装置を備え、当該リーダ/ライタ管理装置は、前記リーダ/ライタを介して前記ダググループの各タグの位置を監視し、各タグの現在位置と過去の位置から移動方向と現在位置を把握し、前記マスタタグは、前記スレーブタグの内少なくとも一つと通信が不能となった場合は、前記警報ステータス領域のビットを書き換えると共に、前記リーダ/ライタを介して前記警報ステータス領域のビットが書き換えられたことをリーダ/ライタ管理装置に知らせ、前記リーダ/ライタ管理装置は、前記マスタタグに通信が不能になったスレーブタグの位置情報を知らせるようにしたことを特徴とする。
【0022】
また、前記マスタタグは、前記リーダ/ライタ管理装置から送られてきた位置情報を表示する表示装置を備えるとよい。
【0023】
また、前記表示装置は、前記マスタタグを移動方向に向けたとき、通信不能になったスレーブタグが存在する方向を示すように構成すればよい。
【0024】
また、前記表示装置は、通信不能になったスレーブタグと通信を行っている前記リーダ/ライタの位置情報を表示するように構成できる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、マスタタグにタグのIDコードの一部をグループIDとして用いるグループ情報領域を設けたので、別途グループIDコードを持たせる必要がなくなる。
【0026】
また、スレーブ数情報領域を設けたので、任意の数のスレーブタグをタググループとして設定することができる。
【0027】
さらに、マスタタグとスレーブタグの通信が不能になったときに警報ステータス領域を書き換えるようにしたので、確実に離脱したスレーブタグを検出することができる。
【0028】
さらに、複数のリーダ/ライタとそれらを管理するリーダ/ライタ管理装置を備え、タグの移動を監視する移動体位置監視システムを構成した場合に、マスタタグに備えた位置情報領域と位置表示装置によって、離脱したスレーブタグの位置を知ることができるようになり、離脱したスレーブタグを簡単に探すことができる。
【0029】
さらに、記憶領域にマスタ/スレーブ識別領域を設けたので、マスタとスレーブに同じタグが使える。
【0030】
さらに、スレーブタグを用いないで、マスタタグ単独使用した場合は、個々のタグの移動経路を監視することのできる移動体監視システムにも応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0032】
図1は、この発明のマスタタグの記憶領域を示す図である。図1に示すように、この発明のマスタタグの記憶領域は、書き換え不能な固定領域と、書き換え可能な可変領域とを備えている。この実施形態では、記憶領域は42ビットで構成されている。
【0033】
記憶領域の固定領域には、そのタグ自身を示すIDコードが記録されている。この実施形態では、24ビットで構成されているが、ビット数には特に制限はない。
【0034】
記憶領域の可変領域は、3ビットのグループ情報領域、8ビットのスレーブ数情報領域、5ビットの位置情報領域、1ビットの警報ステータス領域、1ビットのマスタ/スレーブ識別領域の計18ビットで構成されている。なお、グループ情報ビットは3ビットとしているが3ビットに限ることない。しかし、スレーブ数情報領域のビット数は、後述するようにグループ情報のビット数に応じて変更する。マスタタグのグループ情報領域のビット数をNビットとしたとき、スレーブ数情報領域のビット数は2Nビットとしている。グループ情報領域のビット数Nを変更することにより、グループ化できるスレーブ数の設定ができる。例えば、N=1のときはグループ化できるスレーブの数は2であり、N=3のときはグループ化できるスレーブの数は8となる。また、位置情報領域も5ビットに限ることはなく、後述する位置情報の表示の仕方に応じて増減させればよい。さらに、マスタ/スレーブ識別領域は、後述するようにスレーブタグが固定領域しか持たない場合は、無くてもよい。
【0035】
スレーブタグの記憶領域は、少なくともマスタタグの固定領域24ビットが必要である。また、マスタタグと同じ可変領域を備えていても構わない。このときは、全てのタグがマスタタグとしても、スレーブタグとしても使用可能なので、前記した1ビットのマスタ/スレーブ識別領域でマスタタグがスレーブタグかを指定する。この実施形態では、「1」のときマスタタグ、「0」のときスレーブタグとする。
【0036】
図2(a)から(d)は、この発明にかかるタグスレーブの設定方法に従い、実際に可変領域にデータを書き込んだ場合の例を示した図である。なお、この実施形態は、スレーブタグの記憶領域はマスタタグと同様、可変領域を備えた場合を示している。
【0037】
図2(a)は、マスタタグが1つにスレーブタグが一つの場合である。グループ情報領域には、「001」が書き込まれている。これは、固定領域のIDコードの24ビットのうち、下位1ビットを除く上位23ビットが同じIDコードのタグ同士が同一グループであることを示している。
【0038】
固定領域に記録されるタグのIDコードを連番で設定することで、図2(a)のように、例えば、マスタタグの最下位桁以外の上位桁が全て同じタグは2つしかないので、2つのタグがグループとして認識される。
【0039】
スレーブ数情報領域には、グループに含めるスレーブタグの数「00000001」を設定する。これにより同じグループに所属するスレーブタグは1つであることが分かる。
【0040】
また、マスタタグはマスタ/スレーブ識別領域を「1」に、スレーブタグは「0」に設定することで、マスタタグとスレーブタグの識別を行うことができる。
【0041】
図2(b)は、1つのマスタタグに対し、スレーブタグが3つある場合である。全部で4つのタグを識別するには2ビットの情報があれば済むので、グループ情報領域には「010」が書き込まれている。これで、同一グループとして認識されるタグのIDコードは、固定領域の下位2ビットを除いた上位22ビットが同じIDコードのものである。このときの、スレーブ数情報領域にはスレーブタグの個数である「00000011」を設定する。マスタ/スレーブ識別領域は、マスタタグに設定するタグだけ「1」に設定する。
【0042】
図2(c)は、1つのマスタタグに対しスレーブタグが5つある場合である。全部で6つのタグを識別するには、3ビットの情報があれば済むので、グループ情報領域には「011」が書き込まれている。これで、同一グループとして認識されるタグのIDコードは、固定領域の下位3ビットを除いた上位21ビットが同じIDコードのものである。このときの、スレーブ数情報領域にはスレーブタグの個数である「00000101」を設定する。
【0043】
3ビットで識別できる数は8個であるが、スレーブタグ数に書き込まれた数のスレーブタグと交信できれば、マスタタグは後述する警報ステータスを「1」に書き換えないので、使用していないスレーブタグとの通信ができなくて警報を出すことがない。もちろん、マスタ/スレーブ識別領域は、マスタタグに設定するタグだけ「1」に設定する。
【0044】
図2(d)は、マスタタグだけで、スレーブタグがない場合の例である。この場合はグループ情報領域には「000」が書き込まれているので、認識されるタグのIDコードは、固定領域の24ビットで自身のIDコードだけである。このときの、スレーブ数情報領域にはスレーブタグの個数である「00000000」を設定することで、スレーブタグがないことが分かる。
【0045】
次に、上記タググループを用いた移動体位置監視システムについて説明する。
【0046】
図3は、この発明の移動体位置監視システムの実施形態を示す構成図である。この構成図に示すものは、スーパの売り場や商品展示場、あるいは美術館や博物館において、マスタタグを持った案内係と、スレーブタグを持った参加者を想定している。
【0047】
移動体位置監視システムは、リーダ/ライタ(R/W)管理装置1、複数のリーダ/ライタ(R/W)11〜24を備える。リーダ/ライタ管理装置1と複数のリーダ/ライタ11〜24は、接続ケーブル2で接続され、リーダ/ライタ管理装置1と複数のリーダ/ライタ11〜24は、接続ケーブル2を介して通信が行われる。リーダ/ライタ展示棚31〜40に設置される。そして、フロア3およびフロア3内をマスタタグ51とスレーブタグ52が移動する。マスタタグ51、スレーブタグ52は、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)等に代表される無線タグである。そして、少なくともマスタタグ51には、液晶表示などの表示装置が設けられている。なお、この実施形態では、説明し易いように、スレーブタグ52が1つの場合の例を示している。
【0048】
リーダ/ライタ11〜24は、展示棚31〜40に取り付けられ、お互いが干渉しないでタグとの通信が行えるようにフロア3内に均等に配置されている。マスタタグ51とスレーブタグ52の通信可能距離は、タグとリーダ/ライタとの通信可能距離とほぼ同程度に設定されている。
【0049】
図4は、図3の移動体位置監視システムにおけるマスタタグ51、リーダ/ライタ11〜24、スレーブタグ52、およびリーダ/ライタ管理装置1の動作を示すフローチャートである。各工程には、工程番号S1からS14が付してある。以下、図3と図4を参照しながら移動体位置監視システムの説明を行う。
【0050】
まず、マスタタグ51は工程S1でグループ情報とマスタ/スレーブ識別情報を可変領域に書き込む。この実施形態では、グループ情報として「001」、マスタ/スレーブ識別情報として「1」が書き込まれる。
【0051】
次に、工程S2でスレーブ数情報を書き込む。実施形態では、スレーブタグ52は一つなので、「00000001」が書き込まれる。
【0052】
工程S3では、マスタタグ51の警告ステータス領域に初期値として、「0」が書き込まれる。
【0053】
工程S4では、マスタタグ51の位置情報領域がクリアされ、「00000」が書き込まれる。この工程S4までの工程において、マスタタグ51、スレーブタグ52に、前述したこの発明のタグの設定方法により、記憶領域にデータが書き込まれる。
【0054】
工程S4まで進むと、マスタタグ51とスレーブタグ52はフロア3に入る。フロア3内では、工程S5に示すように、マスタタグ51は常に最寄りのリーダ/ライタ11〜24と通信を行っている。リーダ/ライタ11〜24からは接続ケーブル2を介してリーダ/ライタ管理装置1と通信を行う。
【0055】
工程S6でマスタタグ51はスレーブタグ52と通信を行い、工程S7で通信が可能であるかどうかを確認する。通信可能であれば工程S3に戻り、上記の工程S3から7を繰り返す。なお、スレーブタグ52も最寄りのリーダ/ライタ11〜24と常に通信を行っている。
【0056】
リーダ/ライタ管理装置1は全てのリーダ/ライタ11〜24と接続ケーブル2を介して通信を行い、どのリーダ/ライタ11〜24がどのタグと通信を行っているかという情報を受け取り、工程S12において全てのタグの現在と過去の位置情報を取得している。
【0057】
マスタタグ51の工程S7において、スレーブタグ52との通信が不能の場合は、工程S8に移行し、マスタタグ51の警告ステータス領域に「1」を書き込む。この情報は、最寄りのリーダ/ライタ11〜24から接続ケーブル2を介してリーダ/ライタ管理装置1に送られる。リーダ/ライタ管理装置1は、工程S13において、マスタタグ51の警告ステータス領域をチェックし、「1」の場合は工程S14に進み、マスタタグ51および、マスタタグ51と同じグループに属する全てのスレーブタグ52の現在位置を調べ、マスタタグ51と異なるリーダ/ライタ11〜24と交信しているスレーブタグ52の位置情報を、リーダ/ライタ11〜24から接続ケーブル2を介してを介して、マスタタグ51に送信する。
【0058】
マスタタグ51は、工程S9でリーダ/ライタ管理装置1から送られてきた、通信不能のスレーブタグ52の位置情報を受け取り、可変領域の位置情報領域に書き込む。
【0059】
次に工程S10に移行し、位置情報領域に書き込まれた内容を、表示装置を用いて位置表示を行う。
【0060】
マスタタグ51を所持したユーザーは、表示された方向に移動を行う。この間も、スレーブタグ52との通信を絶えず試みているので、工程S7に戻り、スレーブタグ52との通信が可能になったかどうかの確認と、リーダ/ライタ管理装置1から送られてくるスレーブタグ52の位置情報を常に更新する。
【0061】
マスタタグ51がスレーブタグ52に近づき、スレーブタグ52との通信が再開されると、工程S7から工程S3に戻り、警告ステータス領域を「0」に戻し、工程「4」で位置情報をクリアする。その後は、前記したように、スレーブタグ52と通信が再び不能となるまで工程S7から工程S3の間を繰り返す。
【0062】
なお、警告ステータスが「0」、位置情報がクリアされている場合は、工程S3と工程S4は行わなくても構わない。
【0063】
次に、リーダ/ライタ管理装置1からマスタタグ51に送られる位置情報について説明する。図3の破線で示した動線情報の左端の位置Aでは、マスタタグ51とスレーブタグ52は一緒に居たとする。その後、位置Bでスレーブタグ52はマスタタグ51から離れ位置D方向に移動し、マスタタグ51は位置C方向に移動した。マスタタグ51が位置Cに、スレーブタグ52が位置Dに到達したとき、マスタタグ51とスレーブタグ52との通信が不能となり、マスタタグの警報ステータス領域が「1」になった。
【0064】
このとき、リーダ/ライタ管理装置1は、マスタタグ51が通信を行っているリーダ/ライタはリーダ/ライタ22で、スレーブタグ52が通信を行っているのがリーダ/ライタ24であるという情報を得ている。
【0065】
そこで、リーダ/ライタ管理装置1は、マスタタグ51が過去にどのリーダ/ライタ11〜24と通信を行ってきたかを調べる。すると、位置A付近に居たときはリーダ/ライタ19と通信を行い、次にリーダ/ライタ20と通信を行い、現在リーダ/ライタ22と通信を行っているので、マスタタグ51の進行方向は、破線で示す動線情報の位置Cの矢印方向であることが分かる。
【0066】
また、通信不能のスレーブタグ52は現在リーダ/ライタ24と通信を行っているので、マスタタグ51の移動方向を基準にすると、スレーブタグ52の位置は右斜め後ろであることが分かる。
【0067】
そこで、リーダ/ライタ管理装置1は、位置情報としてマスタタグ52に進行方向を基準に「右斜め後ろ」を表す情報を送る。マスタタグ51には、この情報を、例えば、図5に示すように、8方向を示す矢印が表示可能で、進行方向を示す矢印を他の矢印と表示方法を変えた表示装置で表示する。すなわち、進行方向の矢印を0とし、右斜め後ろを示す方向3の矢印を表示することで、マスタタグ51を携帯したユーザーの進むべき方向を示すことができる。なお、方向表示としては、図6に示すように、8点のドット表示でも良い。また、例では8方向を示したが、さらに細くすることも可能である。
【0068】
図7は、別の位置情報表示方法である。これは、通信不能のスレーブタグ52の方向を示すのではなく、スレーブタグ52が現在通信を行っているリーダ/ライタ24の位置に関する情報を表示すようにしている。例えば、実施形態では、リーダ/ライタ24の番号を表示している。マスタタグ51を携帯しているユーザーがリーダ/ライタ11〜24の所在地に関する情報を持っていれば、リーダ/ライタの番号を知るだけでその位置が分かるので、前記の方向を示す方法より正確な位置を表示することが可能である。また、リーダ/ライタ24が取り付けられている展示棚40の番号などを表示するようしてもよい。
【0069】
以上の説明では、マスタタグ51とスレーブタグ52がそれぞれ一つの場合について説明したが、スレーブタグが複数個になっても、上記移動体位置監視システムの動作は同じ用に行うことができる。
【0070】
また、スレーブタグ52がない場合は、単にマスタタグ51の移動位置監視システムとして機能させることもできる。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
無線を使用したセキュリティシステム、顧客情報収集 等
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】この発明のマスタタグの記憶領域を示す図である。
【図2】この発明のマスタタグの記憶領域の具体的な書き込み例を示す図である。
【図3】この発明の移動体位置監視システムの実施例を示す構成図である。
【図4】この発明の移動体位置監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の位置表示方法を示す実施形態の模式図である。
【図6】この発明の位置表示方法を示す実施形態の模式図である。
【図7】この発明の位置表示方法を示す実施形態の模式図である。
【符号の説明】
【0074】
1 リーダ/ライタ管理装置、2 接続ケーブル、3 フロア、11〜24 リーダ/ライタ、51 マスタタグ、52 スレーブタグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタタグと通信可能な一つ以上のスレーブタグを含むタググループにおいて、前記マスタタグは記憶領域として少なくとも、書き換え不能な複数ビットのIDコードを記憶する固定領域と、書き換え可能な複数ビットを有する可変領域を有し、前記スレーブタグは少なくとも書き換え不能で、且つ前記マスタタグと同一ビットのIDコードを記憶する固定領域を有し、前記マスタタグの前記可変領域は、少なくともグループ情報領域を備え、当該グループ情報領域には、前記複数ビットのIDコードの内、グループIDコードとして使用する領域を指定する情報を設定し、前記タググループは、各タグ自身のIDコードの内、前記グループ情報領域でグループIDコード領域と指定された前記IDコードの部分が同一のタグとするタググループの設定方法。
【請求項2】
前記グループIDコードとして使用する前記IDコードの領域は、前記IDコードの内、前記グループ情報領域に設定された数の下位ビットを除く前記IDコードの上位ビットとしたことを特徴とする請求項1に記載のタググループの設定方法。
【請求項3】
前記マスタタグの前記可変領域には、同一グループに設定する前記スレーブタグの数を設定するスレーブ数情報領域を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のタググループの設定方法。
【請求項4】
前記マスタタグの前記グループ情報領域のビット数をNビットとしたとき、前記スレーブ数情報領域のビット数は2Nビットとしたことを特徴とする請求項3に記載のタググループの設定方法。
【請求項5】
前記マスタタグの前記可変領域には、前記スレーブタグとの通信が不能になったことを示す警報ステータス領域を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタググループの設定方法。
【請求項6】
請求項1から5において、前記マスタタグの前記可変領域には、前記スレーブタグとの通信が不能になった場合、前記通信が不能になったスレーブタグの位置を示す位置情報領域を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタググループの設定方法。
【請求項7】
前記スレーブタグは前記マスタタグと同じ前記記憶領域を備え、前記可変領域には、マスタタグかスレーブタグかを識別するためのマスタ/スレーブ識別領域を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタググループの設定方法。
【請求項8】
前記マスタタグと前記スレーブタグは同一の装置であることを特徴とする請求項7に記載のタググループの設定方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のタググループの設定方法により設定されたタググループと、前記タググループの各タグが所定のエリアに入ったとき当該タグと通信可能な複数のリーダ/ライタと、前記複数のリーダ/ライタと通信を行い、これらのリーダ/ライタを管理するリーダ/ライタ管理装置を備え、当該リーダ/ライタ管理装置は、前記リーダ/ライタを介して前記ダググループの各タグの位置を監視し、各タグの現在位置と過去の位置から移動方向と現在位置を把握し、前記マスタタグは、前記スレーブタグの内少なくとも一つと通信が不能となった場合は、前記警報ステータス領域のビットを書き換えると共に、前記リーダ/ライタを介して前記警報ステータス領域のビットが書き換えられたことをリーダ/ライタ管理装置に知らせ、前記リーダ/ライタ管理装置は、前記マスタタグに通信が不能になったスレーブタグの位置情報を知らせるようにした移動体位置監視システム。
【請求項10】
前記マスタタグは、前記リーダ/ライタ管理装置から送られてきた位置情報を表示する表示装置を備えたことを特徴とする請求項9に記載の移動体位置監視システム。
【請求項11】
前記表示装置は、前記マスタタグを移動方向に向けたとき、通信不能になったスレーブタグが存在する方向を示すようにしたことを特徴とする請求項10に記載の移動体位置監視システム。
【請求項12】
前記表示装置は、通信不能になったスレーブタグと通信を行っている前記リーダ/ライタの位置情報を表示するようにしたことを特徴とする請求項10に移動体位置監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−58381(P2009−58381A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226072(P2007−226072)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】