説明

タワー連結バー構造

【課題】 本発明は、サスペンションストラットからの荷重を効率よく受け止め、サスペンションストラットの上端を締結する際の軸力のばらつきを小さくし、着脱に手間がかからないタワー連結バー構造を提供する。
【解決手段】 タワー連結バー11は、左右一対のドーナツ状円板26とこれらの円板26を繋ぐパイプ13とからなり、円板26には、円板をストラットタワー72に締結するときに使用するボルト孔53の他に、ナット44の外径より大径のナット収納孔41を開けた。左の円板26に開けるボルト孔53は丸孔であり、右の円板26に開けるボルト孔37は左右に延びる長孔である。パイプ13と円板26との連結部28に、略三角形の補強ブラケット27を被せ、この補強ブラケットに、ナット締付け工具を通過させる工具孔51,52を開けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右のサスペンションストラットの上端を取付ける車体側の取付け部に接続したタワー連結バー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジンルーム内の左右のボデイにロッドの端をそれぞれ取付けた構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、サスペンションストラットの上端に接続するロッドがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】実公平4−9267号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】実開昭62−100270号公報(第6頁、第1図)
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図12は、従来の技術の基本構成を説明する図であり、従来のパフオーマンスロッド101は、エンジンルームEに装着するもので、一端102をボデイ103に水平ボルト104を介して支持し、他端105を垂直ボルト106を介してボデイ107に支持し、水平ボルト104を支点として垂直ボルト106をブラケット108から抜けば、矢印Rで示すように回動自在となる。従って、整備する場合に、エンジンルームEに十分なスペースを提供することができるというものである。
【0005】
特許文献2を次図に基づいて説明する。
図13は、別の従来の技術の基本構成を説明する図であり、従来の車両のパフオーマンスロッド131は、車両132の左右のサスペンションタワー133を連結するもので、サスペンションタワー133の上面134に沿う板状ブラケット135をパフオーマンスロッド131の端に溶接し、板状ブラケット135に抜き穴136及び3箇所の取付穴を形成し、上面134に重ねてサスペンションダンパDと共締め固定されるので、サスペンションタワー133の上面134はサスペンションダンパDからの振動力を受けても変形することはないというものである。
【0006】
しかし、特許文献1のパフオーマンスロッド101では、パフオーマンスロッド101の一端102及び他端105の取付け位置は、サスペンションの上端111,111から離れているため、サスペンションから加わる荷重はボデイ103,107を介してパフオーマンスロッド101に伝わり難く、パフオーマンスロッド101は荷重を効率よく受け止めることができない。
【0007】
特許文献2の車両のパフオーマンスロッド131では、サスペンションダンパDに加わる荷重を有効に支持するが、パフオーマンスロッド131を、例えば、点検や整備のために取外す場合、ナットを緩めると、サスペンションダンパDもサスペンションタワー133から外れるので、点検や整備に手間がかかる。一方、サスペンションダンパDを外す場合には、逆にパフオーマンスロッド131が外れるので、点検や整備に手間がかかる。
【0008】
また、特許文献2では、サスペンションタワー133の上面134と板状ブラケット135とを重ねて共締めするため、軸力に影響する要因(例えば、密着条件(面積の大小、隙間の大小))が増し、軸力のばらつきは大きくなりやすい。
さらに、板状ブラケット135は、荷重が作用した場合に、パフオーマンスロッド131との接続部137が変形しやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、サスペンションストラットからの荷重を効率よく受け止め、サスペンションストラットの上端を締結する際の軸力のばらつきを小さくし、着脱に手間がかからないタワー連結バー構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明では、サスペンション締結のためのボルト及びナットが露出しているストラットタワーを対象として、左右のストラットタワーを繋ぐタワー連結バーにおいて、このタワー連結バーは、左右一対のドーナツ状円板とこれらの円板を繋ぐパイプとからなり、円板には、円板をストラットタワーに締結するときに使用するボルト孔の他に、ナットの外径より大径のナット収納孔を開けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、左右一方の円板に開けるボルト孔は丸孔であり、左右他方の円板に開けるボルト孔は左右に延びる長孔であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、パイプと円板との連結部に、略三角形の補強ブラケットを被せ、この補強ブラケットに、ナット締付け工具を通過させる工具孔を開けたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明では、パイプは、中央に取付けた分岐パイプを備え、分岐パイプの先端をフロントウインドー下のカウルへ取付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、タワー連結バーは、左右一対のドーナツ状円板とこれらの円板を繋ぐパイプとからなり、円板には、円板をストラットタワーに締結するときに使用するボルト孔の他に、サスペンション締結用のナットの外径より大径のナット収納孔を開けたので、円板の締結用のボルト孔を用いてストラットタワーに直接タワー連結バーを取付けることができ、サスペンションストラットからの荷重を効率よく受け止めることができるという利点がある。
【0015】
また、タワー連結バーは、左右一対のドーナツ状円板とこれらの円板を繋ぐパイプとからなり、円板には、円板をストラットタワーに締結するときに使用するボルト孔の他に、ナットの外径より大径のナット収納孔を開けたので、ストラットタワーに円板を取付ける場合、ナット収納孔にサスペンション締結のためのナットを収納する。サスペンション締結用のナットの面圧は直接ストラットタワーに加わり、サスペンションストラットの上端を締結する際の軸力のばらつきを小さくすることができるという利点がある。
【0016】
さらに、円板には、円板をストラットタワーに締結するときに使用するボルト孔の他に、ナット収納孔を開けたので、例えば、点検や整備のためにタワー連結バーを取外す場合、ボルト孔を押さえるナットを緩めても、サスペンションのサスペンションストラットはストラットタワーから外れない。従って、タワー連結バーの着脱に手間がかからない。
【0017】
請求項2に係る発明では、左右一方の円板に開けるボルト孔は丸孔であり、左右他方の円板に開けるボルト孔は左右に延びる長孔である。その結果、円板を締結するときに使用する左右のボルト間に生じるピッチのばらつきを長孔によって吸収することができ、円板用のボルトとボルト孔との干渉を防止することができるという利点がある。
【0018】
請求項3に係る発明では、パイプと円板との連結部に、略三角形の補強ブラケットを被せ、この補強ブラケットに、ナット締付け工具を通過させる工具孔を開けた。その結果、補強ブラケットによって、パイプと円板との連結部の強度(断面係数)は高まり、サスペンションのサスペンションストラットからの力を効率よく受け止めることができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、パイプは、中央に取付けた分岐パイプを備え、分岐パイプの先端をフロントウインドー下のカウルへ取付けるので、サスペンションストラットからの力がストラットタワーに加わったとき、分岐パイプは力をカウルへ伝え、タワー連結バーの強度を高め、結果的に、ストラットタワーの強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者(前を見た状態。)から見た方向に従う。
図1は、本発明のタワー連結バー構造の平面図であり、タワー連結バー11は、車両12の左右方向に延びるパイプ13と、パイプ13の両端に固着した円環状のブラケット14,15と、中央16に取付けた分岐パイプ17とからなる。
【0021】
分岐パイプ17は、パイプ13の中央16に管本体21,21のそれぞれ端を取付け、それぞれの先端22,22をフロントウインドー下のカウル24へ取付けるように先端22側に孔25・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)を開けたものである。
ブラケット14は、ドーナツ状円板26に略三角形の補強ブラケット27を取付けたものである。28,28はパイプ13と円板26との連結部を示す。
【0022】
ここでは、タワー連結バー11は、分岐パイプ17及び補強ブラケット27を備えるが、分岐パイプ17及び補強ブラケット27を省くことも可能である。すなわち、タワー連結バー11は、左右一対のドーナツ状円板26とこれらの円板26を繋ぐパイプ13とからなる構成でもよい。
ブラケット15は、主な構成は、ブラケット14と同様である。
【0023】
図2は、図1の2矢視図であり、タワー連結バー構造11の右のブラケット15(円板26)を示す。
ブラケット15は、既に述べたように、ドーナツ状円板26に補強ブラケット27を取付けたものである。
【0024】
右の円板26は、パイプ13の外面31に倣いかつパイプ13に嵌るように嵌合部32を成形し、嵌合部32に連ねて締結板部33を成形し、締結板部33の中央にサスペンションストラット34(図10参照)の上端35(図8参照)を配置するストラット孔36を成形し、ストラット孔36の外方の締結板部33に3個のボルト孔37・・・及び3個のナット収納孔41・・・を開け、締結板部33の内外周にリブ部42,43を成形した。
ナット収納孔41は、サスペンション締結のためのナット44(図9参照)の外径Dn(図9参照)より大径な径Dh(Dh>Dn)である。
右の円板26に開けるボルト孔37は左右に延びる長孔である。
【0025】
補強ブラケット27は、パイプ13の外面31に倣いかつ円板26の嵌合部32に重なるように第1補強部45を成形し、第1補強部45に連ねて第2補強部46を成形し、第2補強部46の縁にリブ部47,48を成形し、端にリブ部49,49を成形した。
また、補強ブラケット27の第2補強部46には、ナット締付け工具(図に示していない)を通過させる工具孔51,52を開けた。
【0026】
図3は、図1の3矢視図であり、タワー連結バー構造11の左のブラケット14(円板26)を示す。
ブラケット14は、既に述べたように、ドーナツ状円板26に補強ブラケット27を取付けたものである。
【0027】
左の円板26は、パイプ13の外面31に倣いかつパイプ13に嵌るように嵌合部32を成形し、嵌合部32に連ねて締結板部33を成形し、締結板部33の中央にサスペンションストラット34(図10参照)の上端35(図8参照)を配置するストラット孔36を成形し、ストラット孔36の外方の締結板部33に3個のボルト孔53・・・及び3個のナット収納孔41・・・を開け、締結板部33の内外周にリブ部42,43を成形した。
左の円板26に開けるボルト孔53は、径をDkに設定した丸孔である。
【0028】
補強ブラケット27は、パイプ13の外面31に倣いかつ円板26の嵌合部32に重なるように第1補強部45を成形し、第1補強部45に連ねて第2補強部46を成形し、第2補強部46の縁にリブ部47,48を成形し、端にリブ部49,49を成形した。
また、補強ブラケット27の第2補強部46には、ナット締付け工具(図に示していない)を通過させる工具孔51,52を開けた。
【0029】
タワー連結バー11はまた、パイプ13、ドーナツ状円板26、補強ブラケット27を溶接によって一体的に組み合わせたものである。パイプ13の外面31にドーナツ状円板26を溶接部(ビードを含む。)54(図4参照),54(図4参照)で取付け、パイプ13の外面31に補強ブラケット27を溶接部55,55で取付け、ドーナツ状円板26に補強ブラケット27を溶接部56・・・,57・・・,58,58(図6と同じ)で取付けた構造である。
【0030】
補強ブラケット27は、より具体的には、第1補強部45に開先部61,61をパイプ13の中心軸線62の方向に形成した。その結果、開先部61に溶接部(ビードを含む。)55を溶接長さLw1だけ施すことができ、溶接部55の強度を高めることができる。特に、中心軸線62にほぼ直行(矢印f1の方向)する荷重に対して強度を高めることができ、結果的に、補強ブラケット27の強度を高めることができる。
【0031】
図4は、図3の4矢視図であり、左のブラケット14の下側の構造を示す。
円板26は、より具体的には、嵌合部32に開先部63,63をパイプ13の中心軸線62の方向に長さL1で形成した。その結果、開先部63,63に溶接部(ビードを含む。)54を溶接長さLw2だけ施すことができ、溶接部54の強度を高めることができる。特に、中心軸線62にほぼ直行(矢印f2の方向)する荷重に対して強度を高めることができ、結果的に、円板26の強度を高めることができる。
【0032】
ブラケット14では、ドーナツ状円板26の外周のリブ部43に補強ブラケット27のリブ部48をすみ肉溶接による溶接部56・・・で取付けたので、溶接する際に溶接姿勢を一定にして溶接することができ、溶接は容易になるとともに、溶接に手間がかからない。
【0033】
図5は、図3の5−5線断面図であり、パイプ13の断面、円板26の嵌合部32の断面、補強ブラケット27の第1補強部45の断面を示す。
パイプ13は、楕円状に成形し、短径で形成した短径部64を上下方向に配置した。その結果、パイプ13の高さは下がり、パイプ13とフードとの隙間を確保することができる。
【0034】
図6は、図3の6矢視図であり、補強ブラケット27の端を示す。
補強ブラケット27は、端にリブ部49を有し、リブ部49に当接面66を成形するとともに、当接面66を円板26の締結板部33に当接した。
補強ブラケット27の当接面66によって円板26に加わる上方向(矢印a1の方向)の荷重を分散させ、リブ部49に対する面圧を小さくすることができ、結果的に、円板26をより確実に補強することができる。
【0035】
図7は、図3の7−7線断面図であり、円環状のブラケット14の断面を示す。
ブラケット14は、円板26の内外周に成形したリブ部42,43に補強ブラケット27の第2補強部46の縁に成形したリブ部47,48を溶接部56,57で一体的に接合した。従って、ブラケット14(円板26)の強度(断面係数)を高めることができる。
【0036】
以上に述べたタワー連結バー構造の作用を次に説明する。
図8は、本発明のタワー連結バー構造の第1作用図である。
タワー連結バー11は、車体71側のストラットタワー72,72の上板部73,73にブラケット14,14をボルト74・・・及びナット75・・・で取付ける。
一方、ストラットタワー72,72の上板部73,73に予め左右のサスペンションストラット34(図10参照),34(図10参照)の上端35,35をサスペンション締結のためのボルト76・・・(図9参照)及びナット44・・・(図9参照)で取付ける。
【0037】
このように、タワー連結バー11は、左右のサスペンションストラット34,34の上端35,35を取付ける車体71側のストラットタワー72,72の上板部73,73に
ブラケット14(円板26)を取付けるので、ストラットタワー72,72の上板部73,73を直接支持することができ、サスペンションストラット34,34からの荷重F(図10参照),F(図10参照)を効率よく受け止めことができる。
【0038】
図9は、本発明のタワー連結バー構造の第2作用図である。
ストラットタワー72の上板部73に予めサスペンションストラット34の上端35,35をボルト76・・・及びナット44・・・で締結するので、ナット44・・・と上板部73との間にタワー連結バー11の円板26が介在せず、上板部73にのみナット44・・・の面圧を加えることができる。
すなわち、円板26には、円板26をストラットタワー72に締結するときに使用するボルト孔53・・・又はボルト孔(長孔)37・・・の他に、ナット44の外径Dnより大径(径Dh)のナット収納孔41・・・を開けたので、ナット44・・・と上板部73との間にタワー連結バー11の円板26が介在せず、サスペンションストラット34の上端35を締結する際に、ボルト76・・・に付与する軸力のばらつきを小さくすることができる。
【0039】
次にタワー連結バー11の取付け手順を説明する。
まず、ストラットタワー72の上板部73にサスペンションストラット34を締結する。その次に、予めストラットタワー72の上板部73に溶接で固定した3本のボルト74・・・に円板26に開けた3個のボルト孔53・・・をそれぞれ矢印a2・・・のように嵌めると同時に、ナット44・・・にナット収納孔41・・・をそれぞれ矢印a3・・・のように嵌める。
【0040】
引き続き、右の3本のボルト74・・・に円板26に開けた3個の長孔(ボルト孔)37・・・(図2参照)をそれぞれ矢印a4(図2参照)のように嵌めると同時に、3個のナット44・・・に3個のナット収納孔41・・・をそれぞれ矢印a3・・・のように嵌める。
この過程において、長孔(ボルト孔)37・・・を用いたので、上板部73に溶接したボルト74・・・のピッチ(例えば、ピッチP1(図8参照))のばらつきを吸収することができ、ボルト74・・・との干渉を防止することができる。
続けて、左右のナット75・・・をねじ込むことで、左右の円板26を締結する。
【0041】
図9に示すように、円板26には、ボルト孔53・・・又はボルト孔(長孔)37・・・の他に、ナット収納孔41・・・を開け、ストラットタワー72の上板部73に円板用のボルト74・・・を配置したので、例えば、点検や整備のためにタワー連結バー11を取外す場合、左右のナット75・・・を緩めても、サスペンションストラット34(図10参照)はストラットタワー72の上板部73から外れない。一方、サスペンションストラット34を外す場合、ナット44・・・を緩めても、タワー連結バー11はストラットタワー72の上板部73から外れない。従って、タワー連結バー11の着脱に手間がかからない。
【0042】
図9のように、タワー連結バー11では、補強ブラケット27に、ナット締付け工具を通過させる工具孔51を開けたので、円板26に補強ブラケット27被せても、円板26上のナット75・・・をナット締付け工具で回転させることができる。
【0043】
また、補強ブラケット27に、ナット締付け工具を通過させる工具孔52を開けたので、タワー連結バー11用のナット75・・・を緩めることなく、サスペンションストラット34(図10参照)用のナット44を緩めることができる。
従って、タワー連結バー11若しくはサスペンションストラット34(図10参照)の着脱に手間がかからない。
【0044】
図10は、本発明のタワー連結バー構造の第3作用図である。
最後に、フロントウインドー下のカウル24にパイプ13に取付けた分岐パイプ17の先端22をボルト77・・・で固定する。これでタワー連結バー11の取付けは完了する。
【0045】
タワー連結バー11では、パイプ13は、中央16に取付けた分岐パイプ17を備え、分岐パイプ17の先端22をフロントウインドー下のカウル24へ取付けるので、サスペンションストラット34,34の荷重F,Fが車体71のストラットタワー72,72の上板部73,73に加わったとき、分岐パイプ17は力をカウル24へ矢印a4,a4のように伝え、タワー連結バー11の強度を高め、結果的に、車体71のストラットタワー72,72の強度を高めることができる。
【0046】
図11は、本発明のタワー連結バー構造の第4作用図である。図7を併用して説明する。
サスペンションストラット34の荷重Fが車体71のストラットタワー72の上板部73に加わった場合、力はブラケット14のドーナツ状円板26に矢印a5・・・のように加わるとともに、円板26から補強ブラケット27に矢印a6,a6のように伝わるので、ブラケット14の強度を高める(応力を小さくする。)ことができる。
【0047】
すなわち、タワー連結バー11では、パイプ13と円板26との連結部28に、略三角形の補強ブラケット27を被せたので、ブラケット14(円板26)の強度(断面係数)は高まり、パイプ13と円板26との連結部28に生じるたわみは極めて小さくなり、サスペンションストラット34からの荷重Fを効率よく受け止めることができる。
【0048】
尚、本発明のタワー連結バー構造は、実施の形態では四輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のタワー連結バー構造は、四輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のタワー連結バー構造の平面図
【図2】図1の2矢視図
【図3】図1の3矢視図
【図4】図3の4矢視図
【図5】図3の5−5線断面図
【図6】図3の6矢視図
【図7】図3の7−7線断面図
【図8】本発明のタワー連結バー構造の第1作用図
【図9】本発明のタワー連結バー構造の第2作用図
【図10】本発明のタワー連結バー構造の第3作用図
【図11】本発明のタワー連結バー構造の第4作用図
【図12】従来の技術の基本構成を説明する図
【図13】別の従来の技術の基本構成を説明する図
【符号の説明】
【0051】
11…タワー連結バー、13…パイプ、16…パイプの中央、17…分岐パイプ、22…先端、24…カウル、26…ドーナツ状円板、27…補強ブラケット、28…連結部、34…サスペンションストラット、37,53…ボルト孔、41…ナット収納孔、44…サスペンション締結のためのナット、51,52…工具孔、72…ストラットタワー、76…サスペンション締結のためのボルト、Dh…大径な径、Dn…ナットの外径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンション締結のためのボルト及びナットが露出しているストラットタワーを対象として、左右のストラットタワーを繋ぐタワー連結バーにおいて、
このタワー連結バーは、左右一対のドーナツ状円板とこれらの円板を繋ぐパイプとからなり、
前記円板には、円板をストラットタワーに締結するときに使用するボルト孔の他に、前記ナットの外径より大径のナット収納孔を開けたことを特徴とするタワー連結バー構造。
【請求項2】
左右一方の円板に開けるボルト孔は丸孔であり、左右他方の円板に開けるボルト孔は左右に延びる長孔であることを特徴とする請求項1記載のタワー連結バー構造。
【請求項3】
前記パイプと円板との連結部に、略三角形の補強ブラケットを被せ、この補強ブラケットに、ナット締付け工具を通過させる工具孔を開けたことを特徴とする請求項1記載のタワー連結バー構造。
【請求項4】
前記パイプは、中央に取付けた分岐パイプを備え、分岐パイプの先端をフロントウインドー下のカウルへ取付けることを特徴とする請求項1記載のタワー連結バー構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−44426(P2006−44426A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227099(P2004−227099)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】