説明

タンパク質キナーゼ阻害剤およびそれを使用するための方法

本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤として有用である化合物および医薬組成物、ならびに異常または脱制御のキナーゼ活性と関連する状態を処置、改善または予防するためのこのような化合物を使用するための方法を提供する。いくつかの態様において、本発明は、TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKC、Raf、ROCK−II、Rsk1およびSGKキナーゼまたはそれらの組合せの異常活性化を含む疾患または障害を処置、改善または予防するためのこのような化合物を使用するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2006年10月6日出願の米国仮特許出願60/850,361(この出願を引用によりその全体を本明細書に包含させる)の優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤およびこのような化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
タンパク質キナーゼは、広範囲の細胞過程の制御ならびに細胞機能の制御の維持の中心的役割を有する、タンパク質の大きなファミリーを代表する。これらのキナーゼの部分的、非限定的の一覧は、受容体チロシンキナーゼ、例えば、血小板由来増殖因子受容体キナーゼ(PDGFR)、神経増殖因子受容体、TrkB、Metおよび繊維芽細胞増殖因子受容体、FGFR−3;非受容体チロシンキナーゼ、例えば、Ablおよび融合キナーゼBcr−Abl、Lck、Csk、Fes、BmxおよびSrc;ならびにセリン/スレオニンキナーゼ、例えばB−Raf、C−Raf、Sgk、MAPキナーゼ(例えば、MKK4、MKK6など)およびSAPK2α、SAPK2βおよびSAPK3を含む。異常なキナーゼ活性は、良性および悪性増殖性障害、ならびに免疫系および神経系の不適切な活性化に由来する疾患を含む、多くの疾患状態で観察されている。
【発明の概要】
【0004】
発明の開示
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤として有用であり得る化合物およびその医薬組成物を提供する。
【0005】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化1】

〔式中:
、W、W、W、W、W、W、W、WおよびW10は、独立して、CまたはNである;ただし、L、Y、RおよびRが結合しているとき、W、W、W、W、W、W、W、W、WおよびW10のそれぞれはCであり;
Qは、N、NNR、NOまたはCRであり;
Lは、結合、−O−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−C(O)NR−、−NR−またはSであり;
、RおよびRは、独立して、ハロ;所望により、ハロゲン化されているか、または、所望により、N、OまたはSで置換されていてもよい、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;または、所望により置換されているアリール、ヘテロアリール、炭素環式環またはヘテロ環式環であるか;または、RはHであり;
それぞれのRは、HまたはC1−6アルキルであり;
XおよびZは、独立して、所望により置換されているアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式環または炭素環式環であり;
Yは、所望により置換されているヘテロアリールであり;
あるいは、環Aが、Yと一体となって、縮合ヘテロアリールを形成するか;または、YおよびZが、一体となって、縮合ヘテロアリールを形成してもよく;
mは、0−4であり;そして、
nは、0−3である〕
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩または互変異性体を提供する;
ただし、該化合物は、3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−6−{3−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,2,4]オキサジザソール−5−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オンではない。
【0006】
上記式(1)において、W、W、W、W、W、W、W、W、WおよびW10のそれぞれがCであり得る。いくつかの例において、W、W、WおよびWがそれぞれCであり、そして、W、W、W、W、WおよびW10の少なくとも1個がNである。他の例において、W、W、W、W、WおよびW10の2個がNである。特定の例において、RおよびRが、独立して、ハロ、または、所望により、ハロゲン化されているC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシである。いくつかの例において、mが1であり、そしてnが0である。
【0007】
1つの局面において、本発明は、式(2):
【化2】

〔式中、RおよびRは、独立して、ハロ、または、所望により、ハロゲン化されているC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり;
およびWは、独立して、CまたはNである;ただし、Rが結合しているとき、WおよびWのそれぞれはCであり;
XおよびYは、独立して、所望により置換されているヘテロアリールであり;
Zは、所望により置換されているアリールまたはヘテロアリールであり;
あるいは、環Aが、Yと一体となって、縮合ヘテロアリールを形成するか;または、YおよびZが、一体となって、縮合ヘテロアリールを形成してもよく;そして、
mおよびnは、独立して、0−2である〕
を有する化合物を提供する。
【0008】
上記式(1)および(2)において、XおよびYが、独立して、N、OまたはSを有する、所望により置換されている5−6員ヘテロアリールであり得る。例えば、XおよびYが、独立して、所望により置換されているピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、フラニルまたはオキサジアゾリルであり得る。特定の例において、Xが、所望により置換されているピロリルまたはイミダゾリルである。他の例において、Yが、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラゾールまたはオキサジアゾリルである。さらに他の例において、環Aが、Yと一体となって、ベンゾイミダゾリルを形成する。
【0009】
上記式(1)および(2)において、Zが所望により置換されている5−7員アリールまたはヘテロアリールであり得る。例えば、Zが所望により置換されているフェニル、ピリジルまたはフラニルであり得る。他の例において、YおよびZが、一体となって、ベンゾイミダゾリルを形成する。
【0010】
上記式(1)および(2)において、Lが結合またはNHであり得る。いくつかの例において、QがCRであり、そしてRがHまたはC1−6アルキルである。
【0011】
上記式(1)および(2)において、X、YおよびZのそれぞれが、所望により、ハロで置換されているか、所望により、ハロゲン化されたC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり得、ここで、炭素がN、OまたはSから選択されるヘテロ原子;−C(O)NR、−C(O)NR(CRNR、(CRCO、(CRCN、−NRS(O)0−2、−S(O)0−2NR、−NRS(O)0−2NR、C(O)NR(CRORまたはRで置換されていてもよく;
およびRが、独立して、H、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたは5−10員ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリール環であるか;または、RおよびRが、NRのNと一体となって、所望により置換されている環を形成し;
が、C3−7シクロアルキル、5−10員ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリール環であり;
kが0−4であり;
RのそれぞれがHまたはC1−6アルキルである。
【0012】
いくつかの例において、Xが、所望により、所望によりハロゲン化されたC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシ、−C(O)NR、−C(O)NR(CRNR、(CRCOまたは(CRCNで置換されていてもよく、ここで、R、RおよびRが、独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;または、RおよびRが、NRのNと一体となって、所望により置換されている環、例えば、ピペリジニルを形成し得る。他の例において、Zは、所望により、C1−6アルキル、ハロゲン化C1−6アルキル(例えば、CF)またはハロで置換されていてもよい。
【0013】
他の局面において、本発明は、治療有効量の式(1)または(2)を有する化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明は、また、治療有効量の式(1)または(2)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物を処置を必要とする系または対象に投与し該キナーゼを阻害することを含む、キナーゼを阻害するための方法を提供する。1つの態様において、本発明は、TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1またはSGKキナーゼ、またはそれらの組合せを阻害するための方法を提供する。さらに特に、本発明は、Trkキナーゼ、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、またはそれらの組合せを阻害するための方法を提供する。
【0015】
本発明は、また、異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性と関連する状態を処置、改善または予防するために式(1)または(2)を有する化合物を使用するための方法を提供する。1つの態様において、本発明は、有効量の式(1)または(2)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物を処置を必要とする系または対象に投与し該キナーゼ介在状態を阻害することを含む、TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1またはSGKキナーゼ、またはそれらの組合せが介在する状態を処置するための方法を提供する。さらに特に、本発明は、Trkキナーゼ、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、またはそれらの組合せが介在する状態を処置するための方法を提供する。
【0016】
本発明の化合物を使用して処置し得る状態の例は、細胞増殖性障害、例えば、神経芽腫、または乳房、前立腺もしくは膵臓の腫瘍もしくは癌を含み、これに限定されない。特定の態様において、本発明の化合物は、前立腺癌または膵臓癌を処置するために使用し得る。本発明の化合物は、また、慢性疼痛、骨痛、血管形成異常、関節炎、糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症または乾癬を処置するために使用し得る。
【0017】
他の局面において、本発明は、キナーゼ、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1またはSGKキナーゼ、またはそれらの組合せを阻害するための、式(1)または(2)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物の使用を提供する。1つの態様において、本発明は、Trkキナーゼ、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、またはそれらの組合せを阻害するための式(1)または(2)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物の使用を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、キナーゼ、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1またはSGKキナーゼ、またはそれらの組合せが介在する状態の処置のための薬物の製造における、式(1)または(2)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物の使用を提供する。1つの態様において、本発明は、Trkキナーゼ、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、またはそれらの組合せが介在する状態の処置のための薬物の製造における、式(1)または(2)を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩または医薬組成物の使用を提供する。
【0019】
本発明の化合物を使用するための上記方法において、式(1)または(2)を有する化合物を細胞または組織を含む系に投与し得る。他の態様において、式(1)または(2)を有する化合物をヒトまたは動物対象に投与し得る。
【0020】
発明を実施するための形態
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化3】

〔式中:
、W、W、W、W、W、W、W、WおよびW10は、独立して、CまたはNである;ただし、L、Y、RおよびRが結合しているとき、W、W、W、W、W、W、W、W、WおよびW10のそれぞれはCであり;
Qは、N、NNR、NOまたはCRであり;
Lは、結合、−O−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−C(O)NR−、−NR−またはSであり;
、RおよびRは、独立して、ハロ;所望により、ハロゲン化されているか、または、所望により、N、OまたはSで置換されていてもよい、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;または、所望により置換されているアリール、ヘテロアリール、炭素環式環またはヘテロ環式環であるか;または、RはHであり;
それぞれのRは、HまたはC1−6アルキルであり;
XおよびZは、独立して、所望により置換されているアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式環または炭素環式環であり;
Yは、所望により置換されているヘテロアリールであり;
あるいは、環Aが、Yと一体となって、縮合ヘテロアリールを形成するか;または、YおよびZが、一体となって、縮合ヘテロアリールを形成してもよく;
mは、0−4であり;そして、
nは、0−3である〕
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩または互変異性体を提供する;
ただし、該化合物は、3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−6−{3−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,2,4]オキサジザソール−5−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オンではない。
【0021】
1つの局面において、本発明は、式(2):
【化4】

〔式中、RおよびRは、独立して、ハロ、または、所望により、ハロゲン化されているC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり;
およびWは、独立して、CまたはNである;ただし、Rが結合しているとき、WおよびWのそれぞれはCであり;
XおよびYは、独立して、所望により置換されているヘテロアリールであり;
Zは、所望により置換されているアリールまたはヘテロアリールであり;
あるいは、環Aが、Yと一体となって、縮合ヘテロアリールを形成するか;または、YおよびZが、一体となって、縮合ヘテロアリールを形成してもよく;そして、
mおよびnは、独立して、0−2である〕
を有する化合物を提供する。
【0022】
上記式(1)および(2)において、R、RおよびRに対する他の部分は、当業者に知識内のものを使用でき、これはOR、シアノ、アミノ、アミド、グアニジノ、ウレアイル(ureayl)、ニトロおよび他の無機置換基などを含み、これに限定しない。
【0023】
式(1)および(2)を有する化合物は、タンパク質キナーゼ阻害剤として有用であり得る。例えば、式(1)または(2)を有する化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、N−オキシド、プロドラッグおよび異性体は、キナーゼ介在状態または疾患、例えば、TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1またはSGKキナーゼ、またはそれらの組合せが介在する疾患の処置のために使用し得る。
【0024】
本発明の化合物は、また、タンパク質キナーゼが介在する状態、例えば、Trk介在状態を改善するために、第2の治療剤と組み合わせて使用し得る。例えば、本発明の化合物は、神経芽腫、または乳房、前立腺もしくは膵臓の腫瘍もしくは癌を含み、これに限定されない細胞増殖性障害を処置するために、化学療法剤と組み合わせて使用し得る。
【0025】
本発明の組成物および方法で使用され得る化学療法剤の例は、アントラサイクリン、アルキル化剤(例えば、マイトマイシンC)、スルホン酸アルキル、アジリジン、エチレンイミン、メチルメラミン、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、抗生物質、代謝拮抗剤、葉酸類似体(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤、例えば、メトトレキサート)、プリン類似体、ピリミジン類似体、酵素、ポドフィロトキシン、プラチン含有剤、インターフェロンおよびインターロイキンを含み、これに限定されない。本発明の組成物および方法で使用され得る既知の化学療法剤の特定の例は、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン、ベンゾデパ、カルボクオン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、トリメチロロメラミン、クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロルエタミン、塩酸メクロルエタミンオキシド、メルファラン、ノベンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、アクラシノマイシン、アクチノマイシンF(1)、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ダウノマイシン、6−ジアゾ−5−オキソ−1−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアナイン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、フルオロウラシル、テガフール、L−アスパラギナーゼ、パルモザイム、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、アンサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、カルボプラチン、シスプラチン、デホファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エルホルニチン、酢酸エリプチニウム、エトグルシド、エトポシド、フルタミド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、ロニダミン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ポドフィリン酸、2−エチルヒドラジド、プロカルバジン、ラゾキサン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、パクリタキセル、タモキシフェン、テニポシド、テヌアゾン酸、トリアジクオン、2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンを含み、これに限定されない。
【0026】
定義
本明細書で使用される所望により置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、所望によりハロゲン化されているか(例えば、CF)、または、ヘテロ原子、例えば、NR、OまたはSで置換されている、または、置き換えられている1個以上の炭素を有しても良い(例えば、−OCHCHO−、アルキルチオール、チオアルコキシ、アルキルアミン等)。
【0027】
“アリール”は炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチルであり得る。“アリーレン”はアリール基から生じる二価のラジカルを意味する。
【0028】
“ヘテロアリール”は1個以上の環員がヘテロ原子であるときの上記アリールを定義する。ヘテロアリールの例は、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含み、これに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される“炭素環式環”は、所望により、例えば、=Oで置換されていてもよい、炭素原子を含む飽和または部分的に不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環を意味する。炭素環式環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノンなどを含み、これに限定されない。
【0030】
本明細書で使用される“ヘテロ環式環”は、1個以上の環炭素がヘテロ原子であるときの上記炭素環式環を定義する。例えば、ヘテロ環式環は、N、O、S、N=、S、S(O)、S(O)またはNRを含んでよく、ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは保護基であり得る。ヘテロ環式環の例は、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イルなどを含み、これに限定されない。
【0031】
他に記載のない限り、置換基が“所望により置換”されていると考えるとき、それは、置換基が、個々に、かつ独立して、例えば、所望により、ハロゲン化されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、モノおよびジ置換アミノ基を含むアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、カルボニル、炭素環式、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ環式、ヒドロキシ、イソシアネート、イソチオシアネート、メルカプト、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、パーハロアルキル、パーフルオロアルキル、シリル、スルホニル、チオカルボニル、チオシアネート、トリハロメタンスルホニルおよびそれらの保護された化合物から選択される1個以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。上記置換基の保護された化合物を形成し得る保護基は、当業者に既知であり、そして、文献、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999、およびKocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994で見つけることができる(これらを出典明示によりそれらの内容を本明細書に包含させる)。
【0032】
本明細書で使用される“共投与”または“組合せ投与”などの用語は、一患者に選択された複数治療剤を投与することを含むことを意味し、そして必ずしも複数薬剤が同じ投与経路によりまたは同時に投与されない処置レジメンを含むことを意図する。
【0033】
本明細書で使用される“薬学的組合せ”なる用語は、活性成分の混合または組合せから得られる生産物を意味し、そして活性成分の固定された組合せおよび固定されていない組合せの両方を含む。“固定された組合せ”なる用語は、複数の活性成分、例えば式(1)の化合物、および共薬剤両方が、単一の物または投与形で同時に患者に投与されることを意味する。“固定されていない組合せ”なる用語は、複数の活性成分、例えば式(1)の化合物、および共薬剤両方が、同時に、共にまたは特定の時間制限なしに連続してのいずれかで、別々の物として投与することを意味し、このような投与は、治療有効量の活性成分を患者の体内に提供する。後者は、カクテル療法、例えば3つ以上の活性成分の投与にも適用する。
【0034】
“BCR−Ablの変異型”は、野生型配列からの1個以上のアミノ酸変化を意味する。今日までに22を超える変異が報告されており、G250E、E255V、T315I、F317LおよびM351Tであるものが最も一般的である。
【0035】
“NTKR1”は、TrkAタンパク質に相当する遺伝子名であり;“NTKR2”は、TrkBタンパク質に相当する遺伝子名であり;そして、“NTKR3”は、TrkCタンパク質に相当する遺伝子名である。
【0036】
“治療有効量”なる用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医により求められる、細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘導する対象化合物の量を意味する。
【0037】
対象化合物の“投与”および/または“投与する”なる用語は、処置を必要とする個体に本発明の化合物のプロドラッグを含む本発明の化合物を提供することを意味すると理解すべきである。
【0038】
薬理学および有用性
本発明の化合物は、キナーゼの活性を調節し、それ自体、キナーゼがその疾患の病状および/または総体症状に関与する疾患または障害の処置に有用であり得る。本明細書に記載の化合物および組成物により阻害され得て、本明細書に記載の方法が有用であり得るキナーゼの例は、TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1およびSGKキナーゼを含み、これに限定されない。
【0039】
ニューロトロフィン受容体(TrkAまたは“NTKR1”;TrkBまたは“NTKR2”;TrkCまたは“NTKR3”)のTrkファミリーは、腫瘍細胞増殖および生存ならびに分化、遊走および転移を制御することができる。Trk受容体のシグナル伝達経路下流は、Shc、活性化Ras、ERK−1およびERK−2遺伝子を介するMAPK活性化のカスケードならびにPLC−γ形質導入経路を含む(Sugimoto et al., Jpn J Cancer Res. 2001, 92: 152-60)。
【0040】
Trkチロシンキナーゼが、例えば、乳房および前立腺癌を含む種々の癌の発症に関わっている証拠がある(Guate et al., Expression of p75LNGFR and Trk Neurotrophin Receptors in Normal and Neoplastic Human Prostate, BJU Int. 1999, 84:495 502; Tagliabue et al., J. Biol Chem. 2000, 275:5388 5394)。さらに、Trkキナーゼシグナル伝達の媒介は有益な生物学的効果を提供する証拠がある(LeSauteur et al., Adv. Behav. Biol. 1998, 49:615 625; Zhu et al., (1999) J. Clin. Oncology, 1999, 17:2419 28; Friess et al., Annals of Surgery 1999, 230:615-24)。
【0041】
NTRK3(TrkC)およびそれと密接に関連したファミリーメンバーであるNTRK1(TrkA)およびNTRK2(TrkB)は、おそらく、受容体、そのリガンド(神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、ニューロトロン)のいずれか、または、両方(Rubin et al., Cancer Treat. Res. 2003, 115:1-18; Nakagawara, Cancer Lett. 2001, 169:107-14)の上方調節により、癌の発症および進行に関連している。高発現のNTRK2および/またはそのリガンドBDNFが、膵臓および前立腺癌腫、ウィルムス腫瘍および神経芽腫において見出された。加えて、高発現のNTRK3が、黒色腫、とりわけ脳転移の場合の顕著な特徴である。多数の場合、高発現のTrkが、侵襲性腫瘍動態、予後不良および転移と関連する。
【0042】
NTKR2(TrkB)タンパク質は、小腸および大腸、膵臓のα細胞、リンパ節および脾臓の単球およびマクロファージならびに表皮顆粒層における神経内分泌型細胞で発現される。TrkBタンパク質の発現はウィルムス腫瘍および神経芽腫の好ましくない進行と関連している。さらに、TrkBは前立腺癌細胞で発現されるが、正常細胞では発現しない。
【0043】
NTRK2は、細胞の、そのマトリックスへの接着の喪失により誘導されるアポトーシスとして定義されるアノイキスの強力な阻害剤である。ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ/タンパク質キナーゼBシグナル伝達軸を活性化することにより、NTRK2が3次元培養で非形質転換上皮細胞の生存を促進し、そして免疫抑制マウスの細胞の腫瘍形成および転移を誘導することを示した。
【0044】
NTRK2およびNTRK3の両方と関連する遺伝的異常、すなわち点変異および染色体再配置は、種々の癌タイプで発見されている。チロシンキナーゼの点変異を同定するための網羅的(kinome-wide)アプローチにおいて、NTRK2およびNTRK3の変異の両方が結腸直腸癌を有する患者由来の細胞系および一次サンプルで発見され(Bardelli et al., Science 2003, 300:949)、転移を調節するTrkファミリーメンバーと関連し、そして結腸直腸癌の機能的関連性を示唆する。
【0045】
加えて、NTRK1およびNTRK3の両方と関連している染色体転座は、腫瘍のいくつかの異なるタイプで発見された。NTRK1および一連の異なる融合パートナー(TPM3、TPR、TFG)と関連している遺伝子再配置は、甲状腺乳頭癌(PTC)の一部の顕著な特徴である(Tallini, Endocr. Pathol. 2002, 13:271-88)。さらに、分泌性乳癌、乳児線維肉腫および先天性中胚葉性腎腫が、常時キナーゼ活性を有することが示されたETV6−NTRK3融合遺伝子を生じ、繊維芽細胞、造血細胞および乳房上皮細胞を含むいくつかの異なる細胞系における形質転換を可能にする、染色体再配置t(12;15)と関連することが示された(Euhus et al., Cancer Cell 2002, 2:347-8; Tognon et al., Cancer Cell 2002, 2:367-76; Knezevich et al., Cancer Res. 1998, 58:5046-8; Knezevich et al., Nat. Genet. 1998, 18:184-7)。
【0046】
アベルソンチロシンキナーゼ(すなわちAbl、c−Abl)は、細胞サイクルの制御、遺伝毒性ストレスに対する細胞応答、およびインテグリンシグナル伝達を介した細胞環境についての情報伝達に関与する。Ablタンパク質は、種々の細胞外および細胞内供給源からのシグナルを統合し、細胞サイクルおよびアポトーシスに関する決定に影響を与える、細胞性モジュールとして複雑な役割を果たしているように見える。アベルソンチロシンキナーゼは、脱制御されたチロシンキナーゼ活性を伴うキメラ融合体(オンコプロテイン)BCR−Ablまたはv−Ablのようなサブタイプ誘導体を含む。BCR−Ablは、95%の慢性骨髄性(myelogenous)白血病(CML)および10%の急性リンパ性白血病の病因において重要である。STI571(Gleevec)は発癌性BCR−Ablチロシンキナーゼの阻害剤であり、慢性骨髄性(myeloid)白血病(CML)の処置に使用されている。しかしながら、CMLの急性転化期にある患者の幾分かは、BCR−Ablキナーゼの変異により、STI−571に耐性である。22を超える変異が今日までに報告されており、例えば、G250E、E255V、T315I、F317LおよびM351Tである。
【0047】
本発明の化合物は、ablキナーゼ、例えば、v−ablキナーゼを阻害し得る。本発明の化合物はまた野生型BCR−AblキナーゼおよびBCR−Ablキナーゼの変異を阻害し得、故に、白血病(とりわけアポトーシス作用の機構が見られるとき、とりわけ慢性骨髄性(myeloid)白血病および急性リンパ芽球性白血病)のようなBcr−abl−陽性癌および腫瘍疾患の処置に適当であり得る。本発明の化合物は、また、白血病性幹細胞のサブグループにおける効果を示し、ならびにこれらの細胞を、該細胞を摘出した後(例えば、骨髄摘出)インビトロで精製し、それらが癌細胞から浄化された後細胞を再移植する(例えば、精製骨髄細胞の再移植)可能性がある。
【0048】
PDGF(血小板由来増殖因子)は一般的に存在する増殖因子であり、発癌および血管の平滑筋細胞の疾患、例えばアテローム性動脈硬化症および血栓症、正常増殖および病的細胞増殖において重要な役割を果たす。本発明の化合物は、PDGF受容体(PDGFR)活性を阻害し得、したがって、神経膠腫、肉腫、前立腺腫瘍、および結腸、乳房および卵巣の腫瘍のような腫瘍疾患の処置に適当であり得る。
【0049】
本発明の化合物は、例えば小細胞肺癌における腫瘍阻害物質としてだけでなく、またアテローム性動脈硬化症、血栓症、乾癬、強皮症および線維症のような非悪性増殖性障害にも、使用し得る。本発明の化合物は、また、例えば、5−フルオロウラシルのような化学療法剤の血液毒性作用と戦うための幹細胞の保護、および喘息において使用し得る。本発明の化合物は、とりわけPDGF受容体キナーゼの阻害に応答する疾患の処置に有用であり得る。
【0050】
本発明の化合物は、移植、例えば、同種異系移植に起因する障害、とりわけ閉塞性細気管支炎(OB)、すなわち同種異系肺移植の慢性拒絶のような、組織拒絶反応の処置に有効であることを示し得る。OBのない患者と比較して、OBを有する者は、しばしば気管支肺胞洗浄液中のPDGF濃度の上昇を示す。
【0051】
本発明の化合物はまた再狭窄およびアテローム性動脈硬化症のような、血管平滑筋細胞移動および増殖(PDGFおよびPDGF−Rがしばしば役割を果たす場所である)が関連する疾患に対して有用であり得る。血管平滑筋細胞インビトロおよびインビボにおけるこれらの効果および増殖または移動に対するそれらの結果は、本発明の化合物の投与により、またインビボでの血管内膜の機械的損傷後の肥厚に対する影響の試験により証明し得る。
【0052】
Tecファミリーキナーゼ、Bmx、非受容体タンパク質−チロシンキナーゼは乳房上皮癌細胞の増殖を制御する。
【0053】
血清およびグルココルチコイド調節キナーゼ(SGK)の活性は摂動イオンチャネル活性、特にナトリウムおよび/またはカリウムチャネルの活性に相関性があり、本発明の化合物は高血圧を処理するために有用であり得る。
【0054】
ある異常増殖状態はraf発現と関連していると考えられ、したがってraf発現の阻害に反応することが考えられる。異常な高レベルのrafタンパク質の発現はまた形質転換および異常細胞増殖と関連する。これらの異常増殖状態はまたraf発現の阻害に反応することが考えられる。60%のすべての肺癌腫細胞系が、通常、高レベルのc−rafのmRNAおよびタンパク質を発現することが報告されているため、例えば、c−rafタンパク質の発現は異常細胞増殖における役割を果たしていることが考えられる。異常増殖状態のさらなる例は過増殖性疾患、例えば、癌、腫瘍、過形成、肺線維症、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症および血管の平滑筋細胞増殖、例えば、狭窄または血管形成術後の再狭窄である。rafを一部に含む細胞性シグナル伝達経路はまたT細胞増殖(T細胞活性化および増殖)、例えば、組織移植拒絶反応、内毒素性ショック、および糸球体腎炎により特徴づけられる炎症疾患と関連していた。
【0055】
ヒトリボソームS6タンパク質キナーゼのファミリーは少なくとも8個のメンバー(RSKI、RSK2、RSK3、RSK4、MSK1、MSK2、p70S6Kおよびp70S6Kb)からなる。リボソームタンパク質S6タンパク質キナーゼは重要な多面的な機能を果たし、それらの中でタンパク質生合成中のmRNA翻訳の調節の重要な役割である(Eur. J. Biochem 2000, 267(21): 6321-30; Exp Cell Res. 1999, 253 (1):100-9; Mol Cell Endocrinol. 1999, 151(1-2):65-77)。p70S6によるS6リボソームタンパク質のリン酸化はまた細胞運動(Immunol. Cell Biol. 2000, 78(4):447-51)および細胞増殖(Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 2000, 65:101-27)の調節と関連しており、故に腫瘍転移、免疫反応および組織修復ならびに他の疾患状態において重要であり得る。
【0056】
FLk−2(胎児の肝臓キナーゼ2)としても既知である、Flt3(fms−様チロシンキナーゼ)はタイプIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーである。Flt3遺伝子の異常発現は急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成を伴うAML(AML/TMDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、および骨髄異形成症候群(MDS)を含む白血病および小児白血病で報告されている。Flt3受容体の活性化変異は急性骨髄性白血病(AML)を有する患者の約35%において見られ、予後不良と関連する。もっとも普通の変異は膜近傍ドメイン内の構造重複を含み、さらに5−10%の患者がアスパラギン835で点変異を有する。これらの変異両方はFlt3のチロシンキナーゼ活性の構成的活性化と関連し、リガンドの非存在下で増殖および生存シグナルをもたらす。受容体の変異型を発現する患者は治癒の機会が少ないことが示されている。したがって、ヒト白血病および骨髄異形成症候群の過活性(変異)Flt3キナーゼ活性に対する役割に関して蓄積している証拠がある。
【0057】
本発明の化合物は、幹細胞因子(SCF、c−Kitリガンドまたは造血幹細胞因子としても既知)を含む細胞過程、例えば、SCF受容体(Kit)自己リン酸化およびMAPKキナーゼ(マイトージェン活性タンパク質キナーゼ)のSCF刺激性活性化を阻害し得る。MO7e細胞は、増殖に関するSCFに依存するヒト前巨核球白血病細胞系である。本発明の化合物は、また、SCF受容体の自己リン酸化を阻害し得る。
【0058】
オーロラ2は、ヒトの癌、例えば、大腸、乳房および他の固形腫瘍と関連しているセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。このキナーゼは細胞周期を調節するタンパク質リン酸化事象と関連していると考えられる。具体的には、オーロラ2は、有糸分裂中の染色体の正確な分離を調節する役割を果たし得る。細胞周期の誤制御が細胞増殖および他の異常を引き起こし得る。ヒト大腸癌組織において、オーロラ2タンパク質が過剰発現していることが発見されている。
【0059】
セリン/スレオニンキナーゼのオーロラファミリー[オーロラA(“1”)、B(“2”)およびC(“3”)]は細胞増殖の重要において役割を果たす。これらのタンパク質は、染色体分離、紡錘体機能および細胞分裂の原因であり、そして腫瘍形成と関連している。高レベルの全てのオーロラファミリーメンバーが種々の腫瘍細胞系で観察された。オーロラキナーゼは、乳房腫瘍で染色体の不安定性と関連すると報告された多数のヒト腫瘍で過剰発現している。例えば、オーロラAキナーゼの異常活性は結腸直腸、胃、ヒト膀胱および卵巣癌と関連している。高レベルのオーロラAが、また、腎臓、子宮頸、神経芽腫、黒色腫、リンパ腫、膵臓および前立腺腫瘍細胞系で報告されている。
【0060】
オーロラBは、また、多数のヒト腫瘍細胞系、例えば、白血病細胞および結腸直腸癌で高度に発現している。通常、胚細胞でのみ見られるオーロラCが、また、高い割合の原発性結腸直腸癌ならびに子宮頸腺癌および乳房癌腫細胞を含む種々の腫瘍細胞系で過剰発現している。オーロラキナーゼの既知の機能に基づいて、これらの活性の阻害は、有糸分裂を崩壊させ、細胞周期阻止となるはずである。したがって、インビボでオーロラ阻害剤は腫瘍増殖を減速させ、退行を誘導する。
【0061】
Chk1およびChk2の不活性化は損傷DNAにより誘導されるG2/M阻止を無くし、チェックポイント欠損細胞をDNA損傷事象による死に感受性にする。癌細胞はG2/Mチェックポイントの排除により正常細胞よりもより感受性であるため、Chk1、Chk2または両方を阻害し、G2/Mチェックポイントを排除し、そしてDNA損傷事象による癌細胞の死を改善する、化合物において非常に関心がある。
【0062】
種々の疾患状態および状態は、骨粗鬆症、骨減少、パジェット病、血管再狭窄、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、血管形成、アテローム性動脈硬化症、炎症および腫瘍増殖を含む疾患を処置または予防するために、Mammalian Sterile 20-like キナーゼ、Mst1およびMst2またはそれらの組合せの活性を調節することにより介在できると考えられている。
【0063】
PKAまたは環状AMP依存タンパク質キナーゼ、PKBまたはAktおよびPKCとして既知のキナーゼの全ては、腫瘍形成の原因であるシグナル形質導入経路において重要な役割を果たす。これらのキナーゼの活性を阻害できる化合物は、異常細胞増殖、例えば、癌により特徴付けられる疾患の処置において有用であり得る。
【0064】
Rhoキナーゼ(Rock−II)は、血管収縮、血小板凝集、気管支平滑筋収縮、血管平滑筋増殖、内皮増殖、ストレス繊維形成、心臓肥大、Na/H交換輸送系活性化、内転筋(adducing)の活性化、高眼圧症、勃起機能障害、早産、網膜症、炎症、免疫疾患、AIDS、受精卵の受精および移植、骨粗鬆症、脳機能障害、細菌による消化管の感染症などに関係する。
【0065】
Axlは、多くの疾患状態、例えば、白血病および胃癌を含む種々の他の癌と関連する受容体チロシンキナーゼである。
【0066】
ブルートンチロシンキナーゼ(Btk)はBリンパ球分化に重要である。Btkファミリーの非受容体チロシンキナーゼはBtk/Atk、Itk/Emt/Tsk、Bmx/EtkおよびTecを含む。Btkファミリーキナーゼは、種々の細胞過程において主要であるが種々の調節的役割を果たす。それらは、細胞増殖、分化およびアポトーシスとなる細胞外刺激への応答におけるシグナル形質導入に関係する。このファミリーのキナーゼの異常活性は免疫不全疾患および種々の癌と関連している。
【0067】
繊維芽細胞増殖因子受容体3は骨増殖の負の調節効果および軟骨細胞増殖の阻害に働くことを示した。繊維芽細胞増殖因子受容体3の種々の変異体、および1つの変異、TDII FGFR3によりもたらされる形成異常は、転写因子Statlを活性化する構成的チロシンキナーゼ活性を有し、細胞周期阻害剤の発現、増殖停止および異常な骨の発達をもたらす(Su et al., Nature, 1997, 386: 288-292)。FGFR3はまたしばしば多発性骨髄腫型癌において発現される。
【0068】
腫瘍増殖および血管形成の阻害、また、Tie2(Tek)の細胞外ドメインの感染中の肺転移の減少が乳房腫瘍および黒色腫異種移植モデルにおいて示された(Lin et al., J. Clin. Invest. 1997, 100:2072-2078; Lin et al., Proc Natl. Acad. Sci. 1998, 95:8829-8834)。Tie2阻害剤は新血管形成が不適当に起こる状況(すなわち、糖尿病網膜症、慢性炎症、乾癬、カポジ肉腫、黄斑変性症による慢性新血管形成、リウマチ性関節炎、小児血管腫および癌)において使用され得る。
【0069】
c−Srcキナーゼは多数の受容体の発癌シグナルを伝達する。例えば、腫瘍におけるEGFRまたはHER2/neuの過剰発現は、悪性細胞の特徴であるが正常細胞には存在しないc−srcの構成的活性化をもたらす。他方、c−srcの不完全発現マウスは大理石骨病表現型を発現し、破骨細胞機能におけるc−srcの重要な関与および関連疾患への関与の可能性を示す。
【0070】
前記によって、本発明は、さらに、処置を必要とする対象における、上記のいずれかの疾患または障害を処置する方法であり、該対象に治療的有効量の式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。上記の全ての使用に関して、必要な投与量は投与形態、処置すべき特定の状態および所望の効果に依存して変化する(下記“投与および医薬組成物”参照)。
【0071】
投与および医薬組成物:
一般に、本発明の化合物は単独でまたは1種以上の治療剤との組合せのいずれかで当分野で既知の通常のおよび許容される形式のいずれかを介して、治療有効量を投与される。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の有効性および他の要素に依存して広く変化し得る。一般に、満足な結果は体重あたり約0.03から2.5mg/kgの1日投与量で全身に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおいて指示される1日投与量は、例えば1日に4回までの分割用量でまたは遅延形で都合良く投与される約0.5mgから約100mgの範囲である。経口投与のための適当な単位用量形は約1から50mgの活性成分を含む。
【0072】
本発明の化合物は任意の慣用の経路、特に経腸的に、例えば経口的に、例えば錠剤形もしくはカプセル形で、または非経腸的に、例えば注射溶液形もしくは懸濁液形で、局所的に、例えばローション形、ゲル形、軟膏形もしくはクリーム形で、または経鼻形もしくは坐薬形で医薬組成物として投与してもよい。
【0073】
少なくとも1種の薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と一緒に遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を含む医薬組成物を、混合、造粒または被覆方法による慣用の方法で製造できる。例えば、経口組成物は、活性成分とa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤のために共にc)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;そして所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤を一緒に含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射組成物は、等張水溶液または懸濁液であり得、そして座薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造し得る。
【0074】
該組成物は滅菌し得そして/またはアジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/またはバッファーを含む。加えて、それらはまた、治療に有効な他の物質を含み得る。適当な経皮投与用製剤は有効量の本発明の化合物を担体と含む。担体は宿主の皮膚を介する輸送を助けるために、薬理学的に許容される吸収性溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは裏当て部分、化合物と所望により担体を含む貯蔵部、所望により長時間にわたって制御されたおよびあらかじめ決められた速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリア、および皮膚にデバイスを固定するための手段を含む、バンデージ形である。マトリックス経皮製剤もまた使用され得る。例えば、皮膚および眼への、適当な局所投与用製剤は、当分野で既知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルであり得る。このような製剤は、可溶化剤、安定化剤、等張増加剤、バッファーおよび保存剤を含み得る。
【0075】
本発明の化合物は、治療有効量の1種以上の治療剤との組合せ(薬学的組合せ)で投与され得る。例えばシクロスポリン、ラパマイシン、もしくはアスコマイシン、またはそれらの免疫抑制剤類似体、例えばシクロスポリンA(CsA)、シクロスポリンG、FK−506、ラパマイシン、もしくは同等な化合物、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ブレキナール、レフルノミド、ミゾルビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスパガリン、免疫抑制性抗体、とりわけ白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、B7、CD45、CD58もしくはそれらのリガンド、または他の免疫調節化合物、例えばCTLA41gと一緒に使用されるとき、例えば、相乗効果が、他の免疫調節剤もしくは抗炎症剤と生じ得る。本発明の化合物が他の治療と一緒に投与されるとき、共投与される化合物の用量は、使用される共薬剤の型、使用される特定の薬剤、処置される状態などに依存して変化する。
【0076】
本発明はまた、a)遊離形または薬学的に許容される塩形の本明細書に記載のとおりの本発明の化合物である第1の薬剤、およびb)少なくとも1つの共薬剤を含む薬学的組合せ、例えばキットを提供する。該キットはその投与のための指示書を含み得る。
【0077】
本発明の化合物の製造方法
本発明はまた、本発明の化合物の製造方法を含む。記載されている反応において、最終産物において望ましい反応性官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基)を、これらの望ましくない反応の参加を避けるために当分野で既知の保護基を使用して保護することが必要であり得る。慣用の保護基は、標準的技法にしたがって使用し得る。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991参照。
【0078】
1つの局面において、=Q−Xが2−ビニル−1H−ピロリル誘導体である式(1)の化合物は、下記反応スキーム1を行うことにより製造できる:
【化5】

スキーム1
〔式中、W、W、W、W、W、W、W、W、W、W10、Y、Z、L、R、R、R、mおよびnは上記定義のとおりであり;
そして、Rは、H、アルキルまたは当業者に既知の全ての適当な基である〕
【0079】
スキーム1に示されるとおり、式(1)の化合物は、式(3)の化合物をカルボニル化合物(4)と適当な塩基(例えば、ピペリジンなど)および適当な溶媒(例えば、エタノールなど)の存在下で反応させることにより製造できる。該反応は約50から約120℃の温度範囲で実施し、完了まで数時間かかり得る。上記スキーム1において、ピロリルは、さらに、所望の置換基、例えば、上記のもので置換されていてもよい。
【0080】
式(1)の化合物の合成の詳細な例は下記実施例で見いだすことができる。
【0081】
本発明の化合物のさらなる製造方法
本発明の化合物を、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることにより薬学的に許容される酸付加塩として製造し得る。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることにより製造し得る。あるいは、塩形の本発明の化合物を出発物質または中間体の塩を使用して製造し得る。
【0082】
遊離酸形または遊離塩基形の本発明の化合物を、対応する塩基付加塩形または酸付加塩形、各々から製造し得る。例えば酸付加塩形の本発明の化合物は、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)と処理することにより対応する遊離塩基に変換し得る。塩基付加塩形の本発明の化合物は、適当な酸(例えば、塩酸など)と処理することにより対応する遊離酸に変換し得る。
【0083】
非酸化形の本発明の化合物を、適当な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、ジオキサン溶液など)中で、0から80℃で還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化物など)と処理することにより本発明の化合物のN−オキシドから製造し得る。
【0084】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を当業者に既知の方法で製造し得る(例えばさらなる詳細のためにSaulnier et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 1994, 4:1985-90参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグを本発明の非誘導化化合物を適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより製造し得る。
【0085】
本発明の化合物の保護された誘導体を当業者に既知の方法で製造し得る。保護基の創造およびその除去に適用できる技術の詳細な説明はT. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999において見ることができる。
【0086】
本発明の化合物を、本発明の工程中に溶媒和物(例えば、水和物)として都合良く製造または形成し得る。本発明の化合物の水和物を、有機溶媒、例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを使用し、水性/有機溶媒混合物から再結晶することにより都合良く製造し得る。
【0087】
本発明の化合物を、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、一組のジアステレオマー化合物を形成し、該ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、それらの個々の立体異性体として製造し得る。エナンチオマーの分離は本発明の化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を使用して行い得るが、分離できる複合体が好ましい(例えば、結晶のジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、そしてこれらの相違を利用して容易に分離し得る。ジアステレオマーをクロマトグラフィー、または溶解度の差異に基づく分割/分離技術により分割し得る。次いで光学的に純粋なエナンチオマーを、ラセミ化をもたらさないであろう実用的手段により分割剤と一緒に回収する。ラセミ混合物から化合物の立体異性体の分離に適用できる技術のより詳細な説明はJean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981において見ることができる。
【0088】
手短に言えば、式(1)の化合物を下記の工程を含む方法により製造し得る:
(a)反応スキームIの工程;ならびに
(b)所望により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(c)所望により塩形の本発明の化合物の非塩形への変換;
(d)所望により非酸化形の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(e)所望によりN−オキシド形の本発明の化合物の非酸化形への変換;
(f)所望により異性体の混合物からの本発明の化合物の個々の異性体への分離;
(g)所望により本発明の非誘導化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(h)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体のその非誘導化形態への変換。
【0089】
下記実施例は説明するために提供するが、本発明を限定しない。出発物質の製造において特に記載のない限り、化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に準じてもしくは下記の実施例に記載のとおりに製造し得る。当業者は、下記実施例が本発明の化合物の製造法の代表例のみであり、そして他の既知の方法を同様に使用し得ることを理解できよう。
【実施例】
【0090】
実施例1
3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−6−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オン
【化6】

3−(3−ニトロ−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4H−[1,2,4]−トリアゾール(1)の合成
3−トリフルオロメトキシ安息香酸ヒドラジド(60mg、0.27mmol)および3−ニトロ−ベンズイミド酸メチルエステル(0.35mmol)を1,2−ジクロロエタン(0.5mL)と混合し、115℃で2日間加熱する。溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を得る;LC−MS(m/z)[M+1]351.2。
【0091】
(2−ニトロ−4−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−フェニル)−酢酸エチルエステル(2)の合成
DMF(2mL)中の化合物1(40mg、0.11mmol)の溶液に2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロライド(SEM−Cl、26μL)および炭酸セシウム(74mg)を連続して加える。懸濁液を室温で3時間撹拌する。反応を水でクエンチする。混合物をEtOAcで抽出する。合わせた有機溶液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、3−(3−ニトロ−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾールを送達する。LC−MS(m/z)[M+1]481.2。
【0092】
メタノール(4mL)中の3−(3−ニトロ−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール(45mg、0.09mmol)の溶液にPa/C(10wt%、10mg)を加える。混合物を水素バルーン下で一晩撹拌する。セライトを介して濾過し、濃縮する。LC−MS(m/z)[M+1]451.2。
【0093】
3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミン(38mg、0.084mmol)を1,4−ジオキサン(1mL)中の(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−酢酸エチルエステル(24mg)、キサントホス(3mg)、酢酸パラジウム(II)(0.8mg)および炭酸セシウム(38mg)と混合する。混合物を115℃で2日間加熱し、次にセライトを介して濾過する。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、(2−ニトロ−4−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−フェニル)−酢酸エチルエステルを得る。LC−MS(m/z)[M+1]658.2。
【0094】
6−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オン(3)の合成
酢酸(4mL)中の(2−ニトロ−4−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−フェニル)−酢酸エチルエステル(42mg)の溶液にパラジウム炭素(10wt%、8mg)を加える。混合物を室温で水素バルーン下で一晩撹拌し、セライトを介して濾過する。濾液を濃縮し、粗物質をさらなる精製なしで使用する。LC−MS(m/z)[M+1]582.2。
【0095】
6−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オン(4)の合成
無水メタノール(1mL)中の6−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オン(41mg)の溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物(15mg)を加える。混合物を100℃で30分マイクロ波照射する。混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を得る。LC−MS(m/z)[M+1]452.2。
【0096】
3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−6−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オン(5)の合成
EtOH(2mL)中の6−{3−[5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オン(14mg、0.03mmol)の懸濁液にピロール−2−カルボキシアルデヒド(3.5mg)およびピペリジン(12μL)を加える。混合物を還流温度で2時間加熱し、次に溶媒を蒸発させる。残渣を分取LC/MSにより精製し、表題化合物を得る。1H NMR (DMSO-d6) δ 14.66 (s, 1 H), 13.17 (s, 1 H), 10.78 (s, 1 H), 8.64-8.50 (m, 1 H), 8.10 (d, 1 H), 8.03-7.92 (m, 1 H), 7.84 (s, 1 H), 7.72-7.40 (m, 6 H), 7.30-7.20 (m, 2 H), 6.80-6.68 (m, 3 H), 6.30 (m, 1 H);LC−MS(m/z)[M+1]529.2。
【0097】
上記実施例に記載されている製造を繰り返すことにより、適当な出発反応物を使用して、表1で特定される下記化合物が得られる。
表1
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】

【0102】
【表6】

【0103】
【表7】

【0104】
【表8】

【0105】
アッセイ
本発明の化合物を、親32D細胞と比較してBcr−Abl(32D−p210)を発現する32D細胞の細胞増殖を選択的に阻害する能力についてアッセイできる。これらのBCR−Abl形質転換細胞の増殖を選択的に阻害する化合物は野生型または変異型のBcr−ablのいずれかを発現するBa/F3細胞における抗増殖性活性に対して試験する。
【0106】
本発明の化合物を、また、親Ba/F3細胞と比較してETV6−NTRK3(Ba/F3 EN)を発現するBa/F3細胞の細胞増殖を選択的に阻害する能力を測定するためにアッセイできる。これらのETV6−NTRK3形質転換細胞の増殖を選択的に阻害する化合物はTel融合のTrkファミリーメンバー、具体的にはNTRK1およびNTRK2のいずれかを発現するBa/F3細胞における抗増殖性活性に対して試験する。
【0107】
細胞性BCR−Abl依存性増殖の阻害(ハイスループット法)
マウス細胞系32D造血前駆細胞系は、BCR−Abl cDNAで形質転換され得る。これらの細胞を、ペニシリン50μg/mL、ストレプトマイシン50μg/mLおよびL−グルタミン200mMを添加したRPMI/10%胎児ウシ血清(RPMI/FCS)に維持する。形質転換されていない32D細胞を、IL3の源として15%のWEHI馴化培地を添加して同様に維持する。
【0108】
50μlの32Dまたは32D−p210細胞懸濁液を5000細胞/ウェルの密度でGreiner384ウェルマイクロプレート(黒色)に播種する。50nLの試験化合物(DMSO貯蔵溶液中で1mM)をそれぞれのウェルに加える(STI571を陽性対照として包含する)。細胞を72時間、37℃、5%COでインキュベートする。10μlの60%Alamar Blue溶液(Tek diagnostics)をそれぞれのウェルに加え、細胞をさらに24時間インキュベートする。蛍光強度(530nmで励起、580nmで放射)でAcquestTMシステム(Molecular Devices)を使用して定量する。
【0109】
細胞性BCR−Abl依存性増殖の阻害
32D−p210細胞を96ウェルTCプレートに15,000細胞/ウェルの密度で播種する。50μLの試験化合物の2倍連続希釈(Cmaxは40μM)をそれぞれのウェルに添加する(STI571を陽性対照として包含する)。細胞を48時間、37℃、5%COでインキュベート後、15μLのMTT(Promega)をそれぞれのウェルに添加し、細胞をさらに5時間インキュベートする。570nmの光学密度を分光測光により定量し、IC50値、50%阻害に必要な化合物の濃度を用量応答曲線から決定する。
【0110】
細胞サイクル分布に対する効果
32Dおよび32D−p210細胞を6ウェルTCプレートに、5mlの培地中2.5×10細胞/ウェルで播種し、1または10μMの試験化合物を添加する(STI571を対照として包含する)。細胞を次いで24時間または48時間、37℃、5%COでインキュベートする。2mlの細胞懸濁液をPBSで洗浄し、70%EtOHに1時間固定し、PBS/EDTA/RNase Aで30分処置する。ヨウ化プロピジウム(Cf=10μg/ml)を添加し、蛍光強度をFACScaliburTMシステム(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより定量する。いくつかの態様において、本発明の試験化合物は、32D−p210細胞に対してアポトーシス作用を証明できるが、32D親細胞ではアポトーシスを誘発しない。
【0111】
細胞性BCR−Abl自己リン酸化に対する効果
BCR−Abl自己リン酸化を、c−abl特異的捕捉抗体および抗ホスホチロシン抗体を使用した、捕捉Elisaで定量する。32D−p210細胞を96ウェルTCプレートに、50μLの培地中2×10細胞/ウェルで播種する。50μLの試験化合物の2倍連続希釈(Cmaxは10μM)をそれぞれのウェルに添加する(STI571を陽性対照として包含する)。細胞を、90分、37℃、5%COでインキュベートする。次いで、細胞を1時間、氷上でプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含む150μLの融解緩衝液(50mMのTris HCl、pH7.4、150mMのNaCl、5mMのEDTA、1mMのEGTAおよび1%NP−40)で処理する。50μLの細胞融解物を、予め抗abl特異的抗体でコーティングし、ブロックした96ウェルoptiplateに添加する。プレートを、4時間、4℃でインキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄後、50μLのアルカリホスファターゼ結合抗ホスホチロシン抗体を添加し、プレートをさらに一晩4℃でインキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄後、90μLの発光基質を添加し、発光をAcquestTMシステム(Molecular Devices)を使用して定量する。いくつかの態様において、BCR−Abl発現細胞の増殖を阻害する本発明の試験化合物は、細胞性BCR−Abl自己リン酸化を用量依存的方法で阻害する。
【0112】
Bcr−ablの変異型を発現する細胞の増殖に対する効果
本発明の化合物を、BCR−Ablの野生型または、STI571に対する耐性を付与するか感受性を低下させる変異型(G250E、E255V、T315I、F317L、M351T)のいずれかを発現するBa/F3細胞に対するそれらの抗増殖効果を試験できる。変異体BCR−Abl発現細胞および非形質転換細胞に対するこれらの化合物の抗増殖性効果を、上記のとおり(IL3欠如培地中で)10、3.3、1.1および0.37μMで試験できる。非形質転換細胞に対して毒性がない化合物のIC50値を、上記のとおりに得た用量応答曲線から決定する。
【0113】
FLT3およびPDGFRβ
FLT3およびPDGFRβの細胞活性における本発明の化合物の効果を下記方法を使用して実施できる。FLT3およびPDGFRβに対して、Ba/F3−FLT3−ITDおよびBa/F3−Tel−PDGFRβ各々を使用する。
【0114】
本発明の化合物を、FLT3またはPDGFRβ細胞キナーゼ活性に依存する、形質転換Ba/F3−FLT3−ITDまたはBa/F3−Tel−PDGFRβ細胞増殖を阻害する能力に対して試験できる。Ba/F3−FLT3−ITDまたはBa/F3−Tel−PDGFRβを、培養培地として10%胎児ウシ血清を添加したRPMI1640で、懸濁液中で800,000細胞/mLまで培養する。細胞を、50μLの培養培地中で5000細胞/ウェルで384ウェルフォーマットプレートに分配する。本発明の化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、希釈する。12点1:3連続希釈物をDMSOに入れ、一般的に10mMから0.05μMの範囲の濃度勾配を作る。細胞を50nLの希釈された化合物に加え、細胞培養インキュベーターで48時間インキュベートする。細胞が増殖することにより作られる還元環境をモニタリングするために使用し得るAlamarBlue(登録商標)(TREK Diagnostic Systems)を、10%の最終濃度で細胞に加える。細胞培養インキュベーターで37℃でさらに4時間インキュベート後、還元AlamarBlue(登録商標)からの蛍光シグナル(励起530nm;発光580nm)をAnalyst GT(Molecular Devices Corp.)で定量する。IC50値を12濃度でそれぞれの化合物の阻害%の線形回帰分析により計算する。
【0115】
細胞性ETV6−NTRK3依存性増殖の阻害(ハイスループット法)
マウス細胞系Ba/F3造血前駆細胞系はETV6−NTRK3 cDNA(Ba/F3 EN)で形質転換され得る。これらの細胞を、ペニシリン50μg/mL、ストレプトマイシン50μg/mLおよびL−グルタミン200mMを添加したRPMI/10%胎児ウシ血清(RPMI/FCS)に維持する。形質転換されていないBa/F3細胞を、IL3の源として10%のWEHI馴化培地を添加して同様に維持する。
【0116】
50μlのBa/F3またはBa/F3 EN細胞懸濁液を2000細胞/ウェルの密度でGreiner384ウェルマイクロプレート(black)に播種する。50nLの試験化合物(DMSO貯蔵溶液中で1mM)をそれぞれのウェルに加える。細胞を72時間、37℃、5%COでインキュベートする。10μlの60%Alamar Blue溶液(Tek diagnostics)をそれぞれのウェルに加え、細胞をさらに24時間インキュベートする。蛍光強度(530nmで励起、580nmで放射)でAcquestTMシステム(Molecular Devices)を使用して定量する。
【0117】
細胞性ETV6−NTRK3依存性増殖の阻害
90μLの培地中に含まれる10,000細胞/ウェルのBa/F3 EN細胞を96ウェルTCプレートに播種する。10μLの試験化合物の3倍連続希釈(Cmaxは10μM)をそれぞれのウェルに添加する(STI571を陽性対照として包含する)。細胞を72時間、37℃、5%COでインキュベート後、15μLのMTT(Promega)をそれぞれのウェルに添加し、細胞をさらに5時間インキュベートする。570nmの光学密度を分光測光により定量し、IC50値を用量応答曲線から決定する。
【0118】
細胞の増殖に対する効果
本発明の化合物を、ETV6−NTRK3またはETV6−NTRK1、ETV6−NTRK2、Bcr−Abl、FLT3、FGFR3、NPM−Alk、FIG−RosおよびRor1のいずれかを発現するBa/F3細胞に対するそれらの抗増殖効果を試験できる。異なる細胞系および非形質転換細胞に対するこれらの化合物の抗増殖性効果を、上記のとおり(IL3欠如培地中で)384ウェルプレートで3倍連続希釈で試験する。異なる細胞系の化合物のIC50値を、上記のとおりに得た用量応答曲線から決定する。
【0119】
Upstate KinaseProfilerTM−放射酵素的フィルター結合アッセイ
本発明の化合物を、一連のキナーゼの個々のメンバー(キナーゼの一部として、TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1およびSGKキナーゼを含み、これに限定しない)を阻害する能力についてアッセイできる。化合物を、10μMの最終濃度でデュプリケートで、この一般的プロトコールに従い試験する。キナーゼ緩衝液組成物および基質は一連の“Upstate Kinase ProfilerTM”を含んでいる異なるキナーゼに対して変化することを留意する。キナーゼ緩衝液(2.5μL、10×−必要であればMnCl含有)、キナーゼ緩衝液中の活性キナーゼ(0.001−0.01単位;2.5μL)、特異的またはポリ(Glu4−Tyr)ペプチド(5−500μMまたは.01mg/ml)およびキナーゼ緩衝液(50μM;5μL)を、氷上でエッペンドルフで混合する。Mg/ATPミックス(10μL;67.5(または33.75)mMのMgCl、450(または225)μMのATPおよび1μCi/μl[γ−32P]−ATP(3000Ci/mmol)を添加し、反応物を約30℃で約10分インキュベートする。反応混合物を2cm×2cmのP81(ホスホセルロース、正に荷電したペプチド基質のため)またはWhatman No.1(ポリ(Glu4−Tyr)ペプチド基質のため)試験紙升目にスポット(20μL)する。アッセイ升目を4回、それぞれ5分、0.75%リン酸で、そして1回アセトンで5分洗浄する。アッセイ升目をシンチレーションバイアルに移し、5mlシンチレーションカクテルを添加し、ペプチド基質への32P取り込み(cpm)をBeckmanシンチレーションカウンターで計数する。それぞれの反応について阻害パーセントを計算する。
【0120】
遊離形の式(1)または(2)の化合物または薬学的に許容される塩形は、例えば、本出願に記載のインビトロ試験法により示される通り、重要な薬理学的特性を示すことができる。これらの実験におけるIC50値は、阻害剤なしの対照を使用して得られる細胞数よりも50%少ない細胞数となる対象の試験化合物の濃度である。一般的に、本発明の化合物は、1nMから10μMのIC50値を有する。いくつかの例において、本発明の化合物は、0.01μMから5μMのIC50値を示す。他の例において、本発明の化合物は、0.01μMから1μM、または、さらに特に1nMから1μMのIC50値を有する。さらに他の態様において、本発明の化合物は、1nM未満または10μMより大きいIC50値を有する。10μMの濃度で式(1)または(2)の化合物は、1種以上の下記キナーゼ:TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1およびSGKキナーゼに対して50%以上の阻害%、または他の態様において、好ましくは約70%以上の阻害%を示すことができる。
【0121】
ここに記載の例および態様は、説明の目的のためのみであり、それに照らした様々な修飾または変化が当業者には示唆され、それらは本発明の精神および範囲の範囲内および添付の特許請求の範囲内に包含されることは理解されるべきである。本明細書で引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的のために引用して本明細書に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

〔式中:
、W、W、W、W、W、W、W、WおよびW10は、独立して、CまたはNである;ただし、L、Y、RおよびRが結合しているとき、W、W、W、W、W、W、W、W、WおよびW10のそれぞれはCであり;
Qは、N、NNR、NOまたはCRであり;
Lは、結合、−O−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−C(O)NR−、−NR−またはSであり;
、RおよびRは、独立して、ハロ;所望により、ハロゲン化されているか、または、所望により、N、OまたはSで置換されていてもよい、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;または、所望により置換されているアリール、ヘテロアリール、炭素環式環またはヘテロ環式環であるか;または、RはHであり;
それぞれのRは、HまたはC1−6アルキルであり;
XおよびZは、独立して、所望により置換されているアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式環または炭素環式環であり;
Yは、所望により置換されているヘテロアリールであり;
あるいは、環Aが、Yと一体となって、縮合ヘテロアリールを形成するか;または、YおよびZが、一体となって、縮合ヘテロアリールを形成してもよく;
mは、0−4であり;そして、
nは、0−3である〕
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩または互変異性体;
ただし、該化合物は、3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−6−{3−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,2,4]オキサジザソール−5−イル]−フェニルアミノ}−1,3−ジヒドロ−インドル−2−オンではない。
【請求項2】
X、YおよびZが、独立して、N、OまたはSを有する、所望により置換されている5−7員ヘテロアリールであるか;またはZが所望により置換されている5−7員アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XおよびYが、独立して、所望により置換されているピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、フラニルまたはオキサジアゾリルであるか;または、環Aが、Yと一体となって、ベンゾイミダゾリルを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Zが、所望により置換されているフェニル、ピリジルまたはフラニルであるか;または、YおよびZが、一体となって、ベンゾイミダゾリルを形成する、請求項1−3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
およびRが、独立して、ハロ、または、所望により、ハロゲン化されたC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシである、請求項1−4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Lが結合またはNHである、請求項1−5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
QがCRであり、そして、RがHまたはC1−6アルキルである、請求項1−6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
、W、W、W、W、W、W、W、WおよびW10のそれぞれがCである、請求項1−7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
、W、W、W、WおよびW10の2個がNであり、その他がCである、請求項1−7のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
該化合物が、式(2):
【化2】

〔式中、RおよびRは、独立して、ハロ、または、所望により、ハロゲン化されているC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり;
およびWは、独立して、CまたはNである;ただし、Rが結合しているとき、WおよびWのそれぞれはCであり;
XおよびYは、独立して、所望により置換されているヘテロアリールであり;
Zは、所望により置換されているアリールまたはヘテロアリールであり;
あるいは、環Aが、Yと一体となって、縮合ヘテロアリールを形成するか;または、YおよびZが、一体となって、縮合ヘテロアリールを形成してもよく;そして、
mおよびnは、独立して、0−2である〕
で示される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Xが、所望により置換されているピロリルまたはイミダゾリルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Yがイミダゾリル、トリアゾリル、ピラゾールまたはオキサジアゾリルであるか;または、環Aが、Yと一体となって、ベンゾイミダゾリルを形成する、請求項10または11に記載の化合物。
【請求項13】
Zが、所望により置換されているフェニル、ピリジルまたはフラニルであるか;または、YおよびZが、一体となって、ベンゾイミダゾリルを形成する、請求項10−12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
該化合物が、
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

からなる群から選択される請求項1−13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
治療有効量の請求項1−14のいずれかに記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
TrkA、TrkB、TrkC、Abl、Bcr−Abl、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、オーロラ、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKCα、Raf、ROCK−II、Rsk1およびSGKキナーゼからなる群から選択されるキナーゼまたはそれらの組合せが介在する状態の処置のための薬物の製造における、請求項1−14のいずれかに記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩または医薬組成物の使用。
【請求項17】
該キナーゼがTrkキナーゼである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
該状態が、細胞増殖性障害、慢性疼痛、骨痛、血管形成異常、関節炎、糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症または乾癬である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
該細胞増殖性障害が、神経芽腫または乳房、前立腺もしくは膵臓の腫瘍もしくは癌である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
該細胞増殖性障害が、前立腺または膵臓の腫瘍または癌である、請求項19に記載の使用。

【公表番号】特表2010−505859(P2010−505859A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531504(P2009−531504)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/076871
【国際公開番号】WO2008/045627
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】