タンパク質マイクロアレイスライド
【課題】蛍光バックグラウンドを軽減することが可能なタンパク質マイクロアレイスライドとスライド用保持器を提供する。
【解決手段】スライドの反対側上に第一及び第二の主表面と、第一の主表面から第二の主表面へとスライドを通じる1以上の開口部と、1以上の開口部上にわたってスライドの1つの主表面に戴置された1以上の膜とを有し、活性な膜領域中のバックグラウンド蛍光を洗浄する能力と軽減する能力をともに有し、膜はニトロセルロース、ナイロン又はPVDFで作製される。開口部は洗浄溶液が膜を通過できるようにするために使用することが可能であり、スライドから莢雑物(タンパク質又は抗体、染料、塩などの非付着材料)と一緒に除去することにより、蛍光バックグラウンドを軽減することが可能で、バックグラウンド蛍光を増加させるスライド材料及び一切の接着剤が存在しないために、開口部はスライドの上に置かれた膜より低い蛍光を示す。
【解決手段】スライドの反対側上に第一及び第二の主表面と、第一の主表面から第二の主表面へとスライドを通じる1以上の開口部と、1以上の開口部上にわたってスライドの1つの主表面に戴置された1以上の膜とを有し、活性な膜領域中のバックグラウンド蛍光を洗浄する能力と軽減する能力をともに有し、膜はニトロセルロース、ナイロン又はPVDFで作製される。開口部は洗浄溶液が膜を通過できるようにするために使用することが可能であり、スライドから莢雑物(タンパク質又は抗体、染料、塩などの非付着材料)と一緒に除去することにより、蛍光バックグラウンドを軽減することが可能で、バックグラウンド蛍光を増加させるスライド材料及び一切の接着剤が存在しないために、開口部はスライドの上に置かれた膜より低い蛍光を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本実用特許出願は、2005年10月4日に出願された米国仮特許出願第60/723,406号の利益を主張する。この出願の内容全体が、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、タンパク質マイクロアレイスライドに関する。より具体的には、本発明は、スライド上に支持された膜と、該膜の下のスライドの一部に1以上の開口部とを有するタンパク質マイクロアレイスライドに関する。
【背景技術】
【0003】
膜を基礎としたマイクロアレイの使用は周知である。
【0004】
1つのこのような周知のアレイは、ガラス顕微鏡スライド上に接着又は鋳造されたニトロセルロース膜材料から形成されている。
【0005】
スライド上に接着されたPVDF膜の使用も周知であり、米国特許第6,197,599号及びWO03/072752号を参照されたい。バックグラウンドノイズを軽減するための炭素充填された又は炭素コートされたプラスチックスライドなどの蛍光軽減スライドの使用を含む幾つかの異なる実施形態が公知である。
【0006】
これらの装置に伴う問題は多岐にわたる。
【0007】
これらの装置は、高いバックグラウンド蛍光を有するので、蛍光を発したタンパク質分子を基材と区別することが困難である。バックグラウンド蛍光又は「ノイズ」は、膜そのもの;対象タンパク質に対する付着、精製及びその他のプロセス段階で使用される染料などの様々な試薬;膜をスライドに付着させるために使用される場合には、接着剤;又はスライド材料そのもののうち何れからも生じ得る。
【0008】
場所打ち(cast in place)膜材料は、その厚さ及び孔径分布が一貫しない傾向があり、このため、蛍光検出条件下で観察したときに、膜表面上に筋又はその他の像が写ることが多い。これらの一貫性の欠如は、タンパク質の特徴を決定するために使用される蛍光像に変動をもたらし、これにより、蛍光を検出する能力及び蛍光シグナルを識別する能力が制約される。
【0009】
また、それらは、洗浄(一般的には、非結合染料及び他のこのような材料の除去)が困難であり、ノイズレベルが常に高く、時には、複数段階プロセスにおける以降の段階が実行できなくなる。タンパク質試料は、a)標的表面へ十分にスポッティング及び結合されること;b)変性せずに表面へ付着している間、構造的に存続可能なままであること;c)表面に付着されている間、望ましくない廃棄物が十分に洗浄されること、並びにd)表面上で十分に乾燥されることが必要である。次いで、試料及び表面は、さらに高い光の波長で蛍光(適切な装置によって記録される。)を誘導するために、制御された紫外光の波長に曝露される。
【0010】
記録された情報の質は、平均シグナル及びシグナル対ノイズ比並びに標的表面全体にわたる様々な場所での複製されたシグナルの一貫性によって測定された、蛍光シグナルの強度によって決定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
必要とされるのは、既存のスライド形式(典型的には、25mm×75mm×1mmである。)に伴うこれらの問題を克服する膜スライドである。本発明は、このような解決を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、a)スライドの反対側上に第一及び第二の主表面と、b)第一の主表面から第二の主表面へとスライドを通じる1以上の開口部と、並びにc)1以上の開口部上にわたってスライドの1つの主表面に戴置された1以上の膜とを有するスライドに関する。該スライドは、活性な膜領域中のバックグラウンド蛍光を洗浄する能力と軽減する能力の両方を提供する。好ましくは、膜は、ニトロセルロース、ナイロン又はPVDF、より好ましくはPVDFで作製される。開口部は、洗浄溶液が膜を通過して、スライドから莢雑物(タンパク質又は抗体、染料、塩などの非付着材料)とともに除去されることによって、蛍光バックグラウンドを軽減するために使用することができる。さらに、存在した場合にバックグラウンド蛍光を増加させ得るスライド材料及び接着剤が一切存在しないので、1以上の開口部は、スライド上に置かれた膜又はスライドに付着された膜より低い蛍光を発する。
【0013】
好ましい実施形態では、非対称膜構造(ある表面上の孔が別の表面上の孔より大きくなるように、ある表面から別の表面へと孔径の勾配を有する膜)が使用され、この場合、孔の開放がより大きな側がスライド表面から離れる方向に面している。本実施形態では、さらにバックグラウンド蛍光が小さくなる。
【0014】
第2の実施形態は、スライドに付着された、層状炭素が充填された膜からなる。バックグラウンド蛍光を軽減し、第1の層が炭素に富み、第2の層は樹脂に富む2層化された膜を作製するために、炭素粉末、染料又は顔料は、膜中に鋳造又は含浸される。
【0015】
第3の実施形態は、膜が付着されている、スライド表面の一方側の上に凹凸及び刻み目が施された表面からなる。三次元凹凸表面は、より多くのUV光を吸収し、より多くのUV光を内部に屈折し、散乱された様式で、UV光及び蛍光を外部に反射する。全体として、この凹凸が施された表面は、CCD又は同等な画像化センサーに達する蛍光の量を減少することにより、バックグラウンド蛍光性能を向上させる。表面は、映像を捕捉するために使用されるCCDセンサーから光の蛍光周波数を離れるように優先的に誘導する平坦な面を備えることも可能であろう。蛍光の軸と面の間の入射角は、好ましくは、45度と89度の間とすべきである。
【0016】
第4の実施形態では、スライド材料によって生じるバックグラウンド蛍光を軽減及び除去するための手段として、スライド用のスライドマスク保持器が教示される。該保持器は、好ましくは蝶番によって、より好ましくはリビングヒンジによって互いに一体化された、上部カバー及び下部カバーを含んでもよい。少なくとも上部カバー、好ましくは上部カバーと下部カバーは、スライドに戴置される膜のサイズ及び構造と実質的に等しい開口部を有する。
【0017】
第5の実施形態は、低蛍光材料で作製されたスライド及び/又はカバー又は蛍光遮断材料若しくは吸収材料が添加され、若しくはコーティングとしてその表面に塗布されたスライド及び/又はカバーを有する。好ましくは、材料は、炭素、木炭、活性炭及び黒鉛からなる群から選択される。
【0018】
第6の実施形態は、膜が既に付着されたネオプレンスライド材料又はネオプレンコートされたスライドである。ネオプレン又は同等な材料は、膜を露出する窓を除き、スライド全体の上部表面を覆う。窓のサイズは、20mm×50mmとしてもよいが、これより大きく、又はこれより小さくすることが可能である。ネオプレン又は同等な材料は、予め形成された片又はコーティングとすることが可能であり、留め具、両面接着テープ若しくは糊などの接着手段などの機械的手段によってスライドに付着され、又は予め形成された片である場合には、スライド表面に溶剤結合することが可能である。パッドスタンピング、噴霧などの周知技術を用いたコーティングとして塗布することが可能である。ネオプレン又はその同等な片又はコーティングは、膜の縁、スライド材料及び膜をスライドに付着させるために使用される接着剤又は他の材料からのバックグラウンド蛍光を減少する。
【0019】
第7の実施形態は、CD型ディスクに機械的に付着され、又はCD型ディスク中に形成されたスライドからなる。一実施形態は、標準的なスライドを、適切な形状にされたCDディスク中に配置することからなる。スライドは、所定の場所に嵌め込まれ、抗体試薬の塗布、ブロッキング及び洗浄の間、CDに固定されるであろう。流体試薬の塗布は、スピンコーティング法を用いて行われるであろう。
【0020】
第8の実施形態は、顧客の従来フォーマットで分析及び保存するためにスライドを容易に抜き出せるようにする分離式機構を有するCDを射出成形することからなる。
【0021】
第7又は第8の実施形態の装置用の付属製品には、UV励起及び蛍光検出を含むCDドライブ本体中に、エアロゾル化(噴霧器)システムを統合することが含まれ得る。これらは全て、自動化された洗浄及び画像化システム中に予め配置され、これらに統合されることが可能な既成の技術である。
【0022】
第9の実施形態は、中心を有する開放底スライドからなり、スライドの開放部分は、スポッティング操作中に、懸垂された膜を下から支える二次材料で一時的に満たされる。この二次材料は、最初並びに事前洗浄操作及びスポッティング操作中に、所定の位置に固定されるであろう。二次材料は、スポッティング後及び洗浄操作前に取り除かれる。この二次材料は、スライドと同じ材料から打ち抜き、若しくは射出成形することが可能であり、又は水溶液及びメタノールタイプの溶媒中に浸漬されたときに、低抽出可能品質を有する別の材料で作製することができる。二次材料は、ポリマー、ガラス、セラミック又は金属とすることが可能である。一実施形態において、二次材料は、強磁性材料又は強磁性粒子を含有するポリマーから形成され、自身をスライドに付着させるために磁力を使用する。
【0023】
さらなる実施形態は、過剰な液体がスライド表面から排出されるようにするため、膜の隅又は他の縁に隣接して又はこれらの中に、排水溝を固体スライド中に形成することである。
【0024】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが第一の主表面から第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、1以上の開口部上にわたる第一の主表面と第二の主表面からなる群から選択されるスライドの主表面に付着された膜とを有する、タンパク質マイクロアレイスライドを提供することが、本発明の目的である。
【0025】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが第一の主表面から第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、1以上の開口部上にわたる第一の主表面と第二の主表面からなる群から選択されるスライドの主表面に付着された膜とを有する、ガラス又はプラスチック製であるタンパク質マイクロアレイスライドを提供することが別の目的である。
【0026】
孔の開放がより大きな側が、膜が付着されているスライドの表面から離れるように上向きに配置されている、非対称膜を提供することがさらなる目的である。
【0027】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが第一の主表面から第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、第一の主表面と第二の主表面からなる群から選択されるスライドの主表面に付着された膜とを有し、プラスチック製であり、蛍光遮断若しくは吸収材料の1以上の充填剤を含有するか、又は1以上の蛍光遮断若しくは吸収材料の層で被覆されているタンパク質マイクロアレイスライドを提供することが目的である。
【0028】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが第一の主表面から第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、第一の主表面と第二の主表面からなる群から選択されるスライドの主表面に付着された膜とを有するタンパク質マイクロアレイスライド(該スライドはプラスチック製であり、該スライドは蛍光遮断若しくは吸収材料の1以上の充填剤を含有するか、又は1以上の蛍光遮断若しくは吸収材料の層で被覆されており、膜は、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されているスライド表面から離れるように上向きに面している非対称膜である。)を提供することが目的である。
【0029】
カバーと、下部カバーと、該カバーと下部カバーとの間の蝶番とから構成され、カバー及び下部カバーがスライドを実質的に覆うサイズ及び構造であり、カバー又は下部カバーの少なくとも何れかがスライドの1以上の開口部に対応し、且つ一致する1以上の開口部を有する、タンパク質マイクロアレイスライド用保持器を提供することが目的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、図1及び2に示されているような、第一の主表面6と第二の主表面8を有するスライド基材4から構成される、タンパク質アレイスライド2である。第一の6及び第二8の表面は、互いに向き合うように、且つ互いに平行に配置されている。1以上の開口部10が、第一の表面6から第二の表面8まで、スライド支持体4中に形成されている。膜12は、スライド支持体4の主表面6又は8の何れかに付着されている。
【0031】
図1及び2に示されているように、1つの開口部10が示されているが、ある種の実施形態では、2以上の開口部を使用することが可能である。
【0032】
図3は、スライド支持体4の格子状又は網状構造14の間の一連の開口部10を示している。
【0033】
図4は、スライド支持体4が、図3の格子状構造の代わりに、一連の溝又はレーン17を形成する一連の平行な肋構造16を含有する別の実施形態を示している。
【0034】
図5は、一連の開口部10を有するスライド支持体4を示している。このような開口部は、円若しくは楕円、又は三角形、四角形、五角形、六角形、七角形若しくは八角形などの多角形形状(これらに限定されない。)などの任意の慣用の形状とすることが可能である。
【0035】
他の構造を使用してもよい。例えば、所望するタンパク質アレイスポットの数に等しい数の一連の開口部を配置することが可能であろう。好ましくは、このような実施形態では、開口部10は、横列、縦列又は両方によって互いに等距離で隔てられた横列及び縦列中に配置される。図1及び2のような、1開口部の実施形態では、開口部は、好ましくは中心に位置される。あるいは、例えば、バーコード又はRFIDタグなどの識別タグを含めるために、試料の起源を書き込み又は印付けするための領域を作出することを望むのであれば、支持体の一方側又は末端にオフセットしてもよい。
【0036】
図1に示されているように、膜12は、好ましくは、スライド支持体4よりサイズが小さい。このように、膜は、支持体縁16の内側に維持される。本実施形態では、スライドの一部の領域が可視的であり、従って、(以下に記載されているように)ノイズを軽減又は除去するために処理しなければ、ノイズ又はバックグラウンド蛍光を引き起こすかもしれない。しかしながら、それによって、簡易な取り扱いが可能となり、膜のあらゆる周縁部汚染を防止する。あるいは、膜12は、図6に示されているように、スライド支持体4の幅及び長さ全体に亘ることが可能である。本実施形態によって、膜表面を完全に使用することが可能となり、幾つかの事例では、膜12によってスライド支持体4を覆うことによって、スライド支持体4によって引き起こされるノイズを軽減する上で役立つことができる。図示されていないが、所望であれば、膜12の2片以上を容易に使用することが可能であろう。
【0037】
スライド支持体は、プラスチック;ガラス;金属又はセラミックから形成されることが可能である。好ましくは、スライド支持体は、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、アクリル樹脂、ナイロン、ポリスルホンなどのプラスチックで作製される。適切なガラスは、ホウケイ酸塩ガラスである。金属には、アルミニウム、ステンレス鋼などが含まれるが、これらに限定されるものではなく、シリカ又はケイ酸塩をベースとしたセラミックなどの様々なセラミックを使用してもよい。
【0038】
好ましくは、スライド支持体がプラスチックで作製されているのであれば、スライド支持体は、蛍光を遮断又は吸収することによって、スライド支持体の蛍光バックグラウンドを低減するのに役立つ充填剤などの、1以上の作用剤を含有する。あるいは、スライド支持体は、同じことを行う材料で被覆される。同様に、セラミック支持体は、このような材料を取り込み、又はこのようなコーティングを有してもよい。ガラス及び金属支持体は、コーティングを使用するであろう。このような材料は、本業界で周知であり、カーボンブラック、木炭、活性炭及び黒鉛からなる群から選択される蛍光遮断又は吸収材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの材料は、コーティングであるか、又は多孔性構造中に含浸されるか否かに応じて、追加成分を含有してもよい。例えば、含浸された材料を用いて、材料は、水などの液体又は乾燥、加熱、真空などによってその後除去することができるアルコール若しくは他の溶剤などの蒸発性材料などの液体中に運び込まれてもよい。コーティングを用いる場合、遮断又は吸収材料を所定の位置に固定するために接着剤又は塗料などの担体を使用してもよい。
【0039】
膜は、PVDF、ニトロセルロース及びナイロンからなる群から選択される材料で作製される。好ましくは、選択される膜は、低い固有の蛍光特性を有するか、又は膜の蛍光特性を軽減する材料で処理される。このような膜は、様々な入手先から市販されている。適切なPVDF膜は、Billerica、MassachusetsのMillipore Corporationから入手できるImmobilonTMFL膜として知られている0.45ミクロン平均孔径の膜である。典型的には、約0.80ミクロンから約0.40ミクロンまでの孔径が本願に適している。好ましい孔径は、約0.45ミクロンである。
【0040】
好ましくは、一方側の孔径が他方側の孔径より大きくなるように、膜は、その孔径構成が非対称である。一般的には、2:1ないし1000:1の孔径比が本発明に適している。このような非対称膜を使用する際には、より小さな孔径が、膜が付着されている主表面に面するように、膜を配置する。換言すれば、膜の大きな孔径側は、膜が付着されている支持体表面から離れる方向に面している。これによって、膜からのノイズのレベルが軽減されることが見出された。
【0041】
膜は、幾つかの異なる手段によって、スライド支持体に付着させることが可能である。支持体表面に膜を機械的に固定するために、Cクランプなどの一連の留め具を使用することが可能である(図示せず)。あるいは、膜とスライド支持体表面の間に付着を形成するために、図2中の層5のような、両面テープ、糊、感圧接着剤などの接着剤(これらに限定されない。)を使用することが可能である。
【0042】
プラスチックスライド支持体材料とともに、熱結合又は溶剤結合を使用してもよい。接着剤又は留め具などの機械的装置によって生じる全ての蛍光ノイズを除去し、場所打ち膜によって生じる筋又はその他の像を軽減するので、幾つかの用例では、これは好ましい付着の方法である。好ましい溶剤は、膜及び支持体材料をともに溶媒和して、両者の間に強固な結合を作り出す溶剤である。1つの例は、PVDF膜及びポリスチレンスライド支持体材料とともに使用されるアセトンである。膜の外側縁など、膜の所望の領域へ溶剤を単に少量塗布し、膜の中に溶剤を逃し、次いで、蒸発させ、次いで、膜とプラスチック支持体を溶媒和させるために、膜をプラスチック支持体に貼り付け、互いに接着させることが可能である。
【0043】
溶剤の取り扱い、蒸気の回収、部品の取り扱い及び梱包を管理する溶剤結合工程は、図7に図示されている。好ましくは、これは、自動化されたシステムである。スライド支持体は、複数空洞鋳型100中に形成した後、自動化されたボールフィーダ102に移すことが可能である。フィーダは、スライドを正しい方向に向けた後、アセンブリーネスト104へとスライドを往復移動させる。回転テーブルに複数のネストを付着させることが可能であり、又は、所望であれば、単一のネストを使用することが可能である。ネストは、各スライドの視覚的検査を実行し、不適切な配置又は欠陥のあるスライドを特定する。膜は、打ち抜き機106で、望ましいサイズの片及び構造になるように切断され、スライド上に分配される。好ましくは、分配プロセスは、膜がその中へ走行される弱陰圧槽からなる。ついで、湿潤状態の間に膜を打ち抜き、待機しているスライド上に配置される。好ましくは、この段階は、回転テーブルから構成され、膜を湿らせ、切断し、所定の位置に配置するために、単一の線形運動アクチュエータを使用する。浸漬槽は、溶剤(50−100mls)の小さな貯蔵容器と、過剰な溶剤を除去するためのエラストマー羽根などのワイパー羽根と、溶剤蒸気の排出を防ぐための弱内部陰圧と、溶剤用の回収系への通気孔又は炭素若しくは木炭などの捕捉剤と、膜を浸漬させ、槽から膜を撤収するためのローラーとを有するであろう。好ましくは、機械が作動しているときのみに浸漬が起こるように、これは、自動化されたシステムである。保守、修理、緊急停止などのために機械が停止されれば、中断時に撤収が起こるであろう。
【0044】
次いで、ニップローラー、空気プレス又は機械的留め具を使用して、段階108において、膜が付着される。
【0045】
次いで、段階110において、膜の配置について、膜付きのスライド組み立て品を検査し、段階112において、標識及び梱包を行う。
【0046】
本発明の装置を形成する別の方法は、i)SPI Supplies、West Chester、PAのCarbon Tape;ii)3Mから入手されるType 9415アクリル酸テープ;又はiii)Avery Dennisonから入手されるMED6000及びMED3044などの、両面接着テープを使用することである。このテープは、1以上の開口部にわたって、その第一の面がスライドに付着されており、接着テープとスライドの間に気泡が捕捉されないように塗布される。スライドには、射出成形によって、若しくはレーザーなどによる開放領域の除去によって、1以上の開口部を有するように予め成形してもよいし、又はスライド及びテープ材料を通じて1以上の開口部を切り取るためにレーザーを使用することなどによって、テープの付着後に開口部を形成することが可能である。開口部が予め形成されているのであれば、開口部上の接着テープは、ナイフ又はレーザーによって切り取られる。次いで、テープの第二の面に膜を付着させる。次いで、ナイフ又は好ましくはレーザーなどによって、最終寸法になるように、膜及びテープの残部を切断した後、スライドから過剰なテープ/膜を剥離し、スライドから除去する。
【0047】
別の方法は、レーザー吸収性コーティング及びYagレーザーを使用することである。1以上の膜区画が付着されるスライドの外側縁など、スライドの表面の選択された部分に、ClearWeldTMなどのレーザー吸収性材料のコーティング又は同等なコーティングを施す。レーザー吸収性コーティング材料がその元の位置からずれないように、膜のシートを、スライドに塗布する。スライド材料を融解し、スライド材料を膜中に流動させるために、スライドにレーザーを当てる。冷却後、1以上の最終膜形状の外側周縁を切断するために、切断レーザを使用する。タンパク質アレイスライドを実現するために、膜の骨格を剥離除去する。
【0048】
別の実施形態では、有機的又は無機的に得られた、炭素、カーボンブラック又は黒鉛の小粒子を、乾燥状態又は液体状態の0.45ミクロンサイズのPVDF膜の間隙空間中に真空含浸することによって、予め形成された膜の含浸を行うことが可能である。幾つかの事例では、物理的保持のみでは十分でない膜中に粒子を保持するために、結合剤の少量を粒子中と混合してもよい。粒子は、a)紫外光硬化アクリル酸ポリマー;b)紫外光硬化エポキシなどの材料で膜を被覆することによって、又はc)膜の炭素に富む側に直接フィルム若しくはスライドを溶剤結合することによって、粒子を所定の位置に固定することが可能である。
【0049】
別の実施形態は、スライドに付着された、層状炭素が充填された膜からなる。バックグラウンド蛍光を軽減するために、炭素粉末、染料又は顔料を、PVDF、ナイロン又はニトロセルロース膜に鋳造する。
【0050】
例えば、炭素に富む層を形成するために、同時鋳造された膜の1層に炭素を添加することが可能である。このような膜、例えば、ImmobilonTM−FL−タイプの膜のタンパク質結合性能は、膜の一方側に樹脂に富む0.45ミクロン孔径を作出し、膜の他方側に炭素に富む0.45ミクロン孔径を作出する同時鋳造プロセスを使用することによって改善される。
【0051】
別の実施形態では、充填剤としての炭素又はその形成中若しくは形成後に若しくは第二の層の形成後にその中に含浸された炭素を有する予め形成された膜支持体の上に鋳造されたPVDF又はニトロセルロース膜などの複合膜を使用することが可能である。試料の洗浄を可能とするために必要とされる不可欠な多孔率を有するのであれば、層状膜を使用してもよい。
【0052】
上述されているように、2以上の開口部を使用できるが、本例では、スライド120が単一の開口部122を有する本実施形態に係るスライド組み立て品が、図8に示されている。炭素に富む層126が、スライド120に隣接されて、スライド120に結合されており、他の層128はスライド120から離れて上向きに面している、本実施形態の膜124が示されている。
【0053】
幾つかの実施形態では、タンパク質を互いに離隔し続けることが望ましい。これを行う1つの方法は、あるタンパク質が別のタンパク質の方向に移動できないように、膜の領域を単離することである。膜12の領域は、バリア領域200によって別の領域から隔てられている1つのこのような例が、図9に示されている。これは、領域間に固体材料(固体プラスチック壁又は肋構造(rib)など)を塗布し、厚さ方向を通じて非有孔性とするために、このようなバリア領域(疎水性又は親油性縁)に化学的処置を付与し、又は格子入り若しくは肋状スライド表面にわたって、レーザー又は打ち抜きなどによって、隣接領域の縁を物理的に切断するために、バリア領域200中の膜を崩壊させることなどによって、様々な方法で達成することが可能である。あるいは、領域と合致し、切断可能な一連の格子をスライド中に設定することが可能である。
【0054】
図10は、スライドの外側縁に膜が密閉されており、スライドが膜の下に陥凹部300を有し、その中に1以上の真空ポート302を有する別の実施形態を示している。1以上のポート302を通じて真空を付加することによって、洗浄液及び莢雑物を、膜から簡易且つ迅速に除去することが可能である。本発明の別の実施形態を用いて同じ原理を達成することも可能である。
【0055】
処理の間(洗浄又はスポッティングなど)及び画像化の間にスライドを固定することができる、本発明のスライド用の保持器を使用してもよい。図11及び12は、1つのこのような保持器を示している。この保持器400は、屈曲可能なヒンジ又はリビングヒンジ406によって接続された上部カバー402と下部カバー404を有する「2つ折り」の形態である。好ましくは、低コストと迅速な製造のために、真空形成されたプラスチックで作製される。トップカバー402は、サイズ及び形状が、スライド412上の膜パネル410に対応している窓又は開放部408を有する。このようにして、スライドを作業表面から離し続けながら、必要に応じて、膜表面に自由に接近できる。他の保持器の実施形態(図示せず)も使用することが可能である。例えば、互いに噛み合う材料の2片、又は接着剤、留め具若しくはVelcro(R)ファスナーによって互いに固定される材料の2片のスライド保持器を形成することが可能である。
【0056】
図13に示されているさらなる実施形態は、スライド422の一方の面上の凹凸及び刻み目が施された表面420からなり、表面420に膜424が付着される。三次元の凹凸表面は、より多くのUV光を吸収し、より多くのUV光を内部に屈折させ、矢印426によって示されているように、拡散された様式で、UV光及び蛍光を外部に反射する。全体として、この凹凸が施された表面は、CCD又は同等な画像化センサー428に達する蛍光の量を減少させ、これにより、バックグラウンド蛍光性能を向上させる。
【0057】
スライド表面420は、画像の捕捉のために使用されるCCDセンサーから光の蛍光周波数を離れるように優先的に導く刻面を搭載することも可能であろう(図示せず)。蛍光の軸と刻面の間の入射角は、45度と89度の間とすべきである。89度という上限は、機構を鋳造し、抽出部部分が安全に鋳型を形成するために必要とされる抜き勾配によって制限されるものである。
【0058】
表1は、スライドの表面の角度が変化するにつれて、スライド表面からの投影された蛍光が変化することを示している。複数の刻み目が施された表面が、スライドの上部表面中に鋳造され、機械加工され又は形成された場合には、バックグラウンド蛍光は減弱され得る。典型的な鋳造又は製造機能の特徴である丸みを帯びた縁のために、元のスライド表面の5%が回転できない場合でさえ、このことはなお当てはまる。
【0059】
【表1】
【0060】
図13は、一方の側は垂直な角度を有するのに対して、他方の側は垂直未満であり、その上端で垂直刻面と合流する刻面を示しているが、ピラミッド形など(これに限定されない。)、他の刻面デザインを使用することが可能である。
【0061】
別の実施形態は、膜が既に付着されたネオプレンスライド材料又はネオプレン被覆されたスライドを使用する。図14に示されているように、ネオプレン又は同等材料430は、膜436を露出する窓434を除いて、スライド全体432の上部表面を覆っている。窓のサイズは、20mm×50mmとしてもよいが、これより大きくし、又はこれより小さくすることも可能である。ネオプレンコーティングは、留め具などの機械的手段、両面接着テープ若しくは糊などの接着手段によってスライドに付着され、又はスライド表面に溶剤結合することが可能である。あるいは、ネオプレンコーティングは、適当な位置に場所打ちすることができる。スライド材料は、ガラス、アルミニウム、ポリマー、セラミック又は材料の複合物など、上記された材料のうち何れであってもよい。膜材料は、ImmobilonTM−FL膜などのPVDF又は同等物とすることが可能である。膜は、ニトロセルロース又はナイロンとすることも可能である。膜は、炭素−黒鉛、染料又は顔料のさらに高濃度を含有する1以上の膜内副層を有する複合膜とすることも可能である。膜の最上層は、好ましくは、主に、高いタンパク質結合性能と比較的低いバックグラウンド蛍光を有するImmobilonTM−FL膜などのPVDF膜からなるであろう。
【0062】
この新規スライド概念は、タンパク質−アレイスライドに対する性能の現行レベルを著しく向上させるタンパク質−アレイスライドを提供する。このデザインの利点には、以下のものが含まれる。
【0063】
1)200nmないし500nmなどの光のUV波長で励起された場合に、450nmと700nmの間の波長の極めて低いバックグラウンド蛍光を有するネオプレン又は同等なコーティング;
2)バックグラウンド蛍光の望ましくない量を生じ得るガラススライドの露出された表面を覆うコーティング;
3)バックグラウンド蛍光の望ましくない量を生じる、膜の露出された縁を覆うコーティング;
4)同じく、バックグラウンド蛍光の望ましくない量を生じる、膜の縁に位置する露出された接着材料を覆うコーティング;
5)付着された膜の縁全体を覆い、及び膜をスライド材料へ機械的に付着させて、溶剤、水溶液又は試薬が膜から滲出するのを防ぎ、溶剤、水溶液又は試薬が膜の付着を損なうのを防ぐコーティング;
6)極めて低いタンパク質結合品質を有するネオプレン又は同等なコーティング(これにより、高価な抗体試薬の付着と、その後生じる抗体試薬の喪失が最小限に抑えられる。)。
【0064】
ネオプレン又は同等な(例えば、炭素又は炭素充填シリコーンゴム)コーティングは、パッド印刷、外側被覆、積層又は噴霧など様々な方法を用いて塗布してもよい。
【0065】
コーティングの隆起した縁は、準Oリングシールとしての役割も果たし、これによって、あらゆる標準的なアレイ洗浄機(手動で操作し、又は自動で操作することが可能である。)中での本製品の総合的な流体密閉性能が改善される。
【0066】
図15及び16に示されているさらなる実施形態は、CD型ディスク452に付着されている1以上のスライド450からなる。一実施形態は、適切に構成されたCDディスク452の中に標準的なスライドを配置することからなる。スライド450は、所定の位置に嵌め込み、抗体試薬の塗布、ブロッキング及び一連の保持具454による洗浄の間、CD452に固定されるであろう。液体試薬の付与は、スピンコーティング法を用いて行われるであろう。流線型の液体流動を確保するために、膜の平面は、CDディスク452の湿潤表面と同じ平面中に存在すべきである。さらに、スライド450とCDフレーム452間の全ての間隙は、最小限とすべきであろう。
【0067】
あるいは、図16に示されているように、CD460は、予めその中に形成されたスライドフォーマット462を用いて形成することが可能である。次いで、CD保持器460上に各スライドフォーマット462に膜464を付着させる。さらに、顧客の従来フォーマットで分析及び保存するためにスライドを容易に抜き出せるようにする分離式機構466を有するCD460の射出成形を使用することが可能である。
【0068】
図17は、図15及び16のディスクフォーマットに代えてアーム470を用いた別の実施形態を示している。アーム470は、2以上(図示されているのは4つ)とすることが可能であり、使用中に適切な均衡を維持するために、互いに等距離に配置すべきである。スライド472は、図示されているもの及び上述されているものなどの、機械的手段によってアームに開放可能に戴置されるか、又はスライド472はアーム中に鋳造され、上述のように、それらを付着された膜474を有することが可能である。
【0069】
これらのフォーマット(図15−17)の主な利点は、a)抗体試薬を標的表面に付着させるために、スピンコーティング技術を塗布することが可能である;b)マイクロチップ製造産業において、スピンコーティング法が開発され、有効であることが明らかとなっている;c)スピンコーティングによって、現行のスライド取り扱い法に比べて、極めて高価な試薬の使用量を減少させることが可能となる;d)超音波振動法を用いて、試薬をエアロゾル化し、この方法によって均一に塗布することができる;e)遠心性駆動(centrifically−driven)流動を用いて、圧力駆動流体流動又は電気浸透駆動流体流動に比べて、より効果的に流体を分配することによって、タンパク質結合され、ブロッキングされた表面の洗浄を改善することが可能である;f)スピン乾燥で、総処理時間を短縮することが可能である。
【0070】
この装置に対する付属製品には、UV励起及び蛍光検出を含むCDドライブ本体中に、エアロゾル化(噴霧器)システムを統合することが含まれるであろう。これらは全て、自動化された洗浄及び画像化システム中に予め配置され、これらに統合されることが可能な既成の技術である。
【0071】
図18に示されている追加の実施形態は、スポッティング操作中に、懸垂された膜486を下から支える二次材料484で一時的に満たされたスライドの開放部分482を有する開放底スライド480からなる。この二次材料は、最初並びに事前洗浄操作及びスポッティング操作中に、所定の位置に固定することができる。この二次材料は、スポッティング後及び洗浄操作前に手動で取り除かれるであろう。この二次材料は、スライドと同じ材料から打ち抜き、若しくは射出成形することが可能であり、又は水溶液及びメタノールタイプの溶剤中に浸漬されたときに、低抽出可能品質を有する別の材料で作製することも可能である。候補材料には、エラストマー、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル及びポリエステルなどのポリマー又は金属が含まれ、特に、スライドが、磁気材料で作られているか、又は磁気充填剤若しくはコーティングを含有している場合には、強磁性材料が含まれる。このような強磁性材料は、鋼鉄、鉄、ニッケルなどの金属とすることが可能であり、又は強磁性粒子を含有するポリマーとすることが可能である。
【0072】
強磁性材料から作られた二次材料によって、機械的圧入又は一時的接着系の代わりに磁力を用いて、支持体をスライドに付着させることが可能となるであろう。
【0073】
二次材料484は、アクリル酸タイプのテープなどの一時的接着系を用いて被覆することが可能である。このテープは、一面が接着剤で被覆されたポリエステルフィルムからなってもよく、又は両面が接着剤で被覆されたポリエステルフィルムからなってもよい。このアプローチによって、二次材料がスライド縁に結合し、容易に剥離され、使用後に、環境適合的に廃棄されるように、支持体を開放底スライドに付着させることが可能となるであろう。あるいは、フック/ループ付着系(Velcro(R)テープ)などの他の付着装置を使用することが可能である。
【0074】
図19は、特にスライド下方から真空にされたときに、過剰な液体がスライド表面から排出されるようにするために、スライド490中の1以上の開口部が、膜494に隣接するように形成され、又は膜の隅若しくは他の縁の1以上に形成された小さな1以上の排出孔492である本発明の別の実施形態を示している。このような孔は、プラスチックスライド中に成形し、又はプラスチック若しくはガラススライド中の穿孔若しくはレーザー切断によって形成することが可能である。
【0075】
図20A及びBは、フォトリソグラフの半導体様マイクロアレイ装置の幾つかに見出すことができるものと同じような個別の膜部分を大量に含有する1以上の膜502を有するスライド500の異なる実施形態を示している。各区画は、好ましくは、レーザー切断によって形成される。それらは、所望であれは、膜区画の一部若しくは全部の下に、又は所望であれば、膜502の外側の横列若しくは縦列に隣接して、排出孔(図示せず)を有してもよい。図21は、膜区画の典型的な寸法(約0.050から約0.005インチ(約1.27〜0.13mm)まで)を有する膜502の区画及び図示された断面図(約0.001から約0.005インチ(約0.025〜0.13mm)まで)の拡大図を示している。
【0076】
図21Bは、同様の拡大図を示しているが、本実施形態では、膜502Bは三角片に切断されており、それらの典型的な寸法が注記されている。
【実施例1】
【0077】
慣用のガラス顕微鏡スライドと同じ構造で、炭素充填ポリスチレンスライド支持体を形成した。該支持体中の中心に位置する1つの開口部を、46(mm)の長さと18(mm)の幅を有するサイズで形成した。PVDF非対称膜(Billerica、MassachusettsのMillipore Corporationから入手可能なImmobilonTM FL膜)を、アセトンを用いて、スライドに溶剤結合した。アセトンは、膜のより小さな孔が開けられた側の縁に塗布し、1秒間、アセトンを膜内に逃がす。溶剤を、3秒間蒸発させた後、留め具の荷重をシート全体にできるだけ均一に分布させるために、1/8インチ厚のシリコーンエラストマーシートを用いて、開放部全体にわたり、スライドの所望の主表面に対して、膜のより小さな孔が開けられた側を圧縮した。図22A−Cは、本実施例の一連の走査型電子顕微鏡写真を示している。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、鳥瞰平面図で表された本発明の第一の実施形態を示している。
【図2】図2は、断面図で表された本発明の第一の実施形態を示している。
【図3】図3は、鳥瞰平面図で表された本発明のスライド支持体の別の実施形態の鳥瞰平面図を示している。
【図4】図4は、鳥瞰平面図で表された本発明のスライド支持体のさらなる実施形態の鳥瞰図を示している。
【図5】図5は、鳥瞰平面図で表された本発明のスライド支持体の追加の実施形態の鳥瞰図を示している。
【図6】図6は、平面側面図で表された本発明のさらなる実施形態を示している。
【図7】図7は、本発明のスライドを作製するためのプロセスのブロック図を示している。
【図8】図8は、平面図で表された本発明のさらなる実施形態を示している。
【図9】図9は、鳥瞰平面図で表された本発明の追加の実施形態を示している。
【図10】図10は、断面図で表された本発明のさらなる実施形態を示している。
【図11】図11は、断面図及び開放構造で表された本発明のスライド用保持器を示している。
【図12】図12は、本発明のスライドが配置された、断面図及び閉鎖構造で表された本発明のスライド用保持器を示している。
【図13】図13は、本発明のさらなる実施形態の断面図を示している。
【図14】図14は、本発明のさらなる実施形態の平面図を示している。
【図15】図15は、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰図を示している。
【図16】図16は、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰図を示している。
【図17】図17は、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰図を示している。
【図18】図18は、本発明のさらなる実施形態の分解平面図を示している。
【図19】図19は、本発明のさらなる実施形態の平面図を示している。
【図20A】図20Aは、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰平面図を示している。
【図20B】図20Bは、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰平面図を示している。
【図21A】図21Aは、本発明の図20A又はBの膜構造の一部の鳥瞰平面拡大図を示している。
【図21B】図21Bは、本発明の膜構造の一部の別の鳥瞰平面拡大図を示している。
【図22】図22A−Cは、実施例1に係る実施形態の走査型顕微鏡写真を示している。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本実用特許出願は、2005年10月4日に出願された米国仮特許出願第60/723,406号の利益を主張する。この出願の内容全体が、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、タンパク質マイクロアレイスライドに関する。より具体的には、本発明は、スライド上に支持された膜と、該膜の下のスライドの一部に1以上の開口部とを有するタンパク質マイクロアレイスライドに関する。
【背景技術】
【0003】
膜を基礎としたマイクロアレイの使用は周知である。
【0004】
1つのこのような周知のアレイは、ガラス顕微鏡スライド上に接着又は鋳造されたニトロセルロース膜材料から形成されている。
【0005】
スライド上に接着されたPVDF膜の使用も周知であり、米国特許第6,197,599号及びWO03/072752号を参照されたい。バックグラウンドノイズを軽減するための炭素充填された又は炭素コートされたプラスチックスライドなどの蛍光軽減スライドの使用を含む幾つかの異なる実施形態が公知である。
【0006】
これらの装置に伴う問題は多岐にわたる。
【0007】
これらの装置は、高いバックグラウンド蛍光を有するので、蛍光を発したタンパク質分子を基材と区別することが困難である。バックグラウンド蛍光又は「ノイズ」は、膜そのもの;対象タンパク質に対する付着、精製及びその他のプロセス段階で使用される染料などの様々な試薬;膜をスライドに付着させるために使用される場合には、接着剤;又はスライド材料そのもののうち何れからも生じ得る。
【0008】
場所打ち(cast in place)膜材料は、その厚さ及び孔径分布が一貫しない傾向があり、このため、蛍光検出条件下で観察したときに、膜表面上に筋又はその他の像が写ることが多い。これらの一貫性の欠如は、タンパク質の特徴を決定するために使用される蛍光像に変動をもたらし、これにより、蛍光を検出する能力及び蛍光シグナルを識別する能力が制約される。
【0009】
また、それらは、洗浄(一般的には、非結合染料及び他のこのような材料の除去)が困難であり、ノイズレベルが常に高く、時には、複数段階プロセスにおける以降の段階が実行できなくなる。タンパク質試料は、a)標的表面へ十分にスポッティング及び結合されること;b)変性せずに表面へ付着している間、構造的に存続可能なままであること;c)表面に付着されている間、望ましくない廃棄物が十分に洗浄されること、並びにd)表面上で十分に乾燥されることが必要である。次いで、試料及び表面は、さらに高い光の波長で蛍光(適切な装置によって記録される。)を誘導するために、制御された紫外光の波長に曝露される。
【0010】
記録された情報の質は、平均シグナル及びシグナル対ノイズ比並びに標的表面全体にわたる様々な場所での複製されたシグナルの一貫性によって測定された、蛍光シグナルの強度によって決定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
必要とされるのは、既存のスライド形式(典型的には、25mm×75mm×1mmである。)に伴うこれらの問題を克服する膜スライドである。本発明は、このような解決を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、a)スライドの反対側上に第一及び第二の主表面と、b)第一の主表面から第二の主表面へとスライドを通じる1以上の開口部と、並びにc)1以上の開口部上にわたってスライドの1つの主表面に戴置された1以上の膜とを有するスライドに関する。該スライドは、活性な膜領域中のバックグラウンド蛍光を洗浄する能力と軽減する能力の両方を提供する。好ましくは、膜は、ニトロセルロース、ナイロン又はPVDF、より好ましくはPVDFで作製される。開口部は、洗浄溶液が膜を通過して、スライドから莢雑物(タンパク質又は抗体、染料、塩などの非付着材料)とともに除去されることによって、蛍光バックグラウンドを軽減するために使用することができる。さらに、存在した場合にバックグラウンド蛍光を増加させ得るスライド材料及び接着剤が一切存在しないので、1以上の開口部は、スライド上に置かれた膜又はスライドに付着された膜より低い蛍光を発する。
【0013】
好ましい実施形態では、非対称膜構造(ある表面上の孔が別の表面上の孔より大きくなるように、ある表面から別の表面へと孔径の勾配を有する膜)が使用され、この場合、孔の開放がより大きな側がスライド表面から離れる方向に面している。本実施形態では、さらにバックグラウンド蛍光が小さくなる。
【0014】
第2の実施形態は、スライドに付着された、層状炭素が充填された膜からなる。バックグラウンド蛍光を軽減し、第1の層が炭素に富み、第2の層は樹脂に富む2層化された膜を作製するために、炭素粉末、染料又は顔料は、膜中に鋳造又は含浸される。
【0015】
第3の実施形態は、膜が付着されている、スライド表面の一方側の上に凹凸及び刻み目が施された表面からなる。三次元凹凸表面は、より多くのUV光を吸収し、より多くのUV光を内部に屈折し、散乱された様式で、UV光及び蛍光を外部に反射する。全体として、この凹凸が施された表面は、CCD又は同等な画像化センサーに達する蛍光の量を減少することにより、バックグラウンド蛍光性能を向上させる。表面は、映像を捕捉するために使用されるCCDセンサーから光の蛍光周波数を離れるように優先的に誘導する平坦な面を備えることも可能であろう。蛍光の軸と面の間の入射角は、好ましくは、45度と89度の間とすべきである。
【0016】
第4の実施形態では、スライド材料によって生じるバックグラウンド蛍光を軽減及び除去するための手段として、スライド用のスライドマスク保持器が教示される。該保持器は、好ましくは蝶番によって、より好ましくはリビングヒンジによって互いに一体化された、上部カバー及び下部カバーを含んでもよい。少なくとも上部カバー、好ましくは上部カバーと下部カバーは、スライドに戴置される膜のサイズ及び構造と実質的に等しい開口部を有する。
【0017】
第5の実施形態は、低蛍光材料で作製されたスライド及び/又はカバー又は蛍光遮断材料若しくは吸収材料が添加され、若しくはコーティングとしてその表面に塗布されたスライド及び/又はカバーを有する。好ましくは、材料は、炭素、木炭、活性炭及び黒鉛からなる群から選択される。
【0018】
第6の実施形態は、膜が既に付着されたネオプレンスライド材料又はネオプレンコートされたスライドである。ネオプレン又は同等な材料は、膜を露出する窓を除き、スライド全体の上部表面を覆う。窓のサイズは、20mm×50mmとしてもよいが、これより大きく、又はこれより小さくすることが可能である。ネオプレン又は同等な材料は、予め形成された片又はコーティングとすることが可能であり、留め具、両面接着テープ若しくは糊などの接着手段などの機械的手段によってスライドに付着され、又は予め形成された片である場合には、スライド表面に溶剤結合することが可能である。パッドスタンピング、噴霧などの周知技術を用いたコーティングとして塗布することが可能である。ネオプレン又はその同等な片又はコーティングは、膜の縁、スライド材料及び膜をスライドに付着させるために使用される接着剤又は他の材料からのバックグラウンド蛍光を減少する。
【0019】
第7の実施形態は、CD型ディスクに機械的に付着され、又はCD型ディスク中に形成されたスライドからなる。一実施形態は、標準的なスライドを、適切な形状にされたCDディスク中に配置することからなる。スライドは、所定の場所に嵌め込まれ、抗体試薬の塗布、ブロッキング及び洗浄の間、CDに固定されるであろう。流体試薬の塗布は、スピンコーティング法を用いて行われるであろう。
【0020】
第8の実施形態は、顧客の従来フォーマットで分析及び保存するためにスライドを容易に抜き出せるようにする分離式機構を有するCDを射出成形することからなる。
【0021】
第7又は第8の実施形態の装置用の付属製品には、UV励起及び蛍光検出を含むCDドライブ本体中に、エアロゾル化(噴霧器)システムを統合することが含まれ得る。これらは全て、自動化された洗浄及び画像化システム中に予め配置され、これらに統合されることが可能な既成の技術である。
【0022】
第9の実施形態は、中心を有する開放底スライドからなり、スライドの開放部分は、スポッティング操作中に、懸垂された膜を下から支える二次材料で一時的に満たされる。この二次材料は、最初並びに事前洗浄操作及びスポッティング操作中に、所定の位置に固定されるであろう。二次材料は、スポッティング後及び洗浄操作前に取り除かれる。この二次材料は、スライドと同じ材料から打ち抜き、若しくは射出成形することが可能であり、又は水溶液及びメタノールタイプの溶媒中に浸漬されたときに、低抽出可能品質を有する別の材料で作製することができる。二次材料は、ポリマー、ガラス、セラミック又は金属とすることが可能である。一実施形態において、二次材料は、強磁性材料又は強磁性粒子を含有するポリマーから形成され、自身をスライドに付着させるために磁力を使用する。
【0023】
さらなる実施形態は、過剰な液体がスライド表面から排出されるようにするため、膜の隅又は他の縁に隣接して又はこれらの中に、排水溝を固体スライド中に形成することである。
【0024】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが第一の主表面から第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、1以上の開口部上にわたる第一の主表面と第二の主表面からなる群から選択されるスライドの主表面に付着された膜とを有する、タンパク質マイクロアレイスライドを提供することが、本発明の目的である。
【0025】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが第一の主表面から第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、1以上の開口部上にわたる第一の主表面と第二の主表面からなる群から選択されるスライドの主表面に付着された膜とを有する、ガラス又はプラスチック製であるタンパク質マイクロアレイスライドを提供することが別の目的である。
【0026】
孔の開放がより大きな側が、膜が付着されているスライドの表面から離れるように上向きに配置されている、非対称膜を提供することがさらなる目的である。
【0027】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが第一の主表面から第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、第一の主表面と第二の主表面からなる群から選択されるスライドの主表面に付着された膜とを有し、プラスチック製であり、蛍光遮断若しくは吸収材料の1以上の充填剤を含有するか、又は1以上の蛍光遮断若しくは吸収材料の層で被覆されているタンパク質マイクロアレイスライドを提供することが目的である。
【0028】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが第一の主表面から第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、第一の主表面と第二の主表面からなる群から選択されるスライドの主表面に付着された膜とを有するタンパク質マイクロアレイスライド(該スライドはプラスチック製であり、該スライドは蛍光遮断若しくは吸収材料の1以上の充填剤を含有するか、又は1以上の蛍光遮断若しくは吸収材料の層で被覆されており、膜は、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されているスライド表面から離れるように上向きに面している非対称膜である。)を提供することが目的である。
【0029】
カバーと、下部カバーと、該カバーと下部カバーとの間の蝶番とから構成され、カバー及び下部カバーがスライドを実質的に覆うサイズ及び構造であり、カバー又は下部カバーの少なくとも何れかがスライドの1以上の開口部に対応し、且つ一致する1以上の開口部を有する、タンパク質マイクロアレイスライド用保持器を提供することが目的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、図1及び2に示されているような、第一の主表面6と第二の主表面8を有するスライド基材4から構成される、タンパク質アレイスライド2である。第一の6及び第二8の表面は、互いに向き合うように、且つ互いに平行に配置されている。1以上の開口部10が、第一の表面6から第二の表面8まで、スライド支持体4中に形成されている。膜12は、スライド支持体4の主表面6又は8の何れかに付着されている。
【0031】
図1及び2に示されているように、1つの開口部10が示されているが、ある種の実施形態では、2以上の開口部を使用することが可能である。
【0032】
図3は、スライド支持体4の格子状又は網状構造14の間の一連の開口部10を示している。
【0033】
図4は、スライド支持体4が、図3の格子状構造の代わりに、一連の溝又はレーン17を形成する一連の平行な肋構造16を含有する別の実施形態を示している。
【0034】
図5は、一連の開口部10を有するスライド支持体4を示している。このような開口部は、円若しくは楕円、又は三角形、四角形、五角形、六角形、七角形若しくは八角形などの多角形形状(これらに限定されない。)などの任意の慣用の形状とすることが可能である。
【0035】
他の構造を使用してもよい。例えば、所望するタンパク質アレイスポットの数に等しい数の一連の開口部を配置することが可能であろう。好ましくは、このような実施形態では、開口部10は、横列、縦列又は両方によって互いに等距離で隔てられた横列及び縦列中に配置される。図1及び2のような、1開口部の実施形態では、開口部は、好ましくは中心に位置される。あるいは、例えば、バーコード又はRFIDタグなどの識別タグを含めるために、試料の起源を書き込み又は印付けするための領域を作出することを望むのであれば、支持体の一方側又は末端にオフセットしてもよい。
【0036】
図1に示されているように、膜12は、好ましくは、スライド支持体4よりサイズが小さい。このように、膜は、支持体縁16の内側に維持される。本実施形態では、スライドの一部の領域が可視的であり、従って、(以下に記載されているように)ノイズを軽減又は除去するために処理しなければ、ノイズ又はバックグラウンド蛍光を引き起こすかもしれない。しかしながら、それによって、簡易な取り扱いが可能となり、膜のあらゆる周縁部汚染を防止する。あるいは、膜12は、図6に示されているように、スライド支持体4の幅及び長さ全体に亘ることが可能である。本実施形態によって、膜表面を完全に使用することが可能となり、幾つかの事例では、膜12によってスライド支持体4を覆うことによって、スライド支持体4によって引き起こされるノイズを軽減する上で役立つことができる。図示されていないが、所望であれば、膜12の2片以上を容易に使用することが可能であろう。
【0037】
スライド支持体は、プラスチック;ガラス;金属又はセラミックから形成されることが可能である。好ましくは、スライド支持体は、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、アクリル樹脂、ナイロン、ポリスルホンなどのプラスチックで作製される。適切なガラスは、ホウケイ酸塩ガラスである。金属には、アルミニウム、ステンレス鋼などが含まれるが、これらに限定されるものではなく、シリカ又はケイ酸塩をベースとしたセラミックなどの様々なセラミックを使用してもよい。
【0038】
好ましくは、スライド支持体がプラスチックで作製されているのであれば、スライド支持体は、蛍光を遮断又は吸収することによって、スライド支持体の蛍光バックグラウンドを低減するのに役立つ充填剤などの、1以上の作用剤を含有する。あるいは、スライド支持体は、同じことを行う材料で被覆される。同様に、セラミック支持体は、このような材料を取り込み、又はこのようなコーティングを有してもよい。ガラス及び金属支持体は、コーティングを使用するであろう。このような材料は、本業界で周知であり、カーボンブラック、木炭、活性炭及び黒鉛からなる群から選択される蛍光遮断又は吸収材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの材料は、コーティングであるか、又は多孔性構造中に含浸されるか否かに応じて、追加成分を含有してもよい。例えば、含浸された材料を用いて、材料は、水などの液体又は乾燥、加熱、真空などによってその後除去することができるアルコール若しくは他の溶剤などの蒸発性材料などの液体中に運び込まれてもよい。コーティングを用いる場合、遮断又は吸収材料を所定の位置に固定するために接着剤又は塗料などの担体を使用してもよい。
【0039】
膜は、PVDF、ニトロセルロース及びナイロンからなる群から選択される材料で作製される。好ましくは、選択される膜は、低い固有の蛍光特性を有するか、又は膜の蛍光特性を軽減する材料で処理される。このような膜は、様々な入手先から市販されている。適切なPVDF膜は、Billerica、MassachusetsのMillipore Corporationから入手できるImmobilonTMFL膜として知られている0.45ミクロン平均孔径の膜である。典型的には、約0.80ミクロンから約0.40ミクロンまでの孔径が本願に適している。好ましい孔径は、約0.45ミクロンである。
【0040】
好ましくは、一方側の孔径が他方側の孔径より大きくなるように、膜は、その孔径構成が非対称である。一般的には、2:1ないし1000:1の孔径比が本発明に適している。このような非対称膜を使用する際には、より小さな孔径が、膜が付着されている主表面に面するように、膜を配置する。換言すれば、膜の大きな孔径側は、膜が付着されている支持体表面から離れる方向に面している。これによって、膜からのノイズのレベルが軽減されることが見出された。
【0041】
膜は、幾つかの異なる手段によって、スライド支持体に付着させることが可能である。支持体表面に膜を機械的に固定するために、Cクランプなどの一連の留め具を使用することが可能である(図示せず)。あるいは、膜とスライド支持体表面の間に付着を形成するために、図2中の層5のような、両面テープ、糊、感圧接着剤などの接着剤(これらに限定されない。)を使用することが可能である。
【0042】
プラスチックスライド支持体材料とともに、熱結合又は溶剤結合を使用してもよい。接着剤又は留め具などの機械的装置によって生じる全ての蛍光ノイズを除去し、場所打ち膜によって生じる筋又はその他の像を軽減するので、幾つかの用例では、これは好ましい付着の方法である。好ましい溶剤は、膜及び支持体材料をともに溶媒和して、両者の間に強固な結合を作り出す溶剤である。1つの例は、PVDF膜及びポリスチレンスライド支持体材料とともに使用されるアセトンである。膜の外側縁など、膜の所望の領域へ溶剤を単に少量塗布し、膜の中に溶剤を逃し、次いで、蒸発させ、次いで、膜とプラスチック支持体を溶媒和させるために、膜をプラスチック支持体に貼り付け、互いに接着させることが可能である。
【0043】
溶剤の取り扱い、蒸気の回収、部品の取り扱い及び梱包を管理する溶剤結合工程は、図7に図示されている。好ましくは、これは、自動化されたシステムである。スライド支持体は、複数空洞鋳型100中に形成した後、自動化されたボールフィーダ102に移すことが可能である。フィーダは、スライドを正しい方向に向けた後、アセンブリーネスト104へとスライドを往復移動させる。回転テーブルに複数のネストを付着させることが可能であり、又は、所望であれば、単一のネストを使用することが可能である。ネストは、各スライドの視覚的検査を実行し、不適切な配置又は欠陥のあるスライドを特定する。膜は、打ち抜き機106で、望ましいサイズの片及び構造になるように切断され、スライド上に分配される。好ましくは、分配プロセスは、膜がその中へ走行される弱陰圧槽からなる。ついで、湿潤状態の間に膜を打ち抜き、待機しているスライド上に配置される。好ましくは、この段階は、回転テーブルから構成され、膜を湿らせ、切断し、所定の位置に配置するために、単一の線形運動アクチュエータを使用する。浸漬槽は、溶剤(50−100mls)の小さな貯蔵容器と、過剰な溶剤を除去するためのエラストマー羽根などのワイパー羽根と、溶剤蒸気の排出を防ぐための弱内部陰圧と、溶剤用の回収系への通気孔又は炭素若しくは木炭などの捕捉剤と、膜を浸漬させ、槽から膜を撤収するためのローラーとを有するであろう。好ましくは、機械が作動しているときのみに浸漬が起こるように、これは、自動化されたシステムである。保守、修理、緊急停止などのために機械が停止されれば、中断時に撤収が起こるであろう。
【0044】
次いで、ニップローラー、空気プレス又は機械的留め具を使用して、段階108において、膜が付着される。
【0045】
次いで、段階110において、膜の配置について、膜付きのスライド組み立て品を検査し、段階112において、標識及び梱包を行う。
【0046】
本発明の装置を形成する別の方法は、i)SPI Supplies、West Chester、PAのCarbon Tape;ii)3Mから入手されるType 9415アクリル酸テープ;又はiii)Avery Dennisonから入手されるMED6000及びMED3044などの、両面接着テープを使用することである。このテープは、1以上の開口部にわたって、その第一の面がスライドに付着されており、接着テープとスライドの間に気泡が捕捉されないように塗布される。スライドには、射出成形によって、若しくはレーザーなどによる開放領域の除去によって、1以上の開口部を有するように予め成形してもよいし、又はスライド及びテープ材料を通じて1以上の開口部を切り取るためにレーザーを使用することなどによって、テープの付着後に開口部を形成することが可能である。開口部が予め形成されているのであれば、開口部上の接着テープは、ナイフ又はレーザーによって切り取られる。次いで、テープの第二の面に膜を付着させる。次いで、ナイフ又は好ましくはレーザーなどによって、最終寸法になるように、膜及びテープの残部を切断した後、スライドから過剰なテープ/膜を剥離し、スライドから除去する。
【0047】
別の方法は、レーザー吸収性コーティング及びYagレーザーを使用することである。1以上の膜区画が付着されるスライドの外側縁など、スライドの表面の選択された部分に、ClearWeldTMなどのレーザー吸収性材料のコーティング又は同等なコーティングを施す。レーザー吸収性コーティング材料がその元の位置からずれないように、膜のシートを、スライドに塗布する。スライド材料を融解し、スライド材料を膜中に流動させるために、スライドにレーザーを当てる。冷却後、1以上の最終膜形状の外側周縁を切断するために、切断レーザを使用する。タンパク質アレイスライドを実現するために、膜の骨格を剥離除去する。
【0048】
別の実施形態では、有機的又は無機的に得られた、炭素、カーボンブラック又は黒鉛の小粒子を、乾燥状態又は液体状態の0.45ミクロンサイズのPVDF膜の間隙空間中に真空含浸することによって、予め形成された膜の含浸を行うことが可能である。幾つかの事例では、物理的保持のみでは十分でない膜中に粒子を保持するために、結合剤の少量を粒子中と混合してもよい。粒子は、a)紫外光硬化アクリル酸ポリマー;b)紫外光硬化エポキシなどの材料で膜を被覆することによって、又はc)膜の炭素に富む側に直接フィルム若しくはスライドを溶剤結合することによって、粒子を所定の位置に固定することが可能である。
【0049】
別の実施形態は、スライドに付着された、層状炭素が充填された膜からなる。バックグラウンド蛍光を軽減するために、炭素粉末、染料又は顔料を、PVDF、ナイロン又はニトロセルロース膜に鋳造する。
【0050】
例えば、炭素に富む層を形成するために、同時鋳造された膜の1層に炭素を添加することが可能である。このような膜、例えば、ImmobilonTM−FL−タイプの膜のタンパク質結合性能は、膜の一方側に樹脂に富む0.45ミクロン孔径を作出し、膜の他方側に炭素に富む0.45ミクロン孔径を作出する同時鋳造プロセスを使用することによって改善される。
【0051】
別の実施形態では、充填剤としての炭素又はその形成中若しくは形成後に若しくは第二の層の形成後にその中に含浸された炭素を有する予め形成された膜支持体の上に鋳造されたPVDF又はニトロセルロース膜などの複合膜を使用することが可能である。試料の洗浄を可能とするために必要とされる不可欠な多孔率を有するのであれば、層状膜を使用してもよい。
【0052】
上述されているように、2以上の開口部を使用できるが、本例では、スライド120が単一の開口部122を有する本実施形態に係るスライド組み立て品が、図8に示されている。炭素に富む層126が、スライド120に隣接されて、スライド120に結合されており、他の層128はスライド120から離れて上向きに面している、本実施形態の膜124が示されている。
【0053】
幾つかの実施形態では、タンパク質を互いに離隔し続けることが望ましい。これを行う1つの方法は、あるタンパク質が別のタンパク質の方向に移動できないように、膜の領域を単離することである。膜12の領域は、バリア領域200によって別の領域から隔てられている1つのこのような例が、図9に示されている。これは、領域間に固体材料(固体プラスチック壁又は肋構造(rib)など)を塗布し、厚さ方向を通じて非有孔性とするために、このようなバリア領域(疎水性又は親油性縁)に化学的処置を付与し、又は格子入り若しくは肋状スライド表面にわたって、レーザー又は打ち抜きなどによって、隣接領域の縁を物理的に切断するために、バリア領域200中の膜を崩壊させることなどによって、様々な方法で達成することが可能である。あるいは、領域と合致し、切断可能な一連の格子をスライド中に設定することが可能である。
【0054】
図10は、スライドの外側縁に膜が密閉されており、スライドが膜の下に陥凹部300を有し、その中に1以上の真空ポート302を有する別の実施形態を示している。1以上のポート302を通じて真空を付加することによって、洗浄液及び莢雑物を、膜から簡易且つ迅速に除去することが可能である。本発明の別の実施形態を用いて同じ原理を達成することも可能である。
【0055】
処理の間(洗浄又はスポッティングなど)及び画像化の間にスライドを固定することができる、本発明のスライド用の保持器を使用してもよい。図11及び12は、1つのこのような保持器を示している。この保持器400は、屈曲可能なヒンジ又はリビングヒンジ406によって接続された上部カバー402と下部カバー404を有する「2つ折り」の形態である。好ましくは、低コストと迅速な製造のために、真空形成されたプラスチックで作製される。トップカバー402は、サイズ及び形状が、スライド412上の膜パネル410に対応している窓又は開放部408を有する。このようにして、スライドを作業表面から離し続けながら、必要に応じて、膜表面に自由に接近できる。他の保持器の実施形態(図示せず)も使用することが可能である。例えば、互いに噛み合う材料の2片、又は接着剤、留め具若しくはVelcro(R)ファスナーによって互いに固定される材料の2片のスライド保持器を形成することが可能である。
【0056】
図13に示されているさらなる実施形態は、スライド422の一方の面上の凹凸及び刻み目が施された表面420からなり、表面420に膜424が付着される。三次元の凹凸表面は、より多くのUV光を吸収し、より多くのUV光を内部に屈折させ、矢印426によって示されているように、拡散された様式で、UV光及び蛍光を外部に反射する。全体として、この凹凸が施された表面は、CCD又は同等な画像化センサー428に達する蛍光の量を減少させ、これにより、バックグラウンド蛍光性能を向上させる。
【0057】
スライド表面420は、画像の捕捉のために使用されるCCDセンサーから光の蛍光周波数を離れるように優先的に導く刻面を搭載することも可能であろう(図示せず)。蛍光の軸と刻面の間の入射角は、45度と89度の間とすべきである。89度という上限は、機構を鋳造し、抽出部部分が安全に鋳型を形成するために必要とされる抜き勾配によって制限されるものである。
【0058】
表1は、スライドの表面の角度が変化するにつれて、スライド表面からの投影された蛍光が変化することを示している。複数の刻み目が施された表面が、スライドの上部表面中に鋳造され、機械加工され又は形成された場合には、バックグラウンド蛍光は減弱され得る。典型的な鋳造又は製造機能の特徴である丸みを帯びた縁のために、元のスライド表面の5%が回転できない場合でさえ、このことはなお当てはまる。
【0059】
【表1】
【0060】
図13は、一方の側は垂直な角度を有するのに対して、他方の側は垂直未満であり、その上端で垂直刻面と合流する刻面を示しているが、ピラミッド形など(これに限定されない。)、他の刻面デザインを使用することが可能である。
【0061】
別の実施形態は、膜が既に付着されたネオプレンスライド材料又はネオプレン被覆されたスライドを使用する。図14に示されているように、ネオプレン又は同等材料430は、膜436を露出する窓434を除いて、スライド全体432の上部表面を覆っている。窓のサイズは、20mm×50mmとしてもよいが、これより大きくし、又はこれより小さくすることも可能である。ネオプレンコーティングは、留め具などの機械的手段、両面接着テープ若しくは糊などの接着手段によってスライドに付着され、又はスライド表面に溶剤結合することが可能である。あるいは、ネオプレンコーティングは、適当な位置に場所打ちすることができる。スライド材料は、ガラス、アルミニウム、ポリマー、セラミック又は材料の複合物など、上記された材料のうち何れであってもよい。膜材料は、ImmobilonTM−FL膜などのPVDF又は同等物とすることが可能である。膜は、ニトロセルロース又はナイロンとすることも可能である。膜は、炭素−黒鉛、染料又は顔料のさらに高濃度を含有する1以上の膜内副層を有する複合膜とすることも可能である。膜の最上層は、好ましくは、主に、高いタンパク質結合性能と比較的低いバックグラウンド蛍光を有するImmobilonTM−FL膜などのPVDF膜からなるであろう。
【0062】
この新規スライド概念は、タンパク質−アレイスライドに対する性能の現行レベルを著しく向上させるタンパク質−アレイスライドを提供する。このデザインの利点には、以下のものが含まれる。
【0063】
1)200nmないし500nmなどの光のUV波長で励起された場合に、450nmと700nmの間の波長の極めて低いバックグラウンド蛍光を有するネオプレン又は同等なコーティング;
2)バックグラウンド蛍光の望ましくない量を生じ得るガラススライドの露出された表面を覆うコーティング;
3)バックグラウンド蛍光の望ましくない量を生じる、膜の露出された縁を覆うコーティング;
4)同じく、バックグラウンド蛍光の望ましくない量を生じる、膜の縁に位置する露出された接着材料を覆うコーティング;
5)付着された膜の縁全体を覆い、及び膜をスライド材料へ機械的に付着させて、溶剤、水溶液又は試薬が膜から滲出するのを防ぎ、溶剤、水溶液又は試薬が膜の付着を損なうのを防ぐコーティング;
6)極めて低いタンパク質結合品質を有するネオプレン又は同等なコーティング(これにより、高価な抗体試薬の付着と、その後生じる抗体試薬の喪失が最小限に抑えられる。)。
【0064】
ネオプレン又は同等な(例えば、炭素又は炭素充填シリコーンゴム)コーティングは、パッド印刷、外側被覆、積層又は噴霧など様々な方法を用いて塗布してもよい。
【0065】
コーティングの隆起した縁は、準Oリングシールとしての役割も果たし、これによって、あらゆる標準的なアレイ洗浄機(手動で操作し、又は自動で操作することが可能である。)中での本製品の総合的な流体密閉性能が改善される。
【0066】
図15及び16に示されているさらなる実施形態は、CD型ディスク452に付着されている1以上のスライド450からなる。一実施形態は、適切に構成されたCDディスク452の中に標準的なスライドを配置することからなる。スライド450は、所定の位置に嵌め込み、抗体試薬の塗布、ブロッキング及び一連の保持具454による洗浄の間、CD452に固定されるであろう。液体試薬の付与は、スピンコーティング法を用いて行われるであろう。流線型の液体流動を確保するために、膜の平面は、CDディスク452の湿潤表面と同じ平面中に存在すべきである。さらに、スライド450とCDフレーム452間の全ての間隙は、最小限とすべきであろう。
【0067】
あるいは、図16に示されているように、CD460は、予めその中に形成されたスライドフォーマット462を用いて形成することが可能である。次いで、CD保持器460上に各スライドフォーマット462に膜464を付着させる。さらに、顧客の従来フォーマットで分析及び保存するためにスライドを容易に抜き出せるようにする分離式機構466を有するCD460の射出成形を使用することが可能である。
【0068】
図17は、図15及び16のディスクフォーマットに代えてアーム470を用いた別の実施形態を示している。アーム470は、2以上(図示されているのは4つ)とすることが可能であり、使用中に適切な均衡を維持するために、互いに等距離に配置すべきである。スライド472は、図示されているもの及び上述されているものなどの、機械的手段によってアームに開放可能に戴置されるか、又はスライド472はアーム中に鋳造され、上述のように、それらを付着された膜474を有することが可能である。
【0069】
これらのフォーマット(図15−17)の主な利点は、a)抗体試薬を標的表面に付着させるために、スピンコーティング技術を塗布することが可能である;b)マイクロチップ製造産業において、スピンコーティング法が開発され、有効であることが明らかとなっている;c)スピンコーティングによって、現行のスライド取り扱い法に比べて、極めて高価な試薬の使用量を減少させることが可能となる;d)超音波振動法を用いて、試薬をエアロゾル化し、この方法によって均一に塗布することができる;e)遠心性駆動(centrifically−driven)流動を用いて、圧力駆動流体流動又は電気浸透駆動流体流動に比べて、より効果的に流体を分配することによって、タンパク質結合され、ブロッキングされた表面の洗浄を改善することが可能である;f)スピン乾燥で、総処理時間を短縮することが可能である。
【0070】
この装置に対する付属製品には、UV励起及び蛍光検出を含むCDドライブ本体中に、エアロゾル化(噴霧器)システムを統合することが含まれるであろう。これらは全て、自動化された洗浄及び画像化システム中に予め配置され、これらに統合されることが可能な既成の技術である。
【0071】
図18に示されている追加の実施形態は、スポッティング操作中に、懸垂された膜486を下から支える二次材料484で一時的に満たされたスライドの開放部分482を有する開放底スライド480からなる。この二次材料は、最初並びに事前洗浄操作及びスポッティング操作中に、所定の位置に固定することができる。この二次材料は、スポッティング後及び洗浄操作前に手動で取り除かれるであろう。この二次材料は、スライドと同じ材料から打ち抜き、若しくは射出成形することが可能であり、又は水溶液及びメタノールタイプの溶剤中に浸漬されたときに、低抽出可能品質を有する別の材料で作製することも可能である。候補材料には、エラストマー、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル及びポリエステルなどのポリマー又は金属が含まれ、特に、スライドが、磁気材料で作られているか、又は磁気充填剤若しくはコーティングを含有している場合には、強磁性材料が含まれる。このような強磁性材料は、鋼鉄、鉄、ニッケルなどの金属とすることが可能であり、又は強磁性粒子を含有するポリマーとすることが可能である。
【0072】
強磁性材料から作られた二次材料によって、機械的圧入又は一時的接着系の代わりに磁力を用いて、支持体をスライドに付着させることが可能となるであろう。
【0073】
二次材料484は、アクリル酸タイプのテープなどの一時的接着系を用いて被覆することが可能である。このテープは、一面が接着剤で被覆されたポリエステルフィルムからなってもよく、又は両面が接着剤で被覆されたポリエステルフィルムからなってもよい。このアプローチによって、二次材料がスライド縁に結合し、容易に剥離され、使用後に、環境適合的に廃棄されるように、支持体を開放底スライドに付着させることが可能となるであろう。あるいは、フック/ループ付着系(Velcro(R)テープ)などの他の付着装置を使用することが可能である。
【0074】
図19は、特にスライド下方から真空にされたときに、過剰な液体がスライド表面から排出されるようにするために、スライド490中の1以上の開口部が、膜494に隣接するように形成され、又は膜の隅若しくは他の縁の1以上に形成された小さな1以上の排出孔492である本発明の別の実施形態を示している。このような孔は、プラスチックスライド中に成形し、又はプラスチック若しくはガラススライド中の穿孔若しくはレーザー切断によって形成することが可能である。
【0075】
図20A及びBは、フォトリソグラフの半導体様マイクロアレイ装置の幾つかに見出すことができるものと同じような個別の膜部分を大量に含有する1以上の膜502を有するスライド500の異なる実施形態を示している。各区画は、好ましくは、レーザー切断によって形成される。それらは、所望であれは、膜区画の一部若しくは全部の下に、又は所望であれば、膜502の外側の横列若しくは縦列に隣接して、排出孔(図示せず)を有してもよい。図21は、膜区画の典型的な寸法(約0.050から約0.005インチ(約1.27〜0.13mm)まで)を有する膜502の区画及び図示された断面図(約0.001から約0.005インチ(約0.025〜0.13mm)まで)の拡大図を示している。
【0076】
図21Bは、同様の拡大図を示しているが、本実施形態では、膜502Bは三角片に切断されており、それらの典型的な寸法が注記されている。
【実施例1】
【0077】
慣用のガラス顕微鏡スライドと同じ構造で、炭素充填ポリスチレンスライド支持体を形成した。該支持体中の中心に位置する1つの開口部を、46(mm)の長さと18(mm)の幅を有するサイズで形成した。PVDF非対称膜(Billerica、MassachusettsのMillipore Corporationから入手可能なImmobilonTM FL膜)を、アセトンを用いて、スライドに溶剤結合した。アセトンは、膜のより小さな孔が開けられた側の縁に塗布し、1秒間、アセトンを膜内に逃がす。溶剤を、3秒間蒸発させた後、留め具の荷重をシート全体にできるだけ均一に分布させるために、1/8インチ厚のシリコーンエラストマーシートを用いて、開放部全体にわたり、スライドの所望の主表面に対して、膜のより小さな孔が開けられた側を圧縮した。図22A−Cは、本実施例の一連の走査型電子顕微鏡写真を示している。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、鳥瞰平面図で表された本発明の第一の実施形態を示している。
【図2】図2は、断面図で表された本発明の第一の実施形態を示している。
【図3】図3は、鳥瞰平面図で表された本発明のスライド支持体の別の実施形態の鳥瞰平面図を示している。
【図4】図4は、鳥瞰平面図で表された本発明のスライド支持体のさらなる実施形態の鳥瞰図を示している。
【図5】図5は、鳥瞰平面図で表された本発明のスライド支持体の追加の実施形態の鳥瞰図を示している。
【図6】図6は、平面側面図で表された本発明のさらなる実施形態を示している。
【図7】図7は、本発明のスライドを作製するためのプロセスのブロック図を示している。
【図8】図8は、平面図で表された本発明のさらなる実施形態を示している。
【図9】図9は、鳥瞰平面図で表された本発明の追加の実施形態を示している。
【図10】図10は、断面図で表された本発明のさらなる実施形態を示している。
【図11】図11は、断面図及び開放構造で表された本発明のスライド用保持器を示している。
【図12】図12は、本発明のスライドが配置された、断面図及び閉鎖構造で表された本発明のスライド用保持器を示している。
【図13】図13は、本発明のさらなる実施形態の断面図を示している。
【図14】図14は、本発明のさらなる実施形態の平面図を示している。
【図15】図15は、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰図を示している。
【図16】図16は、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰図を示している。
【図17】図17は、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰図を示している。
【図18】図18は、本発明のさらなる実施形態の分解平面図を示している。
【図19】図19は、本発明のさらなる実施形態の平面図を示している。
【図20A】図20Aは、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰平面図を示している。
【図20B】図20Bは、本発明のさらなる実施形態の鳥瞰平面図を示している。
【図21A】図21Aは、本発明の図20A又はBの膜構造の一部の鳥瞰平面拡大図を示している。
【図21B】図21Bは、本発明の膜構造の一部の別の鳥瞰平面拡大図を示している。
【図22】図22A−Cは、実施例1に係る実施形態の走査型顕微鏡写真を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが前記第一の主表面から前記第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、該1以上の開口部上に前記第一の主表面と前記第二の主表面からなる群から選択される前記スライドの主表面に付着された1以上の膜とを有する、タンパク質マイクロアレイスライド。
【請求項2】
開口部の数が1であり、及び膜の数が1である、請求項1に記載のスライド。
【請求項3】
開口部の数が2以上であり、及び膜の数が1である、請求項1に記載のスライド。
【請求項4】
開口部の数及び膜の数がともに1を越える、請求項1に記載のスライド。
【請求項5】
開口部の数及び膜の数がともに1を越え、開口部の数が膜の数に等しい、請求項1に記載のスライド。
【請求項6】
スライドが、ガラス、セラミック、金属及びプラスチックからなる群から選択される材料で作製されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項7】
スライドが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボナート、ABS、ナイロン、アクリル樹脂及びポリスルホンからなる群から選択されるプラスチックで作製されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項8】
スライドが、プラスチックで作製されており、及び1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項9】
スライドが、プラスチックで作製されており、並びにカーボンブラック、木炭、活性炭及び黒鉛からなる群から選択される1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項10】
スライドがプラスチックで作製されており、並びに1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有する層で被覆された少なくとも第一及び第二の主表面を有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項11】
スライドが1つの開口部を有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項12】
スライドが1つの開口部を有し、開口部が、前記スライドの主表面の中央に配置されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項13】
スライドが、格子、網、一連のレーン、一連の孔及びこれらの混合からなる群から選択される形態の2以上の開口部を有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項14】
膜が、PVDF、ニトロセルロース及びナイロンからなる群から選択される材料で作製される、請求項1に記載のスライド。
【請求項15】
膜の孔径が膜の厚み方向に非対称であり、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されている主表面から離れる方向に面するように、前記膜がスライド上に配置されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項16】
膜が非対称PDVF膜であり、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されている主表面から離れる方向に面するように、前記膜がスライド上に配置されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項17】
スライドがプラスチックで作製されており、1つの開口部を含有し、膜が非対称PVDF膜であり、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されている主表面から離れる方向に面するように、前記膜がスライド上に配置されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項18】
スライドがプラスチックで作製されており、1つの開口部を有し、膜が非対称PVDF膜であり、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されている主表面から離れる方向に面するように、前記膜が前記スライド上に配置されており、前記スライドが1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項19】
接着剤、両面接着テープ及び溶剤結合からなる群から選択される機構によって、膜がスライドの表面に付着されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項20】
膜が、溶剤結合によって、スライドの表面に付着されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項21】
上部カバー、下部カバーから構成され、上部カバー及び下部カバーがスライドを実質的に覆うサイズ及び形状であり、上部カバー又は下部カバーのうち少なくともいずれかが、スライドの膜に対応し且つ一致する1以上の窓を有する、請求項1に記載のスライド用の保持器。
【請求項22】
カバー及び下部カバーの両方が、スライドの1以上の開放部に対応し且つ一致する1以上の開口部を有する、請求項21に記載の保持器。
【請求項23】
蝶番によって互いに付着されている上部カバー及び下部カバーをさらに備える、請求項21に記載の保持器。
【請求項24】
蝶番によって互いに付着されている上部カバー及び下部カバーをさらに備え、前記蝶番が、前記上部カバー及び下部カバーを含む連続片の一部として形成されている、請求項21に記載の保持器。
【請求項25】
保持器が2つ折りデザインである、請求項21に記載の保持器。
【請求項26】
保持器が2つ折りデザインであり、プラスチックで形成されている、請求項21に記載の保持器。
【請求項27】
保持器が2つ折りデザインであり、プラスチックで形成されており、カバー及び下部カバーの対向表面上に1以上の施錠機構を含有する、請求項21に記載の保持器。
【請求項28】
保持器がカバーと下部カバーの間に配置された屈曲可能な蝶番を有する単一片であり、保持器がプラスチックで形成されており、並びにカバー及び下部カバーの対向表面上に形成された1以上の施錠機構を含有する、請求項21に記載の保持器。
【請求項29】
保持器がカバーを下部カバーに接続する屈曲可能な蝶番を有する単一片であり、保持器がプラスチックで形成されており、並びにカバー及び下部カバーの対向表面の外縁上に形成された1以上の施錠機構を含有する、請求項21に記載の保持器。
【請求項30】
カバー及び下部カバーが1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有するプラスチックで形成されている、請求項21に記載の保持器。
【請求項31】
カバー及び下部カバーが、少なくとも第一及び第二の主表面上に1以上の蛍光遮断又は吸収材料の層を有するプラスチックで形成されている、請求項21に記載の保持器。
【請求項1】
第一及び第二の主表面を有するスライドを備え、該スライドが前記第一の主表面から前記第二の主表面へと通じる1以上の開口部と、該1以上の開口部上に前記第一の主表面と前記第二の主表面からなる群から選択される前記スライドの主表面に付着された1以上の膜とを有する、タンパク質マイクロアレイスライド。
【請求項2】
開口部の数が1であり、及び膜の数が1である、請求項1に記載のスライド。
【請求項3】
開口部の数が2以上であり、及び膜の数が1である、請求項1に記載のスライド。
【請求項4】
開口部の数及び膜の数がともに1を越える、請求項1に記載のスライド。
【請求項5】
開口部の数及び膜の数がともに1を越え、開口部の数が膜の数に等しい、請求項1に記載のスライド。
【請求項6】
スライドが、ガラス、セラミック、金属及びプラスチックからなる群から選択される材料で作製されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項7】
スライドが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボナート、ABS、ナイロン、アクリル樹脂及びポリスルホンからなる群から選択されるプラスチックで作製されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項8】
スライドが、プラスチックで作製されており、及び1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項9】
スライドが、プラスチックで作製されており、並びにカーボンブラック、木炭、活性炭及び黒鉛からなる群から選択される1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項10】
スライドがプラスチックで作製されており、並びに1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有する層で被覆された少なくとも第一及び第二の主表面を有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項11】
スライドが1つの開口部を有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項12】
スライドが1つの開口部を有し、開口部が、前記スライドの主表面の中央に配置されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項13】
スライドが、格子、網、一連のレーン、一連の孔及びこれらの混合からなる群から選択される形態の2以上の開口部を有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項14】
膜が、PVDF、ニトロセルロース及びナイロンからなる群から選択される材料で作製される、請求項1に記載のスライド。
【請求項15】
膜の孔径が膜の厚み方向に非対称であり、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されている主表面から離れる方向に面するように、前記膜がスライド上に配置されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項16】
膜が非対称PDVF膜であり、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されている主表面から離れる方向に面するように、前記膜がスライド上に配置されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項17】
スライドがプラスチックで作製されており、1つの開口部を含有し、膜が非対称PVDF膜であり、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されている主表面から離れる方向に面するように、前記膜がスライド上に配置されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項18】
スライドがプラスチックで作製されており、1つの開口部を有し、膜が非対称PVDF膜であり、孔の開放がより大きな側が、膜が付着されている主表面から離れる方向に面するように、前記膜が前記スライド上に配置されており、前記スライドが1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有する、請求項1に記載のスライド。
【請求項19】
接着剤、両面接着テープ及び溶剤結合からなる群から選択される機構によって、膜がスライドの表面に付着されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項20】
膜が、溶剤結合によって、スライドの表面に付着されている、請求項1に記載のスライド。
【請求項21】
上部カバー、下部カバーから構成され、上部カバー及び下部カバーがスライドを実質的に覆うサイズ及び形状であり、上部カバー又は下部カバーのうち少なくともいずれかが、スライドの膜に対応し且つ一致する1以上の窓を有する、請求項1に記載のスライド用の保持器。
【請求項22】
カバー及び下部カバーの両方が、スライドの1以上の開放部に対応し且つ一致する1以上の開口部を有する、請求項21に記載の保持器。
【請求項23】
蝶番によって互いに付着されている上部カバー及び下部カバーをさらに備える、請求項21に記載の保持器。
【請求項24】
蝶番によって互いに付着されている上部カバー及び下部カバーをさらに備え、前記蝶番が、前記上部カバー及び下部カバーを含む連続片の一部として形成されている、請求項21に記載の保持器。
【請求項25】
保持器が2つ折りデザインである、請求項21に記載の保持器。
【請求項26】
保持器が2つ折りデザインであり、プラスチックで形成されている、請求項21に記載の保持器。
【請求項27】
保持器が2つ折りデザインであり、プラスチックで形成されており、カバー及び下部カバーの対向表面上に1以上の施錠機構を含有する、請求項21に記載の保持器。
【請求項28】
保持器がカバーと下部カバーの間に配置された屈曲可能な蝶番を有する単一片であり、保持器がプラスチックで形成されており、並びにカバー及び下部カバーの対向表面上に形成された1以上の施錠機構を含有する、請求項21に記載の保持器。
【請求項29】
保持器がカバーを下部カバーに接続する屈曲可能な蝶番を有する単一片であり、保持器がプラスチックで形成されており、並びにカバー及び下部カバーの対向表面の外縁上に形成された1以上の施錠機構を含有する、請求項21に記載の保持器。
【請求項30】
カバー及び下部カバーが1以上の蛍光遮断又は吸収材料を含有するプラスチックで形成されている、請求項21に記載の保持器。
【請求項31】
カバー及び下部カバーが、少なくとも第一及び第二の主表面上に1以上の蛍光遮断又は吸収材料の層を有するプラスチックで形成されている、請求項21に記載の保持器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【公開番号】特開2007−132925(P2007−132925A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−271660(P2006−271660)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271660(P2006−271660)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】
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