説明

ターゲット及びその製造方法、メモリ及びその製造方法

【課題】発火を生じることなく、高融点金属元素を含むターゲットを製造することができる、ターゲットの製造方法、並びに、このターゲットを使用したメモリの製造方法を提供する。
【解決手段】Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、この元素群以外の他の元素とを使用して、合金インゴットを作製する工程と、この合金インゴットを粉砕する工程と、粉砕した合金インゴットとS,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素とを使用してターゲットを作製する工程とを含んで、ターゲットを製造する。また、このターゲットを使用して、スパッタリングにより、イオン化する元素を含有する、メモリ素子のイオン化層を形成する工程を含んで、複数個のメモリ素子によって構成されたメモリを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高融点金属元素及びカルコゲン元素を含むターゲット及びその製造方法に係わる。また、ターゲットを使用してイオン化層を形成したメモリ素子を有するメモリ及びその製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の情報機器においては、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度のDRAMが広く使用されている。
しかし、DRAMは、電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであり、頻繁にリフレッシュ動作、即ち書き込んだ情報(データ)を読み出し、増幅し直して、再度書き込み直す動作を行う必要がある。
【0003】
電源を切っても情報が消えない不揮発性のメモリとしては、例えば、フラッシュメモリ、FeRAM(強誘電体メモリ)やMRAM(磁気記憶素子)等が提案されている。
これらのメモリの場合、電源を供給しなくても書き込んだ情報を長時間保持し続けることが可能になる。
また、これらのメモリの場合、不揮発性とすることにより、リフレッシュ動作を不要にして、その分消費電力を低減することができると考えられる。
従って、上述した各種の不揮発性のメモリについて、広く研究や商品開発が行われている。
【0004】
しかしながら、上述した各種の不揮発性のメモリは、それぞれ一長一短がある。
フラッシュメモリは、集積度が高いが、動作速度の点で不利である。
FeRAMは、高集積度化のための微細加工に限界があり、また作製プロセスにおいて問題がある。
MRAMは、消費電力の問題がある。
【0005】
そこで、特にメモリ素子の微細加工の限界に対して有利な、新しいタイプのメモリ素子が提案されている。
このメモリ素子は、2つの電極の間に、ある金属を含むイオン導電体を挟んだ構造である。2つの電極間に電圧を印加した場合に、電極中に含まれる金属がイオン導電体中にイオンとして拡散することによって、イオン導電体の抵抗値或いはキャパシタンス等の電気特性が変化する。
この特性を利用して、メモリデバイスを構成することが可能である。
具体的には、イオン導電体はカルコゲン元素(S,Se,Te)と金属との固溶体よりなり、さらに具体的には、AsS,GeS,GeSeにAg,Cu,Znが固溶された材料からなる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、上述のイオン導電体の層(以下、イオン化層と呼ぶこととする)に、上述したカルコゲン元素の他に、ZrやAl等の元素を含有させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−536840号公報
【特許文献2】特開2009−43758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のメモリ素子のイオン化層は、複数のターゲットを用いて、コスパッタリングや、構成元素の1nm程度の厚みの層の周期積層でも、形成することができる。
しかし、イオン化層の組成の均一性を向上し、ウエハ毎のバラツキを低減するには、一つのターゲットを用いてイオン化層を形成するのが好ましい。
【0009】
ところで、上述のメモリ素子のイオン化層を、M1元素−M2元素−カルコゲン元素という構成とすることが考えられる。この構成は、各元素を元素の融点の観点で分類しており、M1元素はTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta等の高融点金属であり、M2元素は例えばCu,Al,Si,Ge,Mg,Ga等であり、カルコゲン元素はS,Se,Teからなる。
【0010】
これらの元素のうち、M1元素(高融点金属元素)の融点は、カルコゲン元素の沸点を超えていたり、カルコゲン元素の沸点に近かったりする場合が多い。そのため、成分元素を一度に溶解することが困難であり、溶解法でターゲットを作製することが困難である。
一方、粉末焼結法でターゲットを作製しようとする場合にも、M1元素粉末のうち例えばTi,Zr,Hfは発火性が高く、焼結工程中に発火する危険性があるため、これらの粉末原料を用いて焼結を行うことも困難である。
そして、大口径のターゲットを得る場合ほど、これらの問題が顕著となるため、大型のターゲットを得るのが困難であった。
【0011】
上述した問題の解決のために、本発明においては、発火を生じることなく、高融点金属元素を含むターゲットを製造することができる、ターゲット及びその製造方法を提供するものである。また、このターゲットを使用して形成したメモリ素子を有するメモリ及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のターゲットは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Gaから選ばれる1種以上の元素とを含む。さらに、S,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素を含む。
【0013】
本発明のターゲットの製造方法は、カルコゲン元素を含むターゲットを製造する方法である。そして、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、この元素群以外の他の元素とを使用して、合金インゴットを作製する工程と、この合金インゴットを粉砕する工程とを含む。さらに、粉砕した合金インゴットと、S,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素とを使用して、ターゲットを作製する工程とを含む。
【0014】
本発明のメモリは、複数個のメモリ素子によって構成されたメモリである。そして、メモリ素子が、ターゲットを使用して形成され、イオン化する元素を含有するイオン化層を含む。
さらに、使用したターゲットが、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Gaから選ばれる1種以上の元素とを含む。また、ターゲットがS,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素を含む。
即ち、本発明のメモリは、前記本発明のターゲットを使用して、メモリ素子のイオン化層が形成されている構成である。
【0015】
本発明のメモリの製造方法は、複数個のメモリ素子によって構成されたメモリを製造する方法である。そして、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、この元素群以外の他の元素とを使用して、合金インゴットを作製する工程と、この合金インゴットを粉砕する工程とを含む。また、粉砕した合金インゴットと、カルコゲン元素とを使用して、ターゲットを作製する工程と、この合金ターゲットを使用して、スパッタリングにより、イオン化する元素を含有する、メモリ素子のイオン化層を形成する工程とを含む。
即ち、本発明のメモリの製造方法は、前記本発明のターゲットの製造方法を適用して、この製造方法によって製造したターゲットを使用して、メモリ素子のイオン化層を形成する。
【0016】
上述の本発明のターゲットによれば、高融点金属元素と、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Gaから選ばれる1種以上の元素と、カルコゲン元素とを含むので、これらの元素を含む新規のターゲットを実現することが可能になる。
これにより、1つのターゲットのみで、これらの元素を含む層をスパッタリングで形成することが可能になる。
【0017】
上述の本発明のターゲットの製造方法によれば、高融点金属元素と、高融点金属元素の元素群以外の他の元素とを使用して、合金インゴットを作製する工程と、この合金インゴットを粉砕する工程とを含む。これにより、粉末にしたときに発火しやすい高融点金属元素を使用しても、発火を生じないで、焼結用粉末原料等の粉末にすることが可能になる。また、合金インゴットの融点は高融点金属元素の融点よりも下がるので、カルコゲン元素の融点との差が小さくなる。
さらに、粉砕した合金インゴットと、S,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素とを使用して、ターゲットを作製する工程により、焼結の際に発火を生じないで、高融点金属元素とカルコゲン元素とを含むターゲットを作製することができる。
【0018】
上述の本発明のメモリによれば、前記本発明のターゲットを使用して、メモリ素子のイオン化層が形成されている構成であるので、1つのターゲットのみで、高融点金属元素を含むイオン化層を形成することが可能になる。
【0019】
上述の本発明のメモリの製造方法によれば、前記本発明のターゲットの製造方法を適用して、この製造方法によって製造したターゲットを使用して、メモリ素子のイオン化層を形成している。これにより、粉砕や焼結の際に発火を生じないで、高融点金属元素とカルコゲン元素とを含むターゲットを作製することができ、このターゲットを使用して、1つのターゲットのみで、高融点金属元素を含むイオン化層を形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
上述の本発明のターゲットによれば、1つのターゲットのみで、高融点金属元素及びカルコゲン元素、並びに他の金属元素を含む層をスパッタリングで形成することが可能になり、従来にない新規のターゲットを実現することができる。
【0021】
本発明のターゲットの製造方法によれば、粉砕や焼結の際に発火を生じないで、高融点金属元素とカルコゲン元素とを含むターゲットを作製することができる。
そして、100mmφ以上の大型のターゲットでも、発火する危険性がなく製造することができるようになる。
従って、ウエハの大型化に対応するようにターゲットを大型化して、大口径のウエハ上に成膜を行うことが可能になる。
【0022】
また、本発明のメモリ及びその製造方法によれば、高融点金属元素を含む、メモリを構成するメモリ素子のイオン化層を、1つのターゲットのみで形成することが可能になる。
これにより、コスパッタのように複数のターゲットを用いる場合と比較して、メモリ素子のイオン化層を形成する成膜装置のカソード数を低減できるため、製造装置を簡略化することができ、スループットを大幅に向上できる。
さらには、コスパッタや周期積層でありがちな、ウエハ間の組成や膜厚のバラツキを低減することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のメモリを構成するメモリ素子の一実施の形態の概略断面図である。
【図2】実施例1のメモリを構成するメモリ素子のI−V特性を示す図である。
【図3】実施例1のメモリを構成するメモリ素子のR−V特性を示す図である。
【図4】実施例1のメモリを構成するメモリ素子に繰り返し書き換え動作を行ったときのメモリ素子の抵抗値を示す図である。
【図5】実施例1と比較例2の各試料で、メモリ素子の初期の抵抗値(メジアン値)の変動を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の概要
2.メモリ素子及びメモリの実施の形態
3.実験例
【0025】
<1.本発明の概要>
まず、本発明の実施の形態及び実験例の説明に先立ち、本発明の概要を説明する。
【0026】
本発明のターゲットは、高融点金属元素と、高融点金属元素以外の他の元素(金属元素)と、カルコゲン元素とを含むものである。
高融点金属元素は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素(Ln)の元素群(M1元素群)から選ばれる1種以上の高融点金属元素とする。
高融点金属元素以外の他の元素(金属元素)は、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Ga(M2元素群)から選ばれる1種以上の元素とする。
カルコゲン元素は、S,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素とする。
【0027】
上述した3種類の元素を含む本発明のターゲットは、従来にはないものであり、新規のターゲットを実現することができる。
これにより、上述した3種類の元素を含む層を、1つのターゲットを使用したスパッタリングで形成することができるので、複数のターゲットを使用したスパッタリングと比較して、安定した組成で層を形成することができる。
【0028】
本発明のターゲットの製造方法は、カルコゲン元素を含むターゲットを製造する方法であり、以下に挙げる工程を行うものである。
(1)Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群(M1元素群)から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、この元素群以外の他の元素とを使用して、合金インゴットを作製する工程。
(2)合金インゴットを粉砕する工程。
(3)粉砕した合金インゴットと、S,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素とを使用して、ターゲットを作製する工程。
【0029】
本発明のターゲットの製造方法は、(1)の合金インゴットを作製する工程と、(2)の合金インゴットを粉砕する工程とを含むので、粉末にしたときに発火しやすい高融点金属元素を使用しても、発火を生じないで粉末にすることが可能になる。また、合金インゴットの融点は高融点金属元素の融点よりも下がるので、カルコゲン元素の融点との差が小さくなる。
さらに、(3)の粉砕した合金インゴットとカルコゲン元素とを使用して、ターゲットを作製する工程によって、焼結の際に発火を生じないで、高融点金属元素とカルコゲン元素とを含むターゲットを作製することができる。
そして、100mmφ以上の大型のターゲットでも、発火する危険性がなく製造することができるようになる。
従って、ウエハの大型化に対応するようにターゲットを大型化して、大口径のウエハ上に成膜を行うことが可能になる。
【0030】
(1)の合金インゴットを作製する工程において、好ましくは、原料となる高融点金属元素として、粒度が100μm以上の材料を使用する。これにより、発火の危険性をさらに低減することができる。
【0031】
(1)の合金インゴットを作製する工程において、高融点金属元素の元素群以外の他の元素として、好ましくは、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Ga(M2元素群)から選ばれる1種以上の元素を使用する。これにより、合金インゴットの融点を、高融点金属元素の融点よりも充分に下げることができ、カルコゲン元素の融点との差を低減することができるので、高融点金属元素とカルコゲン元素とを含むターゲットを作りやすくなる。
【0032】
本発明のターゲットの製造方法において、さらに好ましくは、以下の各工程を行う。
(4)カルコゲン元素と1種以上のカルコゲン元素以外の他の元素とを合金化して、カルコゲン元素を含む第2の合金インゴットを作製する工程。
(5)第2の合金インゴットを粉砕する工程。
そして、(2)の工程で粉砕した合金インゴットと、(5)の工程で粉砕した第2の合金インゴットとを使用して、(3)のターゲットを作製する工程を行う。
【0033】
また、(4)の第2の合金インゴットを作製する工程において、第2の合金インゴットの融点をカルコゲン元素の融点よりも高くすることが好ましい。このようにすると、第2の合金インゴットを作製する際の焼結が容易になる利点を有する。
【0034】
また、(4)の第2の合金インゴットを作製する工程において、カルコゲン元素以外の他の元素として、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Ga(M2元素群)から選ばれる1種以上の元素を使用することができる。このようにすると、最終的に、高融点金属元素とM2元素群の元素とカルコゲン元素とを含むターゲット、即ち、前述した本発明のターゲットを、作製することができる。
【0035】
本発明のメモリは、複数個のメモリ素子によってメモリを構成する。そして、メモリ素子が、イオン化する元素を含有するイオン化層を含む。
さらに、メモリ素子のイオン化層が、前記本発明のターゲットを使用して形成された構成とする。
これにより、1つのターゲットのみで、高融点金属元素を含むイオン化層を形成することが可能になる。
【0036】
本発明のメモリの製造方法は、複数個のメモリ素子によって構成されたメモリを製造する際に、前記本発明のターゲットの製造方法を適用して、この製造方法によって製造したターゲットを使用して、メモリ素子のイオン化層を形成する。
これにより、粉砕や焼結の際に発火を生じないで、高融点金属元素とカルコゲン元素とを含むターゲットを作製することができ、このターゲットを使用して、1つのターゲットのみで、高融点金属元素を含むイオン化層を形成することが可能になる。
【0037】
そして、本発明のメモリ及びその製造方法によれば、イオン化層を1つのターゲットのみで形成することが可能になるので、コスパッタのように複数のターゲットを用いる場合と比較して、イオン化層を形成する成膜装置のカソード数を低減できる。
このため、製造装置を簡略化することができ、スループットを大幅に向上できる。
さらに、コスパッタや周期積層でありがちなウエハ間の組成や膜厚のバラツキを低減することも可能となる。
【0038】
本発明のメモリは、本発明のターゲットを使用してイオン化層が形成されている。そのため、ターゲットと同様の元素、即ち、高融点金属元素(M1元素群の元素)と、高融点金属元素以外の他の金属元素(M2元素群の元素)と、カルコゲン元素とを含む、イオン化層が形成されている。
イオン化層を構成する上述の元素のうち、カルコゲン元素は、陰イオンとなるイオン伝導材料として作用する。
また、高融点金属元素(M1元素群の元素)の4A族の遷移金属元素であるTi,Zr,Hfや、5A族の遷移金属元素であるV,Nb,Taは、イオン化して陽イオンとなって、電極上で還元されて金属状態の伝導パス(フィラメント)を形成する。M2元素群のCu等も、同様に金属状態の伝導パス(フィラメント)を形成する。
【0039】
イオン化層に下部電極及び上部電極を設けて、これらの電極を通じて、メモリ素子のイオン化層に電圧を印加することにより、イオン化層の抵抗値を変化させて、イオン化層の抵抗値の状態によってメモリ素子に情報を記録し保持させることができる。
メモリ素子に情報を記録する動作の概略は、以下に述べる通りである。
高抵抗状態のメモリ素子に正電圧を印加したときには、イオン化層の上述したイオン化する金属元素(TiやZr等)がイオン化して陽イオンとなる。そして、この陽イオンがイオン化層中をイオン伝導して、電極側で電子と結合して析出し、電極との界面に金属状態に還元された低抵抗の伝導パス(フィラメント)が形成される。これにより、メモリ素子のイオン化層の抵抗値が低くなり、初期状態の高抵抗状態から低抵抗状態に変化する。
一方、低抵抗状態のメモリ素子に負電圧を印加したときには、伝導パスの金属元素が酸化してイオン化し、イオン化層中に溶解又はイオン化層中のカルコゲン元素と結合して、伝導パスが消失する。これにより、メモリ素子のイオン化層の抵抗値が高くなり、低抵抗状態から高抵抗状態に変化する。
いずれの場合も、メモリ素子の抵抗値が変化した後で、メモリ素子に印加していた電圧を除去しても、メモリ素子の抵抗値の状態が保持されるので、記録された情報を保持させることができる。
【0040】
<2.メモリ素子及びメモリの実施の形態>
続いて、本発明の具体的な実施の形態として、メモリを構成するメモリ素子及びメモリの実施の形態について説明する。
本発明の一実施の形態として、メモリを構成するメモリ素子の一実施の形態の概略断面図を、図1に示す。
このメモリ素子10は、下部電極11の上に、高抵抗層12と、イオン化層13と、上部電極14とが、この順序で積層されている。下部電極11は、例えば、図示しないCMOS回路が形成されたシリコン基板の上に形成される。
【0041】
下部電極11及び上部電極14には、半導体プロセスに用いられる配線材料、例えばTiW,Ti,W,Cu,Al,Mo,Ta、シリサイド等を用いることができる。
また、Cu等の電界でイオン伝導が生じる可能性のある電極材料を用いる場合には、Cu電極上にW,WN,TiN,TaN等のイオン伝導や熱拡散しにくい材料で被覆して用いてもよい。
【0042】
高抵抗層12には、酸化物や窒化物を使用する。例えば、高抵抗層12に、希土類元素のうち、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb,Yから選ばれる1種類以上の元素や、Si,Cuを含んだ酸化物を用いる。
この高抵抗層12は、イオン化層13よりも、充分に抵抗値の高い構成とする。
なお、高抵抗層12は、メモリ素子10に流れる電流が小さくなり過ぎないように、他の層と比較して薄く形成されている。
【0043】
イオン化層13は、イオン化する元素と、Te,Se,Sから選ばれる元素(カルコゲン元素)と、その他の元素とを含有する構成とすることができる。
本実施の形態では、このイオン化層13を、高融点金属元素と、高融点金属元素以外の他の元素(金属元素)と、カルコゲン元素とを含む構成とする。
高融点金属元素は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素(Ln)の元素群(M1元素群)から選ばれる1種以上の高融点金属元素とする。
高融点金属元素以外の他の元素(金属元素)は、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Ga(M2元素群)から選ばれる1種以上の元素とする。
カルコゲン元素は、S,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素とする。
【0044】
これらの元素のうち、カルコゲン元素は、陰イオンとなるイオン伝導材料として作用する。
また、4A族の遷移金属元素であるTi,Zr,Hf、5A族の遷移金属元素であるV,Nb,Ta、並びに、M2元素群のCu等は、イオン化して陽イオンとなって、電極上で還元されて金属状態の伝導パス(フィラメント)を形成する。
また、M2元素群のうちのAl,Ge,Si,Mg等は、メモリ素子が低抵抗状態から高抵抗状態に変わる際に、イオン化層13と電極との界面で酸化されて、安定した酸化膜を形成する。
【0045】
高抵抗層12とイオン化層13とをまとめて、情報を記録して記憶させるための「記憶層」と呼ぶことができる。
上述した構成のメモリ素子10は、電圧パルス或いは電流パルスが印加されることにより、記憶層(高抵抗層12及びイオン化層13)のインピーダンス、もしくはイオン化層13のインピーダンスが、変化する特性を有する。
【0046】
また、本実施の形態では、メモリ素子10のイオン化層13を、高融点金属元素と、高融点金属元素以外の他の元素(金属元素)と、カルコゲン元素とを含むターゲット(即ち、前述した本発明のターゲット)を使用して形成する。これにより、1つのターゲットのみでイオン化層13を形成することが可能になるので、コスパッタのように複数のターゲットを用いる場合と比較して、イオン化層13を形成する成膜装置のカソード数を低減できる。このため、製造装置を簡略化することができ、スループットを大幅に向上できる。
さらに、コスパッタや周期積層でありがちな、ウエハ間の組成や膜厚のバラツキを低減することも可能となる。
【0047】
本実施の形態のメモリ素子10は、次のように動作させて、情報の記憶を行うことができる。
まず、上部電極14に、例えば正電位(+電位)を印加して、下部電極11側が負になるように、メモリ素子10に対して正電圧を印加する。これにより、イオン化層13からイオン化する元素のイオンがイオン伝導し、下部電極11側で電子と結合して析出し、高抵抗層12の中に伝導パスが形成されることによって、高抵抗層12の抵抗値が低くなる。高抵抗層12以外の各層は、高抵抗層12の抵抗値に比べて、元々抵抗値が低いので、高抵抗層12の抵抗値を低くすることにより、メモリ素子10全体の抵抗値も低くすることができる。
【0048】
その後、正電圧を除去して、メモリ素子10にかかる電圧をなくすと、抵抗値が低くなった状態で保持される。これにより、情報を記録することが可能になる。一度だけ記録が可能な記憶装置、いわゆる、PROMに用いる場合には、この記録過程のみで記録は完結する。
【0049】
一方、消去が可能な記憶装置、いわゆる、RAM或いはEEPROM等への応用には消去過程が必要である。
消去過程においては、上部電極14に、例えば負電位(−電位)を印加して、下部電極11側が正になるように、メモリ素子10に対して負電圧を印加する。これにより、高抵抗層12内に形成されていた伝導パスの元素が酸化してイオン化し、イオン化層13に溶解もしくはイオン化層13中のカルコゲン元素と結合して化合物を形成する。
すると、高抵抗層12内から伝導パスが消滅、または減少して、高抵抗層12の抵抗値が高くなる。高抵抗層12以外の各層は元々抵抗値が低いので、高抵抗層12の抵抗値を高くすることにより、メモリ素子10全体の抵抗値も高くすることができる。
【0050】
その後、負電圧を除去して、メモリ素子10にかかる電圧をなくすと、抵抗値が高くなった状態で保持される。これにより、記録された情報を消去することが可能になる。
【0051】
このような過程を繰り返すことにより、メモリ素子10に情報の記録(書き込み)と記録された情報の消去を繰り返し行うことができる。
【0052】
例えば、抵抗値の高い状態を「0」の情報に、抵抗値の低い状態を「1」の情報に、それぞれ対応させると、正電圧の印加による情報の記録過程で「0」から「1」に変え、負電圧の印加による情報の消去過程で「1」から「0」に変えることができる。
【0053】
記録後の抵抗値は、メモリ素子10のセルサイズ及び高抵抗層12の材料組成よりも、記録時に印加される電圧パルス或いは電流パルスの幅や電流量等の記録条件に依存し、初期抵抗値が100kΩ以上の場合には、およそ50Ω〜50kΩの範囲となる。
記録データを復調するためには、初期の抵抗値と記録後の抵抗値との比が、およそ、2倍以上であれば充分である。そのため、記録前の抵抗値が100Ωで、記録後の抵抗値が50Ω、或いは、記録前の抵抗値が100kΩ、記録後の抵抗値が50kΩといった状況であれば充分であり、高抵抗層12の初期の抵抗値はそのような条件を満たすように設定される。
高抵抗層12の抵抗値は、例えば、熱処理前の高抵抗層12の酸化物に含まれる酸素の量や、酸化膜厚等により制御することが可能である。
【0054】
上述したメモリ素子10の構成によれば、下部電極11と上部電極14との間に、高抵抗層12とイオン化層13とが挟まれた構成としている。これにより、上部電極14に正電圧(+電位)を印加して、下部電極11側が負になるようにした場合に、高抵抗層12内に、イオン化した元素を多量に含む伝導パスが形成されて、高抵抗層12の抵抗値が低くなり、メモリ素子10全体の抵抗値が低くなる。そして、正電圧の印加を停止して、メモリ素子10に電圧が印加されないようにすることで、抵抗値が低くなった状態が保持され、情報を記録することが可能になる。
また、上述した記録後の状態のメモリ素子10に対して、上部電極14に負電圧(−電位)を印加して、下部電極11側が正になるようにすることにより、高抵抗層12内に形成されていた伝導パスが消滅する。これにより、高抵抗層12の抵抗値が高くなり、メモリ素子10全体の抵抗値が高くなる。そして、負電圧の印加を停止して、メモリ素子10に電圧が印加されないようにすることで、抵抗値が高くなった状態が保持され、記録されていた情報を消去することが可能になる。
【0055】
上述した構成のメモリ素子10を用いて、メモリ素子10を多数、例えば列状やマトリクス状に配置することにより、メモリ(記憶装置)を構成することができる。
各メモリ素子10に対して、その下部電極11側に接続された配線と、その上部電極14側に接続された配線とを設けて、例えばこれらの配線の交差点付近に各メモリ素子10が配置されるようにすればよい。
そして、必要に応じて、メモリ素子10にメモリ素子の選択用のMOSトランジスタ、或いはダイオードを接続してメモリセルを構成する。さらに、配線を介して、センスアンプ、アドレスレコーダー、記録・消去・読み出し回路等に接続する。
【0056】
本発明のメモリは、各種のメモリに適用することができる。
例えば、一度だけ書き込みが可能なPROM(プログラマブルROM)、電気的に消去が可能なEEPROM(Electrically Erasable ROM)、高速に記録・消去・再生が可能なRAM(ランダム・アクセス・メモリ)が挙げられる。
【0057】
上述の実施の形態では、イオン化層13に接して高抵抗層12を設けていたが、本発明のメモリを構成するメモリ素子において、高抵抗層は必須ではなく、高抵抗層がない構成とすることも可能である。
上述の実施の形態のように、イオン化層13に接して高抵抗層12を設けた場合には、情報の保持特性をより安定化させることができる、という利点を有する。
【0058】
<3.実験例>
次に、実際にターゲットを作製して、さらに、作製したターゲットを使用してメモリ素子から成るメモリを製造した。
そして、製造したメモリについて、そのメモリ素子の特性を調べた。
【0059】
(実施例1)
まず、高融点金属元素群M1のZrの原料として1mmの大きさのZrスクラップを用い、元素群M2の原料として1cmの大きさのAlペレット、3cmのCu薄板を高周波溶解炉で溶解し、AlCuZr合金インゴットを作製した。
次に、この合金インゴットをアトライダーで粉砕して、粒度106μm以下の合金粉末を作製した。
【0060】
次に、この合金粉末と、粒度75μm以下のTe粉末と、粒度32〜106μmのGe粉末とを混合して、焼結させることにより、AlCuGeTeZrターゲット母材を得た。
次に、このターゲット母材を、厚み5mm、直径300mmの円盤状に切削加工して、ターゲットとした。
そして、作製したターゲットを、スパッタリング装置のバッキングプレートに、Inロウにより接着した。
【0061】
次に、W(タングステン)層から成る下部電極11が形成されているCMOS回路上に、高抵抗層12としてGd酸化膜2nmを形成した。
続いて、先に作製したターゲットを使用して、イオン化層13として、膜厚約60nmのAlCuGeTeZr層を形成した。
さらに、その上に、上部電極14としてW層50nmを形成して、図1に断面構造を示したメモリ素子10を作製した。
このようにして、ウエハに多数のメモリ素子10を有するメモリセルアレイを形成して、実施例1のメモリの試料とした。
【0062】
この実施例1の試料のメモリを構成するメモリ素子の動作特性を調べた。具体的には、メモリ素子に供給する電圧を変化させて、電流やメモリ素子の抵抗の変化を調べた。
得られた結果として、メモリ素子のI−V特性を図2に示し、メモリ素子のR−V特性を図3に示す。
図2及び図3に示すように、このメモリ素子は、初期状態では10MΩ程の高抵抗であるが、下部電極11側をマイナスにバイアスすることにより低抵抗化する。次に、下部電極11側をプラス側にバイアスすることによって、再び高抵抗状態へと戻り、良好なメモリ動作を示している。
【0063】
さらに、書き込みパルスとして電圧Vw=3V、電流約100μA、パルス幅10nsの電圧パルスを印加し、消去パルスとして電圧Ve=2V、電流約100μA、パルス幅10nsの電圧パルスを印加し、100万回の繰り返し書き換え動作を行った。そして、書き換え動作ごとに、メモリ素子の高抵抗状態の抵抗値及び低抵抗状態の抵抗値を測定した。測定結果として、繰り返し回数とメモリ素子の抵抗値との関係を、図4に示す。
【0064】
図4より、繰り返し書き換えを行っても、高抵抗状態及び低抵抗状態の各抵抗値が大きく変化することがなく、良好な動作特性を示しており、良好なメモリ動作特性が得られている。
【0065】
(比較例1)
比較例として、金属元素群M1のZrの原料として粒度106μm以下の粉末、元素群M2のAl,Cu,Geの原料としてそれぞれAlは粒度53〜106μmの粉末、Cuは粒度25〜35μmの粉末、Geは粒度32〜106μmの粉末を用いた。さらに、カルコゲン元素群のTeの原料として粒度75μm以下の粉末を用いて、焼結を行った。
ところが、大気中の酸素とZr粉末とが反応して発火したため、ターゲット母材を作製することができなかった。
【0066】
(実施例2)
金属元素群M1のZrの原料として1mmの大きさのZrスクラップを用い、元素群M2のうちAlの粉末原料を混合して、高周波溶解炉で溶解して、AlZr合金インゴットを作製した。これを粉砕することにより、合金粉末を得た。
次に、Ge,Cu,Te原料をそれぞれ高周波溶解炉で溶解して合金インゴットを作製した後に粉砕して、合金粉末を得た。
次に、これらの2種類の合金粉末を、所望の組成比となるように混合して、焼結させることにより、AlCuGeTeZrターゲット母材を得た。
次に、このターゲット母材を、厚み5mm、直径300mmの円盤状に切削加工して、ターゲットとした。
その後は、実施例1と同様にして、ウエハに多数のメモリ素子10を有するメモリセルアレイを形成して、実施例2のメモリの試料とした。
【0067】
この実施例2の試料のメモリについて、実施例1と同様に特性評価を行ったところ、良好なメモリ特性を得ることができた。
【0068】
(比較例2)
実施例1では、AlCuGeTeZr合金のターゲットを使用して、メモリ素子10のイオン化層12を成膜していた。
これに対して、Al,Zr,Cu,GeTeの4種類のターゲットを同時放電するコスパッタリング法によって、メモリ素子10のイオン化層12を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、ウエハに多数のメモリ素子10を有するメモリセルアレイを形成して、比較例2のメモリの試料とした。
【0069】
(初期抵抗値のばらつきの評価)
実施例1の合金ターゲットで成膜した場合と、比較例2のコスパッタで成膜した場合とで、各メモリの試料のメモリ素子10の初期抵抗の測定を行って、そのばらつきの評価を行った。
具体的には、同じカセットに11枚のウエハを入れて、成膜装置内で各ウエハのメモリ素子10にイオン化層12を成膜して、各ウエハにメモリセルアレイを形成した。そして、ウエハの中央部付近に形成した4kBのメモリセルアレイのメモリ素子10の初期の抵抗値を測定して、この抵抗値のメジアン値を求めた。
評価結果として、成膜回数、即ち、ウエハの枚数(1枚目〜11枚目)による、メモリ素子の初期の抵抗値(メジアン値)の変動を、図5に示す。
【0070】
図5より、比較例2のコスパッタで成膜した場合には、成膜回数が多くなるにつれて抵抗値が高くなっていくことがわかる。これに対して、実施例1の合金ターゲットを用いて成膜した場合には、成膜回数が増加しても抵抗値の変動が少ないことがわかる。
これは、コスパッタリング法で成膜を続けていると、ターゲットの表面に不要な元素が付着して、膜組成が変動してくためと考えられる。
一方で、1つの合金ターゲットを用いている場合においては、成膜する膜と同じ成分のターゲットを使用しているので、付着してもターゲットと同じ成分であり、不要な元素の付着の影響が少ない。
従って、合金ターゲットでメモリのイオン化層を成膜する方が、組成変動が少なく、より量産に向いているといえる。
【0071】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【符号の説明】
【0072】
10 メモリ素子、11 下部電極、12 高抵抗層、13 イオン化層、14 上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、
Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Gaから選ばれる1種以上の元素と、
S,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素とを含む
ターゲット。
【請求項2】
カルコゲン元素を含むターゲットを製造する方法であって、
Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、前記元素群以外の他の元素とを使用して、合金インゴットを作製する工程と、
前記合金インゴットを粉砕する工程と、
粉砕した前記合金インゴットと、S,Se,Teから選ばれる1種以上の前記カルコゲン元素とを使用して、ターゲットを作製する工程とを含む
ターゲットの製造方法。
【請求項3】
前記合金インゴットを作製する工程において、原料となる前記高融点金属元素として、粒度が100μm以上の材料を使用する、請求項2に記載のターゲットの製造方法。
【請求項4】
前記元素群以外の他の元素として、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Gaから選ばれる1種以上の元素を使用する、請求項2に記載のターゲットの製造方法。
【請求項5】
前記カルコゲン元素と1種以上の前記カルコゲン元素以外の他の元素とを合金化して、前記カルコゲン元素を含む第2の合金インゴットを作製する工程と、前記第2の合金インゴットを粉砕する工程とをさらに含み、粉砕した前記合金インゴットと粉砕した前記第2の合金インゴットとを使用して、前記ターゲットを作製する工程を行う、請求項2に記載のターゲットの製造方法。
【請求項6】
前記第2の合金インゴットの融点が前記カルコゲン元素の融点よりも高い、請求項5に記載のターゲットの製造方法。
【請求項7】
前記カルコゲン元素以外の他の元素として、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Gaから選ばれる1種以上の元素を使用して、前記第2の合金インゴットを作製する、請求項5に記載のターゲットの製造方法。
【請求項8】
複数個のメモリ素子によって構成されたメモリであって、
前記メモリ素子が、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、Al,Ge,Zn,Co,Cu,Ni,Fe,Si,Mg,Gaから選ばれる1種以上の元素と、S,Se,Teから選ばれる1種以上のカルコゲン元素とを含むターゲットを使用して形成され、イオン化する元素を含有するイオン化層を含む
メモリ。
【請求項9】
複数個のメモリ素子によって構成されたメモリを製造する方法であって、
Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta、並びに、ランタノイド元素の元素群から選ばれる1種以上の高融点金属元素と、前記元素群以外の他の元素とを使用して、合金インゴットを作製する工程と、
前記合金インゴットを粉砕する工程と、
粉砕した前記合金インゴットと、前記カルコゲン元素とを使用して、ターゲットを作製する工程と、
前記ターゲットを使用して、スパッタリングにより、イオン化する元素を含有する、前記メモリ素子のイオン化層を形成する工程とを含む、
メモリの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−26679(P2011−26679A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175709(P2009−175709)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】