説明

チェーン情報管理システム、チェーン、及びチェーン情報管理方法

【課題】簡単な手順で、迅速且つ正確にチェーンに関する諸情報を把握でき、チェーンに関する工程の管理が効率良く行えるチェーン情報管理システム、チェーン、及びチェーン情報管理方法を提供する。
【解決手段】チェーンの製造工程に配備したチェーンリンク1に二次元バーコード2を付する二次元バーコード印字装置30と、入庫・出庫工程以降の各工程に配備したチェーンリンク1に付された二次元バーコード2を読み取る読取装置40と、読取装置40で読み取られた二次元バーコード2のデータが入力される工程管理コンピュータ20とを備え、工程管理コンピュータ20は、読取装置40から入力された二次元バーコード2のデータに基づいて、チェーンに関する情報を得て当該工程を管理するように構成したチェーン情報管理システム1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンブロックなどに組み付けられるチェーンの製造工程以降の各工程において、チェーンに関する情報を得て当該工程を管理するチェーン情報管理システム、このチェーン情報管理システムにおいて管理対象とするチェーン、及びチェーン情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンブロックなどに組み付けられるチェーン(リンクチェーン)は、製造から廃棄までの間に、製造工程、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程など多岐の工程を経る。ここで、各工程の概要について説明すると、まず製造工程では、チェーンを製造して当該チェーンをロット毎にバケット(容器)に収容する。このとき、バケットにチェーンの製品名、製品コード、ロット番号、チェーンの長さなどの情報が記載された現品票を付する。入庫工程では、チェーンが入っているバケットを倉庫に入庫する。このとき、バケットに付された現品票に基づき、在庫管理システムに当該チェーンの製品名、製品コード、長さ、ロット番号、保管位置などの情報を登録する。出庫工程では、後続の組立工程又は出荷工程から出庫要求があった場合、出庫指示書と現品票を照合して、チェーンが入っているバケットを倉庫から出庫する。切断工程では、標準品のチェーンを一定量ストックし、切断指示書と現品票を照合してチェーンを切断する。組立工程では、組立指示書と現品票を照合して、切断されたチェーンを適合するチェーンブロックなどの製品本体に組み込む。出荷工程では、チェーンを製品としてバケットに入れて出荷する。このように、チェーンは、製造工程以降の各工程において個体を正しく認識してその情報を正確に管理する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のチェーン情報の管理は、上記のようにチェーンを収容するバケットに添付された現品票に基づいて行われていた。しかしながら、作業員のミスでチェーン本体とバケットに付した現品票とが一致しない場合や、現品票を紛失してしまった場合、誤入出庫、誤切断、誤組立、誤出荷などが起こる可能性がある。これを防止するためには二重、三重の厳重なチェックが必要となるため、工程の管理が煩雑になっている。
【0004】
また従来、刻印機で、チェーンリンクに、その材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、形状、等級などを表すアルファベットと、工番、ロット番号を表す数字を刻印している。この刻印をチェーンの識別手段として用いることも考えられるが、刻印のアルファベットが表す意味は複雑で、各工程の作業者は、対照表を参照しなければ刻印の意味が分からない。また、線径が小さいチェーンや刻印が潰れたチェーンでは、作業者が目視で刻印を識別するのが困難であった。また、チェーン上の刻印できるスペースの制限により、刻印には、チェーンの線径情報などチェーンの特定に必要な情報のすべてを含めることができない。これらの理由により、刻印はチェーンを識別するための手段としては十分なものではない。
【0005】
また、チェーンの保守点検において、チェーンに問題が発生した場合、直ちにチェーンの製造履歴情報(例えば、製造装置の種類、製造条件、製造日時、作業者などの情報)を確認しなければならない。この場合、チェーンリンクに刻印された工番とロット番号の組み合わせに基づき、チェーンの製造管理台帳や出荷台帳を調べれば、製造履歴情報の特定が可能であるが、それには大変な手間と時間を要する。さらに、同じロットで製造されるチェーンの長さが非常に長くなることがある(例えば、500mを超える場合もある)ため、問題の発生したチェーンリンクのロット内の通し番号(例えば、先頭から何リンク目に位置するか)を特定したくても、チェーン上の刻印できるスペースの制限により、刻印にはこの情報が記録されていないため、特定できない。これらの理由により、チェーンの刻印だけでは、問題発生時に、直ちに必要なチェーンの製造履歴情報を確認することができない。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、簡単な手順で、迅速且つ正確にチェーンに関する諸情報を把握することができ、チェーンに関する工程の管理が効率良く行えるチェーン情報管理システム、及び当該チェーン情報管理システムにおいて管理対象とするチェーン、及びチェーン情報管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本願の請求項1に記載の発明は、チェーンの製造工程、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程の少なくともいずれかの工程において、前記チェーンに関する情報を得て当該工程を管理するチェーン情報管理システムであって、前記チェーンを構成するチェーンリンクに、少なくとも前記いずれかの工程を管理するために必要なチェーン情報を付するチェーン情報付記手段と、前記チェーン情報付記手段に含まれるチェーン情報を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取られたチェーン情報のデータが入力される工程管理コンピュータとを備え、前記工程管理コンピュータは、前記読取手段から入力されたチェーン情報のデータに基づいて前記チェーンに関する情報を得て前記工程を管理することを特徴とするチェーン情報管理システムにある。
【0008】
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のチェーン情報管理システムにおいて、前記チェーン情報付記手段で前記チェーンリンクに付されるチェーン情報は、前記チェーンリンクの材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、形状、等級、線径、適合する製品本体を示す製品コード、工番、ロット番号、当該チェーンリンクのロット内の通し番号、製造日時、製造者の情報の少なくともいずれかの情報であることを特徴とする。
【0009】
本願の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のチェーン情報管理システムにおいて、前記工程管理コンピュータは、前記読取手段から入力された前記チェーン情報のデータと、データベースに格納されたデータとを照合し、両データが一致する場合に、当該チェーンにかかる工程の実行を許可することを特徴とする。
【0010】
本願の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチェーン情報管理システムにおいて、前記チェーン情報付記手段に含まれるチェーン情報には、前記チェーンリンクのロット内の通し番号の情報が含まれており、前記工程管理コンピュータは、前記チェーンリンクのロット内の通し番号の情報に基づいて前記チェーンの長さを算出することを特徴とする。
【0011】
本願の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチェーン情報管理システムにおいて、前記チェーン情報付記手段は、前記チェーンリンクに付された二次元バーコードであり、前記二次元バーコードは、前記チェーンリンクに二次元バーコードを印字するレーザーマーカーと、前記レーザーマーカーによる二次元バーコードの印字を制御する印字制御手段とで前記チェーンリンクに印字されることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のチェーン情報管理システムにおいて、前記読取手段は、前記チェーンリンクに付されたチェーン情報を読み取る読取部と、前記読取部で読み取ったチェーン情報のデータを前記工程管理コンピュータに送信する送信部とを備える携帯可能な読取装置であることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項7に記載の発明は、複数のチェーンリンクを連結してなるチェーンであって、前記チェーンリンクに、その材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、形状、等級、線径、適合する製品本体を示す製品コード、工番、ロット番号、当該チェーンリンクのロット内の通し番号、製造日時、製造者の少なくともいずれかの情報をコード化したデータを含む二次元バーコードを付したことを特徴とするチェーンにある。
【0014】
本願の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のチェーンにおいて、前記チェーンリンクに付された二次元バーコードは、前記チェーンリンクの表面にレーザー照射で直接印字されていることを特徴とする。
【0015】
本願の請求項9に記載の発明は、チェーンの製造工程、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程の少なくともいずれかの工程において前記チェーンに関する情報を得て当該工程を管理するチェーン情報管理方法であって、前記製造工程で、チェーンを構成するチェーンリンクに前記いずれかの工程を管理するために必要なチェーン情報を付し、前記入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程の少なくともいずれかの工程で、前記チェーンリンクに付したチェーン情報を読み取ることで前記工程を管理することを特徴とするチェーン情報管理方法にある。
【発明の効果】
【0016】
本願の請求項1に記載の発明によれば、チェーン情報管理システムは、チェーンを構成するチェーンリンクに、チェーンの製造工程、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程の少なくともいずれかの工程を管理するために必要なチェーン情報を付するチェーン情報付記手段と、チェーン情報付記手段に含まれるチェーン情報を読み取る読取手段と、読取手段で読み取られたチェーン情報のデータが入力される工程管理コンピュータとを備え、工程管理コンピュータは、読取手段から入力されたチェーン情報のデータに基づいてチェーンに関する情報を得て当該工程を管理するので、チェーンの製造工程、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程の少なくともいずれかの工程において、チェーンの個体を迅速且つ正確に識別できるようになる。これにより、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程などで、誤入出庫、誤切断、誤組立、誤出荷を未然に防止できるようになる。また、保守点検工程や破棄処理工程などで、チェーンの製造履歴情報を直ちに参照できるので、チェーンの点検・修理や破棄処理が迅速に行えるようになる。
【0017】
本願の請求項2に記載の発明によれば、チェーン情報付記手段でチェーンリンクに付されるチェーン情報は、当該チェーンリンクの材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、形状、等級、線径、適合する製品本体を示す製品コード、工番、ロット番号、当該チェーンリンクのロット内の通し番号、製造日時、製造者の情報の少なくともいずれかの情報なので、従来、チェーンを収容しているバケットに添付された現品票を参照して得ていた情報も、チェーンから直接得られるので、現品票が不要になる。また、各工程において現品票の参照作業が不要になることで、作業ミスを効果的に防止できるようになる。
【0018】
本願の請求項3に記載の発明によれば、工程管理コンピュータは、読取手段から入力されたチェーン情報のデータと、データベースに格納されたデータとを照合し、両データが一致する場合に、当該チェーンにかかる工程の実行を許可するので、両データが不一致の場合には工程の実施が不許可となり、工程の作業ミスを効果的に防止できるようになる。
【0019】
本願の請求項4に記載の発明によれば、チェーン情報付記手段に含まれるチェーン情報には、チェーンリンクのロット内の通し番号の情報が含まれており、工程管理コンピュータは、チェーンリンクのロット内の通し番号の情報に基づいてチェーンの長さを算出するので、簡単にチェーンの長さを算出することができるようになる。また、従来必要であったチェーンの長さを測定するための専用機械が不要となる。また、チェーンの長さを正確に把握できるので、工程の作業ミスを効果的に防止できるようになる。
【0020】
本願の請求項5に記載の発明によれば、チェーン情報付記手段は、チェーンリンクに付された二次元バーコードなので、簡単な構成で、チェーンに多くの情報を付することができるようになる。また、この二次元バーコードは、チェーンリンクに二次元バーコードを印字するレーザーマーカーと、レーザーマーカーによる二次元バーコードの印字を制御する印字制御手段とでチェーンリンクに印字されるので、チェーンに二次元バーコードを簡単に付することができる。
【0021】
本願の請求項6に記載の発明によれば、読取手段は、チェーンリンクに付されたチェーン情報を読み取る読取部と、読取部で読み取ったチェーン情報のデータを工程管理コンピュータに送信する送信部とを備える携帯可能な読取装置なので、各工程において、作業者がチェーンリンクに付された二次元バーコードを簡単に読み取ることができる。したがって、チェーンの識別が簡単且つ正確に行えると共に、チェーンに関する情報を容易に得ることができる。
【0022】
本願の請求項7に記載の発明によれば、チェーンリンクに、その材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、形状、等級、線径、適合する製品本体を示す製品コード、工番、ロット番号、当該チェーンリンクのロット内の通し番号、製造日時、製造者の少なくともいずれかの情報をコード化したデータを含む二次元バーコードを付したので、従来、データ量が多いためにチェーンに直接付することができなかった情報でも、二次元バーコードを採用したことで、チェーンに直接付することができるようになる。したがって、従来、チェーンを収容しているバケットに添付された現品票を参照して得ていた情報も、チェーンから直接得られるので、現品票が不要になる。また、各工程で現品票の参照作業が不要になることで、作業ミスを効果的に防止できるようになる。
【0023】
本願の請求項8に記載の発明によれば、チェーンリンクに付された二次元バーコードは、チェーンリンクの表面にレーザー照射で直接印字されているので、二次元バーコードの付け間違いが発生するおそれがない。
【0024】
本願の請求項9に記載の発明によれば、チェーンの製造工程で、チェーンを構成するチェーンリンクに入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程のいずれかの工程を管理するために必要なチェーン情報を付し、上記のいずれかの工程で、チェーンリンクに付したチェーン情報を読み取ることで当該工程を管理するので、各工程において、チェーンの個体を迅速且つ正確に識別できるようになる。これにより、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程などで、誤入出庫、誤切断、誤組立、誤出荷を未然に防止できるようになる。また、保守点検工程や破棄処理工程などでチェーンの製造履歴情報を直ちに参照できるので、チェーンの点検・修理や破棄処理が迅速に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるチェーン情報管理システムを示す図である。また図2は、チェーン情報管理システムに用いるチェーンリンクの構成を示す図である。図1に示すチェーン情報管理システム10は、チェーンの製造工程以降の各工程に配備される工程管理コンピュータ20を備えている。工程管理コンピュータ20は、製造工程に配備される製造管理コンピュータ20−1、入庫・出庫工程に配備される在庫管理コンピュータ20−2、切断工程に配備される切断管理コンピュータ20−3、組立工程に配備される組立管理コンピュータ20−4、出荷工程に配備される出荷管理コンピュータ20−5、保守点検工程に配備される品質管理コンピュータ20−6、破棄処理工程に配備される処分管理コンピュータ20−7である。また製造工程には、チェーン情報付記手段である二次元バーコードをチェーンリンクに付する二次元バーコード印字装置30が配備され、入庫・出庫工程以降の各工程には、チェーンリンクに付された二次元バーコードを読み取る読取装置40が配備されている。
【0026】
工程管理コンピュータ20は、LAN又はインターネットなどの通信回線26を介してホストコンピュータ(サーバ)27に接続されている。また、通信回線26上には、製造情報データベース28aや品質管理データベース28bや在庫管理データベース28cなどの各種データベース28が設けられている。製造情報データベース28aは、チェーンの製造時に印字した二次元バーコードに含まれるチェーンの製造情報をデータベースとして蓄積するもので、品質管理データベース28bは、読取装置40で読み取ったチェーンの品質管理情報をデータベースとして蓄積するもので、在庫管理データベース28cは、読取装置40で読み取ったチェーンの在庫管理情報をデータベースとして蓄積するものである。
【0027】
一方、二次元バーコード印字装置30は、図1に示すように、二次元バーコードを印字するレーザーマーカー31と、チェーンを運搬するチェーン運搬装置32と、チェーン運搬装置32の運転及びレーザーマーカー31の印字を制御する印字制御コンピュータ33とを備えている。印字制御コンピュータ33は、LANなどの通信回線34で製造管理コンピュータ20−1に接続されている。印字制御コンピュータ33の制御により、チェーン運搬装置32で運搬されるチェーンにレーザーマーカー31で二次元バーコードが印字される。これにより、図2に示すように、チェーンリンク1の表面に二次元バーコード2が直接印字される。
【0028】
チェーンリンク1に印字される二次元バーコード2は、一例として、Data Matrix ECC200コードがある。このコードは、海外で広く普及しているコードで、長方形の印字に適していると共に、印字サイズを比較的小さくできるため、チェーンリンク1の表面への印字が行い易く、レーザーマーカー31での印字が行い易いものである。この二次元バーコードの情報量は、コードサイズが8×32セルコードであれば、20桁の数字又は13桁の英数字となる。また8×16セルコードであれば、10桁の数字又は6桁の英数字となる。なお上記以外にも、チェーンリンクに二次元バーコードを印字したシールを貼付することも可能である。
【0029】
ここで、チェーンリンク1に印字された二次元バーコード2で提供できる情報について説明する。図3は、二次元バーコード2で提供できる情報を示す図である。同図に示すように、チェーンリンク1に印字された二次元バーコード2には、当該チェーンの材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、ピッチ、等級、線径、適合機種(チェーンを組み付ける製品本体の適合機種)、工番、ロット番号、ロット中の当該チェーンリンクの順番、の各情報(以上を「基本情報」という。)が含まれている。また、製造年月日、製造者、製造工程、製造設備、製造条件、の各情報(以上を「製造履歴情報」という。)が含まれている。また、検査規格(基準)、検査成績、検査員、の各情報(以上を「検査履歴情報」という。)が含まれている。
【0030】
上記の各情報のうち、線径、適合機種、ロット内の通し番号、製造年月日、製造者、製造工程、製造設備、製造条件、検査規格(基準)、検査成績、検査員の情報は、データ量が多いため、従来のチェーンリンクへの刻印では提供できない情報である。また、チェーンの材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、ピッチ、等級、線径、適合機種の各情報は、チェーンの識別に用いられると共に、顧客にチェーンの仕様を示す際に提供される情報であり、工番、ロット番号、当該チェーンリンクのロット内の通し番号、製造年月日、製造者、製造工程、製造設備、製造条件、検査規格(基準)、検査成績、検査員の各情報は、チェーンの品質管理に用いられる情報である。
【0031】
図4は、読取装置40と工程管理コンピュータ20の詳細構成を示す図である。同図に示すように、読取装置40は、チェーンリンク1に印字された二次元バーコード2を読み取る二次元バーコードリーダー41と、読み取ったデータを無線で送信する送信部42とを備える携帯可能な読取装置である。また、工程管理コンピュータ20は、中央演算処理装置(CPU)21と、読取装置40から無線で送信されたデータを受信する受信部22と、HDDなどのデータ格納手段23と、二次元バーコード2のデータから得た情報を表示する表示部24と、通信回線26に接続するためのモデムなどの通信手段25とを備えている。なお、データ格納手段23には、二次元バーコード2やデータベース28からのデータを情報に変換する情報変換ファイル23aや、二次元バーコード2やデータベース28からのデータを基にチェーンの長さを算出する長さ変換ファイル23bが格納されている。なお、読取装置40の送信部42は、上記以外にも、読み取ったデータを有線で送信するように構成してもよい。
【0032】
図5は、チェーンにかかる工程を説明するためのフローである。同図に示すように、チェーンの製造以降の工程には、製造工程(ステップST1)、入庫工程(ステップST2)、出庫工程(ステップST3)、切断工程(ステップST4)、出荷工程(ステップST6)、組立工程(ステップST7)、保守点検工程(ステップST8)、破棄処理工程(ステップST9)の各工程がある。製造工程(ステップST1)では、チェーンを製造し、製造したチェーンをロットごとにバケット(容器)に入れる。入庫工程(ステップST2)では、チェーンが入っているバケットを倉庫に入庫する。出庫工程(ステップST3)では、後続の組立工程又は出荷工程の出庫要求に応じて、チェーンが入っているバケットを倉庫から出庫する。切断工程(ステップST4)では、標準品のチェーンを一定量ストックし、この標準品のチェーンを切断する。そして、切断工程で切断されたチェーンを組立前に社外に出荷するか否かを判断し(ステップST5)、その結果、組立前に出荷するのであれば、出荷工程(ステップST6A)を経て、ユーザーによる社外での組立工程(ステップST7B)となる。あるいは、組立後に出荷するのであれば、社内での組立工程(ステップST7A)を経て、出荷工程(ステップST6B)となる。
【0033】
以下では、出荷工程の後、社外で組立工程を行う場合を例に説明する。出荷工程(ステップST6A)では、切断工程(ステップST4)で切断されたチェーンを製品としてバケットに入れ、出荷する。組立工程(ステップST7B)では、切断工程で切断されたチェーンをチェーンブロックなどの製品本体に組み込む。製品の使用後の保守点検工程(ステップST8)ではチェーンの保守点検を行い、必要があればチェーンの補修・交換などを行う。破棄処理工程(ステップST9)では、使用済みのチェーンを破棄処理又は再利用する。
【0034】
次に、上記の各工程におけるチェーン情報の管理について説明する。製造工程(ステップST1)では、チェーンの個体識別情報である製品IDを定め、これを製造情報データベース28aに登録する。また、レーザーマーカー31でチェーンリンク1に二次元バーコード2を印字する。製造工程でチェーンリンク1に直接二次元バーコード2を印字することで、チェーンリンク1の現品と二次元バーコード2の不一致が起こらずに済む。また、チェーンリンク1に二次元バーコード2が直接印字されるので、従来必要であったバケット(容器)に添付する現品票が不要になる。一方、二次元バーコード2の印字と同時に、製造情報データベース28aに当該チェーンの製造履歴情報を登録することで、出荷後のチェーンの返品やクレーム発生時に、海外の販売店や代理店などに対して、正確なチェーンの製造履歴情報を迅速に提供できるようになる。二次元バーコードが印字されたチェーンは、ロットごとにバケットに収容される。
【0035】
図6は、入庫工程(ステップST2)でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。入庫工程(ステップST2)では、まず、入庫管理票のデータを在庫管理コンピュータ20−2に入力する(ST2−1)。次に、チェーンに印字された二次元バーコードを読取装置40で読み取り、そのデータを在庫管理コンピュータ20−2に入力する(ST2−2)。そして、在庫管理コンピュータ20−2で、入庫管理票のデータと二次元バーコードのデータを照合する(ST2−3)。なおこの照合は、在庫管理コンピュータ20−2が自動で行うようにしても良いし、在庫管理コンピュータ20−2の表示画面を見た作業者が手動で行うようにしても良い。この点は、以下の他の工程における照合でも同様とする。その結果、両者が一致していれば、チェーンの入庫手続きを行う(ST2−4)。両者が一致していなければ、チェーンを入庫せず作業者に警告を出す(ST2−5)。入庫工程では、チェーンに印字した二次元バーコードでチェーンのデータと入庫管理票のデータの一致を確認できるので、誤入庫を未然に防止できる。また入庫工程では、二次元バーコードから得た入庫するチェーンの製品名、製品コード、長さ、ロット番号、保管位置などの情報を、在庫管理データベース28bに登録することができる。
【0036】
図7は、出庫工程(ステップST3)でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。出庫工程(ステップST3)では、後続の組立工程(ステップST7)又は出荷工程(ステップST6)から出庫要求があった場合、出庫依頼票のデータを在庫管理コンピュータ20−2に入力する(ST3−1)。次に、在庫管理データベース28bを検索して、出庫依頼の条件に合致するチェーンを選択して、倉庫から出す(ST3−2)。そして、倉庫から出したチェーンに印字されている二次元バーコードを読取装置40で読み取り、そのデータを在庫管理コンピュータ20−2に入力する(ST3−3)。在庫管理コンピュータ20−2で、出庫依頼票のデータと二次元バーコードのデータとを照合する(ST3−3)。その結果、両者が一致していれば、チェーンが入っているバケットを倉庫から出庫する(ST3−4)。両者が一致していなければ、出庫せずに作業者に警告を出す(ST3−5)。出庫工程においても、チェーンリンクに印字した二次元バーコードでチェーンのデータと出庫依頼票のデータの一致を確認できるので、誤出庫を未然に防止できる。
【0037】
図8は、切断工程(ステップST4)でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。切断工程(ステップST4)では、切断指示書のデータを切断管理コンピュータ20−3に入力する(ST4−1)。次に、チェーンに印字した二次元バーコードを読取装置40で読み取り、そのデータを切断管理コンピュータ20−3に入力する(ST4−2)。切断管理コンピュータ20−3で、切断指示書のデータと二次元バーコードのデータを照合する(ST4−3)。その結果、両者が一致していれば、チェーンの切断を行う(ST4−4)。両者が一致していなければ、切断せずに作業者に警告を出す(ST4−5)。切断工程においても、チェーンリンクに印字した二次元バーコードでチェーンのデータと切断指示書のデータの一致を確認できるので、誤切断を未然に防止できる。
【0038】
また、切断工程では、チェーンリンクに印字された二次元バーコードを用いて、切断するチェーンの長さを測定することができる。以下、チェーンの長さを測定する手順について説明する。図9は、チェーンの長さを測定する手順を示すフローである。なおここでは、既に同じロット内のチェーンリンクの二次元バーコードのデータが読み取られていて、そのチェーンリンクが始点として指定されている場合について説明する。この場合、同図に示すように、読取装置40でチェーンリンクに印字されている二次元バーコードを読み取る(ST21)。そして、読み取った二次元バーコードに含まれる情報を、切断管理コンピュータ20−3の表示部24に表示する(ST22)。ここでの表示項目は、チェーンリンクの材質、熱処理の種別、表面処理の種別、ピッチ、等級、線径、適合装置機種、工番、ロット番号、チェーンリンクのロット内の通し番号、ロット先頭からチェーンリンクまでの距離である。ロット先頭からチェーンリンクまでの距離は、下記の式で算出できる。
【0039】
ロット先頭からチェーンリンクまでの距離=チェーンリンクのロット内の通し番号×ピッチ
【0040】
次に、始点が既に指定されているかを判定する(ST23)。なお、始点の指定は、切断管理コンピュータ20−3が自動で行うようにしても良いし、切断管理コンピュータ20−3の表示画面を見た作業者が手動で行うようにしても良い。チェーンリンクが始点として指定される場合、切断管理コンピュータ20−3のデータ格納手段23に当該チェーンリンクの基本情報が保存される。次に、今回読み取ったチェーンリンクの種別が、始点のチェーンリンクの種別と同じか否かを判定する(ST24)。ここで、チェーンリンクの種別の判定に用いる情報は、チェーンリンクの材質、熱処理の種別、表面処理の種別、ピッチ、等級、線径、適合機種の情報である。また、今回読み取ったチェーンリンクの工番、ロット番号が始点のチェーンリンクの工番、ロット番号と同じか否かを判定する(ST25)。これらの結果、今回読み取ったチェーンリンクの情報と始点のチェーンリンクの情報がいずれも同一であった場合は、始点のチェーンリンクと今回読み取ったチェーンリンクの間の距離を算出して、これを表示する(ST26)。チェーンリンク間の距離は、下記の式で算出できる。
【0041】
今回読み取ったチェーンリンクと始点に指定したチェーンリンクの間の距離=(今回読み取ったチェーンリンクのロット内の通し番号−始点のチェーンリンクのロット内の通し番号)×ピッチ
【0042】
次に、今回読み取ったチェーンリンクを始点として指定するか否かを判定する(ST27)。なおこの判定は、切断管理コンピュータ20−3の表示画面を見た作業者が手動で行う。この判定により、今回読み取ったチェーンリンクを始点として指定する場合、始点を今回読み取ったチェーンリンクに更新する(ST28)。即ち、今回読み取ったチェーンリンクの基本情報を切断管理コンピュータ20−3のデータ格納手段23に保存する。その後、他のチェーンリンクの二次元バーコードを読み取る。なお、上記の手順において、今回読み取ったチェーンリンクの情報と始点に指定したチェーンリンクの情報が同一でない場合は、今回読み取ったチェーンリンクが始点のチェーンリンクとは異なるロットのチェーンに属するので、両者の間の距離が表示されない。その場合、今回読み取ったチェーンリンクを新たに始点として指定するか否かを判定する(ST27)。
【0043】
切断工程においては、従来、切断するチェーンの長さを測定するために、チェーンリンクを数えるための専用の測定機械(チェーンリンクの線径ごとのシーブ装備)が必要であったが、本実施形態のチェーン情報管理システム10によれば、携帯型の読取装置40を用いて簡単に二つのチェーンリンク間の距離を算出できるので、チェーンリンクを数えるための専用の測定機械が不要となる。また、チェーンの長さを正確に算出できるので、チェーンの長さの測定間違いによる作業ミスを効果的に防止できるようになる。
【0044】
図10は、出荷工程(ステップST6)でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。出荷工程(ステップST6)では、出荷指示書のデータを出荷管理コンピュータ20−5に入力する(ST6−1)。次に、読取装置40でチェーンに印字した二次元バーコードを読み取り、そのデータを出荷管理コンピュータ20−5に入力する(ST6−2)。そして、出荷管理コンピュータ20−5で、出荷指示書のデータと二次元バーコードのデータとを照合する(ST6−3)。その結果、両者が一致していれば、切断工程で切断されたチェーンを製品としてバケットに入れて出荷する。(ST6−4)。両者が一致していなければ、チェーンを出荷せずに作業者に警告を出す(ST6−5)。出荷工程でも、簡単且つ確実にチェーンを識別できるため、出荷指示書とチェーンが一致しない場合、警告を出すことで、誤出荷を効果的に防止できる。
【0045】
図11は、組立工程(ステップST7)でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。組立工程(ステップST7)では、組立指示書のデータを組立管理コンピュータ20−4に入力する(ST7−1)。次に、読取装置40でチェーンに印字した二次元バーコードを読み取り、そのデータを組立管理コンピュータ20−4に入力する(ST7−2)。そして、組立管理コンピュータ20−4で、組立指示書のデータと二次元バーコードのデータとを照合する(ST7−3)。その結果、両者が一致していれば、当該チェーンをチェーンブロックなどの製品本体に組み込む。(ST7−4)。両者が一致していなければ、組み込みを行わずに作業者に警告を出す(ST7−5)。組立工程では、組立指示書のデータと二次元バーコードのデータとを照合して、簡単且つ確実にチェーンを識別できるため、組立指示書とチェーンが一致しない場合、警告を出すことで、誤組立を確実に防止できる。また、組立工程においても、二次元バーコードの読み取りでチェーンの長さを簡単に算出できるため、チェーンの長さとチェーンブロックの要求揚程の一致を確認した上で、チェーンの組込作業を行うことができるようになり、誤組込を効果的に防止できる。
【0046】
保守点検工程(ステップST8)では、チェーンの出荷後の返品やクレーム発生時に、社内の品質管理部門又は営業所・代理店において、携帯可能な読取装置40により、チェーンに付された二次元バーコードを読み取り、読み取ったデータを品質管理コンピュータ20−6に送信することで、品質管理コンピュータ20−6で品質管理データベース28cから当該チェーンの製造履歴情報を抽出して参照することができる。したがって、チェーンの返品やクレームなどが発生した際に、直ちにチェーンの製造履歴情報を把握できる。
【0047】
破棄処理工程(ステップST9)では、使用済みのチェーンの破棄処理を行う段階で、携帯可能な読取装置40でチェーンに付された二次元バーコードを読み取り、読み取ったデータを処分管理コンピュータ20−7に送信することで、処分管理コンピュータ20−7で品質管理データベース28cから当該チェーンの基本情報や製造履歴情報を抽出して参照することが可能となる。したがって、チェーンの破棄処理に必要な情報を処理現場などで迅速に得ることができる。
【0048】
なお、上記の各工程では、読取装置40で読み取った二次元バーコードのデータに基づいて、関連するデータベース(製造情報データベース28a又は在庫管理データベース28b又は品質管理データベース28c)を自動的に書き換えて更新することが可能である。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のチェーン情報管理システム10によれば、以下のような優れた効果を奏することができる。
【0050】
(1)入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程では、読取装置40で、チェーンリンクの二次元バーコードを読み取ることで、チェーンの個体を迅速且つ正確に識別することができると共に、チェーンの基本情報、製造履歴情報、検査情報を、各種作業の指示書と照合できるので、各工程での作業ミスを未然に防止できる。特に、チェーンリンクに印字された二次元バーコードにチェーンの基本情報が含まれるので、各工程において、読取装置の操作だけでチェーンを正確に識別でき、誤入出庫、誤切断、誤組込、誤出荷を効果的に防止できる。
【0051】
(2)切断工程、組立工程では、チェーンリンクの二次元バーコードにチェーンリンクのロット内の通し番号(位置)の情報が含まれるので、読取装置でチェーンの両端に連結されたチェーンリンクの二次元バーコードを読み取ることで、チェーンの全長を算出でき、また、チェーンの途中の任意の二つのチェーンリンクの二次元バーコードを読み取ることで、チェーンリンク間の長さを算出できる。したがって、各工程でチェーンの長さを迅速且つ正確に把握することができる。
【0052】
(3)製造工程では、二次元バーコードを印字する際に、二次元バーコードに含まれる情報をデータベースに入力できる。この入力は人手を介さず行えるため、データベースを作成する作業の手間が軽減されると共に、入力ミスを防止できるので、データベースの信頼性が向上する。
【0053】
(4)入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程では、チェーンに付された二次元バーコードから読み取ったチェーン情報を簡単にデータベースに登録することが可能となるので、データベースを常に最新の状態に維持することができる。また、データベースを登録・更新する手間が軽減される。
【0054】
(5)保守管理工程では、例えば、海外の販売店や代理店で顧客にチェーンの基本情報について尋ねられた際、読取装置でチェーンに付された二次元バーコードを読み取れば、その場で直ちにチェーンの基本情報を提供できる。したがって、海外の販売店や代理店など製造現場から離れた遠方の地でも、顧客への対応が迅速に行えるようになる。また、チェーンの返品やクレームなどが発生した際に、直ちにチェーンの製造履歴情報を確認できるようになる。
【0055】
(6)保守管理工程では、二次元バーコードにチェーンリンクのロット内の通し番号(位置)の情報が含まれているので、チェーンに対するクレームなどが発生した場合、問題のチェーンリンクのロット中の位置を直ちに特定できる。これにより、修理・交換の対象をチェーン全体から特定のチェーンリンクに限定することが可能となるので、クレームなどの処理効率を向上させることができる。
【0056】
(7)破棄処理工程では、二次元バーコードの情報に基づいて、使用済みのチェーンの基本情報を確認できるので、チェーンの分別や再利用を促進させることができる。なお従来は、破棄処理の現場でチェーンの基本情報を得るのが困難であったため、使用済みのチェーンは、専門の処理業者が回収して処理しなければならなかった。
【0057】
(8)二次元バーコードは、従来の刻印に含まれる情報をすべて含めることができる上に、刻印には含めることができないデータ量の多い情報も含めることができる。また、二次元バーコードは、一次元バーコードと比較して100倍前後の情報をコード化できる。したがって、チェーンへの刻印や一次元バーコードでは含めることができなかった情報も、二次元コードに含めることができるので、各工程で、チェーンに関する情報を従来よりも格段に多く得ることができるようになる。
【0058】
(9)二次元バーコードは、汚れや傷に対してある程度の補正機能があるため、チェーンリンクの表面が多少汚れたり傷付いたりしても、データを読み取ることが可能である。また、二次元バーコードから読み取ったデータには、高い信頼性がある。さらに、二次元バーコードは、読取方向の自由度に優れているので、様々な要因による二次元バーコードの外観の劣化に対しても、信頼性の高い読取性能を維持できる。
【0059】
なお、上記の二次元バーコードに代えて、チェーン情報管理システムに一次元バーコードを用いることも考えられるが、一次元バーコードは歪曲面には不向きであり、また、単位面積当たりの一次元バーコードに記録できる情報量は、二次元バーコードに比して非常に少ない。したがって、チェーンリンクの表面が歪曲面状であることや、チェーンリンク上のスペースが限られていることや、記録すべき情報量の多さなどを考慮すると、本実施形態のチェーンの情報管理システムには、一次元バーコードよりも二次元バーコードを用いる方が格段に有利である。
【0060】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書、図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、本発明のチェーン情報管理システムでチェーンに付するチェーン情報付記手段は、上記実施形態の二次元バーコードには限定されず、それ以外にも、例えば、上記した一次元バーコードやICタグなどを用いることも可能である。
【0061】
また、上記実施形態に示すチェーンリンクに印字した二次元バーコードの構成は一例であり、チェーンリンク上の二次元バーコードの具体的な印字位置や、二次元バーコードの形状・大きさなどは、上記実施形態に示すものには限定されない。また、上記実施形態に示すチェーン情報管理システムの具体的構成は一例であり、本発明のチェーン情報管理システムは、チェーンリンクに、その工程を管理するために必要なチェーン情報を付するチェーン情報付記手段と、チェーン情報付記手段のチェーン情報を読み取る読取手段と、読取手段で読み取られたチェーン情報のデータが入力される工程管理コンピュータとを備えるものであれば、その他の構成は上記実施形態と同一でなくてもよく、例えば、工程管理コンピュータや読取装置の設置台数や配置は、上記実施形態に示す以外の台数や配置でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態にかかるチェーン情報管理システムの構成を示す図である。
【図2】チェーン情報管理システムに用いるチェーンリンクの構成を示す図である。
【図3】二次元バーコードに含まれる情報を示す図である。
【図4】読取装置と工程管理コンピュータの詳細構成を示す図である。
【図5】チェーンにかかる工程を説明するためのフローである。
【図6】入庫工程でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。
【図7】出庫工程でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。
【図8】切断工程でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。
【図9】チェーンの長さを測定する手順を示すフローである。
【図10】出荷工程でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。
【図11】組立工程でのチェーン情報管理の手順を示すフローである。
【符号の説明】
【0063】
1 チェーンリンク
2 二次元バーコード(チェーン情報付記手段)
10 チェーン情報管理システム
20 工程管理コンピュータ
20−1 製造管理コンピュータ
20−2 在庫管理コンピュータ
20−3 切断管理コンピュータ
20−4 組立管理コンピュータ
20−5 出荷管理コンピュータ
20−6 品質管理コンピュータ
20−7 処分管理コンピュータ
21 中央演算処理装置(CPU)
22 受信部
23 データ格納手段
23a 情報変換ファイル
23b 長さ変換ファイル
24 表示部
25 通信手段
26 通信回線
27 ホストコンピュータ
28 データベース
28a 製造情報データベース
28b 在庫管理データベース
28c 品質管理データベース
30 二次元バーコード印字装置
31 レーザーマーカー
32 チェーン運搬装置
33 印字制御コンピュータ
34 通信回線
40 読取装置
41 二次元バーコードリーダー
42 送信部
ST1 製造工程
ST2 入庫工程
ST3 出庫工程
ST4 切断工程
ST6 組立工程
ST7 出荷工程
ST8 保守点検工程
ST9 破棄処理工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンの製造工程、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程の少なくともいずれかの工程において、前記チェーンに関する情報を得て当該工程を管理するチェーン情報管理システムであって、
前記チェーンを構成するチェーンリンクに、少なくとも前記いずれかの工程を管理するために必要なチェーン情報を付するチェーン情報付記手段と、前記チェーン情報付記手段に含まれるチェーン情報を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取られたチェーン情報のデータが入力される工程管理コンピュータとを備え、
前記工程管理コンピュータは、前記読取手段から入力されたチェーン情報のデータに基づいて前記チェーンに関する情報を得て前記工程を管理することを特徴とするチェーン情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のチェーン情報管理システムにおいて、
前記チェーン情報付記手段で前記チェーンリンクに付されるチェーン情報は、前記チェーンリンクの材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、形状、等級、線径、適合する製品本体を示す製品コード、工番、ロット番号、当該チェーンリンクのロット内の通し番号、製造日時、製造者の情報の少なくともいずれかの情報であることを特徴とするチェーン情報管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のチェーン情報管理システムにおいて、
前記工程管理コンピュータは、前記読取手段から入力された前記チェーン情報のデータと、データベースに格納されたデータとを照合し、両データが一致する場合に、当該チェーンにかかる工程の実行を許可することを特徴とするチェーン情報管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチェーン情報管理システムにおいて、
前記チェーン情報付記手段に含まれるチェーン情報には、前記チェーンリンクのロット内の通し番号の情報が含まれており、
前記工程管理コンピュータは、前記チェーンリンクのロット内の通し番号の情報に基づいて前記チェーンの長さを算出することを特徴とするチェーン情報管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチェーン情報管理システムにおいて、
前記チェーン情報付記手段は、前記チェーンリンクに付された二次元バーコードであり、
前記二次元バーコードは、前記チェーンリンクに二次元バーコードを印字するレーザーマーカーと、前記レーザーマーカーによる二次元バーコードの印字を制御する印字制御手段とで前記チェーンリンクに印字されることを特徴とするチェーン情報管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のチェーン情報管理システムにおいて、
前記読取手段は、前記チェーンリンクに付されたチェーン情報を読み取る読取部と、前記読取部で読み取ったチェーン情報のデータを前記工程管理コンピュータに送信する送信部とを備える携帯可能な読取装置であることを特徴とするチェーン情報管理システム。
【請求項7】
複数のチェーンリンクを連結してなるチェーンであって、
前記チェーンリンクに、その材質、熱処理の種別、表面処理の種別、用途、形状、等級、線径、適合する製品本体を示す製品コード、工番、ロット番号、当該チェーンリンクのロット内の通し番号、製造日時、製造者の少なくともいずれかの情報をコード化したデータを含む二次元バーコードを付したことを特徴とするチェーン。
【請求項8】
請求項7に記載のチェーンにおいて、
前記チェーンリンクに付された二次元バーコードは、前記チェーンリンクの表面にレーザー照射で直接印字されていることを特徴とするチェーン。
【請求項9】
チェーンの製造工程、入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程の少なくともいずれかの工程において、前記チェーンに関する情報を得て当該工程を管理するチェーン情報管理方法であって、
前記製造工程で、チェーンを構成するチェーンリンクに前記いずれかの工程を管理するために必要なチェーン情報を付し、
前記入庫工程、出庫工程、切断工程、組立工程、出荷工程、保守点検工程、破棄処理工程の少なくともいずれかの工程で、前記チェーンリンクに付したチェーン情報を読み取ることで前記工程を管理することを特徴とするチェーン情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−217266(P2008−217266A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51979(P2007−51979)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)
【Fターム(参考)】