説明

チップ成形体とその製造方法

【課題】軟質ポリウレタンフォームチップのみからなる成形体よりもチップ成形体の全面を高い硬度にし、且つ成形体の重量を軽くすることができるチップ成形体とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のチップ成形体20は、第1のチップ材と第2のチップ材とが混合されて第1のチップ片24と第2のチップ片26とが均一に分散している混合材料が押し固められると共に、第1及び第2のチップ片が接着剤で結合されて一体化したチップ成形体である。第1のチップ材は、軟質ポリウレタンフォームが粉砕されて形成された第1のチップ片の集合物である。第2のチップ材は、熱可塑性樹脂発泡体が粉砕されて形成された第2のチップ片の集合物である。ここで、第1のチップ材の嵩密度と第2のチップ材の嵩密度が同等になるように第1のチップ片と第2のチップ片の少なくともどちらか一方の平均外形寸法が調節されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ成形体とその製造方法に関する。詳しくは、不要となった或いは端材として発生した軟質ポリウレタンフォーム(ポリウレタン発泡体)を粉砕してチップとし、このチップを成形型の中で再度成形して得られるチップ成形体とそのチップ成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ成形体は様々な産業分野において種々の用途に利用されている。例えば、(1)ポリウレタン発泡体の柔軟なシートクッションやシートバック(背当て)の一部分を補強するために前記シートクッションやシートバックの内部に一体に埋設される補強材、(2)特に高い又は大きい強度を要求されないが、求められる強度に比較して大きい体積となってしまうオットマン(ふくらはぎの載せ台)、車両用シート及び家具用椅子のクッション材等の軟らかい感触が求められる部材、(3)車両用ドアに内張りされるなど車体内の騒音の低減の目的で遮音性、吸音性が求められる遮音材、(4)車体の床面の溝等に装着して隙間を埋めると共に平坦性を確保する充填材等が挙げられる。
【0003】
ところで、ブロック状やシート状の大きな軟質ポリウレタンフォームから製品が切り出される際には端材として余剰の軟質ポリウレタンフォームが発生する。更に、当該製品が不要となって廃棄の際にも軟質ポリウレタンフォームが発生する。かかる使用済みや余剰の軟質ポリウレタンフォームを再利用する方法として、軟質ポリウレタンフォームを粉砕機でチップ状にして、該チップに適当な接着剤(バインダーともいう)を噴霧して所定の形状(例えばブロック形状)に圧縮成形したチップ成形体を製造することが挙げられる。このようにして再生されたチップ成形体は、クッション性および耐久性に優れているが、チップ成形体の硬度を高くしようとするとそれに伴い、チップ成形体の重量が増大してしまう。そこで、チップ成形体を硬くして、且つ軽くする方法として軟質ポリウレタンフォームを粉砕したチップにPS(ポリスチレン)等の発泡ビーズ類を混入する方法があるが、両者を均一に混ぜ合わせるのが困難であるという問題が生じていた。
ウレタンフォームチップと発泡ビーズ類は性状が異なるため両者を均一に混合して製品化することは難しいという問題点を解決すべく、例えば特許文献1には、ウレタンフォームチップをバインダーで固めて一体成形した成型品において、硬めの性状を必要とする部位に発泡ビーズ塊を配置して両者を熱で一体化したチップ成型品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−346889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術では、成型品に発泡ビーズが塊として配置されているため、依然として硬度が高い部分が偏在している。
そこで本発明は、上記の従来の問題点を解決するべく創出されたものであり、その目的は、軟質ポリウレタンフォームチップのみから成形される成形体よりもチップ成形体の全面を高い硬度にすると共に、チップ成形体の重量を軽くすることができるチップ成形体とその製造方法を提供することである。また、そのようなチップ成形体を備えた複合成形品とその製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するべく本発明によってチップ成形体が提供される。
即ち、本発明のチップ成形体は、請求項1に記載のとおり、軟質ポリウレタンフォームを粉砕して得られる多数のチップ片からなる第1のチップ材と、ポリウレタン以外の樹脂材料から得られる多数のチップ片からなる第2のチップ材とが混合された混合材料が圧縮成形型の所定形状の成形空間内で押し固められると共に前記第1のチップ材のチップ片と第2のチップ材のチップ片が接着剤で接着されたチップ成形体である。
前記第1のチップ材は、所定の硬度と所定の密度を有する軟質ポリウレタンフォーム(EPU)が粉砕されて形成され、外形が不定形状の立体形で所定の平均外形寸法を有する第1のチップ片の集合物であり、前記第2のチップ材は、前記軟質ポリウレタンフォームよりも高い硬度と低い密度をそれぞれ有する熱可塑性樹脂発泡体が粉砕されて形成されたものであり、外形が不定形状の立体形で平均外形寸法が前記第1のチップ片よりも小さい平均外形寸法を有する第2のチップ片の集合物であり、且つ該第1のチップ材の嵩密度と前記第2のチップ材の嵩密度が同等になるように前記第1のチップ片と第2のチップ片の少なくともどちらか一方の平均外形寸法が調節されている。
そして、前記混合材料が押し固められた前記チップ成形体中では、該第1のチップ片と該第2のチップ片とが均一に分散されていて、且つ前記第1のチップ片と第2のチップ片は接触部分でウレタン樹脂系の接着剤によりチップ片同士が結合されて一体化されており、前記チップ成形体の外表面は、前記成形空間の反転形状に形成されると共に、該外表面には前記第1のチップ片と第2のチップ片との間に生じる間隙による不定形の凹凸形状が形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、本願においてチップ材(即ちチップ片が集合して成るチップ片集合物)の嵩密度とは、チップ材を押さえ込まないで所定容器に充填した状態での密度をいう。具体的には、1リットルの容積を有する容器(典型的には円筒状容器)をタッピング(上下に振動)しながら該容器に測定対象のチップ材を充填する。そして、該容器に充填されたチップ材の総重量を測定し、該重量を容積で除して得られた密度(g/1000cm)をいう。
【0008】
かかる構成の本発明のチップ成形体では、軟質ポリウレタンフォームの密度と熱可塑性樹脂発泡体の密度は異なるが、軟質ポリウレタンフォームを粉砕してなる第1のチップ材の嵩密度と熱可塑性樹脂発泡体を粉砕してなる第2のチップ材の嵩密度が同等となるように第1のチップ片と第2のチップ片の少なくともどちらか一方の平均外形寸法が調節されているため、第1のチップ材と第2のチップ材は均一に混合されている。
従って、本発明のチップ成形体は、熱可塑性樹脂発泡体を粉砕してなる第2のチップ片が該成形体の表面の全体に亘り均一に分布しているので、成形体の全面にわたって従来よりも高い硬度が均一に保たれて(即ち硬度の高い部分と低い部分が偏在しない)安定した性状のチップ成形体を得ることができる。
さらに、本発明のチップ成形体は、従来の軟質ポリウレタンフォームを粉砕して外形が不定形状の無数のチップだけを結合させたチップ成形体と比較して、一部が密度の低い熱可塑性樹脂発泡体に置換されるため同一体積の成形体では軽量になる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1のチップ成形体において、前記熱可塑性樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、又は発泡ポリスチレンのうちのいずれかであることを特徴とする。
かかる構成によると、軟質ポリウレタンフォームよりも高い硬度と低い密度とを有する前記材料から粉砕されたチップ材を混合することにより上述した効果を奏するチップ成形体を得ることができる。また、廃棄物、不要物として恒常的に多量に発生している前記材料を用いれば容易に材料を入手できる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2のチップ成形体において、前記熱可塑性樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレン又は発泡ポリエチレンであることを特徴とする。
かかる構成によると、発泡ポリプロピレン(EPP)や発泡ポリエチレン(EPE)から粉砕されたチップ材を混合することにより軽量かつ硬度の高いチップ成形体を安定して得ることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかのチップ成形体において、前記熱可塑性樹脂発泡体の密度は0.02g/cm以上0.04g/cm以下の範囲内であり、前記軟質ポリウレタンフォームの密度は0.02g/cm以上0.06g/cm以下の範囲内であることを特徴とする。
かかる構成によると、硬度が高く且つ更に軽量なチップ成形体を得ることができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかのチップ成形体において、前記第1のチップ材のうち少なくとも50%の数の第1のチップ片の外形寸法は2mm以上15mm以下の範囲内であり、前記第2のチップ材のうち少なくとも50%の数の第2のチップ片の外形寸法は2mm以上4mm以下の範囲内であることを特徴とする。
かかる構成によると、それぞれのチップ片の外形寸法が調整されて第1のチップ材と第2のチップ材の嵩密度が同等となるので、軟質ポリウレタンフォームの密度と熱可塑性樹脂発泡体の密度とが異なっていても、混合の際に嵩密度の差による分離が発生しないため第1のチップ材と第2のチップ材を均一に混合することができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかのチップ成形体において、前記第1のチップ材の重量と前記第2のチップ材の重量の混合比は2:1以上3:1以下の範囲内であることを特徴とする。
かかる構成によると、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量の混合比を調節することにより所望の硬度と重量を備えるチップ成形体を得ることができる。
【0014】
さらに、上記目的を実現するべく本発明によってチップ成形体を備えた複合成形品が提供される。即ち、本発明の複合成形品は、請求項7に記載のとおり、チップ成形体とポリウレタン発泡体とを備える複合成形品であって、請求項1から5のいずれかに記載のチップ成形体がポリウレタン発泡体の所定の位置に配置されて該ポリウレタン発泡体と一体化されていることを特徴とする。
かかる構成によると、ポリウレタン発泡体の全体の中で硬度が必要とされる部分に上述した効果を奏するチップ成形体が補強材としてインサートされてポリウレタン発泡体と一体化されているので、所定の位置に高い硬度を備える複合成形品を得ることができる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7の複合成形品において、前記チップ成形体は、前記第1のチップ材の重量と前記第2のチップ材の重量の混合比が1:1であることを特徴とする。
かかる構成によると、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量との混合比を調節することにより得られたチップ成形体は、ポリウレタン発泡体の補強材として高い硬度、高い剛性および強度を備えることができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項7又は8の複合成形品において、前記第1のチップ片と前記第2のチップ片はそれぞれ内部気泡を有し、第1のチップ片の内部気泡は連続気泡であり、第2のチップ片の内部気泡は独立気泡であることを特徴とする。
かかる構成によると、チップ成形体の表面には熱可塑性樹脂発泡体を粉砕してなる第2のチップ片が均一に散在しているので、前記複合成形品の成形のときに、前記表面にポリウレタン発泡体成形用の液状原料(ポリウレタン発泡体原料)が接触したとき、前記チップ成形体が液状原料を吸い込む割合は軟質ポリウレタンフォームを粉砕してなる第1のチップ片のみからなるチップ成形体よりも小さくなる。従って、前記チップ成形体をポリウレタン発泡体の所定の位置に配置して成形された複合成形品には、液状原料の吸い込みに起因する過度のヒケ等の不具合が生じない。しかも、液状原料を吸い込んで硬化した部分では、投錨作用により両者が機械的に固着するので剥れ等が生じない。更に上記の固着された部分は、両者の界面で均一に分散しているので全体に亘って均一で安定した固着が得られる。
【0017】
さらに、上記目的を実現するべく本発明によってチップ成形体の製造方法が提供される。
即ち、本発明のチップ成形体の製造方法は、請求項10に記載のとおり、軟質ポリウレタンフォームを粉砕して得られる多数のチップ片からなる第1のチップ材と、ポリウレタン以外の樹脂材料から得られる多数のチップ片からなる第2のチップ材とが混合された混合材料が圧縮成形型の所定形状の成形空間内で押し固められると共に前記成形型内で前記第1のチップ材のチップ片と第2のチップ材のチップ片が接着剤で接着されたチップ成形体の製造方法である。
そして、所定の硬度と所定の密度を有する軟質ポリウレタンフォームが粉砕されて形成され、外形が不定形状の立体形で所定の平均外形寸法を有する第1のチップ片の集合物である第1のチップ材と、前記軟質ポリウレタンフォームの硬度および密度よりも高い硬度と低い密度をそれぞれ有する熱可塑性樹脂発泡体が粉砕されて形成され、外形が不定形状の立体形で平均外形寸法が前記第1のチップ片よりも小さい平均外形寸法を有する第2のチップ片の集合物である第2のチップ材とを、該第1のチップ材の嵩密度と前記第2のチップ材の嵩密度が同等になるように前記第1のチップ片と第2のチップ片の少なくともどちらか一方の平均外形寸法を調節して準備する工程と、
前記第1のチップ材と第2のチップ材および硬化したときに該第1のチップ材と第2のチップ材を接着する接着剤とを混合して、該第1のチップ片と第2のチップ片が均一に分散した混合材料を得る工程と、
開閉可能で内部に所定形状の成形空間を有する成形型の前記成形空間内に前記混合材料を充填する工程と、
前記成形型を閉じて、前記混合材料を充填した時点でのチップ片同士間の空隙よりも該空隙が小さくなり且つチップ片同士間に不規則形状の微細な空隙が残るように前記混合材料を圧縮し、加熱する工程と、
前記加熱により前記接着剤を硬化させ、前記第1のチップ片と第2のチップ片同士を結合させて前記混合材料を前記成形空間の形状と反転した形状のチップ成形体に一体的に成形する工程と、
前記成形型を開き、前記チップ成形体を該成形型から取り出す工程と、
前記チップ成形体を冷却する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
かかる構成の本発明のチップ成形体の製造方法では、軟質ポリウレタンフォームと熱可塑性樹脂発泡体は密度が異なるが、軟質ポリウレタンフォームを粉砕してなる第1のチップ材の嵩密度と熱可塑性樹脂発泡体を粉砕してなる第2のチップ材の嵩密度が同等となるように第1のチップ片と第2のチップ片の少なくともどちらか一方の平均外形寸法を調節しているため、第1のチップ材と第2のチップ材を均一に混合することができる。
従って、熱可塑性樹脂発泡体を粉砕してなる第2のチップ片が前記成形体の表面の全体に亘り均一に分布しているので、本発明に係る製造方法によれば該成形体の全面に亘って従来よりも高い硬度が均一に保たれた(即ち硬度の高い部分と低い部分が偏在しない)安定した性状のチップ成形体を製造することができる。
さらに、本発明の製造方法により得られたチップ成形体は、従来の軟質ポリウレタンフォームを粉砕してなる外形が不定形状の無数のチップだけを結合させたチップ成形体と比較して、一部が密度の低い熱可塑性樹脂発泡体に置換されるため同一体積の成形体では軽量になる。
【0019】
請求項11の発明は、請求項10の製造方法において、前記熱可塑性樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、又は発泡ポリスチレンのうちの少なくともいずれかであることを特徴とする。
かかる構成によると、廃棄物、不要物として恒常的に発生している前記材料を用いて軟質ポリウレタンフォームよりも高い硬度と低い密度とを有する材料から粉砕されたチップ材を混合することにより上述した効果を奏するチップ成形体を製造することができる。
【0020】
請求項12の発明は、請求項11の製造方法において、前記熱可塑性樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレン又は発泡ポリエチレンであることを特徴とする。
かかる構成によると、発泡ポリプロピレン(EPP)や発泡ポリエチレン(EPE)から粉砕されたチップ材を混合することにより軽量かつ硬度の高いチップ成形体を安定して製造することができる。
【0021】
請求項13の発明は、請求項10から12のいずれかの製造方法において、前記熱可塑性樹脂発泡体の密度は0.02g/cm以上0.04g/cm以下の範囲内であり、前記軟質ポリウレタンフォームの密度は0.02g/cm以上0.06g/cm以下の範囲内であることを特徴とする。
かかる構成によると、従来よりも硬度が高く且つ更に軽量なチップ成形体を製造することができる。
【0022】
請求項14の発明は、請求項10から13のいずれかの製造方法において、前記第1のチップ材のうち少なくとも50%の数の第1のチップ片の外形寸法は2mm以上15mm以下の範囲内であり、前記第2のチップ材のうち少なくとも50%の数の第2のチップ片の外形寸法は2mm以上4mm以下の範囲内であることを特徴とする。
かかる構成によると、それぞれのチップ片の外形寸法が調整されて、第1のチップ材と第2のチップ材の嵩密度が同等となるので、軟質ポリウレタンフォームの密度と熱可塑性樹脂発泡体の密度とが異なっていても、第1のチップ材と第2のチップ材を均一に分散させて混合することができる。これにより所望のチップ成形体を製造することができる。
【0023】
請求項15の発明は、請求項10から14のいずれかの製造方法において、前記第1のチップ材の重量と前記第2のチップ材の重量の混合比は2:1以上3:1以下の範囲内であることを特徴とする。
かかる構成によると、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量との混合比を調節することにより所望の硬度と重量を備えるチップ成形体を製造することができる。
【0024】
さらに、上記目的を実現するべく本発明によって複合成形品の製造方法が提供される。
即ち、本発明の複合成形品の製造方法は、請求項16に記載のとおり、性状の異なる少なくとも2つの樹脂成形部分を有する複合成形品を製造する方法である。
請求項1から5のいずれかに記載のチップ成形体を準備する工程と、
開閉可能で内部に所定形状の成形空間を有する成形型の所定の位置に前記チップ成形体を配置する工程と、
前記成形空間内にポリウレタン発泡体原料を注入する工程と、
前記成形型を閉じて、前記ポリウレタン発泡体原料を発泡させて、ポリウレタン発泡体を成形すると共に、前記ポリウレタン発泡体と前記チップ成形体とを一体にした前記成形空間の形状と反転した形状の複合成形品を成形する工程と、
前記成形型を開き、前記複合成形品を該成形型から取り出す工程と、
を含むことを特徴とする。
かかる構成によると、ポリウレタン発泡体の全体の中で硬度が必要とされる部分に上述した効果を奏するチップ成形体を補強材としてインサートしてポリウレタン発泡体と一体化することで、所定箇所に所望の硬度を備える複合成形品を製造することができる。
【0025】
請求項17の発明は、請求項16の製造方法において、前記チップ成形体において、前記第1のチップ材の重量と前記第2のチップ材の重量の混合比は1:1であることを特徴とする。
かかる構成によると、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量との混合比を調節することにより得られたチップ成形体は、ポリウレタン発泡体の補強材として所望の硬度、高い剛性および強度を備えることができる。
【0026】
請求項18の発明は、請求項16又は17の製造方法において、前記第1のチップ片と前記第2のチップ片はそれぞれ内部気泡を有し、第1のチップ片の内部気泡は連続気泡であり、第2のチップ片の内部気泡は独立気泡であることを特徴とする。
かかる構成によると、チップ成形体の表面には熱可塑性樹脂発泡体をチップ状に粉砕してなる第2のチップ片が均一に散在しているので、前記複合成形品の成形のときに、前記表面にポリウレタン発泡体成形用の液状原料が接触するとき、前記チップ成形体が液状原料を吸い込む割合は軟質ポリウレタンフォームを粉砕してなる第1のチップ片のみからなるチップ成形体よりも小さくなる。従って、前記チップ成形体をポリウレタン発泡体の所定の位置に配置して複合成形品を製造する際には、液状原料の吸い込みに起因する過度のヒケ等の不具合の発生を防止することができる。しかも、液状原料を吸い込んで硬化した部分では、投錨作用により両者が機械的に固着するので剥れ等が生じない。更に上記の固着された部分は、両者の界面で均一に分散しうるので全体に亘って均一で安定した固着が得られる。これにより所望の複合成形品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るチップ成形体が取り付けられたシートの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るチップ成形体の拡大断面図である。
【図3】第1実施形態に係るチップ成形体を成形する成形型を示す斜視図である。
【図4】図3中のIV−IV線に沿う縦断面図である。
【図5】成形型の上型を閉じた状態を示す横断面図である。
【図6】第2実施形態に係るチップ成形体の斜視図である。
【図7】図1中のVII−VII線に沿う横断面図であって、ポリウレタン発泡体の所定の位置に補強材としてチップ成形体が配置されているシートクッションを示す断面図である。
【図8】第2実施形態に係るチップ成形体とポリウレタン発泡体との接合部分の拡大断面図である。
【図9】第2実施形態に係るチップ成形体を複合成形品の成形型に装着して、複合成形品の成形型の下型内に発泡体成形用の液状原料を注入している状態を示す断面図である。
【図10】第2実施形態に係るチップ成形体を装着した複合成形品の成形型の成形空間内で発泡体成形用の液状原料を発泡流動させている状態を示す断面図である。
【図11】第2実施形態に係るチップ成形体を所定の位置に備えるシートクッションを成形した状態を示す断面図である。
【図12】図1中のXII−XII線に沿う縦断面図であって、所定の位置に補強材としてチップ成形体が埋設状態で配置されているシートバックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、軟質ポリウレタンフォームの製造に関する一般的な事項)は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0029】
まず、本発明の一実施形態に係るチップ成形体を構成する材料を説明する。
<1.軟質ポリウレタンフォーム(ポリウレタン発泡体)>
ここで開示されるチップ成形体を構成する軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール、イソシアネート、水、触媒(アミン触媒、金属触媒等)および整泡剤等を混合、撹拌することにより成形された軟質ポリウレタンフォームとして一般に使用されているものであればよく、成分組成や使用原料によって特に制限されない。通常の軟質ポリウレタンフォームから成形品を切り出した際に生じる端材や、使用済みの軟質ポリウレタンフォーム製品を廃棄した際の廃軟質ポリウレタンフォームも使用することができる。
特に限定するものではないが、上記軟質ポリウレタンフォームの密度は、0.02g/cm以上0.06g/cm以下の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは0.025g/cm以上0.05g/cm以下の範囲内である。これにより軽量なチップ成形体を製造することができる。
<2.熱可塑性樹脂発泡体>
ここで開示されるチップ成形体を構成する熱可塑性樹脂発泡体としては、軟質ポリウレタンフォームよりも高い硬度と低い密度を有する発泡ポリプロピレン(EPP)、発泡ポリエチレン(EPE)又は発泡ポリスチレン(EPS)を好適に用いることができる。なお、発泡体としては、上記に限定されることはなく、後述するスチームの熱に耐えられるものであれば形状が変形することなく安定したチップ成形体を製造することができる。
上記熱可塑性樹脂発泡体の密度は、0.02g/cm以上0.04g/cm以下の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは0.02g/cm以上0.03g/cm以下の範囲内である。これにより従来よりも硬度が高く且つさらに軽量なチップ成形体を製造することができる。
<3.接着剤>
ここで開示されているチップ片同士を接着する際に使用される接着剤としては、粉砕された軟質ポリウレタンフォームのチップ片と粉砕された熱可塑性樹脂発泡体のチップ片とを均一に混合するために、前記チップ片に混合されたときに、混合阻害されない程度の粘度の低い接着剤がよい。一液型または二液型のウレタン樹脂系接着剤が好ましく、水分および加熱により硬化するタイプのウレタン樹脂系接着剤が特に好ましい。接着剤の量は適宜決定されるが、後述する第1のチップ材と第2のチップ材の混合物100質量部に対して10〜20質量部程度の使用が好ましい。
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明のチップ成形体の好適な一実施形態(第1実施形態)を詳細に説明する。
図1は、自動車(車両)に装着されるシート1と該シート1に装着されているチップ成形体20,120,120の位置を示す斜視図である。図に示すように、本実施形態にかかるシート1は、ヘッドレスト3と、シートバック5と、シートクッション13と、本実施形態に係るチップ成形体であるオットマン(ふくらはぎの載せ台)20から構成されている。シートクッション13は着座部を構成する中央部14と中央部14の幅方向の両端に一体的に成形されている一対のサイド部15,15から構成されている。サイド部15には、他の一つの実施形態に係るチップ成形体120が補強材として埋設状態で配置されており、他の実施形態として後述する。背もたれ部分を構成するシートバック5は、シートクッション13に対し回動可能に連結されており、シートバック5は連結部分を中心に前後方向(車両の前後方向)に回転移動することができる。シートクッション13の中央部14とオットマン(チップ成形体)20とは駆動手段を有する回転機構(図示せず)により連結されており、該回転機構によりオットマン20のふくらはぎ載せ面22を載せ位置(図1のXの方向)と収納位置(図1のYの方向)に移動させることができる。
【0031】
図2は、本実施形態に係るチップ成形体(オットマン)20の断面を模式的に示す拡大断面図である。
本実施形態に係るチップ成形体20は、多数の第1のチップ片24からなる第1のチップ材と、多数の第2のチップ片26からなる第2のチップ材が混合されて第1のチップ片24と第2のチップ片26とが均一に分散している。この第1のチップ片24は、0.025g/cm以上0.05g/cm以下の範囲内の密度を有する軟質ポリウレタンフォームが粉砕され、外形が不定形状の立体形で所定の平均外形寸法を有する。また、第2のチップ片26は、0.02g/cm以上0.03g/cm以下の範囲内の密度であって上記軟質ポリウレタンフォームの密度より小さい密度を有する熱可塑性樹脂発泡体が粉砕されて形成され、外形が不定形状の立体形で上記第1のチップ片よりも小さい平均外形寸法を有する。
前記第1および第2のチップ片24,26同士間には不規則形状をした微細な空隙28が多数存在しチップ片24,26同士が水分及び加熱により硬化するタイプのウレタン樹脂系接着剤により結合されて一体化している。そして、図に示すように、チップ成形体20の外表面は第1のチップ片24と第2のチップ片26との間に生じる間隙による不定形の凹凸形状が形成されている。
第2のチップ材の嵩密度が第1のチップ材の嵩密度と同等(必ずしも同一である必要はなく多少の誤差があってもよい。)となるように、第2のチップ片26の平均外形寸法が調節されている。なお、上記に関連して、第1のチップ材の嵩密度が第2のチップ材の嵩密度と同等になるように第1のチップ片24の平均外形寸法を調節してもよいし、第1のチップ片24と第2のチップ片26の両方を調節してもよい。
【0032】
ここで、チップ片の外形寸法は、一辺が所定寸法の升目を有する網にチップ片が通過するか否かで測定する。このとき、チップ片が網を通過する場合は、チップ片は網の升目の寸法よりも小さい寸法とし、網を通過しない場合は、網の升目の寸法よりも大きい寸法とする。
【0033】
第1のチップ材を構成する第1のチップ片24の全体数のうち少なくとも50%の数の外形寸法は2mm以上15mm以下の範囲内であり、且つ、第2のチップ材を構成する第2のチップ片26の全体数のうち少なくとも50%の数の外形寸法は2mm以上4mm以下の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、第1のチップ材を構成する第1のチップ片24の全体数のうち少なくとも50%の数の外形寸法は2mm以上10mm以下の範囲内であり、第2のチップ材を構成する第2のチップ片26の全体数のうち少なくとも50%の数の外形寸法は2mm以上3mm以下の範囲内である。これにより、第1のチップ材と第2のチップ材の嵩密度が同等となるので、第1のチップ材と第2のチップ材とが均一に分散され混合される。
また、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量の混合比は2:1以上3:1以下の範囲内とすることが好ましい。第1のチップ材と第2のチップ材の混合比を調節することにより、チップ成形体として所望の硬さと重量を備えることができる。
以上より、本実施形態に係るチップ成形体20は、従来の軟質ポリウレタンフォームを粉砕して得られる多数の不定形状のチップ片のみから構成されるチップ成形体と比較して、同一体積の成形体では軽量となる。さらに、図2に示すように、熱可塑性樹脂発泡体を粉砕してなる第2のチップ片26が該成形体の表面の全体に亘り均一に分布しているので、成形体20は、全面にわたって従来よりも高い硬度が均一に保たれて安定した性状となっている。
【0034】
次に、図3から図5を参照にしつつ本発明のチップ成形体の製造方法の好適な一実施形態を詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る製造方法を好適に実施するチップ成形体(ここではオットマン)20の成形型30を示す斜視図である。図4は、図3中のIV−IV線に沿った縦断面図である。図5は、上型34を閉じた状態における成形型30の横断面図である。なお、上方および下方とは重力方向を基準としている。
図3に示すように、本実施形態に係る成形型30は、上型成形面36を有する上型34と下型成形面50を有する下型40とから構成されている。成形型30には上型34と下型(後述する下型固定部42)40とを連結するヒンジ38が備えられており、上型34は下型40に対して該ヒンジ38を中心として上方(図3の矢印X1の方向)および下方(図3の矢印Y1の方向)に回転移動して開閉することができる。上型34を閉じることにより、上型成形面36と下型成形面50とに囲まれた所定形状の成形空間32(図5参照)が形成される。下型40は、下型可動部44と下型固定部42とから構成されている。下型可動部44には第1のシリンダ46が備えられており、該第1のシリンダ46により下型可動部44は下型固定部42に対して接近(図3の矢印Y2の方向)及び離反(図3の矢印X2の方向)する方向にスライド移動することができ、これにより下型40を開閉することができる。さらに、図5に示すように下型40の下面裏側には、第2のシリンダ48が備えられており、該第2のシリンダ48により下型40を上方向(図5の矢印Y3の方向)および下方向(図5の矢印X3の方向)に移動して、上型34に対して接近または離反することができる。第1のシリンダおよび第2のシリンダは公知のシリンダを特に制限なく使用することができる。
【0035】
図4に示すように、下型40にはスチーム(典型的には水蒸気)の通過が可能な内部空間54が形成されており、該内部空間54はスチームが作られるボイラー56とスチーム供給路58を介して連通している。下型成形面50にはスチームが噴き出す複数のスチーム孔52が形成されており、該複数のスチーム孔52によって内部空間54と成形空間32とが連通している。これにより、ボイラー56で発生した高温のスチームは、スチーム供給路58および下型40の内部空間54を通ってスチーム孔52から成形空間32内に噴射される。なお、ボイラーはスチームを発生させることができれば特に制限なく使用することができる。
図5に示すように、成形型30の幅方向(図3のX2‐Y2方向に直交する方向)の両側面には、クランプ60を備える一対の支持台62,62がそれぞれ配置されている。クランプ60は、クランプレバー64と第1のアーム66と第2のアーム68と押圧部70から構成されたトグル機構を有している。上型34を閉じている場合にクランプレバー64を閉じる方向(図5の矢印Y4の方向)に移動させると押圧部70が上型34の上面端部を押さえるので、押圧部70を介して上型34に下方向への押圧力を加えることができチップ成形体を成形する際に上型34の上方への移動を阻止することができる。一方、クランプレバー64を開く方向(図5の矢印X4の方向)に移動させることで上記押圧部70から上型34への押圧力を解除することができる。
【0036】
本実施形態に係るチップ成形体を製造するには、まず、軟質ポリウレタンフォームを粉砕して得られる多数のチップ片からなるチップ材と、熱可塑性樹脂発泡体を粉砕して得られる多数のチップ片からなるチップ材を準備する工程を実行する。
この準備工程では、切断刃を有する粉砕機によって0.025g/cm以上0.05g/cm以下の範囲内の密度を有する軟質ポリウレタンフォームを不定形状の立体形で所定の平均外形寸法を有する第1のチップ片24に粉砕し、多数の第1のチップ片24の集合物からなる第1のチップ材を用意する。一方、0.02g/cm以上0.03g/cm以下の範囲内の密度であって上記軟質ポリウレタンフォームの密度より小さい密度を有する熱可塑性樹脂発泡体を上記とは異なる粉砕機によって不定形状の立体形で上記第1のチップ片よりも小さい平均外形寸法を有する第2のチップ片26に粉砕し、多数の第2のチップ片26の集合物からなる第2のチップ材を用意する。このとき、第2のチップ材の嵩密度が上記第1のチップ材の嵩密度と同等となるように、第1のチップ片24と第2のチップ片26の少なくともどちらか一方の平均外形寸法が調節されている。
ここで、第1のチップ材を構成する第1のチップ片24の全体数のうち少なくとも50%の数の外形寸法は2mm以上15mm以下の範囲内であり、且つ、第2のチップ材を構成する第2のチップ片26の全体数のうち少なくとも50%の数の外形寸法は2mm以上4mm以下の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、第1のチップ材を構成する第1のチップ片24の全体数のうち少なくとも50%の数の外形寸法は2mm以上10mm以下の範囲内であり、第2のチップ材を構成する第2のチップ片26の全体数のうち少なくとも50%の数の外形寸法は2mm以上3mm以下の範囲内である。これにより、第1のチップ材と第2のチップ材の嵩密度が同等となるので、第1のチップ材と第2のチップ材とを均一に分散させて混合することができる。
【0037】
準備工程で得た第1のチップ材と第2のチップ材と水分及び加熱により硬化するタイプのウレタン樹脂系接着剤とを混合してミキサー等で撹拌して混合材料72を得る。このとき、まず第1のチップ材と第2のチップ材とを混合して、その後に少量ずつ接着剤を投入して撹拌すると、第1のチップ片24と第2のチップ片26との混合状態がよりよくなる。チップ成形体20としてオットマンを成形するときは、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量の混合比は2:1以上3:1以下の範囲内とすることが好ましい。第1のチップ材と第2のチップ材の混合比を調節することによりチップ成形体として所望の硬さと重量を備えることができる。
【0038】
第1のシリンダ46により下型可動部44を下型固定部42側(図3の矢印Y2の方向)に移動させて下型40を閉じ、上記工程で得た混合材料72を下型40に充填して、充填が完了したら上型34を閉じる。各クランプレバー64,64を矢印Y4の方向に移動させて上型40の上方への移動を阻止した後に第2のシリンダ48により下型40を上型34方向へ接近移動させて混合材料72を圧縮する(混合材料72を圧縮していないときのチップ片24,26同士間の空隙よりも、該空隙が小さくなり且つ絡み合ったチップ片24,26同士間に不規則形状の微細な空隙が残るように混合材料72を圧縮する。)。そして、ボイラー56で作られた高温のスチームをスチーム孔52から混合材料72が充填された成形空間32内に噴射してチップ片24,26同士間の空隙28にスチームを通し、この状態を好ましくは1分から5分間程度保持する(さらに好ましくは3分間程度)。スチームとその熱(スチームの温度は約100℃)により、混合材料72中の接着剤が硬化するため第1のチップ片24と第2のチップ片26同士を結合させることができ、成形空間32の形状と反転した形状のチップ成形体20を成形することができる。
【0039】
第2のシリンダ48により下型40を上型34から離反する方向に移動させ、各クランプレバー64,64を開く方向(図5ではX4の方向)に移動させて各押圧部70,70から上型34への押圧力を解除する。上型34を開き、第1のシリンダ46により下型可動部44を下型固定部42から離れる方向(図3ではX2の方向)に移動させて下型40を開き、チップ成形体20を成形型30から取り出す。その後、チップ成形体20を常温(典型的には25℃)で自然冷却させて、本実施形態に係るチップ成形体20を得ることできる。
なお、成形型30の温度調整は特に行っていないが、成形型30の温度は常温(典型的には25℃)より高いことが好ましい。
以上より、本実施形態に係る製造方法によれば、上述した効果を奏するチップ成形体を製造することができる。
【0040】
上述した第1実施形態では、車両のシートを構成する部材としてチップ成形体を用いていたが、本発明はかかる形態に限定されず、シートを構成する部材の一部にチップ成形体を補強材として用いることもできる。図6は、第2実施形態に係るチップ成形体の斜視図である。図7は、図1中のVII−VII線に沿う横断面図であって、所定の位置に補強材としてチップ成形体が埋設状態で配置されているシートクッション(複合成形品)13を示す断面図である。図8は、第2実施形態に係るチップ成形体とシートクッションとの接合部分の部分拡大断面図である。
【0041】
第2実施形態に係るチップ成形体120は、第1実施形態に係る成形型の成形空間の形状を変更した成形型を用いて、第1実施形態に係る材料で、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量の混合比を変更し、第1実施形態の製造方法により成形することができるので、第1実施形態と重複した説明は省略する。図6に示すように、チップ成形体120は、シートクッション(複合成形品)13の後述する成形型145(上型150)に形成されたフランジ155に装着して固定するための凹部125が形成されている。チップ成形体120は、第1実施形態に係るチップ成形体と同様の効果を奏するチップ成形体である。ここで、第2実施形態に係るチップ成形体120は、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量の混合比を1:1とすることが好ましい。第1のチップ材と第2のチップ材の混合比を調節することにより複合成形品の補強材として所望の硬さと重量を備えるチップ成形体を製造することができる。
図7に示すように、シートクッション13は、ポリウレタン発泡体成形用の液状原料(ポリウレタン発泡体原料)から成形された複合成形品(上述したチップ成形体120とポリウレタン発泡体から構成される。)であり、着座部を構成する中央部14と、中央部の両端部に一体的に成形されているサイド部15とから構成される。シートクッションにカバーを被せたときに、サイド部15のハイライトライン(図1参照、サイド部15の上面と側面との境界をなす線を表す。)17が押し潰されて、外観が悪くなるのを防止するために、ポリウレタン発泡体よりも硬度の高い本実施形態に係るチップ成形体120,120を補強材として各サイド部15,15にそれぞれ埋設して配置している。
【0042】
図8に示すように、本実施形態に係るチップ成形体(補強材)120の表面には、第1実施形態に係るチップ成形体20と同様に、第1のチップ片24と第2のチップ片26が均一に分散している。ここで、軟質ポリウレタンフォームを粉砕して得られる多数の第1のチップ片24の内部気泡は連続気泡であるが、熱可塑性樹脂発泡体を粉砕して得られる多数の第2のチップ片26の内部気泡は独立気泡である。従って、シートクッション13を成形するときに、ポリウレタン発泡体成形用の液状原料(以下「液状原料」という)がチップ成形体120の表面に接触するとき、第1のチップ片24は液状原料を吸い込むが、第2のチップ片26は該液状原料を吸い込まない。従って、本実施形態に係るチップ成形体120は、第1のチップ片24のみから成形されるチップ成形体よりも前記液状原料を吸い込む割合は小さくなり、該チップ成形体120が埋設状態で配置されたシートクッション(複合成形品)13には、液状原料の吸い込みに起因する過度のヒケ等の不具合が生じない。一方、チップ成形体120の表面において第1のチップ片24が液状原料を吸い込んで硬化した部分では、ポリウレタン発泡体と第1のチップ片24とが投錨作用によって機械的に固着される(一体化する)ので剥れ等が生じない。さらに上記の固着された部分は、両者の界面で均一に分散しうるので全体に亘って均一で安定した固着が得られる。
以上より、本実施形態に係るシートクッション13は、ポリウレタン発泡体の硬度が必要とされる部分に上述した効果を奏するチップ成形体120が補強材としてインサートされて、ポリウレタン発泡体に一体化されている複合成形品である。
【0043】
次に、図9から図11を参照にしつつ本実施形態に係るチップ成形体120を備えるシートクッション(複合成形品)13の製造方法の好適な一実施形態を詳細に説明する。図9は、本実施形態に係るチップ成形体120を複合成形品の成形型145に固定して、複合成形品の成形型145の下型160内に液状原料180を注入している状態を示す断面図である。図10は、本実施形態に係るチップ成形体120が固定された複合成形品の成形型145の成形空間170内で液状原料180を発泡流動させている状態の複合成形品の成形型145を示す断面図である。図11は、本実施形態に係るチップ成形体120を所定の位置に備えるシートクッション13の成形が完了した状態を示す断面図である。
図9に示すように、本実施形態に係る複合成形品の成形型145は、上型150と下型160とから構成されており、ヒンジ165により上型150と下型160とが連結している。上型150は下型160に対して該ヒンジ165を中心として上方(図9の矢印X5の方向)および下方(図9の矢印Y5の方向)に回転移動して型閉じと型開きができる。上型150を閉じることにより、上型150と下型160とに囲まれた成形空間170(図10参照)が形成される。また、本実施形態の成形型145は、下型160(成形空間170)に液状原料180を注入するための注入ノズル175、該ノズル175に液状原料180を供給する供給ヘッド(図示せず)、供給ポンプ(図示せず)および液状原料180を貯留する貯留タンク(図示せず)と協働して用いられる。なお、本実施形態に係る複合成形品の成形型145は、従来の成形型と同様の構成であるのでこれ以上の説明は省略する。
【0044】
本実施形態に係るシートクッション13を製造するには、まず、第1実施形態に係るチップ成形体の製造方法と同様の方法により所定形状のチップ成形体(補強材)120を準備する。チップ成形体を補強材として使用する場合、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量の混合比は1:1とすることが好ましい。第1のチップ材と第2のチップ材の混合比を調節することにより得られたチップ成形体は、複合成形品の補強材として所望の硬度、高い剛性および強度を備えることができる。
【0045】
図9に示すように、上型150に形成された一対のフランジ155,155にチップ成形体120の凹部125を嵌め込んで固定し、フランジ155,155にチップ成形体120をそれぞれ配置する。注入ノズル175から下型160の成形空間170内に液状原料(ポリウレタン発泡体原料)180を注入する。ここで、液状原料180は、ポリオール、イソシアネート、水、触媒(アミン触媒、金属触媒等)および整泡剤等が混合されている。なお、本実施形態に係る液状原料180は、従来の液状原料と同様の構成であるのでこれ以上の説明は省略する。
【0046】
図10に示すように、上型150を閉じて液状原料(ポリウレタン発泡体原料)180を発泡させて、成形空間170内において液状原料180を発泡流動させる。液状原料180は、発泡に伴い上方に向けて体積膨張し、成形空間170内は膨張した液状原料180で充填される。このとき、液状原料180の一部がチップ成形体120表面に分散している多数の第1のチップ片24の連続気泡内に吸い込まれ、更に第1および第2のチップ片24,26同士の不規則形状の隙間にも吸い込まれて硬化するので、投錨作用によりポリウレタン発泡体とチップ成形体120,120が機械的に固着して一体化し、成形空間170の形状と反転した形状のシートクッション(複合成形品)13を成形することができる。なお、第2のチップ片26の内部は独立気泡なので、第2のチップ片26が液状原料を吸い込むことはないため、液状原料の吸い込みに起因する過度のヒケ等の不具合が生じない。その後、上型150を開いてシートクッション13を複合成形品の成形型145から取り出すことで、上述の効果を奏するシートクッション(複合成形品)13を得ることができる。
【0047】
上述した第2実施形態では、シートクッションのサイド部分の一部にチップ成形体を補強材として用いていたが、本発明は係る形態に限定されない。以下、変更例として、シートバックの一部にチップ成形体を補強材として用いる例を図面を参照しつつ説明する。図12は、図1中のXII−XII線に沿う縦断面図であって、所定の位置に補強材としてチップ成形体220が埋設状態で配置されているシートバック5を示す断面図である。
図に示すように、シートバック5は、液状原料から成形された複合成形品(後述するチップ成形体220とポリウレタン発泡体から構成される。)であり、シートバック本体部7と、該シート本体部7と対向する位置に配置されているシートバック突出部9とを備えており、シートバック連結部11により本体部7と突出部9が連結している。シートバック5をシートフレーム(図示せず)に装着したときに、突出部9の先端部分に強度が必要となるので、ポリウレタン発泡体よりも硬度の高いチップ成形体220を補強材として突出部9に配置している。本変更例に係るチップ成形体220は、第1実施形態に係る成形型の成形空間の形状を変更した成形型を用いて、上述した第1実施形態に係る材料で、第1のチップ材の重量と第2のチップ材の重量の混合比を変更し、第1の実施形態の製造方法により成形することができる。そして、シートバック5の形状に対応した成形空間を有する複合成形品の成形型を用いて上述した第2実施形態と同様の製造方法によりチップ成形体220を備えたシートバック(複合成形品)5を製造することができる。
以上より、本変更例に係るシートバック5は、ポリウレタン発泡体の硬度が必要とされる部分に第1実施形態に係るチップ成形体と同様の効果を奏するチップ成形体220が補強材としてインサートされて、ポリウレタン発泡体に一体化された複合成形品である。
【0048】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 シート
3 ヘッドレスト
5 シートバック(複合成形品)
7 シートバック本体部
9 シートバック突出部
11 シートバック連結部
13 シートクッション(複合成形品)
14 中央部
15 サイド部
17 ハイライトライン
20 オットマン(チップ成形体)
22 ふくらはぎ載せ面
24 第1のチップ片
26 第2のチップ片
28 空隙
30 成形型
32 成形空間
34 上型
36 上型成形面
38 ヒンジ
40 下型
42 下型固定部
44 下型可動部
46 第1のシリンダ
48 第2のシリンダ
50 下型成形面
52 スチーム孔
54 内部空間
56 ボイラー
58 スチーム供給路
60 クランプ
62 支持台
64 クランプレバー
66 第1のアーム
68 第2のアーム
70 押圧部
72 混合材料
120 チップ成形体(補強材)
125 凹部
145 複合成形品の成形型
150 上型
155 フランジ
160 下型
165 ヒンジ
170 成形空間
175 注入ノズル
180 ポリウレタン発泡体成形用の液状原料(ポリウレタン発泡体原料)
220 チップ成形体(補強材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質ポリウレタンフォームを粉砕して得られる多数のチップ片からなる第1のチップ材と、ポリウレタン以外の樹脂材料から得られる多数のチップ片からなる第2のチップ材とが混合された混合材料が圧縮成形型の所定形状の成形空間内で押し固められると共に前記第1のチップ材のチップ片と第2のチップ材のチップ片が接着剤で接着されたチップ成形体であって、
前記第1のチップ材は、所定の硬度と所定の密度を有する軟質ポリウレタンフォームが粉砕されて形成され、外形が不定形状の立体形で所定の平均外形寸法を有する第1のチップ片の集合物であり、
前記第2のチップ材は、前記軟質ポリウレタンフォームよりも高い硬度と低い密度をそれぞれ有する熱可塑性樹脂発泡体が粉砕されて形成され、外形が不定形状の立体形で平均外形寸法が前記第1のチップ片よりも小さい平均外形寸法を有する第2のチップ片の集合物であり、且つ該第1のチップ材の嵩密度と前記第2のチップ材の嵩密度が同等になるように前記第1のチップ片と第2のチップ片の少なくともどちらか一方の平均外形寸法が調節されており、
前記混合材料が押し固められた前記チップ成形体中では、該第1のチップ片と該第2のチップ片とが均一に分散されていて、且つ前記第1のチップ片と第2のチップ片は接触部分でウレタン樹脂系の接着剤によりチップ片同士が結合されて一体化されており、
前記チップ成形体の外表面は、前記成形空間の反転形状に形成されると共に、該外表面には前記第1のチップ片と第2のチップ片との間に生じる間隙による不定形の凹凸形状が形成されていることを特徴とするチップ成形体。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、又は発泡ポリスチレンのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のチップ成形体。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレン又は発泡ポリエチレンであることを特徴とする請求項2に記載のチップ成形体。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂発泡体の密度は0.02g/cm以上0.04g/cm以下の範囲内であり、前記軟質ポリウレタンフォームの密度は0.02g/cm以上0.06g/cm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のチップ成形体。
【請求項5】
前記第1のチップ材のうち少なくとも50%の数の第1のチップ片の外形寸法は2mm以上15mm以下の範囲内であり、前記第2のチップ材のうち少なくとも50%の数の第2のチップ片の外形寸法は2mm以上4mm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のチップ成形体。
【請求項6】
前記第1のチップ材の重量と前記第2のチップ材の重量の混合比は2:1以上3:1以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のチップ成形体。
【請求項7】
ポリウレタン発泡体とチップ成形体とを備える複合成形品であって、
請求項1から5のいずれかに記載のチップ成形体がポリウレタン発泡体の所定の位置に配置されて該ポリウレタン発泡体と一体化されていることを特徴とする複合成形品。
【請求項8】
前記チップ成形体は、前記第1のチップ材の重量と前記第2のチップ材の重量の混合比が1:1であることを特徴とする請求項7に記載の複合成形品。
【請求項9】
前記第1のチップ片と前記第2のチップ片はそれぞれ内部気泡を有し、第1のチップ片の内部気泡は連続気泡であり、第2のチップ片の内部気泡は独立気泡であることを特徴とする請求項7又は8に記載の複合成形品。
【請求項10】
軟質ポリウレタンフォームを粉砕して得られる多数のチップ片からなる第1のチップ材と、ポリウレタン以外の樹脂材料から得られる多数のチップ片からなる第2のチップ材とが混合された混合材料が圧縮成形型の所定形状の成形空間内で押し固められると共に前記成形型内で前記第1のチップ材のチップ片と第2のチップ材のチップ片が接着剤で接着されたチップ成形体の製造方法であって、
所定の硬度と所定の密度を有する軟質ポリウレタンフォームが粉砕されて形成され、外形が不定形状の立体形で所定の平均外形寸法を有する第1のチップ片の集合物である第1のチップ材と、前記軟質ポリウレタンフォームの硬度および密度よりも高い硬度と低い密度をそれぞれ有する熱可塑性樹脂発泡体が粉砕されて形成され、外形が不定形状の立体形で平均外形寸法が前記第1のチップ片よりも小さい平均外形寸法を有する第2のチップ片の集合物である第2のチップ材とを、該第1のチップ材の嵩密度と前記第2のチップ材の嵩密度が同等になるように前記第1のチップ片と第2のチップ片の少なくともどちらか一方の平均外形寸法を調節して準備する工程と、
前記第1のチップ材と第2のチップ材および硬化したときに該第1のチップ材と第2のチップ材を接着する接着剤とを混合して、該第1のチップ片と第2のチップ片が均一に分散した混合材料を得る工程と、
開閉可能で内部に所定形状の成形空間を有する成形型の前記成形空間内に前記混合材料を充填する工程と、
前記成形型を閉じて、前記混合材料を充填した時点でのチップ片同士間の空隙よりも該空隙が小さくなり且つチップ片同士間に不規則形状の微細な空隙が残るように前記混合材料を圧縮し、加熱する工程と、
前記加熱により前記接着剤を硬化させ、前記第1のチップ片と第2のチップ片同士を結合させて前記混合材料を前記成形空間の形状と反転した形状のチップ成形体に一体的に成形する工程と、
前記成形型を開き、前記チップ成形体を該成形型から取り出す工程と、
前記チップ成形体を冷却する工程と、
を含むことを特徴とするチップ成形体の製造方法。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、又は発泡ポリスチレンのうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記熱可塑性樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレン又は発泡ポリエチレンであることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記熱可塑性樹脂発泡体の密度は0.02g/cm以上0.04g/cm以下の範囲内であり、前記軟質ポリウレタンフォームの密度は0.02g/cm以上0.06g/cm以下の範囲内であることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第1のチップ材のうち少なくとも50%の数の第1のチップ片の外形寸法は2mm以上15mm以下の範囲内であり、前記第2のチップ材のうち少なくとも50%の数の第2のチップ片の外形寸法は2mm以上4mm以下の範囲内であることを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記第1のチップ材の重量と前記第2のチップ材の重量の混合比は2:1以上3:1以下の範囲内であることを特徴とする請求項10から14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
組成の異なる少なくとも2つの樹脂成形部分を有する複合成形品を製造する方法であって、
請求項1から5のいずれかに記載のチップ成形体を準備する工程と、
開閉可能で内部に所定形状の成形空間を有する成形型の所定の位置に前記チップ成形体を配置する工程と、
前記成形空間内にポリウレタン発泡体原料を注入する工程と、
前記成形型を閉じて、前記ポリウレタン発泡体原料を発泡させて、ポリウレタン発泡体を成形すると共に、前記ポリウレタン発泡体と前記チップ成形体とを一体にした前記成形空間の形状と反転した形状の複合成形品を成形する工程と、
前記成形型を開き、前記複合成形品を該成形型から取り出す工程と、
を含むことを特徴とする複合成形品の製造方法。
【請求項17】
前記チップ成形体において、前記第1のチップ材の重量と前記第2のチップ材の重量の混合比が1:1であることを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記第1のチップ片と前記第2のチップ片はそれぞれ内部気泡を有し、第1のチップ片の内部気泡は連続気泡であり、第2のチップ片の内部気泡は独立気泡であることを特徴とする請求項16又は17に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−20355(P2011−20355A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167457(P2009−167457)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【出願人】(595171059)ニッポー工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】