説明

テレビジョン受像機

【課題】テレビジョン受像機において、音声及び画像による交信を行うのに必要なネットワーク構築用の機器や設備を別途設けることなく、音声及び画像による交信を行う。
【解決手段】テレビジョン受像機1は、画像を表示するための液晶ディスプレイ2と、音声を出力するためのスピーカ3と、画像を撮影するためのカメラ4と、音声を入力するためのマイク5と、電力線10を介して電力線通信を行うためのPLC(電力線通信)モデム32と、テレビジョン受像機1の動作を制御するための制御部31とを備える。制御部31は、マイク5から入力された音声の音声信号及びカメラ4により撮影された画像の画像信号をPLCモデム32から電力線通信によって送信し、また、PLCモデム32から電力線通信によって音声信号及び画像信号を受信して、その音声信号に基く音声をスピーカ3から出力すると共にその画像信号に基く画像を液晶ディスプレイ2に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送局から配信されるテレビ放送信号を受信して、テレビ放送信号に基く画像、音声を再生するテレビジョン受像機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、家庭内においては、テレビジョン受像機が普及している。また、家庭内における通信手段としては、音声通話(音声による交信)を行うことができる音声電話機の親子機が主に使用されているが、音声通話に加えて話者の画像表示(画像による交信)を行うことができるテレビ電話機については、導入が進んでいない。
【0003】
一方、宅内の機器間のデータ通信を目的とした宅内系電力線通信ネットワークと、広域アクセスを目的としたアクセス系電力線通信ネットワークとを共存させるようにした電力線通信システムが知られている(例えば特許文献1参照)。また、複数の家電機器をネットワークに接続し、家電機器の機能を統合するようにした家電機器ネットワークシステムが知られている(例えば特許文献2参照)。また、電力線通信を利用した家庭内ネットワークが知られている(例えば特許文献3参照)。また、電力線通信を利用して、家庭内の各場所相互間で音声と画像による交信を可能にしたホームインターホンが知られている(例えば特許文献4参照)。また、電力線通信を利用して、モニタ兼テレビ電話として利用できるようにした映像モニタシステムが知られている(例えば特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2007−19670号公報
【特許文献2】特開2006−65871号公報
【特許文献3】特開2003−87160号公報
【特許文献4】特開2003−46654号公報
【特許文献5】特開平3−190329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テレビジョン受像機は、家庭内において複数台(例えば各部屋毎に)設置されることが多い。そこで、テレビジョン受像機を利用して音声及び画像による交信(すなわちテレビ電話機と同様のテレビ電話動作)を行えるようにすることが考えられる。この場合、音声及び画像による交信を行うのに必要なネットワーク構築用の機器や設備を別途設けることなく、音声及び画像による交信を行えるようにすることが望まれる。なお、上述した特許文献1乃至特許文献5に開示の内容を適用したとしても、上記の問題を解決することはできない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、音声及び画像による交信を行うのに必要なネットワーク構築用の機器や設備を別途設けることなく、音声及び画像による交信を行うことができるテレビジョン受像機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、画像を表示するためのディスプレイと、音声を出力するためのスピーカとを備え、放送局から配信されるテレビ放送信号を受信して、テレビ放送信号に基く画像をディスプレイに表示すると共に、テレビ放送信号に基く音声をスピーカに出力するテレビジョン受像機において、音声を入力するためのマイクと、画像を撮影するためのカメラと、本機に電力を供給する電力線に接続され、電力線に接続されている他の機器との間で電力線を介して電力線通信を行うための電力線通信モデムと、マイクから入力された音声の音声信号及びカメラにより撮影された画像の画像信号を所定の形態で電力線通信モデムと電力線とを介して他の機器に送信する音声画像送信動作、及び、他の機器から電力線と電力線通信モデムとを介して所定の形態の音声信号及び画像信号を受信して、その音声信号に基く音声をスピーカから出力すると共にその画像信号に基く画像をディスプレイに表示する音声画像受信動作、を制御することにより、電力線に接続されている他の機器との間で音声信号及び画像信号の交信動作であるテレビ電話動作を実行する交信制御手段と、を備えるものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のテレビジョン受像機において、マイクから入力された音声の音声信号及びカメラにより撮影された画像の画像信号を、インターネットプロトコル(IP)に従った形態の信号であるIP化信号に変換し、また、IP化信号から、スピーカに音声を出力するための音声信号及びディスプレイに画像を表示するための画像信号を復元するVVoIP処理手段をさらに備え、交信制御手段は、音声画像送信動作において、マイクから入力された音声の音声信号及びカメラにより撮影された画像の画像信号を、VVoIP処理手段によりIP化信号に変換して、そのIP化信号を電力線通信モデムと電力線とを介して他の機器に送信するように制御し、音声画像受信動作において、電力線と電力線通信モデムとを介して他の機器より受信したIP化信号から、VVoIP処理手段によりスピーカに音声を出力するための音声信号及びディスプレイに画像を表示するための画像信号を復元して、その復元した音声信号に基く音声をスピーカから出力すると共に、その復元した画像信号に基く画像をディスプレイに表示するように制御するものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のテレビジョン受像機において、交信制御手段は、電力線と電力線通信モデムとを介して他の機器からテレビ電話動作を行うための呼出コマンドを受信したとき、ディスプレイにテレビ放送信号に基く画像を表示中であれば、ディスプレイに呼出メッセージを表示すると共にスピーカに呼出音を出力して、その後、ユーザによる応答操作がなされると、テレビ電話動作を開始し、ディスプレイにテレビ放送信号に基く画像を表示中でなければ、ディスプレイに呼出メッセージを表示することなくスピーカに呼出音を出力して、その後、ユーザによる応答操作がなされると、テレビ電話動作を開始するものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のテレビジョン受像機において、電力線に接続されている他の機器のアドレスを自動的に割当てるアドレス制御手段をさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、複数台のテレビジョン受像機を電力線に接続することにより、テレビジョン受像機同士でテレビ電話動作(音声及び画像による交信)を行うことができる。従って、例えば、家庭内の電力線に複数台のテレビジョン受像機を接続することにより、家庭内においてテレビジョン受像機を利用してテレビ電話動作を行うことができる。しかも、テレビ電話動作における音声信号及び画像信号の送受信は、電力線通信によって電力線を介して行われるため、テレビ電話動作を行うのに必要なネットワーク構築用の機器や設備を別途設けることなく、テレビ電話動作を行うことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、テレビ電話動作における音声信号及び画像信号の送受信は、インターネットプロトコル(IP)に従って行われるため、例えばインターネットを経由して、家庭外との間でテレビ電話動作を行うことも可能となる。
【0012】
請求項3の発明によれば、ディスプレイにテレビ放送信号に基く画像を表示中(すなわちテレビ番組の視聴中)であるか否かに関わらず、テレビ電話動作を行うことができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、電力線に接続されている他の機器のアドレスが自動的に割当てられるため、テレビジョン受像機を電力線に接続するだけで、電力線を介した電力線通信の通信ネットワークが自動構築され、テレビ電話動作を行うのに必要な設定を簡単にセットアップすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態によるテレビジョン受像機について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態によるテレビジョン受像機の構成を示す。テレビジョン受像機1は、放送局から配信されるテレビ放送信号を受信して、テレビ放送信号に基く画像を表示すると共に、テレビ放送信号に基く音声を出力する機器である。
【0015】
テレビジョン受像機1は、画像を表示するための液晶ディスプレイ2と、音声を出力するためのスピーカ3と、画像を撮影するためのカメラ4と、音声を入力するためのマイク5と、テレビジョン受像機1の電源をオン/オフするための押下操作される電源スイッチ6と、テレビジョン受像機1の各種動作を指示するためのリモコン(リモートコントローラ)7と、リモコン7から送信される赤外線コード信号を受信するリモコン受信部8等を備える。テレビジョン受像機1は、電力線10に接続して使用され、電力線10を介して商用電源から電力供給を受けるようになっている。
【0016】
このテレビジョン受像機1は、電力線10を介して通信を行う電力線通信機能を有している。また、このテレビジョン受像機1は、複数のテレビジョン受像機1同士で音声及び画像による交信(テレビ電話動作)を行えるようになっている。テレビ電話動作は、複数のテレビジョン受像機1を電力線10に接続することにより、電力線10を介して電力線通信によって行われる。電力線通信による通信方式は、IP(インターネットプロトコル)に従った方式で行われる。
【0017】
図2は、テレビジョン受像機1と電力線10との接続構成例を示す。図2に示す例では、家庭内において、3台のテレビジョン受像機1(1a、1b、1c)が電力線10に接続されている。従って、図2に示す例では、テレビジョン受像機1aとテレビジョン受像機1bとの間、テレビジョン受像機1aとテレビジョン受像機1cとの間、及びテレビジョン受像機1bとテレビジョン受像機1cとの間で、音声及び画像による交信を行うことができる。
【0018】
図3は、テレビジョン受像機1のリモコン7の構成を示す。リモコン7は、テレビジョン受像機1の各種動作を指示するためにユーザに操作される操作ボタンとして、テレビボタン21、呼出ボタン22、応答ボタン23、数字ボタン24、メニューボタン25、カーソルボタン26a〜26d、及び決定ボタン27等を備え、また、これらの操作ボタンの操作に応じて赤外線コード信号を送出する投光部28を備えている。
【0019】
テレビボタン21は、テレビ番組を視聴する等のために操作されるボタンである。呼出ボタン22は、テレビ電話動作を行う相手先を呼出す等のために操作されるボタンである。応答ボタン23は、テレビ電話動作を行う呼出しに対して応答する等のために操作されるボタンである。数字ボタン24は、数値を選択するためのボタンであり、テレビ番組の選局や、テレビ電話動作を行う相手先の選択等のために操作されるボタンである。メニューボタン25は、メニュー画面を液晶ディスプレイ2に表示する等のために操作されるボタンである。カーソルボタン26a〜26dは、メニュー画面上の項目を選択する等のために操作されるボタンであり、決定ボタン27は、カーソルボタン26a〜26dにより選択した項目を決定する等のために操作されるボタンである。リモコン7は、これらの操作ボタンの操作に応じて、その操作に対応付けられた赤外線コード信号を投光部28から送出する。
【0020】
図4は、テレビジョン受像機1の電気的ブロック構成を示す。テレビジョン受像機1は、上述の構成に加え、テレビジョン受像機1の動作を制御するためのCPU、ROM、及びRAM等を含む制御部(交信制御手段、アドレス制御手段)31と、PLC(電力線通信)モデム32と、放送信号受信部33と、放送信号復調部34と、VVoIP処理部35と、画像処理部36と、音声処理部37と、メモリ38と、電源回路部39とを備えている。
【0021】
液晶ディスプレイ2は、制御部31による制御のもと、画像を表示する。スピーカ3は、制御部31による制御のもと、音声を出力する。カメラ4は、制御部31による制御のもと、画像の撮影を行い、その撮影した画像の画像信号を生成する。マイク5は、制御部31による制御のもと、音声の入力が行われ、その入力された音声の音声信号を生成する。電源スイッチ6は、押下操作されると、その押下操作が制御部31により検出される。リモコン7は、上述のように、リモコン7の操作に応じて、その操作に対応付けられた赤外線コード信号を送出する。リモコン受信部8は、リモコン7から送出された赤外線コード信号を受光し、その受光した信号を電気信号に変換する。
【0022】
PLCモデム32は、電力線10に接続されている他の機器との間で電力線10を介して電力線通信を行うためのものであり、テレビジョン受像機1に電力を供給する電力線10に接続されている。PLCモデム32は、制御部31による制御のもと、電力線10を介して電力線通信によって各種信号を送受信する。すなわち、PLCモデム32は、電力線10上の電力搬送波に各種信号を変調して重畳することにより、電力線10を介して各種信号を送信し、また、電力線10上の電力搬送波に変調して重畳されている各種信号を分離して復調することにより、電力線10を介して各種信号を受信する。
【0023】
放送信号受信部33は、制御部31による制御のもと、テレビ放送信号をアンテナ33aを介して受信する。放送信号復調部34は、制御部31による制御のもと、放送信号受信部33により受信したテレビ放送信号を復調処理して、テレビ放送信号に基く画像(テレビ番組の画像)を液晶ディスプレイ2に表示するための画像信号、及び、テレビ放送信号に基く音声(テレビ番組の音声)をスピーカ3から出力するための音声信号を生成する。
【0024】
VVoIP処理部35は、制御部31による制御のもと、マイク5から入力された音声の音声信号及びカメラ4により撮影された画像の画像信号を、インターネットプロトコル(IP)に従った形態の信号であるIP化信号に変換する。また、VVoIP処理部35は、制御部31による制御のもと、PLCモデム32により受信した信号を復元処理して、インターネットプロトコル(IP)に従った形態の信号であるIP化信号から、スピーカ3に音声を出力するための音声信号及び液晶ディスプレイ2に画像を表示するための画像信号を生成する。
【0025】
画像処理部36は、制御部31による制御のもと、放送信号受信部33により受信したテレビ放送信号に基く画像とPLCモデム32により受信した信号に基く画像とを選択的に又は合成して液晶ディスプレイ2で表示するために、放送信号復調部34により生成された画像信号及びVVoIP処理部35により生成された画像信号を処理する。また、画像処理部36は、制御部31による制御のもと、テレビジョン受像機1の各種設定を行うための設定メニュー画像や、テレビ電話動作における呼出メッセージ画像等、各種画像を液晶ディスプレイ2で表示するための画像信号を生成する。
【0026】
音声処理部37は、制御部31による制御のもと、放送信号受信部33により受信したテレビ放送信号に基く音声とPLCモデム32により受信した信号に基く音声とを選択的に又は合成してスピーカ3から出力するために、放送信号復調部34により生成された音声信号及びVVoIP処理部35により生成された音声信号を処理する。また、音声処理部37は、制御部31による制御のもと、テレビ電話動作における呼出音声をスピーカ3から出力するための音声信号を生成する。
【0027】
メモリ38は、制御部31による制御のもと、テレビジョン受像機1及び電力線10に接続される他の機器(上記図2に示す例では、テレビジョン受像機1aが自機であるとすると、テレビジョン受像機1b、1c)のIPアドレスや、テレビジョン受像機1の各種動作を実行するのに必要な各種データ等を記憶する。
【0028】
電源回路部39は、PLCモデム32を介して電力線10に接続されており、制御部31による制御のもと、電力線10から供給される商用電力を基にテレビジョン受像機1各部の動作に必要な動作電力を生成し、その生成した動作電力をテレビジョン受像機1各部に供給する。
【0029】
制御部31は、電源スイッチ6の押下操作を検出し、電源スイッチ6の押下操作を受けて、電源回路部39による動作電源の生成、及び電源回路部39からテレビジョン受像機1各部への動作電力の供給/遮断を制御する。また、制御部31は、リモコン受信部8により受信した信号及びPLCモデム32により受信した信号を基に、テレビジョン受像機1の各種動作を制御する。
【0030】
制御部31は、放送局から配信されるテレビ放送信号を受信して、テレビ番組の画像(テレビ放送信号に基く画像)を液晶ディスプレイ2に表示すると共に、テレビ番組の音声(テレビ放送信号に基く音声)をスピーカ3から出力するテレビ番組視聴動作を実行する。このとき、制御部31は、放送局から配信されるテレビ放送信号を放送信号受信部33により受信すると共に、その受信したテレビ放送信号を放送信号復調部34により復調処理して、画像信号及び音声信号を生成するように制御し、そして、その画像信号を液晶ディスプレイ2に供給すると共に、その音声信号をスピーカ3に供給するように制御する。これにより、テレビ番組の画像が液晶ディスプレイ2に表示されると共に、テレビ番組の音声がスピーカ3から出力される。
【0031】
また、制御部31は、マイク5により音声の入力を行うと共にカメラ4により画像の撮影を行って、マイク5から入力された音声の音声信号及びカメラ4により撮影された画像の画像信号を他の機器に送信する音声画像送信動作を実行する。このとき、制御部31は、マイク5から入力された音声の音声信号及びカメラ4により撮影された画像の画像信号をVVoIP処理部35によりIP化信号(インターネットプロトコル(IP)に従った形態の音声信号及び画像信号)に変換して、そのIP化信号をPLCモデム32と電力線10とを介して電力線通信によって他の機器に送信するように制御する。つまり、音声画像送信動作では、音声信号及び画像信号は、インターネットプロトコル(IP)に従った通信方式(VVoIP方式)によって送信される。これにより、マイク5から入力された音声が他の機器において出力されると共に、カメラ4により撮影された画像が他の機器において表示される。
【0032】
また、制御部31は、他の機器から送信される音声信号及び画像信号を受信して、その音声信号に基く音声をスピーカ3から出力すると共にその画像信号に基く画像を液晶ディスプレイ2に表示する音声画像受信動作を実行する。このとき、制御部31は、他の機器から電力線通信によって送信されるIP化信号(インターネットプロトコル(IP)に従った形態の音声信号及び画像信号)を電力線10とPLCモデム32とを介して受信すると共に、その受信したIP化信号をVVoIP処理部35により復元処理して、音声信号及び画像信号を生成するように制御し、そして、その音声信号をスピーカ3に供給すると共に、その画像信号を液晶ディスプレイ2に供給するように制御する。つまり、音声画像受信動作では、音声信号及び画像信号は、インターネットプロトコル(IP)に従った通信方式(VVoIP方式)によって受信される。これにより、他の機器から送信された音声信号に基く音声がスピーカ3から出力されると共に、他の機器から送信された画像信号に基く画像が液晶ディスプレイ2に表示される。
【0033】
また、制御部31は、上記音声画像送信動作及び音声画像受信動作を制御することにより、電力線10に接続されている他の機器との間で音声信号及び画像信号の交信動作であるテレビ電話動作を実行する。音声画像送信動作及び音声画像受信動作における音声信号及び画像信号の送受信は、テレビジョン受像機1及び電力線10に接続される他の機器のIPアドレスに基いて行われる。
【0034】
また、制御部31は、テレビジョン受像機1及び電力線10に接続される他の機器のアドレスを設定する。すなわち、制御部31は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)機能を有しており、DHCP機能を実行して、テレビジョン受像機1と電力線10に接続されている他の機器との間で相互に通信を行って、テレビジョン受像機1及び電力線10に接続される他の機器にIPv4(インターネットプロトコルバージョン4)によるIPアドレスを自動的に割当てて設定する。
【0035】
図5は、上記テレビジョン受像機1のテレビ電話動作のフローチャートを示す。まず、リモコン7によりテレビ電話動作を行う相手先を呼出すための呼出操作がなされると(#1でYES)、制御部31は、その呼出先(テレビ電話動作を行う相手先の機器)にテレビ電話動作を行うための(テレビ電話動作を開始することを要求する)呼出コマンドを送信する(#2)。呼出操作は、例えば、リモコン7の呼出ボタン22を押下した後、呼出先に対応付けられた数字ボタン24を押下することにより行われる。呼出コマンドは、PLCモデム32及び電力線10を介して、電力線通信によって送信される。
【0036】
そして、その呼出先からテレビ電話動作に応じることを示す応答コマンドを受信すると(#3でYES)、制御部31は、その呼出先との間でテレビ電話動作を開始する(#4)。応答コマンドは、電力線10及びPLCモデム32を介して、電力線通信によって受信される。テレビ電話動作では、制御部31は、マイク5から入力された音声の音声信号及びカメラ4により撮影された画像の画像信号を、PLCモデム32及び電力線10を介して電力線通信によってテレビ電話動作の相手先に送信し、また、テレビ電話動作の相手先から送信された音声信号及び画像信号を、電力線10及びPLCモデム32を介して電力線通信によって受信して、その受信した音声信号に基く音声をスピーカ3から出力すると共に、その受信した画像信号に基く画像を液晶ディスプレイ2に表示する。
【0037】
なお、上記#1で呼出操作がなされたときにテレビ番組の視聴中であった場合には、制御部31は、テレビ番組の画像(テレビ放送信号に基く画像)に替えて、テレビ電話動作による画像(テレビ電話動作の相手先から受信した画像信号に基く画像)を液晶ディスプレイ2に表示すると共に、テレビ番組の音声(テレビ放送信号に基く音声)に替えて、テレビ電話動作による音声(テレビ電話動作の相手先から受信した音声信号に基く音声)をスピーカ3から出力して、テレビ電話動作を行う。
【0038】
また、電力線10に接続されている他の機器から呼出コマンドを受信したとき(#5でYES)、テレビ番組を視聴中(すなわち液晶ディスプレイ2にテレビ放送信号に基く画像を表示中)であれば(#6でYES)、制御部31は、液晶ディスプレイ2に呼出メッセージ画像を表示すると共に、スピーカ3から呼出音を出力する(#7)。呼出コマンドは、電力線10及びPLCモデム32を介して、電力線通信によって受信される。このとき、制御部31は、テレビ番組の画像に替えて、呼出メッセージ画像を液晶ディスプレイ2に表示すると共に、テレビ番組の音声に替えて、呼出音をスピーカ3から出力する。一方、上記#5において呼出コマンドを受信したとき、テレビ番組を視聴中でなければ(#6でNO)、液晶ディスプレイ2に呼出メッセージ画像を表示することなく、スピーカ3から呼出音を出力する(#8)。
【0039】
その後、リモコン7によりテレビ電話動作に応じるための応答操作がなされると(#9でYES)、制御部31は、呼出元(呼出コマンドの送信元の機器)に応答コマンドを送信して(#10)、その呼出元との間でテレビ電話動作を開始する(#11)。応答コマンドは、電力線10及びPLCモデム32を介して、電力線通信によって送信される。
【0040】
なお、上記#5で呼出コマンドを受信したときにテレビ番組の視聴中であった場合には、制御部31は、テレビ番組の画像に替えて、テレビ電話動作による画像を液晶ディスプレイ2に表示すると共に、テレビ番組の音声に替えて、テレビ電話動作による音声をスピーカ3から出力して、テレビ電話動作を行う。
【0041】
テレビ電話動作を行っているときに、リモコン7によりテレビ電話動作を終了するための終了操作がなされると(#12でYES)、制御部31は、テレビ電話動作の相手先にテレビ電話動作を終了することを示す終了コマンドを送信して(#13)、テレビ電話動作を終了する(#14)。終了操作は、例えば、リモコン7のテレビボタン21又は決定ボタン27を押下することにより行われる。また、テレビ電話動作を行っている相手先から終了コマンドを受信したときにも(#15)、制御部31は、テレビ電話動作を終了する(#14)。終了コマンドは、PLCモデム32及び電力線10を介して、電力線通信によって送受信される。
【0042】
なお、上記#1で呼出操作がなされたときにテレビ番組の視聴中であった場合、又は、上記#5で呼出コマンドを受信したときにテレビ番組の視聴中であった場合には、制御部31は、テレビ電話動作を終了した後、再び、そのテレビ番組の画像を液晶ディスプレイ2に表示すると共に、そのテレビ番組の音声をスピーカ3から出力する。
【0043】
このような構成のテレビジョン受像機1によれば、複数台のテレビジョン受像機1を電力線10に接続することにより、テレビジョン受像機1同士でテレビ電話動作(音声及び画像による交信)を行うことができる。従って、例えば、家庭内の電力線10に複数台のテレビジョン受像機1を接続することにより、家庭内においてテレビジョン受像機1を利用してテレビ電話動作を行うことができる。しかも、テレビ電話動作における音声信号及び画像信号の送受信は、電力線通信によって電力線10を介して行われるため、テレビ電話動作を行うのに必要なネットワーク構築用の機器や設備を別途設けることなく、テレビ電話動作を行うことができる。
【0044】
また、テレビ電話動作における音声信号及び画像信号の送受信は、インターネットプロトコル(IP)に従って行われるため、例えばインターネットを経由して、家庭外との間でテレビ電話動作を行うことも可能となる。また、電力線10に接続されている他の機器のアドレスが自動的に割当てられるため、テレビジョン受像機1を電力線に接続するだけで、電力線10を介した電力線通信の通信ネットワークが自動構築され、テレビ電話動作を行うのに必要な設定を簡単にセットアップすることができる。
【0045】
また、テレビ番組を視聴中でないときにテレビ電話動作を行うための呼出コマンドを受信した場合には、スピーカ3から呼出音が出力され、その後の応答操作によってテレビ電話動作が開始されるため、テレビ番組の視聴中であるか否かに関わらず、テレビ電話動作を行うことができる。
【0046】
また、複数台のテレビジョン受像機1を電力線10に接続して、例えば、そのうちの1台のテレビジョン受像機1を監視カメラとして使用することもできる。また、例えば、音声信号及び画像信号の送受信をVVoIP方式により行うPLCモデム搭載ドアホンを玄関等に設置することにより、ドアホンとテレビジョン受像機1との間で音声及び画像による交信を行うことができ、テレビジョン受像機1をドアホンの機能に利用することもできる。また、例えば、音声信号及び画像信号の送受信をVVoIP方式により行うPLCモデム搭載監視カメラを玄関先や駐車場等に設置することにより、監視カメラにより撮影した画像をテレビジョン受像機1に映し出すことができ、テレビジョン受像機1を監視カメラの機能に利用することもできる。この場合、例えばハードディスクレコーダ等の録画機器をテレビジョン受像機1に接続することにより、監視カメラにより撮影した画像をテレビジョン受像機1を経由して録画機器に録画することも可能となる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、テレビ番組を視聴中にテレビ電話動作を行う場合、テレビ番組の画像とテレビ電話動作による画像を合成して(例えばテレビ番組の画像の一部にテレビ電話動作による画像を重ねて)表示するようにし、また、テレビ番組の音声とテレビ電話動作による音声を合成して(例えばテレビ番組の音声を小さくしたうえでテレビ電話動作による音声を一緒に)出力するようにしてもよい。また、テレビ番組の視聴中にテレビ電話動作を行うための呼出コマンドを受信した場合、テレビ番組の画像と呼出メッセージ画像を合成して表示するようにし、また、テレビ番組の音声と呼出音を合成して出力するようにしてもよい。
【0048】
また、テレビジョン受像機に首振り機能(パワースイング)を搭載するようにしてもよい。このようにすれば、テレビ電話動作を行うときに、カメラを話者の方に向けて話者を撮影することができるので、利便性が向上し、また、テレビジョン受像機を監視カメラとして使用する場合にも、カメラの向きを変えて広範囲のエリアを撮影することできるので、利便性が向上する。また、上記実施形態では、インターネットプロトコルとしてIPv4を用いたが、IPv6(インターネットプロトコルバージョン6)を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るテレビジョン受像機の概略構成を示す斜視図。
【図2】同テレビジョン受像機と電力線との接続構成例を示す図。
【図3】同テレビジョン受像機のリモコンの構成を示す平面図。
【図4】同テレビジョン受像機の電気的ブロック構成図。
【図5】同テレビジョン受像機のテレビ電話動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0050】
1、1a、1b、1c テレビジョン受像機
2 液晶ディスプレイ
3 スピーカ
4 カメラ
5 マイク
6 電源スイッチ
7 リモコン
8 リモコン受信部
10 電力線
21 テレビボタン
22 呼出ボタン
23 応答ボタン
24 数字ボタン
25 メニューボタン
26a〜26d カーソルボタン
27 決定ボタン
28 投光部
31 制御部(交信制御手段、アドレス制御手段)
32 PLCモデム(電力線通信モデム)
33 放送信号受信部
33a アンテナ
34 放送信号復調部
35 VVoIP処理部
36 画像処理部
37 音声処理部
38 メモリ
39 電源回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するためのディスプレイと、音声を出力するためのスピーカとを備え、放送局から配信されるテレビ放送信号を受信して、テレビ放送信号に基く画像を前記ディスプレイに表示すると共に、テレビ放送信号に基く音声を前記スピーカに出力するテレビジョン受像機において、
音声を入力するためのマイクと、
画像を撮影するためのカメラと、
本機に電力を供給する電力線に接続され、前記電力線に接続されている他の機器との間で前記電力線を介して電力線通信を行うための電力線通信モデムと、
前記マイクから入力された音声の音声信号及び前記カメラにより撮影された画像の画像信号を所定の形態で前記電力線通信モデムと前記電力線とを介して前記他の機器に送信する音声画像送信動作、及び、前記他の機器から前記電力線と前記電力線通信モデムとを介して所定の形態の音声信号及び画像信号を受信して、その音声信号に基く音声を前記スピーカから出力すると共にその画像信号に基く画像を前記ディスプレイに表示する音声画像受信動作、を制御することにより、前記電力線に接続されている他の機器との間で音声信号及び画像信号の交信動作であるテレビ電話動作を実行する交信制御手段と、
を備えることを特徴とするテレビジョン受像機。
【請求項2】
前記マイクから入力された音声の音声信号及び前記カメラにより撮影された画像の画像信号を、インターネットプロトコル(IP)に従った形態の信号であるIP化信号に変換し、また、IP化信号から、前記スピーカに音声を出力するための音声信号及び前記ディスプレイに画像を表示するための画像信号を復元するVVoIP処理手段をさらに備え、
前記交信制御手段は、
前記音声画像送信動作において、前記マイクから入力された音声の音声信号及び前記カメラにより撮影された画像の画像信号を、前記VVoIP処理手段によりIP化信号に変換して、そのIP化信号を前記電力線通信モデムと前記電力線とを介して前記他の機器に送信するように制御し、
前記音声画像受信動作において、前記電力線と前記電力線通信モデムとを介して前記他の機器より受信したIP化信号から、前記VVoIP処理手段により前記スピーカに音声を出力するための音声信号及び前記ディスプレイに画像を表示するための画像信号を復元して、その復元した音声信号に基く音声を前記スピーカから出力すると共に、その復元した画像信号に基く画像を前記ディスプレイに表示するように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のテレビジョン受像機。
【請求項3】
前記交信制御手段は、
前記電力線と前記電力線通信モデムとを介して前記他の機器から前記テレビ電話動作を行うための呼出コマンドを受信したとき、
前記ディスプレイにテレビ放送信号に基く画像を表示中であれば、前記ディスプレイに呼出メッセージを表示すると共に前記スピーカに呼出音を出力して、その後、ユーザによる応答操作がなされると、前記テレビ電話動作を開始し、
前記ディスプレイにテレビ放送信号に基く画像を表示中でなければ、前記ディスプレイに呼出メッセージを表示することなく前記スピーカに呼出音を出力して、その後、ユーザによる応答操作がなされると、前記テレビ電話動作を開始する、
ことを特徴とする請求項2に記載のテレビジョン受像機。
【請求項4】
前記電力線に接続されている他の機器のアドレスを自動的に割当てるアドレス制御手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載のテレビジョン受像機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−288962(P2008−288962A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132882(P2007−132882)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】