説明

テレビドアホン子機およびそれを用いたテレビドアホン装置

【課題】 テレビドアホン子機のカメラの存在を来訪者が認識できないようにするとともに、来訪者に悟られることなく子機のカメラを上下方向および左右方向に動作させることのできる、テレビドアホン子機およびそれを用いたテレビドアホン装置を提供する。
【解決手段】 テレビドアホン子機1は、CCDカメラ12と、前面カバー11と、LED13と、遮光板21とを備える。CCDカメラ12は、遠隔操作で上下方向および左右方向に撮影方向を移動可能である。前面カバー11は、前方から見てCCDカメラ12の前面全体を覆い、ハーフミラー機能を有する。前面カバー11は、CCDカメラ12の各移動位置において、CCDカメラ12の撮像軸方向に対して直交するように延在している。前面カバー11は、曲面を有している。照明手段13は、撮影対象を照射する。遮光版21は、LED13からの光がテレビドアホン子機1の内部へ漏洩することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビドアホン子機およびそれを用いたテレビドアホン装置に関し、たとえば、屋内の住人と屋外の来訪者との間で通話でき、屋外に設置した子機カメラの映像を確認するためのテレビモニタ付インターホン装置(以下、テレビドアホンという)において、親機から遠隔で子機カメラの撮影方向を上下左右に操作できる(以下、パンチルトタイプという)テレビドアホンの子機の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パンチルトタイプのテレビドアホンは、たとえば、屋内に設置するテレビモニタ付の親機と、玄関先などの屋外に設置する上下左右に動作可能なカメラ付の子機とから構成されている。親機および子機は、両者間で通話できるインターホン機能を有し、子機カメラで撮影している映像を親機でモニタできる機能を有している。
【0003】
このような構成のパンチルトタイプのテレビドアホン子機は、カメラの前面に透明のカバーを備えており、カメラを保護するようになっている。カメラの保護として、ハーフミラー機能を備えたものがある。ハーフミラー機能を備えたテレビドアホン子機として、たとえば、実開昭63−138788号公報(特許文献1)には、テレビカメラ前面に屋外側から見たとき鏡面となるようなハーフミラーを設けたテレビドアホン装置が開示されている。また、実開平5−41273号公報(特許文献2)には、来訪者が撮像方向を簡単かつ正確に調整できるように、撮像カメラの前方に撮像軸に直交するマジックミラー面を設けたカメラ付ドアホン子機が開示されている。また、実開平5−70052号公報(特許文献3)には、留守中の来訪者を写真撮影して記録するインスタントカメラを備え、ケースの上部材にインスタントカメラによる撮影のための切欠き窓を設け、当該切欠き窓には、外側から内部を見えないようにするためのハーフミラーが装着された来訪者記録装置が開示されている。また、特開平11−177971号公報(特許文献4)には、カメラの前面に設けられたフィルタにハーフミラー機能を備えることにより、来訪者に子機のカメラと自身の関係位置を明確に認識させるテレビドアホン子機が開示されている。
【特許文献1】実開昭63−138788号公報
【特許文献2】実開平5−41273号公報
【特許文献3】実開平5−70052号公報
【特許文献4】特開平11−177971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,3および4では、パンチルトタイプではないために、来訪者の顔を確認したいという場合に、子機カメラの撮影位置調整が行なえないという問題がある。
【0005】
また、上記特許文献2でのカメラドアホン子機では、来訪者からカメラが見えるために、在宅していることを知られたくない場合でも来訪者に撮影用のカメラが存在することを知られてしまうという問題がある。
【0006】
それゆえ本発明の目的は、テレビドアホン子機のカメラの存在を来訪者が認識できないようにするとともに、来訪者に悟られることなく子機のカメラを上下方向および左右方向に動作させることのできる、テレビドアホン子機およびそれを用いたテレビドアホン装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にしたがったテレビドアホン子機は、遠隔操作で上下方向および左右方向に撮影方向を移動可能なCCDカメラと、前方から見てCCDカメラの前面全体を覆う、ハーフミラー機能を有する前面カバーとを備えている。
【0008】
本発明のテレビドアホン子機によれば、テレビドアホン子機のCCDカメラの全体を前面カバーが覆っているため、テレビドアホン子機カメラが外部から目視できない。そのため、来訪者がCCDカメラの存在を認識することができない。よって、在宅していることを来訪者に悟られることがない。
【0009】
また、CCDカメラは遠隔操作で上下方向および左右方向に移動できるため、来訪者の顔などが認識できるようにCCDカメラを移動することができる。そのため、在宅していることを来訪者に悟られることなく、CCDカメラの撮影方向を所望の方向に動かすことができる。よって、CCDカメラによる来訪者の顔等の撮影が可能となり、来訪者を確認することができる。
【0010】
さらに、テレビドアホン子機のCCDカメラの前方に、CCDカメラの前面全体を覆う、ハーフミラー機能を有する前面カバーを備えているため、来訪者は自身の容姿を確認することが出来る。
【0011】
なお、上記「ハーフミラー」とは、一般に、ガラスの表面に金属の薄膜を塗布することにより、入射する光の約半分を反射し、残りの約半分を透過する性質を有するものを意味する。また、ここで上記「ハーフミラー機能」とは、ハーフミラーを挟んで一方が明るく、他方が暗い場合に、暗い方からは明るい方が透過して見える透明板として、明るい方からは自分自身が見える鏡として作用する機能を言う。
【0012】
上記テレビドアホン子機において好ましくは、前面カバーは、CCDカメラの各移動位置において、CCDカメラの撮像軸方向、すなわち、CCDカメラのレンズの光軸方向に対して直交する方向に延在している。
【0013】
CCDカメラの撮像軸方向に対して直交するように前面カバーが延在していることにより、来訪者が自身の顔を前面カバーで確認できる範囲で、どのような位置に立った場合にも、CCDカメラを移動させて、撮像軸が来訪者の顔の位置の方向を向くように調整することができ、正確に来訪者の顔を撮影することができる。
【0014】
上記テレビドアホン子機において好ましくは、撮影対象を照射するための照明手段と、照明手段からの光がテレビドアホン子機の内部へ漏洩することを防止する遮光手段とをさらに備える。
【0015】
これにより、テレビドアホン子機の内部が外部より明るくなることを防ぎ、ハーフミラー機能を有する前面カバーの反射面が入れ替わらないようにすることができる。そのため、夜間においても、外部からCCDカメラが見えないことから、CCDカメラを動作させたとしても、在宅していることを来訪者に悟られずに、来訪者の顔等を認識できる。
【0016】
上記テレビドアホン子機において好ましくは、前面カバーは、プラスチックおよびアクリル少なくとも一方を含む素材の表面に金属を塗布することにより、構成されている。
【0017】
これにより、前面カバーがCCDカメラを外部から見えなくする機能をも有することにより、CCDカメラを覆い隠すための別の部材を必要としないため、生産工程において作業工程が増えることがない。また、テレビドアホン子機を屋外に設置する場合にあっても、上記素材を用いることにより、比較的安全に使用することができる。
【0018】
上記テレビドアホン子機において好ましくは、前面カバーは、曲面を有している。これにより、CCDカメラが上下方向あるいは左右方向に動作しても、前面カバーから反射光をCCDカメラに入り難くすることができる。
【0019】
本発明のテレビドアホン装置は、上記テレビドアホン子機と、CCDカメラにより撮影された映像を映すためのモニタ画面およびCCDカメラの移動を駆動制御する手段を有するテレビドアホン親機とを備えている。
【0020】
駆動制御する手段により、テレビドアホン子機のCCDカメラを来訪者に悟られることなく、CCDカメラを上下方向および左右方向に動作させることができる。そのため、モニタ画面において来訪者を認識することができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、テレビドアホン子機のCCDカメラを来訪者が認識できないとともに、来訪者に悟られることなくCCDカメラを上下方向および左右方向に動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機を示す概略断面図である。図2は、本発明の実施の形態における構成を説明するためのテレビドアホン子機の正面図である。図3は、本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機の前ケースを内面から見た概略平面図である。図4は、本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機内部の概略正面図である。図1〜4を参照して、本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機を説明する。本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機1は、たとえば、パンチルトタイプのテレビドアホン用の子機としている。
【0024】
本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機1は、図1に示すように、たとえば、外郭として前ケース2と後ケース3とを備え、その内部にマイク10と、CCDカメラ12と、LED13と、モータユニット14と、スピーカ15とを備えている。前ケース2は、ハーフミラー機能を有する前面カバー11と、遮光板21と、呼出ボタン16とを含む。CCDカメラ12は、遠隔操作で上下方向および左右方向に移動でき、撮影可能としている。前面カバー11は、前方から見てCCDカメラ12の前面全体を覆っている。そのため、屋外に設置してもCCDカメラ12が外部から見えないため、盗用の防止などができ、比較的安全に使用できる。
【0025】
詳細には、前面カバー11は、図1に示すように、その表面が曲面を有し、前方から見てCCDカメラ12の前面全体を覆っている。また、前面カバー11は、CCDカメラ12の撮影方向が変わっても、撮像軸に直交するように、曲面をなして延在している。
【0026】
前面カバー11の表面は、たとえばプラスチック製またはアクリル製のものとし、内側に金属を付着させている。これにより、前面カバー11の表面は鏡面となるとともに、外部からはCCDカメラ12が見えないようになっている。また、当該素材の前面カバー11を屋外に設置する場合には、ガラスなどの素材を用いる場合と比較して安全に使用することができる。
【0027】
CCDカメラ12は、前ケース2において上方に装着されている。そのため、前面カバー11は、前ケースの上方に装着されている。
【0028】
LED13は、夜間等の暗い環境下においてもCCDカメラ12による撮影を可能にするための照明手段である。モータユニット14は、後述するパンチルト動作軸を動作させるものである。
【0029】
マイク10は、テレビドアホン子機1の内部において上方に配置されている。このマイク10と、テレビドアホン親機(図示せず)からの音声を外部に聞こえるようにするスピーカ10とにより、テレビドアホン親機との間での対話を可能にする。スピーカ15は、外部に音声を伝えるものである。マイク10およびスピーカ15は、リード線10a,15aにより、プリント基板23と接続されている。呼出ボタン16は、前ケース2の下方に装着されている。呼出ボタン16は、スピーカ15と接続されている。
【0030】
前ケース2は、図2に示すように、さらにマイク穴17と、拡散板18と、スピーカ穴19とを有している。マイク穴17は外部からの音声をマイク10が拾いやすくするための穴である。拡散板18は、透明なプラスチック板の片面に凹凸を有したすりガラスのようなものである。また、拡散板18は、LED13の前方に設置され、LED13からの光を拡散することができる。スピーカ穴19は、スピーカ15からの音声を外部へ伝えやすくするための穴である。
【0031】
遮光板21は、図3に示すように、平面形状が矩形の筒状であり、拡散板18を囲むように前ケース2に配置されている。遮光板21は、LED13からの光がテレビドアホン子機1の内部へ漏洩することを防止する遮光手段である。
【0032】
CCDカメラ12は、図4に示すように、パンチルト動作軸22に設置されている。パンチルト動作軸22がモータユニット14により動作することにより、CCDカメラ12が上下方向または左右方向に動作する構造としている。LED13は、LED基板20に設置されている。前ケース2の遮光板21がLED基板20を囲み込み、LED13から発生する光が、LED13の背面側および側面側からテレビドアホン子機1の内部に漏れない構造としている。
【0033】
なお、図示されていないが、テレビドアホン親機には、テレビドアホン子機1からの映像を映すためのモニタ画面と、テレビドアホン親機から通話するときに操作する通話ボタンおよびモニタボタンと、それらの駆動制御をする電子回路等が設けられている。
【0034】
図5は本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機の動作を説明するための正面図である。図5を参照して、本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機1の動作について説明する。
【0035】
来訪者が呼出ボタン16を押すと、テレビドアホン親機には、テレビドアホン子機1のCCDカメラ12が撮影している内容が映し出される。その撮影内容から、来訪者が認識できない場合には、CCDカメラ12を上下方向または左右方向に移動させる。そして、正確に来訪者の顔等を確認できる位置にカメラの向きを変えることにより、来訪者を認識することができる。
【0036】
その際、前面カバー11は、前方から見たときにCCDカメラ12の前面全体を覆っているので、来訪者はCCDカメラ12により撮影されていることを知り得ない。そのため、来訪者に在宅していることを悟られることなく、来訪者が誰であるかを認識できる。
【0037】
また、前面カバー11は、テレビドアホン子機1の内部よりも明るい外部から見ると鏡として機能する。そのため、来訪者が自身の容姿を確認することができる。また、来訪者が前面カバー11によって自身の容姿を確認しようとして前面カバー11に近づくと、CCDカメラ12の撮影視野内に入るため、CCDカメラ12により来訪者の顔等の撮影が容易となる。
【0038】
周囲が暗い環境下の夜間等においては、照明の役割をするLED13からの光により、撮影対象としての来訪者等が照らされ、それによりCCDカメラ12によって明瞭に撮影することができる。その際、LED13からの光をテレビドアホン子機1の内部に漏らさない構造になっているので、常にテレビドアホン子機1の内部は、外部より暗くなる。そのため、前面カバー11の反射面が反転することはなく、夜間等においても同様に、来訪者に在宅していることを悟られることなく、来訪者が誰であるかを認識できる。
【0039】
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機1によれば、遠隔操作で上下方向および左右方向に撮影方向を移動可能なCCDカメラ12と、前方から見てCCDカメラ12の前面全体を覆う、ハーフミラー機能を有する前面カバー11とを備えている。そのため、来訪者がCCDカメラ12の存在を確認することができない。よって、在宅していることを来訪者に悟られることがない。
【0040】
また、CCDカメラ12は遠隔操作で上下方向および左右方向に移動できるため、来訪者の顔などが認識できるようにCCDカメラ12を移動することができる。そのため、在宅していることを来訪者に悟られることなく、CCDカメラ12で撮影する方向を所望の方向に動かすことができる。
【0041】
さらに、前面カバー11はCCDカメラ12を覆う前ケース2に直接付着させている。そのため、生産工程において作業工程が増えることがない。また、従来はケース内部を見えなくするための部品が必要であったが、テレビドアホン子機1では前面カバー11により前ケース2の内部が見えることはない。そのため、当該部品は不要となり、費用の削減を図ることができる。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更点が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機の構成を説明するための正面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機の前ケースを内面から見た概略平面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機内部の概略正面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるテレビドアホン子機の動作を説明するための正面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 テレビドアホン子機、2 前ケース、3 後ケース、10 マイク、10a,15a リード線、11 前面カバー、12 カメラ、13 LED、14 モータユニット、15 スピーカ、16 呼出ボタン、17 マイク穴、18 拡散板、19 スピーカ穴、20 LED基板、21 遮光板、22 パンチルト動作軸、23 プリント基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作で上下方向および左右方向に撮影方向を移動可能なCCDカメラと、
前方から見て前記CCDカメラの前面全体を覆う、ハーフミラー機能を有する前面カバーとを備える、テレビドアホン子機。
【請求項2】
前記前面カバーは、前記CCDカメラの各移動位置において、前記CCDカメラの撮像軸方向に対して直交するように延在している、請求項1に記載のテレビドアホン子機。
【請求項3】
撮影対象を照射するための照明手段と、
前記照明手段からの光が前記テレビドアホン子機の内部へ漏洩することを防止する遮光手段とをさらに備える、請求項1または2に記載のテレビドアホン子機。
【請求項4】
前記前面カバーが、プラスチックおよびアクリルの少なくとも一方を含む素材の表面に金属を塗布するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のテレビドアホン子機。
【請求項5】
前記前面カバーは、曲面を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテレビドアホン子機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテレビドアホン子機と、
前記CCDカメラにより撮影された映像を映すためのモニタ画面および前記CCDカメラの移動を駆動制御する手段を有するテレビドアホン親機とを備える、テレビドアホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−43627(P2007−43627A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228266(P2005−228266)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】