説明

ディスク装置

【課題】 ディスクがターンテーブルに正常にクランプされたか否かを確実に検知できる「ディスク装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 クランプ動作後に、移送ユニットを移送動作位置で停止させた状態で、移送ローラまたは移送ユニットを動作させ、ディスクに排出方向への移動力を与える(ST1A、ST1B、ST1C)。ST2において、所定の監視時間内に、筐体の挿入口の内側に設けられた検知スイッチSW1,SW2の検出信号の変化の有無を監視することによって、ディスクがターンテーブルに正常にクランプされたか否かを判断する。このため、ディスクが正常にクランプされたか否かを確実に検知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクの中心穴が設置される回転駆動部と、この回転駆動部にディスクをクランプするクランプ手段とを有するディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、ディスクが搬送手段で搬入されて、ディスクの中心穴がターンテーブルにクランプされるディスク装置が開示されている。
【0003】
このディスク装置では、筐体内に複数枚のディスクが収納されるストック部が設けられており、筐体に形成された挿入口の内側から前記ストック部にかけて、複数のローラを有する搬送手段と、この搬送手段に平行に対向する案内部材が設けられている。ディスクを駆動するターンテーブルが、前記ストック部にストックされるディスクの中心よりも挿入口側に位置している状態で、挿入口からディスクが挿入されると、このディスクが、搬送手段と案内部材とで両側から挟まれ、前記ローラの回転力でターンテーブルに向けて搬入される。
【0004】
案内部材には、第1の検知スイッチと第2の検知スイッチが設けられている。搬送手段でディスクが搬入されるときに、ディスクの外周縁が第1の検知スイッチに至り、この第1の検知スイッチがONになったときに、ターンテーブルが上昇して、ターンテーブルとクランパとでディスクが挟まれる。この時点で、搬入されるディスクの中心はターンテーブルの中心よりも挿入口側にある。この状態で、さらにディスクが搬入されると、ディスクの中心とターンテーブルの中心が一致し、ディスクの中心穴がターンテーブルに嵌合され、ディスクがターンテーブルにクランプされる。このときに、第2の検知スイッチもONとなり、第1の検知スイッチと第2の検知スイッチの双方がONとなった状態が一定時間継続した場合ときに、ディスクがターンテーブルに正常にクランプされたと判断される。
【0005】
他方、ターンテーブルとクランパとでディスクを挟むクランプ動作が行われた後の一定時間内に、第2の検知スイッチがONとならない場合には、ディスクがターンテーブルに正常にクランプされていないと認識される。
【特許文献1】特開2003−208743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載のディスク装置では、ディスクがターンテーブルに正常にクランプされたか否かを検知するための専用の検知手段である第1の検知スイッチおよび第2の検知スイッチが設けられている。このため、筐体内に配置される検知スイッチの数が多くなり、また、両検知スイッチの動作状態を監視する検知回路が必要となり、回路構成も複雑になる。
【0007】
また、前記特許文献1に記載のディスク装置では、搬送手段と案内部材とが共にその対向間隔が変化する方向へ移動できる構成である。このように移動する案内部材に第1の検知スイッチと第2の検知スイッチが搭載されているため、案内部材の移動にがたつきなどが生じていると、正常なクランプ位置にあるディスクと、第1の検知スイッチおよび第2の検知スイッチとの相対位置に、ずれが生じやすくなり、その結果、正確なディスク検知ができないことも有り得る。
【0008】
さらに、前記特許文献1に記載のディスク装置では、ターンテーブルが、ストック部にストックされたディスクの中心よりも挿入口側に位置している状態で、ディスクがこのターンテーブルに搬入される構造である。そのため、案内部材に、第1の検知スイッチと第2の検知スイッチを、ディスクの搬送方向に間隔を空けて配置するスペースを設けることができる。これに対し、ターンテーブルの中心が、ストック部内に収納されているディスクの中心と平面で見たときに一致し、ストック内で選択されたディスクがその選択完了位置においてターンテーブルにクランプされる構造にすると、案内部材とストック部内の機構が当たることになり、前記特許文献1に記載の発明を適用することが困難となる。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、回転駆動部にディスクが正常にクランプされたか否かを正確に検知でき、しかもディスクのクランプ状態を検出する専用の検知手段を設けることも不要になるディスク装置を提供することを目的としている。
【0010】
さらに、本発明は、複数のディスクのいずれかを選択する選択手段を設け、選択位置に移動したディスクをその位置で回転駆動部にクランプさせる構造を採用した場合に、挿入口から搬入されたディスク、または選択手段で選択されたディスクが、回転駆動部に正常にクランプされたか否かを正確に判断できるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、挿入口を有する筐体と、前記筐体内に設けられてディスクの中心穴が設置される回転駆動部と、前記回転駆動部にディスクをクランプするクランプ手段と、
前記挿入口と前記回転駆動部との間に位置して、前記挿入口から挿入されたディスクを前記回転駆動部に搬入し、前記回転駆動部でクランプが解除されたディスクを前記挿入口に搬出するディスク移送手段と、
前記挿入口と前記回転駆動部との間に配置されて、前記ディスク移送手段で移送されるディスクを検知でき、且つ前記回転駆動部に正常にクランプされたディスクの外周縁よりも外側に位置する検知手段とを有し、
前記挿入口から挿入されたディスクが前記ディスク移送手段で搬入され前記回転駆動部に設置されて、前記クランプ手段によるクランプ動作が行われた後に、前記ディスク移送手段でディスクに対して前記挿入口方向への搬出力を与え、前記検知手段がディスクを検知したときに、ディスクのクランプ異常であると判断する制御部が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明のディスク装置は、クランプ手段によるクランプ動作が行われた後に、ディスク移送手段をディスクに搬出力を与えるように動作させるだけで、ディスクが回転駆動部に正常にクランプされているか否かを確実に判断できるようになる。また、検知手段を、挿入口と回転駆動部との間に位置が動くことなく配置できるため、この検知手段による検知位置が不用意に動くことがなく、外部からの振動が作用しているような場合であっても、この検知手段を利用してディスクのクランプ状態を正確に判断できるようになる。
【0013】
例えば、本発明は、筐体内に、ディスクの厚さ方向に並べられて配置されそれぞれがディスクを支持可能な複数の支持体と、前記支持体をその並び方向へ移動させていずれかの前記支持体を選択位置に移動させる支持体選択手段とが設けられ、
前記回転駆動部でクランプが解除されたディスクが、選択位置にある前記支持体で保持されるものとして構成できる。
【0014】
上記ディスク装置では、検知手段が、回転駆動部に正常にクランプされたディスクの外周縁よりも外側に位置しているため、検知手段と、支持体に支持されているディスクが重なることはない。そのため、支持体に支持されたディスクに邪魔されることなく、検知手段を用いて、ディスクがクランプされたか否かを確実に判断できる。また、選択位置に移動した支持体に支持されていたディスクが、その選択位置において回転駆動部にクランプされる構成にできる。この場合も、検知手段はディスクの外周縁から離れた位置にあるため、検知手段と、支持体選択手段を構成する機構が重なったり、干渉することがなくなる。
【0015】
ただし、前記本発明は、筐体内に支持体が設けられておらず、1枚のディスクが挿入口から挿入されて回転駆動部にクランプされ、回転駆動部での駆動が終了したディスクが挿入口から搬出されるようにした、ディスクを1枚のみ供給するタイプのディスク装置にも実施できる。
【0016】
また本発明は、挿入口を有する筐体と、前記筐体内でディスクの厚さ方向に並べられて配置されそれぞれがディスクを支持可能な複数の支持体と、前記支持体をその並び方向へ移動させていずれかの前記支持体を選択位置に移動させる支持体選択手段と、
選択位置に移動した前記支持体に支持されていたディスクの中心穴が設置される回転駆動部と、前記回転駆動部にディスクをクランプするクランプ手段と、
前記挿入口と前記回転駆動部との間に位置するディスク移送手段と、
前記挿入口と前記回転駆動部との間に配置されて、前記ディスク移送手段で移送されるディスクを検知でき、且つ前記回転駆動部に正常にクランプされたディスクの外周縁よりも外側に位置する検知手段とを有し、
前記選択位置の支持体に支持されていたディスクが、前記回転駆動部に設置されて、前記クランプ手段によるクランプ動作が行われた後に、前記ディスク移送手段でディスクに対して前記挿入口方向への搬出力を与え、前記検知手段がディスクを検知したときに、ディスクのクランプ異常であると判断する制御部が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
上記ディスク装置では、筐体内に収納された複数枚のディスクが選択されて回転駆動部にクランプされるときにも、ディスクのクランプ動作が正常に行われたか否かを判断できるようになる。
【0018】
例えば、本発明は、前記制御部では、前記クランプ手段によるクランプ動作が完了したときを基準として、または前記ディスク移送手段によるディスクの搬出動作が開始されたときを基準として、所定時間内に前記検知手段がディスクを検知しなかった場合には、ディスクが前記回転駆動部に正常にクランプされていると判断し、前記ディスク移送手段をディスクから離れた位置へ退避させるものである。
【0019】
また本発明は、前記検知手段は、前記挿入口の内側に配置されており、前記挿入口から挿入されたディスクが前記検知手段で検知されたときに、前記制御部は、前記ディスク移送手段をディスク搬入方向へ始動する制御を行うものとして構成できる。
【0020】
上記ディスク装置では、検知手段を、ディスクが挿入されたことを検知するもの、またはディスクが挿入口へ排出された状態を検知するもの、として兼用できるようになり、筐体内に配置される検知部材の数を減らすことができ、また、回路構成も簡単になる。
【0021】
ただし、本発明の検知手段は、ディスクの挿入検知用と別個に設けられ、例えば、回転駆動部に正常にクランプされたディスクの外周縁よりも挿入口側で、且つ前記外周縁からわずかに離れた位置に配置してもよい。
【0022】
例えば、本発明は、前記ディスク移送手段は、移送ローラを有する移送ユニットを有し、前記移送ユニットは、前記回転駆動部にクランプされたディスクの外周縁の外側に前記移送ローラが位置する待機位置と、前記回転駆動部にクランプされたディスクに前記移送ローラから移送力を与えることができる移送動作位置との間で移動可能であり、
ディスクのクランプ動作が行われるときに、前記移送ユニットは前記移送動作位置にあり、クランプ動作が完了した後に、前記移送ローラをディスク搬出方向へ回転させる動作と、前記移送ユニットを前記待機位置へ向けて移動させる動作の、少なくとも一方の動作が行われるものとして構成できる。
【0023】
さらに、本発明は、ディスクのクランプ動作が完了した後に、前記検知手段がディスクを検知した場合には、前記クランプ手段をクランプ解除状態とし、前記ディスク移送手段でディスクを前記回転駆動部に向けて移送し、再度クランプ動作を行うよう制御されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のディスク装置では、回転駆動部にディスクが正常にクランプされたか否かを確実に検知できる。また、外部振動などが作用したときにもディスクがクランプされているか否かを確実に検知できる。さらに、筐体内に専用の検知手段を設けず、検知手段をディスク挿入検知用などと兼用させることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す分解斜視図、図2はディスク搬入動作を示す平面図、図3はディスクのクランプ完了直後のクランプ確認動作を示す平面図である。図4は、クランプ動作後に、ディスクが正常にクランプされたか否かを確認する制御動作を示すフローチャートである。
【0026】
図1に示すディスク装置1は箱型の筐体2を有している。図1において、筐体2の基準方向は、図示Z1側が下側、Z2側が上側、X1側が左側、X2側が右側、Y1側が手前側、Y2側が奥側である。また、図示X1−X2方向が横方向、Y1−Y2方向が奥行き方向である。
【0027】
筐体2は、下側から上側に向けて、下部筐体3、中間筐体4および上部筐体5が順に重ねられて組み立てられている。下部筐体3は筐体2の底面6を有し、中間筐体4は、筐体2の前面7と右側面8を有しており、前面7にディスクDが挿入され排出される挿入口23が開口している。上部筐体5は、筐体2の左側面9と後面10および天井面11を有している。
【0028】
図1に示すように、下部筐体3の底面6の上面には第1の切換え機構12が設けられている。第1の切換え機構12には、図示しない切換えモータの動力によって図示Y1−Y2方向へ駆動されるラック部材30が設けられている。
【0029】
下部筐体3では、第1の切換え機構12の上にユニット支持ベース13が設けられ、ユニット支持ベース13は、下部筐体3の底面6に設けられた複数のダンパー18によって弾性支持されている。ユニット支持ベース13には図示Y2方向へ突出する規制軸13aと図示Y1方向へ突出する規制軸13b,13bが設けられている。
【0030】
下部筐体3では、Y2側の側板の内側にロック部材54が設けられ、このロック部材54に制御穴56が形成されている。ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13aは制御穴56内に挿入されている。下部筐体3のY1側の側板の内側にもロック部材(図示せず)が設けられ、このロック部材に2つの制御穴が形成されて、ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13b,13bが前記2つの制御穴のそれぞれに挿入されている。
【0031】
第1の切換え機構12では、ラック部材30の移動力が回動アーム35を介してロック切換えスライダ36に与えられる。このロック切換えスライダ36によって、ロック部材54および、Y1側の側板の内側に設けられた他のロック部材がX1方向またはX2方向へ移動させられる。
【0032】
ユニット支持ベース13上には、駆動ユニット14が設置されている。駆動ユニット14には、回転駆動部であるターンテーブル82とターンテーブル82を駆動するスピンドルモータが設けられている。また、駆動ユニット14は光ヘッド83を有しており、光ヘッド83は、駆動ユニット14に搭載されたスレッド機構によって、ターンテーブル82に接近する方向、及びターンテーブル82から離れる方向へ向けて移動する。このとき、光ヘッド83に設けられた対物レンズ83aが、ターンテーブル82にクランプされたディスクDの記録面に沿って移動する。
【0033】
ユニット支持ベース13には、図示Y2側の端部に垂直に立ち上がる支持軸80が設けられ、駆動ユニット14は、支持軸80によって水平方向へ回動できるように支持されている。図1では、駆動ユニット14が退避位置にあるが、この退避位置から矢印(a)方向へ回動すると、図2および図3に示すように、ターンテーブル82が下部筐体3のほぼ中心部へ移動して、駆動ユニット14は、選択されたディスクDを回転駆動可能な駆動位置に設定される。
【0034】
駆動ユニット14は、第1の切換え機構12によって、前記退避位置から前記駆動位置へ向けて回動させられる。図1に示すように、第1の切換え機構12には、ラック部材30と共に図示Y1−Y2方向へ移動する切換えスライダ34が設けられ、この切換えスライダ34に駆動ピン33が固定されている。ラック部材30が図示Y2方向へ移動していると、切換えスライダ34が図示Y2方向へ移動し、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が、図1に示す退避位置へ回動した状態で保持される。ラック部材30が図示Y1方向へ移動し、これと共に切換えスライダ34が図示Y1方向へ移動すると、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が矢印(a)方向へ回動させられて駆動位置へ移動する。
【0035】
ターンテーブル82には、ディスクDの中心穴D1をクランプするクランプ機構(クランプ手段)が搭載されている。このクランプ機構は、いわゆるセルフクランプ機構である。ターンテーブル82の中心部にはZ2方向へ突出する凸部82aが設けられており、ディスクDの中心穴D1は、この凸部82aに嵌合する。凸部82a内には3つのクランプ爪が設けられており、このクランプ爪が凸部82aの外周から半径方向へ突出し、また凸部82aに後退する。このクランプ爪は、ターンテーブル82の回転中心に対して120度の角度配置で設けられている。
【0036】
駆動ユニット14内には、クランプ動力を伝達する伝達機構が設けられ、支持軸80には前記伝達機構に連結された伝達リンクが回動自在に支持されている。前述のように、駆動ユニット14が図1に示す退避位置にある状態から、切換えスライダ34がY1方向へ移動すると、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が(a)方向へ回動させられて、図2または図3に示す駆動位置へ回動する。その後さらに、ラック部材30の駆動力で切換えスライダ34がY1方向へ移動すると、駆動ユニット14が図2と図3に示す駆動位置に停止した状態で、駆動ピン33により前記伝達リンクが回動させられる。この伝達リンクの回動力が前記伝達機構によりターンテーブル82の内部に伝達され、前記クランプ爪が凸部82aの外周から突出してクランプ動作完了状態となる。
【0037】
ディスクDの中心穴D1が凸部82aに嵌合している状態で、前記クランプ爪がクランプ動作完了状態になると、ディスクDの中心穴D1にクランプ爪が圧接し、ディスクDがターンテーブル82に一緒に回転できる状態にクランプされる。
【0038】
下部筐体3内には、ラック部材30のY1方向への移動位置を検知する複数の検知スイッチが設けられている。いずれかの検知スイッチにより、ラック部材30が図1に示す位置へ移動して、駆動ユニット14が退避位置にあることを検知でき、他の検知スイッチにより、ラック部材30がY1方向の所定位置へ移動し、駆動ユニット14の駆動位置への回動が完了したことを検知できる。さらに他の検知スイッチにより、ラック部材30がY1方向へ移動し、前記クランプ手段によるクランプ動作が完了したことを検知できる。
【0039】
なお、前記クランプ手段として、駆動ユニット14内に小型のモータを搭載し、このモータの動力で前記クランプ爪を動作させるとともに、前記クランプ爪がクランプ動作完了状態に至ったことを検知する検知スイッチを設けてもよい。
【0040】
さらに本発明は、クランプ手段が前記クランプ爪を有するセルフクランプ機構に限定されるものではなく、例えば駆動ユニット14に、ターンテーブル82に対向するクランパが回転自在に支持されており、ターンテーブル82の凸部82aがディスクDの中心穴D1に嵌合した状態で、前記クランパがターンテーブル82に加圧されて、ディスクDがターンテーブル82とクランパとで挟持されるものであってもよい。
【0041】
図1に示すように、中間筐体4の上部には、底面6と平行な機構ベース15が設けられ、機構ベース15の上に第2の切換え機構16が設けられている。中間筐体4では、機構ベース15の下側で且つ前面7の内側に移送ユニット17が設けられている。
【0042】
図2と図3に示すように、移送ユニット17には、移送ローラ112,113が設けられている。移送ローラ112,113は単一のローラ軸114の外周に設けられている。移送ユニット17には、移送ローラ112,113と対向する合成樹脂製の挟持部材が固定されており、移送ローラ112,113は、ばねの力で前記挟持部材に圧接されている。挿入口23から挿入されたディスクDは移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持される。
【0043】
図1に示すように、下部筐体3の底面には支持軸17aが垂直に固定されており、移送ユニット17のX1側の端部は、支持軸17aに回動自在に支持されている。図1と図2では、移送ユニット17が前面7の内側に沿う待機位置にある。待機位置にある移送ユニット17は、図2に示すように、筐体2内に収納されているディスクDの外周縁の外側に位置している。
【0044】
図1に示すように、第2の切換え機構16には、円弧状の駆動部材37が設けられ、機構ベース15上に設けられた第2の移送モータM2の動力で、駆動部材37がその長手方向に向けて円弧軌跡で移動する。機構ベース15上には回動リンク38が回動自在に支持されている。駆動部材37がY2方向へ向けて移動すると、この駆動部材37の移動力によって、回動リンク38が反時計方向へ回動させられる。このときの回動リンク38の回動力によって、移送ユニット17が、支持軸17aを支点として(b)方向へ回動させられる。移送ユニット17は図3に示す移送動作位置まで回動する。
【0045】
図1に示す下部筐体3内には、第1の移送モータM1が設けられている。支持軸17aには伝達歯車17bが回転自在に支持されており、第1の移送モータM1により伝達歯車17bが回転させられる。この伝達歯車17bの回転力は、移送ユニット17内のローラ軸114に伝達されて、移送ローラ112,113が回転駆動される。
【0046】
なお、第1の移送モータM1と第2の移送モータM2は、図3において、簡易的にブロック図で記載している。
【0047】
図1に示すように、上部筐体5の、左側面9と後面10および天井面11で囲まれた領域がディスク収納領域20となっており、ディスク収納領域20には、複数の支持体21が、その厚み方向であるZ1−Z2方向に並べられて設けられている。この実施の形態では、支持体21が6枚設けられている。
【0048】
上部筐体5には支持体選択手段22が設けられている。支持体選択手段22は3箇所に設けられたスクリュー軸であり、それぞれが天井面11に回動自在に支持されている。そして、複数の支持体21のそれぞれは、支持体選択手段22のスクリュー溝に摺動自在に嵌合している。図示しない選択モータによって各支持体選択手段22が同期して回転駆動されると、前記スクリュー溝によって、それぞれの支持体21が図示Z1−Z2方向へ移動して支持体21の選択動作が行われる。選択された支持体21は、挿入口23とほぼ同じ高さの選択位置に設定され、選択位置にある支持体21とその下に位置する支持体21との間に大きな隙間が形成される。
【0049】
挿入口23から挿入されて筐体2内に搬入されたディスクDは、選択位置にある支持体21の下面に設置される。図2と図3に示すように、それぞれの支持体21の下面には保持爪41,42,43が設けられている。保持爪41,42,43は、支持体21に回動自在に支持されており、その回転中心は、それぞれの支持体選択手段22の回転中心に一致している。それぞれの保持爪41,42,43はばねにより支持体21の中心部に向かって突出するように付勢されており、ディスクDは、支持体21の下面と保持爪41,42,43とで保持される。筐体2内には、図示しない保持解除機構が設けられており、選択位置に移動した支持体21の保持爪41,42,43が保持解除機構に対向する。選択位置に移動した支持体21の下面のディスクDがターンテーブル82にクランプされると、前記保持解除機構により保持爪41,42,43が回動させられ、保持爪41,42,43がディスクDと重ならない位置に退避し、ディスクDと支持体21とが分離される。
【0050】
ディスクDは、直径が12cmであって、例えばCD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などであり、中心穴D1を有している。
【0051】
図2および図3に示すように、移送ユニット17には一対の光学検知素子F1,F2が設けられている。光学検知素子F1,F2は、移送ユニット17のユニット枠に設けられ、移送ユニット17の挟持部材と各移送ローラ112,113との間を通過するディスクDを挟んで、一方の側に発光素子が、他方の側に受光素子が、互いに対向して設けられている。
【0052】
光学検知素子F1,F2は、図2に示すディスクDの挿入中心線Oa(図1に示す挿入口23の幅寸法Wの中心)に対して、左右に等距離を開けて配置されている。それぞれの光学検知素子F1,F2は、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113との間に位置し、ローラ軸114よりも挿入口23側に設けられている。
【0053】
図2に示すように、移送ユニット17が待機位置にあるとき、光学検知素子F1,F2は、ローラ軸114と挿入口23との間に位置する。挿入口23からディスクDが挿入されると、その前方の周縁部が第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113に当たる前に、このディスクDによって、光学検知素子F1,F2が遮られ、両光学検知素子F1,F2の検知出力がONからOFFに切り換わる。これによって、挿入口23からディスクDが挿入されたことを検知できる。
【0054】
この検知動作に基づいて、第1の移送モータM1が始動し、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113がディスク搬入方向へ自転を開始する。ディスクDが第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113に至った時点で、両移送ローラ112,113がディスク搬入方向へ自転を開始しているため、挿入口23から挿入されたディスクDは、移送ローラ112,113の回転力によって筐体2内にスムースに送り込まれる。
【0055】
図2および図3に示すように、挿入口23の直ぐ内側には一対の検知部材251と252が設けられている。検知部材251,252は、垂直に延びる検知ピンであり、それぞれの検知ピンは、筐体2の内側において、挿入口23を上下に横断している。検知部材251,252は、図示しないスライダに搭載されて、互いに独立して図示X1−X2方向へ直線的に移動自在に支持されており、ばねによって互いに接近する方向へ付勢されている。
【0056】
一方の検知部材251には、図示X1−X2方向に延びる検知板253が固定され、他方の検知部材252には、図示X1−X2方向に延びる検知板254が固定されている。筐体2内には、検知板253によって動作させられる検知スイッチSW1,SW3,SW4と、他方の検知板254によって動作させられる検知スイッチSW2とが設けられている。
【0057】
図3では、検知部材251と検知部材252が、前記ばねによって最も接近した初期位置にある。このとき、検知板253によって検知スイッチSW1がONに切換えられており、検知板254によって検知スイッチSW2がONに切換えられている。そして、ディスクDが筐体2内に搬入されると、ディスクDの外周縁によって、検知部材251が図示X2方向へ押され、検知部材252が図示X1方向へ押されて、検知スイッチSW1とSW2が直ちにOFFになる。この検知スイッチSW1,SW2が共にOFFであることを確認することにより、ディスクDが筐体内に搬入されている動作が行われていること、またはディスクDが挿入口23に向けて搬出される動作が行われていることを認識できる。
【0058】
また、移送ユニット17が、図2に示す待機位置にあるときに、挿入口23から挿入されたディスクDが、移送ローラ112,113によって筐体2内に搬入されると、検知板253がX2方向へ移動して、検知スイッチSW3がONになる。SW3がONになったときに、第2の移送モータM2が始動し、図1に示す第2の切換え機構16の駆動部材37がY2方向へ移動させられ、回動リンク38によって移送ユニット17が(b)方向へ回動させられる。このとき、移送ローラ112,113の回転を継続しながら移送ユニット17が(b)方向へ回動する。移送ユニット17が図3に示す移送動作位置に移動したときに、移送ユニット17の(b)方向への回動が停止し、その後の一定時間だけ移送ローラ112,113が回転し続ける。
【0059】
また、ディスクDの中心穴D1が挿入口23から筐体内へ移動すると、検知板253によって検知スイッチSW4が短時間だけOFFからONに切換えられる。よって、検知スイッチSW1とSW2が共にONからOFFに切換えられ、その後に検知スイッチSW4が短時間だけOFFからONになってさらにOFFとなり、また検知スイッチSW1とSW2がOFFからONに復帰することを確認することにより、ディスクDが筐体2内に搬入されたことを判断できる。また、筐体2内にあるディスクDが挿入口23から排出されるときも、検知スイッチSW1,SW2,SW3,SW4を監視することで、ディスクDが正常に排出されたことを検知できる。
【0060】
次に、このディスク装置1の回路構成を図3に示すブロック図で説明する。
図3では、各回路構成が筐体2の外部にあるように図示されているが、実際は、各回路は、筐体2内に収納された回路基板上に実装されている。
【0061】
第1の移送モータM1と第2の移送モータM2は、モータドライバである駆動部301により駆動され、駆動部301は、CPUやメモリを備えた制御部302により制御される。また、光学検知素子F1,F2、各検知スイッチSW1,SW2,SW3,SW4の出力は検知回路である検知部303に与えられ、さらに制御部302で、その出力の切り換わり状態が監視される。なお、図1に示すラック部材30のY1方向への移動位置を検知する各検知スイッチの出力も検知部303に与えられる。
【0062】
次に、本発明のディスク装置1の全体動作について説明する。
(ディスク搬入動作)
図2に示すように、駆動ユニット14が駆動位置にあり、且つ移送ユニット17が筐体2の前面7の内側の待機位置にあるときに、ディスクDが挿入口23から挿入される。ディスクDを装填する前に、操作によって支持体21が指定されるが、既に指定された支持体21が選択位置にあるときには、直ちに、挿入口23を閉鎖している蓋体が開放されてディスクDを挿入口23から挿入可能となる。ただし、操作されたときに、指定された支持体21が選択位置に無いときは、駆動ユニット14が退避位置へ移動し、支持体選択手段22によって、指定された支持体21が選択位置に移動させられ、その後に、前記蓋体が開放されて挿入口23からのディスクDの挿入が可能となる。
【0063】
ディスクDが挿入されたときには、光学検知素子F1,F2および検知スイッチSW1,SW2およびSW4を監視して、ディスクDが正常に搬入されているかの判定が行なわれる。
【0064】
ディスクDが挿入口23から挿入され、光学検知素子F1,F2のいずれか一方の出力が切り換わると、制御部302の制御により、第1の移送ローラM1が始動して移送ローラ112,113が自転を開始し、ディスクDが筐体2内に搬入され始める。そして、図3に示す検知部材251がX2方向へ移動し、検知板253によって検知スイッチSW3がONに切り換えられると、第2の移送モータM2が始動し、移送ユニット17は、図2に示す待機位置から(b)方向へ回動する。移送ユニット17が回動する間、ディスクDは移送ユニット17の回動動作と移送ローラ112,113の自転動作の双方の駆動力により、筐体2内に向けて搬入される。
【0065】
図3に示すように、移送ユニット17が移送動作位置まで回動すると、第2の移送モータM2が停止し、移送ユニット17は図3に示す移送動作位置で停止する。その後の一定時間だけ、移送ローラ112,113のディスク搬入方向への自転が継続され、その回転力によって、ディスクDが選択位置にある支持体21に送り込まれ、ディスクDは、選択位置にある支持体21の下面と各保持爪41,42,43とで保持される。ディスクDが、選択位置にある支持体21に保持されたことが図示しない検知手段で検知されると、第1の移送モータM1が停止し、移送ローラ112,113の自転が止まる。このとき、搬入されたディスクDは、支持体21の下面に保持され、且つ移送ユニット17の移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持された状態となる。
【0066】
(ディスククランプ動作)
ディスクが搬入される間、図1に示す下部筐体3に設けられたロック部材54はX2方向へ移動しており、ロック部材54に形成された制御穴56のX1側の下降拘束部56aによって、ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13aがZ1方向へ押し下げられて拘束されている。同様に、ユニット支持ベース13のY1側に設けられた規制軸13b,13bも、下部筐体3に設けられた他のロック部材の制御穴によって、Z1方向へ押し下げられて拘束されている。よって、筐体2内に搬入されるディスクDは、ユニット支持ベース13と共に下降させられているターンテーブル82の上方を通過して支持体21に保持される。
【0067】
ディスククランプ動作では、図1に示す第1の切換え機構12のラック部材30がY1方向へ駆動される。この行程では、最初に切換えスライダ34がY1方向へは移動せず、駆動ユニット14が図3に示す駆動位置に停止した状態で、回動アーム35が反時計方向へ駆動されロック切換えスライダ36がY1方向へ移動させられる。このロック切換えスライダ36の移動力により、ロック部材54がX1方向へ移動させられ、ロック部材54に設けられた制御穴56の持ち上げ部56bによって規制軸13aがZ2方向へ持ち上げられる。また、ロック切換えスライダ36によって、他のロック部材が移動させられて、規制軸13b,13bもZ2方向へ持ち上げられる。
【0068】
よって、ユニット支持ベース13が持ち上げられ、駆動ユニット14に設けられたターンテーブル82の凸部82aが、選択位置の支持体21に保持されているディスクDの中心穴D1内に入り込む。
【0069】
さらにラック部材30がY1方向へ移動すると、このときは、回動アーム35が停止してロック切換えスライダ36が停止した状態で、ラック部材30のY1方向への移動力により切換えスライダ34が図示Y1方向へ移動させられる。このとき、切換えスライダ34に固定された駆動ピン33によって、伝達リンクが支持軸80を中心として回動させられ、駆動ユニット14内の伝達機構が動作し、ターンテーブル82に設けられたクランプ手段が動作させられる。クランプ手段では、複数のクランプ爪が、ターンテーブル82の凸部82aの外周面から突出して、ディスクDの中心穴D1がクランプ爪で保持され、ディスクDがターンテーブル82上で回転方向へ滑らないようにクランプされる。このクランプ動作の完了は、ラック部材30のY1方向への移動位置を下部筐体3に設けられた検知スイッチで検知することで、制御部302において認識される。
【0070】
(ディスクが正常にクランプされたか否かの確認動作)
ディスクDがターンテーブル82に正常にクランプされたか否かの確認動作は、図4に示すフローチャートに基づいて行われる。このフローチャートに基づく制御動作は、制御部302がプログラムを実行することで行われる。図4では、フローチャートの各ステップを「ST」で示している。
【0071】
この確認動作は、図3に示すように、ディスクDが支持体21の下面と保持爪41,42,43とで保持されており、且つディスクDが、移送ユニット17の移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持されている状態で行われる。
【0072】
クランプ手段によるディスククランプ動作の完了が確認されると、制御部302から駆動部301に制御指令が与えられる。
【0073】
このとき、図4のST1Aに基づいて、第2の移送モータM2を停止させた状態で第1の移送モータM1のみを始動する。その結果、移送ユニット17が図3に示す移送動作位置で停止している状態で、移送ローラ112,113がディスク排出方向へ回転させられる。あるいは、ST1Bに示すように、第1の移送モータM1が停止した状態で第2の移送モータM2のみを始動し、移送ローラ112,113が停止した状態で、移送ユニット17が、筐体2の前面7に向けて時計方向((b)方向と逆の方向)へ回動させられる。または、ST1Cに示すように、第1の移送モータM1と第2の移送モータM2の双方を始動し、移送ユニット17が時計方向へ回動しながら、移送ローラ112,113がディスク排出方向へ回転させられる。
【0074】
ST1A、ST1B、ST1Cのいずれかの制御動作により、クランプ動作が完了した後に、ディスクDにY1方向への排出力が与えられる。
【0075】
図4に示すST2では、ST1A、ST1B、ST1Cのいずれかの処理が開始されたときに時間計測を開始し、予め設定されている一定時間の監視時間内に、検知スイッチSW1と検知スイッチSW2の検出出力を監視する。前記監視時間を経過した時点で、検知スイッチSW1とSW2の双方がONの状態を継続していれば、ST3において、制御部302は、ディスクDがターンテーブル82に正常にクランプされていると判断する。
【0076】
ディスクDがターンテーブル82に正常にクランプされていると判断されたときには、保持解除機構により、選択位置にある支持体21に設けられた保持爪41,42,43がディスクDと重ならない位置へ退避させられ、支持体21でのディスクDの保持が解除される。さらに、図1に示す第1の切換え機構12のラック部材30がY1方向へ移動させられる。このとき、切換えスライダ34が移動することなく、ロック切換えスライダ36がY1方向へ移動させられ、ロック部材54がX1方向へ移動させられる。このとき、ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13aが、ロック部材54に形成された制御穴56の逃げ部56c内に入る。同様に、Y1側に設けられた他のロック部材が動作し、ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13b,13bが、他のロック部材に形成された制御穴の逃げ部内に入る。逃げ部は、規制軸13a,13bよりも十分に大きな開口部であり、ユニット支持ベース13およびこれに支持されている駆動ユニット14は、ダンパー18,18,18によって弾性支持された状態となる。
【0077】
この状態でST4に移行し、駆動ユニット14に設けられたスピンドルモータが始動し、ターンテーブル82と共にディスクDが回転駆動され、光ヘッド83によって再生動作や記録動作が行われる。
【0078】
ST2において、検知スイッチSW1と検知スイッチSW2の少なくとも一方が、前記監視時間内に、一度でもONからOFFに切換えられたことが確認された場合には、制御部302では、ST5において、ディスクDがターンテーブル82に正常にはクランプされていないと判断する。これは、ターンテーブル82の凸部82aがディスクの中心穴D1に確実に入り込んでいない状態で、凸部82aからクランプ爪が突出してクランプ動作完了状態となっているときなどに発生する。
【0079】
正常なクランプ動作が行われていないと、ST1A、ST1B、ST1Cのいずれかの制御動作において、ディスクDが挿入口23に向けて移動させられることになり、このディスクDが検知部材251,252の少なくとも一方に当たって、検知板253,254が移動し、検知スイッチSW1またはSW2の少なくとも一方がOFFに切換えられる。
【0080】
ST5において、ディスクDが正常にクランプされていないと判断されると、ST6のリトライ動作に移動する。
【0081】
このリトライ動作では、検知スイッチSW1とSW2の少なくとも一方がOFFになったときに、制御部302の制御により、移送ローラ112,113のディスク排出方向への自転が停止させられ、移送ユニット17の回動動作が停止させられる。あるいは、移送ローラ112,113のディスク排出方向への自転が停止させられ、且つ移送ユニット17の回動動作が停止させられる。
【0082】
そして、図1に示す第1の切換え機構12のラック部材30がY2方向へ移動させられる。ラック部材30がY2方向へ移動させられると、まずクランプ手段がクランプ解除動作を行い、ターンテーブル82の凸部82aから突出していたクランプ爪が凸部82a内に後退する。さらに、ロック切換えスライダ36がY2方向へ移動させられ、ロック部材54がX2方向へ移動させられて、規制軸13aが、ロック部材54に設けられた制御穴56の下降拘束部56aで拘束される。また、Y1側に設けられたロック部材の制御穴によって、規制軸13b,13bが下降させられて拘束される。したがって、ユニット支持ベース13と駆動ユニット14がZ1方向へ下降する。
【0083】
次に、制御部302から駆動部301に制御指令が与えられ、ST1AまたはST1BあるいはST1Cの逆の動作が行われる。ST1Aの制御が行われていたときには、第1の移送モータM1を逆転させて、移送ローラ112,113をディスク搬入方向へ回転させ、ディスクDを再度、選択位置にある支持体21の下面に供給して、ディスクDを支持体21の下面と保持爪41,42,43との間で保持する。ST1Bの制御が行われていたときには、第2の移送モータM2を逆転させて、移送ユニット17を移送動作位置に向けて(b)方向へ回動させ、ディスクDを支持体21と保持爪41,42,43との間に供給する。ST1Cの制御が行われていたときには、第1の移送モータM1と第2の移送モータM2の双方を動作させ、移送ローラ112,113をディスク搬入方向へ回転させるとともに、移送ユニット17を(b)方向へ回動させる。
【0084】
そして、ディスクDが支持体21の下面に供給された後に、再度ディスククランプ動作に移行する。その後に図4のフローチャートに示す確認動作を行い、ディスクDがターンテーブル82に正常にクランプされたか否かを確認する。なお、ST6に示すリトライ動作を予め決められた所定回数行っても、ディスクDがターンテーブル82に正常にクランプされないときには、移送ユニット17を図2に示す待機位置へ移動させ、その間、移送ローラ112,113を搬出方向へ回転させて、ディスクDを挿入口23から排出させ、表示部に異常動作状態であることを表示する。
【0085】
上記のST2では、検知スイッチSW1,SW2の検出出力を監視することによって、ディスクDがターンテーブル82に正常にクランプされたか否か判断している。ただし、移送ユニット17において、光学検知素子F1,F2の配置位置を、図2に示す位置よりもY1側に移動させ、図3に示すように、ディスクDの中心がターンテーブル82の中心に一致したときに、光学検知素子F1,F2が、そのディスクDの外周縁よりもわずかに外側に外れて位置できるようにしてもよい。光学検知素子F1,F2をこのように配置すると、図4のフローチャートのST1Aにおいて、移送ユニット17を図3に示す移送動作位置に停止させた状態で、移送ローラ112,113をディスク搬出方向へ回転させ、ST2において、この光学検知素子F1,F2が監視時間内にOFFに切り換わるか否かを監視することによって、ディスクDが正常にクランプされているか否かを判断できる。
【0086】
光学検知素子F1,F2を上記のように配置すると、ST1BやST1Cの動作が不要になる。すなわち、移送ユニット17を図3に示す移送動作位置から動かすことなく、移送ローラ112,113を回転させるのみで、ディスクDが正常にクランプされてか否かの確認ができるようになる。
【0087】
(ディスク収納領域20内のディスクのいずれかを選択して駆動する動作)
ディスク収納領域20内に収納されているディスクDのいずれかを選択して駆動するときには、まず、駆動ユニット14を退避位置へ移動させ、且つ移送ユニット17を待機位置へ移動させる。そして、支持体選択手段22を駆動し、いずれかの支持体21を選択位置へ移動させる。
【0088】
その後、図2に示すように、駆動ユニット14が介入位置へ回動し、さらに図1に示すロック部材54がX1方向へ移動し、他のロック部材も移動して、ロック部材54の持ち上げ部56bおよび他のロック部材の持ち上げ部によってユニット支持ベース13を持ち上げられて、ターンテーブル82の凸部82aが、支持体21に支持されているディスクDの中心穴D1内に入る。その後、前記と同様のクランプ動作が行われる。
【0089】
このクランプ動作が開始される前、またはクランプ動作が完了した後に、図3に示すように、移送ユニット17が(b)方向へ回動させられる。このとき、移送ローラ112,113をディスク排出方向へ回転させながら、移送ユニット17を回動させることで、ディスクDが、移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持される。
【0090】
その後、図4に示すフローチャートにしたがって、ディスクDが正常にクランプされているか否かの確認動作が行われる。
【0091】
(その他)
なお、本発明の、ディスクが正常にクランプされたか否かを判断するための動作やそのフローは、図1に示すような、ディスク収納領域20に、それぞれがディスクを支持可能な複数の支持体が設けられているディスク装置にだけでなく、支持体が1つのみ設けられている、いわゆるシングルタイプのディスク装置等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す分解斜視図、
【図2】ディスク搬入動作を示す平面図、
【図3】ディスクのクランプ完了後のクランプ確認動作を示す平面図、
【図4】クランプ動作後に、ディスクが正常にクランプされたか否かを確認する制御動作を示すフローチャート、
【符号の説明】
【0093】
1 ディスク装置
17 移送ユニット
23 挿入口
82 ターンテーブル
82a 凸部
112 第1の移送ローラ
113 第2の移送ローラ
F1,F2 光学検知素子
SW1,SW2,SW3,SW4 検知スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口を有する筐体と、前記筐体内に設けられてディスクの中心穴が設置される回転駆動部と、前記回転駆動部にディスクをクランプするクランプ手段と、
前記挿入口と前記回転駆動部との間に位置して、前記挿入口から挿入されたディスクを前記回転駆動部に搬入し、前記回転駆動部でクランプが解除されたディスクを前記挿入口に搬出するディスク移送手段と、
前記挿入口と前記回転駆動部との間に配置されて、前記ディスク移送手段で移送されるディスクを検知でき、且つ前記回転駆動部に正常にクランプされたディスクの外周縁よりも外側に位置する検知手段とを有し、
前記挿入口から挿入されたディスクが前記ディスク移送手段で搬入され前記回転駆動部に設置されて、前記クランプ手段によるクランプ動作が行われた後に、前記ディスク移送手段でディスクに対して前記挿入口方向への搬出力を与え、前記検知手段がディスクを検知したときに、ディスクのクランプ異常であると判断する制御部が設けられていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
筐体内に、ディスクの厚さ方向に並べられて配置され、それぞれがディスクを支持可能な複数の支持体と、前記支持体をその並び方向へ移動させていずれかの前記支持体を選択位置に移動させる支持体選択手段とが設けられ、
前記回転駆動部でクランプが解除されたディスクが、選択位置にある前記支持体で保持される請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
挿入口を有する筐体と、前記筐体内でディスクの厚さ方向に並べられて配置されそれぞれがディスクを支持可能な複数の支持体と、前記支持体をその並び方向へ移動させていずれかの前記支持体を選択位置に移動させる支持体選択手段と、
選択位置に移動した前記支持体に支持されていたディスクの中心穴が設置される回転駆動部と、前記回転駆動部にディスクをクランプするクランプ手段と、
前記挿入口と前記回転駆動部との間に位置するディスク移送手段と、
前記挿入口と前記回転駆動部との間に配置されて、前記ディスク移送手段で移送されるディスクを検知でき、且つ前記回転駆動部に正常にクランプされたディスクの外周縁よりも外側に位置する検知手段とを有し、
前記選択位置の支持体に支持されていたディスクが、前記回転駆動部に設置されて、前記クランプ手段によるクランプ動作が行われた後に、前記ディスク移送手段でディスクに対して前記挿入口方向への搬出力を与え、前記検知手段がディスクを検知したときに、ディスクのクランプ異常であると判断する制御部が設けられていることを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
前記制御部では、前記クランプ手段によるクランプ動作が完了したときを基準として、または前記ディスク移送手段によるディスクの搬出動作が開始されたときを基準として、所定時間内に前記検知手段がディスクを検知しなかった場合には、ディスクが前記回転駆動部に正常にクランプされていると判断し、前記ディスク移送手段をディスクから離れた位置へ退避させる請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記挿入口の内側に配置されており、前記挿入口から挿入されたディスクが前記検知手段で検知されたときに、前記制御部は、前記ディスク移送手段をディスク搬入方向へ始動する制御を行う請求項1ないし4のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項6】
前記ディスク移送手段は、移送ローラを有する移送ユニットを有し、前記移送ユニットは、前記回転駆動部にクランプされたディスクの外周縁の外側に前記移送ローラが位置する待機位置と、前記回転駆動部にクランプされたディスクに前記移送ローラから移送力を与えることができる移送動作位置との間で移動可能であり、
ディスクのクランプ動作が行われるときに、前記移送ユニットは前記移送動作位置にあり、クランプ動作が完了した後に、前記移送ローラをディスク搬出方向へ回転させる動作と、前記移送ユニットを前記待機位置へ向けて移動させる動作の、少なくとも一方の動作が行われる請求項1ないし5のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項7】
ディスクのクランプ動作が完了した後に、前記検知手段がディスクを検知した場合には、前記クランプ手段をクランプ解除状態とし、前記ディスク移送手段でディスクを前記回転駆動部に向けて移送し、再度クランプ動作を行うよう制御される請求項1ないし6のいずれかに記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−287206(P2007−287206A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111130(P2006−111130)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】