説明

ディスペンサ装置によって液体濃縮物から泡入り飲料を供給するための方法およびシステム

ディスペンサ装置によって液体濃縮物から泡入り飲料を供給する新規な方法およびシステムが、開示されている。一実施形態において、所望の質感、安定性および気泡径分布を有する泡を生成することによって泡の品質を改良するための方法およびシステムは、第1の泡を生成するために低い粘性の液体の使用を備え、第1の泡は、ついで、この泡をより高い粘性の液体と混合することによって安定化される。高品質の泡を生成するために、発泡性液体の濃縮物を異なる濃度で供給すること、または水の添加時間および/または流量を変動させることによって異なる濃度を得ることなどの、2つの手法を含む異なる添加プロトコルを使用した。特定の計量分配条件(流量および時間)で牛乳および他の液体濃縮物を使用して、分配システムに対する肯定的な結果がみられた。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、飲料に関する。より詳細には、本発明は、泡入り飲料を計量配分するための方法およびシステムに関する。
【0002】
[0002]泡の品質(たとえば、時間の経過に伴う安定性、固さ、および外観など)と量とは、カプチーノタイプの飲料にとって重要な要因である。多くの人々は、最高品質の泡は、たとえば喫茶店で手によって作られ、新鮮な牛乳を蒸気噴射によって泡立たせることから得られると考えている。少量のエスプレッソコーヒー(express coffee)が熱い牛乳に加えられ、泡が液体部分の上に静かに注入される。この結果、小さな気泡径分布を備えた、高密度で固く、安定した泡となる。しかし、泡を生成するこの方法は、熟練したオペレータを必要とし、かつ達成するのに比較的長い時間もまた必要とされる。さらに、手による調整のため、最終的な製品の統一性は、オペレータの技術に強く関連している。したがって、高品質の泡入り飲料を生成するために容易に使用可能な方法および装置が必要となる。
【0003】
[0003]米国特許第2,949,993号「Carbonated Coffee Beverage Dispenser」は、上部に所望のクリームを備えた低温の炭酸入りコーヒー飲料を計量配分する装置を記載している。液体が分配ヘッドに供給され、そこで液体は混合されて、最終的にカップに入れられる。この特許は、「適切なクリームが各飲料の上に形成されるのを保証するために、それぞれの組合せのための異なる計量分配の順序が必要となる。」ことを主張するものである。数多くの製法が開発されていると述べられているが、流量、添加順序、または添加時間に関する情報は提供されていない。この特許の問題点は、この特許が、カプチーノタイプの飲料の泡に適用されず、また、時間の経過に伴う泡の品質および安定性に関して言及されていないことである。
【0004】
[0004]米国特許第4,388,338号「Method for Preparing Beverages in Portions」は、自動販売機の飲料を調製するための方法に関する。予め測定された量の味付き粉末が、カップに加えられる。2つの異なる水流が、カップに同時に送られる。1つの水流は、高圧かつ低流量であり、第2の流れは、より低い加圧水(わずかな過圧)およびより高い流量を有する。味付け粉末のあらゆる粒体を洗浄して落として、溶解するために、最後の水のシャワーを泡入り飲料の上に噴霧することができる。それにもかかわらず、この特許は、計量分配する間に、異なる粘度(たとえば希釈剤に対する異なる製品成分比率)の飲料の液体を供給して、泡を改良するかまたは供給時間を減少させることを示していない。
【0005】
[0005]米国特許第4,903,585号「Dispensing Coffee Having a Foamed Appearance」は、噴霧乾燥させた粉末から、安定した泡の厚い層を備えたコーヒーを生成して計量配分するための装置を記載している。この装置を使用する方法は、混合チャンバ内で限られた量の冷水を使用して、強烈な攪拌で泡を発生させ(したがって、泡入りの液体コーヒー濃縮物を形成する)、泡を破壊することなくこの飲料を温水で希釈することからなる。この特許の問題点は、飲料を計量配分する前に、泡入り冷液濃縮物が正確な比率で温水で希釈される必要があり、したがって供給時間が犠牲になる可能性があるため、処理が連続的でないことである。さらに、側壁上の泡の表面張力を壊すために、温水が混合チャンバの側壁に沿って接線方向に計量配分される必要があり、泡はまた、カプチーノタイプ飲料に適用できない。
【0006】
[0006]米国特許第5,803,320号「Carbonated Coffee Beverage Dispenser」は、計量配分処理全体にわたり計量配分されるソーダおよびコーヒーの抽出物を記載している。クリームの改良は、主として、ソーダおよびソーダの重炭酸化のレベルに起因する。しかし、ソーダは、コーヒーを主成分とする製品において望ましくない。なぜなら、ソーダは望ましくない発泡効果を示すからである。この特許はまた、泡を改良するかまたは計量配分時間を減少させるためのサイクル比率の制御が達成される方法に関して言及されていない。
【0007】
[0007]したがって、短い時間で改良された品質を有する泡を生成するための方法およびシステムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明は、液体および粉末の濃縮物から泡の品質を改良するための方法およびシステムに関する。本発明はまた、従来の処理よりも短い時間で、液体および粉末濃縮物から改良された泡の品質を生成するための方法およびシステムに関する。
【0009】
[0009]一実施形態において、本発明は、泡入り飲料を生成するための方法を提供し、この方法が、第1の濃度で少なくとも1つの製品成分を添加することと、希釈剤を添加することと、製品成分および希釈剤をともに合わせて、混合物を形成することと、混合物を混合して泡入り飲料を形成することと、を備え、合わせて混合する少なくとも1つのサイクルの間に希釈剤中の製品成分の濃度が増加するように、製品成分および希釈剤を添加することが制御される。
【0010】
[0010]一実施形態において、混合することが泡立てることを備える。
【0011】
[0011]一実施形態において、製品成分が液体であり、希釈剤の流量に対する液体の流量を増加することによって、この製品成分の濃度が増加する。
【0012】
[0012]一実施形態において、調製サイクルの間に液体の流量が増加し、希釈剤の流量がほぼ一定のままであるか、または減少する。
【0013】
[0013]一実施形態において、液体の流量が段階的に増加する。
【0014】
[0014]一実施形態において、液体の流量がほぼ一定のままであり、希釈剤の流量が減少する。
【0015】
[0015]一実施形態において、液体の流量がほぼ一定のままであり、希釈剤の流量が少なくとも1秒間、間欠的に停止する。
【0016】
[0016]一実施形態において、方法が、それぞれ少なくとも2秒持続する少なくとも2つの別々のステップを備える。
【0017】
[0017]一実施形態において、液体の流量が、制御装置およびポンプによって調整される。
【0018】
[0018]一実施形態において、製品成分が粉末であり、粉末の添加速度を増加させることによって、希釈剤に対する成分の濃度が増加する。
【0019】
[0019]一実施形態において、添加速度が段階的に増加する。
【0020】
[0020]一実施形態において、制御装置によって制御される速度を有する電気モータによって駆動される容積式スクリューまたはオーガによって、粉末が添加される。
【0021】
[0021]一実施形態において、希釈剤の流量が、アクティブ圧力バルブまたはポンプによって制御されることができる。
【0022】
[0022]一実施形態において、製品成分が、乳クリーム、牛乳濃縮物、粉乳、乳漿たんぱく、非乳クリーム、非乳脂肪、非乳油剤、発泡剤および非発泡成分を有するプレミックス、乳化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される発泡性成分を備える。
【0023】
[0023]一実施形態において、製品成分は、コーヒー、カカオ、甘味料、防腐剤、調味料、着色剤、栄養素成分およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非発泡性成分を含む。
【0024】
[0024]一実施形態において、飲料が、別の原料から1つ以上のさらなる製品成分を混合することによって生成される。
【0025】
[0025]一実施形態において、製品成分が、冷却されているか保存性が安定している状態で保たれる。
【0026】
[0026]一実施形態において、泡立てることが、標準的な回転式泡立て装置において約10,000rpmから15,000rpmの間の範囲で行われる。
【0027】
[0027]一実施形態において、泡立てることがジェット流によって達成される。
【0028】
[0028]一実施形態において、希釈剤が水である。
【0029】
[0029]別の実施形態において、本発明は、泡入り飲料を生成するためのシステムを提供し、このシステムが、少なくとも1つの製品成分を第1の濃度で添加するための第1のディスペンサと、希釈剤の添加するための第2のディスペンサと、製品成分および希釈剤をともに合わせて泡立てて、泡入り飲料を形成するための泡立て器と、を備え、混合して泡立てる少なくとも1つのサイクルの間に希釈剤の製品成分濃度が増大するように、製品成分および希釈剤を添加することが制御装置によって制御される。
【0030】
[0030]一実施形態において、システムが、希釈剤の流量を制御するためのアクティブ圧力バルブまたはポンプを備える。
【0031】
[0031]一実施形態において、システムが、粉末を添加するために、制御装置によって制御される速度を有する電気モータによって駆動される容積式スクリューまたはオーガを備える。
【0032】
[0032]本発明の1つの利点は、添加の順序および/または成分の流量に基づいた液体濃縮物からの泡の生成に基づく、高温、周囲の温度(ambient)、および低温の飲料を生成するための方法およびシステムを提供することである。
【0033】
[0033]本発明の別の利点は、可能な限り軽微な装置の改変のみによって、高速で衛生的な方法で良質な泡飲料を供給することである。
【0034】
[0034]本発明のさらに別の利点は、可能な限り軽微な装置の改変のみによって、自動化された再現可能な方法で良質な泡飲料を供給することである。
【0035】
[0035]本発明のさらに別の利点は、より長い安定性、口あたりおよび質感など、改良された品質を有する泡を提供することである。たとえば、消費者は、より長い時間より固い泡を楽しむことができる。
【0036】
[0036]本発明の1つの利点は、カップ内の飲料の品質を備えずに改良された良質の泡を生成するために、より短い供給時間を提供することである。たとえば、このことによって、オペレータが1分あたりより多くのカップを調整して提供することができる。
【0037】
[0037]本発明の別の利点は、量、質感、均一な泡の分布など泡の特性をオペレータがカスタマイズするかまたは制御することができるので、オペレータが消費者の好みによる泡の特性を備えた飲料を容易に提供することができることである。
【0038】
[0038]本発明のさらに別の利点は、製造する間に加工条件を改良したり変化したりせずに、製品の泡の品質を改良することである。
【0039】
[0039]本発明のさらに別の利点は、液体濃縮物のための密閉した分配システムを提供することである。
【0040】
[0040]さらなる本発明の特徴および効果が、以下の発明の詳細な説明および図面に記載されおり、また以下の発明の詳細な説明および図面から明らかになるであろう。
【発明の詳細な説明】
【0041】
[0051]本発明は、改良された泡入り飲料を生成するための方法およびシステムに関する。一実施形態において、本発明は、添加順序および成分追加の速度を変化させ、それによって、既存の装置の主要な改変を全く必要としない、改良された良質の泡入り飲料を生成するための方法およびシステムを提供する。たとえば、飲料は、より低い粘性/濃度および発泡剤濃度を備えた粉末または液体の濃縮物を使用して生成され、より高い粘性/濃度を有する粉末または液体濃縮物を混合することによって生成された泡をさらに安定化させた、改良された泡を主成分としてもよい。
【0042】
[0052]一実施形態において、泡立てることが、分配システムでの連続的な調製サイクル(たとえば、混合−泡立てサイクル)の間に、希釈剤(たとえば水)における発泡製品成分の濃度を増加させることによって行われてもよい。たとえば、サイクルの初めにおける製品成分の低濃度によって、泡の発生が促進され、これに続いて製品のより高濃度によって生成された泡が安定化する。この方法およびシステムは、分配システムから計量配分される泡入り飲料を生成する供給時間を減少させるのに使用されてもよい。
【0043】
[0053]別の実施形態において、泡入り飲料を調整するための方法が、粉末または液体の濃縮物あるいは成分での使用に適したディスペンサを使用する特定の計量分配プロトコルに基づいている。保存性の安定している液体濃縮物は、たとえば、牛乳、コーヒー、チョコレート、非乳クリーム、プレミックス粉、または他のいかなる適した液体濃縮物であってもよい。液体濃縮物は、ポンプ手段によって混合チャンバ内に供給され、そこで、液体濃縮物の温度が2〜99℃の間の水と混合される。すべての材料の添加(たとえば規定量の追加)は、たとえば、ポンプの設定を調節することで、速度、濃度、または量を変化させることによって、変動することができる。混合チャンバは、泡立てボウルおよび排出ノズルに連結している。製品の配合および仕様によって、泡立て器のスイッチを入れて泡入り飲料を生成することができる。0〜40,000rpmの範囲の異なる設計(たとえば円すい形、羽根、ディスクなど)を有する泡立て器を使用することができる。回転数は、10,000と15,000の間にあるのが好ましい。
【0044】
[0054]驚くべきことに、順序の第1の部分でより低い流量で牛乳濃縮物を添加し、順序の第2の部分で濃縮物の残りの部分を加えることによって、時間とともに泡の固さおよび安定性が増加するのを助けることがわかった。水および液体濃縮物の供給量および流速や、濃縮物の添加順序および粘性などのいくつかの要因が、泡入り飲料を生成するのに重要な役割を果たすことがわかった。
【0045】
[0055]水および牛乳の液体濃縮物の流量の相互関係が、発泡することにとって重要である。驚くべきことに、発泡の順序の初めに牛乳の流量を減少させて、第2の段階で残りの量を加えることによって、結果として、より長い時間持続するより固くてより安定した泡が生成されることがわかった。泡の外観もまた改良されて、より小さくより均質に分散した泡が生成された。
【0046】
[0056]カプチーノの発泡のベースラインについて、たとえば、水に対する牛乳の流量比を0.54:1で、牛乳の濃縮物を添加した。0.47:1および0.60:1の範囲の水に対する牛乳の流量比は、ベースラインと同じ結果を示した。0.60:1よりも上に比率が増大する(牛乳の流量が9.75グラム/秒よりも大きい)ことによって、生成される泡が少なくなった。0.30:1を下回る水に対する牛乳の流量比によって、基本的標準よりも悪い結果(たとえば、より低い固さおよびより少ない泡)を示した。カップ内の泡の品質(安定性、固さおよび気泡径分布)に基づいて、30%の全固形分(TS)(たとえば牛乳)を備えた濃縮物#1の水に対する流量比は、0.30:1から0.60:1の間にあるべきであり、好ましくは0.33:1から0.50:1、最も好ましくは0.37:1から0.47:1の間にあるべきである。
【0047】
[0057]水の流量が、改良された泡を生成するための一実施形態において重要であることもまたわかった。牛乳の流量を一定に保持し、かつ水の流量を増加させることで牛乳を希釈することによって、泡の品質を改良することができる。水の流量を減少させることで第1の段階で牛乳を濃縮して、水の比率が0.45:1から0.62:1までの濃縮物を得ることによって、結果としてベースラインよりも泡が少なくなる。
【0048】
[0058]極めて高い流量によって泡の量が減少することもまた、わかったが、このことは、驚くべきことに、カップ内に生成される一般により多くの渦によって、通常、より多い泡の量が生成されるからであった。しかし、高い流量速度によって、より低い泡の安定性につながるより多数の大きくて不安定な泡を形成するカップ内の高い渦が生成されるようになることがわかった。泡の品質のために最も好ましい条件は、0.37:1と0.47:1との範囲内にある水に対する牛乳の流量比で達成され得ることが、確認された。
【0049】
[0059]添加の設定要因を変動させるために、牛乳の流量は、異なる流量で牛乳を添加するポンプを用いて制御されるべきである。たとえば、水の流量が圧力によって決定されると、この場合、水が発泡剤の濃度を増減して循環することができる。この新規な方法は、泡立てシステムの設計のあらゆる改変を必要とせず、また、泡立てないシステムにも適用され得るであろう。
【0050】
[0060]飲料の供給時間を減少させるために、材料の流量が増加してもよい。水の流量が18から25グラム/秒まで増加すると、泡の量、固さ、および気泡径分布の低下につながる(実施例5)ことがわかった。驚くべきことに、水に対する牛乳の流量比を0.37:1および0.47:1の範囲内に調整し、第1の段階においてより低濃度で牛乳を発泡させることによって、ベースラインと同じ泡の品質になることがわかった。したがって、このことは、本方法が泡の品質を保ちつつ、供給時間を著しく減少させることが可能となることを立証している。たとえば、供給時間を約20〜25%(たとえば16オンスのカップで18秒から14秒まで)減少することができる。
【0051】
[0061]異なるタイプの牛乳濃縮物(牛乳原料、加工条件、および成分)もまた、試験した。特定の順序で材料を添加することによって、多くとも10分の泡安定性が10〜15%よりも大きく改良され得ることがわかった。
【0052】
[0062]泡を生成するために使用されることのできる液体は、牛乳ベースの濃縮物に限定されないことを、理解されたい。たとえば、発泡剤を含んでいる液体濃縮物のプレミックスを、15,000rpmの速いモータ速度で水と混合した。驚くべきことに、水に対する濃縮物の比率を0.26:1から0.19:1まで低下させ、かつ、0.38:1の比率で濃縮物の残りの量を加えることによって、改良された泡の量が約1分後に30%、5分後に10%となることがわかった。
【0053】
[0063]牛乳を含まない異なる濃縮物を測定する場合、驚くべきことに、濃縮物を希釈し、その結果、最初の濃縮物の粘性を減少させることによって、ベースラインよりも少ない泡が生成されることがわかった。カップ内の発泡剤の濃度は、0.4%より下になることがわかった。肯定的な結果として、カップ内の発泡剤の濃度が、0.4%から20%まで、好ましくは2%から5%まで変動してもよい。したがって、液体濃縮物における発泡剤の濃度は有意であることがわかった。
【0054】
[0064]一実施形態において、たとえば分配装置による、泡入り飲料を生成するための方法は、第1の濃度で少なくとも1つの製品成分を添加することと、希釈剤を添加することと、製品成分および希釈剤をともに合わせて混合物を形成することと、この混合物を混合して泡入り飲料を形成することと、を備え、製品成分および希釈剤を添加することが、合わせて混合する少なくとも1つのサイクルの間に、希釈剤の製品成分濃度が増加するように制御される。この希釈剤は、水であってもよい。混合することは、混合する間または混合した後で泡立てることを備えていてもよい。たとえば、泡立てることは、標準的な回転式泡立て装置において、約10,000rpmから15,000rpmの間の範囲で行われてもよい。泡立てることは、ジェット流によって達成されてもよい。
【0055】
[0065]製品成分は、たとえば、液体であってもよく、製品成分の濃度は、さまざまな方法で増加することができる。1つの方法は、希釈剤の流量に対する液体の流量を増加させることによるものである。液体の流量は、たとえば制御装置や、ぜん動ポンプなどあらゆる適したポンプによって調整される。希釈剤の流量もまた、たとえばアクティブ圧力バルブまたはポンプによって制御されることができる。液体の流量は、調製サイクルの間に増加してもよく、希釈剤の流量は、ほぼ一定のままであるかまたは減少する。液体の流量はまた、段階的に増加してもよい。
【0056】
[0066]液体の流量がほぼ一定のままであり、希釈剤の流量が減少する場合、成分の濃度が増加することができる。一実施形態において、液体流量がほぼ一定のままでもよく、希釈剤の流量が少なくとも1秒間、間欠的に停止する。別の実施形態において、方法が、あらゆる上述の方法にそれぞれ関連して少なくとも2秒持続する少なくとも2つの別々の工程を備える。
【0057】
[0067]製品成分が、たとえば粉末であってもよく、粉末の添加速度を増加させることによって、希釈剤に対する成分の濃度が増加する。添加速度は、段階的に増大してもよい。粉末は、たとえば、制御装置によって制御される速度を有する電気モータによって駆動される容積式スクリューまたはオーガによって添加されてもよい。
【0058】
[0068]製品成分はまた、たとえば、生クリーム、牛乳濃縮物、粉乳、乳漿たんぱく、非乳クリーム、非乳脂肪、非乳油剤、発泡剤および非発泡成分を有するプレミックス、乳化剤、およびそれらの組み合わせなどの、あらゆる適した発泡成分を備えてもよい。
【0059】
[0069]製品成分は、たとえば、コーヒー、カカオ、甘味料、防腐剤、調味料、着色剤、栄養素成分およびそれらの組み合わせなど、あらゆる適した非発泡性成分を含んでもよい。さらに、飲料が、別の原料から1つ以上のさらなる製品成分を混合することによって生成されてもよい。製品成分はまた、冷却されているか保存性が安定している状態で保たれてもよい。
【0060】
[0070]図1および図2で示されている別の実施形態において、装置またはシステム10は、全体として、少なくとも1つの製品成分を第1の濃度で添加するための第1のディスペンサ20と、希釈剤を添加するための第2のディスペンサ30と、製品成分および希釈剤をともに合わせて泡立てて、泡入り飲料を形成するための混合装置または泡立て器40と、を備え、混合し泡立てる少なくとも1つのサイクルの間に希釈剤における製品成分の濃度が増加するように、製品成分および希釈剤の添加が制御される。システム10は、1つ以上のさらなる製品成分を別の濃度で計量配分するための第3のディスペンサ70(またはさらなるディスペンサ)を備えていてもよい。ディスペンサのそれぞれが、液体または粉末の製品成分を保持して計量配分することのできるあらゆる適した貯蔵および分配装置であってもよいことを、理解されたい。
【0061】
[0071]混合装置または泡立て器40は、液体を保持して混合するためのボウルまたはあらゆる適した装置を備えていてもよい。泡立て器40はまた、泡入り液体を容器60に計量配分するための分配ノズル50を備えていてもよい。装置またはシステム10は、改良された泡入り飲料を生成するのに適したあらゆる寸法または構成であってもよいことを、理解されたい。
【0062】
[0072]図1で示されているような液体の発泡成分のために、システム10が、たとえば、1つの制御装置80と、希釈剤および製品成分の添加を調整するためのぜん動ポンプなど1つ以上の適したポンプ90とを備えていてもよい。システム10はまた、たとえば、希釈剤の流量を制御するためのアクティブ圧力バルブまたはポンプ90を備えていてもよい。図2で示されているような粉末状の発泡成分のために、システムが、粉末を添加するために、たとえば、制御装置80によって制御される速度を有する電気モーター(図示せず)によって駆動される容積式スクリューまたはオーガ100を備えていてもよい。システム10はまた、希釈剤および/または液体製品成分を加熱するための加熱器110を備えていてもよい。液体製品のディスペンサおよび粉末製品のディスペンサが一実施形態において同じシステム10で組合わされて、改良された泡入り飲料を得ることを理解されたい。
【実施例】
【0063】
[0074]以下の実施例は、本発明のさまざまな実施形態を示し、本発明の実施形態に従って行われる実験的な試験をさらに示すものであるが、例示によるものであり、限定するものではない。以下の実施例では、牛乳濃縮物が、約28%の全固形分を含み、12センチポイズと17センチポイズの間の粘性を有し、非乳クリームが、約72%の全固形分を含み、600センチポイズの粘性を有し、液体濃縮物のプレミックスが、約45%の全固形分を含み、200センチポイズの粘性を有する。
【0064】
[実施例1:ベースライン]
[0076]カプチーノタイプの飲料を、牛乳およびコーヒーの濃縮物からディスペンサシステムを使用して調製した。図5で示されているように、以下の手順を使用して、カプチーノ(参照)を調製した。
【0065】
[0077]水の流量が18グラム/秒、添加時間が0秒から15秒。
【0066】
[0078]牛乳濃縮物の流量が9.75グラム/秒、添加時間が0秒から8秒。
【0067】
[0079]コーヒー濃縮物の流量が2.5グラム/秒、添加時間が9秒から12秒。
【0068】
[0080]円板泡立て器(14,000rpmで)を0秒から10秒までオンモードにした。図3で示されているように、1分後に測定された液体に対する泡の比率(FLR)は0.39となり、3分後のFLRは0.32となり、10分後のFLRは0.27となった。知られている密度および直径のプラスチック製の球体を使用して、泡の固さを計量分配から2分後に測定した。1つの球体をカップ内の泡の表面に静かに配置し、消失するのにかかる時間を調べた。図4で示されているように、泡の固さは、6+/−1秒であることがわかった。全供給時間は、18秒であることがわかった。
【0069】
[実施例2:泡の安定性および固さ]
[0082]泡の量および安定性を改良するために、カプチーノ飲料を、実施例1のように分配装置を使用して調製したが、図6で示されているように、牛乳の流量が、0秒からから7秒まで9.75グラム/秒から7.4グラム/秒まで減少し、7秒から10秒まで8.6グラム/秒まで増加した。水の流量および泡立て時間を一定に保った。FLRのデータおよび泡の固さは、図3および図4に示されている。ベースラインをこえる約18%および15%の泡の量の改良は、ぞれぞれ、3分後および10分後にみられた。
【0070】
[実施例3:泡の安定性および固さ]
[0084]泡の量および安定性を改良するために、カプチーノ飲料を、実施例1のような分配装置を使用して調製したが、図7で示されているように、牛乳の流量が、0秒からから5秒まで9.75グラム/秒から7グラム/秒まで減少し、5秒から10秒まで8.6グラム/秒まで増加した。水の流量および泡立て時間を一定に保った。1分後に測定されたFLRは0.42となり、3分後は0.37となり、10分後は0.31となった。ベースラインをこえる約18%および15%の泡の量の改良は、ぞれぞれ、3分後および10分後にみられた。泡の固さはまた、ベースラインをこえて6+/−1秒から13+/−1秒まで改良された。
【0071】
[実施例4:泡の安定性および固さ]
[0086]泡の固さを改良するために、カプチーノ飲料を、実施例1のように分配装置を使用して調製したが、図8で示されているように、水の流量を0秒からから8秒まで2回、20.8グラム/秒の増加した流量(18グラム/秒のベースラインから)で循環した。牛乳の流量および泡立て時間を一定に保った。1分後に測定されたFLRは0.39+/−0.02となり、3分後は0.34+/−0.01となり、10分後は0.30+/−0.01となった。泡の固さはまた、ベースラインをこえて6+/−1秒から12+/−1秒まで改良された。関連するデータは、図3および図4に示されている。
【0072】
[実施例5:泡の安定性および固さ]
[0088]飲料の供給時間を改良するために、カプチーノ飲料を、実施例1のように分配装置を使用して調製したが、図9で示されているように、水の流量が、0秒からから7秒まで18グラム/秒(ベースライン)から20グラム/秒まで増加し、7秒から15秒まで16.3グラム/秒まで減少した。牛乳の流量を0秒から10秒まで7.8グラム/秒まで減少させ、泡立て時間を一定に保った。FLRがベースラインと同じであることがわかった。泡の固さは、ベースラインをこえて6+/−1秒から12+/−1秒まで改良された。供給時間は、16秒まで減少した。関連するデータは、図3および図4に示されている。
【0073】
[実施例7:供給時間]
[0090]カプチーノ飲料を、実施例1の分配装置を使用して調製したが、水の流量が、0秒からから10.8秒までで18グラム/秒(ベースライン)から25グラム/秒まで増加した。牛乳の流量および泡立て時間を一定に保った。1分後に測定されたFLRは0.35+/−0.02となり、3分後は0.29+/−0.01となり、10分後は0.24+/−0.01となった。泡の固さは、4+/−1であることがわかった。供給時間が14秒まで減少した。
【0074】
[実施例8:供給時間]
[0092]カプチーノ飲料を、実施例1のように分配装置を使用して調製したが、水の流量が、0秒からから10.8秒までで18グラム/秒(ベースライン)から25グラム/秒まで増加した。図10で示されているように、0秒から6秒まで9.4グラム/秒で、6秒から8秒まで10.6グラム/秒で、牛乳を添加した。泡立て時間を一定に保った。1分後に測定されたFLRは0.34+/−0.02となり、3分後は0.29+/−0.01となり、10分後は0.25+/−0.01となった。泡の固さは、6+/−1であることがわかった。供給時間が14秒まで減少した。したがって、牛乳を循環させ、供給時間を減少させることによって、牛乳の発泡特性が変化しないことが立証された。
【0075】
[0093]本願明細書に記載されている好ましい本実施形態に対するさまざまな変更及び改変が、当業者にとって明らかであることを、理解されたい。このような変更及び改変は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、かつ、本発明の意図された利点を減ずることなく、なされることができる。したがって、このような変更および改変は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態における泡入り飲料を生成するためのシステムを示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態における泡入り飲料を生成するためのシステムを示す概略図である。
【図3】異なる実施例による液体に対する泡の比率(FLR)対時間を示すグラフである。
【図4】異なる実施例による泡の固さを示すグラフである。
【図5】実施例1によるカプチーノベースの添加の設定を示すグラフである。
【図6】実施例2の添加の設定を示すグラフである。
【図7】実施例3の添加の設定を示すグラフである。
【図8】実施例4の添加の設定を示すグラフである。
【図9】実施例5の添加の設定を示すグラフである。
【図10】実施例7の添加の設定を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡入り飲料を生成するための方法であって、
第1の濃度で少なくとも1つの製品成分を添加するステップと、
希釈剤を添加するステップと、
前記製品成分および希釈剤をともに合わせて混合物を形成するステップと、
前記混合物を混合して泡入り飲料を形成するステップと、
を備え、
前記製品成分および希釈剤を添加するステップが、合わせて混合する少なくとも1つのサイクルの間に前記希釈剤における前記製品成分の濃度が増加するように制御される、方法。
【請求項2】
前記混合するステップが、泡立てる工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製品成分が液体であり、前記希釈剤の流量に対する前記液体の流量を増加させることによって、前記製品成分の濃度が増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体の流量が調製サイクルの間に増加し、前記希釈剤の流量が、ほぼ一定のままであることと、減少することと、その組合わせとからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記液体の流量が段階的に増加する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記液体の流量がほぼ一定のままであり、前記希釈剤の流量が減少する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記液体の流量がほぼ一定のままであり、前記希釈剤の流量が少なくとも1秒間、間欠的に停止する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
それぞれ少なくとも2秒持続する少なくとも2つの別々のステップを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記液体の流量が、制御装置およびポンプによって調整される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記製品成分が粉末であり、前記粉末の添加速度を増加させることによって、希釈剤に対する成分の濃度が増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記添加速度が段階的に増加する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
それぞれ少なくとも2秒持続する少なくとも2つの別々のステップを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記粉末が、容積式スクリューと、オーガと、その組み合わせとからなる群から選択される装置によって添加され、前記装置が、制御装置によって制御される速度を有する電気モータによって駆動される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
希釈剤の流量が、アクティブ圧力バルブと、ポンプと、その組み合わせとからなる群から選択される装置によって制御されることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記製品成分が、乳クリーム、牛乳濃縮物、粉乳、乳漿たんぱく、非乳クリーム、非乳脂肪、非乳油剤、発泡剤および非発泡成分を有するプレミックス、乳化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される発泡性成分を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記製品成分が、コーヒー、カカオ、甘味料、防腐剤、調味料、着色剤、栄養素成分およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非発泡性成分を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記飲料が、別の原料から1つ以上のさらなる製品成分を混合することによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記製品成分が、冷却されていることと、保存性が安定していることと、その組み合わせとからなる群から選択される状態で保たれる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記泡立てる工程が、標準的な回転式泡立て装置において、約10,000rpmから15,000rpmの間の範囲で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記泡立てる工程が、ジェット流によって達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記希釈剤が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
泡入り飲料を生成するためのシステムであって、
少なくとも1つの製品成分を第1の濃度で添加することのできる第1のディスペンサと、
希釈剤の添加することのできる第2のディスペンサと、
前記製品成分および希釈剤をともに合わせて泡立てて、泡入り飲料を形成するための泡立て器と、
を備え、
混合して泡立てる少なくとも1つのサイクルの間に前記希釈剤における前記製品成分濃度が増加するように、前記製品成分および希釈剤を添加するステップが制御装置によって制御される、システム。
【請求項23】
前記製品成分が液体であり、前記希釈剤の流量に対する前記液体の流量を増加させることによって、前記製品成分の濃度が増加する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記液体の流量が調製サイクルの間に増加し、前記希釈剤の流量が、ほぼ一定のままであることと、減少することと、その組み合わせとからなる群から選択される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記製品成分が粉末であり、前記粉末の添加速度を増加させることによって、希釈剤に対する成分の濃度が増加する、請求項22に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−543458(P2008−543458A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517384(P2008−517384)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005785
【国際公開番号】WO2006/136329
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】