説明

ディーゼルエンジンの排気処理装置

【課題】ケース連結部の排気ガスの密封性が高く、かつケース連結部のフランジに同じ部品を用いることができる、ディーゼルエンジンの排気処理装置を提供する。
【解決手段】DOCケース出口側端部6を、このDOCケース出口側端部6と隣合うDOCケース中間寄り部6aよりも縮径させ、このDOCケース出口側端部6aをDPFケース入口側端部7に内嵌させ、DOCケース中間寄り部6aの外径とDPFケース入口側端部7の外径とを同じにし、このDOCケース中間寄り部6aとDPFケース入口側端部7の各外周に、DOCケースフランジ21とDPFケースフランジ30とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるDOCケースフランジ21とDPFケースフランジ30とに同じ部品を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気処理装置に関し、詳しくは、ケース連結部の排気ガスの密封性が高く、かつ、ケース連結部のフランジに同じ部品を用いることができる、ディーゼルエンジンの排気処理装置に関する。
この明細書及び特許請求の範囲で、DOCはディーゼル酸化触媒、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタ、PMは排気中の粒子状物質を意味する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンの排気処理装置として、DOCケースにDOCを収容し、DPFケースにDPFを収容し、DOCケース出口側端部とDPFケース入口側端部とをDOCケースフランジとDPFケースフランジとを介して離脱自在に連結したものがある(特許文献1の図1、図2参照)。
【0003】
この種の排気処理装置によれば、DPFでPMを捕捉し、PMがある程度堆積すると、燃焼室へのポスト噴射や排気管への燃料噴射等により排気に燃料を混入させ、この燃料をDOCで酸化燃焼させることにより、排気の温度を上昇させ、排気の熱により、PMを焼却除去して、DPFを再生することができる利点がある。
【0004】
この特許文献1の図2のものでは、DOCケース出口側端部とDPFケース入口側端部とが同一径で突合せ状になっている。
また、特許文献1の図1のものでは、DOCケース出口側端部の外径とDPFケース入口側端部の外径とが異なり、このDOCケース出口側端部とDPFケース入口側端部の各外周に、DOCケースフランジとDPFケースフランジとをそれぞれ取り付けている。
このため、この従来技術では、それぞれ問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−263593号公報(図1、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題》 ケース連結部の排気ガスの密封性が低い。
特許文献1の図2のものでは、DOCケース出口側端部とDPFケース入口側端部とが同一径で突合せ状になっているため、これらが嵌合しているものに比べ、ケース連結部の排気ガスの密封性が低い。
【0007】
《問題》 ケース連結部のフランジに同じ部品を用いることができない。
特許文献1の図1のものでは、DOCケース出口側端部の外径とDPFケース入口側端部の外径とが異なり、このDOCケース出口側端部とDPFケース入口側端部の各外周に、DOCケースフランジとDPFケースフランジとをそれぞれ取り付けているため、内径が異なるケース連結部のDOCケースフランジとDPFケースフランジとに同じ部品を用いることができない。
【0008】
本発明の課題は、ケース連結部の排気ガスの密封性が高く、かつ、ケース連結部のフランジに同じ部品を用いることができる、ディーゼルエンジンの排気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1に係る発明の発明特定事項)
図1、図2に例示するように、DOCケース(2)にDOC(1)を収容し、DPFケース(4)にDPF(3)を収容し、DOCケース出口側端部(6)とDPFケース入口側端部(7)とをDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とを介して離脱自在に連結した、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOCケース出口側端部(6)を、このDOCケース出口側端部(6)と隣合うDOCケース中間寄り部(6a)よりも縮径させ、このDOCケース出口側端部(6a)をDPFケース入口側端部(7)に内嵌させ、
DOCケース中間寄り部(6a)の外径とDPFケース入口側端部(7)の外径を同じにし、このDOCケース中間寄り部(6a)とDPFケース入口側端部(7)の各外周に、DOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とに同じ部品を用いた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【0010】
(請求項6に係る発明の発明特定事項)
図3、図4に例示するように、DOCケース(2)にDOC(1)を収容し、DPFケース(4)にDPF(3)を収容し、DOCケース出口側端部(6)とDPFケース入口側端部(7)とをDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とを介して離脱自在に連結した、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DPFケース入口側端部(7)を、このDPFケース入口側端部(7)と隣合うDPFケース中間寄り部(7a)よりも縮径させ、このDPFケース入口側端部(7)をDOCケース出口側端部(6)に内嵌させ、
DPFケース中間寄り部(7a)の外径とDOCケース出口側端部(6)の外径とを同じにし、このDPFケース中間寄り部(7a)とDOCケース出口側端部(6)の各外周に、DPFケースフランジ(30)とDOCケースフランジ(21)とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるDPFケースフランジ(30)とDOCケースフランジ(21)とに同じ部品を用いた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【発明の効果】
【0011】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 ケース連結部の排気ガスの密封性が高い。
図1、図2に例示するように、DOCケース出口側端部(6)を、このDOCケース出口側端部(6)と隣合うDOCケース中間寄り部(6a)よりも縮径させ、このDOCケース出口側端部(6a)をDPFケース入口側端部(7)に内嵌させるので、ケース連結部の排気ガスの密封性が高い。
【0012】
《効果》 ケース連結部のフランジに同じ部品を用いることができる。
図1、図2に例示するように、DOCケース中間寄り部(6a)の外径とDPFケース入口側端部(7)の外径とを同じにし、このDOCケース中間寄り部(6a)とDPFケース入口側端部(7)の各外周に、DOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるケース連結部のDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とに同じ部品を用いることができる。
【0013】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ケース嵌合時にDOC出口側端部が損傷するのを防止することができる。
図1、図2に例示するように、DOCケース出口側端部(6)にDOC出口側端部(12)を収容したので、DOC出口側端部(12)の周壁がDOCケース出口側端部(6)の外側に露出しておらず、DOCケース出口側端部(6a)をDPFケース入口側端部(7)に内嵌させる場合に、DOC出口側端部(12)の周壁がDPFケース入口側端部(7)に接触することがなく、ケース嵌合時にDOC出口側端部(12)が損傷するのを防止することができる。
【0014】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 DPFの再生を速やかに行うことができる。
図2(A)に例示するように、DOC出口側端部(12)とDOCケース出口側端部(6)との各端部周壁相互間に隙間(13)を保持し、この隙間(13)をDOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間の排気ガス受け渡し空間(14)に連通させ、DOC出口側端部(12)の周壁を上記隙間(13)に向けて露出させたので、この隙間(13)に排気ガス受け渡し空間(14)内の排気が進入し、排気の熱がDOC出口側端部(12)の周壁にその内側からだけでなく、外側からも入熱され、或いは排気の熱によりDOC出口側端部(12)の周壁からDOCケース出口側端部(6)への放熱も防止され、DOC(1)の周壁の温度が高まり、DOC(1)の活性化が促進され、DPF(3)の再生を速やかに行うことができる。
【0015】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 DPFの再生を速やかに行うことができる。
図2(B)に例示するように、DOC出口側端部(12)とDOCケース出口側端部(6)との各端部周壁相互間に断熱性クッション材(13a)を介在させたので、DOC出口側端部(12)の周壁からDOCケース出口側端部(6)への放熱が防止され、DOC(1)の活性化が促進され、DPF(3)の再生を速やかに行うことができる。
【0016】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気処理装置の全長を短くすることができる。
図1、図2に例示するように、隣合うDPFケース入口側端部(7)とDPFケース中間寄り部(7a)とを同一径で段差無く形成し、DPFケース中間寄り部(7a)の外周にセンサ取り付けボス(28)を取り付けたので、段差の境界部分での取り付けの制限を受けることなく、DPFケース中間寄り部(7a)の外周にセンサ取り付けボス(28)を取り付けることができ、センサ(29)をDOC出口側端部(12)に十分に近づけることができるとともに、DPF入口側端部(10)をセンサ(29)に十分に近づけることができ、排気処理装置の全長を短くすることができる。
【0017】
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 ケース連結部の排気ガスの密封性が高い。
図3、図4に例示するように、DPFケース入口側端部(7)を、このDPFケース入口側端部(7)と隣合うDPFケース中間寄り部(7a)よりも縮径させ、このDPFケース入口側端部(7)をDOCケース出口側端部(6)に内嵌させるので、ケース連結部の排気ガスの密封性が高い。
【0018】
《効果》 ケース連結部のフランジに同じ部品を用いることができる。
図3、図4に例示するように、DPFケース中間寄り部(7a)の外径とDOCケース出口側端部(6)の外径とを同じにし、このDPFケース中間寄り部(7a)とDOCケース出口側端部(6)の各外周に、DPFケースフランジ(30)とDOCケースフランジ(21)とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるケース連結部のDPFケースフランジ(30)とDOCケースフランジ(21)とに同じ部品を用いることができる。
【0019】
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ケース嵌合時にDPF入口側端部が損傷するのを防止することができる。
図3、図4に例示するように、DPFケース入口側端部(7)にDPF入口側端部(10)を収容したので、DPF入口側端部(10)の周壁がDPFケース入口側端部(7)の外側に露出しておらず、DPFケース入口側端部(7)をDOCケース出口側端部(6)に内嵌させる場合に、DPF入口側端部(10)の周壁がDOCケース出口側端部(6)に接触することがなく、ケース嵌合時にDPF入口側端部(10)が損傷するのを防止することができる。
【0020】
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 DPFの再生を速やかに行うことができる。
図4(A)に例示するように、DPF入口側端部(10)とDPFケース入口側端部(7)との各端部周壁相互間に隙間(11)を保持し、この隙間(11)をDOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間の排気ガス受け渡し空間(14)に連通させ、DPF入口側端部(10)の周壁を上記隙間(11)に向けて露出させたので、この隙間(11)に排気ガス受け渡し空間(14)内の排気が進入し、排気の熱がDPF入口側端部(10)の周壁にその内側からだけでなく、外側からも入熱され、或いは排気の熱によりDPF入口側端部(10)の周壁からDPFケース入口側端部(7)への放熱も防止され、DPF(3)の周壁の温度が高まり、DPF(3)の再生を速やかに行うことができる。
【0021】
(請求項9に係る発明)
請求項9に係る発明は、請求項7に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 DPFの再生を速やかに行うことができる。
図4(B)に例示するように、DPF入口側端部(10)とDPFケース入口側端部(7)との各端部周壁相互間に断熱性クッション材(11a)を介在させたので、DPF入口側端部(10)の周壁からDPFケース入口側端部(7)への放熱が防止され、DPF(3)の温度を高く維持し、DPF(3)の再生を速やかに行うことができる。
【0022】
(請求項10に係る発明)
請求項10に係る発明は、請求項6から請求項9のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気処理装置の全長を短くすることができる。
図3、図4に例示するように、隣合うDOCケース出口側端部(6)とDOCケース中間寄り部(6a)とを同一径で段差無く形成し、DOCケース中間寄り部(6a)の外周にセンサ取り付けボス(28)を取り付けたので、段差の境界部分での取り付けの制限を受けることなく、DOCケース中間寄り部(6a)の外周にセンサ取り付けボス(28)を取り付けることができ、センサ(29)をDOC出口側端部(12)に十分に近づけることができる。
また、DPFケース入口側端部(7)をDOCケース出口側端部(6)に内嵌させるので、DPF入口側端部(10)をセンサ(29)に十分に近づけることができる。
このため、排気処理装置の全長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置装置の縦断側面図である。
【図2】図1の装置の要部を説明する図で、図2(A)は図1の装置の左側ケース連結部の拡大図、図2(B)はこの左側ケース連結部の変形例の説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置装置の縦断側面図である。
【図4】図3の装置の要部を説明する図で、図4(A)は図3の装置の左側ケース連結部の拡大図、図4(B)はこの左側ケース連結部の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1、図2に示す第1実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置について説明する。
図1に示すように、DOCケース(2)にDOC(1)を収容し、DPFケース(4)にDPF(3)を収容し、DOCケース出口側端部(6)とDPFケース入口側端部(7)とをDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とを介して離脱自在に連結している。
【0025】
図2(A)(B)に示すように、DOCケース出口側端部(6)を、このDOCケース出口側端部(6)と隣合うDOCケース中間寄り部(6a)よりも縮径させ、このDOCケース出口側端部(6a)をDPFケース入口側端部(7)に内嵌させている。
DOCケース中間寄り部(6a)の外径とDPFケース入口側端部(7)の外径とを同じにし、このDOCケース中間寄り部(6a)とDPFケース入口側端部(7)の各外周に、DOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とをそれぞれ設けることにより、内径が同じになるDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とに同じ部品を用いている。
DOCケース出口側端部(6)にDOC出口側端部(12)を収容している。
【0026】
図2(A)に示すように、DOC出口側端部(12)とDOCケース出口側端部(6)との各端部周壁相互間に隙間(13)を保持し、この隙間(13)をDOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間の排気ガス受け渡し空間(14)に連通させ、DOC出口側端部(12)の周壁を上記隙間(13)に向けて露出させている。
図2(B)に示すように、DOC出口側端部(12)とDOCケース出口側端部(6)との各端部周壁相互間に断熱性クッション材(13a)を介在させてもよい。
断熱性クッション材(13a)にはグラスウールを用いている。
【0027】
図2(A)(B)に示すように、DOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間に配置するセンサ(29)を取り付けるセンサ取り付けボス(28)を設けるに当たり、隣合うDPFケース入口側端部(7)とDPFケース中間寄り部(7a)とを同一径で段差無く形成し、DPFケース中間寄り部(7a)の外周に、センサ取り付けボス(28)を取り付けている。
【0028】
図1に示すように、DPFケース出口側端部(8)と排気出口ケース入口側端部(9)とをDPFケースフランジ(31)と排気出口ケースフランジ(36)とを介して離脱自在に連結している。
DPFケース出口側端部(8)を、このDPFケース出口側端部(8)と隣合うDPFケース中間寄り部(8a)よりも縮径させ、このDPFケース出口側端部(8)を排気出口ケース入口側端部(9)に内嵌させている。
【0029】
DPFケース中間寄り部(8a)の外径と排気出口ケース入口側端部(9)の外径とを同じにし、このDPFケース中間寄り部(8a)と排気出口ケース入口側端部(9)の各外周に、DPFケースフランジ(31)と排気出口ケースフランジ(36)とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるDPFケースフランジ(31)と排気出口ケースフランジ(36)とに同じ部品を用いている。
また、DOCケース中間寄り部(6a)の外径とDPFケース入口側端部(7)の外径、DPFケース中間寄り部(8a)の外径と排気出口ケース入口側端部(9)の外径を同じにし、内径が同じになるDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)と、DPFケースフランジ(31)と排気出口ケースフランジ(36)とに同じ部品を用いている。
【0030】
DPFケース出口側端部(8)にDPF出口側端部(16)を収容している。
DPF出口側端部(16)とDPFケース出口側端部(8)との各端部周壁相互間に隙間(17)を保持し、この隙間(17)を排気出口ケース(5)内に連通させ、DPF出口側端部(16)の周壁を上記隙間(17)に向けて露出させている。
DPF出口側端部(16)とDPFケース出口側端部(8)との各端部周壁相互間に断熱性クッション材を介在させてもよい。
断熱性クッション材にはグラスウールを用いる。
【0031】
図1に示すように、DOC(1)は、セラミックのハニカム担体で、酸化触媒を担持させ、セル(1a)の両端を開口したフロースルー構造で、セル(1a)の内部を排気が通過するようになっている。DOCケース(2)は、椀型の金属ケース(18)で構成され、外側に金属カバー(19)を重ね合わせ、これらの間に断熱材(20)を充填し、開口しているDOCケース出口側端部(6)を後側に向け、DOCケース出口側端部(6)とDOCケース中間寄り部(6a)の境界側で、DOCケース中間寄り部(6a)の外周にDOCケースフランジ(21)を取り付け、DOC(1)とDOCケース中間寄り部(6a)の各周壁間に断熱性クッション材(22)を配置している。断熱材(20)と断熱性クッション材(22)にはいずれもグラスウールを用いている。
DOCケース(2)内の前寄りで径方向に排気入口管(25)を貫通させ、排気入口管(25)の周壁に多数の排気孔(26)を開孔させている。DOCケース(2)の強度を確保する等の理由で、排気入口管(25)を貫通させない場合もある。
【0032】
図1に示すように、DPF(3)は、セラミックのハニカム担体で、隣合うセル(3a)を交互に目封じたウォールフローモノリスである。セル(3a)の内部とセル(3a)の壁(3b)を排気が通過し、セル(3a)の壁(3b)でPMを捕捉する。DPFケース(4)は、円筒形の金属ケースで、DPFケース入口側端部(7)の外周にDPFケースフランジ(30)を取り付け、DPFケース出口側端部(8)の外周にDPFケースフランジ(31)を取り付けている。DPF(3)とDPFケース(4)の各周壁間に断熱性クッション材(32)を配置している。断熱性クッション材(32)にはグラスウールを用いている。DOC(1)とDPF(3)は、規格化された同一外径のものである。
【0033】
排気出口ケース(5)は、椀型の金属ケース(33)で構成され、その外側に金属カバー(34)を重ね、これらの間に断熱材(35)を充填し、開口している排気出口ケース入口側端部(9)を前側に向け、排気出口ケース入口側端部(9)の外周に排気出口ケースフランジ(36)を設けている。断熱材(35)にはグラスウールを用いている。排気出口ケース(5)内で径方向に排気出口管(37)を貫通させ、排気出口管(37)の周壁に多数の排気孔(38)を開孔させている。排気出口ケース(5)の強度を確保する等の理由で、排気出口管(37)を貫通させない場合もある。
DOCケース(2)、DPFケース(4)、排気出口ケース(5)は、断面が円形の椀形または筒形に形成しているが、これらは、断面が楕円その他の異形の椀形または筒形に形成してもよい。
【0034】
DOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とを重ね合わせ、これらをボルトナットで連結することにより、DOCケース出口側端部(6)にDPFケース入口側端部(7)を離脱自在に接続している。ボルトナットのナット(42)は、DOCケース(2)側に配置し、ボルト(43)は、DPFケース(4)側に配置している。DOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)との間にはガスケット(46)を挟み付けている。
DPFケースフランジ(31)と排気出口ケースフランジ(36)とを重ね合わせ、これらをボルトナットで連結することにより、DPFケース出口側端部(8)に排気出口ケース入口側端部(9)を離脱自在に接続している。ボルトナットのナット(44)は、排気出口ケース(5)側に配置し、ボルト(45)は、DPFケース(4)側に配置している。DPFケースフランジ(31)と排気出口ケースフランジ(36)との間には、ガスケット(47)を挟み付けている。
【0035】
DOC(1)の上流でDOCケース(2)の周壁にセンサ取り付けボス(23)を設け、このセンサ取り付けボス(23)にDOC上流側排気温度センサ(24)を取り付けている。DOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間で、DPFケース中間寄り部(7a)の外周にセンサ取り付けボス(28)を取り付け、このセンサ取り付けボス(28)にDPF入口側排気温度センサ(29)を取り付けている。DPF(3)と排気出口管(37)の間で、排気出口ケース(5)の周壁にセンサ取り付けボス(40)を設け、このセンサ取り付けボス(40)にDPF出口側排気温度センサ(41)を取り付けている。DOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間で、DPFケース中間寄り部(7a)の周壁にDPF入口側配管取り付けボス(48)を設け、このDPF入口側配管取り付けボス(48)にDPF入口側排気圧導入配管(49)を取り付けている。DPF(3)と排気出口管(37)の間で、排気出口ケース(5)の周壁にDPF出口側配管取り付けボス(50)を設け、このDPF出口側配管取り付けボス(50)にDPF出口側排気圧導入配管(51)を取り付けている。DPF入口側排気圧導入配管(49)とDPF出口側排気圧導入配管(51)とは、差圧センサ(52)に接続されている。
【0036】
DOC上流側排気温度センサ(24)、DPF入口側排気温度センサ(29)、DPF出口側排気温度センサ(41)、差圧センサ(52)、エンジン目標回転数検出センサ(図外)、エンジン実回転数検出センサ(図外)が、エンジンECU(図外)に接続され、このエンジンECUにコモンレール(図外)のインジェクタの電磁弁(図外)が接続されている
エンジン負荷、エンジン回転数、DOC上流側排気温度センサ(24)による検出排気温度、差圧センサ(24)によるDPF(3)の上流と下流の差圧等に基づいて、DPF(3)でのPMの堆積量を推定し、PMの堆積推定量が所定の再生必要量に至った場合には、エンジンECUの指令に基づいてDPF(3)の再生処理を行う。
【0037】
DPF(3)の再生処理は、次の通りである。
DOC上流側排気温度センサ(24)での検出排気温度が所定のDOC活性化温度に達していない場合には、アフター噴射を行い、排気温度をDOC活性化温度まで上昇させる。排気温度がDOC活性化温度を越えると、ポスト噴射を行い、排気に燃料を混入させ、この燃料をDOC(1)で酸化燃焼させることにより、排気の温度を上昇させ、排気の熱により、PMを焼却除去して、DPF(3)を再生する。この場合、DPF入口側排気温度センサ(29)での検出排気温度に応じてポスト噴射量を調節する。そして、DPF出口側排気温度センサ(41)での検出排気温度が所定の異常検出温度に達すると、ポスト噴射を停止或いは大幅に減少させる。
【0038】
図3、図4に示す第2実施形態は、図1、図2に示す第1実施形態と、次の点で異なる。
図4(A)(B)に示すように、DPFケース入口側端部(7)を、このDPFケース入口側端部(7)と隣合うDPFケース中間寄り部(7a)よりも縮径させ、このDPFケース入口側端部(7)をDOCケース出口側端部(6)に内嵌させている。
DPFケース中間寄り部(7a)の外径とDOCケース出口側端部(6)の外径とを同じにし、このDPFケース中間寄り部(7a)とDOCケース出口側端部(6)の各外周に、DPFケースフランジ(30)とDOCケースフランジ(21)とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるDPFケースフランジ(30)とDOCケースフランジ(21)とに同じ部品を用いている。
DPFケース入口側端部(7)にDPF入口側端部(10)を収容している。
【0039】
図4(A)に示すように、DPF入口側端部(10)とDPFケース入口側端部(7)との各端部周壁相互間に隙間(11)を保持し、この隙間(11)をDOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間の排気ガス受け渡し空間(14)に連通させ、DPF入口側端部(10)の周壁を上記隙間(11)に向けて露出させている。
図4(B)に示すように、DPF入口側端部(10)とDPFケース入口側端部(7)との各端部周壁相互間に断熱性クッション材(11a)を介在させてもよい。断熱性クッション材(11a)にはグラスウールを用いる。
【0040】
図4(A)(B)に示すように、DOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間に配置するセンサ(29)を取り付けるセンサ取り付けボス(28)を設けるに当たり、隣合うDOCケース出口側端部(6)とDOCケース中間寄り部(6a)とを同一径で段差無く形成し、DOCケース中間寄り部(6a)の外周にセンサ取り付けボス(28)を取り付けている。
図3に示すように、DPFケース出口側端部(8)と排気出口ケース入口側端部(9)とは嵌合ではなく、同一径で突合せ状になっている。
他の構成は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同一の要素には、図1、図2と同じ符号を付しておく。
【符号の説明】
【0041】
(1) DOC
(2) DOCケース
(3) DPF
(4) DPFケース
(6) DOCケース出口側端部
(6a) DOCケース中間寄り部
(7) DPFケース入口側端部
(7a) DPFケース中間寄り部
(10) DPF入口側端部
(11) 隙間
(13) 隙間
(13a) 断熱性クッション材
(14) 排気ガス受け渡し空間
(21) DOCケースフランジ
(28) センサ取り付けボス
(30) DPFケースフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DOCケース(2)にDOC(1)を収容し、DPFケース(4)にDPF(3)を収容し、DOCケース出口側端部(6)とDPFケース入口側端部(7)とをDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とを介して離脱自在に連結した、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOCケース出口側端部(6)を、このDOCケース出口側端部(6)と隣合うDOCケース中間寄り部(6a)よりも縮径させ、このDOCケース出口側端部(6a)をDPFケース入口側端部(7)に内嵌させ、
DOCケース中間寄り部(6a)の外径とDPFケース入口側端部(7)の外径とを同じにし、このDOCケース中間寄り部(6a)とDPFケース入口側端部(7)の各外周に、DOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とに同じ部品を用いた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOCケース出口側端部(6)にDOC出口側端部(12)を収容した、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC出口側端部(12)とDOCケース出口側端部(6)との各端部周壁相互間に隙間(13)を保持し、この隙間(13)をDOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間の排気ガス受け渡し空間(14)に連通させ、DOC出口側端部(12)の周壁を上記隙間(13)に向けて露出させた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC出口側端部(12)とDOCケース出口側端部(6)との各端部周壁相互間に断熱性クッション材(13a)を介在させた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間に配置するセンサ(29)を取り付けるセンサ取り付けボス(28)を設けるに当たり、
隣合うDPFケース入口側端部(7)とDPFケース中間寄り部(7a)とを同一径で段差無く形成し、DPFケース中間寄り部(7a)の外周に、センサ取り付けボス(28)を取り付けた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項6】
DOCケース(2)にDOC(1)を収容し、DPFケース(4)にDPF(3)を収容し、DOCケース出口側端部(6)とDPFケース入口側端部(7)とをDOCケースフランジ(21)とDPFケースフランジ(30)とを介して離脱自在に連結した、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DPFケース入口側端部(7)を、このDPFケース入口側端部(7)と隣合うDPFケース中間寄り部(7a)よりも縮径させ、このDPFケース入口側端部(7)をDOCケース出口側端部(6)に内嵌させ、
DPFケース中間寄り部(7a)の外径とDOCケース出口側端部(6)の外径とを同じにし、このDPFケース中間寄り部(7a)とDOCケース出口側端部(6)の各外周に、DPFケースフランジ(30)とDOCケースフランジ(21)とをそれぞれ取り付けることにより、内径が同じになるDPFケースフランジ(30)とDOCケースフランジ(21)とに同じ部品を用いた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DPFケース入口側端部(7)にDPF入口側端部(10)を収容した、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DPF入口側端部(10)とDPFケース入口側端部(7)との各端部周壁相互間に隙間(11)を保持し、この隙間(11)をDOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間の排気ガス受け渡し空間(14)に連通させ、DPF入口側端部(10)の周壁を上記隙間(11)に向けて露出させた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DPF入口側端部(10)とDPFケース入口側端部(7)との各端部周壁相互間に断熱性クッション材(11a)を介在させた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれかに記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC出口側端部(12)とDPF入口側端部(10)との間に配置するセンサ(29)を取り付けるセンサ取り付けボス(28)を設けるに当たり、
隣合うDOCケース出口側端部(6)とDOCケース中間寄り部(6a)とを同一径で段差無く形成し、DOCケース中間寄り部(6a)の外周にセンサ取り付けボス(28)を取り付けた、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−64136(P2011−64136A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215445(P2009−215445)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】