説明

デジタルカメラ用外付けストロボ

【課題】操作が簡単で適正露出の高品位な写真が撮れるデジタルカメラ用外付けストロボを提供すること。
【解決手段】オートモードとマニュアルモードとTTLモードの3つのモードで使用可能であり、前記3つのモードの内、少なくとも2つのモードの切り替えを行う第1の操作つまみ92を有し、マニュアルモードのときに作動するマニュアル光量切り替え装置を具備するとともに、TTLモードのときにデジタルカメラの内蔵ストロボの信号を信号検出手段により検出して、その信号により発光動作するデジタルカメラ用外付けストロボにおいて、TTLモードのときに露出補正を行う露出補正装置を具備し、マニュアル光量切り替え装置を操作させるための操作つまみと、露出補正装置を操作させるための操作つまみとを、同一の第2の操作つまみ96として設けたことを特徴とするデジタルカメラ用外付けストロボ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストロボ内蔵型のデジタルカメラに外付けされるストロボの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明においては水中での使用と陸上での使用の両方が考えられる。本発明の効果が大きい水中使用の場合をメインに説明するが陸上での使用も可能である。
水中撮影にデジタルカメラ(以下単にカメラの場合も有り)を使用する場合は一般的にデジタルカメラを純正市販品の無色透明な防水ハウジングに入れて使用する。無色透明の理由はデジタルカメラに内蔵されたストロボ(以下内蔵ストロボ)を使用する時にストロボ光がそのまま防水ハウジングを通過して被写体を照らすようにする為である。
水中では陸上に比べ暗い場合が多いため陸上よりもストロボ光が必要になる。その場合内蔵ストロボを使用するとストロボ光がレンズ近くの海水中のゴミ、微生物、細かい物体等に当たって白く反射してきれいな写真が撮れない事がある。これをマリンスノー現象ともいう。
また、内蔵ストロボを使用すると画面の中心が明るくなり見た目がフラットな写真になってしまう。また、水中では内蔵ストロボの光量が不足し、露出不足になる等の問題がある。
陸上での商品撮影等の場合も内蔵ストロボのスポット的照射光が被写体から反射してきれいに撮れないことがある。これはカメラ側のストロボ発光部がレンズに近いため起きる問題である。
【0003】
この様な問題を解消する為には内蔵ストロボの光を検出してその信号により発光する外付けストロボが使用されている。これは外付けストロボの発光部はカメラのレンズから離す事が出来るので前記の内蔵ストロボ使用での問題は少なくなり、その分きれいな写真が撮れることになる。
外付けストロボの機能としては撮影距離が変わっても光量が一定に保たれるオートストロボが多く使用されている。これは被写体の距離が変わると光量調節が必要なマニュアルストロボよりも操作が簡単な為である。
オートストロボを使用して適正露出にするためにはカメラの絞り値とストロボの絞り値(ストロボの絞り値とは、実際には適正光量になる為の光量の強さの値でその値を分かりやすくするために通常カメラ側の絞り値に置き換えてオート光量切り替えつまみに書いてある)を同じに合わせる必要がある。
すなわちカメラの絞りを変えるたびにストロボの絞り値も変えなくてはならないという問題があり、しかも露出補正をしたい時、カメラの絞り値と同じに設定したストロボの絞り値からさらにストロボの絞り値をプラス方向かマイナス方向に変更しなくてはならないので操作が複雑になる問題がある。
また、正しく動作させる為にはオートストロボのセンサーは正しく被写体の方へ向ける必要がある。
露出の細かい調整をする場合は外付けストロボの光量調節をマニュアルにする方法もある。これはカメラから被写体までの距離があまり変化しない場合有効で、外付けストロボの光量を好みの露出になるよう、一度調整すれば良い。
一台の外付けストロボにオートストロボ機能とマニュアル機能の両方が入っていればさらに使いやすくなる。
次に水中用の外付けストロボの場合、外部にある操作つまみは軸を防水する必要がある為、少なくする必要がありまた、設置スペースも少ないので、図3のように2個が限度である。この場合出来るだけ各操作つまみにいろいろな機能を持たせる必要がある。
以下の説明では通常近距離撮影でストロボを使用すると考えて撮影距離は0.5m〜1.5m位を想定している。
【0004】
次に図を用いて説明する。図2は従来の方法及び装置であり、レンズ5、CCD4、制御回路3、ストロボ発光部6などから構成されているデジタルカメラ1を水中では防水ハウジング2に入れて使用する。陸上では防水ハウジング2は不要である。
この防水ハウジングには従来型の外付けストロボ11bが取り付けられている。外付けストロボはカメラのX接点に同調して発光させる必要が有るが、純正ハウジングには外付けストロボに接続するためのシンクロコードの端子は付いていない物がほとんどである。
これを付けると接続部を防水しなくてはならない為と、カメラにX接点の端子が付いてない物があり、この場合は取り付ける事は不可能な為である。
シンクロコードを用いないで行う簡単な方法として、図2のような内蔵ストロボ光の可視光を遮断して赤外光(近赤外光も含む)を透過するフィルター7を介して赤外光(近赤外光も含む)を導光手段としての光ファイバー8で導き、光検出回路9で信号を検出してその信号により外付けストロボ11bを発光させる方法及び装置を使用している。上記導光手段は内蔵ストロボと外付けストロボの距離が近い時、光ファイバー8は不要の場合がある。
その場合は内蔵ストロボの赤外光(近赤外光も含む)が直接空気または水(海水)を介して光検出回路9(センサー)に届くことになる。
【0005】
動作においてはまずシャッターレバーを押すと最初に内蔵ストロボ6がプレ発光する。それと同時に内蔵ストロボの光が光ファイバー8で光検出回路9に導かれ電気信号に変換され、外付けストロボ11bの制御回路10bに届く。
このプレ発光は外付けストロボ11bには必要ないもので、無視して発光しないか、または本発光に関係ない位の微少発光をさせる場合もある。
次の本発光は約100mS後にシャッターが切れるのと同時に行われるが内蔵ストロボ光は前記フィルター7で遮光されているので被写体には当たらない。
その光を前記プレ発光と同様に導いて制御回路10bが本発光と判断して外付けストロボ11bが動作する。そして反射鏡12からの照射光13が被写体に当たる。
被写体からの反射光16がセンサー17に戻りセンサー17は光を電気信号に変える。この電気信号は制御回路10b内の積分回路で積分されあらかじめ決められた値(適正露出)になったとき制御回路から信号を出し発光を停止させる。これにより外付けストロボを使用して適正露出の写真が撮れる訳である。
マニュアル制御の場合は公知の方法によりセンサー17の代わりに抵抗を使いその抵抗値を可変することにより外付けストロボの発光停止のタイミングを変えて光量を調整して、適正な露出になるようにする。
【0006】
このようなオートストロボ装置の場合前記のように
1、適正露出にするためにはカメラの絞り値とストロボの絞り値を同じに合わせる必要があり、マニュアルストロボよりは良いが合わせる操作が面倒である。
2、露出補正をするためにはカメラの絞り値とストロボの絞り値を同じに合わせてあったものを、ストロボの絞り値をプラス方向かマイナス方向に変える必要があり、操作が複雑になる。
3、ストロボ11bが被写体の中心を向かないとセンサー17が被写体からの反射光を正しく受けなくなる為、露出が正確にならない事があり向きをセットするのが面倒である。
4、カメラのレンズの前面にフィルターまたはコンバーターレンズを取り付けたとき露出が変化するがこれを自動的に補正できない。
5、通常カメラにはズームレンズが付いていてテレ側とワイド側では実際の画角は異なっている。外付けストロボ11bのセンサー17は受光角が固定されていて、画角に合わせて連動しないので測光誤差が出ることがある。
6、カメラ側をプログラムモードにしたとき、周囲の明るさにより絞りとシャッタースピードが変化するが外付けストロボをその値に合わせることは簡単では無く、適正露出にすることは難しい。これらの問題があり簡単に使いこなす事は難しかった。
前記操作つまみの問題に関してはオート光量切り替えとマニュアル光量切り替えのつまみが別々になると2個分のスペースが必要で配置が出来なくなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−311478号公報
【特許文献2】特開平9−211566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような従来技術に鑑みなされたものであり、本発明の目的はデジタルカメラの内蔵ストロボの信号を信号検出手段により検出して、その信号により発光動作する外付けストロボにおいて、カメラ側からの信号をトリガーとして外付けストロボのプレ発光と本発光により適正な露出になるように制御すると共にストロボ側の絞り値の設定を不要にして、操作が簡単で適正露出の高品位な写真が撮れるようにすること、外付けストロボの操作つまみで露出の補正が簡単に出来ること、外付けストロボの操作つまみを2個にしてオート、マニュアル等の機能を増やすことを特徴としたデジタルカメラ用外付けストロボを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、オートモードとマニュアルモードとTTLモードの3つのモードで使用可能であり、前記3つのモードの内、少なくとも2つのモードの切り替えを行う第1の操作つまみを有し、前記マニュアルモードのときに作動するマニュアル光量切り替え装置を具備するとともに、前記TTLモードのときにデジタルカメラの内蔵ストロボの信号を信号検出手段により検出して、その信号により発光動作し、前記内蔵ストロボがプレ発光したとき、その発光信号をトリガーとして前記外付けストロボを発光開始させるプレ発光開始手段と前記内蔵ストロボのプレ発光の停止をトリガーとして前記外付けストロボのプレ発光を停止させるプレ発光停止手段と、前記内蔵ストロボが本発光したとき、その発光信号をトリガーとして前記外付けストロボを発光開始させる本発光開始手段と前記内蔵ストロボの本発光の停止をトリガーとして前記外付けストロボの本発光を停止させる本発光停止手段とを備えたデジタルカメラ用外付けストロボにおいて、前記TTLモードのときに露出補正を行う露出補正装置を具備し、前記マニュアル光量切り替え装置を操作させるための操作つまみと、前記露出補正装置を操作させるための操作つまみとを、同一の第2の操作つまみとして設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明の前記構成に加えて防水ハウジングに入れたデジタルカメラに外付けされるストロボ装置で水中使用が可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記に説明した通り本発明によれば、カメラの内蔵ストロボの発光部は前記遮光手段で遮光されていて、内蔵ストロボの発光が原因になっている前記マリンスノー現象が起こらなくなる作用(前記遮光手段を使用しない場合は減少する作用)と共に、外付けストロボの被写体からの反射光をカメラのレンズを通して測定しているので前記オートストロボの欠点である前記1〜6を解消することができる。
外付けストロボの操作を簡単にすることが出来、測光誤差が少なくなり簡単に適正露出で高品位の写真が撮れるようになる効果がある。
露出補正が必要な時は外付けストロボの操作つまみで補正が簡単に出来る効果がある。
外付けストロボの操作つまみを少なくして機能を増やしオート光量切り替えとマニュアル光量切り替えと露出補正の機能のうち、2〜3種類の組み合わせが一つのつまみで出来る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
水中用では図1のようにデジタルカメラは防水ハウジング2の中に納めて使用する。水中用の防水ハウジング一体形カメラは防水ハウジングとカメラの内部部品が一体型になっている物であるが、本発明の方法、装置で使用可能である。また、陸上で使用する場合、防水ハウジング2は不要である。
本発明の信号検出手段は内蔵ストロボの光を検出する外付けストロボの光検出回路9において光信号を電気信号に変換するまでの方法及び装置である。
このため図1のように信号検出手段には導光手段と遮光手段を含んでいるが、信号が検出されれば良いので、下記の理由でこれら導光手段と遮光手段を除いた構成も成立する。
上記導光手段は内蔵ストロボと外付けストロボの距離が近い時、光ファイバー8は使用しなくても良い。その場合は内蔵ストロボの光(赤外光、近赤外光も含む)が、直接空気または水(海水)を介して光検出回路9または光検出回路18に届く。
【0013】
遮光手段は後で詳細を説明するが、遮光手段が無い装置の場合でも写真は撮れるわけで、例えば水中ではあった方がよりきれいに撮れることになるが、写真の写り具合は個人の主観であり、基準点が明確で無い。
遮光手段が無くても、内蔵ストロボだけで被写体を照らすよりは内蔵ストロボと外付けストロボの両方で被写体を照らせば前記マリンスノー現象は従来より減少してそれなりの効果は出ることになる。また、本発明では露出補正手段により露出の調節が可能な為、好みの露出に調整することが出来る効果がある。
その為、本発明では信号検出手段の構成内に遮光手段はあった方がより良い写真は撮れるが、除くことも可能で、除いた構成も含むものとする。
本発明において、内蔵ストロボの可視光は前記理由から被写体に当たらないようにした方が良い。この方法及び装置は公知になっていて、図1、図2のフィルター7のように赤外光(近赤外光も含む)を透過して可視光を遮断するフィルターを内蔵ストロボの前面に配置する方法及び装置が一般的になっている。
【0014】
この方法及び装置の実施においては多数の例があり可視光を完全に遮断しなくても良い場合もある。本発明ではまとめて遮光手段として詳細は後で説明する。
外付けストロボ11aはカメラから少し離れた所に配置され、公知の導光手段として光ファイバー8を使用し上記遮光手段からの信号を受けるようにしている。その他回路等は構成が複雑な為、詳細は後で述べる。
【0015】
先ず、本発明の前提技術について図面に沿って説明する。図1は本発明の信号の流れを示す模式図である。
信号検出手段に従属する遮光手段として、防水ハウジング2に入れる前にカメラの発光部6にあらかじめ赤外線透過可視光遮断のフィルター7を貼っておく。陸上用も同様である。
このようにすると内蔵ストロボが発光したとき可視光は遮断され周りからも漏れてこなくなり、これに起因する前記マリンスノー現象は起きなくなる。
次に信号検出手段に従属する導光手段として、内蔵ストロボから出た赤外光は光ファイバー8を介して光検出回路9に届き電気信号に変換される。その電気信号が制御回路10aに加わり、外付けストロボ11aは発光制御される。
光検出回路の一部であるセンサー18をコード19の先端に取り付ければ光ファイバー8は不要になるので光ファイバーを使用したくない場合はこのような構成にする事もできる。
【0016】
前記遮光手段において赤外線透過可視光遮断のフィルターを貼る位置は同等に効果の出る他の場所でも良く防水ハウジング2の内側、防水ハウジング2の外側でも良い。
図1と図2の右側にその代表例を示していて、7aは防水ハウジング2の内側に貼った物、7eは防水ハウジング2の外側に貼った物である。
また、防水ハウジング2が不透明の場合は赤外線透過可視光遮断フィルターを貼る必要が無くその例を7bに示す。この場合は光を採る小さい穴として7cまたは7dを開けておくだけで良い。7dまたは7hのように反射鏡の正面では無く位置がずれても光が届けば問題は無い。7fは透明な窓を示し透明または不透明なハウジングに配置されている。
この場合はこの窓の部分の前面か後面に赤外線透過可視光遮断フィルターを貼るか、7gのように光を遮断する繊維、板等に穴を開けても良いし、採光の位置は7dまたは7hのように発光部の正面では無くても良い。また、7gを7fの内側に移動して遮光しても良い。
水中用(水陸両用)デジタルカメラの場合前記フィルターは7eのように内蔵ストロボの発光部の前面に貼るか、7gまたは7cのようになる。すなわち図1の防水ハウジング2が水陸両用カメラの外観になり、内部にカメラ部品が入っていると考えれば良く効果は上記と同様になる。
【0017】
ここまでは遮光手段として赤外線透過可視光遮断フィルターの使用を主に説明してきたが、写真の写りに影響しない程度であれば光の漏れがあっても問題無い。遮光部材においては光を遮断するもの、または多少の光漏れがあるものでも、この遮光部材が内蔵ストロボの前方に配置されていれば良い。その為多数の遮光手段が考えられる。
例えば可視光に近い近赤外線を透過するフィルター、赤色系フィルター、または光量を減衰させるフィルターを使用しても良い。この場合、例えば内蔵ストロボの光量を約1/4以下に減衰させれば効果がある。
また、前記及び上記と同等な特性のプラスチック樹脂の成型品でも可能であり、この場合は自由に形を作ることが出来、防水ハウジング2の樹脂にこの特性を持たせることも出来る。
さらにフィルターの代わりに光を遮断する物なら何でも良く繊維、板などの遮光部材を内蔵ストロボの前方に配置すれば良い。この場合の配置の場所は光を遮断する場所なら前方のどこでも良く限定はしない。光を採る必要があるので上記遮光部材に小さい穴を開けてそこから採るか、光が漏れている別の場所から採っても良い。
この場合を図で説明すると7eを遮光部材に変更して、その一部に採光の穴を開ければ良く7gのようになる。
また、遮光部材には穴を開けずに採光場所をずらして7hのようにすることも出来るし、ハウジングから外に遮光部材を少し離して配置し、その間に光ファイバーを設置しても良い。(図示省略)
【0018】
カメラのレンズの前面にワイドコンバージョンレンズまたはクローズアップレンズを別付けした場合は、通常このレンズの縁の径が大きく内蔵ストロボの光が遮断される。これを7kに示す。この場合は他の遮光部材は無くても良くこの場合でも同様の効果が出る。
次に一眼レフカメラなどで内蔵ストロボの発光部がポップアップする物がある。この場合は完全にポップアップして発光部が正面を向く前に7iのように下向きになりこの場合でも発光する物がある。この発光部から出た光はカメラの頭部に遮られて被写体にはほとんど当たらない。すなわちカメラの頭部が遮光手段となり7jのように採光することが出来、前記フィルターまたは遮光部材はあっても無くてもどちらでも良い。
この場合のハウジング2は透明でも不透明でも良い。また、前例のように発光部の前方に前記フィルター等の部材を配置することも出来る。
【0019】
次に図1と図5、図6を主にして動作の詳細を説明する。
現在、デジタルカメラのストロボにおいてはプレ発光と本発光を行って露出を制御する方法、装置が一般的であり本発明でもこの方法、装置を基準に説明する。図5は本発明のストロボ装置の一実施例を示すブロック図と配線図である。公知の動作は簡略化して説明する。
スイッチ22をオンにすると電池21から電力が供給され昇圧回路24により昇圧された高電圧がメインコンデンサ25に充電される。
メインコンデンサ25の電圧が所定値以上になるとレディ回路26により発光の準備が出来たことが表示される。
その後カメラのシャッターボタンを押すと最初に図1の内蔵ストロボ6がプレ発光する。この発光の様子を図6に示し内蔵ストロボのプレ発光の立ち上がりが71、立ち下がりが72である。
この内蔵ストロボ6のプレ発光の光を、導光手段の一つとして光ファイバー8を使用して光検出回路9に導く。
【0020】
このプレ発光をトリガーとして外付けストロボが発光開始するまでを、プレ発光開始手段としてその一例を述べる。
光検出回路9はフォトトランジスタ32と負荷抵抗33からなり光は電気信号に変換される。
この信号は発光開始信号検出回路45に印加される。発光開始信号検出回路45は信号の立ち上がりを検出するものでコンデンサ40により検出した信号の立ち上がり分をトランジスタ41で交流増幅してコンデンサ42を介してトランジスタ43で検出する。
さらにトランジスタ44をバッファーとして使用し、ON信号として発光開始信号をトリガー回路27に加えれば、トリガー回路が動作して放電管28が発光を開始する。(切り替えスイッチ113がTTLの時でプリ発光キャンセル回路102が不動作になり、そのまま信号が通過する)
内蔵ストロボのプレ発光時間は図6の71と72のように非常に短くすぐに発光を停止する。この発光停止は72のような立ち下がり信号で前記と同様に光ファイバー8を使用して光検出回路9に光を導き、さらに前記と同じフォトトランジスタ32によって電気信号に変換される。
本例では発光開始と発光停止の検出は同じフォトトランジスタで行っているが別々に合計2個使用することも出来る。
【0021】
このプレ発光の発光停止をトリガーとして外付けストロボが発光停止するまでを、プレ発光停止手段としてその一例を述べる。
この場合の発光停止時の立ち下がりを検出するのが発光停止信号検出回路39で、微分コンデンサ34により立ち下がりのエッジ(縁)を検出して、その信号はコンデンサ35を介してトランジスタ36によって交流増幅される。次にその信号はコンデンサ37を介してトランジスタ38で検出されON信号となる。
次に切り替えスイッチ113がTTLの時の動作を説明する。TTLは通称でこの場合はカメラ側からのプレ発光と本発光の信号によって動作する接続をいう。
この場合プレ発光停止信号が発光停止信号検出回路39からプレ発光制御回路108に印加されトランジスタ109がONになりゲート電圧発生回路23からの電圧が抵抗111と逆流防止ダイオード110を介して積分回路120に印加される。コンデンサ112はトランジスタ109のON時間を伸ばす作用をする。
【0022】
積分回路120は公知のスピードアップ抵抗121と積分コンデンサ122と放電抵抗123から構成されていて、抵抗111と積分コンデンサ122で積分される。積分コンデンサ122の電圧が所定の電圧になると発光停止信号発生回路124から発光停止の信号が出て発光停止信号入力回路30に印加され、その信号は発光制御回路29に印加され、発光制御回路29が動作して直ちに発光は停止する。
次に露出補正手段の機能もしている発光停止信号発生回路124はコンパレータ126と比較電圧発生の為の抵抗125と抵抗群127及び切り替えスイッチ128から構成されている。抵抗群127は可変抵抗129に変更して調整することも出来る。
例えばコンパレータの動作電圧を0.1V(切り替えスイッチ128を左側)から3V(切り替えスイッチ128を右側)位にしておくと、低い電圧(0.1V)の時はプレ発光制御回路108が動作してから直ぐにコンパレータ126から信号が出る。すなわち、積分回路120はほとんど時間を経過せずに0.1Vになる。
【0023】
露出補正手段には可変手段を有していて、この可変手段は切り替えスイッチ128をだんだん右に回していくと信号が出る時間が徐々に遅くなるよう動作する。(コンパレータ126の動作点が徐々に高くなる為)
この信号により外付けストロボが動作した場合、上記のように露出補正手段の補正作用により放電管の発光停止の動作タイミングが変化し、放電管28の発光波形は図7の131〜135のように変化する。
最終的には抵抗111と積分回路120の値を調整して一番良い値に決める必要がある。(図7の波形は変化を示したもので最適値では無い)
ここではコンパレータ126の抵抗群127を可変させて調整しているが他の方法、装置として積分回路120のコンデンサを多数用意して切り替えることも出来る。また、コンパレータの代わりにトランジスタのON特性を使用する公知の回路も使用可能である。
ここでは説明が分かりやすいようディスクリート回路になっているが、同等の動作のデジタル回路やマイコン使用の場合も本発明に含むものとする。
【0024】
放電管28の発光波形が図7の131〜135のように変化するとどのような効果があるか説明する。デジタルカメラにおいて、プレ発光により本発光の露出を決める方式ではプレ発光時の被写体からの反射光の光量を元にして本発光の露出を決めている。
従ってプレ発光の光量を適正点から少なめにすると、被写体からの反射光が少なくなり、本発光の時は多目に発光するように動作する。すなわち露出がプラス目になる。
逆にプレ発光の光量を適正点から多目にすると、被写体からの反射光が多くなり、本発光の時は少なめに発光するように動作する。すなわち露出がマイナス目になる。
この原理を利用すると外付けストロボの操作つまみにより簡単に露出補正が出来るようになる。
図7の131のように閃光時間が短くなる理由は発光開始は後記の理由で遅れるが発光停止は遅れが少ないためである。
尚ゲート電圧発生回路23はストロボが発光している間、必要な電力を発光停止信号入力回路30に供給する作用をする。
【0025】
前記、発光開始と発光停止を検出する回路は一例であり同等の効果があれば他の装置でも良い。例えばデジタル化して立ち上がりと立ち下がりを検出する回路。オペアンプ、コンパレータ等を使用したIC回路でも動作する。
この外付けストロボの標準的な発光動作を図6のbに示し発光開始タイミングが75、発光停止タイミングが76である。
標準的な露出にする為には、外付けストロボの方が全体的に光量が大きいのでそれに合わせてプレ発光は内蔵ストロボより多目にするのが一般的であるが実験して実際に適正露出になるように決めるのが良い。
外付けストロボでは発光開始に多少の時間遅れが出る。これは放電管内のガスがすぐに活性化しないからで物理的特性の為である。
他の電気回路部分の遅れがほとんど無い場合で図6のbのように約20μS(マイクロセカンド)の遅れが出る。しかしこの遅れは図で書くと大きく見えるが実際は微少のもので、しかも前記のように内蔵ストロボの光は被写体に当たらないで代わりに外付けストロボの光が被写体に当たっている。その為、内蔵ストロボと外付けストロボの両方の光が二重になって当たらないので問題無い訳である。
電気回路部分では出来るだけ動作の遅れを少なくするために回路を単純化して遅延部品(バイパスコンデンサ等)は使用しないか、微少にしている。尚図5の発光開始信号検出回路45と発光停止信号検出回路39にはバイパスコンデンサは使用していない。
【0026】
次に発光停止の方は発光開始ほどの遅れは出ない。放電管の発光を止める素子は半導体の為で、動作スピードは速く動作遅れはほとんど無い。
現在この素子にはIGBTが使用されている。このIGBTがOFFになると放電管に流れている電流は直ちに遮断されるが放電管内部のガスが光っていて多少の残光があるが。しかし残光による動作遅れはほとんど無い。
この放電管の特性と前記のように電気回路の動作時間の調整により発光停止タイミングを速くしたり遅くしたり出来、切り替えスイッチの中心近くに適正値を持ってくればカメラの回路は内蔵ストロボが発光したときと同じ数値データで動作しても問題無いことになる。
次にこのプレ発光の光13が被写体14に当たりその反射光15がカメラのレンズを通りCCD(CMOS)4で電気信号に変換されその値のレベルにより制御回路3で本発光の量が算出される。約100mS(ミリセカンド)後に73のように内蔵ストロボの本発光が開始される。
この内蔵ストロボ6の本発光の光を、前記プレ発光と同じに光ファイバー8を使用して光検出回路9に導く。
【0027】
この本発光をトリガーとして外付けストロボが本発光開始するまでを、本発光開始手段とする。この動作は前記で説明したプレ発光の発光開始の場合と同じであり77のように発光を開始する。
その後、所定値(適正露出)になったとき74のように内蔵ストロボの本発光が停止する。
この光信号も前記プレ発光と同じに光ファイバー8を使用して光検出回路9に導かれ、この本発光の停止をトリガーとして外付けストロボが本発光停止するまでを、本発光停止手段とする。
この場合、本発光の停止は前記プレ発光停止手段のように停止するタイミング時間を可変する必要はない。本発光の発光停止信号が来たとき可変しないようにする装置がタイマー101と遅延ON回路103で、動作としては最初のプレ発光開始信号が出たときタイマー101からプラス信号が約0.2秒出る。
【0028】
内蔵ストロボがプレ発光した時点において、遅延ON回路103は抵抗105とコンデンサ106の積分回路によりトランジスタ107とトランジスタ104にはベース電圧が掛からずまだ動作していない。その後、本発光までにはコンデンサ106に電圧が掛かりトランジスタ107とトランジスタ104がONして抵抗111がショートされる。
このため本発光の時は、積分回路120には直ぐに電圧が発生して時間遅れは無くなることになる。前記のタイマー101と遅延ON回路103は理想的な回路構成の場合を説明したもので、これらの回路は必ずしも必要ではない。プレ発光の可変手段の可変時間を少なくした場合等では影響が少なくなる為である。
その他はプレ発光時と同様な動作をして最終的に78のように本発光を停止して一連の動作は終了する。
このように外付けストロボの発光波形は内蔵ストロボの発光波形を修正、適正化しているので、内蔵ストロボの光が被写体に当たらなくても適正露出になる訳である。
【0029】
次に、前記の前提技術をもとに、図3と図5により実施例を説明する。
水中ストロボの場合、操作つまみは軸を防水する必要がありまた、配置するスペースも少ないので出来るだけ少ない方が良い。具体的には2個以内にする必要がある。(陸上用も多いよりは少ない方が良い)
水中ストロボの操作部分を図3に示し、ストロボ背面99には操作つまみ92と操作つまみ96 電池蓋97 充電完了を示すレディライト98が設置されている。
このように配置場所が限られているので、一つのつまみに多くの機能を持たせることが出来れば、今までに無い多機能な外付けストロボになる。
図5においてこの回路を説明すると、前記のように切り替えスイッチ113がTTLポジションの時は切り替えスイッチ128は露出補正として働いたわけである。さらに必要な機能は前記のようにオート機能とマニュアル機能である。
この機能について説明する。本発明では発光停止信号発生回路124と積分回路120を共通化することによってこれらの機能を追加することが出来る。
切り替えスイッチ113をAUTO側にしたときは前記TTLの接続は遮断され前記のプレ発光制御回路108は不動作となる。その代わりにフォトトランジスタ114に接続される。
【0030】
この回路は一般的なオート回路構成になり、動作は公知であり従来と同じである。
まず外付けストロボからの照射光が被写体に当たり、被写体からの反射光をフォトトランジスタ114で受光して、光を電気信号に変える。この電気信号は積分回路120で積分されあらかじめ決められた値(適正露出)になったとき発光停止信号発生回路124から信号が出て前記と同様の流れで放電管28は発光を停止する。
抵抗群127の値を適正にして切り替えスイッチ128を切り替えれば多数の露出に対応する。本発明では最大3種類のモードを兼用するのでオートの場合の切り替えの幅は0.5絞りから1絞りが良い。(図3、図4では1絞りの幅になっている)
次に切り替えスイッチ113をMANUAL側にしたときは他の接続は遮断されマニュアル制御になる。
このマニュアル制御の場合は公知の方法によりフォトトランジスタ114の代わりに抵抗117を使い、その抵抗値を最適値に調整してさらに発光停止信号発生回路124の抵抗群127を切り替えることにより、外付けストロボの発光停止のタイミングを変えて少ない光量から徐々に増やして、撮影に適した光量に可変出来るように調整する。
但し、抵抗117だけでは可変の変化の幅が最適にならないのでマニュアル制御回路116として抵抗115とコンデンサ119により発光波形の立ち上がり部分とその近くの補正をしている。この値は実験で決めるのが良い。
切り替え幅は0.5絞りから1絞りにすると良い。他の動作は前記のフォトトランジスタ114が抵抗に変わっただけなので前記オート回路と同様である。
【0031】
オート及びマニュアルの場合は内蔵ストロボがプレ発光したとき発光する必要は無いので、プレ発光キャンセル回路102を動作させている。
この方法及び装置を使用すると最大3種類のモードが一つのつまみで操作出来る。この組み合わせをストロボ背面99に配置した実施例として図3と図4に示し、切り替えスイッチ128が操作つまみ96に連動していて、切り替えスイッチ113が操作つまみ92に連動している。
操作つまみ96は露出補正93とマニュアル光量切り替え94とオート光量切り替え95の兼用である。
図4のa、b、c、dはこれらの各組み合わせであり、(dは組み合わせ無し)自由に組み合わせが出来る為、多数の要望に応じることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本出願の装置の動作を説明するための実施図である。
【図2】従来例の装置の動作を説明するための実施図である。
【図3】本出願の付けストロボの操作部分の図面である。
【図4】本出願の外付けストロボの操作部分の図面である。
【図5】本出願の装置の回路動作を説明するための実施図である。
【図6】本出願の装置の発光動作を説明するための波形図である。
【図7】本出願の装置の発光動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0033】
1 デジタルカメラ
2 防水ハウジング
5 レンズ
6 内蔵ストロボ
7 フィルター
8 光ファイバー
9 光検出回路
11a (本発明の)外付けストロボ
14 被写体
28 放電管
29 発光制御回路
30 発光停止信号入力回路
32 フォトトランジスタ
39 発光停止信号検出回路
45 発光開始信号検出回路
99 ストロボ背面
101 タイマー
102 プレ発光キャンセル回路
103 遅延ON回路
108 プレ発光制御回路
116 マニュアル制御回路
120 積分回路
124 発光停止信号発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートモードとマニュアルモードとTTLモードの3つのモードで使用可能であり、前記3つのモードの内、少なくとも2つのモードの切り替えを行う第1の操作つまみを有し、前記マニュアルモードのときに作動するマニュアル光量切り替え装置を具備するとともに、前記TTLモードのときにデジタルカメラの内蔵ストロボの信号を信号検出手段により検出して、その信号により発光動作し、前記内蔵ストロボがプレ発光したとき、その発光信号をトリガーとして前記外付けストロボを発光開始させるプレ発光開始手段と前記内蔵ストロボのプレ発光の停止をトリガーとして前記外付けストロボのプレ発光を停止させるプレ発光停止手段と、前記内蔵ストロボが本発光したとき、その発光信号をトリガーとして前記外付けストロボを発光開始させる本発光開始手段と前記内蔵ストロボの本発光の停止をトリガーとして前記外付けストロボの本発光を停止させる本発光停止手段とを備えたデジタルカメラ用外付けストロボにおいて、
前記TTLモードのときに露出補正を行う露出補正装置を具備し、前記マニュアル光量切り替え装置を操作させるための操作つまみと、前記露出補正装置を操作させるための操作つまみとを、同一の第2の操作つまみとして設けたことを特徴とするデジタルカメラ用外付けストロボ。
【請求項2】
防水ハウジングに入れたデジタルカメラに外付けされるストロボ装置で水中使用が可能なことを特徴とする請求項1に記載したデジタルカメラ用外付けストロボ。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−18050(P2011−18050A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161943(P2010−161943)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【分割の表示】特願2004−333726(P2004−333726)の分割
【原出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(591012705)
【Fターム(参考)】