説明

デジタルカメラ

【課題】画面内に複数のクロップ領域を設定した場合に、各々の領域内の被写体にピントが合う可能性を高める。
【解決手段】複数のクロップ領域を設定した場合、各々の領域の被写体距離が求められ、その最大値(最遠距離)Dmaxと最小値(最至近距離)Dminの差ΔDが演算され、最小値Dminと距離差ΔDに基づいて絞り値の下限が決定される。基本的に、最小値Dminが小さいほど、また距離差ΔDが大きいほど、絞り値の下限は大きくなる。絞り値に下限を設ける(それ以上開放側の値に成らないようにする)ことで、通常よりも被写界深度の幅を広くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロップ処理が可能なデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
クロップ機能を備えたデジタルカメラとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。このカメラは、1枚の元画像から複数の領域(クロップ領域)を切り出すことが可能であるとともに、1または複数のクロップ領域を可動領域とすることができる。可動領域は、その領域内の指定された被写体の動きに追従して自動的に移動するため、可動領域を指定して連写を行うことで、所望の動体の連続アップ写真を手軽に得ることができる。
また、特許文献2には、動画のクロップが可能な画像処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−175683号公報
【特許文献2】特開2006−279894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1画像(静止画または動画)の中に複数のクロップ領域を設定した場合、全ての領域内の被写体にピントが合うか否かが問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るデジタルカメラは、撮影画面内にクロップ領域を設定する設定手段と、撮影画面内に複数のクロップ領域が設定されている場合は、各々のクロップ領域における被写体距離を求め、それらの被写体距離に基づいて絞り値を演算する演算手段と、演算された絞り値を撮影絞り値として撮影を行う撮影制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数のクロップ領域を設定した場合に各々の領域内の被写体にピントが合う可能性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態におけるデジタルカメラの制御ブロック図。
【図2】撮影画面内に複数のクロップ領域を設定した場合の一例を示す図。
【図3】動画撮影時の処理手順を示すフローチャート。
【図4】絞り設定処理の詳細を示すフローチャート。
【図5】AF処理の詳細を示すフローチャート。
【図6】絞り値設定用テーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜図4により本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明に係るデジタルカメラの制御ブロック図である。撮影レンズ1は、合焦レンズや絞り1aを含み、撮影レンズ1を透過した被写体光束は、撮像素子2で撮像され、その撮像信号は画像処理部3に入力される。画像処理部3を構成する画像処理回路3aは、入力された撮像信号に種々の処理を施して画像データを生成する。画像データは、表示回路3bによる処理を経て、カメラ背面などに設けられた液晶モニタ4に表示される。
【0009】
撮影モード設定時には、上記撮像および画像表示が繰り返され、いわゆるライブビュー表示(スルー画表示)が行われる。撮影指示がなされると改めて撮像が行われ、生成された画像データは、コンピュータで扱うことが可能な画像ファイルとして、記録/再生回路3cによりメモリカード等の記録媒体5に記録される。本実施形態のカメラは、静止画撮影のみならず、動画撮影も可能であり、動画撮影時には音声録音も同時になされる。
【0010】
再生モードでは、記録媒体5に記録された画像データ(静止画データ、動画データ)を記録/再生回路3cにて読み出し、画像処理回路3aおよび表示回路3bによる処理を経て液晶モニタ4に表示することができる。
【0011】
絞り駆動部6は、CPU7からの指示に応じて絞り1aを駆動する。フォーカス駆動部8は、CPU7からの指示に応じて合焦レンズを駆動し、焦点調節(AF)制御を行う。ズーム駆動部9は、CPU7からの指示に応じてズーム駆動を行う。CPU7は、操作部10からの入力に応答して画像処理部3を制御したり、測光やAE演算、絞り制御、シャッタ制御、焦点調節(AF)制御等を行う。操作部10は、電源ボタンやレリーズボタン、ズームボタン、再生操作や情報入力等で用いる各種操作部材等を含む。レリーズボタンとは別に動画ボタン(動画の記録開始/停止を切換操作するためのボタン)を含んでもよい。
【0012】
次に、カメラのクロップ機能について説明する。
本実施形態のカメラは、動画撮影に際し、撮影画面内に1または複数のクロップ領域を設定でき、設定されたクロップ領域を切り出して動画を再構成することができる。このようなクロップ機能は、例えばメニュー画面において設定/非設定を切換えることができる。
【0013】
クロップ領域の指定は、撮影に先立ってスルー画上で行う。例えば撮影者がクロップ機能を設定すると、CPU7は、液晶モニタ4に表示されたスルー画上の適当な位置に、クロップ領域を決める矩形枠(クロップ枠)をオーバーレイ表示する。ここで枠追加操作を行うことで、画面内にクロップ枠を追加することができる。表示されたクロップ枠は、その大きさおよび位置を画面内で自由に変更することができる。
【0014】
図2はスルー画表示中の撮影画面例を示し、左奥に「家屋」があり、右手前に「猫」がいる構図である。ここでは、「家屋」および「猫」をそれぞれ囲む2つのクロップ枠F1,F2が設定されている。各枠F1,F2で囲まれた領域がクロップ領域A1,A2である。3以上のクロップ枠を設定することも可能である。図2のように、複数のクロップ領域は一部が重なっていてもよい。
【0015】
上記の設定で動画撮影を行うと、画面全体を撮像して成る動画からクロップ領域A1を切り出して成る動画(「家屋」を主体とした動画)と、クロップ領域A2を切り出して成る動画(「猫」を主体とした動画)の2つの動画が得られる。これらの動画は、別々の動画ファイルとして記録媒体5に記録される。画面全体を撮像した元動画は、記録してもしなくてもよく、いずれにするかを撮影者が選択できるようにしてもよい。切り出された各動画は、当然ながら元動画と比べて解像度は低下するが、近年のデジタルカメラは高画素化が進んでいるため、切り出し領域がよほど小さくない限りは、切り出し動画でも画質が極端に低下することはない。
【0016】
なお、いったん記録媒体5に記録された元動画の一部を切り出して新たな動画を構成するようにしてもよいし、撮像素子2から出力される撮像信号に対して切り出しを行い、切り出した信号から動画ファイルを生成して記録するようにしてもよい。あるいは、部分読み出しが可能な撮像素子(例えば、CMOS)を用いた場合は、クロップ領域の撮像信号のみを読み出して動画を構成してもよい。この場合は、元動画は始めから存在しないことになる。
【0017】
また、撮影者がクロップ枠の位置および大きさを指定することでクロップ領域を設定するようにしたが、例えば液晶モニタ4にタッチパネルを配置したカメラでは、撮影者がいずれかの被写体をタッチすると、その被写体を含む領域がクロップ領域として設定されるようにしてもよい。さらに、撮影者がクロップ領域を設定するのではなく、カメラがスルー画を解析して被写体認識を行い、認識したいくつかの被写体をそれぞれ含む領域をクロップ領域として設定するようにしてもよい。一例として、公知の顔認識技術を用い、スルー画中に認識された複数の顔を含む領域をそれぞれクロップ領域としてカメラが設定するようにしてもよい。
【0018】
また、カメラはクロップ領域の切り出しそのものは行わず、切り出しは別の装置(ソフトウェア)で行うようにしてもよい。この場合、後に切り取りを行う領域としてクロップ領域を予め登録しておくという形になる。カメラは、設定(登録)されたクロップ領域の座標情報を元動画に対応づけて記憶する。その後、元動画と座標情報とをセットで他の装置に取り込み、その装置に組み込まれた画像処理ソフトウェアが、座標情報に基づいて元画像からクロップ領域を切り出して動画を構成する。このように後から切り出しを行う場合は、複数のクロップ領域に対し、実際にその領域を切り出すか否かを撮影者が選ぶことができる。
【0019】
ところで、1画面内に複数のクロップ領域を設定した場合、全てのクロップ領域の被写体までの距離が同一であることは稀であり、このため、1つのクロップ領域の被写体にピントを合わせると、他のクロップ領域を切り出して成る動画は終始ピントがぼけているといったことが起こり得る。ズームレンズであれば、なるべく広角側の焦点距離で撮影することで被写界深度が深くなり、上記のようなピンぼけを抑制できるが、状況によっては望遠側で撮影しなければならないこともある。
【0020】
そこで本実施形態では、撮影絞り値に制限を加えるとともに、ピントを合わせる距離を工夫することで上記の問題に対処するようにした。これらは、複数のクロップ領域の被写体を被写界深度内に収め、全ての被写体にピントが合っているように見せるための措置である。
以下、詳細に説明する。
【0021】
図3は動画撮影時の処理の一例を示すフローチャートである。
この処理は、動画撮影開始の操作に伴ってCPU7により起動される。なお、このとき上記スルー画表示がなされており、クロップ機能が設定されている場合は、スルー画に重ねてクロップ枠も表示されている。
【0022】
まずステップS1で絞り設定処理を行う。その詳細を示す図4において、ステップS11では、クロップ機能が設定されているか否かを判定し、設定されている場合はステップS12に進み、2以上のクロップ領域が設定されているか否かを判定する。ステップS12が肯定されるとステップS13に進み、各クロップ領域に位置する被写体までの距離を取得する。例えば、位相差方式の焦点検出を行うものでは、焦点検出信号としてのデフォーカス量から被写体までの距離を求めることができる。具体的には、画面内に複数の焦点検出エリアを設けるとともに、そのエリアごとに焦点検出素子を設け、さらにデフォーカス量と被写体距離とを対応づけたテーブルをメモリに記憶させておく。距離取得時には、各クロップ領域に対応する焦点検出エリアのデフォーカス量を取得し、それに基づいて上記テーブルから該当する被写体距離を得る。
【0023】
ステップS14では、取得した複数の被写体距離からその最大値(最遠距離)Dmaxと最小値(最至近距離)Dminとを抽出し、それらの差ΔDを求める。ステップS15では、最小値Dminと、ステップS14で求めた距離差ΔDとに基づき、予め記憶された絞り値設定用テーブルから絞り値の下限を求める。
【0024】
図6は絞り値設定用テーブルの一例を示している。基本的には、Dminが小さい(近い)ほど、また距離差ΔDが大きいほど、絞り値の下限は大きくなる。これは、Dminが小さいほど被写界深度を手前側に広げる必要があるからであり、また距離差ΔDを考慮するのは、ΔDが大きいほど、深度の全体幅を広げる必要があるからである。例えば図2の例において、「猫」までの距離が1.5m、「家屋」までの距離が10mであったとすると、距離差ΔDが比較的大きいので、絞り値の下限はF8となる。
【0025】
なお、被写界深度は撮影レンズ1の焦点距離によっても変わるため、ズームレンズの場合は、焦点距離ごとにテーブルを作成し、実際の焦点距離に基づいて使用するテーブルを選ぶようにすることが望ましい。
【0026】
ステップS16では、被写体の輝度(予め測光により判明している)に基づいて撮影絞り値を演算する。ここではステップS15での制限が課され、演算される絞り値が上記下限値を下回る(下限値よりも開放側の値になる)ことはない。具体的には、通常の方法で絞り値を演算し、その値が上記下限値よりも大きければその絞り値を撮影絞り値とし、下限値を下回る場合は下限値を撮影絞り値とする。ただし、撮影者が絞り値を指定するモード(絞り優先モード)が設定されていた場合は、ステップS16で演算された絞り値が撮影者の指定した絞り値と一致しない場合がある。この場合はステップS17が肯定され、その旨のメッセージを表示して撮影者に是非を問う。ステップS18でOKの旨の操作を確認すると、ステップS16での演算値を採用し、NGの旨の操作を確認すると、ステップS19で撮影者の指定した絞り値を撮影絞り値とする。
【0027】
なお、ステップS16で被写体輝度に基づいて演算された絞り値が上述の下限値を下回っているが故に、その下限値が撮影絞り値とされる場合には、そのまま(シャッタ秒時Tv,絞り値Av,ISO感度Svを変更しないまま)ではそのときの撮影露出が適正露出にならない可能性がある。このような場合には、例えば適正露出が得られるように感度Svを上げて撮影を行うようにしてもよい。
【0028】
一方、ステップS11でクロップ機能が非設定と判定された場合、またステップS12でクロップ領域が一つしか設定されていないと判定された場合は、ステップS20で撮影絞り値を求める。これは、通常のAE演算によって得られる絞り値、または撮影者によって設定された絞り値であり、上記のような制限が課されることはない。
【0029】
その後、図3の処理に戻り、ステップS2において、上記決定された撮影絞り値に基づいて絞り駆動を行う。また同時にシャッタ秒時やISO感度も決定する。
【0030】
次に、ステップS3でAF処理を行う。その詳細を示す図5において、ステップS31ではクロップ機能が設定されているか否かを判定し、設定されている場合はステップS32に進み、2以上のクロップ領域が設定されているか否かを判定する。ステップS32が肯定されるとステップS33に進み、まずDminに相当する被写体にピントを合わせることを考える。そこで、図4のステップS16で演算された撮影絞り値と、撮影距離としてのDminと、そのときの撮影レンズの焦点距離とに基づいて被写界深度を演算し、Dminにピントを合わせた場合の被写界深度の前端距離DN1と、後端距離DF1とを得る。撮影絞り値に開放側の制限が設けられているので、制限なしの場合と比べて被写界深度は深くなる。
【0031】
ステップS34ではDmaxとDF1とを比較し、Dmax≦DF1であれば、距離Dminの被写体にピントを合わせた場合(Dminに対応するレンズ位置に合焦レンズをもたらした場合)に全てのクロップ領域の被写体が被写界深度内に収まることになるから、ステップS35で距離Dminの被写体、つまり複数のクロップエリアの被写体のうち最も至近の被写体にピントが合うように合焦レンズを駆動する。
【0032】
一方、ステップS34が否定されるということは、Dminの被写体にピントを合わせたのでは、複数のクロップエリアの被写体のうち少なくとも最遠の被写体はピンぼけとなることを意味し、この場合はステップS36に進む。ステップS36では、DmaxとDminの中間距離Dmidに対応するレンズ位置に合焦レンズをもたらすことを考える。Dmidは、例えばDmaxに対応するレンズ位置と、Dminに対応するレンズ位置の中央のレンズ位置に対応する距離とされる。そして、図4のステップS16で演算された撮影絞り値と、撮影距離としてのDmidと、そのときの撮影レンズの焦点距離とに基づいて被写界深度を演算し、Dmidに対応するレンズ位置に合焦レンズをもたらした場合の被写界深度の前端距離DN2と、後端距離DF2とを得る。
【0033】
ステップS37では、Dmax≦DF2かつDmin≧DN2が成立するか否かを判定する。ステップS37が肯定されるということは、Dmidに対応するレンズ位置に合焦レンズをもたらした場合に全てのクロップ領域の被写体が被写界深度内に収まることになるから、ステップS38でDmidに対応するレンズ位置に合焦レンズを駆動する。
【0034】
一方、ステップS37が否定されるということは、Dmidに対応するレンズ位置に合焦レンズを駆動すると、少なくともいずれかのクロップ領域の被写体が被写界深度内に収まらないことを意味し、この場合はステップS35で、Dminに対応するレンズ位置に合焦レンズを駆動する(至近優先)。
【0035】
なお、ステップS31でクロップ機能が非設定と判定された場合、またステップS32でクロップ領域が一つしか設定されていないと判定された場合は、通常のAF動作を行う。クロップ領域が設定されている場合は、そのクロップ領域の被写体にピントを合わせる。
【0036】
AF処理後、図3のステップS4で動画撮影を開始する。ステップS5で動画撮影停止の操作がなされると、ステップS6で動画撮影を停止してメインの処理にリターンする。生成された1または2以上の動画は、記録媒体5に記録される。
【0037】
なお、クロップ機能が非設定の場合、あるいはクロップ領域が1のみの場合は、動画撮影中も所定のアルゴリズムに基づいて所定の領域(例えば、画面中央部あるいはクロップ領域)の被写体にピントを合わせ続けるようにしてもよい。また、一般的には動画撮影中に絞り値が変更される(絞り1aが駆動される)ことはない。これは、絞り駆動音が録音されることを防止するためである。
【0038】
以上のように、2以上のクロップ領域を設定した場合、各領域の被写体距離に基づいて動画撮影の撮影絞り値に下限値が設定されるようにしたので、通常よりも被写界深度を深くすることができ、切り取った複数の動画のいずれにおいてもピンぼけを防止できる可能性が高まる。また、必要以上に絞りを絞り込むことがないので、シャッタ秒時が徒に遅くなったり、ISO感度が徒に増加することもなく、像振れやノイズの増大を可能な限り抑えることができる。
【0039】
ここで、もしΔDが大きすぎる、あるいはDminが近すぎるために、全クロップ領域の被写体を被写界深度内に収められない場合は、その旨のメッセージを表示し、動画撮影の是非を撮影者に問うようにしてもよい。また、動画撮影中に被写体が移動して被写界深度外に出てしまうことも考えられるので、動画撮影中も複数のクロップ領域の被写体が被写界深度内に収まっているか否かを判断し、被写界深度を逸脱した場合に警告を行うようにしてもよい。なお、少しぐらいは被写界深度を逸脱しても可とする考え方もあり、この場合は被写界深度を用いて許容ピント範囲を適宜設定し、その範囲を逸脱するか否かで警告の有無を決めてもよい。
【0040】
さらに、動画撮影中に被写界深度(許容ピント範囲)を逸脱した被写体に対しては、その被写体が含まれるクロップ領域を「切り出し不適格領域」として、元動画に対応づけて記録するようにしてもよい。あるいは、各クロップ領域に対し、被写体が被写界深度を逸脱した時間帯をも含めて記録するようにしてもよい。この処置は、上述したように他の装置に元画像を取り込んでから切り出しを行う場合に有効である。すなわち、装置に組み込まれたソフトウェアが、切り出し不適格領域に対してはその旨を報知することで、操作者が不適格領域を切り出してピンぼけの動画を作成してしまうことを防止できる。また、被写体が被写界深度を逸脱した時間帯を記録しておけば、その時間帯をカットして動画の切り出しを行うこともできる。なお、上記元動画に対応づける情報は、元動画ファイルに埋め込んでもよいし、他のファイル(テキストファイル等)に記述されるようにしてもよい。
【0041】
また、ピントを合わせる距離については図5のフローに限定されず、例えば撮影絞り値と焦点距離とから決まる過焦点距離に合焦レンズを設定するようにしてもよい。これによれば、無限遠から最大限手前の被写体までピントを合わせる(正確には、ピントが合っているように見せる)ことができ、上記のようなピンぼけを抑制できる。
【0042】
さらに、本発明は動画撮影だけでなく、静止画撮影に対しても同様に適用可能である。この場合は、クロップ枠の設定後、レリーズボタンの半押し操作で上述と同様に撮影絞り値を決定し、全押し操作で撮影絞り値に基づいて絞り駆動を行い、しかる後に撮影を行うようにすればよい。
【符号の説明】
【0043】
1 撮影レンズ
1a 絞り
2 撮像素子
3 画像処理部
4 液晶モニタ
5 記録媒体
6 絞り駆動部
7 CPU
8 フォーカス駆動部
9 ズーム駆動部
10 操作部
A1,A2 クロップ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影画面内にクロップ領域を設定する設定手段と、
前記撮影画面内に複数のクロップ領域が設定されている場合は、各々のクロップ領域における被写体距離を求め、それらの被写体距離に基づいて絞り値を演算する演算手段と、
前記演算された絞り値を、撮影を行う際の絞り値の下限値として撮影を行う撮影制御手段とを具備することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記演算手段は、前記各々のクロップ領域における被写体距離の最小値が小さいほど絞り値の前記下限値が大きくなるように絞り値演算を行うことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記演算手段は、前記各々のクロップ領域における被写体距離の最大値と最小値との差が大きいほど絞り値の前記下限値が大きくなるように絞り値演算を行うことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記複数のクロップ領域が設定されている場合は、前記演算された絞り値に基づいて合焦レンズの位置を決定する焦点調節手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記演算された絞り値に基づく被写界深度を用いて前記各々のクロップ領域における被写体が許容ピント範囲に存在するか否かを判定する判定手段と、
前記許容ピント範囲を逸脱していると判定された場合に警告を行う警告手段とを更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記クロップ領域の画像を記録する記録手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
前記記録手段は、前記クロップ領域の画像と、前記撮影画面全体の画像の双方を記録することを特徴とする請求項6に記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−133813(P2011−133813A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295364(P2009−295364)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】