説明

デジタル・インタフェースを有する超音波トランスデューサ

【課題】超音波システムの主処理ユニットとトランスデューサ組立物との間で超音波信号処理を分割するシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】主処理ユニットとトランスデューサ組立物との中に配置された信号処理機能の特定の分割は、所望の重量バランス、主処理ユニットとトランスデューサ組立物との間のデータ通信のための所望の処理レベル、その他種々のものを提供するために選択されて良い。バッテリ容量は主処理ユニットとトランスデューサ組立物との間で追加的に、または代替的に分割されても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超音波デバイスに関し、より詳細には細線インタフェース(thin wire interface)を有するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、同時係属中であり、本発明の譲受人に譲渡された2004年8月24日出願の特許出願第10/925,144号「Ultrasonic Transducer Having A Thin Wire Interface」の一部継続出願である米国出願第11/599,120号「Ultrasonic Transducer Having a Digital Interface」の優先権を主張するものである。本出願は、それらの開示がすべて本明細書に組み込まれている、同時係属中であり、本発明の譲受人に譲渡された2004年8月24日出願の米国特許出願整理番号10/924,390号「Ultra System Power Management」、2004年5月17日出願の米国特許出願第10/847,643号「Processing Of Medical Signals」、2004年4月8日出願の米国特許出願第10/821,123号「Systems And Methods For Providing ASICS For Use In Multiple Applications」、2004年4月8日出願の米国特許出願第10/821,198号「System And Method For Enhancing Gray Scale Output On A Color Display」に関する。
【0003】
超音波医療デバイスは、ますます一般的になってきている。典型的な超音波デバイスは1998年3月3日付けの米国特許第5,772,412号、および参照により本明細書に組み込まれている2002年10月29日付けの米国特許第6,471,651号の中で示されている。
【0004】
超音波医療デバイス(ultrasonic medical device)の典型的な実装は、デバイスの主処理ユニットから独立したトランスデューサ部分を有する。慣例上、患者からの/患者への生の超音波信号のアナログおよびデジタル信号処理は主処理ユニットの中で実行される。生の超音波信号は、主処理ユニットへのケーブルを渡って、スキャンヘッド・トランスデューサへ/スキャンヘッド・トランスデューサから伝えられる。処理ユニットは簡単に動かすことができず、スキャンヘッドは様々な位置における関心事の解剖学的構造(anatomy)に置かれなければならないので、超音波トランスデューサを超音波処理ユニットの本体に接続するケーブルは相当長くなければならない。ケーブルはまた、トランスデューサのヘッドに配置されたトランスデューサの複数の個々の構成要素のために、信号の送信および受信を行うので、典型的には大きくて重い。通常6フィートを超える長さは、ケービルの重さとともに、ソノグラファにかなりのストレスと負担とをかける。ケーブルもまた、かなりのコストと複雑性とをシステムに付加する。
【0005】
既存のケーブルに伴うその他の問題は、ケーブルが典型的に、高価で、かつ単一のコネクタに接続するのが難しい個々の同軸コンダクタを多数含むということである。異なるアプリケーションのために複数のトランスデューサがシステム上で使用されるので、ケーブル上でコネクタが必要とされることがよくある。多数ある相互接続線と信号の敏感な性質とのために、コネクタは大きく、複雑で高価である。したがって、ケーブル全体は使用するのが難しいことに加え、組み立ておよび修理に費用がかかり、面倒である。
【0006】
上述の多数ある個々のコンダクタは、トランスデューサ配列の構成要素を電子波形で個々に刺激して、制御されたやり方でトランスデューサの構成要素の機械的動作を生成し、それによってその後所望の方向で患者の体に送信される超音波エネルギーを作り出したいという望みから生じている。すなわち、超音波送信ビームは空間における特定のポイントまたは領域に超音波エネルギーの焦点を絞るために形成されて良く、超音波受信ビームは1つもしくは複数の線または方向に沿ったデータを収集し、例えばそのイメージを形成するために、特定の関心事の構造に関する情報を引き出すために形成されても良い。超音波エネルギーは内部臓器(および関心事のその他の項目)から反映されて、処理ユニットによるその後の処理のために電子信号に再び変換されるトランスデューサの構成要素に戻る。トランスデューサと処理ユニットとの間の信号は、接続ケーブルの上下で、著しい歪み、減衰または干渉を伴わずにこれらの信号を伝えるべきである。
【特許文献1】特許出願第10/925,144号
【特許文献2】米国出願第11/599,120号
【特許文献3】米国特許出願10/924,390号
【特許文献4】米国特許出願第10/847,643号
【特許文献5】米国特許出願第10/821,123号
【特許文献6】米国特許出願第10/821,198号
【特許文献7】米国特許第5,772,412号
【特許文献8】米国特許第6,471,651号
【発明の要約】
【0007】
本発明は、超音波信号処理の一部が超音波システムのトランスデューサ組立物の中に含まれ、それによって高性能コンダクタの多様性、またはその他に比較的高い帯域幅、トランスデューサと超音波システムの本体との間で動作する高適合度の帯域幅に対する必要性を減らすように、信号処理機能が分割されたシステムおよび方法に関する。本発明の実施形態は、適切な電力管理がトランスデューサのサイズを小さくすることができる独特の構造、および集積回路(ICs)の外側で外部部品を実質的に伴わない2、3の高集積回路における実装を考慮に入れて、集積回路技術で可能な高レベルの集積化を利用する構造の使用を通じて促進される。
【0008】
1つの実施形態で、トランスデューサ組立物内に配置された信号処理機能は送信回路、受信回路、およびビーム形成超音波信号を制御し、生成するために使用されるビーム・フォーマを含む。代替の実施形態は、トランスデューサ組立物と主処理ユニットとの間の信号の伝送の前かまたは後の所望の処理レベルによって、トランスデューサ組立物内にさらなる信号処理機能または代替の信号処理機能を配置する。この方法でシステムを分割することによって、トランスデューサ・スキャンヘッドの出力はデジタル・データ・ストリームとなる。すべての敏感なアナログ信号は、送信/受信回路およびトランスデューサ構成要素のごく近くで保持され、それによって著しい信号劣化のいかなるものも除去し、性能を向上させることができる。デジタル・データ・ストリームはまた、コンダクタの数および/またはケーブルの帯域幅、またはトランスデューサ組立物と主ユニットとの間のインタフェースに渡るその他のリンク搬送信号をさらに減らすために、(例えばデータの圧縮、多重化、符号化等を使用して)連続高速ビット・ストリームに変換されることも可能である。したがって、きわめて少ない数のコンダクタを有するケーブルおよびコネクタが利用されても良い。また、ケーブル上の信号はデジタルなので、ケーブルは同じくらい高い適合度を必要とせず、それによってケーブルおよびコネクタのコストおよびサイズを削減する。
【0009】
本発明の実施形態は、トランスデューサ組立物と対応する主処理ユニットとの間に重量を分散するために、上述の信号処理機能の再分散を利用する。したがってトランスデューサ組立物は、例えば改善されたユーザ体験、スキャンされた物体との改善されたインタフェーシング、より従来的な重量等のために、所望の質量で提供されても良い。同様に主処理ユニットは、例えばより持ち運びしやすいユニット、主処理ユニットとトランスデューサ組立物との間のより良いバランスの重量等を提供するために、削減された質量で提供されても良い。
【0010】
電源の一部が超音波システムの主処理ユニットに配置され、電源の別の一部が超音波システムのトランスデューサ組立物に配置されるように、分散型電源構成は本発明の実施形態によって利用されても良い。そのような実施形態は、トランスデューサ組立物と主処理ユニットとを接続するケーブルまたはその他のリンクを通じて電力を伝えることなく、トランスデューサ組立物と主処理ユニットとの間により良いバランスを提供し、所望の重量等を有するトランスデューサを提供する超音波システムを提供するために利用されても良い。
【0011】
前述のものは、以下の本発明の詳細な説明がより良く理解されても良いように、本発明の機能および技術的利点を幾分大まかに概説したものである。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明のさらなる特徴および利点は、以下で説明される。開示される概念および特定の実施形態は、本発明と同じ目的を実行するための修正またはその他構造の設計をもとに、容易に利用されても良いことを理解されたい。また、そのような同等の構造は、添付の特許請求の範囲で言及される本発明から逸脱しないということも理解されたい。機構と操作方法との両方について、本発明の特徴であると思われる新たな機能は、さらなる目的および利点とともに、添付の図面と合わせて考えられる場合、以下の説明からより良く理解されるであろう。しかしながら、図面の各々は例示および説明のみを目的として示されており、本発明の範囲の定義が意図されているわけではないということを特に理解されたい。
【0012】
本発明をより完全に理解するために、添付の図面と合わせて以下の説明をここで参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、個々の送受信チャネル12−IT、12−IR〜12NT、12−NRへのアナログ・ケーブル18を介してデジタル・ビーム・フォーマ(digital beam former)12に接続されるトランスデューサ配列17を有するシステム10として、典型的な先行技術の超音波システムの構造を示す。典型的に、TxおよびRx信号は時間多重化される。DSP13はエコー信号処理およびフロー信号処理のために利用される回路から構成され、解析信号の検出および圧縮、多重速度フィルタリング、ならびに移動目標物の検出機能を含む。デジタル信号プロセッサ(DSP)13はビーム・フォーマ12に信号を与え、ビーム・フォーマ12からの信号を受信する。次いで、バック・エンド処理(Back end processing)14はすべてコントローラ16の制御下でディスプレイ15を動かすために信号を与える。ディスプレイ15は画像データを含むデータの表示の準備をする。このディスプレイは主処理ユニット筐体11の中に配置されるか、または主処理ユニットとトランスデューサ組立物との両方から独立していることが可能である。上で言及した処理要素の動作は、先に確認された特許番号第5,772,412号および第6,471,651号で述べられているようなものであることが可能である。
【0014】
この配置の中で、ケーブル18はトランスデューサ配列17と送受信チャネル12−IT、12−IR〜12−NT、12−NRとの間のアナログ信号を搬送するために、(通常は128または256程度である)多数の個々のコンダクタ(典型的には同軸コンダクタのセット)を含む。上述のように、ケーブル18は大きくて嵩張り、重く、高価であり、あまり効率的ではない。またアナログ信号は敏感であり、ケーブルの負荷の補正を試みるための調整を必要とすることがよくある。
【0015】
図2は、超音波信号処理の一部が超音波システムのトランスデューサ組立物内に含まれるように、信号処理機能が分割された超音波システム20の1つの実施形態を示す。図1に関して述べられたものと類似の機能ブロックを示しているが、図2の実施形態は、トランスデューサ組立物24と主処理ユニット21との中で様々な機能ブロックの再分散を促進するために、小型化と集積化とが導入される構成を示す。したがって、好ましい実施形態の送信/受信(Tx/Rx)回路26はパルサ回路、マルチプレクサ回路、特定用途向け集積回路(ASIC)の中の低ノイズ時間利得制御アンプおよびフィルタを含む。多重アナログ/デジタル(A/D)コンバータ、デジタル・ビーム形成回路および制御論理回路はDBF23のASICの中に集積される。こうした配置を成立させるための実施形態は、先に確認された出願「Systems And Methods For Providing ASICS For Use In Multiple Applications」の中で示されている。
【0016】
図2の実施形態の中で、ビーム・フォーマ23などのビーム・フォーマとDSP13などのその後の信号処理との間のインタフェースは、トランスデューサ組立物24に移動される。したがってビーム・フォーマ23、トランスデューサ配列17、および例示される実施形態の中で示され、運転中のトランスデューサ配列17で使用されるアンプ23−IT、23−IR〜23−NT、23−RTを含んでも良い送信/受信回路26は、例示される実施形態のトランスデューサ組立物24の中に配置される。この配列はアナログ・ケーブル18(図1)を除去し、その代わりにトランスデューサ組立物24と処理ユニット21との間で動作するデジタル・ケーブル25を置いており、デジタル・ケーブル25は必要な制御および/または信号を与えるために少数のコンダクタしか必要としないので、ずっと小さなケーブルであることが可能である。
【0017】
ケーブルのサイズの削減に加えて、この構成要素の再配置は性能の向上にもつながる。ケーブル18を除去することによって、アナログの負荷、歪みおよび減衰の特徴もまた除去され、性能の向上および信号の集積化を可能にする。より良い感度、より良い反応およびより良い帯域幅が達成される。さらに、この配置はケーブル上のトランスミッタの電力ロスを削減する。
【0018】
トランスデューサ組立物24の中でさらなる信号処理機能を提供することに加え、本発明の実施形態はトランスデューサ組立物内でさらなる質量(mass)も提供することを理解されたい。本出願の譲受人であるSonoSite社によって開発された医療超音波デバイスに関して実現された小型化と集積化との進歩の結果、特定のトランスデューサ組立部の重量は著しく削減された。本発明者は、幾分直感に反して、例えば動作中に快適であるため、スキャンされる物体とのより積極的なインタフェースを提供するため、手元により良いバランスを与えるため、その他のために、少なくともある限界値の重量を有するトランスデューサ組立物がユーザに好まれる場合があるということに気付いた。トランスデューサがより軽くなるにつれて、例えば形状、サイズおよびケーブルなどのその他の設計要素がより重要になってくる。これらのその他の設計要素は、最小限の許容可能重量に影響を与えることがある。例えばユーザは、より大きなケーブルを有するより軽いトランスデューサとともに、ユーザの手の隣でぶら下がっている、ユーザに持たれた超音波とトランスデューサとを接続するケーブルの結果生じる場合があるトルクの影響を感じるかもしれない。1つの実施形態によって、処理ユニット組立物から重量を除去し、それによって処理ユニットをより軽い、持ち運びしやすいものにしながら、所望の重量か、または従来のトランスデューサ組立物により典型的な重量を有するトランスデューサ組立物を提供するために、信号処理回路および/またはその他回路は、処理ユニット組立物ではなくトランスデューサ組立物の中に配置される。
【0019】
本発明の実施形態によってトランスデューサ組立物と主処理ユニットとの間に分散されるか、または再分散されても良い部品は、信号処理回路に限定されるわけではない。例えば、超音波システム20が持ち運び可能な構成を含む場合、その回路に電力を供給するために、1つまたは複数の電源がそこに含まれても良い。本発明の実施形態は所望の重量バランスを提供するために、図2に示されるように、トランスデューサ組立物と主処理ユニット組立物との間で電源を分散する。超音波システムのトランスデューサ配列にエネルギーを供給することは、システムによって消費される総電力のうちの3分の1も必要とする場合がよくある。したがって本発明の実施形態は、トランスデューサ組立物24の中におよそ3分の1の電源容量(例えばバッテリ27−2)を配置し、主処理ユニット組立物21の中に3分の2の電源容量(例えばバッテリ27−1)を配置しても良い。当然のことながら、必要に応じて、本発明の実施形態によってその他の分散率が利用されても良い。そのような電源の分散は、処理ユニット組立物から重量を除去し、それによって処理ユニットをより軽い、持ち運びしやすいものにしながら、従来のトランスデューサ組立物により典型的な重量を有するトランスデューサ組立物を提供するために、さらに利用されても良い。
【0020】
電力は、上述のような分散された電源構成を備えた実施形態の中で、ケーブル25を通じて提供され続けても良いことを理解されたい。例えば、ケーブル25内で電力を搬送するコンダクタは、トランスデューサ組立物24の回路が実質的にアイドル状態である間、バッテリ27−2に「トリクル」充電するため、および/またはトランスデューサ組立物の回路に電力を供給するために利用されて良く、一方でバッテリ27−2は、トランスデューサ組立物24の回路が完全な動作状態にある場合、トランスデューサ組立物の回路に電力を供給するために利用されても良い。代替として、例えばトランスデューサ組立物24が、バッテリ27−2の電力備蓄に補充するために周期的に電源に再充電することと通信して配置されているような分散型電源構成の中では、ケーブル25内で電力を搬送することが回避されても良い。例えば、トランスデューサ組立物24の表面に、任意の突出物(例えばコネクタ、端末、その他)を配置することを必要とせずにバッテリ27−2のワイヤレスの再充電を促進するために、無線周波数エネルギーに反応するコイル(不図示)がトランスデューサ組立物24内に配置されても良い。代替として、バッテリ27−2と電力供給の再充電との結合を促進するために、例えば1つまたは複数のコネクタ、端末、その他を含んでも良い再充電インタフェースがトランスデューサ組立物24の表面の上か、または中に提供されても良い。
【0021】
ケーブル25はデジタル・データを往復で伝送するために、好ましくは一組の低電圧差分信号(Low Voltage Differential Signal)(LDVS)回線を有する。USB、USB2もしくはIEE1394型のインタフェース、またはその他の規格もしくは専用のデジタル・インタフェースは、本発明の実施形態によってトランスデューサ組立物と処理ユニットとの間で使用されることが可能である。
【0022】
本発明の実施形態は、ケーブル25よりもむしろワイヤレス・インタフェースを利用する。例えば、ケーブル25の代わりにIEEE802.11インタフェースなどのワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)が利用されても良い。当然のことながら、必要であれば本発明の実施形態は、規格化されたワイヤレス・インタフェースを利用するのではなく、専用のワイヤレス・インタフェースを利用しても良い。本発明の好ましい実施形態は、ワイヤレス・インタフェースを実装する場合に、広範囲にわたって利用可能な技術およびチップ・セットを活用するために、規格化されたワイヤレス・インタフェースを利用する。例えば、IEEE802.11のチップ・セットは簡単に利用することができ、そのチップ・セットでは、トランシーバ・チップ(不図示)が、ケーブル25のために示されるインタフェースでビーム・フォーマ23に接続されてトランスデューサ組立物24の中に配置され、対応のトランシーバ・チップ(不図示)が、ケーブル25のために示されるインタフェースでDSP13に接続されて主処理ユニット21の中に配置されても良い。そのようなワイヤレス通信のためのアンテナは、筐体の組立物内でその表面上か、またはその外部に配置されても良い。
【0023】
超音波システム20の様々な構成は、トランスデューサ組立物24と主処理ユニット21と間のインタフェースに関して、測定可能な(appreciable)伝送帯域幅の制限を有しても良いことを理解されたい。例えば様々なワイヤレスの実装で利用可能な伝送帯域幅は、ビーム形成超音波信号を表すデジタル・データの伝送にあまり適さないものの帯域幅制限を設ける。しかしながら、そのような信号のさらなる信号処理は、次の信号処理機能に伝えられる情報量を減少させる場合がある。したがって、特に特定のワイヤレス構成において、図2に示されるものとは異なる信号処理機能の分散を提供することが望ましいと思われる。例えば、さらなるDSP機能をトランスデューサ組立物に移し、それによってトランスデューサ組立物と主処理ユニットとの間で利用されるデータ帯域幅をさらに減らすことが望ましいと思われる。
【0024】
図3は代表的な超音波システムの処理ブロック、すなわち送信/受信(Tx/Rx)26、デジタル・ビーム・フォーマ(DBF)23、デジタル信号プロセッサ(DSP)13、バック・エンド処理(BE)14およびディスプレイ15の代替的な分散を示す。特に、図3に示される超音波システム30の例示される実施形態において、DBF23とDSP13の両方はトランスデューサ組立物32内に配置される。したがって、図2に示される構成と比較すると、トランスデューサ組立物内にさらなる信号処理が提供される。このように、トランスデューサ組立物32と主処理ユニット31との間のデータの伝達の中で、より少ない帯域幅が利用されても良い。例示される実施形態は、トランシーバ28−1および28−2を使用して、リンク33として示されるワイヤレス・インタフェースを実装するためにこの機能を活用する。トランシーバ28−1および28−2は、本発明の実施形態によって、対応の無線周波数ASICまたは同様のチップ・セットを含んでも良い。
【0025】
好ましい実施形態において、DBF23、DSP13およびBE14は、デジタルCMOS ASICおよびデジタル/アナログ混合方式のASICを使用して実装され、Tx/Rx26は高電圧および/またはBi−Cmos技術に基づいて実装される。1つの実施形態のスキャンヘッド・モジュールの総重量は20オンス未満である。1つの実施形態で、トランスデューサ配列17は筐体を除くと8オンス未満の重さである。最大電力消費はおよそ6ワットである。電力管理を伴う平均電力消費は4ワット未満であり、トランスデューサから処理ユニットへのインタフェースを介する信号の帯域幅は、少なくとも約400Mbpsから40Mbps以下の規模(order of magnitude)で削減されている。1つの実施形態で、128×512ピクセルのビデオ・ディスプレイのために、本明細書で論じられた概念を使用して16Mbpsのデータ速度が可能である。
【0026】
本発明およびその利点が詳細に説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明から逸脱することなくここで様々な変更、代用および改造が行われうることが可能なことを理解されたい。さらに本出願の範囲は、明細書の中で説明されるプロセス、マシン、製品、合成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることが意図されているわけではない。本開示から容易に理解されるように、本明細書で説明される対応の実施形態と実質的に同様の機能を実行するか、またはそれと実質的に同様の結果に達する、現存しているか、または後に開発されるプロセス、マシン、製品、合成物、手段、方法またはステップが利用されても良い。したがって添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、マシン、製品、合成物、手段、方法またはステップをその範囲内に含むことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】先行技術の超音波システムの1つの実施形態を示す図である。
【図2】トランスデューサと主プロセッサとの間のデジタル・シグナリングが可能となるように分割された超音波システムの1つの実施形態を示す図である。
【図3】トランスデューサと主プロセッサとの間のデータ帯域幅をさらに減らすための1つの実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
10 システム
11 主処理ユニット筐体
12−IT、12−IR〜12NT、12−NR 送受信チャネル
12 デジタル・ビーム・フォーマ
13 デジタル信号プロセッサ
14 バック・エンド処理
15 ディスプレイ
16 コントローラ
17 トランスデューサ配列
18 アナログ・ケーブル
20 超音波システム
21 主処理ユニット
23 デジタル・ビーム・フォーマ
23−IT、23−IR〜23−NT、23−RT アンプ
24 トランスデューサ組立物
25 デジタル・ケーブル
26 送信/受信回路
27−1 バッテリ
27−2 バッテリ
28−1 トランシーバ
28−2 トランシーバ
31 主処理ユニット
32 トランスデューサ組立物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサ配列と、前記トランスデューサ配列からのアナログ信号を処理し、そこからのデジタル情報を提供するために動作可能な前記トランスデューサ配列に接続された信号処理回路とを含む超音波トランスデューサ組立物と、
前記超音波トランスデューサ組立物から独立し、それと通信して前記超音波トランスデューサ組立物からの前記デジタル情報を受信するために動作可能な主処理ユニットとを備えるシステム。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサ組立物は、その中にバッテリをさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バッテリの構成は少なくとも部分的に、前記超音波トランスデューサ組立物が所望の総重量になるように選択される請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記主処理ユニットはその中にバッテリを含み、前記主処理ユニットのバッテリの構成は少なくとも部分的に、前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間で所望の総重量が分散されるように選択される請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記超音波トランスデューサ組立物の中に含まれる前記処理回路の量は、少なくとも部分的に、前記超音波トランスデューサ組立物が所望の総重量になるように選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理回路は、前記トランスデューサ配列に接続されたデジタル・ビーム・フォーマを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理回路は、前記デジタル・ビーム・フォーマに接続されたデジタル信号プロセッサを備える請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間で接続され、その間にある前記デジタル情報を搬送するデジタル・データ・ケーブルをさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記デジタル・ケーブルは、前記主処理ユニットから前記超音波トランスデューサ組立物に、その中のバッテリに充電するために、さらに電力を搬送する請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記超音波トランスデューサ組立物の中に含まれる前記処理回路の量は、少なくとも部分的に、前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間のワイヤレス通信リンクを促進するために選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記超音波トランスデューサ組立物は第1無線周波数のトランシーバをさらに含み、前記主処理ユニットはワイヤレス・トランシーバを含み、前記デジタル情報が前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間で、前記第1および第2ワイヤレス・トランシーバを使用して搬送される請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1および第2ワイヤレス・トランシーバは、無線周波数トランシーバを備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1および第2ワイヤレス・トランシーバは、規格化されたワイヤレス通信プロトコルを使用して前記デジタル情報の通信を提供する請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記規格化されたワイヤレス通信プロトコルは、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク・プロトコルとワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク・プロトコルとから構成されるグループから選択される請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
トランスデューサ配列と、前記トランスデューサ配列に接続された信号処理回路とを有する超音波トランスデューサ組立物を提供するステップと、
デジタル・データ通信を介して、前記超音波トランスデューサ組立物の前記信号処理回路と通信する信号処理回路を有する主処理ユニットを提供するステップと、
前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間に所望の重量分散を提供するために、前記超音波トランスデューサ組立物の前記信号処理回路と前記主処理ユニットの前記信号処理回路との間に信号処理回路を分散するステップとを含む方法。
【請求項16】
前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間に所望の重量分散を提供するために、前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間にバッテリ容量を分散するステップをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記デジタル・データ通信は、ワイヤレス接続によって提供される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
トランスデューサ配列と、前記トランスデューサ配列に接続された信号処理回路とを有する超音波トランスデューサ組立物を提供するステップと、
デジタル・データ通信を介して、前記超音波トランスデューサ組立物の前記信号処理回路と通信する信号処理回路を有する主処理ユニットを提供するステップと、
前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間に所望の重量分散を提供するために、前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間にバッテリ容量を分散するステップとを含む方法。
【請求項19】
前記超音波トランスデューサ組立物と前記主処理ユニットとの間に所望の重量分散を提供するために、前記超音波トランスデューサ組立物の前記信号処理回路と前記主処理ユニットの前記信号処理回路との間に信号処理回路を分散するステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記デジタル・データ通信は、ワイヤレス接続によって提供される請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−125043(P2008−125043A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45344(P2007−45344)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(505284921)ソノサイト、インク (10)
【Fターム(参考)】