説明

デジタル放送記録再生装置およびその制御方法

【課題】 暗号化データストリームの復号化に必要な情報を記憶した適切な記憶媒体が装着されていない場合でも、ユーザが適切な記憶媒体を有していれば、録画の欠落を防止可能なデジタル放送記録再生装置を提供する。
【解決手段】 暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化した復号化データストリームの形式での録画する。録画中に、記憶媒体が抜き取られた場合、暗号化データストリームの形式での録画に切り替える(S215)。その後、録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一の記憶媒体が装着されたら、暗号化データストリームの形式で録画された部分を復号化し、復号化データストリームの形式で記録し直す(S216)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送記録再生装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタル放送のコンテンツ(番組)は放送事業者によって暗号化(スクランブル)された暗号化データストリームの形式で配信されており、特定の視聴者のみが視聴可能である。このような放送方式を限定受信方式という。
【0003】
具体的には、暗号化データストリームを復号化するための鍵情報を生成するCAS(Conditional Access System)カードを受信装置に装着する。そして、CASカードが生成した鍵情報を用いて暗号化データストリームを復号化(デスクランブル)することで、コンテンツが視聴可能となる。従って、受信装置にCASカードが装着されていない場合、デジタル放送のコンテンツを視聴することも録画することもできない。また、視聴に別途契約が必要なチャンネルや番組の視聴に必要な情報もCASカードに記録される。
【0004】
一方、デジタル放送受信装置の普及につれ、同一世帯内に複数のデジタル放送受信装置が存在するケースが増加しつつある。このような場合、ユーザが受信装置に装着されているCASカードを差し替えることが想定される。例えば、複数のデジタル放送受信装置のうち、ある特定の機種で有料コンテンツを視聴するため、この有料コンテンツの視聴に必要なCASカードを他のデジタル放送受信装置から差し替えるといった場合が想定される。
【0005】
同一世帯内に複数のデジタル放送受信装置がある場合、ユーザがデジタル放送コンテンツの視聴や録画を実現する方法として、いくつかの方法が提案されている。
【0006】
特許文献1には、放送ストリームを暗号化データストリームであるスクランブルTSデータの形式で常に記録すると共に、放送ストリームを視聴するための契約情報およびCASカード情報とを別途記録する。そして、記録したCASカード情報を用い、放送ストリームの再生時にはどのCASカードを装着すればよいかを事前に通知する方式が提案されている。
【0007】
また、特許文献2には、暗号化コンテンツの復号化鍵が記録されたCASカードがそのコンテンツを視聴・録画する装置に装着されていなくても、他の装置から復号化鍵を再配送して、視聴や録画を可能とする方式が提案されている。
【0008】
また、視聴・録画時に受信装置にCASカードが装着されていない場合や、CASカードが装着されていても障害などによって受信不可能な場合に生じうる問題を解決する方法も提案されている。
【0009】
特許文献3には、受信障害の発生によって視聴できなかった有料コンテンツがあった場合、購入の取り消しや料金の割引などを行うことが提案されている。
【0010】
特許文献4には、受信装置にCASカードが装着されていない場合や、装着されているCASカードに記録された復号鍵では受信したコンテンツを復号化できない場合、予め定めた、暗号化されていない視聴案内番組へ受信番組を切り替えることが提案されている。
【0011】
【特許文献1】特開2002−111613号公報
【特許文献2】特開2000−4431号公報
【特許文献3】特開2000−134601号公報
【特許文献4】特開2005−303759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来技術では、受信装置で番組を録画している最中にCASカードが外された場合、CASカードが装着されていない期間の録画は行われないという課題は解決できない。結果、ユーザは再生時に一部が欠落した番組を視聴することになる。
【0013】
録画中のCASカード取り外しを行ったユーザが、その録画の予約設定あるいは実行指示を行った本人であれば、録画の一部欠落を承知していたとも考えられるので、それほど問題とならないかも知れない。しかし、同世帯の家族など、別のユーザが、録画中であることを気づかずにCASカードを外してしまった場合には、録画を希望していたユーザにとって大きな問題となる。
【0014】
また、録画中のみならず、録画開始時に受信装置にCASカードが装着されていなかった場合や、暗号化されたコンテンツの復号化に必要な情報を記憶した適切なCASカードとは異なるCASカードが装着されていた場合も同様の問題が発生する。
【0015】
本発明はこのような課題を解決することを目的としたものである。本発明は、暗号化データストリームの復号化に必要な情報を記憶した適切な記憶媒体が装着されていない場合でも、ユーザが適切な記憶媒体を有していれば、録画の欠落を防止可能なデジタル放送記録再生装置およびその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的は、暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置であって、暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶する、着脱可能な記憶媒体の着脱を検知する検知手段と、暗号化データストリームを、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化し、復号化データストリームを出力する復号化手段と、録画動作を制御する制御手段とを有し、制御手段が、復号化データストリームの形式での録画中に、記憶媒体が抜き取られたことが検知手段で検知された場合、暗号化データストリームの形式での録画に切り替えるとともに、記憶媒体が抜き取られたことが検知手段によって検知された後、検知手段によって装着が検知された記憶媒体が録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一であれば、暗号化データストリームの形式で録画された部分を復号化手段によって復号化して復号化データストリームの形式で記録し直すことを特徴とするデジタル放送記録再生装置によって達成される。
【0017】
また、上述の目的は、符号化データストリームを暗号化した暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置であって、暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶する、着脱可能な記憶媒体の着脱を検知する検知手段と、暗号化データストリームを、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化し、符号化データストリームを出力する復号化手段と、符号化データストリームを、異なる符号化形式で再符号化して、再符号化データストリームを生成する符号化手段と、録画動作を制御する制御手段とを有し、制御手段が、再符号化データストリームの形式での録画中に、記憶媒体が抜き取られたことが検知手段で検知された場合、暗号化データストリームの形式での録画に切り替えるとともに、記憶媒体が抜き取られたことが検知手段によって検知された後、検知手段によって装着が検知された記憶媒体が録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一であれば、暗号化データストリームの形式で録画された部分を復号化手段によって復号化した後、符号化手段によって再符号化し、再符号化データストリームの形式で記録し直すことを特徴とするデジタル放送記録再生装置によっても達成される。
【0018】
また、上述の目的は、暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置の制御方法であって、デジタル放送記録再生装置は、暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶する、着脱可能な記憶媒体の着脱を検知する検知手段と、暗号化データストリームを、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化し、復号化データストリームを出力する復号化手段とを有し、制御方法は、復号化データストリームの形式での録画中に、記憶媒体が抜き取られたことが検知手段で検知された場合、暗号化データストリームの形式での録画に切り替える切り替え工程と、記憶媒体が抜き取られたことが検知手段によって検知された後、検知手段によって装着が検知された記憶媒体が録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一であれば、暗号化データストリームの形式で録画された部分を復号化手段によって復号化して復号化データストリームの形式で記録し直す復号化工程とを有することを特徴とするデジタル放送記録再生装置の制御方法によっても達成される。
【0019】
また、上述の目的は、符号化データストリームを暗号化した暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置の制御方法であって、デジタル放送記録再生装置は、暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶する、着脱可能な記憶媒体の着脱を検知する検知手段と、暗号化データストリームを、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化し、符号化データストリームを出力する復号化手段と、符号化データストリームを、異なる符号化形式で再符号化して、再符号化データストリームを生成する符号化手段とを有し、制御方法は、再符号化データストリームの形式での録画中に、記憶媒体が抜き取られたことが検知手段で検知された場合、暗号化データストリームの形式での録画に切り替える切り替え工程と、記憶媒体が抜き取られたことが検知手段によって検知された後、検知手段によって装着が検知された記憶媒体が録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一であれば、暗号化データストリームの形式で録画された部分を復号化手段によって復号化した後、符号化手段によって再符号化し、再符号化データストリームの形式で記録し直す復号化工程とを有することを特徴とするデジタル放送記録再生装置の制御方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0020】
このような構成により、本発明によれば、暗号化データストリームの復号化に必要な情報を記憶した適切な記憶媒体が装着されていない場合でも、ユーザが適切な記憶媒体を有していれば、録画の欠落を防止可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の好適かつ例示的な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送記録再生装置の構成例を示すブロック図である。デジタル放送記録再生装置は、録画機能を有するデジタルテレビジョン受信装置、ハイビジョンレコーダなどの録画再生装置をはじめ、デジタル放送の録画機能を有するパーソナルコンピュータなどであってよい。
【0022】
図1において、アンテナ101は、BS(Broadcast Satellite)・CS(Communication Satellite)・地上波などのデジタル放送波を受信する。
チューナ102は、アンテナ101から受信したデジタル放送波を復調し、所望のチャネルについて、映像・音声情報を含む、時分割多重化された暗号化データストリーム(スクランブルTSデータ)を出力する。
CASカード104aは、暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶した、着脱可能な記憶媒体の一例である。
【0023】
カード挿抜検出部105は、CASカード104aがCASカードI/F104に装着されているか否かを検知し、CASカード104aの挿抜状態を記録方式切り替え制御部107、カード番号取得部106、CPU115に通知する。
【0024】
カード番号取得部106は、CASカードI/F104に装着されているCASカード104aに固有の情報、具体的にはカード番号をCASカード104aから読み出して記憶する。
【0025】
カード番号比較部108は、カード番号取得部106が録画開始時に取得したカード番号と、録画中に抜き出された後に挿し戻されたCASカードから取得したカード番号とを比較して、同じカードが挿し戻されたか否かを判定する。カード番号比較部108は、判定結果を記録方式切り替え制御部107およびCPU115に通知する。
【0026】
記録方式切り替え制御部107は、カード挿抜検出部105からCASカード104aが抜き取られたという通知を受信すると、チューナ102から出力されたスクランブルTSが記録再生制御部117へ直接転送されるようにスイッチ103を切り替える。
【0027】
また、記録方式切り替え制御部107は、カード番号比較部108から、挿し戻されたCASカードが録画開始時に装着されていたCASカードと同一カードであるとの判定結果を受信した場合、スイッチ103を元に戻す。すなわち、記録方式切り替え制御部107は、チューナ102から出力されるスクランブルTSがデスクランブラ109へ転送されるように、スイッチ103を切り替える。
加えて、記録方式切り替え制御部107は、スイッチ103を切り替え(記録方式を切り替え)た際には、CPU115に通知する。
【0028】
CPU115は図示しない不揮発性記憶装置(記録媒体118を含む)に記憶された制御プログラムを実行し、デジタル放送記録再生装置100の各部を制御して、デジタル放送記録再生装置の機能を実現する。
【0029】
CPU115は、記録方式切り替え制御部107の通知に応じて、
・記録方式(スクランブルTSまたはデスクランブルTSのいずれを記録するか)、と
・記録方式切り替えまでのストリームデータ記録開始位置(または記録開始時間)とデータサイズ(または記録時間)、
とを、記録方式切り替え情報として記録方式切り替え情報管理部116に通知する。
なお、記録開始位置(アドレス)とデータサイズの代わりに、同様の意味をもつ他の情報を算出しても良く、本実施形態では記録開始時間や記録時間を算出している。以下の説明においては、適宜これらを読み替えるものとする。
【0030】
記録方式切り替え情報管理部116は、CPU115より通知された記録方式切り替え情報を記憶する。
デスクランブラ109は、MULTI2方式で暗号化されたスクランブルTSデータを、CASカード104a内に記憶されている復号化鍵を用いて復号化(デスクランブル)し、復号化データストリーム(デスクランブルTSデータ)を生成する。
【0031】
また、デスクランブラ109は、デスクランブルTSデータを記録再生制御部117へ転送する。
【0032】
記録再生制御部117は、HDDやDVD、ブルーレイディスクなどの記録媒体118への記録再生を制御する。記録再生制御部117は、デスクランブラ109からのデスクランブルTSデータや、スイッチ103からのスクランブルTSデータを記録媒体118へ記録する。
【0033】
デマルチプレクサ110は、復号化データストリームであるデスクランブルTSデータから映像・音声・データ等のESデータを分離する。
MPEG−2デコーダ111は、デマルチプレクサ110で分離された、MPEG−2 Video方式で符号化圧縮された映像ESデータをデコードし、映像データを出力する。
【0034】
また、MPEG−2デコーダ111は、デマルチプレクサ110で分離された、MPEG−2 AAC(Advanced Audio Coding)方式や、AC−3方式等で符号化圧縮された音声ESデータをデコードし、PCM音声データを出力する。
MPEG−2デコーダ111によりデコードされた映像データはディスプレイ112に表示され、音声データはスピーカ113から出力される。
【0035】
リモコン受光部114は、ユーザがリモコン114aを操作することによってリモコン114aから赤外線などによって出力される指示を受信し、指示に対応した、チャンネル切り替え、録画、再生、電源ONまたはOFF等のコマンドをCPU115に通知する。
【0036】
CPU115は、ユーザからの操作指示に基づき各動作モードにおいて、システムを構成する各ブロックを制御する。
また、CPU115は、記録方式切り替え情報管理部116の記憶内容を参照、更新するとともに、記録再生制御部117に対してデータ読み込み、書き出し、削除等の指示を行う。
【0037】
図2は、本実施形態のデジタル放送記録再生装置における録画動作を説明するフローチャートである。また、図3は、記録方式切り替え情報管理部116で記憶するデータの構造を説明する一例を示す図である。
【0038】
以下、これらの図面を参照しながら、本実施形態のデジタル放送記録再生装置における録画動作について説明する。
ユーザがリモコンを操作して予約した録画を開始する際、あるいはユーザからの即時録画指示を受け付けた際に、本実施形態のデジタル放送記録再生装置100は図2に示す動作を開始する。ここで、録画開始時には、録画する暗号化コンテンツを復号化するために必要な情報を記憶する適切なCASカード104aがCASカードI/F104に装着されているものとする。
【0039】
最初に、カード番号取得部106は、CASカードI/F104を通じて、装着されているCASカード104aよりカード番号(ID情報)を取得する(ステップS201)。CASカード104aは、20桁の数字で構成された固有のカード番号をID情報として有している。CASカード104aのカード番号は、ユーザ登録や、有料放送の契約に用いられる。カード番号取得部106は、取得したカード番号を記憶する。
【0040】
ステップS202で、CPU115は、録画停止指示の有無を判定する。録画停止指示は、ユーザーからリモコンを通じて直接与えられるもののみならず、予約録画していた番組の終了時刻になったことにより装置内部で生じる録画停止指示も含まれる。
【0041】
CPU115は、録画終了指示がない場合はステップS203以降の録画処理へ、録画終了指示があった場合はステップS219以降の録画終了処理へ処理を進める。
【0042】
ステップS203で、カード挿抜検出部105は、CASカード104aがCASカードI/F104に装着されているか否かを検知する。カード挿抜検出部105は、CASカード104aの挿抜状態を記録方式切り替え制御部107、カード番号取得部106及びCPU115に通知する。
【0043】
CASカード104aが装着されていない場合には、録画中にCASカード104aが抜き取られたと判断される。
【0044】
この場合、ステップS204で記録方式切り替え制御部107は、復号化データストリーム(デスクランブルTSデータ)の形式で記録中かを判断する。そして、デスクランブルTSデータを記録中だった場合、ステップS205で、記録方式切り替え制御部107は、チューナ102からのスクランブルTSデータをデスクランブラ109ではなく記録再生制御部117へ転送するようにスイッチ103を切り替える。これにより、復号化データストリームの形式による録画が、暗号化データストリームの形式による録画に切り替わる。記録方式切り替え制御部107はさらに、記録方式をデスクランブルTSデータの記録からスクランブルTSデータの記録へ切り替えたことをCPU115に通知する。
【0045】
CPU115は、記録方式切り替えの通知を受信すると、CASカード104aの抜き取りが検知されるまでに記録媒体118へ記録されたデスクランブルTSデータの記録開始位置(記録開始時間)とデータサイズ(記録時間)を算出する。そして、切り替え後の記録方式を表す情報、算出した記録開始位置及びデータサイズを、記録方式切り替え情報として、記録方式切り替え情報管理部116へ転送する。
【0046】
記録方式切り替え情報管理部116は、例えば図3に示すようなテーブルに記録方式切り替え情報を記憶している。
【0047】
テーブルには、
・デスクランブルTSデータとスクランブルTSデータのどちらの形式で記録したかを識別する記録方式、
・CASカード104aの挿抜が発生するタイミングまでに記録したストリームデータの開始アドレス(記録開始時間)、
・データサイズ(記録時間)、
を1レコードとして、CASカード104aのID番号に関連付けて記憶する。indexはレコード番号である。
【0048】
記録方式切り替え情報管理部116は、CPU115から記録方式切り替え情報が転送されてくると、新たなレコードとしてテーブルに順次追加し、テーブルを更新する(ステップS205)。
【0049】
一方、ステップS204でスクランブルTSデータの記録中である場合は、記録方式を切り替える必要がない。そのため、記録方式切り替え制御部107は処理をステップS206に遷移させる。
【0050】
ステップS206では、チューナ102で復調した、暗号化されたままのスクランブルTSデータがスイッチ103を介して記録再生制御部117に転送され、記録媒体118に記録される。
【0051】
ステップS203でCASカード104aが装着されている場合、ステップS207でカード番号取得部106は、現在装着されているCASカードからカード番号を取得する。カード番号比較部108は、ステップS201においてカード番号取得部106が取得したカード番号と、現在装着されているCASカードからカード番号取得部106が取得したカード番号とを比較する。そして、カード番号比較部108は、カード番号が一致すれば録画開始時と同一のCASカードが現在装着されていると判断する。
【0052】
録画開始時と同一のCASカードが装着されていると判断される場合は、ステップS209で、記録方式切り替え制御部107は、スクランブルTSデータを記録中か判断する。
【0053】
そして、スクランブルTSデータを記録中であった場合、記録方式切り替え制御部107は、録画開始時に装着されていたCASカード104aが一旦抜き取られた後、挿し戻されたものと判断する。
【0054】
そして、ステップS210で記録方式切り替え制御部107は、チューナ102から出力されるスクランブルTSデータがデスクランブラ109へ転送されるようにスイッチ103を切り替える。これにより、記録方式がスクランブルTSデータの記録からデスクランブルTSの記録に再度切り替えられる。記録方式切り替え制御部107は、記録方式を切り替えたことをCPU115に通知する。
【0055】
CPU115は、記録方式切り替えの通知を受信すると、前回記録方式が切り替えられてからCASカード104aが挿し戻されるまでに記録媒体118へ記録されたスクランブルTSデータの記録開始位置とデータサイズを算出する。そして、記録方式切り替え情報管理部116へ転送する。
【0056】
記録方式切り替え情報管理部116は、上述のステップS205と同様に、記録方式切り替えアドレスとサイズをカード番号に対応したテーブルに追加して更新する。
【0057】
ステップS209でデスクランブルTSデータを記録中の場合、およびステップS210で記録方式がデスクランブルTSデータの記録に再度切り替えられた場合のいずれも、ステップS211で、デスクランブルTSデータの記録を行う(継続する)。
【0058】
すなわち、チューナ102が復調したスクランブルTSデータはスイッチ103によりデスクランブラ109へ転送され、CASカード104aに保存された復号化鍵を用いて暗号化が解かれ、デスクランブルTSデータとされる。デスクランブルTSデータはデスクランブラ109から記録再生制御部117へ転送され、記録再生制御部117によって記録媒体118に記録される。以後、処理はステップS202から繰り返される。
【0059】
一方、ステップS207において、現在装着されているCASカード104aが録画開始時と異なると判断された場合、ステップS208でCPU115は、録画開始時に装着されていたCASカード104aを装置に挿し戻すようユーザに通知する。例えばCPU115は、視覚的なメッセージをディスプレイ112へ表示したり、スピーカ113から音声メッセージを出力したりすることができる。
【0060】
メッセージに対してユーザから応答があってもなくても、処理はステップS202へ戻して、繰り返し実行する。処理をステップS202へ戻す際にメッセージ表示を消去してもよいし、メッセージ表示は継続して行ってもよい。
【0061】
ステップS202で録画終了指示があった場合、ステップS219で、CPU115は、現在の記録方式で記録媒体118へ記録されたTSデータの記録開始位置(記録開始時間)とデータサイズ(記録時間)を算出する。そして、算出した記録開始位置と記録データサイズを、記録方式切り替え情報として記録方式切り替え情報管理部116へ通知する。記録方式切り替え情報管理部116は、ステップS205と同様にしてテーブルにレコードを追加して更新する。
【0062】
ステップS212でCPU115は、記録方式切り替え情報管理部116に記憶された記録方式切り替え情報を参照し、スクランブルTSデータを記録した録画期間が存在するか否かを判断する。
【0063】
スクランブルTSデータを記録した期間がない場合、CPU115は、録画中にCASカード104aが取り出されなかったものと判断し、録画処理を終了する。
【0064】
一方、スクランブルTSデータを記録をした期間が存在する場合、CPU115は、録画中にCASカード104aが取り出された期間が存在するものと判断する。そして、CPU115は、スクランブルTSデータが記録された期間をデスクランブル処理するため、処理をステップS213に遷移させる。
【0065】
ステップS213で、カード挿抜検出部105は、CASカードI/F104にCASカード104aが装着されているか否かを検知し、検知結果をCPU115に通知する。CASカード104aが装着されていない場合、CPU115は、録画中にCASカード104aが抜き取られたままであると判断する。そして、ステップS214で、CPU115は、録画開始時に装着していたCASカード104aを挿し戻すように促すメッセージをユーザに通知する。この通知は、ステップS208で説明したように、ディスプレイ112への表示や、スピーカ113からの音声出力によって行うことができる。
【0066】
一方、ステップS213でCASカード104aの装着が確認された場合、CPU115は、ステップS215で、カードの同一性を確認する。具体的には、CPU115は、ステップS201において取得したカードIDと、現在装着されているカードIDとをカード番号比較部108に比較させる。
【0067】
録画開始時と現在とで異なるCASカードが装着されていると判断される場合、CPU115はステップS214の処理を行う。
一方、同一のCASカード104aが装着されていると判断される場合、CPU115はステップS216以降の、スクランブルTSデータのデスクランブル処理を行う。
【0068】
ステップS216でCPU115は、記録方式切り替え情報管理部116が記憶する記録方式切り替え情報を参照し、スクランブルTSデータを記録した区間の記録開始位置(記録開始時間)とデータサイズ(記録時間)を取得する。そして、CPU115は、スクランブルTSデータを記録媒体118から読み出し、デスクランブラ109へ供給するよう記録再生制御部117に指示する。
【0069】
デスクランブラ109は、記録媒体118から読み出されたスクランブルTSデータをCASカード104aに記憶されている復号化鍵を用いてデスクランブルし、デスクランブルTSデータを、記録再生制御部117に供給する。記録再生制御部117は、デスクランブルTSデータを記録媒体118に記録する。
【0070】
スクランブルTSデータが記録された期間が複数存在する場合には、スクランブルTSデータの読み出しとデスクランブル処理を繰り返し行う。
【0071】
ステップS217でCPU115は、録画中に記録されたスクランブルTSデータの1区間がデスクランブルされる毎に記録方式切り替え情報を生成し、記録方式切り替え情報管理部116における記録方式切り替え情報を更新する。すなわち、デスクランブル処理された記録区間に対応する記録方式切り替え情報における記録方式がスクランブルTSデータからデスクランブルTSデータとなるように記録方式切り替え情報を発行して更新する。
【0072】
さらに、CPU115は、デスクランブル処理が完了したスクランブルTSデータを記録媒体118上から削除するように記録再生制御部117に指示する。記録再生制御部117は、この指示に従い、スクランブルTSデータを記録媒体118から削除する(ステップS218)。
【0073】
続いて、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送記録再生装置の動作の具体例を、図4に示すタイミングチャートと、図5に示す記録方式切り替え情報管理部116が記憶する記録方式切り替え情報とを用いて説明する。
【0074】
図4において横軸は、録画開始からスクランブルTSデータが記録された区間のデスクランブル処理が終了するまでの経過時間を示す。
また、(a)は記録方式を、(b)は記録再生制御部117の記録媒体118に対するアクセス状態(読み込みまたは書き出し)、(c)はデスクランブラ109の動作状態(デスクランブル実行中または待機中)の動作タイミングをそれぞれ示す。
【0075】
時間t0でデジタル放送記録再生装置100は番組録画を開始する。
時間t0の時点において、初期状態として装置にCASカード104aが装着されていることが前提となっており、スイッチ103はチューナ102からのスクランブルTSデータをデスクランブラ109へ供給するように設定されている。
【0076】
そしてデスクランブラ109は、入力されたスクランブルTSデータをデスクランブルして記録再生制御部117へ供給し、記録再生制御部117がデスクランブルTSデータを記録媒体118へ書き込む。
【0077】
通常、録画中にCASカード104aが装着されていないことが検知されない限り、このようにして記録媒体118にはデスクランブルTSデータが記録され続ける。
つまり、時間t0からt1の間の動作として示すように、デスクランブラ109が動作し、デスクランブルTSデータが記録媒体118に書き込まれる状態が継続する。
すなわち、図2において、ステップS202、S203、S207、S209、S211の処理が順次繰り返される。
【0078】
時間t1において、カード挿抜検出部105が、CASカード104aが抜き出されたことを検知し、記録方式切り替え制御部107へ通知したとする(ステップS203)。
【0079】
記録方式切り替え制御部107は、t0からt1までの期間の記録方式がデスクランブルTSデータの記録であったことを確認する(ステップS204)。そして、スイッチ103を切り替え、スクランブルTSデータを記録再生制御部117へ直接供給するように記録形式を切り替える。
【0080】
また、CPU115に対して記録方式を切り替えたことを通知し、CPU115は、t0からt1までの区間の記録方式切り替え情報を発行し、記録方式切り替え情報管理部116へ通知する。記録方式切り替え情報管理部116は、受け取った記録方式切り替え情報を図5(a)に示すようにテーブルに登録する(ステップS205)。
【0081】
そして、記録再生制御部117は、スクランブルTSデータをそのまま記録媒体118に書き込む(ステップS206)。
これにより、記録方式はデスクランブルTSデータからスクランブルTSデータへ切り替わると共に、デスクランブラ109は実行状態から待機状態へ遷移する。
【0082】
この動作状態は、録画開始時と同一のCASカード104aが挿し戻されるまで保持され、図2において、ステップS202、S203,S207,S208,S206(又はS202,S203,S204,S206)を順次繰り返す手順に相当する。
【0083】
時間t2で、録画開始時と同じCASカード104aが挿し戻されたことが検知されたとする。すなわち、ステップS207で録画開始時と同じCASカード104aの装着が確認され、ステップS209でスクランブルTSデータ録画中であれば、録画開始時と同じCASカード104aが挿し戻されたものと検知される。
【0084】
これにより、記録方式切り替え制御部107は、チューナ102からのスクランブルTSデータをデスクランブラ109へ供給するようにスイッチ103を再度切り替え、記録形式を変更する。
【0085】
また、記録方式切り替え制御部107は、記録方式を切り替えたことをCPU115に通知し、CPU115は、t1からt2までの区間の記録方式切り替え情報を発行し、記録方式切り替え情報管理部116へ通知する。記録方式切り替え情報管理部116は、受信した記録方式切り替え情報をテーブルに追加する。これにより、テーブルは図5(b)に示す状態となる(ステップS210)。
【0086】
この結果、タイミングチャートの図4(a)記録方式は、スクランブルTSからデスクランブルTSへ切り替わると共に、図4(c)のデスクランブラは待機状態から実行状態へ遷移する。これにより、t2以降の動作状態は、t0〜t1と同じ状態となる。
【0087】
時間t3で番組録画が終了したものとする。
CPU115は、t2からt3までの区間における記録方式切り替え情報を生成し、記録方式切り替え情報管理部116へ通知する。記録方式切り替え情報管理部116は、受信した記録方式切り替え情報をテーブルに追加する。これにより、テーブルは図5(c)に示す状態となる(ステップS219)。
【0088】
また、時間t3において録画が終了するため、記録方式、記録媒体118へのアクセス及びデスクランブラ109の動作状態はいずれも不活性状態となる。
【0089】
時間t4で、時間t1〜t2の間に記録されたスクランブルTSデータの読み込みと、デスクランブル処理を開始する。
時間t4は、録画終了時間t3の直後でも、ユーザが予め指定した特定の時刻であったり、例えば深夜など録画や再生が行われない時間帯の時刻などに実行するようにしてもよい。
【0090】
時間t4の時点において、CPU115は、記録方式切り替え情報管理部116に記憶されているテーブル(図5(c))を参照し、テーブルを構成するレコード中に、スクランブルTSデータを記録した区間のレコードが存在するか判定する(ステップS212)。
【0091】
図4の例では、録画期間中に1回のCASカード抜き挿しが発生し、録画終了時点では録画開始時と同じCASカードが装置に挿し戻されている。そのため、時間t1〜t2の区間はスクランブルTSデータが記録されており、デスクランブル処理が必要である(ステップS212、S213、S215)。
【0092】
そのため、CPU115は、記録方式切り替え情報のうち、スクランブルTSデータの記録区間の開始位置(開始時間)を参照し、スクランブルTSデータを所定量ずつ間欠的に記録媒体118より読み込むよう記録再生制御部117に指示する。
【0093】
記録再生制御部117は記録媒体118からスクランブルTSデータの所定量を読み出し(図4(b)、読み出し状態R)し、デスクランブラ109へ供給する。デスクランブラ109は、SDRAMやフラッシュメモリ等の図示しない大容量揮発性メモリにスクランブルTSデータを読み込み、デスクランブル処理を行う(図4(c)、実行状態)。
デスクランブルTSデータは記録再生制御部117へ供給され、記録媒体118に書き込まれる(図4(b)、書き込み状態W)。
【0094】
このような、スクランブルTSデータの読み込み、デスクランブル処理、そしてデスクランブルTSデータの書き出しを、録画開始時に装着されていたCASカード104aが抜き取られた期間t1〜t2に記録したスクランブルTSデータに対して繰り返す。
【0095】
また、CPU115は、記録再生制御部117からのスクランブルTSデータ読み込み済み位置情報、デスクランブルTSデータ書き出し開始位置およびデータサイズを監視する。そして、記録方式切り替え情報管理部116が記憶する記録方式切り替え情報のうち、直前のレコードの記録時間と、自レコードの記録開始時間を更新する(ステップS217)。これにより、スクランブルTSデータのどこまでがデスクランブル処理されたのかを、把握可能にする。
【0096】
時間t5で、スクランブルTSデータが全てデスクランブル処理されたものとする。
また、CPU115は、スクランブルTSデータが全てデスクランブルされると、スクランブルTSデータの記録区間の前後区間に対応する記録方式切り替え情報を結合する。従って、本例では、デスクランブル処理の終了によりスクランブルTSデータの記録区間を示すindex1のレコードが削除されるとともに、index0と2のレコードが結合される。従って、記録方式切り替え情報は、図5(d)に示すように、番組録画開始の時間t0から番組録画終了の時間t3までをまとめて示すレコードのみとなる。
【0097】
これによりユーザは、録画中にCASカードがの抜き挿しされたかどうかとは無関係に、従来通り録画番組すべての内容を視聴することが可能となる。
【0098】
なお、録画終了時までに録画開始時と同じCASカードが挿し直されていない場合など、スクランブルTSデータのデスクランブルが実行または完了できない場合も考えられる。この場合、カード挿抜検出部105で新たなカード装着が確認された際や、一定時間毎に、ステップS213からの動作をくりかえし行うことにより、デスクランブル処理が可能となった時点で実行するように構成してもよい。
【0099】
また、録画開始時にCASカード104aが装着されていなかったり、装着されているCASカード104aにコンテンツの復号化に必要な情報が記憶されていない場合、始めからスクランブルTSデータを記録してもよい。
【0100】
この場合、新たにCASカードが装着された際に、スクランブルTSデータ記録されたコンテンツの復号化に必要な情報が記録されている適切なCASカードかどうか判断すればよい。そして、適切なCASカード104aの装着が録画中に検知された場合には、その時点でデスクランブルTSデータの記録を開始し、その後は図2のフローチャートと同様の処理を行えばよい。
【0101】
また、適切なCASカード104aの装着が録画終了後に検知された場合には、記録済みのスクランブルTSデータに対するデスクランブル処理(図2のS216以降の処理)を実行すればよい。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によれば、着脱可能な記憶媒体に記憶された情報を用いて暗号化されたコンテンツを復号化するデジタル放送記録再生装置において、復号化に必要な情報が存在しない場合には、暗号化されたままの状態で録画を行う。そして、暗号化された状態での録画中に、復号化に必要な情報を記憶した記憶媒体の装着が検知された場合には、暗号化されたコンテンツを復号化してから録画するようにする。また、録画終了後に、復号化に必要な情報を記憶した記憶媒体が装着されていれば、暗号化された状態で録画された部分を復号化して記録し直す。
【0103】
そのため、例えば録画中にCASカードが抜き取られた場合であっても、抜き取られた時点から視聴ができないといった事態を回避することができる。
【0104】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、録画が一つの符号化方式で行われる場合について説明した。本実施形態では、デジタル放送記録再生装置が、例えばMPEG2−TS形式のストリームをH.264形式に再符号化してから記録媒体に記録するトランスコード機能を有する場合について説明する。
【0105】
続いて本発明の第2の実施形態について、図6、図7、図8を用いて説明する。尚、第2の実施形態の説明において、上述した第1の実施形態と共通する部分については、適宜説明を省略する。
【0106】
図6は、第2の実施形態におけるデジタル放送記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
基本的な構成は図1に示した第1の実施形態のデジタル放送記録再生装置と同様である。しかし、第2の実施形態においては、MPEG−2方式で符号化された符号化データストリームを、異なる符号化形式であるH.264符号化方式で再符号化し、再符号化データストリームの形式で記録する機構を追加している。
【0107】
MPEG−2デコーダ111は、映像ESデータの復号処理を行った後の復号画像データをH.264エンコーダ119へ転送する。
またMPEG−2デコーダ111は、音声ESデータを、異なる圧縮方式へ変換する必要がなければ、そのままH.264エンコーダへ転送する。
【0108】
H.264エンコーダ119は、復号画像データをH.264方式で再符号化すると共に、音声ESデータとの多重化処理を行った再符号化データストリームを生成し、記録再生制御部117へ供給する。記録再生制御部117は、受信した再符号化データストリームを記録媒体118に記録する。
【0109】
H.264デコーダ120は、記録媒体118に記録されているH.264方式の再符号化データストリームを映像ESおよび音声ESに分離した後、各ESデータを復号し、ディスプレイ112への映像出力、スピーカ113への音声出力を行う。
【0110】
デジタル放送の配信に用いられる暗号化データストリームは、複数の複数のピクチャから構成されるGOP(Group of Pictures)を単位とした符号化であるMPEG−2方式で符号化された符号化ストリームを暗号化したものである。
【0111】
スクランブルTSバッファ121は、チューナ102で復調されたスクランブルTSデータを少なくとも直近の1GOP分蓄積するメモリ領域である。CASカード104aが抜き去られたことを検知した場合には、スクランブルTSバッファ121の内容をすべて記録媒体118に記録する。
【0112】
図7は、本実施形態のデジタル放送記録再生装置における録画動作を説明するフローチャートである。ユーザがリモコンを操作して予約した録画を開始する際、あるいはユーザからの即時録画指示を受け付けた際に、本実施形態のデジタル放送記録再生装置100’は図2に示す動作を開始する。ここで、録画開始時には、録画する暗号化コンテンツを復号化するために必要な情報を記憶する適切なCASカード104aがCASカードI/F104に装着されているものとする。
【0113】
最初に、カード番号取得部106は、CASカードI/F104を通じて、装着されているCASカード104aよりカード番号(ID情報)を取得する(ステップS701)。カード番号取得部106は、取得したカード番号を記憶する。
【0114】
ステップS702で、CPU115は、録画停止指示の有無を判定する。録画停止指示は、ユーザーからリモコンを通じて直接与えられるもののみならず、予約録画していた番組の終了時刻になったことにより装置内部で生じる録画停止指示も含まれる。
【0115】
CPU115は、録画終了指示がない場合はステップS703以降の録画処理へ、録画終了指示があった場合はステップS720以降の録画終了時処理へ処理を進める。
【0116】
ステップS703で、スクランブルTSバッファ121は、チューナ102から受信したスクランブルTSデータを蓄積すると共に、チューナ102から受信したスクランブルTSデータをスイッチ103へ転送する。スクランブルTSバッファ121は、1GOP(およそ500ミリ秒程度)分以上のデータを格納可能な容量を有する。
【0117】
スクランブルTSバッファ121は、容量を超えるデータが入力した場合、格納順が古いデータから廃棄し、常に最新の1GOP以上のデータが格納されるFIFO(First In First Out)方式である。
【0118】
ステップS704で、カード挿抜検出部105は、CASカード104aがCASカードI/F104に装着されているか否かを検知する。カード挿抜検出部105は、CASカード104aの挿抜状態を記録方式切り替え制御部107、カード番号取得部106及びCPU115に通知する。
【0119】
CASカード104aが装着されていない場合,CPU115は、録画中にCASカード104aが抜き取られたと判断し、処理をステップS705に遷移させる。一方、CASカード104aが装着されている場合、CPU115は処理をステップS712に遷移させる。
【0120】
ステップS705で、記録方式切り替え制御部107は、デスクランブル後にH.264方式で再符号化した再符号化データストリーム(トランスコードTSデータ)の形式で記録中か否か判断する。そして、トランスコードTSデータを記録中であった場合、ステップS205で、記録方式切り替え制御部107は、スイッチ103をデスクランブラ109へのTSデータ転送から、記録再生制御部117へのスクランブルTSデータ転送に切り替える。記録方式切り替え制御部107はさらに、記録方式をトランスコードTSデータの記録からスクランブルTSデータの記録へ切り替えたことをCPU115に通知する。
【0121】
一方、ステップS705でトランスコードTSデータの記録中でない、すなわち暗号化データストリーム(スクランブルTSデータ)の形式で記録中である場合は、記録方式を切り替える必要がない。そのため、記録方式切り替え制御部107は処理をステップS711に遷移させる。
【0122】
ステップS707でスクランブルTSバッファ121は、一時的に蓄積していたスクランブルTSデータを切り替え後のスイッチ103を通じて記録再生制御部117へ出力する。記録再生制御部117は、このスクランブルTSデータを記録媒体118に書き込む。
【0123】
ステップS708で、CPU115は、記録方式切り替えの通知を受信すると、記録されたデスクランブルTSデータ(MPEG−2方式)における、直近のGOPデータ開始時間または位置情報をMPEG−2デコーダ111より取得する。ここでは、CASカード104aの抜き取りが検知されるまでに記録媒体118へ記録されたデスクランブルTSデータを対象とする。カード挿抜検出部105はほぼリアルタイムでカードの挿抜を検知するため、この直近のGOPデータ開始時間または位置情報は、カード抜き去り発生時のGOPの開始時間または位置情報に相当する。
【0124】
GOPデータ開始位置は、MPEG−2 Video規格(ISO/IEC 13818−2)で規定されているGOPスタートコード(16進数バイト表記で00 00 01 B8)というデータ並びを検出することで取得できる。
【0125】
また、CPU115は、直近のGOP開始位置におけるデスクランブルTSデータから復号再生時の同期処理に必要となるシステムクロック情報を取得する。具体的には、システムクロック情報はPCR(Program Clock Reference),DTS(Decoding Time Stamp),PTS(Presentation Time Stamp)等であってよい。
【0126】
ステップS709で、CPU115は、CASカード104aの抜き取りが検知されるまでに記録媒体118へ記録されたデスクランブルTSデータの記録開始位置(記録開始時間)とデータサイズ(記録時間)を算出する。そして、算出した記録開始位置とデータサイズを、記録方式切り替え情報として、記録方式切り替え情報管理部116へ転送する。
【0127】
記録方式切り替え情報管理部116は、第1の実施形態のステップS205と同様に、記録方式切り替え情報をテーブルに追加する。
【0128】
ステップS710では、チューナ102で復調した、暗号化されたままのスクランブルTSデータがスイッチ103を介して記録再生制御部117に転送され、記録媒体118に記録される。
【0129】
一方、ステップS705でスクランブルTSデータの記録中であると判断された場合、ステップS711でCPU115は、ステップS708で取得したシステムクロック値を起点として、システムクロック情報を更新する。システムクロック情報を更新する目的は、CASカードが差し戻されて、一つのストリームとして再エンコードされる際に、トランスコード記録データ部分と、スクランブルTSデータ部分とが不連続とならないようにするためである。これにより、スクランブルTSデータを再エンコードしてトランスコード記録データに変換した場合でも、前後の記録データとの時間的な連続性が確保される。
【0130】
更新方法としては、例えば、装置が有する図示しないクロック発生器(水晶振動子等)から発生する、90KHzや27MHz周期のクロック信号を用いたカウンタ値の差分を利用し、上記システムクロック値を加算する方法などが有効である。
【0131】
ステップS712〜S714は、第1の実施形態のステップS207〜S209と同じ処理であるため、説明を省略する。
CPU115は、S714でスクランブルTSデータを記録中の場合にはステップS715へ、トランスコードTS記録中の場合はステップS717へ処理を遷移させる。
【0132】
ステップS715で、記録方式切り替え制御部107は、チューナ102から出力されるスクランブルTSデータがデスクランブラ109へ転送されるようにスイッチ103を切り替える。これにより、記録方式がスクランブルTSデータの記録からデスクランブルTSの記録に切り替えられる。記録方式切り替え制御部107は、記録方式を切り替えたことをCPU115に通知する。
【0133】
CPU115は、記録方式切り替えの通知を受信すると、前回記録方式が切り替えられてからCASカード104aが挿し戻されるまでに記録媒体118へ記録されたスクランブルTSデータの記録開始位置とデータサイズを算出する。そして、記録方式切り替え情報管理部116へ転送する。
【0134】
記録方式切り替え情報管理部116は、上述のステップS205と同様に、記録方式、記録方式切り替えアドレス及びサイズをカード番号に対応したテーブルに追加して更新する。
【0135】
ステップS716で、CPU115は、ステップS708で取得し、さらにステップS711で更新したシステムクロック値からトランスコードTSデータへの符号化を再開するようH.264エンコーダ119に設定する。
【0136】
これにより、録画開始時と同じCASカード104aが挿し戻された場合に、録画開始時から録画終了時まで、システムクロックが所定間隔で単調増加する、シームレスな再生が保証された多重化ストリームを生成することができる。
【0137】
ステップS717で、デスクランブラ109は、スクランブルTSデータを復号化し、デスクランブルTSデータをデマルチプレクサ110へ出力する。
【0138】
ステップS718で、デマルチプレクサ110は、デスランブルTSデータを映像ESデータ、音声ESデータに分離し、各ESデータをMPEG−2デコーダ111のビデオデコード処理部、オーディオでコード処理部に供給する。
【0139】
MPEG−2デコーダ111は、映像ESデータをデコードして復号画像データを、H.264エンコーダへ転送する。
また、音声ESデータは、異なる圧縮方式へ変換する必要がなければ、そのままH.264エンコーダへ転送する。
【0140】
そして、H.264エンコーダ119は、復号画像データをH.264方式で再符号化すると共に、音声ESデータとの多重化処理を行った再符号化データストリーム(トランスコードTSデータ)を出力する。
【0141】
ステップS719で、記録再生制御部117は、H.264エンコーダ119が出力したトランスコードTSデータを、記録媒体118へ記録する。
ステップS720は、ステップS219と同様の処理である。
ステップS721は、ステップS212と同様の処理である。
【0142】
録画期間中にスクランブルTSデータを記録した場合は、スクランブルTSデータ区間のみをデスクランブル処理後、トランスコードするため、CPU115は処理をステップS724へ遷移する。
ステップS722〜S724は、ステップS213〜S215と同様の処理である。
【0143】
ステップS725で、CPU115は、記録方式切り替え情報管理部116が記憶する記録方式切り替え情報を参照し、記録媒体118からのスクランブルTSデータの読み出しを、記録再生制御部117に指示する。
【0144】
記録再生制御部117は、記録媒体118から読み出したスクランブルTSデータを、デスクランブラ109へ転送する。デスクランブラ109は、スクランブルTSデータをデスクランブルしてデスクランブルTSデータを生成し、デマルチプレクサ110へ供給する。デマルチプレクサ110はデスクランブルTSデータを各ESデータに分離する。
【0145】
ステップS726で、MPEG−2デコーダ111は、復号するピクチャ単位で映像ESデータのビットストリーム中にGOP開始コードがあるかを検出する。
【0146】
GOP開始コードが検出できない場合は、GOP開始コードが検出されるまでステップS725のGPO先頭ピクチャ検出処理を繰り返す。
【0147】
一方、S725でGOP開始コードの検出に成功した場合、ステップS727で、MPEG−2デコーダ111は、GOP開始コードを検出したピクチャからデコードの実行を開始する。その後、スクランブルTSデータをデスクランブルしたデータの終わりまでデコードを継続する。
【0148】
そして、上述のステップS718と同様にして、H.264方式への再符号化と再符号化データストリームへの多重化を行った後、トランスコードTSデータを記録媒体118へ書き出す。
【0149】
また、再符号化データストリームへの多重化を再開する際には、シームレスな再生を保証するため、CASカード104aが抜き取られた際のシステムクロック情報を用いる。
【0150】
ステップS728で、CPU115は、録画開始時と同じCASカードが存在しない期間に記録したスクランブルTSデータを記録媒体118上から削除するよう、記録再生制御部117に対して指示する。
【0151】
続いて、上述した第2の実施形態に係るデジタル放送記録再生装置の動作の具体例を、図8に示すタイミングチャートを用いて説明する。
図8における横軸は、録画開始時からでトランスコード終了までの経過時間を示す。
また図8(a)から(c)までは図4(a)から(c)と同じ状態を示したものである。
【0152】
図8(d)は、デマルチプレクサ110の多重化ストリーム分離処理およびMPEG−2デコーダ111の復号処理、さらにH.264エンコーダ119すべてが動作して、トランスコーダ機能が実行中であるか否かの動作状態を表している。
【0153】
図8(e)は、図7におけるステップS708あるいはステップS711において、CASカード104a抜き出し期間中に行う、システムクロック生成・更新処理が実行中であるか否かの動作状態を表している。
【0154】
時間t0でデジタル放送記録再生装置100は番組録画を開始する。
時間t0の時点において、初期状態として装置にCASカード104aが装着されていることが前提となっており、スイッチ103はチューナ102からのスクランブルTSデータをデスクランブラ109へ供給するように設定されている。
【0155】
そしてデスクランブラ109が出力するデスクランブルTSデータはデマルチプレクサ110でESデータ分離され、MPEG−2デコーダ111で復号化される。
【0156】
さらに、MPEG−2デコーダ111で復号化された画像ESデータと音声ESデータを、H.264エンコーダ119で再符号化、多重化してトランスコードTSデータを生成する。そして、トランスコードTSデータを記録再生制御部117を通じて記録媒体118へ書き込む。
【0157】
このように、録画中、適切なCASカード104aが装着されている間は、記録媒体118にトランスコードTSデータが連続して記録される。
つまり、時間t0〜t1の期間の図8(a)〜(e)に示されるように、記録方式はトランスコードTSデータ、アクセス状態は書き込み、デスクランブラ109及びトランスコーダ機能が動作中、システムクロック生成・更新処理は待機状態を保持する。
【0158】
時間t1において、カード挿抜検出部105が、CASカード104aが抜き出されたことを検知し、記録方式切り替え制御部107へ通知したとする(ステップS706)。
記録方式切り替え制御部107は、t0からt1までの期間の記録方式がトランスコードTSデータの記録であったことを確認する(ステップS705)。そして、スイッチ103を切り替え、スクランブルTSデータを記録再生制御部117へ直接供給するように記録形式を切り替える。
【0159】
また、CPU115は、スクランブルTSバッファ121に蓄積していたスクランブルTSデータを記録再生制御部117を通じてすべて記録媒体118に記録させる(ステップS708)。
【0160】
続いて、CPU115は、直近にデコードした、GOP開始コードが存在するビットストリームのデータ位置および、その時のシステムクロック情報をデスクランブルTSデータから取得する。そして、CPU115は、録画開始時と同じCASカード104aが挿し戻されるまでは、所定のタイミングでシステムクロック情報を更新する(ステップS708、S711)。
【0161】
さらに、第1の実施形態の場合と同様に、CPU115は、CPU115は、t0からt1までの区間の記録方式切り替え情報を発行し、記録方式切り替え情報管理部116へ通知する。記録方式切り替え情報管理部116は、受け取った記録方式切り替え情報を図5(a)に示すような形式でテーブルに登録する(ステップS709)。ただし、本実施形態では、記録形式がトランスコードTSデータとなる。
【0162】
また、CPU115は、スクランブルTSデータの記録開始位置として、スクランブルTSバッファ121に一時記憶していたデータの記録開始位置を記憶する。
そして、スクランブルTSデータをそのまま記録再生制御部117に転送し、記録媒体に書き込む(ステップS710)。
【0163】
この結果、時間t1から、記録方式はスクランブルTSデータに、デスクランブラ109及びトランスコーダ機能は待機中となり、システムクロック生成・更新処理は所定のタイミングで間欠的に実行される。
【0164】
このシステムクロックの実行タイミングとしては、例えば、
・MPEG−2デコーダ111が、ピクチャを復号するためのフレームレート周期、
・ディスプレイ112が画像出力時に同期を検出するための垂直同期信号VD(Vertical Drive)の周期
とすることができる。
【0165】
時間t2で、録画開始時と同じCASカード104aが挿し戻されたことが検知されたとする。すなわち、ステップS207で録画開始時と同じCASカード104aの装着が確認され、ステップS209でスクランブルTSデータ録画中であれば、録画開始時と同じCASカード104aが挿し戻されたものと検知される。
【0166】
これにより、記録方式切り替え制御部107は、チューナ102からのスクランブルTSデータをデスクランブラ109へ供給するようにスイッチ103を再度切り替え、記録形式を変更する。
【0167】
また、記録方式切り替え制御部107は、記録方式を切り替えたことをCPU115に通知し、CPU115は、t1からt2までの区間の記録方式切り替え情報を発行し、記録方式切り替え情報管理部116へ通知する。記録方式切り替え情報管理部116は、受信した記録方式切り替え情報をテーブルに追加する。これにより、テーブルは図5(b)に示す状態となる(ステップS715)。
【0168】
そして録画開始時の時間t0と同様に、デスクランブルTSデータのデコード、そしてH.264方式への再符号化を再開し、トランスコードTSデータを記録媒体118に記録する。
【0169】
ただし、再符号化の再開時における初期設定システムクロックは、CASカード104aが抜き出されていた期間中にステップS711で更新処理したタイムスタンプから多重化を開始するようH.264エンコーダを設定する。
この結果、タイミングチャートの図8(a)〜(e)において示される各部の動作状態は時間t0〜t1と同じ状態となる。
【0170】
時間t3で番組録画が終了したものとする。
CPU115は、t2からt3までの区間における記録方式切り替え情報を生成し、記録方式切り替え情報管理部116へ通知する。記録方式切り替え情報管理部116は、受信した記録方式切り替え情報をテーブルに追加する。これにより、テーブルは図5(c)に示す状態となる(ステップS720)。ただし、本実施形態では記録方式はトランスコードTSデータとなる。
そして、各部の動作状態はいずれも不活性となる。
【0171】
時間t4で、時刻t1〜t2の間に記録されたスクランブルTSデータの読み込みと、デスクランブル処理を開始する。
時間t4にCPU115は、記録方式切り替え情報管理部116の記憶内容を参照し、スクランブルTSデータが記録媒体118上に存在するか判定する(ステップS721)。
【0172】
図8の例では、録画期間中に1回のCASカード抜き挿しが発生し、録画終了時点では録画開始時と同じCASカードが装置に挿し戻されている。そのため、時間t1〜t2の区間はスクランブルTSデータが記録されており、デスクランブル処理およびトランスコード処理が必要である(ステップS721、S722、S724)。
【0173】
続いて、CPU115は、スクランブルTSデータの開始位置から、間欠的に記録媒体118より読み込む指示を記録再生制御部117に指示する。
図8の例では、GOP開始位置が検出されるまで、複数回のデータ読み込み(図8(b))とデスクランブル(図8(c))を繰り返す(ステップS725、S726)。
【0174】
そして、GOP開始位置が検出された時点(t4から3つ目のRで検出されたと想定)から、MPEG−2デコーダ111での復号処理および、H.264エンコーダ119での再符号化処理(トランスコード)を開始する。なお、録画中は図8(c)および(d)に示すデスクランブラ109とトランスコーダ機能の動作状態が等しいのに対して、t4以降の処理では反転しているのは、t4以降では放送ストリームではなく記録媒体118の蓄積データに対する処理であり、デスクランブルされたデータをトランスコードする期間はデスクランブラを動作させる必要が無いからである。
【0175】
また、トランスコードを再開する際、H.264エンコーダ119には、CASカード104a抜き出し検知時に取得したGOP開始タイミングのシステムクロック情報(S708)を設定する。
【0176】
スクランブルTSデータの読み込みから再符号化処理を行ったトランスコードTSデータの書き込みまでの処理を、CASカード104aが抜き取られた期間に記録したスクランブルTSデータすべてに対して繰り返す。
【0177】
時間t5は、時間t4以降のデスクランブル並びにトランスコード処理が終了した状態であり、図8(a)から(e)のすべての動作状態は不活性となる。
【0178】
また、CPU115は、ステップS708において取得した、CASカード104a抜き出し発生時のGOP開始アドレス情報に基づいて、当該GOPに属するピクチャのデータを破棄する終了処理を行う。これにより、不完全なGOPデータへのアクセスを回避することができる。
【0179】
当該GOPデータは、ステップS727においてトランスコードを再開した時の、最初のGOPデータとして含まれているため、映像の連続性は保証される。
結果、記録媒体118に記録された、録画開始時から録画終了時までのトランスコードTSデータはすべて一続きの連続したストリームとなる。
【0180】
以上の処理により、本実施形態によれば、MPEG−2からH.264等、異なる圧縮符号化方式へ、再符号化した録画番組の視聴時においても、第1の実施形態と同様の効果を実現することができる。
【0181】
なお、本実施形態においても、録画終了時までに録画開始時と同じCASカードが挿し直されていない場合など、スクランブルTSデータのデスクランブルおよびトランスコードが実行または完了できない場合も考えられる。この場合、カード挿抜検出部105で新たなカード装着が確認された際や、一定時間毎に、ステップS722からの動作をくりかえし行うことにより、デスクランブルおよびトランスコード処理が可能となった時点で実行するように構成してもよい。
【0182】
また、録画開始時にCASカード104aが装着されていなかったり、装着されているCASカード104aにコンテンツの復号化に必要な情報が記憶されていない場合、始めからスクランブルTSデータを記録してもよい。
【0183】
この場合、新たにCASカードが装着された際に、スクランブルTSデータ記録されたコンテンツの復号化に必要な情報が記録されている適切なCASカードかどうか判断すればよい。そして、適切なCASカード104aの装着が録画中に検知された場合には、その時点でデスクランブルTSデータの記録を開始し、その後は図7のフローチャートと同様の処理を行えばよい。
【0184】
また、適切なCASカード104aの装着が録画終了後に検知された場合には、記録済みのスクランブルTSデータに対するデスクランブルおよびトランスコード処理(図7のS725以降の処理)を実行すればよい。
【0185】
(他の実施形態)
上述の実施形態は、システム或は装置のコンピュータ(或いはCPU、MPU等)によりソフトウェア的に実現することも可能である。
従って、上述の実施形態をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給されるコンピュータプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、上述の実施形態の機能を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0186】
なお、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能であれば、どのような形態であってもよい。例えば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等で構成することができるが、これらに限るものではない。
【0187】
上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、記憶媒体又は有線/無線通信によりコンピュータに供給される。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、MO、CD、DVD等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
【0188】
有線/無線通信を用いたコンピュータプログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバを利用する方法がある。この場合、本発明を形成するコンピュータプログラムとなりうるデータファイル(プログラムファイル)をサーバに記憶しておく。プログラムファイルとしては、実行形式のものであっても、ソースコードであっても良い。
【0189】
そして、このサーバにアクセスしたクライアントコンピュータに、プログラムファイルをダウンロードすることによって供給する。この場合、プログラムファイルを複数のセグメントファイルに分割し、セグメントファイルを異なるサーバに分散して配置することも可能である。
つまり、上述の実施形態を実現するためのプログラムファイルをクライアントコンピュータに提供するサーバ装置も本発明の一つである。
【0190】
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを暗号化して格納した記憶媒体を配布し、所定の条件を満たしたユーザに、暗号化を解く鍵情報を供給し、ユーザの有するコンピュータへのインストールを許可してもよい。鍵情報は、例えばインターネットを介してホームページからダウンロードさせることによって供給することができる。
【0191】
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、すでにコンピュータ上で稼働するOSの機能を利用するものであってもよい。
さらに、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、その一部をコンピュータに装着される拡張ボード等のファームウェアで構成してもよいし、拡張ボード等が備えるCPUで実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のデジタル放送記録再生装置における録画動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態のデジタル放送記録再生装置における記録方式切り替え情報管理部116で記憶するデータの構造を説明する一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のデジタル放送記録再生装置の録画動作の具体例を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態のデジタル放送記録再生装置における記録方式切り替え情報管理部116が記憶する記録方式切り替え情報の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態のデジタル放送記録再生装置における録画動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態のデジタル放送記録再生装置の録画動作の具体例を説明するためのタイミングチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置であって、
前記暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶する、着脱可能な記憶媒体の着脱を検知する検知手段と、
前記暗号化データストリームを、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化し、復号化データストリームを出力する復号化手段と、
録画動作を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段が、
前記復号化データストリームの形式での録画中に、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段で検知された場合、前記暗号化データストリームの形式での録画に切り替えるとともに、
前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段によって検知された後、前記検知手段によって装着が検知された記憶媒体が録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一であれば、前記暗号化データストリームの形式で録画された部分を前記復号化手段によって復号化して復号化データストリームの形式で記録し直すことを特徴とするデジタル放送記録再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一の記憶媒体の装着が前記暗号化データストリームの形式での録画中に検知された場合、前記復号化データストリームの形式での録画に再度切り替えることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送記録再生装置。
【請求項3】
符号化データストリームを暗号化した暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置であって、
前記暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶する、着脱可能な記憶媒体の着脱を検知する検知手段と、
前記暗号化データストリームを、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化し、前記符号化データストリームを出力する復号化手段と、
前記符号化データストリームを、異なる符号化形式で再符号化して、再符号化データストリームを生成する符号化手段と、
録画動作を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段が、
前記再符号化データストリームの形式での録画中に、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段で検知された場合、前記暗号化データストリームの形式での録画に切り替えるとともに、
前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段によって検知された後、前記検知手段によって装着が検知された記憶媒体が録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一であれば、前記暗号化データストリームの形式で録画された部分を前記復号化手段によって復号化した後、前記符号化手段によって再符号化し、前記再符号化データストリームの形式で記録し直すことを特徴とするデジタル放送記録再生装置。
【請求項4】
前記符号化が複数のピクチャから構成されるGOPを単位とした符号化であり、
前記暗号化データストリームを少なくとも直近の1GOP分蓄積するバッファ手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段で検知された時点で前記バッファ手段に蓄積されている暗号化データストリームを用いて、直近のGOPの開始位置から前記暗号化データストリームの形式での録画に切り替えることを特徴とする請求項3記載のデジタル放送記録再生装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一の記憶媒体の装着が前記暗号化データストリームの形式での録画中に検知された場合、前記再符号化データストリームの形式での録画に再度切り替えることを特徴とする請求項4記載のデジタル放送記録再生装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記暗号化データストリームの形式での録画中、前記直近のGOPの開始位置を起点としてシステムクロック情報の更新を行うとともに、前記再符号化データストリームの形式での録画に再度切り替える際、前記更新したシステムクロックから前記再符号化を開始するように前記符号化手段を設定することを特徴とする請求項5記載のデジタル放送記録再生装置。
【請求項7】
暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置の制御方法であって、
前記デジタル放送記録再生装置は、
前記暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶する、着脱可能な記憶媒体の着脱を検知する検知手段と、
前記暗号化データストリームを、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化し、復号化データストリームを出力する復号化手段とを有し、
前記制御方法は、
前記復号化データストリームの形式での録画中に、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段で検知された場合、前記暗号化データストリームの形式での録画に切り替える切り替え工程と、
前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段によって検知された後、前記検知手段によって装着が検知された記憶媒体が録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一であれば、前記暗号化データストリームの形式で録画された部分を前記復号化手段によって復号化して復号化データストリームの形式で記録し直す復号化工程とを有することを特徴とするデジタル放送記録再生装置の制御方法。
【請求項8】
符号化データストリームを暗号化した暗号化データストリームで配信されるデジタル放送を録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置の制御方法であって、
前記デジタル放送記録再生装置は、
前記暗号化データストリームを復号化するための情報を記憶する、着脱可能な記憶媒体の着脱を検知する検知手段と、
前記暗号化データストリームを、装着されている記憶媒体に記憶された情報を用いて復号化し、前記符号化データストリームを出力する復号化手段と、
前記符号化データストリームを、異なる符号化形式で再符号化して、再符号化データストリームを生成する符号化手段とを有し、
前記制御方法は、
前記再符号化データストリームの形式での録画中に、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段で検知された場合、前記暗号化データストリームの形式での録画に切り替える切り替え工程と、
前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検知手段によって検知された後、前記検知手段によって装着が検知された記憶媒体が録画開始時に装着されていた記憶媒体と同一であれば、前記暗号化データストリームの形式で録画された部分を前記復号化手段によって復号化した後、前記符号化手段によって再符号化し、前記再符号化データストリームの形式で記録し直す復号化工程とを有することを特徴とするデジタル放送記録再生装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−141741(P2010−141741A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317708(P2008−317708)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】