説明

デッキクレーン

【課題】ジブ俯仰用ウィンチやフック巻上用ウィンチからの戻り圧油エネルギーを回収し、回収されたエネルギーを再利用して、省エネルギー化を図ること。
【解決手段】積荷を上昇および下降させるワイヤ11が巻回されたウィンチ28と、ワイヤ11を巻上げる際には、ウィンチ28を回転させる油圧モータとして作動し、ワイヤ11を巻下げる際には、自重によって降下する積荷が引き出すワイヤ11によって回転させられるウィンチ28の回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する油圧ポンプ・モータ27と、ワイヤ11を巻上げる際に、油圧ポンプ・モータ27に昇圧されたオイルを供給する油圧ポンプ22と、ワイヤ11を巻下げる際に油圧ポンプ・モータ27にて昇圧されたオイルを一時的に貯留しておくアキュムレータ30とを備え、ワイヤ11を巻上げる際に、アキュムレータ30に貯留されたオイルが、油圧ポンプ22に供給されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物船等において荷役を行うために、船上に設置するデッキクレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物船等において荷役を行うために、船上に設置するデッキクレーンとしては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−101292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたデッキクレーンでは、ジブ俯仰用ウィンチやフック巻上用ウィンチからの戻り圧油は、そのままオイルタンクに放出されており、戻り圧油のエネルギーは、オイルタンクへの戻り回路に設けられた絞り弁等を介して熱エネルギーに変換されるだけで、再利用される構成になっていない。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、ジブ俯仰用ウィンチやフック巻上用ウィンチからの戻り圧油エネルギーを回収し、回収されたエネルギーを再利用して、省エネルギー化を図ることができるデッキクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るデッキクレーンは、積荷を上昇および下降させるワイヤが巻回されたフック巻上用ウィンチと、前記ワイヤを巻上げる際には、前記フック巻上用ウィンチを回転させる油圧モータとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、自重によって降下する前記積荷が引き出す前記ワイヤによって回転させられるフック巻上用ウィンチの回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する油圧ポンプ・モータと、前記ワイヤを巻上げる際に、前記油圧ポンプ・モータに昇圧されたオイルを供給する油圧ポンプと、前記ワイヤを巻下げる際に前記油圧ポンプ・モータにて昇圧されたオイルを一時的に貯留しておくアキュムレータとを備え、前記ワイヤを巻上げる際に、前記アキュムレータに貯留されたオイルが、前記油圧ポンプに供給されるように構成されている。
【0007】
本発明に係るデッキクレーンによれば、ワイヤを巻上げる際、アキュムレータに貯溜された圧油が油圧ポンプに供給され、油圧ポンプの背圧が上昇させられることになる。
これにより、油圧ポンプの仕事効率を上昇させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0008】
本発明に係るデッキクレーンは、積荷を上昇および下降させるワイヤが巻回されたフック巻上用ウィンチと、前記ワイヤを巻上げる際には、前記フック巻上用ウィンチを回転させる油圧モータとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、自重によって降下する前記積荷が引き出す前記ワイヤによって回転させられるフック巻上用ウィンチの回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する第1の油圧ポンプ・モータと、前記ワイヤを巻上げる際には、モータとして運転される電動モータ・発電機により回転させられて、前記第1の油圧ポンプ・モータに昇圧されたオイルを供給するポンプとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、前記第1の油圧ポンプ・モータで昇圧されたオイルにより回転させられて、発電機として運転される前記電動モータ・発電機を回転させるモータとして作動する第2の油圧ポンプ・モータと、前記ワイヤを巻下げる際に前記電動モータ・発電機で生成した電力を一時的に貯留しておくバッテリーとを備え、前記ワイヤを巻上げる際に、前記バッテリーに貯留された電力が、前記電動モータ・発電機に供給されるように構成されている。
【0009】
本発明に係るデッキクレーンによれば、ワイヤを巻上げる際、バッテリーに貯溜された電力が電動モータ・発電機に供給され、この電動モータ・発電機により第2の油圧ポンプ・モータが回転させられることになる。
これにより、バッテリーから電動モータ・発電機に供給される電力分だけ、船内電源から電動モータ・発電機に供給される電力を低減させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0010】
上記デッキクレーンにおいて、前記ワイヤを巻上げる際、作業員によって入力された回転角指令に基づいて、前記電動モータ・発電機および前記第2の油圧ポンプ・モータの回転速度を制御するインバータを備えているとさらに好適である。
【0011】
このようなデッキクレーンによれば、ワイヤを巻上げる際、作業員(オペレータ)からの回転角指令に基づいて電動モータ・発電機および油圧ポンプの回転速度(回転数:回転角)を制御して、フック巻上用ウィンチの回転速度(回転数:回転角)を間接的に制御することができる。
【0012】
本発明に係るデッキクレーンは、ジブの先端を上昇および下降させるワイヤが巻回されたジブ俯仰用ウィンチと、前記ワイヤを巻上げる際には、前記ジブ俯仰用ウィンチを回転させる油圧モータとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、自重によって降下する前記ジブが引き出す前記ワイヤによって回転させられるジブ俯仰用ウィンチの回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する油圧ポンプ・モータと、前記ワイヤを巻上げる際に、前記油圧ポンプ・モータに昇圧されたオイルを供給する油圧ポンプと、前記ワイヤを巻下げる際に前記油圧ポンプ・モータにて昇圧されたオイルを一時的に貯留しておくアキュムレータとを備え、前記ワイヤを巻上げる際に、前記アキュムレータに貯留されたオイルが、前記油圧ポンプに供給されるように構成されている。
【0013】
本発明に係るデッキクレーンよれば、ワイヤを巻上げる際、アキュムレータに貯溜された圧油が油圧ポンプに供給され、油圧ポンプの背圧が上昇させられることになる。
これにより、油圧ポンプの仕事効率を上昇させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0014】
本発明に係るデッキクレーンは、ジブの先端を上昇および下降させるワイヤが巻回されたジブ俯仰用ウィンチと、前記ワイヤを巻上げる際には、前記ジブ俯仰用ウィンチを回転させる油圧モータとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、自重によって降下する前記ジブが引き出す前記ワイヤによって回転させられるジブ俯仰用ウィンチの回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する第1の油圧ポンプ・モータと、前記ワイヤを巻上げる際には、モータとして運転される電動モータ・発電機により回転させられて、前記第1の油圧ポンプ・モータに昇圧されたオイルを供給するポンプとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、前記第1の油圧ポンプ・モータで昇圧されたオイルにより回転させられて、発電機として運転される前記電動モータ・発電機を回転させるモータとして作動する第2の油圧ポンプ・モータと、前記ワイヤを巻下げる際に前記電動モータ・発電機で生成した電力を一時的に貯留しておくバッテリーとを備え、前記ワイヤを巻上げる際に、前記バッテリーに貯留された電力が、前記電動モータ・発電機に供給されるように構成されている。
【0015】
本発明に係るデッキクレーンよれば、ワイヤを巻上げる際、バッテリーに貯溜された電力が電動モータ・発電機に供給され、この電動モータ・発電機により第2の油圧ポンプ・モータが回転させられることになる。
これにより、バッテリーから電動モータ・発電機に供給される電力分だけ、船内電源から電動モータ・発電機に供給される電力を低減させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0016】
上記デッキクレーンにおいて、前記ワイヤを巻上げる際、作業員によって入力された回転角指令に基づいて、前記電動モータ・発電機および前記第2の油圧ポンプ・モータの回転速度を制御するインバータを備えているとさらに好適である。
【0017】
このようなデッキクレーンによれば、ワイヤを巻上げる際、作業員(オペレータ)からの回転角指令に基づいて電動モータ・発電機および油圧ポンプの回転速度(回転数:回転角)を制御して、フック巻上用ウィンチの回転速度(回転数:回転角)を間接的に制御することができる。
【0018】
本発明に係る船舶は、ジブ俯仰用ウィンチやフック巻上用ウィンチからの戻り圧油エネルギーを回収し、回収されたエネルギーを再利用することのできるデッキクレーンを具備している。
【0019】
本発明に係る船舶よれば、エネルギー効率が従来よりも上昇することとなるので、燃料費を削減することができ、炭酸ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物等の排出量を抑制することができて、環境負荷を低減させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るデッキクレーンによれば、ジブ俯仰用ウィンチやフック巻上用ウィンチからの戻り圧油エネルギーを回収し、回収されたエネルギーを再利用して、省エネルギー化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るデッキクレーンを具備した船舶の右側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るデッキクレーンが具備する油圧駆動装置の概略構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るデッキクレーンが具備する油圧駆動装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係るデッキクレーンが具備する油圧駆動装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係るデッキクレーンが具備する油圧駆動装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態に係るデッキクレーンについて、図1および図2を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るデッキクレーンを具備した船舶の右側面図、図2は本実施形態に係るデッキクレーンが具備する油圧駆動装置の概略構成図である。
【0023】
図1に示すように、船舶(例えば、貨物船)1は、船体2の内部に複数(本実施形態では5つ)の貨物室(図示せず)を備えている。それぞれの貨物室の天面は、ハッチカバー3により開閉されるようになっている。また、ハッチカバー3とハッチカバー3との間にはそれぞれ、デッキクレーン4が設けられている。このような設備を備えた船舶1は、ハッチカバー3が開いた状態で、デッキクレーン4を稼働させることにより、船体2の内部に設けられた貨物室(船倉)に荷役対象5を運び込み、また、船体2の内部に設けられた貨物室から荷役対象5を運び出すことができるようになっている。
なお、図1中の符号6は操舵室および居室を備えたハウス(居住区構造物)、符号7はファンネル(煙突)である。
【0024】
デッキクレーン4は、船体2に対して固定されたベース部8の上端に装着された旋回塔9を備えており、この旋回塔9は、ベース部8に対して旋回するように構成されている。また、旋回塔9は、昇降可能に構成されたジブ10を有しており、このジブ10は、それ自体が昇降するとともに、その先端から垂下したワイヤ11を巻上げまたは巻下げて、フック(図示せず)を介してワイヤ11の先端に懸架された荷役対象5を昇降させることができるようになっている。
【0025】
さて、本実施形態に係るデッキクレーン4は、図2に示す油圧駆動装置20を備えている。この油圧駆動装置20は、モータ21と、油圧ポンプ22と、オイルタンク23と、第1の切替弁24と、制御弁25と、カウンターバランス弁(方向切替弁)26と、(第1の)油圧ポンプ・モータ27と、ウィンチ(フック巻上ドラム)28と、第2の切替弁29と、アキュムレータ(蓄圧器)30と、配管31とを備えている。
モータ21は、例えば、電路(電線)32を介して供給される船内電源を動力源として回転する電動モータであり、その回転軸21aは、油圧ポンプ22の回転軸22aと、図示しないカップリングやフランジ等を介して結合(連結)されている。
【0026】
油圧ポンプ22は、ワイヤ11を巻上げる(すなわち、荷役対象5を上昇させる)際、モータ21により回転させられて、オイルタンク23内に溜まったオイル(油)を第1の切替弁24を介して吸い出し(吸い上げ)、昇圧し、制御弁25、カウンターバランス弁26、および油圧ポンプ・モータ27に昇圧されたオイル(圧油)を供給するものである。
第1の切替弁24は、ワイヤ11を巻上げる際には、オイルタンク23内に溜まったオイルを油圧ポンプ22に導く流路と、アキュムレータ30内に蓄圧されたオイルを油圧ポンプ22に導く流路とが形成され、ワイヤ11を巻下げる(すなわち、荷役対象5を降下させる)際には、巻き下げ時の戻り圧油がアキュムレータ30内に蓄圧され、そのオイルを油圧ポンプ・モータ27に導く流路とが形成されるように構成された弁である。
【0027】
制御弁25は、油圧モータ27の回転方向(油圧ポンプ・モータ27に流入し、油圧ポンプ・モータ27から流出するオイルの流れ方向)を切り替えるカウンターバランス弁26を操作するための弁であり、作業員(オペレータ)によって操作(把持)されるジョイスティック33によって操作される。
油圧ポンプ・モータ27は、ワイヤ11を巻上げる際には、ワイヤ11が巻回されたウィンチ28を回転させる油圧モータとして作動し、ワイヤ11を巻下げる際には、自重によって降下する荷役対象5が引き出すワイヤ11によって回転させられるウィンチ28の回転力を駆動源として回転するポンプとして作動するものである。また、油圧ポンプ・モータ27の回転軸(図示せず)は、ウィンチ28の回転軸28aと、図示しないカップリングやフランジ等を介して結合(連結)されている。
【0028】
第2の切替弁29は、ワイヤ11を巻上げる際には、油圧ポンプ・モータ27にて仕事を終えたオイルをオイルタンク23に導く流路が形成され、アキュムレータ30との通路が閉塞されて(アキュムレータ30との連通が断たれて)、ワイヤ11を巻下げる際には油圧ポンプ・モータ27からの戻り圧油がアキュムレータ30に導かれる流路とで構成された弁である。
アキュムレータ30は、ワイヤ11を巻下げる際に油圧ポンプ・モータ27にて昇圧されたオイルを一時的に貯留しておく容器である。
また、各構成機器間(すなわち、オイルタンク23と第1の切替弁24との間、第1の切替弁24と油圧ポンプ22との間、油圧ポンプ22と制御弁25との間、制御弁25とカウンターバランス弁26との間、カウンターバランス弁26と油圧ポンプ・モータ27との間、油圧ポンプ・モータ27と制御弁25との間、制御弁25と第2の切替弁29との間、第2の切替弁29とオイルタンク23との間、第1の切替弁24とアキュムレータ30との間、第2の切替弁29とアキュムレータ30との間)は、配管31を介して接続(連通)されており、オイルが各構成機器間を行き来できるようになっている。
【0029】
つぎに、ワイヤ11を巻上げる際のオイルの流れ、ワイヤ11を巻下げる際のオイルの流れを、図2を用いて説明する。
まず、ワイヤ11を巻上げる際のオイルの流れを説明する。
モータ21によって運転される油圧ポンプ22により吸い出されたオイルタンク23内のオイル、およびアキュムレータ30の内圧によって押し出されたアキュムレータ30内のオイルは、第1の切替弁24を通って油圧ポンプ22に供給され、昇圧される。油圧ポンプ22で昇圧されたオイルは、制御弁25、カウンターバランス弁26を通って、モータとして作動する油圧ポンプ・モータ27に供給され、油圧ポンプ・モータ27を回転させる。このとき、油圧ポンプ・モータ27によってウィンチ28が巻上げ方向に回転させられ、ワイヤ11が巻上げられる。油圧ポンプ・モータ27で仕事を終えたオイルは、制御弁25、第2の切替弁29を通ってオイルタンク23内に戻される。
【0030】
つづいて、ワイヤ11を巻下げる際のオイルの流れを説明する。
自重によって降下する荷役対象5が引き出すワイヤ11によって回転させられるウィンチ28の回転により回転させられた油圧ポンプ・モータ27により吸い出されたオイルタンク23内のオイルは、第1の切替弁24、油圧ポンプ22、制御弁25を通ってポンプとして作動する油圧ポンプ・モータ27に供給され、昇圧される。油圧ポンプ・モータ27で昇圧されたオイルは、制御弁25、第2の切替弁29を通って、アキュムレータ30内に蓄圧される。
【0031】
本実施形態に係るデッキクレーン4によれば、ワイヤ11を巻上げる際、アキュムレータ30に貯溜されたオイル(圧油)が油圧ポンプ22に供給され、油圧ポンプ22の背圧が上昇させられることになる。
これにより、油圧ポンプ22の仕事効率を上昇させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0032】
本実施形態に係るデッキクレーン4を具備した船舶1によれば、エネルギー効率が従来よりも上昇することとなるので、燃料費を削減することができ、炭酸ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物等の排出量を抑制することができて、環境負荷を低減させることができる。
【0033】
本発明の第2実施形態に係るデッキクレーンについて、図3を参照しながら説明する。
図3は本実施形態に係るデッキクレーンが具備する油圧駆動装置の概略構成図である。
図3に示すように、本実施形態に係るデッキクレーンは、モータ21の代わりに電動モータ・発電機41、油圧ポンプ22の代わりに(第2の)油圧ポンプ・モータ42を備えているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0034】
電動モータ・発電機41は、ワイヤ11を巻上げる際には、船内電源および/またはバッテリー44に貯えられた電力により駆動されて、油圧ポンプ・モータ42を回転させる電動モータとして作動し、ワイヤ11を巻下げる際には、油圧ポンプ・モータ42によって回転させられて、電力を発生させる発電機として作動するものである。また、電動モータ・発電機41の回転軸41aは、油圧ポンプ・モータ42の回転軸42aと、図示しないカップリングやフランジ等を介して結合(連結)されている。
なお、ワイヤ11を巻下げる際に電動モータ・発電機41で発生した電力は、電路(電線)43を介してバッテリー44に貯えられるようになっている。
【0035】
油圧ポンプ・モータ42は、ワイヤ11を巻上げる際には、モータとして運転される電動モータ・発電機41により回転させられて、オイルタンク23内に溜まったオイルを吸い出し(吸い上げ)、昇圧し、制御弁25、カウンターバランス弁26、および油圧ポンプ・モータ27に昇圧されたオイル(圧油)を供給するポンプとして作動し、ワイヤ11を巻下げる際には、油圧ポンプ・モータ27で昇圧されたオイルにより回転させられて、発電機として運転される電動モータ・発電機41を回転させるモータとして作動するものである。
【0036】
つぎに、ワイヤ11を巻上げる際のオイルの流れ、ワイヤ11を巻下げる際のオイルの流れを、図3を用いて説明する。
まず、ワイヤ11を巻上げる際のオイルの流れを説明する。
電動モータ・発電機41によって運転される油圧ポンプ・モータ42により吸い出されたオイルタンク23内のオイルは、油圧ポンプ・モータ42に接続された配管45を介して油圧ポンプ・モータ42に供給され、昇圧される。油圧ポンプ・モータ42で昇圧されたオイルは、制御弁25、カウンターバランス弁26を通って、モータとして作動する油圧ポンプ・モータ27に供給され、油圧ポンプ・モータ27を回転させる。このとき、油圧ポンプ・モータ27によってウィンチ28が巻上げ方向に回転させられ、ワイヤ11が巻上げられる。油圧ポンプ・モータ27で仕事を終えたオイルは、制御弁25、油圧ポンプ・モータ42に接続された図示しない配管を通ってオイルタンク23内に戻される。
【0037】
つづいて、ワイヤ11を巻下げる際のオイルの流れを説明する。
自重によって降下する荷役対象5が引き出すワイヤ11によって回転させられるウィンチ28の回転により回転させられた油圧ポンプ・モータ27により吸い出されたオイルタンク23内のオイルは、油圧ポンプ・モータ42に接続された図示しない配管(ワイヤ11を巻上げる際に、オイルをオイルタンク23内に戻すのに利用された戻り管)、制御弁25を通ってポンプとして作動する油圧ポンプ・モータ27に供給され、昇圧される。油圧ポンプ・モータ27で昇圧されたオイルは、カウンターバランス弁26、制御弁25を通って、モータとして作動する油圧ポンプ・モータ42に供給され、油圧ポンプ・モータ42を回転させる。このとき、油圧ポンプ・モータ42によって発電機として作動する電動モータ・発電機41が回転させられ、電動モータ・発電機41で発生した電気がバッテリー44に貯えられる。油圧ポンプ・モータ42で仕事を終えたオイルは、油圧ポンプ・モータ42に接続された配管(ワイヤ11を巻上げる際に、オイルを油圧ポンプ・モータ42に導くのに利用された吸込管)45を通ってオイルタンク23内に戻される。
【0038】
本実施形態に係るデッキクレーンによれば、ワイヤ11を巻上げる際、バッテリー44に貯溜された電力が電動モータ・発電機41に供給され、この電動モータ・発電機41により油圧ポンプ・モータ42が回転させられることになる。
これにより、バッテリー44から電動モータ・発電機41に供給される電力分だけ、船内電源から電動モータ・発電機41に供給される電力を低減させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0039】
本実施形態に係るデッキクレーンを具備した船舶1によれば、エネルギー効率が従来よりも上昇することとなるので、燃料費を削減することができ、炭酸ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物等の排出量を抑制することができて、環境負荷を低減させることができる。
【0040】
本発明の第3実施形態に係るデッキクレーンについて、図4を参照しながら説明する。
図4は本実施形態に係るデッキクレーンが具備する油圧駆動装置の概略構成図である。
本実施形態に係るデッキクレーンは、図4に示す油圧駆動装置50を備えている。この油圧駆動装置50は、油圧ポンプ・モータ42、制御弁25、カウンターバランス弁26、油圧ポンプ・モータ27、配管31の代わりに、HST(Hydraulic Static Transmission)51が設けられ、電動モータ・発電機41に電力を供給する電路(電線)32,43の途中にインバータ52が設けられているという点で上述した第2実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第2実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0041】
HST51は、第1の油圧ポンプ・モータ53と第2の油圧ポンプ・モータ54とが組み合わされたものである。
第1の油圧ポンプ・モータ53は、ワイヤ11を巻上げる際には、モータとして運転される電動モータ・発電機41により回転させられて、オイルタンク23内に溜まったオイルを吸い出し(吸い上げ)、昇圧し、第2の油圧ポンプ・モータ54に昇圧されたオイル(圧油)を供給するポンプとして作動し、ワイヤ11を巻下げる際には、第2の油圧ポンプ・モータ54で昇圧されたオイルにより回転させられて、発電機として運転される電動モータ・発電機41を回転させるモータとして作動するものである。また、電動モータ・発電機41の回転軸41aは、油圧ポンプ53の回転軸53aと、図示しないカップリングやフランジ等を介して結合(連結)されている。
【0042】
第2の油圧ポンプ・モータ54は、ワイヤ11を巻上げる際には、ワイヤ11が巻回されたウィンチ28を回転させる油圧モータとして作動し、ワイヤ11を巻下げる際には、自重によって降下する荷役対象5が引き出すワイヤ11によって回転させられるウィンチ28の回転力を駆動源として回転するポンプとして作動するものである。また、油圧モータ54の回転軸(図示せず)は、ウィンチ28の回転軸28aと、図示しないカップリングやフランジ等を介して結合(連結)されている。
【0043】
インバータ52は、ワイヤ11を巻上げる際、作業員(オペレータ)からの回転角指令に基づいて電動モータ・発電機41および油圧ポンプ53の回転速度(回転数:回転角)を制御して、ウィンチ28の回転速度(回転数:回転角)を間接的に制御するものである。
なお、回転角指令は、作業員(オペレータ)が操作(把持)するジョイスティック(図示せず)により制御器(図示せず)に入力され、制御器内で所定の信号に変換された後、インバータ52に出力されるようになっている。
【0044】
つぎに、ワイヤ11を巻上げる際のオイルの流れ、ワイヤ11を巻下げる際のオイルの流れを、図4を用いて説明する。
まず、ワイヤ11を巻上げる際のオイルの流れを説明する。
電動モータ・発電機41によって運転される第1の油圧ポンプ・モータ53により吸い出されたオイルタンク23内のオイルは、第1の油圧ポンプ・モータ53に接続された配管45を介して第1の油圧ポンプ・モータ53に供給され、昇圧される。第1の油圧ポンプ・モータ53で昇圧されたオイルは、HST51内に設けられた流路(図示せず)を通って、第2の油圧ポンプ・モータ54に供給され、第2の油圧ポンプ・モータ54を回転させる。このとき、第2の油圧ポンプ・モータ54によってウィンチ28が巻上げ方向に回転させられ、ワイヤ11が巻上げられる。第2の油圧ポンプ・モータ54で仕事を終えたオイルは、第2の油圧ポンプ・モータ54に接続された図示しない配管を通ってオイルタンク23内に戻される。
【0045】
つづいて、ワイヤ11を巻下げる際のオイルの流れを説明する。
自重によって降下する荷役対象5が引き出すワイヤ11によって回転させられるウィンチ28の回転により回転させられた第2の油圧ポンプ・モータ54により吸い出されたオイルタンク23内のオイルは、第2の油圧ポンプ・モータ54に接続された図示しない配管(ワイヤ11を巻上げる際に、オイルをオイルタンク23内に戻すのに利用された戻り管)を通って第2の油圧ポンプ・モータ54に供給され、昇圧される。第2の油圧ポンプ・モータ54で昇圧されたオイルは、HST51内に設けられた流路(ワイヤ11を巻上げる際、第1の油圧ポンプ・モータ53で昇圧されたオイルを第2の油圧ポンプ・モータ54に導くのに利用された流路)を通って第1の油圧ポンプ・モータ53に供給され、第1の油圧ポンプ・モータ53を回転させる。このとき、第1の油圧ポンプ・モータ53によって発電機として作動する電動モータ・発電機41が回転させられ、電動モータ・発電機41で発生した電気がバッテリー44に貯えられる。第1の油圧ポンプ・モータ53を回転させたオイルは、第1の油圧ポンプ・モータ53に接続された配管(ワイヤ11を巻上げる際に、オイルを第1の油圧ポンプ・モータ53に導くのに利用された吸込管)45を通ってオイルタンク23内に戻される。
【0046】
本実施形態に係るデッキクレーンによれば、ワイヤ11を巻上げる際、バッテリー44に貯溜された電力が電動モータ・発電機41に供給され、この電動モータ・発電機41により油圧ポンプ・モータ42が回転させられることになる。
これにより、バッテリー44から電動モータ・発電機41に供給される電力分だけ、船内電源から電動モータ・発電機41に供給される電力を低減させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態に係るデッキクレーンによれば、HST51を採用することにより、油圧駆動装置50の小型化を図ることができる。
さらに、ワイヤ11を巻上げる際、作業員からの回転角指令に基づいて電動モータ・発電機41および第1の油圧ポンプ・モータ53の回転速度を制御して、ウィンチ28の回転速度を間接的に制御することができる。
【0048】
本実施形態に係るデッキクレーンを具備した船舶1によれば、エネルギー効率が従来よりも上昇することとなるので、燃料費を削減することができ、炭酸ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物等の排出量を抑制することができて、環境負荷を低減させることができる。
【0049】
本発明の第4実施形態に係るデッキクレーンについて、図5を参照しながら説明する。
図5は本実施形態に係るデッキクレーンが具備する油圧駆動装置の概略構成図である。
本実施形態に係るデッキクレーンは、図5に示す油圧駆動装置60を備えている。この油圧駆動装置60は、モータ21の代わりに電動モータ61が設けられ、油圧ポンプ22、オイルタンク23、第1の切替弁24、第2の切替弁29、アキュムレータ30の代わりに(第2の)油圧ポンプ・モータ62が設けられているとともに、配管31の代わりに配管63が設けられ、電動モータ61に電力を供給する電路(電線)32の途中に、インバータ64が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。また上述の第3実施形態のものとは、回転角、回転速度をフィードバック制御する点で異なる。
【0050】
電動モータ61は、電路(電線)32を介して供給される船内電源を動力源として回転して、油圧ポンプ・モータ62の回転軸62aに回転力を付与するものであり、その回転軸61aは、油圧ポンプ62の回転軸62aと、図示しないカップリングやフランジ等を介して結合(連結)されている。
【0051】
油圧ポンプ・モータ62は、ワイヤ11を巻上げる際には、電動モータ61により回転させられて、吸入側に接続された配管63を介して吸入されたオイルを昇圧し、制御弁25、カウンターバランス弁26、および油圧ポンプ・モータ27に昇圧されたオイル(圧油)を供給するポンプとして作動し、ワイヤ11を巻下げる際には、油圧ポンプ・モータ27で昇圧されたオイルにより回転させられて、電動モータ61を回転させるモータとして作動するものである。
【0052】
インバータ64は、電動モータ61の回転速度(回転数:回転角)を制御して、ウィンチ28の回転速度(回転数:回転角)を間接的に制御するものであり、インバータ64には、電動モータ61の回転速度およびウィンチ28の回転速度がデータとしてフィードバックされるようになっている。インバータ64に入力される電動モータ61の回転速度は、電動モータ61に取り付けられて、電動モータ61の回転数を検出する回転数センサ(図示せず)から送られてくるようになっている。また、インバータ64に入力されるウィンチ28の回転速度は、油圧コントローラ65から送られてくるようになっている。油圧コントローラ65では、回転軸28aに取り付けられて、回転軸28aの回転角を検出する回転角センサ(図示せず)、および油圧ポンプ・モータ27に取り付けられて、油圧ポンプ・モータ27から吐出されるオイルの圧力を検出する圧力センサ(図示せず)から送られてきたデータに基づいて、回転軸28aの回転速度(すなわち、ウィンチ28の回転速度)が求められる(算出される)ようになっている。
【0053】
配管63は、油圧ポンプ・モータ62と油圧ポンプ・モータ27との間を接続(連通)するものであり、オイルが各構成機器間を行き来できるようになっている。また、本実施形態では、配管63により閉回路が形成(構成)されている。
【0054】
つぎに、ワイヤ11を巻上げる際のオイルの流れ、ワイヤ11を巻下げる際のオイルの流れを、図5を用いて説明する。
まず、ワイヤ11を巻上げる際のオイルの流れを説明する。
電動モータ61によって運転される油圧ポンプ・モータ62により昇圧されたオイルは、モータとして作動する油圧ポンプ・モータ27に供給され、油圧ポンプ・モータ27を回転させる。このとき、油圧ポンプ・モータ27によってウィンチ28が巻上げ方向に回転させられ、ワイヤ11が巻上げられる。油圧ポンプ・モータ27で仕事を終えたオイルは、油圧ポンプ・モータ62の吸入側に戻される。
【0055】
つづいて、ワイヤ11を巻下げる際のオイルの流れを説明する。
自重によって降下する荷役対象5が引き出すワイヤ11によって回転させられるウィンチ28の回転により回転させられた油圧ポンプ・モータ27により昇圧されたオイルは、モータとして作動する油圧ポンプ・モータ62に供給され、油圧ポンプ・モータ62を回転させる。油圧ポンプ・モータ62で仕事を終えたオイルは、油圧ポンプ・モータ27の吸入側に戻される。
【0056】
本実施形態に係るデッキクレーンによれば、ワイヤ11を巻上げる際、電動モータ61の回転速度およびウィンチ28の回転速度に基づいて電動モータ・発電機61および第2の油圧ポンプ・モータ62の回転速度を制御して、ウィンチ28の回転速度を間接的に制御することができる。
これにより、電動モータ・発電機61および第2の油圧ポンプ・モータ62の回転速度を制御するための各種弁を不要とすることができ、これら各種弁を開閉するための駆動力を不要とすることができて、省エネルギー化を図ることができる。
【0057】
本実施形態に係るデッキクレーンを具備した船舶1によれば、エネルギー効率が従来よりも上昇することとなるので、燃料費を削減することができ、炭酸ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物等の排出量を抑制することができて、環境負荷を低減させることができる。
【0058】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更・変形が可能である。
例えば、第4実施形態のところで説明した電動モータ61を、第2実施形態または第3実施形態のところで説明した電動モータ・発電機41とし、ワイヤ11を巻下げる際に回転させられた油圧ポンプ・モータ62の回転力を、電動モータ・発電機41を回転させるのに利用して、電動モータ・発電機41で発生した電力を、電路43を介してバッテリー44に貯えるように構成してもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、ウィンチとしてフック巻上用ウィンチを一具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ウィンチとしてジブ10を俯仰させるジブ俯仰用ウィンチを採用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 船舶
4 デッキクレーン
5 荷役対象(積荷)
10 ジブ
11 ワイヤ
22 油圧ポンプ
27 (第1の)油圧ポンプ・モータ
28 ウィンチ(フック巻上用ウィンチ)
30 アキュムレータ
41 電動モータ・発電機
42 (第2の)油圧ポンプ・モータ
44 バッテリー
52 インバータ
53 第1の油圧ポンプ・モータ(第2の油圧ポンプ・モータ)
54 第2の油圧ポンプ・モータ(第1の油圧ポンプ・モータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積荷を上昇および下降させるワイヤが巻回されたフック巻上用ウィンチと、
前記ワイヤを巻上げる際には、前記フック巻上用ウィンチを回転させる油圧モータとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、自重によって降下する前記積荷が引き出す前記ワイヤによって回転させられるフック巻上用ウィンチの回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する油圧ポンプ・モータと、
前記ワイヤを巻上げる際に、前記油圧ポンプ・モータに昇圧されたオイルを供給する油圧ポンプと、
前記ワイヤを巻下げる際に前記油圧ポンプ・モータにて昇圧されたオイルを一時的に貯留しておくアキュムレータとを備え、
前記ワイヤを巻上げる際に、前記アキュムレータに貯留されたオイルが、前記油圧ポンプに供給されるように構成されていることを特徴とするデッキクレーン。
【請求項2】
積荷を上昇および下降させるワイヤが巻回されたフック巻上用ウィンチと、
前記ワイヤを巻上げる際には、前記フック巻上用ウィンチを回転させる油圧モータとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、自重によって降下する前記積荷が引き出す前記ワイヤによって回転させられるフック巻上用ウィンチの回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する第1の油圧ポンプ・モータと、
前記ワイヤを巻上げる際には、モータとして運転される電動モータ・発電機により回転させられて、前記第1の油圧ポンプ・モータに昇圧されたオイルを供給するポンプとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、前記第1の油圧ポンプ・モータで昇圧されたオイルにより回転させられて、発電機として運転される前記電動モータ・発電機を回転させるモータとして作動する第2の油圧ポンプ・モータと、
前記ワイヤを巻下げる際に前記電動モータ・発電機で生成した電力を一時的に貯留しておくバッテリーとを備え、
前記ワイヤを巻上げる際に、前記バッテリーに貯留された電力が、前記電動モータ・発電機に供給されるように構成されていることを特徴とするデッキクレーン。
【請求項3】
前記ワイヤを巻上げる際、作業員によって入力された回転角指令に基づいて、前記電動モータ・発電機および前記第2の油圧ポンプ・モータの回転速度を制御するインバータを備えていることを特徴とする請求項2に記載のデッキクレーン。
【請求項4】
ジブの先端を上昇および下降させるワイヤが巻回されたジブ俯仰用ウィンチと、
前記ワイヤを巻上げる際には、前記ジブ俯仰用ウィンチを回転させる油圧モータとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、自重によって降下する前記ジブが引き出す前記ワイヤによって回転させられるジブ俯仰用ウィンチの回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する油圧ポンプ・モータと、
前記ワイヤを巻上げる際に、前記油圧ポンプ・モータに昇圧されたオイルを供給する油圧ポンプと、
前記ワイヤを巻下げる際に前記油圧ポンプ・モータにて昇圧されたオイルを一時的に貯留しておくアキュムレータとを備え、
前記ワイヤを巻上げる際に、前記アキュムレータに貯留されたオイルが、前記油圧ポンプに供給されるように構成されていることを特徴とするデッキクレーン。
【請求項5】
ジブの先端を上昇および下降させるワイヤが巻回されたジブ俯仰用ウィンチと、
前記ワイヤを巻上げる際には、前記ジブ俯仰用ウィンチを回転させる油圧モータとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、自重によって降下する前記ジブが引き出す前記ワイヤによって回転させられるジブ俯仰用ウィンチの回転力を駆動源として回転するポンプとして作動する第1の油圧ポンプ・モータと、
前記ワイヤを巻上げる際には、モータとして運転される電動モータ・発電機により回転させられて、前記第1の油圧ポンプ・モータに昇圧されたオイルを供給するポンプとして作動し、前記ワイヤを巻下げる際には、前記第1の油圧ポンプ・モータで昇圧されたオイルにより回転させられて、発電機として運転される前記電動モータ・発電機を回転させるモータとして作動する第2の油圧ポンプ・モータと、
前記ワイヤを巻下げる際に前記電動モータ・発電機で生成した電力を一時的に貯留しておくバッテリーとを備え、
前記ワイヤを巻上げる際に、前記バッテリーに貯留された電力が、前記電動モータ・発電機に供給されるように構成されていることを特徴とするデッキクレーン。
【請求項6】
前記ワイヤを巻上げる際、作業員によって入力された回転角指令に基づいて、前記電動モータ・発電機および前記第2の油圧ポンプ・モータの回転速度を制御するインバータを備えていることを特徴とする請求項5に記載のデッキクレーン。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のデッキクレーンを具備してなることを特徴とする船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−285271(P2010−285271A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142182(P2009−142182)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】