説明

デュープレクサ、通信モジュール、通信装置

【課題】小型で、アイソレーションが良好なデュープレクサを実現する。
【解決手段】不平衡型の送信フィルタ31と、平衡型の受信フィルタ32と、送信フィルタ31に接続されている送信ポート33と、受信フィルタ32に接続されている主受信ポート34a及び副受信ポート34bとを備えたデュープレクサにおいて、送信ポート33と主受信ポート34a及び副受信ポート34bとの間に接続されている静電結合部36を備えている。静電結合部36は、送信ポート33から主受信ポート34aへ流れる電力と、送信ポート33から副受信ポート34bへ流れる電力との位相を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、デュープレクサ、通信モジュール、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高周波通信用の移動端末は、より高速で大容量のデータ通信を行いたい観点から、送信信号パワーが増加する傾向にある。移動端末において信号パワーを増加させると、デュープレクサにおけるアイソレーションが劣化する可能性がある。デュープレクサにおけるアイソレーションを向上するためには、理論的に、デュープレクサに用いる送信フィルタまたは受信フィルタの相手帯域(送信フィルタであれば受信帯域、受信フィルタであれば送信帯域)の減衰量を増加させることで対応可能であるが、実際にはある一定のレベルでアイソレーションが飽和してしまう。アイソレーションが飽和する理由は、アイソレーションに影響する成分が、フィルタ中を流れる電流だけでなく、空間を介して流れる電流もあるからである。高いレベルのアイソレーションを得ようとすると、このような空間を介して流れる電流に対する対策を検討することが望まれる。
【0003】
空間を介して流れる電流、つまり電磁的な結合成分の影響を除去するために有効な構成としては、例えば結合元と結合先の距離を物理的に大きくする構成や、電磁的な遮蔽構造を設置する構成などがある。特許文献1は、2つの弾性表面波フィルタパターンの間にシールド電極を配置した弾性表面波デバイスを開示している。特許文献2は、入力外部端子と出力外部端子とを対角線方向に離れた位置に配置した弾性表面波装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−60747号公報
【特許文献2】特開2002−76829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1が開示している構成では、十分なアイソレーション向上効果を得ようとすると遮蔽部材を大型化すればよいが、遮蔽部材を大型化するとデュープレクサの小型化を阻害してしまうことになる。また、特許文献2が開示している構成では、十分なアイソレーション向上効果を得ようとすると入力外部端子と出力外部端子との距離を大きくすればよいが、端子間の距離を大きくするとデュープレクサの小型化を阻害してしまうことになる。すなわち、特許文献1及び2が開示している構成では、デュープレクサの小型化と、アイソレーションを向上することとを両立することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示するデュープレクサは、不平衡型の送信フィルタと、平衡型の受信フィルタと、前記送信フィルタに接続されている送信ポートと、前記受信フィルタに接続されている主受信ポートと、前記受信フィルタに接続されている副受信ポートと、前記送信ポートと前記主受信ポート及び前記副受信ポートとの間に接続され、位相が調整された電力を前記送信ポートから前記主受信ポートへ流し、位相が調整された電力を前記送信ポートから前記副受信ポートへ流す静電結合部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示によれば、小型で、アイソレーションが良好なデュープレクサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】デュープレクサのブロック図
【図2】送信ポートから2つの受信ポートへ流れる電流の位相差を示すグラフ
【図3A】デュープレクサにおけるシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図3B】デュープレクサにおけるシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図3C】デュープレクサにおけるディファレンシャルアイソレーションを示すグラフ
【図4】デュープレクサにおいて生じる電磁結合の様子を模式的に示すブロック図
【図5A】送信ポートから2つの受信ポートへ到る経路の電力伝送特性の位相を示すグラフ
【図5B】送信ポートから2つの受信ポートへ到る経路の電力伝送特性の位相差を示すグラフ
【図6A】デュープレクサにおけるディファレンシャルアイソレーションを示すグラフ
【図6B】デュープレクサにおけるシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図6C】デュープレクサにおけるシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図7】送信ポートから2つの受信ポートへ流れる電流の位相差を示すグラフ
【図8A】送信ポートから受信ポートへのシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図8B】送信ポートから受信ポートへのシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図8C】デュープレクサにおけるディファレンシャルアイソレーションを示すグラフ
【図9】ラダーフィルタの回路図
【図10】ダブルモード型フィルタの回路図
【図11A】圧電薄膜共振器の平面図
【図11B】図11AにおけるA−A部の断面図
【図12A】弾性波共振器の平面図
【図12B】図12AにおけるA−A部の断面図
【図13】デュープレクサの具体回路構成を示す回路図
【図14A】送信ポートから2つの受信ポートへ到る経路の電力伝送特性の位相を示すグラフ
【図14B】送信ポートから2つの受信ポートへ到る経路の電力伝送特性の位相を示すグラフ
【図15A】デュープレクサにおけるディファレンシャルアイソレーションを示すグラフ
【図15B】送信ポートから受信ポートへのシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図15C】送信ポートから受信ポートへのシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図16】ラダーフィルターの具体構成を示す模式図
【図17】ダブルモード型フィルタの具体構成を示す模式図
【図18A】デュープレクサにおける表層の具体構成を示す模式図
【図18B】デュープレクサにおける内層の具体構成を示す模式図
【図18C】デュープレクサにおける下層の具体構成を示す模式図
【図18D】図18Aに示すデュープレクサの断面図
【図19】デュープレクサの具体回路構成を示す回路図
【図20A】送信ポートから2つの受信ポートへ到る経路の電力伝送特性の位相を示すグラフ
【図20B】送信ポートから2つの受信ポートへ到る経路の電力伝送特性の位相差を示すグラフ
【図21A】デュープレクサにおけるディファレンシャルアイソレーションを示すグラフ
【図21B】送信ポートから受信ポートへのシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図21C】送信ポートから受信ポートへのシングルエンドアイソレーションを示すグラフ
【図22】デュープレクサの具体回路構成を示す回路図
【図23A】デュープレクサにおける表層の具体構成を示す模式図
【図23B】デュープレクサにおける内層の具体構成を示す模式図
【図23C】デュープレクサにおける下層の具体構成を示す模式図
【図23D】図18Aに示すデュープレクサの断面図
【図24A】デュープレクサにおける表層の具体構成を示す模式図
【図24B】デュープレクサにおける第1の内層の具体構成を示す模式図
【図24C】デュープレクサにおける第2の内層の具体構成を示す模式図
【図24D】デュープレクサにおける下層の具体構成を示す模式図
【図25A】デュープレクサにおける表層の具体構成を示す模式図
【図25B】デュープレクサにおける第1の内層の具体構成を示す模式図
【図25C】デュープレクサにおける第2の内層の具体構成を示す模式図
【図25D】デュープレクサにおける下層の具体構成を示す模式図
【図26】通信モジュールのブロック図
【図27】通信装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
〔1.デュープレクサの構成〕
図1は、圧電薄膜共振器あるいは弾性波共振器を用いた平衡−不平衡型デュープレクサのブロック図である。図1に示すように、デュープレクサは、送信フィルタ1、受信フィルタ2、送信ポート3、受信ポート4a及び4bを備えている。図1に示すデュープレクサは、平衡−不平衡型であるため、一つの送信ポート3と、二つの受信ポート4a及び4bを備えている。
【0010】
図1に示すように、平衡−不平衡型デュープレクサにおいて、送信ポート3から流入する電流Itは、その一部がアンテナポートAntへ流れるとともに、受信フィルタ2に流れる。受信フィルタ2は、不平衡入力−平衡出力であり、平衡出力のうち一方は+90度移相され他方は−90度移相する構成であるため、受信ポート4aに流れる電流I1と受信ポート4bに流れる電流I2の位相差は180度となる。したがって、受信ポート4a及び4bには、受信帯域(以下Rx帯と称する)においては逆相の電流が出力され、それ以外の周波数帯域では同相の電流が出力される。
【0011】
図2は、図1に示すデュープレクサにおいて、二つの受信ポート4a及び4b間を流れる電流の関係を示す。図2に示すように、Rx帯では180度の位相差を持つ電流が受信フィルタ2から出力される。
【0012】
図3A及び図3Bは、図2に示す電流特性を有するデュープレクサの、単一の経路のアイソレーション(以下、シングルエンドアイソレーションと称する)を示す。図3Aは、送信ポート3から受信ポート4aを見たときのアイソレーションを示す。図3Bは、送信ポート3から受信ポート4bを見たときのアイソレーションを示す。図3Cは、図2に示す電流特性を有するデュープレクサの、二つの経路のアイソレーションをバランで合成し
た差動のアイソレーション(以下、ディファレンシャルアイソレーションと称する)を示す。図3Cに示すように、互いに逆相の電流が流れるRx帯においては、シングルエンドアイソレーションとディファレンシャルアイソレーションとはレベル差が小さい。これは、Rx帯には逆相の電流が流れ、受信フィルタ2内のバランを通過しても電流がキャンセルされないためである。一方で、同相の電流が流れるTx帯においては、シングルエンドアイソレーションよりもディファレンシャルアイソレーションの特性が良い。これは、差動動作時、つまりバランを通過すると同相の電流同士が互いにキャンセルされるためである。
【0013】
しかし、これは理想的な場合であり、実際には先に述べたように空間を介した結合が存在するため、前述したように送信ポート3から受信ポート4a及び4bへ静電・電磁的な結合により伝播する成分もある。以下、このような静電・電磁的な結合のことを「電磁結合」と称する。
【0014】
図4は、デュープレクサの送信ポート3と受信ポート4a及び4bとの間における電磁結合の原理を説明するための図である。図4に示すように、デュープレクサを動作させることにより、送信ポート3と受信ポート4aとの間の空間には、矢印Aに示すような電磁結合が生じ、電流I11が流れる。また、送信ポート3と受信ポート4bとの間の空間には、矢印Bに示すような電磁結合が生じ、電流I12が流れる。このように、送信ポート3と受信ポート4a及び4bとの間に電磁結合が生じると、アイソレーションは劣化する。
【0015】
図5Aは、図4に示すデュープレクサにおける、送信ポート3から受信ポート4aと送信ポート3から受信ポート4bへ到る経路の電力の位相特性を示す。図5Bは、図4に示すデュープレクサにおける、送信ポート3から受信ポート4aと送信ポート3から受信ポート4bへ到る経路の電力の位相差特性を示す。図5Bに示すように、送信ポート3から受信ポート4aへの電力と送信ポート3から受信ポート4bへの電力との位相差は、Tx帯ではほぼ0度となっているが、Rx帯では理想値である180度に対してずれが生じている。Rx帯における位相差のずれは、送信ポート3と受信ポート4a及び4bとの間において電磁結合が生じている可能性があるためである。
【0016】
図6Aは、図4に示すデュープレクサにおける、ディファレンシャルアイソレーションの特性を示す。図6Bは、図4に示すデュープレクサにおける、送信ポート3と受信ポート4aとの間のシングルエンドアイソレーションの特性を示す。図6Cは、図4に示すデュープレクサにおける、送信ポート3と受信ポート4bとの間のシングルエンドアイソレーションの特性を示す。図4に示すように、デュープレクサにおいて送信ポート3と受信ポート4a及び4bとの間に電磁結合が生じている可能性があると、Rx帯においてディファレンシャルアイソレーション(図6A参照)がシングルエンドアイソレーション(図6B及び図6C参照)より劣化する。
【0017】
本実施の形態は、送信ポートから2つの受信ポートに流れる電流をコントロールすることで、図7に示すように送信ポートから2つの受信ポートへ流れる電流をRx帯においても同相近傍(位相差が0度近傍)にすることを主な特徴としている。図8Aは、送信ポート3から受信ポート4aを見たときのシングルエンドアイソレーションを示す。図8Bは、送信ポート3から受信ポート4bを見たときのシングルエンドアイソレーションを示す。図8Cは、二つの経路のアイソレーションをバランで合成した差動のアイソレーション(ディファレンシャルアイソレーション)を示す。図8A〜図8Cは、いずれも理想値の特性を示す。図7に示すようにRx帯における電流を同相とすることで、送信ポートと2つの受信ポートとの間に空間的な電磁結合がある場合でも、ディファレンシャルアイソレーション(図8C)のレベルをシングルエンドアイソレーション(図8A、図8B)より
良くすることができる。すなわち、図8Cにおける矢印Cに示すようにTx帯のアイソレーションを向上できるとともに、矢印Dに示すようにRx帯のアイソレーションを向上することができる。
【0018】
この時、シングルエンドアイソレーションがディファレンシャルアイソレーションより良くなるRx帯における位相の条件は、バランの同相除去の原理より完全な同相である0°と360°、0°から1/4波長だけずれるまでの0〜90°、および360°から1/4波長だけずれるまでの270〜360°の範囲とすることが好ましい。
【0019】
(実施例1)
図9は、本実施の形態にかかるデュープレクサに含まれる送信フィルタの回路図である。図9に示す送信フィルタは、直列共振器RES1〜RES4、並列共振器RES11〜RES14、およびインダクタL1〜L3(Q値を「10」と仮定)を備えている。直列共振器RES1〜RES4は、直列腕に接続されている。並列共振器RES11は、直列共振器RES1及びRES2の間に接続された並列腕に接続されている。並列共振器RES12は、直列共振器RES2及びRES3の間に接続された並列腕に接続されている。並列共振器RES13は、直列共振器RES3及びRES4の間に接続された並列腕に接続されている。並列共振器RES14は、直列共振器RES4及び出力端子OUTの間に接続された並列腕に接続されている。インダクタL1は、並列共振器RES11に接続されている。インダクタL2は、並列共振器RES12及びRES13に接続されている。インダクタL3は、並列共振器RES14に接続されている。直列共振器RES1〜RES4、並列共振器RES11〜RES14は、弾性表面波共振器(SAW共振器)、圧電薄膜共振器(FBAR:Film-Bulk-Acoustic-Resonator)で実現することができる。
【0020】
図10は、本実施の形態にかかるデュープレクサに含まれる受信フィルタの回路図である。図10に示す受信フィルタは、不平衡入力−平衡出力のダブルモード型(DMS)フィルタである。図10に示す受信フィルタは、入力端子INに接続されている入力共振器RES21、出力端子OUT1に接続されている出力共振器RES22、出力端子OUT2に接続されている出力共振器RES23、反射器REF21、および反射器REF22を備えている。入力共振器RES21は、入力端子INに入力される電気信号に基づき励振され、その振動が出力共振器RES22及びRES23側へ伝搬し、出力共振器RES22及びRES23が振動する。これにより、出力端子OUT1及びOUT2から電気信号が出力される。
【0021】
共振器は、例えば図11A及び図11Bに示すような圧電薄膜共振器で実現することができる。図11Aは、圧電薄膜共振器の平面図である。図11Bは、図11AにおけるA−A部の断面図である。圧電薄膜共振器は、基板11、上部電極12、下部電極13、圧電膜14を備えている。上部電極12、下部電極13、圧電膜14は、基板1の上に積層されている。基板11は、少なくとも上部電極12と下部電極13とが対向している領域(メンブレン領域)16に重なる部分に、空隙15を備えている。これにより、圧電膜14が振動することができる。
【0022】
また、共振器は、例えば図12A及び図12Bに示すような弾性波共振器で実現することができる。図12Aは、弾性波共振器の平面図である。図12Bは、図12AにおけるA−A部の断面図である。弾性波共振器は、基板21、一対の櫛形電極22、反射器23a、反射器23b、入力端子24、および出力端子25を備えている。入力端子24は、一対の櫛形電極22のうちの一方の櫛形電極に接続されている。出力端子25は、一対の櫛形電極22のうちの他方の櫛形電極に接続されている。櫛形電極22は、入力端子24に入力される電気信号に基づき励振される。一対の櫛形電極22における一方の櫛形電極に生じる振動は他方の櫛形電極に伝搬され、出力端子25に電気信号が出力される。
【0023】
なお、共振器は、圧電薄膜共振器、弾性波共振器に限らず、弾性境界波共振器など他の共振器で実現してもよい。
【0024】
図13は、本実施の形態にかかるデュープレクサの回路図である。図13に示すデュープレクサは、送信フィルタ31、受信フィルタ32、送信ポート33、受信ポート34a,34b、アンテナポート35、および静電結合部36を備えている。送信フィルタ31は、図9に示す構成と同様のラダーフィルタを備えている。受信フィルタ32は、図10に示す構成と同様のDMSフィルタを備えている。静電結合部36は、容量C1,C2を備えている。容量C1,C2は、互いに直列接続され、受信ポート34aと受信ポート35bとの間に接続されている。容量C1と容量C2とのノードは、送信ポート33に接続されている。容量C1,C2の定数は、図14A及び図14Bに示すように、Rx帯において送信ポート33から2つの受信ポート34a及び34bへ到る経路の電力伝送特性の位相差が、位相の変極点を除いては0〜90°の間になるよう設定している。本実施の形態では、一例として、図14BにおけるRx帯に示すように、位相差が約40度となるように設定している。なお、図14Aは、送信ポート33から受信ポート34a及び34bへ到る経路の電力伝送特性の位相特性を示す。図14Bは、送信ポート33から受信ポート34a及び34bへ到る経路の電力伝送特性の位相差特性を示す。
【0025】
このような構成とすることにより、ディファレンシャルアイソレーションは図15Aに示す特性を得ることができ、シングルエンドアイソレーションは図15B及び図15Cに示す特性を得ることができる。図15Aは、図13に示すデュープレクサのディファレンシャルアイソレーションを示す。図15Bは、図13に示す送信ポート33から受信ポート34aを見たときのシングルエンドアイソレーションを示す。図15Cは、図13に示す送信ポート33から受信ポート34bを見たときのシングルエンドアイソレーションを示す。図15Aと図15B及び図15Cとを比較すると、Rx帯におけるアイソレーションは、シングルエンドアイソレーションよりディファレンシャルアイソレーションの方が低いレベルとなっている。
【0026】
図16は、図13に示すデュープレクサにおける送信フィルタ31の具体例を示す。図16に示す送信フィルタは、基板41上に、信号端子42a,42b、グランド端子43a,43b,43c、ダミーパターン44、直列共振器RES1〜RES4、並列共振器RES11〜RES14を備えている。なお、説明の便宜上、直列共振器及び並列共振器の符号は、図9に示す符号と同じ符号を付与した。
【0027】
図17は、図13に示すデュープレクサにおける受信フィルタ32の具体例を示す。図17に示す受信フィルタは、基板51上に、信号端子52a,52b,52c、グランド端子53a,53b,53c、共振器RES21,RES22,RES23を備えている。信号端子52aは、電気信号を入力するための端子である。信号端子52b,52cは、電気信号を出力するための端子である。
【0028】
図18A〜図18Dは、デュープレクサの具体例を示す。デュープレクサは、図18A〜図18Dに示すように、セラミクスの多層基板上に前述した送信フィルタ、受信フィルタを、バンプを用いたフェースダウン実装した形態をとることができる。具体的には、図18Aは、セラミクス基板の表層の構成を示す平面図である。図18Bは、セラミクス基板の内層の構成を示す平面図である。図18Cは、セラミクス基板の裏面の構成を示す平面図である。図18Dは、図18AにおけるA−A部の断面図である。なお、図18A〜図18Dに示すデュープレクサは、一般的な構造を示しており、本実施の形態にかかる静電結合部は備えていない。静電結合部を備えたデュープレクサの構造は、後述する。
【0029】
図18Aに示すように、表層61上には、送信フィルタ40、受信フィルタ50がパターン形成されている。送信フィルタ40において、図16に示す構成と同一の構成については同一符号を付与している。受信フィルタ50において、図17に示す構成と同一の構成については同一符号を付与している。送信フィルタ40の信号端子42aは、信号線61mを介してスルーホール61aに接続されている。送信フィルタ40の信号端子42bは、信号線61pを介してスルーホール61bに接続されている。送信フィルタ40のグランド端子43aは、スルーホール61eに接続されている。送信フィルタ40のグランド端子43bは、スルーホール61gに接続されている。送信フィルタ40のグランド端子43cは、スルーホール61fに接続されている。受信フィルタ50の信号端子52aは、信号線61nを介してスルーホール61aに接続されている。受信フィルタ50の信号端子52bは、信号線61rを介してスルーホール61dに接続されている。受信フィルタ50の信号端子52cは、信号線61qを介してスルーホール61cに接続されている。受信フィルタ50のグランド端子53aは、スルーホール61hに接続されている。スルーホール61aは、図18Bに示す内層62を介して、図18Cに示す下層63のアンテナ端子63aに接続されている。スルーホール61bは、図18Bに示す内層62を介して、図18Cに示す下層63の送信ポート63bに接続されている。スルーホール61cは、図18Bに示す内層62を介して、図18Cに示す下層63の受信ポート63cに接続されている。スルーホール61dは、図18Bに示す内層62を介して、図18Cに示す下層63の受信ポート63dに接続されている。スルーホール61eは、図18Bに示す内層62を介して、図18Cに示す下層63のグランド端子63eに接続されている。スルーホール61fは、図18Bに示す内層62を介して、図18Cに示す下層63のグランド端子63fに接続されている。スルーホール61gは、図18Bに示す内層62を介して、図18Cに示す下層63のグランド端子63gに接続されている。スルーホール61hは、図18Bに示す内層62を介して、図18Cに示す下層63のグランド端子63hに接続されている。
【0030】
(実施例2)
図19は、本実施の形態にかかるデュープレクサの実施例2の構成を示す回路図である。図13に示すデュープレクサは、送信フィルタ31、受信フィルタ32、送信ポート33、受信ポート34a,34b、アンテナポート35、および静電結合部36を備えている。送信フィルタ31は、図9に示す構成と同様のラダーフィルタを備えている。受信フィルタ32は、図10に示す構成と同様のDMSフィルタを備えている。静電結合部36は、容量C1,C2を備えている。容量C1,C2は、互いに直列接続され、受信ポート34aと受信ポート35bとの間に接続されている。容量C1と容量C2とのノードは、送信ポート33に接続されている。容量C1,C2の定数は、等しい値としている。本実施の形態では、容量C1,C2の定数は、例えば5fFとした。なお、「等しい値」は、容量C1と容量C2の定数が全く一致する値とともに、製造バラツキ等により多少変動した値を含むこととし、完全に一致する値に限定されないこととする。このように、容量C1,C2の定数を等しくすると、図20A及び図20Bに示すように、Rx帯において送信ポートから2つの受信ポートへ到る経路の電力伝送特性の位相差が、位相の変極点を除いては10〜20°程度となり、図14Bに示した位相関係よりさらに理想的な位相関係になる。なお、図20Aは、送信ポート33から受信ポート34a及び34bへ到る経路の電力伝送特性の位相特性を示す。図20Bは、送信ポート33から受信ポート34a及び34bへ到る経路の電力伝送特性の位相差特性を示す。
【0031】
このような構成とすることにより、ディファレンシャルアイソレーションは図21Aに示す特性となり、シングルエンドアイソレーションは図21B及び図21Cに示す特性となる。図21Aは、図19に示すデュープレクサのディファレンシャルアイソレーションを示す。図21Bは、図19に示す送信ポート33から受信ポート34aを見たときのシングルエンドアイソレーションを示す。図21Cは、図19に示す送信ポート33から受
信ポート34bを見たときのシングルエンドアイソレーションを示す。図21Aと図21B及び図21Cとを比較すると、Rx帯におけるアイソレーションは、シングルエンドアイソレーションよりディファレンシャルアイソレーションの方が低いレベルとなっている。
【0032】
(実施例3)
図22は、本実施の形態にかかるデュープレクサの実施例3の構成を示す回路図である。図22に示すデュープレクサは、送信フィルタ31、受信フィルタ32、送信ポート33、受信ポート34a,34b、アンテナポート35、および静電結合部36を備えている。送信フィルタ31は、図9に示す構成と同様のラダーフィルタを備えている。受信フィルタ32は、図10に示す構成と同様のDMSフィルタを備えている。電磁結合部36は、インダクタL31,L32,L33を備えている。インダクタL31は、受信フィルタ32と受信ポート34aとの間に接続されている。インダクタL32は、受信フィルタ32と受信ポート34bとの間に接続されている。インダクタL33は、送信ポート33とグランドとの間に接続されている。インダクタL31とインダクタL32とは、近接配置して電磁結合し、間隙部分に容量を生じさせている。インダクタL32とインダクタL33とは、近接配置して電磁結合し、間隙部分に容量を生じさせている。電磁結合部36の定数は、Rx帯において送信ポート33から2つの受信ポート34a及び34bへ到る経路の位相差が、概ね0〜90°の間になるよう設定している。このような構成とすることにより、Rx帯におけるアイソレーションはシングルエンドアイソレーションよりディファレンシャルアイソレーションの方が低いレベルとすることができる。
【0033】
(実施例4)
図23A〜図23Dは、本実施の形態にかかるデュープレクサの具体構成を示す模式図である。デュープレクサは、図23A〜図23Dに示すように、セラミクスの多層基板上に前述した送信フィルタ、受信フィルタを、バンプを用いたフェースダウン実装した形態をとることができる。具体的には、図23Aは、セラミクス基板の表層の構成を示す平面図である。図23Bは、セラミクス基板の内層の構成を示す平面図である。図23Cは、セラミクス基板の裏面の構成を示す平面図である。図23Dは、図23AにおけるA−A部の断面図である。なお、図23A〜図23Dにおいて、図18A〜図18Dに示す構成と同様の構成については同一符号を付与する。
【0034】
実施例4にかかるデュープレクサは、導体64を備えている。導体64は、図23Aに示すようにセラミクス基板の表層61の外辺に沿って環状に配置されている。導体64は、図23Bに示すように、セラミクス基板の内層62において、スルーホール61b、61c,61dに接続している。スルーホール61bは図23Cに示す送信ポート63bに接続され、スルーホール61cは図23Cに示す受信ポート63cに接続され、スルーホール61dは図23Cに示す受信ポート63dに接続されているため、送信ポート33と受信ポート34a及び34bとを静電結合することができる。
【0035】
これにより、図18A〜図18Dに示す一般的な構造を有するデュープレクサに導体64を追加するだけで、図13等に示す本実施の形態のデュープレクサを実現することができる。つまり、一般的なデュープレクサの構造を大きく変えることなく実現できるため、デュープレクサを大型化せずに実現することができる。
【0036】
なお、実施例4では、導体64は、セラミクス基板の表層61に備えたが、図24A〜図24Dに示すように内層において形成されていてもよい。図24Aは、セラミクス基板の表層61の平面図である。図24Bは、第1の内層62の平面図である。図24Cは、第2の内層65の平面図である。図24Dは、下層63の平面図である。当該セラミクス基板は、表層61、第1の内層62、第2の内層65、下層63の順番で積層されている
。導体64は、図24Bに示すように、第1の内層62の外周縁部近傍に配されている。また、導体64は、図24Cに示すように、スルーホール61b、61c,61dに接続している。スルーホール61bは図24Dに示す送信ポート63bに接続され、スルーホール61cは図24Dに示す受信ポート63cに接続され、スルーホール61dは図24Dに示す受信ポート63dに接続されているため、送信ポート33と受信ポート34a及び34bとを静電結合することができる。
【0037】
また、導体64は、その一部が接地していてもよい。また、導体64は、途中の経路で、層が変わっていても良い。また、導体64は、送信ポート33から受信ポート34a及び34bに到る経路で、さらに追加の静電結合を形成していてもよい。
【0038】
また、導体64は、送信ポート33と受信ポート34a及び34bとの間で静電結合が形成されるならば、環状でなくてもよい。図25Aは、セラミクス基板の表層61の平面図である。図25Bは、第1の内層62の平面図である。図25Cは、第2の内層65の平面図である。図25Dは、下層63の平面図である。当該セラミクス基板は、表層61、第1の内層62、第2の内層65、下層63の順番で積層されている。導体66は、図25Bに示すように、第1の内層62の一部の外周縁部近傍に略L字型に配されている。また、導体66は、図25Cに示すように、スルーホール61b、61c,61dに接続している。スルーホール61bは図25Dに示す送信ポート63bに接続され、スルーホール61cは図25Dに示す受信ポート63cに接続され、スルーホール61dは図25Dに示す受信ポート63dに接続されているため、送信ポート33と受信ポート34a及び34bとを静電結合することができる。
【0039】
〔2.通信モジュールの構成〕
図26は、本実施の形態にかかるデュープレクサを備えた通信モジュールの一例を示す。図26に示すように、デュープレクサ92は、受信フィルタ92aと送信フィルタ92bとを備えている。また、受信フィルタ92aには、例えばバランス出力に対応した受信端子93a及び93bが接続されている。また、送信フィルタ92bは、パワーアンプ94を介して送信端子95に接続している。ここで、デュープレクサ92は、本実施の形態にかかるデュープレクサを備えている。
【0040】
受信動作を行う際、受信フィルタ92aは、アンテナ端子91を介して入力される受信信号のうち、所定の周波数帯域の信号のみを通過させ、受信端子93a及び93bから外部へ出力する。また、送信動作を行う際、送信フィルタ92bは、送信端子95から入力されてパワーアンプ94で増幅された送信信号のうち、所定の周波数帯域の信号のみを通過させ、アンテナ端子91から外部へ出力する。
【0041】
本実施の形態にかかるデュープレクサを通信モジュールに備えることで、大型化せずに、アイソレーションが向上する通信モジュールを実現することができる。
【0042】
なお、図26に示す通信モジュールの構成は一例であり、他の形態の通信モジュールに本実施の形態にかかるデュープレクサを搭載しても、同様の効果が得られる。
【0043】
〔3.通信装置の構成〕
図27は、本実施の形態にかかるデュープレクサ、または前述の通信モジュールを備えた通信装置の一例として、携帯電話端末のRFブロックを示す。また、図27に示す通信装置は、GSM(Global System for Mobile Communications)通信方式及びW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)通信方式に対応した携帯電話端末の構成を示す。また、本実施の形態におけるGSM通信方式は、850MHz帯、950MHz帯、1.8GHz帯、1.9GHz帯に対応している。また、携帯電話端末は、図27に
示す構成以外にマイクロホン、スピーカー、液晶ディスプレイなどを備えているが、本実施の形態における説明では不要であるため図示を省略した。ここで、デュープレクサ73は、本実施の形態にかかるデュープレクサを備えている。
【0044】
まず、アンテナ71を介して入力される受信信号は、その通信方式がW−CDMAかGSMかによってアンテナスイッチ回路72で、動作の対象とするLSIを選択する。入力される受信信号がW−CDMA通信方式に対応している場合は、受信信号をデュープレクサ73に出力するように切り換える。デュープレクサ73に入力される受信信号は、受信フィルタ73aで所定の周波数帯域に制限されて、バランス型の受信信号がLNA74に出力される。LNA74は、入力される受信信号を増幅し、LSI76に出力する。LSI76では、入力される受信信号に基づいて音声信号への復調処理を行ったり、携帯電話端末内の各部を動作制御したりする。
【0045】
一方、信号を送信する場合は、LSI76は送信信号を生成する。生成された送信信号は、パワーアンプ75で増幅されて送信フィルタ73bに入力される。送信フィルタ73bは、入力される送信信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを通過させる。送信フィルタ73bから出力される送信信号は、アンテナスイッチ回路72を介してアンテナ71から外部に出力される。
【0046】
また、入力される受信信号がGSM通信方式に対応した信号である場合は、アンテナスイッチ回路72は、周波数帯域に応じて受信フィルタ77〜80のうちいずれか一つを選択し、受信信号を出力する。受信フィルタ77〜80のうちいずれか一つで帯域制限された受信信号は、LSI83に入力される。LSI83は、入力される受信信号に基づいて音声信号への復調処理を行ったり、携帯電話端末内の各部を動作制御したりする。一方、信号を送信する場合は、LSI83は送信信号を生成する。生成された送信信号は、パワーアンプ81または82で増幅されて、アンテナスイッチ回路72を介してアンテナ71から外部に出力される。
【0047】
本実施の形態にかかるデュープレクサ、または通信モジュールを通信装置に備えることで、大型化せずに、アイソレーションが向上する通信装置を実現することができる。
【0048】
なお、図27に示す通信装置の構成は一例であり、他の形態の通信装置に本実施の形態にかかるデュープレクサを搭載しても、同様の効果が得られる。
【0049】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、送信ポートと受信ポートとを静電結合することにより、送信フィルタと受信フィルタとの間におけるアイソレーションを向上することができる。また、送信ポートと受信ポートとの静電結合は、例えば容量やインダクタなどの素子を介して電気的に接続することによって実現できるため、デュープレクサを大型化せずに実現することができる。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0051】
本実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
【0052】
(付記1)
不平衡型の送信フィルタと、
平衡型の受信フィルタと、
前記送信フィルタに接続されている送信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている主受信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている副受信ポートと、
前記送信ポートと前記主受信ポート及び前記副受信ポートとの間に接続され、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記主受信ポートへ流し、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記副受信ポートへ流す静電結合部を備える、デュープレクサ。
【0053】
上記構成によれば、空間を介した送信、受信ポート間の結合によるアイソレーションの悪化をキャンセルすることができる。したがって、送信ポートと受信ポートとの間隔を広げたり、電磁的な遮蔽構造を新たに設ける必要がなく、小型で高アイソレーションなデュープレクサを実現できる。
【0054】
(付記2)
前記静電結合部は、
前記送信ポートから前記主受信ポートへ流れる電力の位相と、前記送信ポートから前記副受信ポートへ流れる電力の位相との位相差の絶対値が、受信帯域おいて0〜90度または270〜360度の範囲となるように、電力の位相を調整する、付記1記載のデュープレクサ。
【0055】
(付記3)
前記静電結合部は、
前記送信ポートと前記主受信ポートとの静電結合、および前記送信ポートと前記副受信ポートとの静電結合とが、同等の結合度である、付記1または2記載のデュープレクサ。
【0056】
上記構成によれば、より一層高アイソレーションなデュープレクサを実現できる。
【0057】
(付記4)
前記静電結合部は、導体で形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデュープレクサ。
【0058】
上記構成によれば、デュープレクサの構造を大きく変えることなく、より一層高アイソレーションなデュープレクサを実現できる。
【0059】
(付記5)
前記静電結合部は、容量素子を備えている、付記1〜3のいずれか一項に記載のデュープレクサ。
【0060】
上記構成によれば、デュープレクサの構造を大きく変えることなくより一層高アイソレーションなデュープレクサを実現できる。
【0061】
(付記6)
前記静電結合部は、インピーダンス整合用インダクタを備えている、付記1〜3のいずれか一項に記載のデュープレクサ。
【0062】
上記構成によれば、デュープレクサの構造を大きく変えることなくより一層高アイソレーションなデュープレクサを実現できる。
【0063】
(付記7)
不平衡型の送信フィルタと、
平衡型の受信フィルタと、
前記送信フィルタに接続されている送信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている主受信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている副受信ポートと、
前記送信ポートと前記主受信ポート及び前記副受信ポートとの間に接続され、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記主受信ポートへ流し、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記副受信ポートへ流す静電結合部を備えるデュープレクサを備えた、通信モジュール。
【0064】
上記構成によれば、空間を介した送信、受信ポート間の結合によるアイソレーションの悪化をキャンセルすることができる。したがって、送信ポートと受信ポートとの間隔を広げたり、電磁的な遮蔽構造を新たに設ける必要がなく、小型で高アイソレーションなデュープレクサを実現できる。
【0065】
(付記8)
不平衡型の送信フィルタと、
平衡型の受信フィルタと、
前記送信フィルタに接続されている送信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている主受信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている副受信ポートと、
前記送信ポートと前記主受信ポート及び前記副受信ポートとの間に接続され、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記主受信ポートへ流し、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記副受信ポートへ流す静電結合部を備えるデュープレクサを備えた、通信装置。
【0066】
上記構成によれば、空間を介した送信、受信ポート間の結合によるアイソレーションの悪化をキャンセルすることができる。したがって、送信ポートと受信ポートとの間隔を広げたり、電磁的な遮蔽構造を新たに設ける必要がなく、小型で高アイソレーションなデュープレクサを実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本願は、デュープレクサ、通信モジュール、通信装置に有用である。
【符号の説明】
【0068】
31 送信フィルタ
32 受信フィルタ
33 送信ポート
34a、34b 受信ポート
36 静電結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不平衡型の送信フィルタと、
平衡型の受信フィルタと、
前記送信フィルタに接続されている送信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている主受信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている副受信ポートと、
前記送信ポートと前記主受信ポート及び前記副受信ポートとの間に接続され、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記主受信ポートへ流し、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記副受信ポートへ流す静電結合部を備える、デュープレクサ。
【請求項2】
前記静電結合部は、
前記送信ポートから前記主受信ポートへ流れる電力の位相と、前記送信ポートから前記副受信ポートへ流れる電力の位相との位相差の絶対値が、受信帯域おいて0〜90度または270〜360度の範囲となるように、電力の位相を調整する、請求項1記載のデュープレクサ。
【請求項3】
前記静電結合部は、
前記送信ポートと前記主受信ポートとの静電結合、および前記送信ポートと前記副受信ポートとの静電結合とが、同等の結合度である、請求項1または2記載のデュープレクサ。
【請求項4】
前記静電結合部は、導体で形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデュープレクサ。
【請求項5】
不平衡型の送信フィルタと、
平衡型の受信フィルタと、
前記送信フィルタに接続されている送信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている主受信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている副受信ポートと、
前記送信ポートと前記主受信ポート及び前記副受信ポートとの間に接続され、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記主受信ポートへ流し、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記副受信ポートへ流す静電結合部を備えるデュープレクサを備えた、通信モジュール。
【請求項6】
不平衡型の送信フィルタと、
平衡型の受信フィルタと、
前記送信フィルタに接続されている送信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている主受信ポートと、
前記受信フィルタに接続されている副受信ポートと、
前記送信ポートと前記主受信ポート及び前記副受信ポートとの間に接続され、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記主受信ポートへ流し、
位相が調整された電力を前記送信ポートから前記副受信ポートへ流す静電結合部を備えるデュープレクサを備えた、通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図23D】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図24D】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−160203(P2011−160203A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20353(P2010−20353)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】