データ処理装置およびその制御方法
【課題】複数の操作者が使用していても、煩雑な環境設定情報の登録の操作なしに使用することができるデータ処理装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】データの入力またはデータの出力が可能な、スキャナ部13、プリンタ部14および電話部15などのデータ処理手段と、データ処理手段に対応する環境設定情報が格納されたメモリカード10を着脱可能に装着するカードスロット部12と、メモリカード10に格納された環境設定情報を読み取り、環境設定情報に基づいてスキャナ部13、プリンタ部14および電話部15の制御を行う制御部18とを備えた。操作者が複合機1を使用するに、それぞれの操作者に最適な使用環境とした環境設定情報が格納されたメモリカード10を、複合機1のカードスロット部12に装着するだけで、煩雑な環境設定情報の登録の操作なしに使用することができる。
【解決手段】データの入力またはデータの出力が可能な、スキャナ部13、プリンタ部14および電話部15などのデータ処理手段と、データ処理手段に対応する環境設定情報が格納されたメモリカード10を着脱可能に装着するカードスロット部12と、メモリカード10に格納された環境設定情報を読み取り、環境設定情報に基づいてスキャナ部13、プリンタ部14および電話部15の制御を行う制御部18とを備えた。操作者が複合機1を使用するに、それぞれの操作者に最適な使用環境とした環境設定情報が格納されたメモリカード10を、複合機1のカードスロット部12に装着するだけで、煩雑な環境設定情報の登録の操作なしに使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
印刷機能や、イメージ読み取り機能や、電話通信機能などを、単体で備えた装置や、複合的に備えた装置などのデータ処理装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、スキャナ装置などのようにデータを入力したり、データを出力したりするデータ処理装置がある。また、スキャナ装置とプリンタ装置の2つの機能を備え、連動させて制御することでコピーとしたり、公衆回線網との接続機能を備え、ネットワーク経由でFAXデータを送信することでFAXとしたりして使用するデータ処理装置もある。更に、FAX機能を有するデータ処理装置は、公衆回線網と接続する機能を有しているので、受話器を設ければ電話機としても機能することができる。このように、データ処理装置は、一つの機能としたり、二つ以上の機能を持たせたりしている。
【0003】
ところで、(特許文献1)に記載のデータ処理装置は、カラーレーザプリンタであり、直接スキャナを接続することで、プリンタ機能とスキャナ機能とを複合的に使用することができるものである。このプリンタは、着脱可能なPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)規格のカードを装着できるPCMCIAスロットを備えている。このPCMCIAスロットに、FAXモデムカードを装着することで、FAX機能を追加して使用することができる。
【特許文献1】特開平11−205523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この(特許文献1)に記載のデータ処理装置は、複数の操作者で使用するものであるので、それぞれの操作者が使用する場合には、個別にその機能に関する環境設定情報を登録する必要がある。
【0005】
例えば、FAX機能を備えたデータ処理装置である場合には、電子電話帳を環境設定情報として備えていると利便性が高くなるが、操作者が変わると必然的に電子電話帳の内容も異なってくる。全ての操作者の電子電話帳の情報をデータ処理装置内に格納しておくことも考えられるが、これでは知られたくない電話番号まで他の操作者に知られてしまう。
【0006】
電子電話帳を開く際に認証を行う方法も考えられるが、これでは操作が煩雑である。
【0007】
そこで本発明は、複数の操作者が使用していても、煩雑な環境設定情報の登録の操作なしに使用することができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデータ処理装置は、データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段と、前記データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、前記記録媒体に格納された環境設定情報を読み取り、前記環境設定情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作者がデータ処理装置を使用するに、それぞれの操作者に最適な使用環境とした環境設定情報が格納された記録媒体を、データ処理装置に装着するだけで、
煩雑な環境設定情報の登録の操作なしに使用することができる。よって、複数の操作者が使用していても、それぞれの操作者に最適な使用環境とすることができるので、利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の請求項1の発明は、データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段と、データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、記録媒体に格納された環境設定情報を読み取り、環境設定情報に基づいてデータ処理手段の制御を行う制御手段とを備えたことを特徴としたものである。
【0011】
データ処理手段に対応する環境設定情報を記録媒体に格納しているので、各操作者がそれぞれ各自に最適な環境設定情報を格納した記録媒体を持ち、この記録媒体を操作者がデータ処理装置を使用する際に装着手段に装着する。制御手段は、装着された記録媒体から環境設定情報を読み取り、この環境設定情報に基づいてデータ処理手段を制御する。
【0012】
これにより、データ処理装置を使用するに、記憶媒体をデータ処理装置に装着するだけで、複数の操作者が使用していても、煩雑な操作なしにそれぞれの操作者にあった環境設定情報でデータ処理装置を使用することができる。よって利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【0013】
本発明の請求項2の発明は、制御手段は、環境設定情報に含まれたデータ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいてデータ処理手段の制御を行う機能を備えたことを特徴としたものである。
【0014】
環境設定情報に格納されたデータ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいて、制御手段がデータ処理手段の制御を行うので、各操作者に応じた制限情報を記録媒体に格納させておくことで、操作者の権限に応じた使用環境とすることができる。例えば制限情報を、他の操作者の電話帳へ読み取り権限などのようにアクセス権とした場合には、セキュリティの向上が図れる。
【0015】
本発明の請求項3の発明は、制御手段は、記録媒体に格納されたプログラム情報に基づいてデータ処理手段の制御を行う機能を備えたことを特徴としたものである。
【0016】
記録媒体に環境設定情報だけでなく、制御手段がデータ処理手段を制御するプログラム情報を格納しておくことで、制御手段がデータ処理手段を制御するに、データ処理手段の機能を変更することができる。
【0017】
本発明の請求項4の発明は、データ処理手段は印刷データを印刷する印刷手段であり、記録媒体に印刷手段に関する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていると、制御手段は、印刷設定情報に基づいて印刷データを、印刷手段を制御して印刷することを特徴としたものである。
【0018】
データ処理手段を、印刷データを印刷する印刷手段としたときに、記録媒体に印刷手段に関する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていれば、制御手段が、印刷設定情報に基づいて印刷データを、印刷手段を制御して印刷するので、印刷する度に印刷データに対応する印刷設定情報を登録する必要が省略できる。従って、印刷設定情報の登録の煩雑さがないので、利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【0019】
本発明の請求項5の発明は、データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段
と、データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、データ処理手段を制御する制御手段とを有するデータ処理装置の制御方法において、制御手段が、記録媒体に格納された環境設定情報を読み取るステップと、制御手段が、読み取った環境設定情報に基づいてデータ処理手段の制御を行うステップとを含むことを特徴としたものである。
【0020】
データ処理手段に対応する環境設定情報を記録媒体に格納しているので、各操作者がそれぞれ各自に最適な環境設定情報を格納した記録媒体を持ち、この記録媒体を操作者がデータ処理装置を使用する際に装着手段に装着する。制御手段は、装着された記録媒体から環境設定情報を読み取り、この環境設定情報に基づいてデータ処理手段を制御する。
【0021】
これにより、データ処理装置を使用するに、それぞれの操作者に最適な使用環境が、記録媒体をデータ処理装置に装着するだけで実施することができるので、複数の操作者が使用していても、煩雑な操作なしにそれぞれの操作者にあった環境設定情報でデータ処理装置を使用することができる。よって利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【0022】
本発明の請求項6の発明は、制御手段が、環境設定情報に含まれたデータ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいてデータ処理手段の制御を行うステップを含むことを特徴としたものである。
【0023】
環境設定情報に格納されたデータ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいて、制御手段がデータ処理手段の制御を行うので、各操作者に応じた制限情報を記録媒体に格納させておくことで、操作者の権限に応じた使用環境とすることができ、制限情報を、例えば他の操作者の電話帳へ読み取り権限などのようにアクセス権とした場合には、セキュリティの向上が図れる。
【0024】
本発明の請求項7の発明は、制御手段が、記録媒体に格納されたプログラム情報に基づいてデータ処理手段の制御を行うステップを含むことを特徴としたものである。
【0025】
記録媒体に環境設定情報だけでなく、制御手段がデータ処理手段を制御するプログラム情報を格納しておくことで、制御手段がデータ処理手段を制御するに、データ処理手段の機能を変更することができる。
【0026】
本発明の請求項8の発明は、データ処理手段が印刷データを印刷する印刷手段であり、記録媒体に印刷手段に対する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていると、制御手段が、印刷設定情報に基づいて印刷データを、印刷手段を制御して印刷するステップを含むことを特徴としたものである。
【0027】
データ処理手段を、印刷データを印刷する印刷手段としたときに、記録媒体に印刷手段に関する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていれば、制御手段が、印刷設定情報に基づいて印刷データを、印刷手段を制御して印刷するので、印刷する度に印刷データに対応する印刷設定情報を登録する必要が省略できる。従って、印刷設定情報の登録の煩雑さがないので、利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【0028】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を、複合機を例に図1および図2に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を用いたデータ処理システムを説明する図である。図2は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を説明する図である。
【0029】
図1に示すように、データ処理システムの複合機1は、ネットワーク2に接続され、このネットワーク2に接続された端末装置4〜6から共通して使用される。また、複合機1は、電話線7を介して公衆回線網8と接続されている。それぞれの端末装置4〜6を操作する操作者は、それぞれ記録媒体であるメモリカード10(10a〜10c)を持っている。また端末装置4〜6を使用しない者でも、複合機1を操作する操作者であれば、メモリカード10を持っていてもよい。
【0030】
ネットワーク2は、LAN(Local Area Network)や、USB(Universal Serial Bus)などが使用できる。
【0031】
図2に示すように、複合機1は、インタフェース部11と、カードスロット部12と、スキャナ部13と、プリンタ部14と、電話部15と、画像処理部16と、操作部17と、制御部18とを備えている。
【0032】
インタフェース部11は、ネットワーク2を介して端末装置4〜6と通信する機能を有している。ネットワーク2が100BASE−Tであれば、インタフェース部11と図示しないハブとをより対線のケーブルで接続される。
【0033】
カードスロット部12は、メモリカード10を着脱可能に装着する装着手段である。メモリカード10は、例えば、SD(Secure Digital)メモリカードや、CF(Compact Flash)や、PCMCIA規格のメモリカードを使用することができる。
【0034】
スキャナ部13は、印刷物を読み取り、イメージデータとして画像処理部16へ出力する。
【0035】
プリンタ部14は、制御部18から入力した印刷データを紙媒体に印刷する。本実施の形態では、プリンタ部14はカラー印刷可能なカラープリンタエンジンである。この複合機1は、制御部18の制御により、スキャナ部13から読み取ったデータをプリンタ部14で印刷することでコピー機としても機能する。
【0036】
電話部15は、公衆回線網8と接続可能な手段であり、電話部15は、受話器やマイクおよびスピーカにより通話も可能である。また、図1に示される端末装置4〜6から送信されたFAXデータを、制御部18から入力して公衆回線網8へFAXすることができる。また、制御部18の制御により、送信原稿となる印刷物をスキャナ部13から読み取り電話部15から公衆回線網8へ送信することもできる。
【0037】
これらのスキャナ部13,プリンタ部14、または電話部15は、データを入力したり、データを出力したりするデータ処理手段である。
【0038】
画像処理部16は、スキャナ部13から読み取ったデータをJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式や、GIF(Graphic Interchange Format)形式などのイメージデータへ変換して制御部18へ出力する。
【0039】
操作部17は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示手段や、操作ボタンなどの入力手段を備えている。例えば、コピーする場合には、コピー部数を操作ボタンの数字キーを押下することで入力したり、FAXや電話機として使用する場合には、操作ボタンの数字キーで相手電話番号を入力したりする。
【0040】
制御部18は、インタフェース部11と、カードスロット部12と、スキャナ部13と、プリンタ部14と、電話部15と、画像処理部16と、操作部17とを統括制御する制御手段である。制御部18は、データ処理手段であるスキャナ部13と、プリンタ部14と、電話部15とを制御する際には、メモリカード10に格納された環境設定情報に基づいて制御する。
【0041】
以上のように構成される本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の動作を、複合機1を例に図3から図10に基づいて、特に制限情報に基づく機能制限について詳細に説明する。図3から図9は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機1の動作を説明するフローチャートである。図10は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の制限情報の一例を示す表である。
【0042】
なお、スキャナ部13はカラー読み込みの機能を有しており、プリンタ部14はカラー印刷機能を有しているものとする。従って、FAX送信する際もカラーでの送信が可能であり、コピーする際もカラーコピーが可能である。
【0043】
図3に示すように、まず制御部18は、カードスロット部12にメモリカード10が装着しているか否かを判断する(S10)。
【0044】
カードスロット部12にメモリカード10が装着されていると、制御部18は、メモリカード10にアクセスして環境設定情報が格納されているか否かを判定する(S20)。
【0045】
メモリカード10に環境設定情報が格納されている場合、制御部18は、この環境設定情報を読み込み使用するスキャナ部13や、プリンタ部14や、電話部15に設定の登録を行う。例えば、環境設定情報は、スキャナ部13を400dpiとするか600dpiとするか、プリンタ部14を両面印刷とするか、片面印刷とするか、電話部15の電子電話帳などである。
【0046】
ここで、環境設定情報に含まれる制限情報について図10に基づいて詳細に説明する。制限情報は、スキャナ部13や、プリンタ部14や、電話部15を使用する際に、そのメモリカード10の所有者である操作者の使用できる機能を制限する情報である。なお、図中「○」は使用可能を意味しており、「×」は制限されていることを意味しており、「−」は機能上無関係であることを意味している。
【0047】
図10に示すように、制限情報は、電話部15を使用する電話機能およびFAX機能と、スキャナ部13とプリンタ部14を使用するコピー機能と、プリンタ部14を使用する画像印刷機能およびプリンタ機能と、スキャナ部13を使用するスキャナ機能とがある。
【0048】
まず、機能の制限情報は、これらの機能が使用できるか否かを示す。そして、電話機能の制限情報は、通話の発信先を国内への発信が可能であるか、国内または海外でも発信可能であるかを示す。
【0049】
FAX機能の制限情報は、電話機能と同様に、発信先が国内のみか、国内と海外両方にできるか否かを示す。また白黒のみかカラーも使用できるかを示す情報もある。これは、送信するFAXデータをカラーで送信すると、FAXデータは白黒の場合より増大する。FAXデータの増大は通信時間の増大となり通信費が嵩む。従って、FAX機能でカラーを使用できる操作者を制限することで、通信費の抑制を図ることができる。
【0050】
コピー機能の制限情報は、白黒コピーのみか、またはカラーコピーも使用できるかを示
す。カラーコピーは、多色のトナーやインクを使用するため、コストが嵩む。従って、コピー機能でカラーコピーを使用できる操作者を制限することで、トナー代やインク代の抑制を図ることができる。
【0051】
端末装置4〜6から送信された印刷データを印刷するプリンタ機能や、印刷物をイメージデータとして読み取るスキャナ機能の制限情報も同様に、白黒のみか、またはカラーも使用できるかを示す。
【0052】
図3に戻って、制御部18は、各種の機能の起動要求の通知があるか否かを判定する(S50)。S50にて起動要求の通知がない場合は、起動要求待ちとなりS50を繰り返す。
【0053】
例えば、操作者が電話部15の受話器をオフフックした場合は、電話部15から制御部18へその旨の通知がされ、S60にて電話機能の要求通知であることが判定され、S70へ移行する。S70にて制御部18により電話部15が制御され、電話機能が実行される。
【0054】
ここでS70の電話機能について詳細に、図4に基づいて説明する。
【0055】
図4に示すように、まず環境設定情報に含まれる制限情報に、電話機能の制限があるか否かを判定する(S200)。そして、電話機能が制限された操作者であれば、電話機能の制限情報により電話機能が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S210)。電話機能の制限がない操作者であれば、S220へ移行する。
【0056】
電話機能要求の発信先は、国内かまたは海外かを、電話部15から通知される発信番号から制御部18が判定する(S220)。
【0057】
そして発信先が国内である場合には、制御部18は電話部15に対して発呼処理および通話処理を行うよう制御する(S230)。
【0058】
発信先が海外である場合には、海外通話が制限されているか否かを制限情報から制御部18が判定する(S240)。海外通話が制限されている操作者である場合には、S210へ移行する。
【0059】
このようにして電話機能要求があった場合に、電話機能の制限情報に応じて操作者が使用できる通話先を制限できる。
【0060】
図3に戻って、S60にて起動要求の通知が電話機能でない場合、その起動要求の通知はFAX機能の要求か否かを制御部18が判定する(S80)。S80にて制御部18がFAX機能の要求通知があったと判定した場合、S90へ移行して制御部18によりスキャナ部13および電話部15が制御され、FAX機能が実行される。これは例えば、端末装置4〜6から複合機1へのFAX送信要求の通知が受信された場合や、複合機1の操作部17を操作してのFAX送信要求の通知が制御部18へ発生した場合である。
【0061】
ここで、S90のFAX機能について、図5に基づいて詳細に説明する。
【0062】
図5に示すように、まず環境設定情報に含まれる制限情報に、FAX機能の制限があるか否かを判定する(S300)。そして、FAX機能が制限された操作者であれば、FAX機能の制限情報によりFAX機能が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S310)。FAX機能の制限がない操作者であれば、S320へ移
行する。
【0063】
FAX機能要求の発信先は、国内かまたは海外かを、電話部15から通知される発信番号から制御部18が判定する。発信先が国内である場合には、S340へ移行する(S320)。
【0064】
発信先が海外である場合には、海外通話が制限されているか否かを制限情報から制御部18が判定する(S330)。海外通話が制限されている操作者である場合には、S310へ移行する。
【0065】
そしてS320にて、発信先が国内である場合と、S330にて発信先が海外であるが、海外への発信が制限されていない場合に、FAX機能要求がカラー通信を要求しているか否かを判定する(S340)。
【0066】
FAX機能要求がカラー通信である場合には、カラー通信が制限されているか否かを判定する(S350)。S350にて、FAX機能要求がカラー通信であって、カラー通信の制限がある場合S310へ移行する。
【0067】
S350にて、カラー通信の制限がない場合は、制御部18はスキャナ部13にて印刷物を読み取り、電話部15に対して発呼処理および通話処理を行うよう制御する(S360)。つまり、カラー通信であればカラー通信を行い、白黒通信であれば白黒通信を行う。
【0068】
このようにしてFAX機能要求があった場合に、FAX機能の制限情報に応じて操作者が使用できる通話先の制限、およびカラーまたは白黒の制限を行うことで通信費などの節約を図ることができる。
【0069】
図3に戻って、S80にて起動要求の通知がFAX機能でない場合、その起動要求の通知はコピー機能の要求か否かを制御部18が判定する(S100)。例えば、操作部17を操作してのコピー機能を起動する要求通知が制御部18へ発生した場合である。
【0070】
S100にて制御部18がコピー機能の要求通知があったと判定した場合、S110へ移行して制御部18によりスキャナ部13およびプリンタ部14が制御され、コピー機能が実行される。
【0071】
ここで、S110のコピー機能について、図6に基づいて詳細に説明する。
【0072】
図6に示すように、まず環境設定情報に含まれる制限情報に、コピー機能の制限があるか否かを判定する(S400)。そして、コピー機能が制限された操作者であれば、コピー機能の制限情報によりコピー機能が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S410)。コピー機能の制限がない操作者であれば、S420へ移行する。
【0073】
コピー機能要求がカラーコピーを要求しているか否かを判定する(S420)。
【0074】
コピー機能要求がカラーコピーである場合には、カラーコピーが制限されているか否かを判定する(S430)。S430にて、コピー機能要求がカラーコピーであって、カラーコピーの制限がある場合S410へ移行する。
【0075】
S430にて、カラーコピーの制限がない場合は、制御部18はスキャナ部13にて印
刷物を読み取り、プリンタ部14に対して印刷処理を行うよう制御する(S440)。つまり、カラーコピーであればカラーコピーを行い、白黒コピーであれば白黒コピーを行う。
【0076】
このようにしてコピー機能要求の通知があった場合に、コピー機能の制限情報に応じて操作者が使用できるカラーまたは白黒の制限を行うことでトナー代やインク代などの節約を図ることができる。
【0077】
図3に戻って、S100にて起動要求の通知がコピー機能でない場合、その起動要求の通知は画像印刷機能の要求か否かを制御部18が判定する(S120)。S120にて画像印刷機能の要求通知があったと判定した場合、S130へ移行して制御部18によりカードスロット部12に装着されたメモリカード10から画像データが読み込まれプリンタ部14を制御して画像印刷機能が実行される。これは、メモリカード10にデジタルカメラで撮影されたJPEG形式などの画像データが格納され、その画像データの記録フォーマットがDPOF(Digital Print Order Format)として格納されており、そして、このメモリカード10がカードスロット部12に装着された場合などである。
【0078】
ここで、S130の画像印刷機能について、図7に基づいて詳細に説明する。
【0079】
図7に示すように、まず環境設定情報に含まれる制限情報に、画像印刷機能の制限があるか否かを判定する(S500)。そして、画像印刷機能が制限された操作者であれば、画像印刷機能の制限情報により画像印刷機能が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S510)。画像印刷機能の制限がない操作者であれば、S520へ移行する。
【0080】
画像印刷機能の制限がない場合は、制御部18はメモリカード10に格納されたDPOFファイルを読み込むとともに、格納された画像データを読み込む(S520)。
【0081】
そして、制御部18は、DPOFファイルに応じて画像データを画像処理部16にて処理させた後、プリンタ部14に対して、印刷処理を行うよう制御する(S530)。
【0082】
このようにして、画像印刷機能要求があった場合に、画像印刷機能の制限情報に応じて操作者が画像データの印刷を使用できるか否かの制限を行うことができる。画像印刷は、大量にカラーで印刷されるため、カラーのトナー代などが嵩む。従ってカラーのトナーやインク代の節約を図ることができる。
【0083】
図3に戻って、S120にて起動要求の通知が画像印刷機能でない場合、その起動要求の通知は端末装置4〜6から通信による印刷機能(プリンタ機能)の要求か否かを制御部18が判定する(S140)。S140にて通信による印刷機能の要求通知があったと判定した場合、S150へ移行して、プリンタ部14を制御して印刷機能が実行される。
【0084】
ここで、S150の通信による印刷機能について、図8に基づいて詳細に説明する。
【0085】
図8に示すように、プリンタ機能の要求通知がカラー印刷であるか否かを判定する(S550)。
【0086】
S550にてプリンタ機能の印刷要求通知がカラー印刷であると判定された場合、環境設定情報に含まれる制限情報に、プリンタ機能のカラー印刷の制限があるか否かを判定する(S560)。
【0087】
そして、プリンタ機能のカラー印刷が制限された操作者であれば、プリンタ機能の制限情報によりカラー印刷が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S570)。
【0088】
S550にてプリンタ機能の印刷要求通知が白黒印刷、またはS560にてカラー印刷であるがカラー印刷の制限のない操作者である場合には、制御部18はプリンタ部14に対して印刷処理を行うよう制御する(S580)。
【0089】
このようにして端末4〜6からプリンタ機能の印刷機能(プリンタ機能)要求があった場合に、プリンタ機能の制限情報に応じてカラーまたは白黒の制限を行うことでカラートナー代またはインク代などの節約を図ることができる。
【0090】
図3に戻って、S140にて起動要求の通知が端末装置4〜6からの印刷機能の要求通知でないと判断された場合、その起動要求の通知はスキャナ機能の要求か否かを制御部18が判定する(S160)。S160にて制御部18がスキャナ機能の要求通知があったと判定した場合、S170へ移行して制御部18によりスキャナ部13が制御される。
【0091】
ここで、S170のスキャナ機能について、図9に基づいて詳細に説明する。
【0092】
図9に示すように、スキャナ機能の要求通知がカラースキャンであるか否かを判定する(S600)。
【0093】
S600にてスキャナ機能のスキャナ要求通知がカラースキャンであると判定された場合、環境設定情報に含まれる制限情報に、スキャナ機能のカラースキャンの制限があるか否かを判定する(S610)。
【0094】
そして、スキャナ機能のカラースキャンが制限された操作者であれば、スキャナ機能の制限情報によりカラースキャンが使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S620)。
【0095】
S600にてプリンタ機能の印刷要求通知が白黒印刷、またはS610にてカラースキャンであるがカラースキャンの制限のない操作者である場合には、制御部18はスキャナ部14に対してスキャン処理を行うよう制御する(S630)。
【0096】
このようにして、スキャナ機能のスキャン要求があった場合に、スキャナ機能の制限情報に応じてカラーまたは白黒の制限を行うことで、ネットワーク2のトラフィックの増大を低減することにより、ネットワーク2のパフォーマンスを維持できる。
【0097】
以上、メモリカード10を操作者がそれぞれ持ち、複合機1を使用する際に、カードスロット部12に装着することで、制御部18がメモリカード10に格納された動作環境情報に応じて、スキャナ部13、プリンタ部14、電話部15を制御するので、それぞれの操作者に最適な使用環境が、メモリカード10を複合機1に装着するだけで実施することができる。従って、複数の操作者が使用していても、煩雑な操作なしにそれぞれの操作者にあった環境設定情報で複合機1を使用することができる。よって利便性が高い複合機1とすることができる。
【0098】
また、環境設定情報に格納された制限情報に基づいて、制御部18がスキャナ部13、プリンタ部14および電話部15の制御を行うので、各操作者に応じた制限情報をメモリカード10に格納させておくことで、操作者の権限に応じた使用環境とすることができる
。
【0099】
次に、メモリカード10に格納された印刷データを制御部18が読み出してプリンタ部14を制御して印刷する動作を図11に基づいて詳細に説明する。図11は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機1が、メモリカード10内の印刷データを印刷するときの動作を説明するフローチャートである。
【0100】
図11に示すように、ます制御部18が、操作者の操作部17の操作を検出する(S700)。この操作が、メモリカード10内の画像データの印刷を指示したものか否かを制御部18が判定する(S710)。画像データの印刷を指示したものでない場合は、S700へ戻る。
【0101】
S710にて、制御部18が、操作者が操作部17によりメモリカード10内の印刷データの印刷を指示したものであると判定した場合は、メモリカード10がカードスロット部12に挿入されているかを判定する(S720)。
【0102】
メモリカード10がカードスロット部12に挿入されていない場合は、操作者による挿入待ちとなり、この処理を繰り返す。なお、メモリカード10が、予めカードスロット部12へ挿入してある場合は、すぐ次の処理へ移行する。
【0103】
S720にて、メモリカード10がカードスロット部12へ挿入されたことを制御部18が検出した場合には、制御部18は操作者へメモリカード10内のどの画像データを印刷するかの選択を促す表示を操作部17へ出力する。操作者は、この表示によりメモリカード内10の画像データを選択する(S730)。本実施の形態では、印刷する画像データを選択するようにしたが、メモリデータ10内に格納されている画像データは全て印刷するようにしてもよい。
【0104】
操作者は、画像データの選択が終了するまでS730の処理を繰り返す(S740)。画像データの選択が終了すると操作部17のキー入力により制御部18へ通知される。
【0105】
操作者による画像データの選択が終了すると、制御部18はメモリカード10から環境設定情報を印刷設定情報として読み込み、プリンタ部14へ設定する(S750)。この場合の環境設定情報は、例えば、画像の縮小率や、印刷部数などである。
【0106】
制御部18は、S730にて選択された画像データをメモリカード10から読み込む(S760)。
【0107】
制御部18は、読み込んだ画像データをプリンタ部14へ出力する(S770)。
【0108】
環境設定情報にて指定された指定部数の印刷が終わった否かを制御部18が判定する(S780)。終了していない場合はS770へ戻る。
【0109】
指定された印刷部数の印刷が終了した場合には、全ての選択された画像データについて印刷されたか否かを判定し、終了していない場合にはS750へ移行する(S790)。
【0110】
このようにして、メモリカード10内に格納された画像データが印刷される。この画像データは、JEPG形式の写真や絵などに用いられるイメージデータの他に、テキストデータや、FAX送信に使用するデータなども環境設定情報にその画像データの種類を記述しておくことで、印刷が可能である。
【0111】
次に、メモリカード10内に、スキャナ部13や、プリンタ部14や、電話部15のデータ処理手段を制御するプログラム情報が格納されている場合の複合機1の動作を図12に基づいて説明する。図12は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機1が、メモリカード10内のプログラム情報を読み込んで実行するときの動作を説明するフローチャートである。
【0112】
図12に示すように、ます制御部18が、操作者の操作部17の操作を検出する(S800)。この操作が、複合機1内のプログラム情報の変更を要求したものか否かを判定する(S810)。複合機1内のプログラム情報の変更を要求したものでない場合は、S800へ戻る。
【0113】
S810にて、制御部18が、操作者が操作部17により複合機1内のプログラム情報を変更を要求したものであると判定した場合は、メモリカード10がカードスロット部12に挿入されているかを判定する(S820)。
【0114】
メモリカード10がカードスロット部12に挿入されていない場合は、操作者による挿入待ちとなり、この処理を繰り返す。なお、メモリカード10が、予めカードスロット部12へ挿入してある場合は、すぐ次の処理へ移行する。
【0115】
S820にて、メモリカード10がカードスロット部12へ挿入されたことを制御部18が検出した場合には、制御部18はメモリカード10内に格納されるプログラム情報を読み込む(S830)。
【0116】
制御部18によりメモリカード10内のプログラム情報の読み取りが終了すると、制御部18は、複合機1内のデータ処理部であるスキャナ部13、プリンタ部14および電話部15と、インタフェース部11と、画像処理部16と、および制御部18自身をリセットして初期状態に戻す(S840)。
【0117】
そして、制御部18は、メモリカード10より読み込んだ新しいプログラム情報にて動作する(S850)。これにより、スキャナ部13、プリンタ部14および電話部15の制御だけでなく、他のインタフェース部11や、画像処理部16などの機能追加や、バグの修正なども行うことができる。
【0118】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、例えば、プリンタ機能や、スキャナ機能や、電話機能を備えた複合機でなく、それぞれの機能のみを備えたプリンタ装置や、スキャナ装置や、FAX装置や、電話装置としてもメモリカードを装着可能なカードスロット部を備え、このメモリカードに環境設定情報を格納しておき、制御部がこの環境設定情報に応じてそれぞれの機能を制御することで実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、複数の操作者が使用していても、それぞれの操作者に最適な使用環境とすることができるので、印刷機能や、イメージ読み取り機能や、電話通信機能などを、単体で備えた装置や、複合的に備えた装置などのデータ処理装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を用いたデータ処理システムを説明する図
【図2】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を説明する図
【図3】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図4】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図5】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図6】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図7】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図8】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図9】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図10】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の制限情報の一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機が、メモリカード内の印刷データを印刷するときの動作を説明するフローチャート
【図12】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機が、メモリカード内のプログラム情報を読み込んで実行するときの動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0121】
1 複合機
2 ネットワーク
4〜6 端末装置
7 電話線
8 公衆回線網
10 メモリカード
11 インタフェース部
12 カードスロット部
13 スキャナ部
14 プリンタ部
15 電話部
16 画像処理部
17 操作部
18 制御部
【技術分野】
【0001】
印刷機能や、イメージ読み取り機能や、電話通信機能などを、単体で備えた装置や、複合的に備えた装置などのデータ処理装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、スキャナ装置などのようにデータを入力したり、データを出力したりするデータ処理装置がある。また、スキャナ装置とプリンタ装置の2つの機能を備え、連動させて制御することでコピーとしたり、公衆回線網との接続機能を備え、ネットワーク経由でFAXデータを送信することでFAXとしたりして使用するデータ処理装置もある。更に、FAX機能を有するデータ処理装置は、公衆回線網と接続する機能を有しているので、受話器を設ければ電話機としても機能することができる。このように、データ処理装置は、一つの機能としたり、二つ以上の機能を持たせたりしている。
【0003】
ところで、(特許文献1)に記載のデータ処理装置は、カラーレーザプリンタであり、直接スキャナを接続することで、プリンタ機能とスキャナ機能とを複合的に使用することができるものである。このプリンタは、着脱可能なPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)規格のカードを装着できるPCMCIAスロットを備えている。このPCMCIAスロットに、FAXモデムカードを装着することで、FAX機能を追加して使用することができる。
【特許文献1】特開平11−205523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この(特許文献1)に記載のデータ処理装置は、複数の操作者で使用するものであるので、それぞれの操作者が使用する場合には、個別にその機能に関する環境設定情報を登録する必要がある。
【0005】
例えば、FAX機能を備えたデータ処理装置である場合には、電子電話帳を環境設定情報として備えていると利便性が高くなるが、操作者が変わると必然的に電子電話帳の内容も異なってくる。全ての操作者の電子電話帳の情報をデータ処理装置内に格納しておくことも考えられるが、これでは知られたくない電話番号まで他の操作者に知られてしまう。
【0006】
電子電話帳を開く際に認証を行う方法も考えられるが、これでは操作が煩雑である。
【0007】
そこで本発明は、複数の操作者が使用していても、煩雑な環境設定情報の登録の操作なしに使用することができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデータ処理装置は、データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段と、前記データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、前記記録媒体に格納された環境設定情報を読み取り、前記環境設定情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作者がデータ処理装置を使用するに、それぞれの操作者に最適な使用環境とした環境設定情報が格納された記録媒体を、データ処理装置に装着するだけで、
煩雑な環境設定情報の登録の操作なしに使用することができる。よって、複数の操作者が使用していても、それぞれの操作者に最適な使用環境とすることができるので、利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の請求項1の発明は、データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段と、データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、記録媒体に格納された環境設定情報を読み取り、環境設定情報に基づいてデータ処理手段の制御を行う制御手段とを備えたことを特徴としたものである。
【0011】
データ処理手段に対応する環境設定情報を記録媒体に格納しているので、各操作者がそれぞれ各自に最適な環境設定情報を格納した記録媒体を持ち、この記録媒体を操作者がデータ処理装置を使用する際に装着手段に装着する。制御手段は、装着された記録媒体から環境設定情報を読み取り、この環境設定情報に基づいてデータ処理手段を制御する。
【0012】
これにより、データ処理装置を使用するに、記憶媒体をデータ処理装置に装着するだけで、複数の操作者が使用していても、煩雑な操作なしにそれぞれの操作者にあった環境設定情報でデータ処理装置を使用することができる。よって利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【0013】
本発明の請求項2の発明は、制御手段は、環境設定情報に含まれたデータ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいてデータ処理手段の制御を行う機能を備えたことを特徴としたものである。
【0014】
環境設定情報に格納されたデータ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいて、制御手段がデータ処理手段の制御を行うので、各操作者に応じた制限情報を記録媒体に格納させておくことで、操作者の権限に応じた使用環境とすることができる。例えば制限情報を、他の操作者の電話帳へ読み取り権限などのようにアクセス権とした場合には、セキュリティの向上が図れる。
【0015】
本発明の請求項3の発明は、制御手段は、記録媒体に格納されたプログラム情報に基づいてデータ処理手段の制御を行う機能を備えたことを特徴としたものである。
【0016】
記録媒体に環境設定情報だけでなく、制御手段がデータ処理手段を制御するプログラム情報を格納しておくことで、制御手段がデータ処理手段を制御するに、データ処理手段の機能を変更することができる。
【0017】
本発明の請求項4の発明は、データ処理手段は印刷データを印刷する印刷手段であり、記録媒体に印刷手段に関する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていると、制御手段は、印刷設定情報に基づいて印刷データを、印刷手段を制御して印刷することを特徴としたものである。
【0018】
データ処理手段を、印刷データを印刷する印刷手段としたときに、記録媒体に印刷手段に関する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていれば、制御手段が、印刷設定情報に基づいて印刷データを、印刷手段を制御して印刷するので、印刷する度に印刷データに対応する印刷設定情報を登録する必要が省略できる。従って、印刷設定情報の登録の煩雑さがないので、利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【0019】
本発明の請求項5の発明は、データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段
と、データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、データ処理手段を制御する制御手段とを有するデータ処理装置の制御方法において、制御手段が、記録媒体に格納された環境設定情報を読み取るステップと、制御手段が、読み取った環境設定情報に基づいてデータ処理手段の制御を行うステップとを含むことを特徴としたものである。
【0020】
データ処理手段に対応する環境設定情報を記録媒体に格納しているので、各操作者がそれぞれ各自に最適な環境設定情報を格納した記録媒体を持ち、この記録媒体を操作者がデータ処理装置を使用する際に装着手段に装着する。制御手段は、装着された記録媒体から環境設定情報を読み取り、この環境設定情報に基づいてデータ処理手段を制御する。
【0021】
これにより、データ処理装置を使用するに、それぞれの操作者に最適な使用環境が、記録媒体をデータ処理装置に装着するだけで実施することができるので、複数の操作者が使用していても、煩雑な操作なしにそれぞれの操作者にあった環境設定情報でデータ処理装置を使用することができる。よって利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【0022】
本発明の請求項6の発明は、制御手段が、環境設定情報に含まれたデータ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいてデータ処理手段の制御を行うステップを含むことを特徴としたものである。
【0023】
環境設定情報に格納されたデータ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいて、制御手段がデータ処理手段の制御を行うので、各操作者に応じた制限情報を記録媒体に格納させておくことで、操作者の権限に応じた使用環境とすることができ、制限情報を、例えば他の操作者の電話帳へ読み取り権限などのようにアクセス権とした場合には、セキュリティの向上が図れる。
【0024】
本発明の請求項7の発明は、制御手段が、記録媒体に格納されたプログラム情報に基づいてデータ処理手段の制御を行うステップを含むことを特徴としたものである。
【0025】
記録媒体に環境設定情報だけでなく、制御手段がデータ処理手段を制御するプログラム情報を格納しておくことで、制御手段がデータ処理手段を制御するに、データ処理手段の機能を変更することができる。
【0026】
本発明の請求項8の発明は、データ処理手段が印刷データを印刷する印刷手段であり、記録媒体に印刷手段に対する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていると、制御手段が、印刷設定情報に基づいて印刷データを、印刷手段を制御して印刷するステップを含むことを特徴としたものである。
【0027】
データ処理手段を、印刷データを印刷する印刷手段としたときに、記録媒体に印刷手段に関する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていれば、制御手段が、印刷設定情報に基づいて印刷データを、印刷手段を制御して印刷するので、印刷する度に印刷データに対応する印刷設定情報を登録する必要が省略できる。従って、印刷設定情報の登録の煩雑さがないので、利便性が高いデータ処理装置とすることができる。
【0028】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を、複合機を例に図1および図2に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を用いたデータ処理システムを説明する図である。図2は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を説明する図である。
【0029】
図1に示すように、データ処理システムの複合機1は、ネットワーク2に接続され、このネットワーク2に接続された端末装置4〜6から共通して使用される。また、複合機1は、電話線7を介して公衆回線網8と接続されている。それぞれの端末装置4〜6を操作する操作者は、それぞれ記録媒体であるメモリカード10(10a〜10c)を持っている。また端末装置4〜6を使用しない者でも、複合機1を操作する操作者であれば、メモリカード10を持っていてもよい。
【0030】
ネットワーク2は、LAN(Local Area Network)や、USB(Universal Serial Bus)などが使用できる。
【0031】
図2に示すように、複合機1は、インタフェース部11と、カードスロット部12と、スキャナ部13と、プリンタ部14と、電話部15と、画像処理部16と、操作部17と、制御部18とを備えている。
【0032】
インタフェース部11は、ネットワーク2を介して端末装置4〜6と通信する機能を有している。ネットワーク2が100BASE−Tであれば、インタフェース部11と図示しないハブとをより対線のケーブルで接続される。
【0033】
カードスロット部12は、メモリカード10を着脱可能に装着する装着手段である。メモリカード10は、例えば、SD(Secure Digital)メモリカードや、CF(Compact Flash)や、PCMCIA規格のメモリカードを使用することができる。
【0034】
スキャナ部13は、印刷物を読み取り、イメージデータとして画像処理部16へ出力する。
【0035】
プリンタ部14は、制御部18から入力した印刷データを紙媒体に印刷する。本実施の形態では、プリンタ部14はカラー印刷可能なカラープリンタエンジンである。この複合機1は、制御部18の制御により、スキャナ部13から読み取ったデータをプリンタ部14で印刷することでコピー機としても機能する。
【0036】
電話部15は、公衆回線網8と接続可能な手段であり、電話部15は、受話器やマイクおよびスピーカにより通話も可能である。また、図1に示される端末装置4〜6から送信されたFAXデータを、制御部18から入力して公衆回線網8へFAXすることができる。また、制御部18の制御により、送信原稿となる印刷物をスキャナ部13から読み取り電話部15から公衆回線網8へ送信することもできる。
【0037】
これらのスキャナ部13,プリンタ部14、または電話部15は、データを入力したり、データを出力したりするデータ処理手段である。
【0038】
画像処理部16は、スキャナ部13から読み取ったデータをJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式や、GIF(Graphic Interchange Format)形式などのイメージデータへ変換して制御部18へ出力する。
【0039】
操作部17は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示手段や、操作ボタンなどの入力手段を備えている。例えば、コピーする場合には、コピー部数を操作ボタンの数字キーを押下することで入力したり、FAXや電話機として使用する場合には、操作ボタンの数字キーで相手電話番号を入力したりする。
【0040】
制御部18は、インタフェース部11と、カードスロット部12と、スキャナ部13と、プリンタ部14と、電話部15と、画像処理部16と、操作部17とを統括制御する制御手段である。制御部18は、データ処理手段であるスキャナ部13と、プリンタ部14と、電話部15とを制御する際には、メモリカード10に格納された環境設定情報に基づいて制御する。
【0041】
以上のように構成される本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の動作を、複合機1を例に図3から図10に基づいて、特に制限情報に基づく機能制限について詳細に説明する。図3から図9は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機1の動作を説明するフローチャートである。図10は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の制限情報の一例を示す表である。
【0042】
なお、スキャナ部13はカラー読み込みの機能を有しており、プリンタ部14はカラー印刷機能を有しているものとする。従って、FAX送信する際もカラーでの送信が可能であり、コピーする際もカラーコピーが可能である。
【0043】
図3に示すように、まず制御部18は、カードスロット部12にメモリカード10が装着しているか否かを判断する(S10)。
【0044】
カードスロット部12にメモリカード10が装着されていると、制御部18は、メモリカード10にアクセスして環境設定情報が格納されているか否かを判定する(S20)。
【0045】
メモリカード10に環境設定情報が格納されている場合、制御部18は、この環境設定情報を読み込み使用するスキャナ部13や、プリンタ部14や、電話部15に設定の登録を行う。例えば、環境設定情報は、スキャナ部13を400dpiとするか600dpiとするか、プリンタ部14を両面印刷とするか、片面印刷とするか、電話部15の電子電話帳などである。
【0046】
ここで、環境設定情報に含まれる制限情報について図10に基づいて詳細に説明する。制限情報は、スキャナ部13や、プリンタ部14や、電話部15を使用する際に、そのメモリカード10の所有者である操作者の使用できる機能を制限する情報である。なお、図中「○」は使用可能を意味しており、「×」は制限されていることを意味しており、「−」は機能上無関係であることを意味している。
【0047】
図10に示すように、制限情報は、電話部15を使用する電話機能およびFAX機能と、スキャナ部13とプリンタ部14を使用するコピー機能と、プリンタ部14を使用する画像印刷機能およびプリンタ機能と、スキャナ部13を使用するスキャナ機能とがある。
【0048】
まず、機能の制限情報は、これらの機能が使用できるか否かを示す。そして、電話機能の制限情報は、通話の発信先を国内への発信が可能であるか、国内または海外でも発信可能であるかを示す。
【0049】
FAX機能の制限情報は、電話機能と同様に、発信先が国内のみか、国内と海外両方にできるか否かを示す。また白黒のみかカラーも使用できるかを示す情報もある。これは、送信するFAXデータをカラーで送信すると、FAXデータは白黒の場合より増大する。FAXデータの増大は通信時間の増大となり通信費が嵩む。従って、FAX機能でカラーを使用できる操作者を制限することで、通信費の抑制を図ることができる。
【0050】
コピー機能の制限情報は、白黒コピーのみか、またはカラーコピーも使用できるかを示
す。カラーコピーは、多色のトナーやインクを使用するため、コストが嵩む。従って、コピー機能でカラーコピーを使用できる操作者を制限することで、トナー代やインク代の抑制を図ることができる。
【0051】
端末装置4〜6から送信された印刷データを印刷するプリンタ機能や、印刷物をイメージデータとして読み取るスキャナ機能の制限情報も同様に、白黒のみか、またはカラーも使用できるかを示す。
【0052】
図3に戻って、制御部18は、各種の機能の起動要求の通知があるか否かを判定する(S50)。S50にて起動要求の通知がない場合は、起動要求待ちとなりS50を繰り返す。
【0053】
例えば、操作者が電話部15の受話器をオフフックした場合は、電話部15から制御部18へその旨の通知がされ、S60にて電話機能の要求通知であることが判定され、S70へ移行する。S70にて制御部18により電話部15が制御され、電話機能が実行される。
【0054】
ここでS70の電話機能について詳細に、図4に基づいて説明する。
【0055】
図4に示すように、まず環境設定情報に含まれる制限情報に、電話機能の制限があるか否かを判定する(S200)。そして、電話機能が制限された操作者であれば、電話機能の制限情報により電話機能が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S210)。電話機能の制限がない操作者であれば、S220へ移行する。
【0056】
電話機能要求の発信先は、国内かまたは海外かを、電話部15から通知される発信番号から制御部18が判定する(S220)。
【0057】
そして発信先が国内である場合には、制御部18は電話部15に対して発呼処理および通話処理を行うよう制御する(S230)。
【0058】
発信先が海外である場合には、海外通話が制限されているか否かを制限情報から制御部18が判定する(S240)。海外通話が制限されている操作者である場合には、S210へ移行する。
【0059】
このようにして電話機能要求があった場合に、電話機能の制限情報に応じて操作者が使用できる通話先を制限できる。
【0060】
図3に戻って、S60にて起動要求の通知が電話機能でない場合、その起動要求の通知はFAX機能の要求か否かを制御部18が判定する(S80)。S80にて制御部18がFAX機能の要求通知があったと判定した場合、S90へ移行して制御部18によりスキャナ部13および電話部15が制御され、FAX機能が実行される。これは例えば、端末装置4〜6から複合機1へのFAX送信要求の通知が受信された場合や、複合機1の操作部17を操作してのFAX送信要求の通知が制御部18へ発生した場合である。
【0061】
ここで、S90のFAX機能について、図5に基づいて詳細に説明する。
【0062】
図5に示すように、まず環境設定情報に含まれる制限情報に、FAX機能の制限があるか否かを判定する(S300)。そして、FAX機能が制限された操作者であれば、FAX機能の制限情報によりFAX機能が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S310)。FAX機能の制限がない操作者であれば、S320へ移
行する。
【0063】
FAX機能要求の発信先は、国内かまたは海外かを、電話部15から通知される発信番号から制御部18が判定する。発信先が国内である場合には、S340へ移行する(S320)。
【0064】
発信先が海外である場合には、海外通話が制限されているか否かを制限情報から制御部18が判定する(S330)。海外通話が制限されている操作者である場合には、S310へ移行する。
【0065】
そしてS320にて、発信先が国内である場合と、S330にて発信先が海外であるが、海外への発信が制限されていない場合に、FAX機能要求がカラー通信を要求しているか否かを判定する(S340)。
【0066】
FAX機能要求がカラー通信である場合には、カラー通信が制限されているか否かを判定する(S350)。S350にて、FAX機能要求がカラー通信であって、カラー通信の制限がある場合S310へ移行する。
【0067】
S350にて、カラー通信の制限がない場合は、制御部18はスキャナ部13にて印刷物を読み取り、電話部15に対して発呼処理および通話処理を行うよう制御する(S360)。つまり、カラー通信であればカラー通信を行い、白黒通信であれば白黒通信を行う。
【0068】
このようにしてFAX機能要求があった場合に、FAX機能の制限情報に応じて操作者が使用できる通話先の制限、およびカラーまたは白黒の制限を行うことで通信費などの節約を図ることができる。
【0069】
図3に戻って、S80にて起動要求の通知がFAX機能でない場合、その起動要求の通知はコピー機能の要求か否かを制御部18が判定する(S100)。例えば、操作部17を操作してのコピー機能を起動する要求通知が制御部18へ発生した場合である。
【0070】
S100にて制御部18がコピー機能の要求通知があったと判定した場合、S110へ移行して制御部18によりスキャナ部13およびプリンタ部14が制御され、コピー機能が実行される。
【0071】
ここで、S110のコピー機能について、図6に基づいて詳細に説明する。
【0072】
図6に示すように、まず環境設定情報に含まれる制限情報に、コピー機能の制限があるか否かを判定する(S400)。そして、コピー機能が制限された操作者であれば、コピー機能の制限情報によりコピー機能が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S410)。コピー機能の制限がない操作者であれば、S420へ移行する。
【0073】
コピー機能要求がカラーコピーを要求しているか否かを判定する(S420)。
【0074】
コピー機能要求がカラーコピーである場合には、カラーコピーが制限されているか否かを判定する(S430)。S430にて、コピー機能要求がカラーコピーであって、カラーコピーの制限がある場合S410へ移行する。
【0075】
S430にて、カラーコピーの制限がない場合は、制御部18はスキャナ部13にて印
刷物を読み取り、プリンタ部14に対して印刷処理を行うよう制御する(S440)。つまり、カラーコピーであればカラーコピーを行い、白黒コピーであれば白黒コピーを行う。
【0076】
このようにしてコピー機能要求の通知があった場合に、コピー機能の制限情報に応じて操作者が使用できるカラーまたは白黒の制限を行うことでトナー代やインク代などの節約を図ることができる。
【0077】
図3に戻って、S100にて起動要求の通知がコピー機能でない場合、その起動要求の通知は画像印刷機能の要求か否かを制御部18が判定する(S120)。S120にて画像印刷機能の要求通知があったと判定した場合、S130へ移行して制御部18によりカードスロット部12に装着されたメモリカード10から画像データが読み込まれプリンタ部14を制御して画像印刷機能が実行される。これは、メモリカード10にデジタルカメラで撮影されたJPEG形式などの画像データが格納され、その画像データの記録フォーマットがDPOF(Digital Print Order Format)として格納されており、そして、このメモリカード10がカードスロット部12に装着された場合などである。
【0078】
ここで、S130の画像印刷機能について、図7に基づいて詳細に説明する。
【0079】
図7に示すように、まず環境設定情報に含まれる制限情報に、画像印刷機能の制限があるか否かを判定する(S500)。そして、画像印刷機能が制限された操作者であれば、画像印刷機能の制限情報により画像印刷機能が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S510)。画像印刷機能の制限がない操作者であれば、S520へ移行する。
【0080】
画像印刷機能の制限がない場合は、制御部18はメモリカード10に格納されたDPOFファイルを読み込むとともに、格納された画像データを読み込む(S520)。
【0081】
そして、制御部18は、DPOFファイルに応じて画像データを画像処理部16にて処理させた後、プリンタ部14に対して、印刷処理を行うよう制御する(S530)。
【0082】
このようにして、画像印刷機能要求があった場合に、画像印刷機能の制限情報に応じて操作者が画像データの印刷を使用できるか否かの制限を行うことができる。画像印刷は、大量にカラーで印刷されるため、カラーのトナー代などが嵩む。従ってカラーのトナーやインク代の節約を図ることができる。
【0083】
図3に戻って、S120にて起動要求の通知が画像印刷機能でない場合、その起動要求の通知は端末装置4〜6から通信による印刷機能(プリンタ機能)の要求か否かを制御部18が判定する(S140)。S140にて通信による印刷機能の要求通知があったと判定した場合、S150へ移行して、プリンタ部14を制御して印刷機能が実行される。
【0084】
ここで、S150の通信による印刷機能について、図8に基づいて詳細に説明する。
【0085】
図8に示すように、プリンタ機能の要求通知がカラー印刷であるか否かを判定する(S550)。
【0086】
S550にてプリンタ機能の印刷要求通知がカラー印刷であると判定された場合、環境設定情報に含まれる制限情報に、プリンタ機能のカラー印刷の制限があるか否かを判定する(S560)。
【0087】
そして、プリンタ機能のカラー印刷が制限された操作者であれば、プリンタ機能の制限情報によりカラー印刷が使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S570)。
【0088】
S550にてプリンタ機能の印刷要求通知が白黒印刷、またはS560にてカラー印刷であるがカラー印刷の制限のない操作者である場合には、制御部18はプリンタ部14に対して印刷処理を行うよう制御する(S580)。
【0089】
このようにして端末4〜6からプリンタ機能の印刷機能(プリンタ機能)要求があった場合に、プリンタ機能の制限情報に応じてカラーまたは白黒の制限を行うことでカラートナー代またはインク代などの節約を図ることができる。
【0090】
図3に戻って、S140にて起動要求の通知が端末装置4〜6からの印刷機能の要求通知でないと判断された場合、その起動要求の通知はスキャナ機能の要求か否かを制御部18が判定する(S160)。S160にて制御部18がスキャナ機能の要求通知があったと判定した場合、S170へ移行して制御部18によりスキャナ部13が制御される。
【0091】
ここで、S170のスキャナ機能について、図9に基づいて詳細に説明する。
【0092】
図9に示すように、スキャナ機能の要求通知がカラースキャンであるか否かを判定する(S600)。
【0093】
S600にてスキャナ機能のスキャナ要求通知がカラースキャンであると判定された場合、環境設定情報に含まれる制限情報に、スキャナ機能のカラースキャンの制限があるか否かを判定する(S610)。
【0094】
そして、スキャナ機能のカラースキャンが制限された操作者であれば、スキャナ機能の制限情報によりカラースキャンが使用できない旨の表示を制御部18が操作部17のLCDへ表示する(S620)。
【0095】
S600にてプリンタ機能の印刷要求通知が白黒印刷、またはS610にてカラースキャンであるがカラースキャンの制限のない操作者である場合には、制御部18はスキャナ部14に対してスキャン処理を行うよう制御する(S630)。
【0096】
このようにして、スキャナ機能のスキャン要求があった場合に、スキャナ機能の制限情報に応じてカラーまたは白黒の制限を行うことで、ネットワーク2のトラフィックの増大を低減することにより、ネットワーク2のパフォーマンスを維持できる。
【0097】
以上、メモリカード10を操作者がそれぞれ持ち、複合機1を使用する際に、カードスロット部12に装着することで、制御部18がメモリカード10に格納された動作環境情報に応じて、スキャナ部13、プリンタ部14、電話部15を制御するので、それぞれの操作者に最適な使用環境が、メモリカード10を複合機1に装着するだけで実施することができる。従って、複数の操作者が使用していても、煩雑な操作なしにそれぞれの操作者にあった環境設定情報で複合機1を使用することができる。よって利便性が高い複合機1とすることができる。
【0098】
また、環境設定情報に格納された制限情報に基づいて、制御部18がスキャナ部13、プリンタ部14および電話部15の制御を行うので、各操作者に応じた制限情報をメモリカード10に格納させておくことで、操作者の権限に応じた使用環境とすることができる
。
【0099】
次に、メモリカード10に格納された印刷データを制御部18が読み出してプリンタ部14を制御して印刷する動作を図11に基づいて詳細に説明する。図11は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機1が、メモリカード10内の印刷データを印刷するときの動作を説明するフローチャートである。
【0100】
図11に示すように、ます制御部18が、操作者の操作部17の操作を検出する(S700)。この操作が、メモリカード10内の画像データの印刷を指示したものか否かを制御部18が判定する(S710)。画像データの印刷を指示したものでない場合は、S700へ戻る。
【0101】
S710にて、制御部18が、操作者が操作部17によりメモリカード10内の印刷データの印刷を指示したものであると判定した場合は、メモリカード10がカードスロット部12に挿入されているかを判定する(S720)。
【0102】
メモリカード10がカードスロット部12に挿入されていない場合は、操作者による挿入待ちとなり、この処理を繰り返す。なお、メモリカード10が、予めカードスロット部12へ挿入してある場合は、すぐ次の処理へ移行する。
【0103】
S720にて、メモリカード10がカードスロット部12へ挿入されたことを制御部18が検出した場合には、制御部18は操作者へメモリカード10内のどの画像データを印刷するかの選択を促す表示を操作部17へ出力する。操作者は、この表示によりメモリカード内10の画像データを選択する(S730)。本実施の形態では、印刷する画像データを選択するようにしたが、メモリデータ10内に格納されている画像データは全て印刷するようにしてもよい。
【0104】
操作者は、画像データの選択が終了するまでS730の処理を繰り返す(S740)。画像データの選択が終了すると操作部17のキー入力により制御部18へ通知される。
【0105】
操作者による画像データの選択が終了すると、制御部18はメモリカード10から環境設定情報を印刷設定情報として読み込み、プリンタ部14へ設定する(S750)。この場合の環境設定情報は、例えば、画像の縮小率や、印刷部数などである。
【0106】
制御部18は、S730にて選択された画像データをメモリカード10から読み込む(S760)。
【0107】
制御部18は、読み込んだ画像データをプリンタ部14へ出力する(S770)。
【0108】
環境設定情報にて指定された指定部数の印刷が終わった否かを制御部18が判定する(S780)。終了していない場合はS770へ戻る。
【0109】
指定された印刷部数の印刷が終了した場合には、全ての選択された画像データについて印刷されたか否かを判定し、終了していない場合にはS750へ移行する(S790)。
【0110】
このようにして、メモリカード10内に格納された画像データが印刷される。この画像データは、JEPG形式の写真や絵などに用いられるイメージデータの他に、テキストデータや、FAX送信に使用するデータなども環境設定情報にその画像データの種類を記述しておくことで、印刷が可能である。
【0111】
次に、メモリカード10内に、スキャナ部13や、プリンタ部14や、電話部15のデータ処理手段を制御するプログラム情報が格納されている場合の複合機1の動作を図12に基づいて説明する。図12は、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機1が、メモリカード10内のプログラム情報を読み込んで実行するときの動作を説明するフローチャートである。
【0112】
図12に示すように、ます制御部18が、操作者の操作部17の操作を検出する(S800)。この操作が、複合機1内のプログラム情報の変更を要求したものか否かを判定する(S810)。複合機1内のプログラム情報の変更を要求したものでない場合は、S800へ戻る。
【0113】
S810にて、制御部18が、操作者が操作部17により複合機1内のプログラム情報を変更を要求したものであると判定した場合は、メモリカード10がカードスロット部12に挿入されているかを判定する(S820)。
【0114】
メモリカード10がカードスロット部12に挿入されていない場合は、操作者による挿入待ちとなり、この処理を繰り返す。なお、メモリカード10が、予めカードスロット部12へ挿入してある場合は、すぐ次の処理へ移行する。
【0115】
S820にて、メモリカード10がカードスロット部12へ挿入されたことを制御部18が検出した場合には、制御部18はメモリカード10内に格納されるプログラム情報を読み込む(S830)。
【0116】
制御部18によりメモリカード10内のプログラム情報の読み取りが終了すると、制御部18は、複合機1内のデータ処理部であるスキャナ部13、プリンタ部14および電話部15と、インタフェース部11と、画像処理部16と、および制御部18自身をリセットして初期状態に戻す(S840)。
【0117】
そして、制御部18は、メモリカード10より読み込んだ新しいプログラム情報にて動作する(S850)。これにより、スキャナ部13、プリンタ部14および電話部15の制御だけでなく、他のインタフェース部11や、画像処理部16などの機能追加や、バグの修正なども行うことができる。
【0118】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、例えば、プリンタ機能や、スキャナ機能や、電話機能を備えた複合機でなく、それぞれの機能のみを備えたプリンタ装置や、スキャナ装置や、FAX装置や、電話装置としてもメモリカードを装着可能なカードスロット部を備え、このメモリカードに環境設定情報を格納しておき、制御部がこの環境設定情報に応じてそれぞれの機能を制御することで実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、複数の操作者が使用していても、それぞれの操作者に最適な使用環境とすることができるので、印刷機能や、イメージ読み取り機能や、電話通信機能などを、単体で備えた装置や、複合的に備えた装置などのデータ処理装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を用いたデータ処理システムを説明する図
【図2】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置を説明する図
【図3】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図4】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図5】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図6】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図7】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図8】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図9】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の動作を説明するフローチャート
【図10】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機の制限情報の一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機が、メモリカード内の印刷データを印刷するときの動作を説明するフローチャート
【図12】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の一例である複合機が、メモリカード内のプログラム情報を読み込んで実行するときの動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0121】
1 複合機
2 ネットワーク
4〜6 端末装置
7 電話線
8 公衆回線網
10 メモリカード
11 インタフェース部
12 カードスロット部
13 スキャナ部
14 プリンタ部
15 電話部
16 画像処理部
17 操作部
18 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段と、
前記データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、
前記記録媒体に格納された環境設定情報を読み取り、前記環境設定情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記環境設定情報に含まれた前記データ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行う機能を備えたことを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録媒体に格納されたプログラム情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行う機能を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記データ処理手段は印刷データを印刷する印刷手段であり、前記記録媒体に前記印刷手段に関する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていると、前記制御手段は、前記印刷設定情報に基づいて前記印刷データを、前記印刷手段を制御して印刷することを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段と、前記データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、前記データ処理手段を制御する制御手段とを有するデータ処理装置の制御方法において、
前記制御手段が、前記記録媒体に格納された前記環境設定情報を読み取るステップと、
前記制御手段が、読み取った前記環境設定情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行うステップとを含むことを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項6】
前記制御手段が、前記環境設定情報に含まれた前記データ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行うステップを含むことを特徴とする請求項5記載のデータ処理装置の制御方法。
【請求項7】
前記制御手段が、前記記録媒体に格納されたプログラム情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行うステップを含むことを特徴とする請求項5または6に記載のデータ処理装置の制御方法。
【請求項8】
前記データ処理手段が印刷データを印刷する印刷手段であり、前記記録媒体に前記印刷手段に対する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていると、前記制御手段が、前記印刷設定情報に基づいて前記印刷データを、前記印刷手段を制御して印刷するステップを含むことを特徴とする請求項5から7のいずれかの項に記載のデータ処理装置の制御方法。
【請求項1】
データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段と、
前記データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、
前記記録媒体に格納された環境設定情報を読み取り、前記環境設定情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記環境設定情報に含まれた前記データ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行う機能を備えたことを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録媒体に格納されたプログラム情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行う機能を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記データ処理手段は印刷データを印刷する印刷手段であり、前記記録媒体に前記印刷手段に関する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていると、前記制御手段は、前記印刷設定情報に基づいて前記印刷データを、前記印刷手段を制御して印刷することを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
データの入力またはデータの出力が可能なデータ処理手段と、前記データ処理手段に対応する環境設定情報が格納された記録媒体を着脱可能に装着する装着手段と、前記データ処理手段を制御する制御手段とを有するデータ処理装置の制御方法において、
前記制御手段が、前記記録媒体に格納された前記環境設定情報を読み取るステップと、
前記制御手段が、読み取った前記環境設定情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行うステップとを含むことを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項6】
前記制御手段が、前記環境設定情報に含まれた前記データ処理手段の機能を制限する制限情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行うステップを含むことを特徴とする請求項5記載のデータ処理装置の制御方法。
【請求項7】
前記制御手段が、前記記録媒体に格納されたプログラム情報に基づいて前記データ処理手段の制御を行うステップを含むことを特徴とする請求項5または6に記載のデータ処理装置の制御方法。
【請求項8】
前記データ処理手段が印刷データを印刷する印刷手段であり、前記記録媒体に前記印刷手段に対する環境設定情報が印刷設定情報として格納されているとともに、印刷データが格納されていると、前記制御手段が、前記印刷設定情報に基づいて前記印刷データを、前記印刷手段を制御して印刷するステップを含むことを特徴とする請求項5から7のいずれかの項に記載のデータ処理装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−109215(P2006−109215A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294808(P2004−294808)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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