データ処理装置
【課題】A/D変換器のサンプリング周波数を高速化することなく、高周波ノイズが入力した場合の誤動作を簡易的に防止することができるデータ処理装置を提供する。
【解決手段】A/D変換器からのサンプリング値Snを記憶した後、ピーク値Spと比較し、ピーク値Spより大きいとき、ピーク値Spを更新する。一方、サンプリング値Snがピーク値Spより小さい場合、サンプリング値Snがオフセット値(0V)より小さく、ピーク値Spが0.1Vより大きいとき、ピーク値Spのサンプリング値Snを記憶しているメモリの記憶領域にフラグをセットし、一定期間内のフラグの数が4より大きいと判定した場合、高周波ノイズが含まれていると判断し、データ処理部での判定を禁止する。
【解決手段】A/D変換器からのサンプリング値Snを記憶した後、ピーク値Spと比較し、ピーク値Spより大きいとき、ピーク値Spを更新する。一方、サンプリング値Snがピーク値Spより小さい場合、サンプリング値Snがオフセット値(0V)より小さく、ピーク値Spが0.1Vより大きいとき、ピーク値Spのサンプリング値Snを記憶しているメモリの記憶領域にフラグをセットし、一定期間内のフラグの数が4より大きいと判定した場合、高周波ノイズが含まれていると判断し、データ処理部での判定を禁止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号のA/D変換出力により波形の特徴検出等のデータ処理を行うデータ処理装置に関し、特に、ノイズによる誤動作を防止することができるデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
あるセンサから得られた信号に基づいて何らかの制御を行うといった装置は多数存在し、例えば、車両のセキュリティシステムでは、アーミング(警戒)中に不正なドア開、車室内への侵入、車両の振動、ガラス割れ等の不正侵入を検出するとアラームを発生させたり、あるいは所定場所に不正侵入があったことを無線通報するようにしているが、このセキュリティシステムに使用される侵入センサでは、物体の移動による波形の変動を抽出することで車両への不正侵入の有無を検出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−142660号公報
【0003】
図17は一般的なセキュリティシステムの構成を示すブロック図であり、セキュリティECU51はロック制御を行うキーレスエントリー機能を内蔵しており、車両のドアロック/アンロック制御、ドアの開閉制御を行ったり、不正な手段による車室内への侵入等があったとき警報を発したりするもので、送信機52からの要求信号に応じてアーミング/ディスアーミング制御、車両のドアロック/アンロック制御等を行う。
送信機52はロックボタンLとアンロックボタンUを有し、ロックボタンLの押下によりセキュリティセット(アーミング)、アンロックボタンUの押下によりセキュリティリセット(ディスアーミング)となる。
【0004】
このセキュリティECU51には、ドアの開閉状態を検出するカーテシSW53、フードの開閉状態を検出するフードSW54、正規の方法以外でドアが開けられたり、車室内への侵入があったことを検出する侵入センサ55、車両の振動を検出する振動センサ56、イグニッションスイッチのオン/オフのスイッチング状態を検出するIGSW57、ドアのロック、アンロックを検出するロックポジションSW58等のSWやセンサの出力が入力されるとともに、ドアのロック、アンロックを行うドアロック機構を駆動するロックモータ59、警報時に警報動作を行うホーン60、ハザードランプ61等が接続されている。
【0005】
また、図18は上記の侵入センサ55の一例を示すもので、ミリ波帯の高周波信号を使用した侵入センサの構成を示すブロック図であり、4MHzの高周波信号を発生する発振回路61の出力が逓倍・増幅回路62により24GHzの周波数信号に逓倍・増幅され、送信アンテナ63から送出される。そして、送信アンテナ63からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波が受信アンテナ64によって受信され、受信アンテナ64からの受信信号と逓倍・増幅回路62からの送信信号を混合回路66により混合し、検波回路67に入力する。
そして、検波回路67が受信信号と送信信号との差の周波数成分をビート信号として抽出し、マイコン68は検波回路67の出力をA/D変換したデータに基づいて、物体の移動による波形の変動を抽出することで車両への不正侵入の有無を検出するようになっている。
【0006】
上記の侵入センサのように、入力信号をデータ処理するマイコンを利用したデータ処理装置では、センサからの信号をA/D変換器でサンプリングしてデジタル化し、このデジタル信号に基づいてデータ処理回路で判定処理を行っている。
この場合、サンプリング周期が短いと、A/D変換された波形は現信号に近いものとなるが、サンプリング周期が長いと、A/D変換された波形は原信号から離れたものとなり、原信号の波形の形を認識することができないので、通常、原信号に含まれる最高周波数がfpである場合、サンプリング周波数を2fp以上にしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のデータ処理装置は上記のように構成されているが、そのシステムで必要な周波数成分よりも高い周波数を有する信号が外来ノイズとしてセンサに入力された場合、A/D変換器のサンプリング周波数よりも高い周波数成分の信号は波形を認識できないため、外来ノイズか否かの認識がうまくできず、誤動作する可能性があるので、高周波ノイズが入った場合は、データ処理を中止する必要がある。
【0008】
高周波信号の波形を正確に認識するためには、その周波数の10倍程度のサンプリング周波数を使用する必要があるが、マイコンのA/Dサンプリング周波数を高速化すると、高機能で処理能力の高いマイコンが必要となり、データ処理装置のコストが上昇するという問題が生じる。
【0009】
一方、データ処理装置として、周期は不定であるが、ほぼ一定時間間隔の信号を検出するものがあるが、このようなデータ処理装置に、一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号、例えば、図19に示すような携帯電話の電源オン・オフ信号が入力された場合、このような信号もA/D変換器のサンプリング周波数を高くしないと、同様に波形の認識がうまくできないので、データ処理装置が誤動作することがあった。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、A/D変換器のサンプリング周波数を高速化することなく、簡易的に高周波ノイズや立ち上がりが急峻な一定周期の信号が入力した場合の誤動作を防止することができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明に係るデータ処理装置(1)は、
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記A/D変換出力に基づいて入力信号波形の山の数を検出する高周波ノイズ認識手段を備え、
一定時間内の上記山の数の検出数が一定値以上になったと判別したとき、上記高周波ノイズ認識手段により上記データ処理を禁止することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るデータ処理装置(2)は、データ処理装置(1)において、
上記高周波ノイズ認識手段が、上記一定時間内の山の数の検出を移動区間積分で行うことを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(3)は、データ処理装置(1)において、
上記高周波ノイズ認識手段が、オフセット処理後の波形のピークまたはボトムのどちらか一方により山の数を検出することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(4)は、
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記A/D変換出力に基づいて入力信号波形の周期及び波形の立上りからピークまでの立上り時間を検出する定周期ノイズ認識手段を備え、
連続して同じ周期の波形が入力され、かつ、波形の立上り時間が短いと判別したとき、上記定周期ノイズ認識手段により上記データ処理を禁止することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るデータ処理装置(5)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定の波形数分上記波形の立上り時間を積算することにより、波形の立上り時間を検出することを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(6)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定の範囲内の周期を有する波形のみを検出することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(7)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定時間の間、波形の周期及び立上り時間が所定の判定幅内にある場合に上記データ処理を禁止することを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(8)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、最初の一波形もしくは数波形後の波形の周期を基準値とし、その基準値から一定の範囲内に入っているか否かを判別することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るデータ処理装置(9)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、最初の一波形もしくは数波形後の波形により判別を行うことを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(10)は、データ処理装置(1)〜(9)のいずれかにおいて、
上記高周波ノイズ認識手段、あるいは、定周期ノイズ認識手段が、波形の振幅が一定値以上のときのみ、判別を行うことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(11)は、
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記入力信号が入力されるハイパスフィルタ手段を有するノイズ認識手段を備え、
上記ハイパスフィルタ手段の出力が一定閾値以上になったとき、上記データ処理を禁止することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るデータ処理装置(12)は、データ処理装置(1)〜(11)のいずれかにおいて、
上記高周波ノイズ認識手段、定周期ノイズ認識手段、あるいは、ハイパスフィルタ手段を有するノイズ認識手段が、波形の発生開始から一定時間内にノイズ認識処理を実行し、ノイズ認識処理が終了した後、判定結果の出力が禁止されない場合に、判定結果の出力が実行されることを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(13)は、データ処理装置(1)〜(11)のいずれかにおいて、
データ処理禁止状態になった場合、入力信号の振幅が一定値以下で一定時間継続した場合に、上記禁止状態が解除されることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(14)は、データ処理装置(1)〜(11)のいずれかにおいて、
波形の発生開始から一定時間内のノイズ認識処理を禁止することにより、波形発生開始時の安定しない波形での誤動作が防止されることを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(15)は、データ処理装置(1)〜(11)のいずれかにおいて、
条件の違うデータ処理禁止条件を複数個備え、それぞれの禁止条件のオアにより判定結果の出力が禁止されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るセキュリティ装置(1)は、
データ処理装置(1)を備えることを特徴とし、
本発明に係る侵入センサ(1)は、
データ処理装置(1)を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るデータ処理装置(1)〜(2)、セキュリティ装置(1)及び侵入センサ(1)によれば、A/D変換器のサンプリング周波数を上げずに高い周波数成分を検出することができるので、低価格のマイコンで高周波ノイズの影響を受けることなくデータ処理を行うことが可能となる。
また、本発明に係るデータ処理装置(3)によれば、波形の片側のみにより波形の山の数を検出することができるため、マイコンへの処理負荷を軽減することができる。
【0022】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(4)、(5)によれば、A/D変換器のサンプリング周波数を上げることなく、一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号を検出することができるので、低価格のマイコンで一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号の影響を受けることなくデータ処理を行うことが可能となる。
また、本発明に係るデータ処理装置(6)、(7)によれば、一般的に発生しやすい、一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号のみを抽出することができる。
【0023】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(8)によれば、最初の1波形もしくは数波形目を基準とすることで周波数は違うが安定している連続性のある信号のみを検出することが可能となり、検出したい周波数幅が広い場合に有効である。
また、本発明に係るデータ処理装置(9)によれば、波形が安定した状態になってから判別することができるので、波形認識間違いを軽減することができる。
【0024】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(10)によれば、波形の振幅が一定値以上のときのみ判別処理を行うので、電源ノイズ、センサ内のノイズ信号等微弱な波形変動による誤判別を防止することができる。
【0025】
また、本発明に係るデータ処理装置(11)によれば、ハイパスフィルタ手段の出力によりノイズを認識し、データ処理を禁止できるので、禁止判定をハードウェアで行うことができ、マイコンへの負荷を軽減し、マイコンのコストアップを抑えることができる。
【0026】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(12)によれば、波形の発生開始から一定時間内にノイズ認識処理が実行され、ノイズ認識処理が終了した後、判定結果の出力が禁止されない場合に、判定結果の出力が実行されるので、禁止判定が確定するまでの間の誤判定を防止することができ、本発明に係るデータ処理装置(13)によれば、データ処理禁止状態になった場合に、入力信号の振幅が一定値以下で一定時間継続した場合、禁止状態が解除されるので、禁止がかかった状態でも一定条件によりクリアされ、正常機能に復帰させることが可能となる。
【0027】
また、本発明に係るデータ処理装置(14)によれば、波形の発生開始から一定時間内のノイズ認識処理が禁止され、安定しない信号発生初期の波形での判定処理が禁止されるので、禁止判定、データ処理判定それぞれの誤検知を防止することができ、本発明に係るデータ処理装置(15)によれば、条件の違うデータ処理禁止条件を複数個備え、それぞれの禁止条件のオアを取り判定結果の出力が禁止されるので、条件の違うものに対しても誤動作を防止することができる。
【実施例1】
【0028】
以下、本発明のデータ処理装置の基本的な構成について、図面を用いて説明する。
図1は高周波ノイズがある場合に判定を禁止するデータ処理装置の基本的な構成を示すブロック図であり、このデータ処理装置は、センサ等からの信号が入力されるオフセット処理部aと、入力信号をA/D変換するA/D変換部bと、このA/D変換部bのA/D変換出力が入力される判定部cと高周波ノイズ認識部dにより構成されている。
【0029】
オフセット処理部aは、例えば、交流フィルタ処理を行うことにより、入力信号の平均値を0にするオフセット処理を行い、判定部cは、A/D変換部bの出力に基づいて判定処理、例えば、物体の移動による波形の変動を抽出することにより人等の存在を判定する処理を行う。一方、高周波ノイズ認識部dは、A/D変換部bの出力に基づいて入力信号波形の山の数をカウントすることにより、入力信号に高周波ノイズが含まれているか否かを判別し、一定時間内の山の数のカウント数が一定値以上になったとき、判定部cでの判定処理を禁止する。
【0030】
また、図2は定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力した場合に、判定処理を禁止するデータ処理装置の基本的な構成を示すブロック図である。
このデータ処理装置は、センサ等からの信号が入力されるオフセット処理部aと、入力信号をA/D変換するA/D変換部bと、このA/D変換部bのA/D変換出力が入力される判定部cと定周期ノイズ認識部eにより構成されている。
【0031】
上記と同様に、判定部cは、A/D変換部bの出力に基づいて判定処理を行い、定周期ノイズ認識部eは、A/D変換部bの一定時間内のサンプリング値を用いて、入力信号に定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれているか否かを判別し、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれていた場合には、判定部cでの判定処理を禁止する。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明のデータ処理装置をセキュリティシステムの侵入センサに適用した具体的な実施例について説明する。
図3は、図1のデータ処理装置をセキュリティシステムの侵入センサに適用した実施例のシステム構成を示すブロック図であり、このシステムは侵入センサ1とセキュリティECU2、ホーン3等よりなり、侵入センサ1は車室内に電波を張りめぐらせておき、ガラスが割られたり、車室内で人が動いたりしたときの電波の周波数の乱れを検出すると、セキュリティECU2に通知し、セキュリティECU2がホーン3またはハザードランプ(図示せず)により警報動作を行う。
【0033】
侵入センサ1は、4MHzの高周波信号を発生する発振回路11と、発振回路11の出力を逓倍・増幅して送信アンテナ13に出力するとともに、出力信号の一部を分岐させて混合回路16に出力する逓倍・増幅回路12と、送信アンテナ13からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波を受信するための受信アンテナ14と、受信アンテナ14からの信号を受信する受信回路15と、受信回路15からの受信信号と逓倍・増幅回路12からの送信信号を混合して出力する混合回路16と、混合回路16からの混合出力を検波する検波回路17と、検波回路17の出力が入力されるサンプルホールド回路18と、サンプルホールド回路の出力が入力される低周波増幅器19と、間欠駆動回路20と、マイコン21よりなる。
【0034】
マイコン21は、受信信号と送信信号との差の周波数成分をビート信号として抽出するとともに、オフセット電圧を除去する低周波増幅器19からの信号が入力されるA/D変換器22と、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力され、不審者の侵入を判定する判定部23と、高周波ノイズ認識部24及びアンド回路25により構成されている。
この侵入センサ1の動作中には、消費電力を低減するため、マイコン21が一定時間ごとに間欠駆動回路20に信号を送出し、間欠駆動回路20はマイコン21から信号を受けると、一定時間発振回路11を駆動する。
【0035】
そして、4MHzの高周波信号を発生する発振回路11の出力が逓倍・増幅回路12により24GHzの周波数信号に逓倍・増幅され、送信アンテナ13から送出される。そして、送信アンテナ13からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波が受信アンテナ14によって受信されて受信回路15に入力され、受信回路15からの受信信号と逓倍・増幅回路12からの送信信号が混合回路16により混合された後、検波回路17により検波される。
【0036】
この検波信号がサンプルホールド回路18を介して低周波増幅器19に入力され、受信信号と送信信号との差の周波数成分がビート信号としてマイコン21に入力され、マイコン21は低周波増幅器19の出力をA/D変換したデータに基づいて、物体の移動による波形の変動を抽出することによって車両への不正侵入の有無を検出する。
すなわち、判定部23は、A/D変換器22の出力に基づいて判定処理、例えば、人の動きを検知して人の存在を判定する侵入判別処理を行い、高周波ノイズ認識部24は、A/D変換器22の出力に基づいて入力信号波形の山の数をカウントすることにより、入力信号に高周波ノイズが含まれているか否かを判別し、一定時間内の山の数のカウント数が一定値以上になったとき、アンド回路25にハイレベルの信号を出力することにより、判定部23の判定処理出力のセキュリティECU2への出力を禁止する。
或いは他の例として、高周波ノイズ認識部24にて高周波ノイズが含まれる時(一定時間内の山の数のカウント数が一定値以上となった時)、高周波ノイズ認識部24から判定部23に信号を出力し、判定部23にて判定処理を禁止してもよい。
【0037】
図4は上記のマイコン21の判定部23、高周波ノイズ認識部24及アンド回路25の機能を実現するハードウェア構成を示す図であり、A/D変換器22、CPU26、ROM(Read Only Memory)27及びRAM28(Random Access Memory)から構成されている。
CPU26は、マイコン21のハードウェア各部を制御するとともに、ROM27に記憶されたプログラムに基づいてノイズ認識プログラム、判定処理プログラム等の各種のプログラムを実行する。また、RAM28はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータ、例えば、A/D変換器22からのサンプリング値やA/D変換波形のピーク値、ピーク判別フラグ等を記憶する。
このように、判定部23、高周波ノイズ認識部24、アンド回路25はCPU26、ROM27、RAM28により構成され、ソフトウェアによりその機能が実行される。
【0038】
次に、高周波ノイズ認識部24の作用を図5のフローチャート及び図6の波形図により説明する。
高周波ノイズ認識部24を構成するCPU26は、A/D変換器22からA/D変換出力が入力されると、図5のフローチャートに示す高周波ノイズ検出プログラムを開始し、まず、A/D変換器22からのサンプリング値Snを取得してRAM28に記憶する(ステップ101)。次に、CPU26はサンプリング値SnがRAM28に保存されているピーク値Spより大きいか否かを判定する(ステップ102)。図6(a)の時点t1に示すように、サンプリング値Snがピーク値Spより大きいと判定した場合、CPU26はRAM28に記憶されているピーク値Spをサンプリング値Snにより更新した(ステップ103)後、プログラムを終了する。
【0039】
一方、サンプリング値SnがRAM28に記憶されているピーク値Spより小さいと判定した場合、CPU26はサンプリング値Snがオフセット値(0V)より大きいか否かを判定する(ステップ104)。図6(a)の時点t2に示すように、サンプリング値Snがオフセット値より大きい場合、CPU26はプログラムを終了し、図6(a)の時点t3に示すように、サンプリング値Snがオフセット値より小さい場合、RAM28に記憶されているピーク値Spが0.1Vより大きいか否かを判定する(ステップ105)。
【0040】
ステップ105において、ピーク値Spが0.1Vより小さいと判定した場合、CPU26は電源ノイズ等によるピークと判断してプログラムを終了し、ピーク値Spが0.1Vより大きいと判定した場合、そのピーク値Spのサンプリング値Snを記憶しているRAM28の記憶領域にフラグをセットした(ステップ106)後、RAM28に記憶されているピーク値Spをオフセット値に設定する(ステップ107)。
【0041】
次に、CPU26は図6(d)に示すように、現在のサンプリング時点から100ms前までのサンプリング値に付されているフラグの数を求め、このフラグの数が、例えば、4より大きいか否かを判定する(ステップ108)。フラグの数が4より小さいと判定した場合、CPU26は高周波ノイズがないと判断してプログラムを終了し、フラグの数が4より大きいと判定した場合、高周波ノイズが含まれていると判断し、判定部23での判定処理を禁止する(ステップ109)。
【0042】
以上のように、一定時間内の山の数をカウントすることにより高い周波数成分の有無を判別するので、A/D変換器のサンプリング周波数を上げることなく高周波ノイズを検出することができ、低価格のマイコンで高周波ノイズの影響を受けることなくデータ処理を行うことが可能となる。
また、ピーク値が0.1V以上のときのみ、山があると判別するので、電源ノイズ、センサ内のノイズ信号等微弱な波形変動による誤判別を防止することができる。
さらに、波形のピーク側でのみ波形の山の数を検出するので、マイコンへの処理負荷を軽減することができる。
【0043】
なお、上記の実施例では波形のピーク側でのみ波形の山の数を検出したが、波形のボトム側で波形の山の数を検出することもでき、また、上記の実施例では、オフセット値を0V、ピーク値と判別する値を0.1V、ノイズと判定する山の数を4としたが、これらの値は任意に設定することが可能である。
【実施例3】
【0044】
次に、図2のデータ処理装置をセキュリティシステムの侵入センサに適用し、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力した場合に、判定処理を禁止する侵入センサの実施例について、図7のブロック図により説明する。
この侵入センサ1のマイコン21は、入力信号をA/D変換するA/D変換器22と、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力される判定部23と定周期ノイズ認識部29とアンド回路25により構成されており、その他の構成は図3の侵入センサ1の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
上記と同様に、判定部23は、A/D変換器22の出力に基づいて判定処理を行い、定周期ノイズ認識部29は、A/D変換器22の一定時間内のサンプリング値を用いて、入力信号に定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれているか否かを判別し、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれていた場合には、判定部23での判定処理を禁止する。
なお、この判定部23、定周期ノイズ認識部29、アンド回路25は実施例2と同様に、図4に示すCPU26、ROM27及びRAM28により構成され、ソフトウェアによりその機能が実行される。また、実施例2と同様に、定周期ノイズ認識部29にて定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれていた場合には、定周期ノイズ認識部29から判定部23に信号を出力し、判定部23にて判定処理を禁止してもよい。
【0046】
次に、定周期ノイズ認識部29の作用を図4のハードウェア構成図、図8のフローチャート及び図9、図19の波形図により説明する。
定周期ノイズ認識部29を構成するCPU26は、A/D変換器22からのA/D変換出力を常時RAM28に記憶し、一定時間ごとに図8のフローチャートに示す定周期ノイズ検出プログラムを実行する。このプログラムを開始すると、まず、過去一定期間To内のサンプリング値を使用することにより、図9(a)に示すように各波形の周期Tn、T(n+1)、T(n+2)、・・・を演算するとともに、図9(b)に示すように、波形の立ち上がりからピークまでの時間tp1、tp2、tp3、・・・を演算する(ステップ201)。
【0047】
次に、CPU26は、上記演算した各周期T(n)、T(n+1)、・・・がほぼ一定か否かを判定し(ステップ202)、周期Tがほぼ一定でないと判定した場合は、プログラムを終了する。なお、周期Tがほぼ一定か否かの判定は、例えば、周期の差T(n)−T(n+1)等がすべてある基準値より小さいか否かを判別することにより判断することができ、一定の山の数で差異が大きいものがある場合には、ほぼ一定でないと判定することができる。
【0048】
一方、周期Tがほぼ一定と判定した場合、CPU26は周期Tが一定範囲内か否かを判定し(ステップ203)、周期Tが一定範囲内でないと判定した場合、プログラムを終了し、周期Tが一定範囲内であると判定した場合、図9(c)に示すように、その期間To内の一定波形数分、例えば、5波形分の波形の立ち上がりからピークまでの時間tpの積算値tσを求め、この積算値tσが設定値toより小さいか否かを判定する(ステップ204)。
【0049】
そして、積算値tσが設定値toより大きいと判定した場合、CPU26はプログラムを終了し、積算値tσが設定値toより小さいと判定した場合には、図19に示すような、立ち上がりの急峻な信号が入力されており、誤判定の恐れがあるとして、判定部23での判定処理を禁止する(ステップ205)。
【0050】
以上のように、波形の周期と立上り時間を判別することにより定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号を検出することができるので、A/D変換器のサンプリング周波数を上げることなく、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が存在した場合には、データ処理を禁止することが可能となる。
また、周期がほぼ一定で、その周期が一定範囲内にある場合に、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号があると判別するので、一般的に発生しやすい周期の信号のみを抽出するができる。
【0051】
なお、入力信号の振幅が一定値以上になっている場合に、上記の定周期ノイズ検出プログラムを実行する方が好ましく、この場合、最初の1波形または数波形の周期、時間を使用しないようにすれば、波形が安定してからのみノイズ検出を行うようにすることが可能となる。
また、周期の判定において、最初の1波形を基準値とし、以降の波形の周期がその基準値±交差の範囲に収まっているか否かを検出することにより、異なった周波数の波形でも安定して連続するかどうかの判定を行うことが可能となる。
【実施例4】
【0052】
以上の実施例では、マイコン21内でセンサ信号にノイズが含まれているか否かを判定したが、高周波信号を検知する高周波フィルタによって高周波ノイズを検知して判定回路の判定出力を禁止することもでき、以下、高周波フィルタによって高周波ノイズを検知する実施例について図10のブロック図により説明する。
この侵入センサ1のマイコン21は、入力信号をA/D変換するA/D変換器22、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力される判定部23及びアンド回路25により構成され、図3の構成に加えて低周波増幅器19の出力が入力される高周波フィルタ(HPF)30及びコンパレータ31が追加されており、その他の構成は図3の侵入センサ1の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
上記と同様に、判定部23は、A/D変換器22の出力に基づいて侵入者の有無判定処理を行い、低周波増幅器19の出力が入力される高周波フィルタ30は、高周波ノイズを検出し、この高周波フィルタ30の出力の波高値が一定振幅を越えると、コンパレータ31がアンド回路25にハイレベル信号を出力するので、判定部23からの判定処理結果の出力が禁止される。
【0054】
以上のように、ハイパスフィルタ手段によってノイズを認識することにより、禁止判定をハードウェアで行うことができるので、マイコンへの負荷を軽減し、マイコンのコストアップを抑えることができる。
また、実施例2、3と同様に、高周波フィルタ30にて高周波ノイズを検出し、高周波フィルタ30の出力が一定値以上のとき、高周波フィルタ30から判定部23に信号を出力し、判定部23にて判定処理を禁止してもよい。
【実施例5】
【0055】
さらに、以上の実施例では、ノイズの検出を侵入センサ側で行ったが、ノイズの検出をメインのECU側で行うこともでき、以下、ノイズの検出をセキュリティECU側で行う実施例について図11のブロック図により説明する。
【0056】
このセキュリティシステムのセキュリティECU2は高周波ノイズ認識部24、アンド回路25を備え、侵入センサ1のマイコン21は、入力信号をA/D変換するA/D変換器22と、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力される判定部23により構成され、その他の構成は図3の侵入センサ1の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0057】
図3の実施例と同様に、A/D変換器22の出力が入力されるマイコン21の判定部23は侵入者の有無の判定処理を行い、セキュリティECU2の高周波ノイズ認識部24は、高周波ノイズを検出する。そして、この高周波ノイズ認識部24の出力がハイレベルになると、アンド回路25によりマイコン21の判定部23による判定結果のホーン3への出力が禁止される。
【0058】
以上のように、セキュリティECU2側でノイズの検出を行うことにより、侵入センサ1側での禁止処理によるマイコンへの負荷を低減することができる。
なお、この実施例では図3の高周波ノイズ認識部24によりノイズを検出したが、ノイズ検出回路として図7の実施例の定周期ノイズ認識部29あるいは図10の実施例の高周波フィルタ30、コンパレータ31よりなるノイズ認識部を使用することも可能である。
【実施例6】
【0059】
また、以上の実施例では、常時、ノイズが発生したか否かを判定したが、マイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定し、ノイズ検出による禁止判定が確定してから判定部により判定出力とのアンドを取ることもでき、以下、マイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定する場合の実施例について、図12のフローチャート、図13の波形図を用いて説明する。
なお、装置構成は図3、図4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0060】
不審者の侵入あるいはノイズの発生によって、図13に示すように、低周波増幅器19からセンサ信号が発生すると、CPU26は、図12のフローチャートに示す判定プログラムを開始し、まず、A/D変換器22からの出力に基づいて高周波ノイズ認識部24による高周波ノイズ認識処理を開始する(ステップ301)とともに、判定部23による侵入判別処理を開始する(ステップ302)。
【0061】
次に、CPU26はタイマ(図示せず)により一定時間、例えば、450msが経過したか否かを判定し(ステップ303)、一定時間が経過すると、高周波ノイズ認識部24の出力によりノイズが含まれているか否かを判定し(ステップ304)、ノイズが含まれていない場合には、判定部23による侵入判別結果をセキュリティECU2に出力する(ステップ305)。
【0062】
一方、ステップ304でセンサ信号にノイズが含まれていると判定した場合、CPU26は、侵入判別結果の出力を禁止した(ステップ306)後、センサ信号の波形の振幅が一定値以下の状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップ307)。図13に示すように、例えば、センサ信号の振幅が0.45V以下の状態が100ms以上継続すると、侵入判別結果のセキュリティECU2への出力の禁止を解除する(ステップ308)。
【0063】
以上のように、波形の発生開始から一定時間内にノイズ認識処理が実行され、ノイズ認識処理が終了した後、侵入判別結果の出力が禁止されない場合に、判定結果が出力されるので、禁止判定が確定するまでの間の誤判定を防止することができ、また、侵入判別結果の出力が禁止状態になった場合に、入力信号が一定値以下の状態が一定時間継続した場合、禁止状態が解除されるので、禁止がかかった状態でも一定条件によりクリアされ、正常機能に復帰させることが可能となる。
なお、この実施例では、図3のセキュリティシステムでマイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定したが、図7、図10、図11のセキュリティシステムで禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定するようにしてもよい。
【実施例7】
【0064】
さらに、波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判別処理を禁止することにより、ノイズ発生開始時の安定しないノイズ波形での検知を防止することもでき、以下、波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判別処理を禁止する場合の実施例について、図14のフローチャート、図15の波形図を用いて説明する。
なお、装置構成は図3、図4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0065】
不審者の侵入あるいはノイズの発生によって、図15に示すように、低周波増幅器19からセンサ信号が発生すると、CPU26は、図14のフローチャートに示す判定プログラムを開始し、まず、タイマにより一定時間が経過したか否かを判定し(ステップ401)、例えば、センサ信号発生から100msが経過すると、A/D変換器22からの出力に基づいて高周波ノイズ認識部24による高周波ノイズ認識処理を開始する(ステップ402)とともに、判定部23による侵入判別処理を開始する(ステップ403)。
【0066】
次に、CPU26はタイマによりさらに一定時間が経過かしたか否かを判定し(ステップ404)、例えば、350msが経過すると、高周波ノイズ認識部24の出力によりノイズが含まれているか否かを判定し(ステップ405)、ノイズが含まれていない場合には、判定部23による侵入判別結果をセキュリティECU2に出力する(ステップ406)。
【0067】
一方、ステップ405でセンサ信号にノイズが含まれていると判定した場合、CPU26は、侵入判別結果の出力を禁止した(ステップ407)後、センサ信号の波形の振幅が一定値以下の状態が所定時間継続したか否かを判定し(ステップ408)、図15に示すように、例えば、センサ信号の振幅が0.45V以下の状態が100ms以上継続すると、侵入判別結果のセキュリティECU2への出力の禁止を解除する(ステップ409)。
【0068】
以上のように、波形の発生開始から一定時間内のノイズ認識処理を禁止し、安定しない発生初期波形での判定処理を禁止することにより、禁止判定、侵入判別処理それぞれの誤検知を防止することができる。
なお、この実施例でも、図3のセキュリティシステムに代えて、図7、図10、図11のセキュリティシステムにおいて、波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判定処理を禁止するようにすることもできる。
【実施例8】
【0069】
また、携帯電話、電子レンジ等種々のノイズ発生源に応じて、ノイズ発生状況が異なるので、複数のノイズ源に応じて禁止条件を設定し、それぞれの禁止条件のオアをとって判定結果の出力の禁止をかけることもでき、以下、ノイズ源によって禁止解除条件を変えた場合の実施例について、図16の波形図により説明する。
【0070】
図16(b)に示すように、「禁止1」の、波形の振幅が一定値以下の状態継続を判別する時間が500msに設定され、図16(c)に示すように、「禁止2」の、波形の振幅が一定値以下の状態継続を判別する時間が1000msに設定されている場合、「禁止1」、「禁止2」の両者の処理が例えば、スイッチ等によってセットされた場合には、両者のオアをとり、図16(d)に示すように、波形の振幅が一定値以下の状態継続を判別する時間は1000msに設定され、検知禁止区間は長くなる。
以上のように、条件の違うデータ処理禁止条件を複数個備え、両者の条件がセットされた場合、それぞれの禁止条件のオアを取りデータ処理を禁止することにより、条件の違うノイズ源に対しても誤動作を防止することができる。
【0071】
なお、以上の実施例では、本発明のデータ処理装置をセキュリティシステムに適用した場合の例について説明したが、本発明のデータ処理装置は、上記以外の様々な波形認識を行うデータ処理装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】高周波ノイズがある場合に判定を禁止するデータ処理装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力した場合に、判定処理を禁止するデータ処理装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図3】高周波ノイズがある場合に判定処理を禁止する侵入センサの構成を示すブロック図である。
【図4】マイコンのハードウェアの構成を示す図である。
【図5】高周波ノイズ認識部の作用を示すフローチャートである。
【図6】高周波ノイズ認識部の動作時の波形を示す図である。
【図7】定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力した場合に、判定処理を禁止する侵入センサの構成を示すブロック図である。
【図8】定周期ノイズ認識部の作用を示すフローチャートである。
【図9】定周期ノイズ認識部の動作時の波形を示す図である。
【図10】高周波フィルタによりノイズを認識して判定処理を禁止する侵入センサの構成を示すブロック図である。
【図11】セキュリティECUでノイズを認識する場合の構成を示すブロック図である。
【図12】マイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定する場合の作用を示すフローチャートである。
【図13】マイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定する場合の波形を示す図である。
【図14】波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判別処理を禁止する場合の作用を示すフローチャートである。
【図15】波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判別処理を禁止する場合の波形を示す図である。
【図16】ノイズ源によって禁止解除条件を変えた場合の作用を示す波形図である。
【図17】一般的なセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。
【図18】侵入センサの構成を示すブロック図である。
【図19】一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号の一例の波形を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
a オフセット処理部
b A/D変換部
c 判定部
d 高周波ノイズ認識部
e 定周期ノイズ認識部
1 侵入センサ
11 発振回路
12 逓倍/増幅回路
13 送信アンテナ
14 受信アンテナ
15 受信回路
16 混合回路
17 検波回路
18 サンプルホールド回路
19 低周波増幅器
20 間欠駆動回路
21 マイコン
22 A/D変換器
23 判定部
24 高周波ノイズ認識部
25 アンド回路
26 CPU
27 ROM
28 RAM
29 定周期ノイズ認識部
30 HPF
31 コンパレータ
2 セキュリティECU
3 ホーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号のA/D変換出力により波形の特徴検出等のデータ処理を行うデータ処理装置に関し、特に、ノイズによる誤動作を防止することができるデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
あるセンサから得られた信号に基づいて何らかの制御を行うといった装置は多数存在し、例えば、車両のセキュリティシステムでは、アーミング(警戒)中に不正なドア開、車室内への侵入、車両の振動、ガラス割れ等の不正侵入を検出するとアラームを発生させたり、あるいは所定場所に不正侵入があったことを無線通報するようにしているが、このセキュリティシステムに使用される侵入センサでは、物体の移動による波形の変動を抽出することで車両への不正侵入の有無を検出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−142660号公報
【0003】
図17は一般的なセキュリティシステムの構成を示すブロック図であり、セキュリティECU51はロック制御を行うキーレスエントリー機能を内蔵しており、車両のドアロック/アンロック制御、ドアの開閉制御を行ったり、不正な手段による車室内への侵入等があったとき警報を発したりするもので、送信機52からの要求信号に応じてアーミング/ディスアーミング制御、車両のドアロック/アンロック制御等を行う。
送信機52はロックボタンLとアンロックボタンUを有し、ロックボタンLの押下によりセキュリティセット(アーミング)、アンロックボタンUの押下によりセキュリティリセット(ディスアーミング)となる。
【0004】
このセキュリティECU51には、ドアの開閉状態を検出するカーテシSW53、フードの開閉状態を検出するフードSW54、正規の方法以外でドアが開けられたり、車室内への侵入があったことを検出する侵入センサ55、車両の振動を検出する振動センサ56、イグニッションスイッチのオン/オフのスイッチング状態を検出するIGSW57、ドアのロック、アンロックを検出するロックポジションSW58等のSWやセンサの出力が入力されるとともに、ドアのロック、アンロックを行うドアロック機構を駆動するロックモータ59、警報時に警報動作を行うホーン60、ハザードランプ61等が接続されている。
【0005】
また、図18は上記の侵入センサ55の一例を示すもので、ミリ波帯の高周波信号を使用した侵入センサの構成を示すブロック図であり、4MHzの高周波信号を発生する発振回路61の出力が逓倍・増幅回路62により24GHzの周波数信号に逓倍・増幅され、送信アンテナ63から送出される。そして、送信アンテナ63からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波が受信アンテナ64によって受信され、受信アンテナ64からの受信信号と逓倍・増幅回路62からの送信信号を混合回路66により混合し、検波回路67に入力する。
そして、検波回路67が受信信号と送信信号との差の周波数成分をビート信号として抽出し、マイコン68は検波回路67の出力をA/D変換したデータに基づいて、物体の移動による波形の変動を抽出することで車両への不正侵入の有無を検出するようになっている。
【0006】
上記の侵入センサのように、入力信号をデータ処理するマイコンを利用したデータ処理装置では、センサからの信号をA/D変換器でサンプリングしてデジタル化し、このデジタル信号に基づいてデータ処理回路で判定処理を行っている。
この場合、サンプリング周期が短いと、A/D変換された波形は現信号に近いものとなるが、サンプリング周期が長いと、A/D変換された波形は原信号から離れたものとなり、原信号の波形の形を認識することができないので、通常、原信号に含まれる最高周波数がfpである場合、サンプリング周波数を2fp以上にしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のデータ処理装置は上記のように構成されているが、そのシステムで必要な周波数成分よりも高い周波数を有する信号が外来ノイズとしてセンサに入力された場合、A/D変換器のサンプリング周波数よりも高い周波数成分の信号は波形を認識できないため、外来ノイズか否かの認識がうまくできず、誤動作する可能性があるので、高周波ノイズが入った場合は、データ処理を中止する必要がある。
【0008】
高周波信号の波形を正確に認識するためには、その周波数の10倍程度のサンプリング周波数を使用する必要があるが、マイコンのA/Dサンプリング周波数を高速化すると、高機能で処理能力の高いマイコンが必要となり、データ処理装置のコストが上昇するという問題が生じる。
【0009】
一方、データ処理装置として、周期は不定であるが、ほぼ一定時間間隔の信号を検出するものがあるが、このようなデータ処理装置に、一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号、例えば、図19に示すような携帯電話の電源オン・オフ信号が入力された場合、このような信号もA/D変換器のサンプリング周波数を高くしないと、同様に波形の認識がうまくできないので、データ処理装置が誤動作することがあった。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、A/D変換器のサンプリング周波数を高速化することなく、簡易的に高周波ノイズや立ち上がりが急峻な一定周期の信号が入力した場合の誤動作を防止することができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明に係るデータ処理装置(1)は、
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記A/D変換出力に基づいて入力信号波形の山の数を検出する高周波ノイズ認識手段を備え、
一定時間内の上記山の数の検出数が一定値以上になったと判別したとき、上記高周波ノイズ認識手段により上記データ処理を禁止することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るデータ処理装置(2)は、データ処理装置(1)において、
上記高周波ノイズ認識手段が、上記一定時間内の山の数の検出を移動区間積分で行うことを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(3)は、データ処理装置(1)において、
上記高周波ノイズ認識手段が、オフセット処理後の波形のピークまたはボトムのどちらか一方により山の数を検出することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(4)は、
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記A/D変換出力に基づいて入力信号波形の周期及び波形の立上りからピークまでの立上り時間を検出する定周期ノイズ認識手段を備え、
連続して同じ周期の波形が入力され、かつ、波形の立上り時間が短いと判別したとき、上記定周期ノイズ認識手段により上記データ処理を禁止することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るデータ処理装置(5)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定の波形数分上記波形の立上り時間を積算することにより、波形の立上り時間を検出することを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(6)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定の範囲内の周期を有する波形のみを検出することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(7)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定時間の間、波形の周期及び立上り時間が所定の判定幅内にある場合に上記データ処理を禁止することを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(8)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、最初の一波形もしくは数波形後の波形の周期を基準値とし、その基準値から一定の範囲内に入っているか否かを判別することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るデータ処理装置(9)は、データ処理装置(4)において、
上記定周期ノイズ認識手段が、最初の一波形もしくは数波形後の波形により判別を行うことを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(10)は、データ処理装置(1)〜(9)のいずれかにおいて、
上記高周波ノイズ認識手段、あるいは、定周期ノイズ認識手段が、波形の振幅が一定値以上のときのみ、判別を行うことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(11)は、
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記入力信号が入力されるハイパスフィルタ手段を有するノイズ認識手段を備え、
上記ハイパスフィルタ手段の出力が一定閾値以上になったとき、上記データ処理を禁止することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るデータ処理装置(12)は、データ処理装置(1)〜(11)のいずれかにおいて、
上記高周波ノイズ認識手段、定周期ノイズ認識手段、あるいは、ハイパスフィルタ手段を有するノイズ認識手段が、波形の発生開始から一定時間内にノイズ認識処理を実行し、ノイズ認識処理が終了した後、判定結果の出力が禁止されない場合に、判定結果の出力が実行されることを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(13)は、データ処理装置(1)〜(11)のいずれかにおいて、
データ処理禁止状態になった場合、入力信号の振幅が一定値以下で一定時間継続した場合に、上記禁止状態が解除されることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(14)は、データ処理装置(1)〜(11)のいずれかにおいて、
波形の発生開始から一定時間内のノイズ認識処理を禁止することにより、波形発生開始時の安定しない波形での誤動作が防止されることを特徴とし、
本発明に係るデータ処理装置(15)は、データ処理装置(1)〜(11)のいずれかにおいて、
条件の違うデータ処理禁止条件を複数個備え、それぞれの禁止条件のオアにより判定結果の出力が禁止されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るセキュリティ装置(1)は、
データ処理装置(1)を備えることを特徴とし、
本発明に係る侵入センサ(1)は、
データ処理装置(1)を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るデータ処理装置(1)〜(2)、セキュリティ装置(1)及び侵入センサ(1)によれば、A/D変換器のサンプリング周波数を上げずに高い周波数成分を検出することができるので、低価格のマイコンで高周波ノイズの影響を受けることなくデータ処理を行うことが可能となる。
また、本発明に係るデータ処理装置(3)によれば、波形の片側のみにより波形の山の数を検出することができるため、マイコンへの処理負荷を軽減することができる。
【0022】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(4)、(5)によれば、A/D変換器のサンプリング周波数を上げることなく、一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号を検出することができるので、低価格のマイコンで一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号の影響を受けることなくデータ処理を行うことが可能となる。
また、本発明に係るデータ処理装置(6)、(7)によれば、一般的に発生しやすい、一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号のみを抽出することができる。
【0023】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(8)によれば、最初の1波形もしくは数波形目を基準とすることで周波数は違うが安定している連続性のある信号のみを検出することが可能となり、検出したい周波数幅が広い場合に有効である。
また、本発明に係るデータ処理装置(9)によれば、波形が安定した状態になってから判別することができるので、波形認識間違いを軽減することができる。
【0024】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(10)によれば、波形の振幅が一定値以上のときのみ判別処理を行うので、電源ノイズ、センサ内のノイズ信号等微弱な波形変動による誤判別を防止することができる。
【0025】
また、本発明に係るデータ処理装置(11)によれば、ハイパスフィルタ手段の出力によりノイズを認識し、データ処理を禁止できるので、禁止判定をハードウェアで行うことができ、マイコンへの負荷を軽減し、マイコンのコストアップを抑えることができる。
【0026】
さらに、本発明に係るデータ処理装置(12)によれば、波形の発生開始から一定時間内にノイズ認識処理が実行され、ノイズ認識処理が終了した後、判定結果の出力が禁止されない場合に、判定結果の出力が実行されるので、禁止判定が確定するまでの間の誤判定を防止することができ、本発明に係るデータ処理装置(13)によれば、データ処理禁止状態になった場合に、入力信号の振幅が一定値以下で一定時間継続した場合、禁止状態が解除されるので、禁止がかかった状態でも一定条件によりクリアされ、正常機能に復帰させることが可能となる。
【0027】
また、本発明に係るデータ処理装置(14)によれば、波形の発生開始から一定時間内のノイズ認識処理が禁止され、安定しない信号発生初期の波形での判定処理が禁止されるので、禁止判定、データ処理判定それぞれの誤検知を防止することができ、本発明に係るデータ処理装置(15)によれば、条件の違うデータ処理禁止条件を複数個備え、それぞれの禁止条件のオアを取り判定結果の出力が禁止されるので、条件の違うものに対しても誤動作を防止することができる。
【実施例1】
【0028】
以下、本発明のデータ処理装置の基本的な構成について、図面を用いて説明する。
図1は高周波ノイズがある場合に判定を禁止するデータ処理装置の基本的な構成を示すブロック図であり、このデータ処理装置は、センサ等からの信号が入力されるオフセット処理部aと、入力信号をA/D変換するA/D変換部bと、このA/D変換部bのA/D変換出力が入力される判定部cと高周波ノイズ認識部dにより構成されている。
【0029】
オフセット処理部aは、例えば、交流フィルタ処理を行うことにより、入力信号の平均値を0にするオフセット処理を行い、判定部cは、A/D変換部bの出力に基づいて判定処理、例えば、物体の移動による波形の変動を抽出することにより人等の存在を判定する処理を行う。一方、高周波ノイズ認識部dは、A/D変換部bの出力に基づいて入力信号波形の山の数をカウントすることにより、入力信号に高周波ノイズが含まれているか否かを判別し、一定時間内の山の数のカウント数が一定値以上になったとき、判定部cでの判定処理を禁止する。
【0030】
また、図2は定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力した場合に、判定処理を禁止するデータ処理装置の基本的な構成を示すブロック図である。
このデータ処理装置は、センサ等からの信号が入力されるオフセット処理部aと、入力信号をA/D変換するA/D変換部bと、このA/D変換部bのA/D変換出力が入力される判定部cと定周期ノイズ認識部eにより構成されている。
【0031】
上記と同様に、判定部cは、A/D変換部bの出力に基づいて判定処理を行い、定周期ノイズ認識部eは、A/D変換部bの一定時間内のサンプリング値を用いて、入力信号に定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれているか否かを判別し、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれていた場合には、判定部cでの判定処理を禁止する。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明のデータ処理装置をセキュリティシステムの侵入センサに適用した具体的な実施例について説明する。
図3は、図1のデータ処理装置をセキュリティシステムの侵入センサに適用した実施例のシステム構成を示すブロック図であり、このシステムは侵入センサ1とセキュリティECU2、ホーン3等よりなり、侵入センサ1は車室内に電波を張りめぐらせておき、ガラスが割られたり、車室内で人が動いたりしたときの電波の周波数の乱れを検出すると、セキュリティECU2に通知し、セキュリティECU2がホーン3またはハザードランプ(図示せず)により警報動作を行う。
【0033】
侵入センサ1は、4MHzの高周波信号を発生する発振回路11と、発振回路11の出力を逓倍・増幅して送信アンテナ13に出力するとともに、出力信号の一部を分岐させて混合回路16に出力する逓倍・増幅回路12と、送信アンテナ13からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波を受信するための受信アンテナ14と、受信アンテナ14からの信号を受信する受信回路15と、受信回路15からの受信信号と逓倍・増幅回路12からの送信信号を混合して出力する混合回路16と、混合回路16からの混合出力を検波する検波回路17と、検波回路17の出力が入力されるサンプルホールド回路18と、サンプルホールド回路の出力が入力される低周波増幅器19と、間欠駆動回路20と、マイコン21よりなる。
【0034】
マイコン21は、受信信号と送信信号との差の周波数成分をビート信号として抽出するとともに、オフセット電圧を除去する低周波増幅器19からの信号が入力されるA/D変換器22と、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力され、不審者の侵入を判定する判定部23と、高周波ノイズ認識部24及びアンド回路25により構成されている。
この侵入センサ1の動作中には、消費電力を低減するため、マイコン21が一定時間ごとに間欠駆動回路20に信号を送出し、間欠駆動回路20はマイコン21から信号を受けると、一定時間発振回路11を駆動する。
【0035】
そして、4MHzの高周波信号を発生する発振回路11の出力が逓倍・増幅回路12により24GHzの周波数信号に逓倍・増幅され、送信アンテナ13から送出される。そして、送信アンテナ13からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波が受信アンテナ14によって受信されて受信回路15に入力され、受信回路15からの受信信号と逓倍・増幅回路12からの送信信号が混合回路16により混合された後、検波回路17により検波される。
【0036】
この検波信号がサンプルホールド回路18を介して低周波増幅器19に入力され、受信信号と送信信号との差の周波数成分がビート信号としてマイコン21に入力され、マイコン21は低周波増幅器19の出力をA/D変換したデータに基づいて、物体の移動による波形の変動を抽出することによって車両への不正侵入の有無を検出する。
すなわち、判定部23は、A/D変換器22の出力に基づいて判定処理、例えば、人の動きを検知して人の存在を判定する侵入判別処理を行い、高周波ノイズ認識部24は、A/D変換器22の出力に基づいて入力信号波形の山の数をカウントすることにより、入力信号に高周波ノイズが含まれているか否かを判別し、一定時間内の山の数のカウント数が一定値以上になったとき、アンド回路25にハイレベルの信号を出力することにより、判定部23の判定処理出力のセキュリティECU2への出力を禁止する。
或いは他の例として、高周波ノイズ認識部24にて高周波ノイズが含まれる時(一定時間内の山の数のカウント数が一定値以上となった時)、高周波ノイズ認識部24から判定部23に信号を出力し、判定部23にて判定処理を禁止してもよい。
【0037】
図4は上記のマイコン21の判定部23、高周波ノイズ認識部24及アンド回路25の機能を実現するハードウェア構成を示す図であり、A/D変換器22、CPU26、ROM(Read Only Memory)27及びRAM28(Random Access Memory)から構成されている。
CPU26は、マイコン21のハードウェア各部を制御するとともに、ROM27に記憶されたプログラムに基づいてノイズ認識プログラム、判定処理プログラム等の各種のプログラムを実行する。また、RAM28はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータ、例えば、A/D変換器22からのサンプリング値やA/D変換波形のピーク値、ピーク判別フラグ等を記憶する。
このように、判定部23、高周波ノイズ認識部24、アンド回路25はCPU26、ROM27、RAM28により構成され、ソフトウェアによりその機能が実行される。
【0038】
次に、高周波ノイズ認識部24の作用を図5のフローチャート及び図6の波形図により説明する。
高周波ノイズ認識部24を構成するCPU26は、A/D変換器22からA/D変換出力が入力されると、図5のフローチャートに示す高周波ノイズ検出プログラムを開始し、まず、A/D変換器22からのサンプリング値Snを取得してRAM28に記憶する(ステップ101)。次に、CPU26はサンプリング値SnがRAM28に保存されているピーク値Spより大きいか否かを判定する(ステップ102)。図6(a)の時点t1に示すように、サンプリング値Snがピーク値Spより大きいと判定した場合、CPU26はRAM28に記憶されているピーク値Spをサンプリング値Snにより更新した(ステップ103)後、プログラムを終了する。
【0039】
一方、サンプリング値SnがRAM28に記憶されているピーク値Spより小さいと判定した場合、CPU26はサンプリング値Snがオフセット値(0V)より大きいか否かを判定する(ステップ104)。図6(a)の時点t2に示すように、サンプリング値Snがオフセット値より大きい場合、CPU26はプログラムを終了し、図6(a)の時点t3に示すように、サンプリング値Snがオフセット値より小さい場合、RAM28に記憶されているピーク値Spが0.1Vより大きいか否かを判定する(ステップ105)。
【0040】
ステップ105において、ピーク値Spが0.1Vより小さいと判定した場合、CPU26は電源ノイズ等によるピークと判断してプログラムを終了し、ピーク値Spが0.1Vより大きいと判定した場合、そのピーク値Spのサンプリング値Snを記憶しているRAM28の記憶領域にフラグをセットした(ステップ106)後、RAM28に記憶されているピーク値Spをオフセット値に設定する(ステップ107)。
【0041】
次に、CPU26は図6(d)に示すように、現在のサンプリング時点から100ms前までのサンプリング値に付されているフラグの数を求め、このフラグの数が、例えば、4より大きいか否かを判定する(ステップ108)。フラグの数が4より小さいと判定した場合、CPU26は高周波ノイズがないと判断してプログラムを終了し、フラグの数が4より大きいと判定した場合、高周波ノイズが含まれていると判断し、判定部23での判定処理を禁止する(ステップ109)。
【0042】
以上のように、一定時間内の山の数をカウントすることにより高い周波数成分の有無を判別するので、A/D変換器のサンプリング周波数を上げることなく高周波ノイズを検出することができ、低価格のマイコンで高周波ノイズの影響を受けることなくデータ処理を行うことが可能となる。
また、ピーク値が0.1V以上のときのみ、山があると判別するので、電源ノイズ、センサ内のノイズ信号等微弱な波形変動による誤判別を防止することができる。
さらに、波形のピーク側でのみ波形の山の数を検出するので、マイコンへの処理負荷を軽減することができる。
【0043】
なお、上記の実施例では波形のピーク側でのみ波形の山の数を検出したが、波形のボトム側で波形の山の数を検出することもでき、また、上記の実施例では、オフセット値を0V、ピーク値と判別する値を0.1V、ノイズと判定する山の数を4としたが、これらの値は任意に設定することが可能である。
【実施例3】
【0044】
次に、図2のデータ処理装置をセキュリティシステムの侵入センサに適用し、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力した場合に、判定処理を禁止する侵入センサの実施例について、図7のブロック図により説明する。
この侵入センサ1のマイコン21は、入力信号をA/D変換するA/D変換器22と、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力される判定部23と定周期ノイズ認識部29とアンド回路25により構成されており、その他の構成は図3の侵入センサ1の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
上記と同様に、判定部23は、A/D変換器22の出力に基づいて判定処理を行い、定周期ノイズ認識部29は、A/D変換器22の一定時間内のサンプリング値を用いて、入力信号に定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれているか否かを判別し、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれていた場合には、判定部23での判定処理を禁止する。
なお、この判定部23、定周期ノイズ認識部29、アンド回路25は実施例2と同様に、図4に示すCPU26、ROM27及びRAM28により構成され、ソフトウェアによりその機能が実行される。また、実施例2と同様に、定周期ノイズ認識部29にて定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が含まれていた場合には、定周期ノイズ認識部29から判定部23に信号を出力し、判定部23にて判定処理を禁止してもよい。
【0046】
次に、定周期ノイズ認識部29の作用を図4のハードウェア構成図、図8のフローチャート及び図9、図19の波形図により説明する。
定周期ノイズ認識部29を構成するCPU26は、A/D変換器22からのA/D変換出力を常時RAM28に記憶し、一定時間ごとに図8のフローチャートに示す定周期ノイズ検出プログラムを実行する。このプログラムを開始すると、まず、過去一定期間To内のサンプリング値を使用することにより、図9(a)に示すように各波形の周期Tn、T(n+1)、T(n+2)、・・・を演算するとともに、図9(b)に示すように、波形の立ち上がりからピークまでの時間tp1、tp2、tp3、・・・を演算する(ステップ201)。
【0047】
次に、CPU26は、上記演算した各周期T(n)、T(n+1)、・・・がほぼ一定か否かを判定し(ステップ202)、周期Tがほぼ一定でないと判定した場合は、プログラムを終了する。なお、周期Tがほぼ一定か否かの判定は、例えば、周期の差T(n)−T(n+1)等がすべてある基準値より小さいか否かを判別することにより判断することができ、一定の山の数で差異が大きいものがある場合には、ほぼ一定でないと判定することができる。
【0048】
一方、周期Tがほぼ一定と判定した場合、CPU26は周期Tが一定範囲内か否かを判定し(ステップ203)、周期Tが一定範囲内でないと判定した場合、プログラムを終了し、周期Tが一定範囲内であると判定した場合、図9(c)に示すように、その期間To内の一定波形数分、例えば、5波形分の波形の立ち上がりからピークまでの時間tpの積算値tσを求め、この積算値tσが設定値toより小さいか否かを判定する(ステップ204)。
【0049】
そして、積算値tσが設定値toより大きいと判定した場合、CPU26はプログラムを終了し、積算値tσが設定値toより小さいと判定した場合には、図19に示すような、立ち上がりの急峻な信号が入力されており、誤判定の恐れがあるとして、判定部23での判定処理を禁止する(ステップ205)。
【0050】
以上のように、波形の周期と立上り時間を判別することにより定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号を検出することができるので、A/D変換器のサンプリング周波数を上げることなく、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が存在した場合には、データ処理を禁止することが可能となる。
また、周期がほぼ一定で、その周期が一定範囲内にある場合に、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号があると判別するので、一般的に発生しやすい周期の信号のみを抽出するができる。
【0051】
なお、入力信号の振幅が一定値以上になっている場合に、上記の定周期ノイズ検出プログラムを実行する方が好ましく、この場合、最初の1波形または数波形の周期、時間を使用しないようにすれば、波形が安定してからのみノイズ検出を行うようにすることが可能となる。
また、周期の判定において、最初の1波形を基準値とし、以降の波形の周期がその基準値±交差の範囲に収まっているか否かを検出することにより、異なった周波数の波形でも安定して連続するかどうかの判定を行うことが可能となる。
【実施例4】
【0052】
以上の実施例では、マイコン21内でセンサ信号にノイズが含まれているか否かを判定したが、高周波信号を検知する高周波フィルタによって高周波ノイズを検知して判定回路の判定出力を禁止することもでき、以下、高周波フィルタによって高周波ノイズを検知する実施例について図10のブロック図により説明する。
この侵入センサ1のマイコン21は、入力信号をA/D変換するA/D変換器22、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力される判定部23及びアンド回路25により構成され、図3の構成に加えて低周波増幅器19の出力が入力される高周波フィルタ(HPF)30及びコンパレータ31が追加されており、その他の構成は図3の侵入センサ1の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
上記と同様に、判定部23は、A/D変換器22の出力に基づいて侵入者の有無判定処理を行い、低周波増幅器19の出力が入力される高周波フィルタ30は、高周波ノイズを検出し、この高周波フィルタ30の出力の波高値が一定振幅を越えると、コンパレータ31がアンド回路25にハイレベル信号を出力するので、判定部23からの判定処理結果の出力が禁止される。
【0054】
以上のように、ハイパスフィルタ手段によってノイズを認識することにより、禁止判定をハードウェアで行うことができるので、マイコンへの負荷を軽減し、マイコンのコストアップを抑えることができる。
また、実施例2、3と同様に、高周波フィルタ30にて高周波ノイズを検出し、高周波フィルタ30の出力が一定値以上のとき、高周波フィルタ30から判定部23に信号を出力し、判定部23にて判定処理を禁止してもよい。
【実施例5】
【0055】
さらに、以上の実施例では、ノイズの検出を侵入センサ側で行ったが、ノイズの検出をメインのECU側で行うこともでき、以下、ノイズの検出をセキュリティECU側で行う実施例について図11のブロック図により説明する。
【0056】
このセキュリティシステムのセキュリティECU2は高周波ノイズ認識部24、アンド回路25を備え、侵入センサ1のマイコン21は、入力信号をA/D変換するA/D変換器22と、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力される判定部23により構成され、その他の構成は図3の侵入センサ1の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0057】
図3の実施例と同様に、A/D変換器22の出力が入力されるマイコン21の判定部23は侵入者の有無の判定処理を行い、セキュリティECU2の高周波ノイズ認識部24は、高周波ノイズを検出する。そして、この高周波ノイズ認識部24の出力がハイレベルになると、アンド回路25によりマイコン21の判定部23による判定結果のホーン3への出力が禁止される。
【0058】
以上のように、セキュリティECU2側でノイズの検出を行うことにより、侵入センサ1側での禁止処理によるマイコンへの負荷を低減することができる。
なお、この実施例では図3の高周波ノイズ認識部24によりノイズを検出したが、ノイズ検出回路として図7の実施例の定周期ノイズ認識部29あるいは図10の実施例の高周波フィルタ30、コンパレータ31よりなるノイズ認識部を使用することも可能である。
【実施例6】
【0059】
また、以上の実施例では、常時、ノイズが発生したか否かを判定したが、マイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定し、ノイズ検出による禁止判定が確定してから判定部により判定出力とのアンドを取ることもでき、以下、マイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定する場合の実施例について、図12のフローチャート、図13の波形図を用いて説明する。
なお、装置構成は図3、図4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0060】
不審者の侵入あるいはノイズの発生によって、図13に示すように、低周波増幅器19からセンサ信号が発生すると、CPU26は、図12のフローチャートに示す判定プログラムを開始し、まず、A/D変換器22からの出力に基づいて高周波ノイズ認識部24による高周波ノイズ認識処理を開始する(ステップ301)とともに、判定部23による侵入判別処理を開始する(ステップ302)。
【0061】
次に、CPU26はタイマ(図示せず)により一定時間、例えば、450msが経過したか否かを判定し(ステップ303)、一定時間が経過すると、高周波ノイズ認識部24の出力によりノイズが含まれているか否かを判定し(ステップ304)、ノイズが含まれていない場合には、判定部23による侵入判別結果をセキュリティECU2に出力する(ステップ305)。
【0062】
一方、ステップ304でセンサ信号にノイズが含まれていると判定した場合、CPU26は、侵入判別結果の出力を禁止した(ステップ306)後、センサ信号の波形の振幅が一定値以下の状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップ307)。図13に示すように、例えば、センサ信号の振幅が0.45V以下の状態が100ms以上継続すると、侵入判別結果のセキュリティECU2への出力の禁止を解除する(ステップ308)。
【0063】
以上のように、波形の発生開始から一定時間内にノイズ認識処理が実行され、ノイズ認識処理が終了した後、侵入判別結果の出力が禁止されない場合に、判定結果が出力されるので、禁止判定が確定するまでの間の誤判定を防止することができ、また、侵入判別結果の出力が禁止状態になった場合に、入力信号が一定値以下の状態が一定時間継続した場合、禁止状態が解除されるので、禁止がかかった状態でも一定条件によりクリアされ、正常機能に復帰させることが可能となる。
なお、この実施例では、図3のセキュリティシステムでマイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定したが、図7、図10、図11のセキュリティシステムで禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定するようにしてもよい。
【実施例7】
【0064】
さらに、波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判別処理を禁止することにより、ノイズ発生開始時の安定しないノイズ波形での検知を防止することもでき、以下、波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判別処理を禁止する場合の実施例について、図14のフローチャート、図15の波形図を用いて説明する。
なお、装置構成は図3、図4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0065】
不審者の侵入あるいはノイズの発生によって、図15に示すように、低周波増幅器19からセンサ信号が発生すると、CPU26は、図14のフローチャートに示す判定プログラムを開始し、まず、タイマにより一定時間が経過したか否かを判定し(ステップ401)、例えば、センサ信号発生から100msが経過すると、A/D変換器22からの出力に基づいて高周波ノイズ認識部24による高周波ノイズ認識処理を開始する(ステップ402)とともに、判定部23による侵入判別処理を開始する(ステップ403)。
【0066】
次に、CPU26はタイマによりさらに一定時間が経過かしたか否かを判定し(ステップ404)、例えば、350msが経過すると、高周波ノイズ認識部24の出力によりノイズが含まれているか否かを判定し(ステップ405)、ノイズが含まれていない場合には、判定部23による侵入判別結果をセキュリティECU2に出力する(ステップ406)。
【0067】
一方、ステップ405でセンサ信号にノイズが含まれていると判定した場合、CPU26は、侵入判別結果の出力を禁止した(ステップ407)後、センサ信号の波形の振幅が一定値以下の状態が所定時間継続したか否かを判定し(ステップ408)、図15に示すように、例えば、センサ信号の振幅が0.45V以下の状態が100ms以上継続すると、侵入判別結果のセキュリティECU2への出力の禁止を解除する(ステップ409)。
【0068】
以上のように、波形の発生開始から一定時間内のノイズ認識処理を禁止し、安定しない発生初期波形での判定処理を禁止することにより、禁止判定、侵入判別処理それぞれの誤検知を防止することができる。
なお、この実施例でも、図3のセキュリティシステムに代えて、図7、図10、図11のセキュリティシステムにおいて、波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判定処理を禁止するようにすることもできる。
【実施例8】
【0069】
また、携帯電話、電子レンジ等種々のノイズ発生源に応じて、ノイズ発生状況が異なるので、複数のノイズ源に応じて禁止条件を設定し、それぞれの禁止条件のオアをとって判定結果の出力の禁止をかけることもでき、以下、ノイズ源によって禁止解除条件を変えた場合の実施例について、図16の波形図により説明する。
【0070】
図16(b)に示すように、「禁止1」の、波形の振幅が一定値以下の状態継続を判別する時間が500msに設定され、図16(c)に示すように、「禁止2」の、波形の振幅が一定値以下の状態継続を判別する時間が1000msに設定されている場合、「禁止1」、「禁止2」の両者の処理が例えば、スイッチ等によってセットされた場合には、両者のオアをとり、図16(d)に示すように、波形の振幅が一定値以下の状態継続を判別する時間は1000msに設定され、検知禁止区間は長くなる。
以上のように、条件の違うデータ処理禁止条件を複数個備え、両者の条件がセットされた場合、それぞれの禁止条件のオアを取りデータ処理を禁止することにより、条件の違うノイズ源に対しても誤動作を防止することができる。
【0071】
なお、以上の実施例では、本発明のデータ処理装置をセキュリティシステムに適用した場合の例について説明したが、本発明のデータ処理装置は、上記以外の様々な波形認識を行うデータ処理装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】高周波ノイズがある場合に判定を禁止するデータ処理装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力した場合に、判定処理を禁止するデータ処理装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図3】高周波ノイズがある場合に判定処理を禁止する侵入センサの構成を示すブロック図である。
【図4】マイコンのハードウェアの構成を示す図である。
【図5】高周波ノイズ認識部の作用を示すフローチャートである。
【図6】高周波ノイズ認識部の動作時の波形を示す図である。
【図7】定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力した場合に、判定処理を禁止する侵入センサの構成を示すブロック図である。
【図8】定周期ノイズ認識部の作用を示すフローチャートである。
【図9】定周期ノイズ認識部の動作時の波形を示す図である。
【図10】高周波フィルタによりノイズを認識して判定処理を禁止する侵入センサの構成を示すブロック図である。
【図11】セキュリティECUでノイズを認識する場合の構成を示すブロック図である。
【図12】マイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定する場合の作用を示すフローチャートである。
【図13】マイコンでの禁止判定処理を波形の発生から一定時間内に限定する場合の波形を示す図である。
【図14】波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判別処理を禁止する場合の作用を示すフローチャートである。
【図15】波形の発生開始から一定時間内のノイズ判定、侵入判別処理を禁止する場合の波形を示す図である。
【図16】ノイズ源によって禁止解除条件を変えた場合の作用を示す波形図である。
【図17】一般的なセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。
【図18】侵入センサの構成を示すブロック図である。
【図19】一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号の一例の波形を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
a オフセット処理部
b A/D変換部
c 判定部
d 高周波ノイズ認識部
e 定周期ノイズ認識部
1 侵入センサ
11 発振回路
12 逓倍/増幅回路
13 送信アンテナ
14 受信アンテナ
15 受信回路
16 混合回路
17 検波回路
18 サンプルホールド回路
19 低周波増幅器
20 間欠駆動回路
21 マイコン
22 A/D変換器
23 判定部
24 高周波ノイズ認識部
25 アンド回路
26 CPU
27 ROM
28 RAM
29 定周期ノイズ認識部
30 HPF
31 コンパレータ
2 セキュリティECU
3 ホーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記A/D変換出力に基づいて入力信号波形の山の数を検出する高周波ノイズ認識手段を備え、
一定時間内の上記山の数の検出数が一定値以上になったと判別したとき、上記高周波ノイズ認識手段により上記データ処理を禁止することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたデータ処理装置において、
上記高周波ノイズ認識手段が、上記一定時間内の山の数の検出を移動区間積分で行うことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたデータ処理装置において、
上記高周波ノイズ認識手段が、オフセット処理後の波形のピークまたはボトムのどちらか一方により山の数を検出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記A/D変換出力に基づいて入力信号波形の周期及び波形の立上りからピークまでの立上り時間を検出する定周期ノイズ認識手段を備え、
連続して同じ周期の波形が入力され、かつ、波形の立上り時間が短いと判別したとき、上記定周期ノイズ認識手段により上記データ処理を禁止することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定の波形数分上記波形の立上り時間を積算することにより、波形の立上り時間を検出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定の範囲内の周期を有する波形のみを検出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定時間の間、波形の周期及び立上り時間が所定の判定幅内にある場合に上記データ処理を禁止することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、最初の一波形もしくは数波形後の波形の周期を基準値とし、その基準値から一定の範囲内に入っているか否かを判別することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項9】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、最初の一波形もしくは数波形後の波形により判別を行うことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
上記高周波ノイズ認識手段、あるいは、定周期ノイズ認識手段が、波形の振幅が一定値以上のときのみ、判別を行うことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項11】
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記入力信号が入力されるハイパスフィルタ手段を有するノイズ認識手段を備え、
上記ハイパスフィルタ手段の出力が一定閾値以上になったとき、上記データ処理を禁止することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
上記高周波ノイズ認識手段、定周期ノイズ認識手段、あるいは、ハイパスフィルタ手段を有するノイズ認識手段が、波形の発生開始から一定時間内にノイズ認識処理を実行し、ノイズ認識処理が終了した後、判定結果の出力が禁止されない場合に、判定結果の出力が実行されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
データ処理禁止状態になった場合、入力信号の振幅が一定値以下で一定時間継続した場合に、上記禁止状態が解除されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
波形の発生開始から一定時間内のノイズ認識処理を禁止することにより、波形発生開始時の安定しない波形での誤動作が防止されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項15】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
条件の違うデータ処理禁止条件を複数個備え、それぞれの禁止条件のオアにより判定結果の出力が禁止されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項16】
請求項1に記載されたデータ処理装置を備えることを特徴とするセキュリティ装置。
【請求項17】
請求項1に記載されたデータ処理装置を備えることを特徴とする侵入センサ。
【請求項1】
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記A/D変換出力に基づいて入力信号波形の山の数を検出する高周波ノイズ認識手段を備え、
一定時間内の上記山の数の検出数が一定値以上になったと判別したとき、上記高周波ノイズ認識手段により上記データ処理を禁止することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたデータ処理装置において、
上記高周波ノイズ認識手段が、上記一定時間内の山の数の検出を移動区間積分で行うことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたデータ処理装置において、
上記高周波ノイズ認識手段が、オフセット処理後の波形のピークまたはボトムのどちらか一方により山の数を検出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記A/D変換出力に基づいて入力信号波形の周期及び波形の立上りからピークまでの立上り時間を検出する定周期ノイズ認識手段を備え、
連続して同じ周期の波形が入力され、かつ、波形の立上り時間が短いと判別したとき、上記定周期ノイズ認識手段により上記データ処理を禁止することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定の波形数分上記波形の立上り時間を積算することにより、波形の立上り時間を検出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定の範囲内の周期を有する波形のみを検出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、一定時間の間、波形の周期及び立上り時間が所定の判定幅内にある場合に上記データ処理を禁止することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、最初の一波形もしくは数波形後の波形の周期を基準値とし、その基準値から一定の範囲内に入っているか否かを判別することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項9】
請求項4に記載されたデータ処理装置において、
上記定周期ノイズ認識手段が、最初の一波形もしくは数波形後の波形により判別を行うことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
上記高周波ノイズ認識手段、あるいは、定周期ノイズ認識手段が、波形の振幅が一定値以上のときのみ、判別を行うことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項11】
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理装置であって、
上記入力信号が入力されるハイパスフィルタ手段を有するノイズ認識手段を備え、
上記ハイパスフィルタ手段の出力が一定閾値以上になったとき、上記データ処理を禁止することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
上記高周波ノイズ認識手段、定周期ノイズ認識手段、あるいは、ハイパスフィルタ手段を有するノイズ認識手段が、波形の発生開始から一定時間内にノイズ認識処理を実行し、ノイズ認識処理が終了した後、判定結果の出力が禁止されない場合に、判定結果の出力が実行されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
データ処理禁止状態になった場合、入力信号の振幅が一定値以下で一定時間継続した場合に、上記禁止状態が解除されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
波形の発生開始から一定時間内のノイズ認識処理を禁止することにより、波形発生開始時の安定しない波形での誤動作が防止されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項15】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
条件の違うデータ処理禁止条件を複数個備え、それぞれの禁止条件のオアにより判定結果の出力が禁止されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項16】
請求項1に記載されたデータ処理装置を備えることを特徴とするセキュリティ装置。
【請求項17】
請求項1に記載されたデータ処理装置を備えることを特徴とする侵入センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−151051(P2007−151051A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361639(P2005−361639)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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