説明

データ収集システム

【課題】高い精度で予め定められた送信タイミングに従って、自発的にデータを送信する無線通信子機20を有するデータ収集システム10を提供する。
【解決手段】データ収集システム10内の無線通信子機20は、内部時計204に基づいて、自装置に予め割り当てられた送信タイミングを検出する送信タイミング検出部208と、送信タイミング検出部208が検出した送信タイミングに従って、対応する外部装置12が生成したデータを、無線通信を用いて無線通信親機30へ送信するデータ送信部210と、時刻情報を含むGPS信号を受信するGPS信号受信部200と、GPS信号受信部200が受信したGPS信号に含まれている時刻情報に基づいて、内部時計204を校正する時計校正部202とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等のデータ生成装置が生成する売り上げ等のデータを、無線通信により収集する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機等のデータ生成装置のそれぞれに設けられた無線通信子機と、当該複数の無線通信子機が配置されたエリアの中心付近に設けられた無線通信親機とを有し、データ生成装置が生成したデータを、無線通信を用いて収集するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。当該従来技術では、無線通信親機は、それぞれの無線通信子機にデータ送信要求を送信することにより(ポーリング方式)、データ生成装置が生成するデータを、対応する無線通信子機を介して取得し、取得したデータをデータ収集装置へ転送する。この場合、無線通信親機は、無線通信子機との間ではPHS(Personal Handyphone System)方式の子機間直接通信モードを用い、データ収集装置との間ではPHS方式の公衆通信モードを用いることにより、システムのデータ通信費用を低く抑えることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−122158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来技術を実現するためには、無線通信子機は、無線通信親機からデータ送信要求を検出するために、所定周期で無線通信親機からのデータ送信要求の有無を判定する必要がある。無線通信子機は、例えば1秒の間に、100ms間起動して無線通信親機からのデータ送信要求の有無を判定し、データ送信要求が無ければ、残りの900ms間低電力モードで動作する。
【0005】
ここで、データ生成装置が自動販売機等である場合、データ生成装置が生成したデータは、例えば、数時間に1回等、数時間間隔で収集されればよい場合が多い。このような場合、無線通信子機は、数時間に1回のデータ送信のために、数時間の大部分において無駄な受信動作を繰り返すことになり、無線通信子機の電力消費が多くなる欠点があった。
【0006】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、無線通信親機との無線通信にかかる無線通信子機の消費電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のデータ収集システムは、無線通信子機が収集したデータを、無線通信子機側から無線通信親機側へ必要に応じて自発的に送信する。ただし、他の無線通信子機が送信したデータとの衝突を避けるために、送信できるタイミングは予め定められている。この予め定められた送信タイミングは、無線通信子機内の内部時計で計時される。また、この内部時計は、他の無線通信子機の内部時計と時刻を一致させておく必要があり、正時を含む外部からの信号で適宜時刻を校正する必要がある。例えば、無線通信子機にGPS(Global Positioning System)内の測地衛星から送信される、時刻情報を含む信号に基づいて内部時計を校正する機能を持たせ、校正された内部時計に従って、予め定められた送信タイミングで、データ収集装置が生成したデータを無線通信親機へ送信させる。
【0008】
すなわち本発明は、データ生成装置が生成するデータを、無線通信を用いて収集するデータシステムであって、複数のデータ生成装置のそれぞれに設けられる無線通信子機と、無線通信子機から送信されるデータをデータ収集装置へ中継する無線通信親機とを備え、無線通信子機のそれぞれは、発信器が生成するパルスに基づいて時刻を計時する子機側時計と、子機側時計が計時する時刻を参照して、予め設定された子機側送信タイミングを検出する子機側送信タイミング検出部と、データ生成装置が生成したデータをデータ生成装置から取得し、取得したデータを、子機側送信タイミング検出部が検出した子機側送信タイミングに従って、無線通信を用いて無線通信親機へ送信する子機側データ送信部と、正時を含む外部からの信号、例えばGPS内の測地衛星から送信される、時刻情報を含む信号を受信する子機側GPS信号受信部と、子機側GPS受信機が受信した信号から時刻情報を読み出し、読み出した時刻情報で、子機側時計を校正する子機側校正部とを有し、無線通信親機は、無線通信子機から無線通信を用いて送信されたデータを受信するデータ受信部と、データ受信部が受信したデータを、無線通信を用いてデータ収集装置へ送信する親機側データ送信部とを有することを特徴とするデータ収集システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無線通信子機は、データ生成装置から取得したデータを、必要に応じて、自発的に無線通信親機へ送信することができる。そのため、ポーリング方式に基づく従来のデータ収集システムに比べて、無線通信親機からの送信要求の有無を監視する必要がないので、無線通信子機の消費電力を低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係るデータ収集システム10の構成を示す。データ収集システム10は、無線通信親機30および複数の無線通信子機20を備える。
【0012】
それぞれの無線通信子機20は、外部に設けられた、例えば自動販売機等の外部装置12が生成する売上や在庫等のデータを取得し、取得したデータを無線通信によって無線通信親機30へ送信する。無線通信子機20と無線通信親機30とは、例えばPHS方式に基づく子機間直接通信モードによって、互いに通信を行う。また、複数の無線通信子機20は、同一の無線通信親機30へ、PHS方式の子機間直接通信モードを用いてデータを送信する。そのため、データ収集システム10においては、複数の無線通信子機20によって送信されるデータどうしが衝突しないように、それぞれの無線通信子機20には、無線通信親機30へデータを送信するタイミングおよび通信チャネルが予め設定されている。
【0013】
それぞれの無線通信子機20は、所定のタイミングで、GPS内の測地衛星11からのGPS信号を受信する。そして、無線通信子機20は、受信した信号に含まれる時刻情報に基づいて、内蔵している時計を校正する。これにより、それぞれの無線通信子機20は、高い精度で、予め割り当てられた送信タイミングにデータを無線通信親機30へ送信することができる。
【0014】
無線通信親機30は、それぞれの無線通信子機20から送信されてきたデータを受信し、受信したデータを基地局13およびネットワーク14を介してデータ収集装置15へ送信する。基地局13は、ネットワーク14と有線または無線によって接続される。基地局13は、例えばPHS方式に基づく公衆通信モードによって、無線通信親機30との間で通信を行う。
【0015】
図2は、無線通信子機20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。無線通信子機20は、GPS信号受信部200、時計校正部202、内部時計204、振動子206、送信タイミング検出部208、データ送信部210、および電源制御部212を備える。
【0016】
内部時計204は、振動子206が発生するパルスに基づいて、設定された時刻からの時間の経過を測定する。振動子206は、例えば抵抗、コンデンサ、およびオペアンプで構成されたCR発振器や、セラミック振動子、水晶振動子等である。他の例として、振動子206は、TCXO(Temperature Compensated Xtal Oscillator)であってもよい。
【0017】
送信タイミング検出部208は、予め設定された送信時刻を保持しており、内部時計204が計時する時刻が保持している送信時刻と一致した場合に、その旨をデータ送信部210、電源制御部212、GPS信号受信部200、および時計校正部202へ通知する。ここで、それぞれの無線通信子機20に設定される送信時刻とは、同一の無線通信親機30へデータを送信する複数の無線通信子機20について、無線通信子機20毎に異なる送信時刻となるように割り当てられた時刻である。
【0018】
データ送信部210は、送信タイミング検出部208から送信時刻である旨を通知された場合に、外部装置12が生成した売上等のデータを外部装置12から取得し、取得したデータを、PHS方式の子機間直接通信モードを用いて無線通信親機30へ送信する。そして、データ送信部210は、無線通信親機30からデータ受信応答を受信することにより、送信したデータが無線通信親機30へ届いたことを認識し、データの送信を終了する。一方、データを送信した後にデータ受信応答を受信しなかった場合、データ送信部210は、後述する再送用チャネルを用いて、データを無線通信親機30へ再送する。なお、外部装置12からの送信すべきデータがない場合は、送信タイミングになったとしても無線通信親機30への送信をする必要はない。
【0019】
GPS信号受信部200は、送信タイミング検出部208から送信時刻である旨を通知された場合に、測地衛星11からの時刻情報を含む信号を受信する。時計校正部202は、送信タイミング検出部208から送信時刻である旨を通知された場合に、GPS信号受信部200が測地衛星11から受信した信号より時刻情報を抽出し、抽出した時刻情報に基づいて、内部時計204が計時している時刻情報を校正する。
【0020】
電源制御部212は、送信タイミング検出部208から送信時刻である旨を通知された場合に、GPS信号受信部200、時計校正部202、およびデータ送信部210に電源を供給することにより、これらの機能ブロックを起動させる。そして、電源制御部212は、データ送信部210によるデータの送信が終了した場合に、GPS信号受信部200、時計校正部202、およびデータ送信部210への電源供給を遮断することにより、これらの機能ブロックを停止させる。
【0021】
このように、電源制御部212は、送信時刻からデータ送信部210によるデータの送信が終了するまでの所定期間のみGPS信号受信部200、時計校正部202、およびデータ送信部210に電源を供給するので、無線通信子機20の電力消費を低減することができる。
【0022】
また、本例では、送信時刻に時計校正部202による内部時計204の校正とデータ送信部210によるデータの送信とを行うが、本発明はこれに限られない。他の例として、送信タイミング検出部208は、内部時計204の校正を行うタイミングとデータ送信部210によるデータの送信タイミングとを別々に検出してもよい。この場合、電源制御部212は、送信タイミング検出部208が内部時計204の校正を行うタイミングを検出した場合には、GPS信号受信部200および時計校正部202に電源を供給し、送信タイミング検出部208がデータ送信部210によるデータの送信タイミングを検出した場合には、データ送信部210に電源を供給する。
【0023】
これにより、内部時計204の校正タイミングとデータ送信部210のデータ送信タイミングとを別々に制御することができる。そのため、例えば、外部装置12によって生成されたデータが1日に4回収集する必要がある場合に、生成するパルスの周波数安定性の高いTCXOを振動子206に用いることにより、内部時計204の校正タイミングが1日に1回でよいとすれば、GPS信号受信部200および時計校正部202に電源を供給する回数を減少させることができ、無線通信子機20の消費電力をさらに低減させることができる。
【0024】
逆に、内部時計204の校正頻度を増加させることにより、周波数安定性の低いセラミック振動子を振動子206に用いることができるので、内部時計204のコストを低減することも可能である。
【0025】
図3は、無線通信親機30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。無線通信親機30は、データ格納部302、データ送信部304、および複数のデータ受信部300を備える。データ受信部300は、複数のチャネルのそれぞれに対応して複数設けられ、対応するチャネルを用いて、PHS方式の子機間直接通信モードによって無線通信子機20と通信を行う。それぞれのデータ受信部300は、通信を認識する無線通信子機20の識別情報を予め保持しており、設定された無線通信子機20以外のPHS端末からのデータ送信を無視する。
【0026】
データ格納部302は、それぞれのデータ受信部300が無線通信子機20から受信したデータを格納する。データ送信部304は、ネットワーク14および基地局13を介してデータ収集装置15からデータの送信要求を受信した場合に、データ格納部302に格納されたデータを、PHS方式の公衆通信モードを用いて基地局13およびネットワーク14を介してデータ収集装置15へ送信する。
【0027】
図4は、無線通信子機20が送信する送信スロットの構成を説明するための概念図である。送信チャネル40には、PHS子機間直接通信に使用可能なチャネル10個のうちからk(1≦k≦10)個が割り当てられる。そして、k個の送信チャネル40は、通常使用する送信チャネル40であるj(1≦j≦k)個と再送用の送信チャネル40であるk−j個とに分割される。
【0028】
基準時刻44は、タイムスロットの開始時刻であり、本例ではGPS時刻の基準である1980年1月6日0時であるが、他の時刻を基準としても良い。基準時刻44は、送信周期およびタイムスロットの原点である。1回のデータ伝送に必要となる最大時間に基づきタイムスロット幅Δtが定められ、送信タイミング検出部208には、当該Δt、送信周期T、および基準時刻44が設定される。これにより送信タイミング検出部208は、送信チャネル40毎の1周期につき、L=T/Δtの個数のタイムスロットを算出する。ここで、通常使用する複数の送信チャネル40のタイムスロットの総数は、L×j個となる。
【0029】
基準時刻44からの経過時間をtとすると、基準時刻44からのサイクル数cは、
c=t¥T (a¥bはaをbで除した整数商を表す)
であるので、送信タイミング検出部208は、次周期のスロット番号42mの開始時刻を、
(c+1)T+(m−1)(Δt)
と算出する。
【0030】
これにより、同一の無線通信親機30へデータを送信する複数の無線通信子機20においては、データ収集システム10は、L×j個のタイムスロットを衝突せずに使用することができる。しかし、近隣に同じ方式のデータ収集システム10または子機間直接通信モードを使用する他のPHS端末が存在すると、無線通信子機20が送信したデータが、他のデータ収集システム10内の無線通信子機20が送信したデータまたは他のPHS端末が送信したデータと衝突する場合がある。
【0031】
これを回避するために、データ収集システム10は、衝突したデータを再送させるための再送用の送信チャネル40であるMj+1〜Mを有する。再送用の送信チャネル40にはタイムスロットは設定されない。データ送信部210は、使用されていない再送用の送信チャネル40を検索し、検索した再送用の送信チャネル40を用いてデータを再送する。いずれの再送用の送信チャネル40も使用中である場合、データ送信部210は、再送用の送信チャネル40が使用されなくなるまで待つ。
【0032】
なお、本例では、再送用チャネルとしてMj+1〜Mを用意したが、他の例として、再送用チャネルを使用せずに、M〜Mを通常送信用の送信チャネル40として、各送信チャネル40の送信周期T内をi(1≦i≦L)個の通常スロットとL−i個の再送スロットとに分けてもよい。
【0033】
図5は、無線通信子機20が送信する送信スロットの送信時刻を説明するための送信スロット割り当て表50である。本例では、送信周期Tを4時間、タイムスロット幅Δtを15秒、通常送信チャネル500をM〜M、再送チャネル502をMおよびMとしている。これにより、タイムスロットの個数Lは、
L=T/Δt=4時間/15秒=960個
となる。
【0034】
図6は、無線通信子機20の動作の一例を示すフローチャートである。例えば電源投入等の所定のタイミングで、本フローチャートに示す無線通信子機20の動作は開始する。まず、無線通信子機20は、初期設定を行う(S100)。ステップ100では、時計校正部202は、GPS信号受信部200が測地衛星11から受信した時刻情報を含む信号から時刻情報を抽出し、抽出した時刻情報に基づいて内部時計204の時刻を校正する。
【0035】
次に、送信タイミング検出部208は、各無線通信子機20に一意に割り当てられた呼出し番号等の識別符号により、使用するチャネル、タイムスロットの割り当てを決定し、データ送信周期、タイムスロット幅、および内部時計204が計時している現在の時刻に基づいて、次の送信時刻を算出する(S102)。そして、送信タイミング検出部208は、内部時計204が計時している現在の時刻がステップ102において算出した送信時刻と一致したか否かを判定する(S104)。現在の時刻が送信時刻と一致していない場合(S104:No)、送信タイミング検出部208は、現在の時刻が送信時刻と一致するまでステップ104を繰り返す。
【0036】
現在の時刻が送信時刻と一致した場合(S104:Yes)、電源制御部212は、GPS信号受信部200、時計校正部202、およびデータ送信部210に電源を供給することにより、これらのブロックを起動する(S106)。そして、無線通信子機20は、外部装置12が生成した売上等のデータを外部装置12から取得し、取得したデータを、PHS方式の子機間直接通信モードを用いて無線通信親機30へ送信し(S108)、再びステップ102に示した処理を行う。
【0037】
図7は、ステップ108における無線通信子機20の動作の一例を示すフローチャートである。まず、GPS信号受信部200は、測地衛星11からの時刻情報を含む信号を受信する(S110)。次に、時計校正部202は、GPS信号受信部200が測地衛星11から受信した信号より時刻情報を抽出し、抽出した時刻情報に基づいて内部時計204の時刻を校正する(S112)。
【0038】
次に、データ送信部210は、外部装置12が生成した売上等のデータを外部装置12から取得し、取得したデータを、PHS方式の子機間直接通信モードを用いて無線通信親機30へ送信する(S114)。そして、データ送信部210は、無線通信親機30からデータ受信応答(ACK)を受信したか否かを判定する(S116)。ACKを受信した場合(S116:Yes)、送信タイミング検出部208は、ステップ102に示した処理を行う。
【0039】
ステップ116において、ACKを受信しなかった場合(S116:No)、データ送信部210は、再送回数が所定回数以上か否かを判定する(S118)。再送回数が所定回数未満である場合(S118:No)、送信タイミング検出部208は、再送用の送信チャネル40を用いてデータを再送する(S120)。再送回数が所定回数以上である場合(S118:Yes)、データ送信部210は、エラー処理を行い(S122)、送信タイミング検出部208は、ステップ102に示した処理を行う。
【0040】
ステップ122におけるエラー処理とは、例えば、無線通信子機20内に設けられた不揮発性のメモリに、エラーの内容とその時刻を格納したり、無線通信子機20に設けられたエラー報告用のLEDを点滅させる等の処理を、データ送信部210が行うことである。
【0041】
図8は、無線通信親機30の動作の一例を示すフローチャートである。例えば電源投入等の所定のタイミングで、本フローチャートに示す無線通信親機30の動作は開始する。まず、無線通信親機30は、初期設定を行う(S200)。ステップ200では、データ送信部304は、基地局13との間で位置登録等の処理を行うことにより、公衆通信モードにおける待ち受け状態に移行する。また、ステップ200では、それぞれのデータ受信部300が設定されたチャネルにおいて無線通信子機20からの呼び出しを待ち受けるための設定を行う。
【0042】
次に、それぞれのデータ受信部300は、登録された無線通信子機20からデータを受信したか否かを判定する(S202)。複数のデータ受信部300のいずれも、登録された無線通信子機20からデータを受信しなかった場合(S202:No)、データ送信部304は、ステップ206に示す処理を行う。
【0043】
ステップ202において、複数のデータ受信部300のいずれかが、登録された無線通信子機20からデータを受信した場合(S202:Yes)、データを受信したデータ受信部300は、当該データの送信元の無線通信子機20へデータ受信応答を返信すると共に、受信したデータをデータ格納部302に格納する(S204)。そして、データ送信部304は、データ収集装置15からデータ送信要求を受信したか否かを判定する(S206)。データ収集装置15からデータ送信要求を受信しなかった場合(S206:No)、それぞれのデータ受信部300は、再びステップ202に示した処理を行う。
【0044】
ステップ206において、データ収集装置15からデータ送信要求を受信した場合(S206:Yes)、データ送信部304は、データ格納部302に格納されたデータを基地局13およびネットワーク14を介してデータ収集装置15へ送信し(S208)、それぞれのデータ受信部300は、再びステップ202に示した処理を行う。
【0045】
以上、第1の実施形態について説明した。
【0046】
上記説明から明らかなように、本実施形態のデータ収集システム10によれば、無線通信子機20は、外部装置12から取得したデータを、高い精度で予め定められた送信タイミングに従って、自発的に無線通信親機30へ送信することができる。そのため、ポーリング方式に基づく従来のデータ収集システムに比べて、無線通信子機20の消費電力を低く抑えることができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0048】
図9は、本発明の第2実施形態に係る無線通信親機30の機能構成の一例を示すブロック図である。無線通信親機30は、データ格納部302、データ送信部304、GPS信号受信部310、時計校正部312、内部時計314、振動子316、送信タイミング検出部318、および複数のデータ受信部300を備える。なお、以下に説明する点を除き、図9において、図3と同じ符号を付した構成は、図3における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0049】
内部時計314は、振動子316が発生するパルスに基づいて、設定された時刻からの時間の経過を測定する。振動子316は、例えばセラミック振動子や、水晶振動子、TCXO等である。送信タイミング検出部318は、予め設定された送信時刻を保持しており、内部時計314が計時する時刻が保持している送信時刻と一致した場合に、その旨をデータ送信部304へ通知する。ここで、送信タイミング検出部318に設定される送信時刻とは、同一のデータ収集装置15へデータを送信する複数の無線通信親機30について、無線通信親機30毎に異なる送信時刻となるように割り当てられた時刻である。
【0050】
データ送信部304は、送信タイミング検出部318から送信時刻である旨を通知された場合に、データ格納部302に格納されたデータを、PHS方式の公衆通信モードを用いて基地局13およびネットワーク14を介してデータ収集装置15へ送信する。
【0051】
GPS信号受信部310は、所定のタイミングで、測地衛星11からの時刻情報を含む信号を受信する。時計校正部312は、所定のタイミングで、GPS信号受信部310が測地衛星11から受信した信号より時刻情報を抽出し、抽出した時刻情報に基づいて、内部時計314が計時している時刻情報を校正する。
【0052】
このように、データ送信部304は、GPSからの時刻情報に基づいて校正された内部時計314の時刻に基づいて、予め設定されたタイミングでデータ収集装置15へ発呼するので、同一のデータ収集装置15へデータを送信する無線通信親機30が複数存在する場合であっても、話中になることなく、データ収集装置15との間の呼を確実に確立することができる。また、無線通信子機20からのデータ受信時、およびデータ収集装置15へのデータ送信時以外を低消費電力モードとすることにより、無線通信親機30の消費電力を低減することができる。
【0053】
図10は、第2実施形態に係る無線通信親機30の動作の一例を示すフローチャートである。例えば電源投入等の所定のタイミングで、本フローチャートに示す無線通信親機30の動作は開始する。まず、無線通信親機30は、初期設定を行う(S300)。ステップ300では、データ送信部304は、基地局13との間で位置登録等の処理を行うことにより、公衆通信モードにおける待ち受け状態に移行する。また、ステップ300では、それぞれのデータ受信部300が設定されたチャネルにおいて無線通信子機20からの呼び出しを待ち受けるための設定等を行う。
【0054】
次に、データ送信部304は、データ格納部302に格納されたデータを、データ収集装置15へ送信する送信タイミングを算出する(S302)。そして、それぞれのデータ受信部300は、登録された無線通信子機20からデータを受信したか否かを判定する(S304)。複数のデータ受信部300のいずれも、登録された無線通信子機20からデータを受信しなかった場合(S304:No)、データ送信部304は、ステップ308に示す処理を行う。
【0055】
ステップ304において、複数のデータ受信部300のいずれかが、登録された無線通信子機20からデータを受信した場合(S304:Yes)、データを受信したデータ受信部300は、当該データの送信元の無線通信子機20へデータ受信応答を返信すると共に、受信したデータをデータ格納部302に格納する(S306)。そして、送信タイミング検出部318は、ステップ302において算出した送信タイミングと内部時計314が計時している時刻とが一致したか否かを判定する(S308)。算出した送信タイミングと内部時計314が計時している時刻とが一致していない場合(S308:No)、それぞれのデータ受信部300は、再びステップ304に示した処理を行う。
【0056】
ステップ308において、送信タイミング検出部318が算出した送信タイミングと内部時計314が計時している時刻とが一致した場合(S308:Yes)、データ送信部304は、データ格納部302に格納されたデータを基地局13およびネットワーク14を介してデータ収集装置15へ送信し(S310)、それぞれのデータ受信部300は、再びステップ302に示した処理を行う。
【0057】
なお、ステップ310において、時計校正部312は、GPS信号受信部310が測地衛星11より受信した信号から時刻情報を抽出し、抽出した時刻情報に基づいて内部時計314の時刻を校正する。
【0058】
以上、第2の実施形態について説明した。
【0059】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0060】
例えば、無線通信子機20および無線通信親機30が有する複数の機能ブロックのそれぞれは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよく、DSP(Digital Signal Processor)や汎用計算機によりソフトウェア的に実現されてもよく、あるいは、部分的にハードウェアまたはソフトウェアで実現させた機能ブロックを組み合わせてもよい。
【0061】
また、時計校正部202が内部時計204を校正するために参照する時刻情報や、時計校正部312が内部時計314を校正するために参照する時刻情報は、測地衛星11が送信するGPS信号だけではなく、標準電波(長波JJY信号)、あるいはテレビジョンまたはラジオの時報に用いられるFM信号等のように、正確な時刻基準となる信号ならば何であってもよい。さらに、外部装置12が基準となる時刻情報を持っている場合には、当該外部装置12から時刻情報を取得してもよい。
【0062】
また、第1および第2の実施形態では、無線通信手段としてPHS方式の子機間直接通信モードおよび公衆通信モードを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。無線通信手段をして、小電力コードレス電話機、小電力セキュリティ端末、特定小電力無線端末、デジタルコードレス電話機、無線LAN端末等が有する無線通信手段を用いても、本発明を実現することができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデータ収集システム10の構成を示す図である。
【図2】無線通信子機20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】無線通信親機30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】無線通信子機20が送信する送信スロットの構成を説明するための概念図である。
【図5】無線通信子機20が送信する送信スロットの送信時刻を説明するための図である。
【図6】無線通信子機20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】ステップ108における無線通信子機20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】無線通信親機30の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る無線通信親機30の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図10】第2実施形態に係る無線通信親機30の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10・・・データ収集システム、11・・・測地衛星、12・・・外部装置、13・・・基地局、14・・・ネットワーク、15・・・データ収集装置、20・・・無線通信子機、200、310・・・GPS信号受信部、202、312・・・時計校正部、204、314・・・内部時計、206、316・・・振動子、208、318・・・送信タイミング検出部、210、304・・・データ送信部、212・・・電源制御部、30・・・無線通信親機、300・・・データ受信部、302・・・データ格納部、40・・・送信チャネル、42・・・スロット番号、44・・・基準時刻、50・・・送信スロット割り当て表、500・・・通常送信チャネル、502・・・再送チャネル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ生成装置が生成したデータを、データ収集装置に集約するデータ収集システムであって、
前記複数のデータ生成装置のそれぞれに設けられ、対応するデータ生成装置が生成したデータを送信する無線通信子機と、
前記複数の無線通信子機のそれぞれが送信したデータを受信し、受信したデータを前記データ収集装置へ送信する無線通信親機と
を備え、
前記無線通信親機は、
それぞれ異なる送信タイミングが予め割り当てられた前記複数の無線通信子機から、無線通信を用いてデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信したデータを前記データ収集装置へ送信する親機側送信部と
を有し、
複数の前記無線通信子機のそれぞれは、
子機側内蔵タイマに基づいて、自装置に予め割り当てられた送信タイミングを検出する子機側送信タイミング検出部と、
前記子機側送信タイミング検出部が検出した送信タイミングに従って、対応するデータ生成装置が生成したデータを、無線通信を用いて前記無線通信親機へ送信する子機側送信部と、
時刻情報を含む無線信号を受信する子機側時刻信号受信部と、
前記子機側時刻信号受信部が受信した無線信号に含まれている時刻情報に基づいて、前記子機側内蔵タイマを校正する子機側内蔵タイマ校正部と
を有することを特徴とするデータ収集システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ収集システムであって、
前記無線通信親機は、
前記受信部が前記無線通信子機から受信したデータを格納するデータ格納部と、
親機側内蔵タイマに基づいて、自装置に予め割り当てられた送信タイミングを検出する親機側送信タイミング検出部と、
前記親機側送信タイミング検出部が検出した送信タイミングに従って、前記データ格納部に格納されたデータを、無線通信を用いて前記データ収集装置へ送信する親機側送信部と、
時刻情報を含む無線信号を受信する親機側時刻信号受信部と、
前記親機側時刻信号受信部が受信した無線信号に含まれている時刻情報に基づいて、前記親機側内蔵タイマを校正する内蔵タイマ校正部と
をさらに有することを特徴するデータ収集システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデータ収集システムであって、
前記受信部および前記子機側送信部は、
PHS方式における子機間直接通信モードを用いてデータを送信または受信し、
前記親機側送信部は、
PHS方式における公衆通信モードを用いて、前記データ収集装置へデータを送信することを特徴とするデータ収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−203447(P2006−203447A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11790(P2005−11790)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】