説明

データ転送無線基地局システム、端末機器、映像撮影機能付き端末機器、Femto基地局、映像データの処理方法、及びプログラム

【課題】映像撮影機能付き端末機器から、Femto基地局を介して、映像データ受信装置へ転送する映像データを、常に最適な無線回線品質で送信できるようにする。
【解決手段】 映像撮影機能付き端末機器10は、Femto基地局20から受信した無線回線品質制御情報に基づいて求められた無線回線品質に依存した映像データを符号化する可変映像データ符号化機能を備えている。映像撮影機能付き端末機器10が、無線回線品質に依存した映像データを可変符号化してFemto基地局20へ送信し、Femto基地局20から、ISPネットワーク及び通信事業者のコアネットワークを介さずに、可変符合化した映像データを映像データ受信装置へ送信して保存、または再生させる。これにより、無線回線品質の劣化やISPネットワーク品質の劣化によるデータ誤り又はデータ欠損による映像乱れの少ない、高品質な映像データを映像データ受信装置に保存、または再生することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末機器から送信されたデータを、無線基地局を介してデータ受信装置へ転送して保存またはデータ処理させるデータ転送無線基地局システム等に関し、特に、映像撮影機能付き端末機器が撮影した映像データを、Femto基地局を介して、映像データ受信装置へ転送して保存、または映像再生させるデータ転送無線基地局システム、端末機器、映像撮影機能付きの端末機器、Femto基地局、映像データの処理方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
端末機器のメモリ容量を小さくするために、Femto基地局(超小型無線基地局)を介して、端末機器で撮影した映像を映像データ受信装置へ転送して保存、または映像再生させるための映像データ転送無線基地局システムに関する技術が知られている。図6は、関連する映像データ転送無線基地局システムの構成を示すブロック図である。すなわち、この図は、映像撮影機能付き端末機器40が撮影した映像データを、Femto基地局51を介して映像データ受信装置54へ転送して保存、または映像再生させる映像データ転送無線基地局システムの構成を示している。図6に示すように、映像撮影機能付き端末機器40は、撮影部41で映像を撮影し、その映像を映像データ符号化部42で符号化してから、映像データ格納部43にその映像符号化データを格納している。そして、全ての撮影が終了した後に、映像データ格納部43に格納されている全ての映像符号化データは、送信部44からFemto基地局51へ送信される。そして、全ての映像符号化データは、Femto基地局51から、IPネットワーク52を介して、移動通信事業者のコアネットワーク53へ転送され、さらに、そのコアネットワーク53からIPネットワーク52を介して、映像データ受信装置54へ送信されて保存、または映像再生される。これにより映像撮影機能付き端末機器40のメモリ容量を削減することができる。
【0003】
また、携帯情報端末が、カメラで常時撮影している映像データに時刻情報を付加し、無線基地局を介して蓄積サーバへ転送することにより、その携帯情報端末のメモリ容量を削減させる記憶容量支援システムの技術も開示されている(特許文献1参照)。この技術によれば、必要に応じて携帯情報端末から蓄積サーバへアクセスすれば、撮影時刻と対応した映像データを取り出すことができる。さらに、カメラの撮像データをデジタルデータに変換して送信するコーディック装置において、電波伝搬状況の変化によって伝送レートを可変させて、常に最適な通信品質で映像データを伝送する技術も開示されている(特許文献2参照)。この技術によれば、可変映像データ符号化機能によって、無線状況が劣化したときは伝送レートを下げ、無線状況が良化したときは伝送レートを上げることにより、伝送レートを認識した最大エンコードに設定して映像データを伝送することができるので、映像データの通信品質を常に良好な状態に保つことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−244691号公報
【特許文献2】特開2007−329708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図6に示すような映像データ転送無線基地局システムの構成では、無線回線の品質劣化や、ISPなどのIPネットワークを介することによるIPネットワークの品質劣化のため、データ誤りやデータ欠損による映像乱れや、データ再送によるデータ伝送の遅延などが生じることがある。また、一旦撮影した映像を映像撮影機能付き端末機器40の映像データ格納部43に格納し、撮影終了後にFemto基地局51へ送信しているため、映像データをリアルタイムにFemto基地局51へ送信することができない。さらに、一旦撮影した映像を映像撮影機能付き端末機器40の映像データ格納部43に格納し、撮影終了後にFemto基地局51へ送信しているため、撮影時間が映像データ格納部43の容量以内に制限され、連続して長時間撮影することができない。
【0006】
また、前記特許文献1の技術においては、携帯情報端末が、カメラで常時撮影している映像データを、無線基地局を介して蓄積サーバへ転送することにより、携帯情報端末のメモリ容量を削減させることはできるが、映像データ転送時の通信品質については何ら考慮されていない。すなわち、携帯情報端末→無線基地局→蓄積サーバの通信経路の無線回線品質が変化しても、一定の伝送レートで映像データを転送しているので、通信品質が劣化したときには映像データが乱れるおそれがある。
【0007】
また、特許文献2の技術は、主に動画用の映像データを可変映像データ符号化機能によってエンコードし、伝送する映像データの品質向上を図っているものであり、映像データをエンコードするためのプログラムはコーディック装置に専用のソフトによって起動される。従って、特許文献2による可変映像データ符号化機能を知り得たとしても、映像撮影機能付き端末機器が撮影した映像データを、Femto基地局を介して、映像データ受信装置へ保存するときの無線回線品質を補償する技術に適用することは困難である。すなわち、特許文献2に開示されたコーディック装置に適用される可変映像データ符号化機能をそのまま用いても、映像撮影機能付き端末機器が撮影した映像データの無線回線品質を補償する技術に適用することはできない。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、映像撮影機能付き端末機器から、Femto基地局を介して、映像データ受信装置へ転送する映像データを、常に最適な無線回線品質で送信することができるデータ転送無線基地局システム、端末機器、映像撮影機能付き端末機器、Femto基地局、映像データの処理方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、無線回線品質に依存したデータを可変符号化する可変データ符号化機能を有する端末機器と、前記端末機器から送信された可変符号化データを受信する無線基地局と、前記無線基地局から転送された可変符号化データを受信して格納するデータ保存装置とを備えることを特徴とするデータ転送無線基地局システムである。
【0010】
また本発明は、無線回線品質に依存した映像データを可変符号化する可変映像データ符号化機能を有する映像撮影機能付き端末機器と、前記映像撮影機能付き端末機器から送信された可変符号化映像データを受信するFemto基地局と、前記Femto基地局から転送された可変符号化映像データを受信して格納する映像データ受信装置とを備えることを特徴とするデータ転送無線基地局システムである。
【0011】
また本発明は、映像を撮影する機能を有し、撮影した映像データを、Femto基地局を介して映像データ受信装置へ送信して保存、または映像再生させる映像撮影機能付き端末機器であって、前記Femto基地局から受信した無線回線品質制御情報に応じて無線伝送レートを制御し、その無線伝送レートに対応する映像データ符号化レートを生成する無線伝送レート制御部と、前記無線伝送レート制御部から受信した映像データ符号化レートにしたがって映像データを可変符号化し、無線回線品質に依存した可変符号化映像データを前記Femto基地局へ送信する映像データ符号化部とを備えることを特徴とする映像撮影機能付き端末機器である。
【0012】
また本発明は、映像撮影機能付き端末機器が撮影した映像データを受信し、該映像データを映像データ受信装置へ転送するFemto基地局であって、前記映像撮影機能付き端末機器から受信した可変符号化映像データから無線回線品質を測定する無線回線品質測定部と、前記無線回線品質測定部が測定した無線回線品質から無線回線品質制御情報を求め、該無線回線品質制御情報を前記映像撮影機能付き端末機器へ送信する無線回線品質制御部とを備えることを特徴とするFemto基地局である。
【0013】
また本発明は、映像撮影機能付き端末機器の映像データを、Femto基地局を介して映像データ受信装置へ送信して保存、または映像再生させる映像データの処理方法であって、前記Femto基地局が、無線回線品質を測定して無線回線品質制御情報を求め、該無線回線品質制御情報を前記映像撮影機能付き端末機器へ送信する第1のステップと、前記映像撮影機能付き端末機器が、受信した前記無線回線品質制御情報に基づいて映像データ符号化レートを求める第2のステップと、前記映像撮影機能付き端末機器が、前記映像データ符号化レートに対応した可変符号化映像データを求める第3のステップと、前記映像撮影機能付き端末機器が、前記Femto基地局へ無線回線品質に依存した前記可変符号化映像データを送信する第4のステップと、前記Femto基地局が、前記可変符号化映像データを受信し、該可変符号化映像データを前記映像データ受信装置へ転送して保存させる第5のステップと、を含むことを特徴とする映像データの処理方法である。
【0014】
また本発明は、映像撮影機能付き端末機器の映像データを、Femto基地局を介して映像データ受信装置へ送信して保存、または映像再生させる映像データの処理方法であって、映像撮影機能付き端末機器が映像データをデータバッファに格納する第1のステップと、前記Femto基地局が、無線回線品質を測定して無線回線品質制御情報を求め、該無線回線品質制御情報を前記映像撮影機能付き端末機器へ送信する第2のステップと、前記映像撮影機能付き端末機器が、受信した前記無線回線品質制御情報に基づいて映像データ符号化レートを求める第3のステップと、前記映像撮影機能付き端末機器が、前記データバッファに格納されたデータ量または空き容量に応じて前記映像データ符号化レートを変更する第4のステップと、前記映像撮影機能付き端末機器が、前記変更された映像データ符号化レートに対応した可変符号化映像データを求める第5のステップと、前記映像撮影機能付き端末機器が、前記Femto基地局へ無線回線品質に依存した前記可変符号化映像データを送信する第6のステップと、前記Femto基地局が、前記可変符号化映像データを受信し、該可変符号化映像データを前記映像データ受信装置へ転送して保存、または映像再生させる第7のステップと、を含むことを特徴とする映像データの処理方法である。
【0015】
また本発明は、上述の映像データの処理方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、映像撮影機能付き端末機器が、Femto基地局から受信した無線回線品質に依存した映像データを可変符号化し、この可変符号化映像データをFemto基地局へ送信し、さらに、Femto基地局から、ISP(Internet Service Provider)ネットワークや無線事業者のコアネットワークを介さずに、この可変符号化映像データを映像データ受信装置へ送信して保存、または映像再生させている。したがって、無線回線品質の劣化やISPネットワークの品質劣化によるデータ誤り又はデータ欠損による映像乱れの少ない、高品質な映像データを映像データ受信装置に保存、または映像再生させることができる。
【0017】
また、本発明によれば、映像撮影機能付き端末機器が、Femto基地局から受信した無線回線品質に依存した映像データを可変符号化し、この可変符号化映像データをFemto基地局に送信し、直ちに、Femto基地局から映像データ受信装置へ転送しているので、リアルタイムな映像データを映像データ受信装置へ保存、または映像再生させることができる。また、このような映像データの送信方法によれば、映像撮影機能付き端末機器は、撮影中の映像データを自己のデータ格納部に蓄える必要がないので、撮影情報がデータ格納部の容量以内に制限されることはなくなると共に、データ格納部のメモリ容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムによる映像データの流れを示す概念図である。
【図4】図1に示す第1実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの動作の流れを示すタイムチャートである。
【図5】図2に示す第2実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの動作の流れを示すタイムチャートである。
【図6】関連する映像データ転送無線基地局システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の映像データ転送無線基地局システムは、映像撮影機能付き端末機器が、無線回線品質に依存した映像データを符号化する可変映像データ符号化機能を備えている。そして、この映像撮影機能付き端末機器が、無線回線品質に依存した映像データを可変符号化してFemto基地局へ送信し、Femto基地局から、ISPネットワーク及び無線事業者のコアネットワークを介さずに、可変符合化した映像データを映像データ受信装置へ送信して保存、または映像再生させるように構成されている。これにより、無線回線品質の劣化やISPネットワーク品質の劣化によるデータ誤り又はデータ欠損による映像乱れの少ない、高品質な映像データを映像データ受信装置に保存、または映像再生させることができる。
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る映像データ転送無線基地局システムの幾つかの実施形態について詳細に説明する。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
《第1実施形態》
図1は、本発明の第1実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、映像データ転送無線基地局システム1は、映像撮影機能付き端末機器10とFemto基地局20と映像データ受信装置30aとによって構成され、映像撮影機能付き端末機器10が撮影した映像データは、Femto基地局20を介して、映像データ受信装置30aへ転送されて保存、または映像再生させる。
【0022】
また、映像撮影機能付き端末機器10は、映像を撮影する撮影部11、映像データを符号化する映像データ符号化部12、符号化映像データをFemto基地局20へ送信する送信部13、無線伝送レートを制御する無線伝送レート制御部14、及びFemto基地局20から無線回線品質制御情報を受信する受信部15を備えている。
【0023】
各構成要素についてさらに詳しく説明すると、映像データ符号化部12は、無線伝送レート制御部14から指示された符号化レートに従って映像データを符号化する機能を備えている。送信部13は、映像データ符号化部12で符号化された無線回線品質に依存する可変符号化映像データをFemto基地局20へ送信する機能を備えている。
【0024】
無線伝送レート制御部14は、受信部15が受信した上り無線回線品質制御情報に応じて無線伝送レートを制御し、その無線伝送レートに対応する映像データ符号化レートを映像データ符号化部12へ送信する機能を備えている。受信部15は、Femto基地局20から上り無線回線品質制御情報を受信して無線伝送レート制御部14へ送信する機能を備えている。
【0025】
Femto基地局20は、基地局受信部21、上り無線回線品質測定部22、上り無線回線品質制御部23、及び基地局送信部24を備えている。
【0026】
基地局受信部21は、映像撮影機能付き端末機器10から送信された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを受信し、このデータを映像データ受信装置30aへ転送する機能を備えている。上り無線回線品質測定部22は、映像撮影機能付き端末機器10からの上り無線受信データから上り無線回線品質を測定し、この測定結果を上り無線回線品質制御部23へ送信する機能を備えている。
【0027】
上り無線回線品質制御部23は、上り無線回線品質測定部22で測定された上り無線回線品質から上り無線回線品質制御情報を求め、この情報を送信部24へ送信する機能を備えている。基地局送信部24は、上り無線回線品質制御部23が求めた上り無線回線品質制御情報を映像撮影機能付き端末機器10へ送信する機能を備えている。さらに、映像データ受信装置30aは、Femto基地局20から転送された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを保存、または映像再生する機能を備えている。
【0028】
次に、図1に示す映像データ転送無線基地局システム1の動作について説明する。映像撮影機能付き端末機器10の撮影部11が所望の映像を撮影し、撮影された映像データを映像データ符号化部12へ送信する。すると、映像データ符号化部12は、無線伝送レート制御部14から指示された符号化レートに従って、撮影部11から受信した映像データを符号化する。そして、送信部13が、映像データ符号化部12で符号化された無線回線品質に依存した可変符号化映像データをFemto基地局20へ送信する。
【0029】
一方、映像撮影機能付き端末機器10の受信部15は、Femto基地局20から上り無線回線品質制御情報を受信して、この情報を無線伝送レート制御部14へ送信する。すると、無線伝送レート制御部14は、受信部15が受信したFemto基地局20からの上り無線回線品質制御情報に応じて無線伝送レートを制御し、制御された無線伝送レートに対応する映像データ符号化レートを映像データ符号化部12へ送信する。
【0030】
また、Femto基地局20の基地局受信部21は、映像撮影機能付き端末機器10から送信された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを受信し、このデータを映像データ受信装置30aへ転送する。さらに、Femto基地局20の上り無線回線品質測定部22は、基地局受信部21が受信した上り無線受信データから上り無線回線品質を測定し、この測定結果を上り無線回線品質制御部23へ送信する。
【0031】
これによって、上り無線回線品質制御部23は、上り無線回線品質測定部22が測定した上り無線回線品質から上り無線回線品質制御情報を求め、この情報を基地局送信部24へ送信する。例えば、上り無線回線品質制御部23は、上り無線回線品質が劣化した場合には上り無線回線品質を向上させ、上り無線回線品質が向上した場合は上り無線回線品質を劣化させるような上り無線回線品質制御情報を求めてこの情報を基地局送信部24へ送信する。これによって、基地局送信部24は、上り無線回線品質制御部23が求めた上り無線回線品質制御情報を映像撮影機能付き端末機器10へ送信する。このようにして、映像データ受信装置30aは、映像撮影機能付き端末機器10からFemto基地局20を介して転送された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを保存、または映像再生することができる。
【0032】
図3は、本発明の第1実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムによる映像データの流れを示す概念図である。図3に示すように、本実施形態の映像データ転送無線基地局システム1では、映像撮影機能付き端末機器10が無線回線品質に依存した映像データを可変符号化し、映像撮影機能付き端末機器10からFemto基地局20へ無線回線品質に依存した可変符号化映像データを送信し、さらに、Femto基地局20から、ISPネットワーク及び無線事業者のコアネットワークを介さずに、映像データ受信装置30aへこの映像データを送信している。これによって、無線回線品質劣化やISPネットワーク品質劣化によるデータ誤り又はデータ欠損による映像乱れが生じない、高品質な映像データを映像データ受信装置30aに保存、または映像再生させることができる。
【0033】
次に、タイムチャートを用いて、図1に示す映像データ転送無線基地局システムの動作を説明する。図4は、図1に示す第1実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの動作の流れを示すタイムチャートである。映像撮影機能付き端末機器10は、映像撮影を開始すると(ステップS1)、Femto基地局20へ無線回線品質に依存した可変符号化映像データの転送を開始する(ステップS2)。
【0034】
すると、Femto基地局20は、無線回線品質に依存した可変符号化映像データを映像データ受信装置30aへ転送する(ステップS3)。さらに、Femto基地局20は、上り無線回線品質測定部22にて上り無線回線品質を測定し(ステップS4)、上り無線回線品質制御部23にて上り無線回線品質から上り無線回線品質制御情報を求め(ステップS5)、この上り無線回線品質制御情報を映像撮影機能付き端末機器10へ送信する(ステップS6)。
【0035】
そして、映像撮影機能付き端末機器10は、受信した上り無線回線品質制御情報から、無線伝送レート制御部14によって符号化レートを求め、上り無線回線品質制御情報に応じて映像データ符号化レートを変更し(ステップS7)、Femto基地局20へ無線回線品質に依存した可変符号化映像データの転送を開始する(ステップS8)。これによって、Femto基地局20は、無線回線品質に依存した可変符号化映像データを映像データ受信装置30aへデータ転送して保存する(ステップS9)。または映像データ受信装置30aは受信した映像データを再生するようにしてもよい。そして、映像撮影機能付き端末機器10が映像撮影を継続している間は、このような処理を繰り返す。
【0036】
《第2実施形態》
図2は、本発明の第2実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの構成を示すブロック図である。図2に示す第2実施形態の映像データ転送無線基地局システム1aは、図1に示した第1実施形態の映像データ転送無線基地局システム1と比較して、映像撮影機能付き端末機器10aの構成のみが異なり、Femto基地局20及び映像データ受信装置30bの構成は同じである。
【0037】
すなわち、図2の映像撮影機能付き端末機器10aは、図1の映像撮影機能付き端末機器10に加えて、映像データ符号化部12に対して符号化レートを指示する映像符号化レート制御部16と、データバッファ18に格納されたデータ量または空き容量を測定するバッファ量測定部17と、符号化された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを一時的に格納するデータバッファ18とが追加されている。このような構成により、図2に示す第2実施形態の映像データ転送無線基地局システム1aは、映像符号化レートの算出方法について、第1実施形態に加えてさらに工夫がなされている。
【0038】
図2において、映像撮影機能付き端末機器10aの撮影部11がビデオ映像の撮影を開始すると、その映像データは撮影部11から映像データ符号化部12へ送信される。すると、映像データ符号化部12は、映像符号化レート制御部16から指示された符号化レートにしたがって映像データを符号化する。
【0039】
また、データバッファ18は、符号化された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを一時的に格納する。送信部13は、データバッファ18に格納された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを、無線伝送レート制御部16から指示された伝送レートでFemto基地局20へ送信する。また、受信部15は、Femto基地局20から上り無線回線品質制御情報を受信し、この情報を無線伝送レート制御部14へ送信する。
【0040】
これによって、無線伝送レート制御部14は、上り無線回線品質制御情報に応じて無線伝送レートの制御を行う。さらに、バッファ量測定部17は、データバッファ18に格納されたデータ量または空き容量を測定する。また、映像符号化レート制御部16は、データバッファ18に格納されたデータ量または空き容量に応じて、映像符号化レートを求める。例えば、データバッファ18に格納されたデータ量が大きいか、またはデータバッファ18の空き容量が少ない場合には、映像符号化レートを下げる。また、データバッファ18に格納されたデータ量が少ないか、または空き容量が大きい場合には、映像符号化レートを上げる。
【0041】
一方、Femto基地局20の基地局受信部21は、映像撮影機能付き端末機器10aから送信された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを受信し、これを映像データ受信装置30bへ転送する。また、Femto基地局20の上り無線回線品質測定部22は、上り無線受信データから上り無線回線品質を測定し、その測定結果を上り無線回線品質制御部23へ送信する。これによって、上り無線回線品質制御部23は、上り無線回線品質から上り無線回線品質制御情報を求め、この情報を基地局送信部24へ送信する。例えば、上り無線回線品質が劣化した場合は上り無線回線品質を向上させ、上り無線回線品質が向上した場合は上り無線回線品質を劣化させる。そして、基地局送信部24は、上り無線回線品質制御情報を映像撮影機能付き端末機器10aへ送信する。
【0042】
このようにして、第2実施形態の映像データ転送無線基地局システム1aでは、無線回線品質に依存した映像データを可変符号化して、映像撮影機能付き端末機器10aからFemto基地局20へ送信し、さらに、Femto基地局20から、ISPネットワーク及び無線事業者のコアネットワークを介さずに、映像データ受信装置30bへ送信されるので、無線回線品質の劣化やISPネットワーク品質劣化によるデータ誤り又はデータ欠損による映像乱れの少ない高品質な映像を映像データ受信装置30bへ保存、または映像再生させることができる。すなわち、映像撮影機能付き端末機器10aから、Femto基地局20を介して、映像データ受信装置30bへ送信される無線回線品質に依存した可変符号化映像データは、図3に示すような流れとなって、映像データ受信装置30bにて保存、または映像再生される。
【0043】
図5は、図2に示す第2実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの動作の流れを示すタイムチャートである。したがって、図2を参照しながら、図5のタイムチャートにしたがって第2実施形態に係る映像データ転送無線基地局システムの動作の流れを説明する。
【0044】
映像撮影機能付き端末機器10の撮影部11がビデオ撮影を開始すると(ステップS11)、映像撮影機能付き端末機器10の送信部13からFemto基地局20へ無線回線品質に依存した可変符号化映像データの転送を開始する(ステップS12)。すると、Femto基地局20は、この無線回線品質に依存した可変符号化映像データを映像データ受信装置30bへデータ転送する(ステップS13)。
【0045】
一方、映像撮影機能付き端末機器10のバッファ量測定部17は、データバッファ18に格納されたデータ量または空き容量を測定する(ステップS14)。さらに、映像符号化レート制御部16が、データバッファ18に格納されたデータ量または空き容量に応じて、映像データの符号化レートを求める(ステップS15)。
【0046】
そして、映像撮影機能付き端末機器10の無線伝送レート制御部14は、Femto基地局20から受信した上り無線回線品質制御情報に基づいて符号化レートを求め、上り無線回線品質制御情報に応じて映像データ符号化レートを変更し(ステップS16)、Femto基地局20へ無線回線品質に依存した可変符号化映像データの転送を開始する(ステップS17)。これによって、Femto基地局20は、無線回線品質に依存した可変符号化映像データを映像データ受信装置30bへデータ転送して保存させる(ステップS18)。映像撮影機能付き端末機器10が映像撮影を継続している間は、このような処理を繰り返す。
【0047】
以上、本発明を2つの実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、端末機器から、無線基地局を介してデータ保存装置へ音声データを送信し、データ保存装置に音声データを保存させても、上記各実施形態と同様の作用効果を呈することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、映像撮影機能付き端末機器から、Femto基地局を介して、映像データ受信装置へ無線回線品質に依存した可変符号化映像データを送信し、これらの映像データをリアルタイムで映像データ受信装置に保存、または映像再生させている。したがって、本発明のデータ転送無線基地局システムは、高品質かつ大容量の映像を撮影する報道機関などの映像撮影機器などに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、1a 映像データ転送無線基地局システム
10 映像撮影機能付き端末機器
11 撮影部
12 映像データ符号化部
13 送信部
14 無線伝送レート制御部
15 受信部
16 映像符号化レート制御部
17 バッファ量測定部
18 データバッファ
20 Femto基地局
21 基地局受信部
22 上り無線回線品質測定部
23 上り無線回線品質制御部
24 基地局送信部
30a,30b 映像データ受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線回線品質に依存したデータを可変符号化する可変データ符号化機能を有する端末機器と、
前記端末機器から送信された可変符号化データを受信する無線基地局と、
前記無線基地局から転送された可変符号化データを受信して格納するデータ保存装置と
を備えることを特徴とするデータ転送無線基地局システム。
【請求項2】
無線回線品質に依存した映像データを可変符号化する可変映像データ符号化機能を有する映像撮影機能付き端末機器と、
前記映像撮影機能付き端末機器から送信された可変符号化映像データを受信するFemto基地局と、
前記Femto基地局から転送された可変符号化映像データを受信して格納する映像データ受信装置と
を備えることを特徴とするデータ転送無線基地局システム。
【請求項3】
前記映像撮影機能付き端末機器は、
前記Femto基地局から受信した無線回線品質制御情報に応じて無線伝送レートを制御し、その無線伝送レートに対応する映像データ符号化レートを生成する無線伝送レート制御部と、
前記無線伝送レート制御部から受信した映像データ符号化レートにしたがって映像データを可変符号化し、無線回線品質に依存した可変符号化映像データを前記Femto基地局へ送信する映像データ符号化部とを備え、
前記Femto基地局は、
前記映像撮影機能付き端末機器から受信した可変符号化映像データから無線回線品質を測定する無線回線品質測定部と、
前記無線回線品質測定部が測定した無線回線品質から無線回線品質制御情報を求め、該無線回線品質制御情報を前記映像撮影機能付き端末機器へ送信する無線回線品質制御部とを備え、
前記映像データ受信装置は、前記映像撮影機能付き端末機器から前記Femto基地局を介して転送された無線回線品質に依存した可変符号化映像データを受信して保存、または再生する機能を備える
ことを特徴とする請求項2に記載のデータ転送無線基地局システム。
【請求項4】
前記映像撮影機能付き端末機器は、
無線回線品質に依存する前記可変符号化映像データを一時的に格納するデータバッファと、
前記データバッファに格納されたデータ量または空き容量を測定するバッファ量測定部とを
さらに備えることを特徴とする請求項3に記載のデータ転送無線基地局システム。
【請求項5】
前記映像撮影機能付き端末機器は、
前記映像データ符号化部に対して符号化レートを指示する映像符号化レート制御部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のデータ転送無線基地局システム。
【請求項6】
映像を撮影する機能を有し、撮影した映像データを、Femto基地局を介して映像データ受信装置へ送信して保存、または再生させる映像撮影機能付き端末機器であって、
前記Femto基地局から受信した無線回線品質制御情報に応じて無線伝送レートを制御し、その無線伝送レートに対応する映像データ符号化レートを生成する無線伝送レート制御部と、
前記無線伝送レート制御部から受信した映像データ符号化レートにしたがって映像データを可変符号化し、無線回線品質に依存した可変符号化映像データを前記Femto基地局へ送信する映像データ符号化部とを備えることを特徴とする映像撮影機能付き端末機器。
【請求項7】
無線回線品質に依存する前記可変符号化映像データを一時的に格納するデータバッファと、
前記データバッファに格納されたデータ量または空き容量を測定するバッファ量測定部とをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の映像撮影機能付き端末機器。
【請求項8】
前記映像データ符号化部に対して符号化レートを指示する映像符号化レート制御部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の映像撮影機能付き端末機器。
【請求項9】
映像撮影機能付き端末機器が撮影した映像データを受信し、該映像データを映像データ受信装置へ転送するFemto基地局であって、
前記映像撮影機能付き端末機器から受信した可変符号化映像データから無線回線品質を測定する無線回線品質測定部と、
前記無線回線品質測定部が測定した無線回線品質から無線回線品質制御情報を求め、該無線回線品質制御情報を前記映像撮影機能付き端末機器へ送信する無線回線品質制御部とを備えることを特徴とするFemto基地局。
【請求項10】
映像撮影機能付き端末機器の映像データを、Femto基地局を介して映像データ受信装置へ送信して保存、または再生させる映像データの処理方法であって、
前記Femto基地局が、無線回線品質を測定して無線回線品質制御情報を求め、該無線回線品質制御情報を前記映像撮影機能付き端末機器へ送信する第1のステップと、
前記映像撮影機能付き端末機器が、受信した前記無線回線品質制御情報に基づいて映像データ符号化レートを求める第2のステップと、
前記映像撮影機能付き端末機器が、前記映像データ符号化レートに対応した可変符号化映像データを求める第3のステップと、
前記映像撮影機能付き端末機器が、前記Femto基地局へ無線回線品質に依存した前記可変符号化映像データを送信する第4のステップと、
前記Femto基地局が、前記可変符号化映像データを受信し、該可変符号化映像データを前記映像データ受信装置へ転送して保存、または再生させる第5のステップと、
を含むことを特徴とする映像データの処理方法。
【請求項11】
映像撮影機能付き端末機器の映像データを、Femto基地局を介して映像データ受信装置へ送信して保存、または再生させる映像データの処理方法であって、
映像撮影機能付き端末機器が映像データをデータバッファに格納する第1のステップと、
前記Femto基地局が、無線回線品質を測定して無線回線品質制御情報を求め、該無線回線品質制御情報を前記映像撮影機能付き端末機器へ送信する第2のステップと、
前記映像撮影機能付き端末機器が、受信した前記無線回線品質制御情報に基づいて映像データ符号化レートを求める第3のステップと、
前記映像撮影機能付き端末機器が、前記データバッファに格納されたデータ量または空き容量に応じて前記映像データ符号化レートを変更する第4のステップと、
前記映像撮影機能付き端末機器が、前記変更された映像データ符号化レートに対応した可変符号化映像データを求める第5のステップと、
前記映像撮影機能付き端末機器が、前記Femto基地局へ無線回線品質に依存した前記可変符号化映像データを送信する第6のステップと、
前記Femto基地局が、前記可変符号化映像データを受信し、該可変符号化映像データを前記映像データ受信装置へ転送して保存、または再生させる第7のステップと、
を含むことを特徴とする映像データの処理方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の映像データの処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−187275(P2010−187275A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31048(P2009−31048)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】