説明

データ配信装置及び画像配信装置

【課題】本発明は、異常が発生したとき使用可能なプロトコルを判別でき、各サーバに異常を伝えることができるデータ配信装置及び画像配信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のデータ配信装置は、IPネットワークに接続されて複数の所定のサーバと通信できると共に、通信端末に対してデータの配信をすることができる通信部12と、通信上及び/またはシステム上異常が発生したことを検知する異常検知手段14と、異常検知手段14が異常を検知したとき、サーバに対し該サーバが通信に使用するプロトコルでの通信が異常か正常か確認するための通知を順次行うと共に、正常な通信ができるプロトコルのサーバに対して異常を通知する異常時通信手段15とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常が発生したとき使用可能なプロトコルを判別でき、各サーバに異常を伝えることができるデータ配信装置、とくに画像を配信する画像配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやイントラネット等のIPネットワークに接続されて、自分の異常状態を相手に通知する電子機器が提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1の電子機器は、電子黒板や複写機、ファクシミリ装置、プリンタ、コンピュータ、デジタルカメラ等であり、自分の異常を検知する異常検知部と、検知した異常内容に対応した異常診断情報を取得する診断情報取得部と、この診断情報を予め設定された通知相手へ電子メールで通知する自己異常通知部が設けられている。
【0003】
この特許文献1の電子機器は、異常が発生したとき、ユーザに異常診断情報を電子メールで通知し、注意を喚起する。異常診断情報としては、例えば、紙送り機構、読取機構、印刷機構、クリーニング機構等に関する異常の種類、状況の詳細、発生日時等が通知される。しかし、特許文献1の電子機器による通知は電子メールに依存しているため、メール機能自体に異常が発生したときは電子機器の異常がまったく分らないものであった。
【0004】
また、最近多数の通信端末からIPネットワークを介してアクセスすると、データを配信するデータ配信装置、例えば画像配信装置や音楽データ等の配信装置、中でもカメラ部を搭載したネットワークカメラが広く普及してきている。ネットワークカメラは、IPネットワークを介して通信端末のWebブラウザがWebサーバであるネットワークカメラとプロトコルHTTPで通信するもので、撮影した画像、場合によっては音声も各通信端末に送信する。同時に、ネットワークカメラは、プロトコルSMTP、POPを使って、画像等を添付した電子メール等をメールサーバとの間で送受信し、さらにこれにより他の通信端末との間で電子メール等を送受信する。
【0005】
従来、このようなネットワークカメラは、プロトコル処理中に異常(以下、通信異常)が発生した場合、WebブラウザからネットワークカメラにHTTPでアクセスし、ネットワークステータス画面を確認するしか異常発生を知る術がなかった。そして、HTTP自体に異常が発生している場合はネットワークステータス画面へのアクセスそのものが不可能になるため、カメラ内部で何が起こっているのかまったく分らなかった。
【0006】
図6は従来のネットワークステータス画面の説明図である。図6において、101はネットワークで通信可能なはずのプロトコル、102は接続要求して成功したか失敗したかの成功/失敗、103は接続要求して成功または失敗した回数である。図6ではSMTPとPOPの2つのプロトコルが表示され、いずれもメールサーバに10回接続要求して10回とも成功しており、異常がない正常な状態を示している。なお、異常か正常かはこの画面情報を取得したユーザによって、この画面情報により失敗回数の割合で判断されていた。そして、HTTPのプロトコルでの成功、失敗は、ネットワークステータス画面の取得の有無の結果そのものであるから、何回も接続要求してみてその結果を反映するネットワークステータス画面には表示できない。
【0007】
ところで、WebブラウザからIPネットワークのネットワークカメラにアクセスするときは、通常DNS(Domain Name System)サーバによってURL等に対応するIPアドレスを取得して、IPパケットを送信する。しかし、プロトコルIPv4の下ではIPアドレスは枯渇している状況にあり、DHCP(Dynamic Ho
st Configuration Protocol)サーバによって限られたIPアドレスを時間制限付で割り当てることが行われている。このとき、DNSサーバは動的に変化するIPアドレスに対応できないため、この場合、DDNS(Dynamic Domain Name System)サーバが使用される。このように通信端末はIPネットワーク接続環境下においてはほぼ例外なくDNSサーバ、DDNSサーバに接続可能に設定される。
【特許文献1】特開2003−158599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上説明したように特許文献1の電子機器は、異常発生の通知を電子メールに依存しているため、メール機能に異常が発生したときは電子機器の状態がまったく分らないものとなる。
【0009】
これはネットワークカメラにおいても同様であり、通信異常が発生した場合はネットワークステータス画面を確認するしか方法がなく、画像を通信するHTTP自体に異常が発生している場合は、この方法すらできず、カメラの状態をまったく把握できなくなってしまうものであった。
【0010】
このように、従来の異常発生の確認は、ユーザフレンドリーなものとはいえないだけでなく、フェールセーフ上問題があり、訳の分らないままネットワークカメラ等のデータ配信装置から配信を受けられないという問題があった。
【0011】
ところでネットワークカメラ等のデータ配信装置は、プロトコルFTPを用いてデータファイルをFTPサーバに転送し、また、プロトコルNTPを用いてタイムサーバから時間データの取得も行う。従って、これらのプロトコル処理上で通信異常が発生した場合にも、異常が分るデータ配信装置が望まれる。また、異常は通信上だけでなく、システム上も発生する。自己診断によりシステム異常と判断される場合に、異常を確実に通知できるデータ配信装置が望まれる。
【0012】
そこで本発明は、異常が発生したとき使用可能なプロトコルを判別でき、各サーバに異常を伝えることができるデータ配信装置及び画像配信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明のデータ配信装置は、IPネットワークに接続されて複数の所定のサーバと通信できると共に、通信端末に対してデータの配信をすることができる通信部と、通信上及び/またはシステム上異常が発生したことを検知する異常検知手段と、異常検知手段が異常を検知したとき、サーバに対し該サーバが通信に使用するプロトコルでの通信が異常か正常か確認するための通知を順次行うと共に、正常な通信ができるプロトコルのサーバに対して異常を通知する異常時通信手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のデータ配信装置によれば、異常が発生したとき使用可能なプロトコルを判別でき、各サーバに異常を伝えることができ、フェールセーフに適ったデータ配信装置及び画像配信装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記課題を解決するために本発明の第1の発明は、IPネットワークに接続されて複数の所定のサーバと通信できると共に、通信端末に対してデータの配信をすることができる
通信部と、通信上及び/またはシステム上異常が発生したことを検知する異常検知手段と、異常検知手段が異常を検知したとき、サーバに対し該サーバが通信に使用するプロトコルでの通信が異常か正常か確認するための通知を順次行うと共に、正常な通信ができるプロトコルのサーバに対して異常を通知する異常時通信手段とを備えたことを特徴とするデータ配信装置であり、異常が発生したとき使用可能なプロトコルを判別でき、各サーバに異常を伝えることができる。
【0016】
本発明の第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、データの配信に使用するプロトコルが第1のプロトコルの場合、異常時通信手段が、通信が異常か正常か確認するための通知を第1以外の少なくとも第2のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とするデータ配信装置であり、データ配信のための第1のプロトコルでなく、第1以外の少なくとも第2のプロトコルで異常を確認するので、通信異常の場合にも正常の可能性が高く、確実に各サーバに異常を伝えることができる。
【0017】
本発明の第3の発明は、第2の発明に従属する発明であって、異常時通信手段が、通信が異常か正常か確認するための通知を第1以外の少なくとも第2のプロトコルで通信するサーバに送信した後、通信が異常か正常か確認するための通知を第1のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とするデータ配信装置であり、データ配信のための第1のプロトコルでなく、初めに第1以外の少なくとも第2のプロトコルで異常を確認するので、通信異常の場合にも正常の可能性が高く、確実に各サーバに異常を伝えることができ、次に第1のプロトコルの異常発生も確認することができる。
【0018】
本発明の第4の発明は、第1の発明に従属する発明であって、データの配信に使用するプロトコルがHTTP、サーバの1つがDDNSサーバのとき、異常時通信手段が、通信が異常か正常か確認するための通知を少なくともDDNSサーバに行うと共に、正常な通信ができればDDNSサーバに異常を通知することを特徴とするデータ配信装置であり、DDNSサーバに異常を伝えておけば、クライアントがその後無駄なアクセスをすることがない。
【0019】
本発明の第5の発明は、画像を撮影するカメラ部と、画像信号を圧縮する圧縮部と、IPネットワークに接続されて複数のサーバと通信できると共に、通信端末に対して圧縮部で圧縮されたデータを配信できる通信部を備えた画像配信装置であって、通信上及び/またはシステム上異常が発生したことを検知する異常検知手段と、異常検知手段が異常を検知したとき、サーバに対し該サーバが通信に使用するプロトコルでの通信が異常か正常か確認するための通知を順次行うと共に、正常な通信ができるプロトコルのサーバに対して異常を通知する異常時通信手段とを備えたことを特徴とする画像配信装置であり、異常が発生したとき使用可能なプロトコルを判別でき、各サーバに異常を伝えることができる。
【0020】
本発明の第6の発明は、第5の発明に従属する発明であって、データの配信に使用するプロトコルが第1のプロトコルの場合、異常時通信手段が、通信が異常か正常か確認するための通知を第2のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とする画像配信装置であり、画像データ配信のための第1のプロトコルでなく、第2のプロトコルで異常を確認するので、通信異常の場合にも正常の可能性が高く、確実に各サーバに異常を伝えることができる。
【0021】
本発明の第7の発明は、第6の発明に従属する発明であって、異常時通信手段が、通信が異常か正常か確認するための通知を第2のプロトコルで通信するサーバに送信した後、通信が異常か正常か確認するための通知を第1のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とする画像配信装置であり、画像データ配信のための第1のプロトコルでなく、まず第2のプロトコルで異常を確認するので、通信異常の場合にも正常の可能性が高く、確実
に各サーバに異常を伝えることができ、次に第1のプロトコルの異常発生も確認することができる。
【0022】
本発明の第8の発明は、第6または7の発明の画像配信装置において、通信が異常か正常か確認するための通知を第2のプロトコルで通信するサーバに送信するのに代えて、通信が異常か正常か確認するための通知を第2のプロトコルで通信するサーバに送信すると共に、さらに第3のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とする画像配信装置であり、さらに確実に各サーバに異常を伝えることができる。
【0023】
本発明の第9の発明は、第6または7の発明に従属する発明であって、第1のプロトコルがHTTP、第2のプロトコルがSMTPであることを特徴とする画像配信装置であり、異常が発生したとき、まずプロトコルSMTPでの通信が行えるか否かを判別するので、クライアントに異常発生を通知することができ、正常な可能性が高く、確認される頻度も非常に高い。
【0024】
本発明の第10の発明は、第8の発明に従属する発明であって、第1のプロトコルがHTTP、第2のプロトコルがSMTP、第3のプロトコルがFTPであることを特徴とする画像配信装置であり、さらにプロトコルFTPでの通信が行えるか否かを判別するので、正常な可能性が高い。
【0025】
本発明の第11の発明は、第6の発明に従属する発明であって、データの配信に使用するプロトコルがHTTP、サーバの1つがDDNSサーバのとき、異常時通信手段が、通信が異常か正常か確認するための通知を少なくともDDNSサーバに行うと共に、正常な通信ができればDDNSサーバに異常を通知することを特徴とする画像配信装置であり、DDNSサーバに異常を伝えておけば、クライアントがその後無駄なアクセスをすることがない。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
本発明の実施例1におけるデータ配信装置について説明する。実施例1のデータ配信装置はネットワークカメラである。図1は本発明の実施例1におけるデータ配信システムの構成図、図2は本発明の実施例1におけるデータ配信装置の構成図、図3は本発明の実施例1における各サーバの構成図、図4は本発明の実施例1におけるネットワークステータス画面の説明図、図5は本発明の実施例1における異常処理部の処理のフローチャートである。
【0027】
図1において、1はインターネットやイントラネット等のTCP/UDP、IPで通信するIPネットワーク、2は画像データ等を配信する画像サーバであるネットワークカメラ(本発明のデータ配信装置)、3はDNSサーバ、4はプロトコルIPv4の下で必要なDDNSサーバ、5はプロトコルIPv4の下で必要なDHCPサーバ、6はDNSサーバ3やDDNSサーバ4を使ってURL等をIPアドレスに変換しIPネットワーク1を介してネットワークカメラ2にアクセスすることができる通信端末である。なお、図1はプロトコルIPv4の接続環境を示したもので、IPv6の下ではDHCPサーバ5は必要なくなる。
【0028】
なお、実施例1においては、データ配信装置としてネットワークカメラ2を説明するが、ネットワークカメラ2に限られるものではない。ネットワークカメラ2とは別の、蓄積した画像データを配信する画像配信装置や、音楽等のデータを配信する音声データ配信装置であってもよいことはいうまでもない。
【0029】
7はネットワークカメラ2の管理者の設定したメールアドレスにDDNSサーバ2から電子メールを送信可能なSMTPサーバ、8はネットワークカメラ2のメールアドレスに電子メールを送信可能なPOPサーバ、9はプロトコルFTPを用いてネットワークカメラ2から受信したデータファイルを転送するFTPサーバ、10はプロトコルNTPを用いてネットワークカメラ2が時間データを取得するタイムサーバである。
【0030】
次にネットワークカメラ2の構成について説明する。図2において、11はハードウェアとしてのCPUがメインメモリに読み込まれたプログラムを実行して各機能を実現する機能実現手段としての制御部、12はネットワークカメラ2がIPネットワーク1等を介して通信を行う通信部である。
【0031】
通信部12には以下のようなプロトコルで通信する複数の通信部が設けられている。12aはプロトコルHTTPでDNSサーバ3やDDNSサーバ4、通信端末6等と通信できるHTTP通信部、12bはプロトコルSMTPで電子メールを送信するSMTP通信部、12cはプロトコルPOPで電子メールを受信するPOP通信部、12dはプロトコルFTPを用いてデータファイルをFTPサーバ9に送信するFTP通信部、12eはプロトコルNTPを用いてタイムサーバ10から時間データを取得するNTP通信部である。なお、HTTP通信部12aは、DNSサーバ3やDDNSサーバ4に対してクライアントとして機能するが、通信端末6等に対しては画像サーバとして機能する。そして、使用可能なプロトコルが他にあれば、さらに別の通信部を搭載すればよく、通信部は上記通信部に限られない。
【0032】
続いて、13は制御部11に設けられた異常検知時の処理を行う異常処理部、14は異常処理部13に設けられ、ネットワークカメラ2に異常が発生したことを検知する異常検知手段、14aは使用可能なプロトコルを判定するためのアクセス(異常か正常かを確認するための複数回の接続要求を行う処理)の成功、失敗の回数をカウントするカウンタ、15は異常検知手段13が異常を検知したときとき異常か正常かの確認のための通知を行い、各サーバに異常を通知する機能実現手段としての異常時通信手段である。
【0033】
なお、実施例1で説明する異常検知手段13が検知する異常は、通信異常(通信エラー)であるが、異常はネットワークカメラ2自体のシステム異常であってもよい。例えば、後述のカメラ部18、画像信号圧縮手段19、撮像手段駆動部20等にシステム異常があることを自己診断して検知し、異常時通信手段15が使用可能なプロトコルを判定して、このプロトコルを使用するサーバにシステム異常を通知すればよい。
【0034】
このように実施例1における異常の通知は、通信上及び/またはシステム上異常が発生したとき送信される異常情報を含んだ通信上及び/またはシステム上の装置状態情報(以下、異常情報を含んだ通信/システム状態情報)である。
【0035】
16はプログラム等を記憶する記憶部、16aは記憶部16に設けられた通信/システム状態情報を記憶する異常情報用格納部、16bはネットワークカメラ2の管理者が設定した異常情報を含んだ通信/システム状態情報の通知を行うべき相手のメールアドレス若しくはSMTPサーバ7のアドレス情報、FTPサーバ9とDDNSサーバ4、あるいはDNSサーバ3のアドレス情報を格納したアドレス情報部である。
【0036】
17はIPネットワーク1に接続するための回線インターフェース、18はCCD等の撮像手段(図示しない)を備えて画像を撮影して画像信号を出力するカメラ部、19は画像信号をJPEG、MPEG等の形式に圧縮して出力する画像信号圧縮手段(本発明の圧縮部)である。20は撮像手段の制御を行う撮像手段駆動部である。
【0037】
続いて、各サーバの構成について説明する。図3において、21は各サーバの制御部、22はIPネットワーク1等を介して通信を行う通信部、22aは各サーバのサーバ処理部である。サーバ処理部22aは、DDNSサーバ4、SMTPサーバ7、FTPサーバ9、タイムサーバ10等のそれぞれにおいて、クライアントからの要求を受信すると、それぞれの処理を行って送信する。例えば、DDNSサーバ4のサーバ処理部22aは、通信端末6等のWebブラウザからURL等でアクセスされると対応するIPアドレスを通知し、SMTPサーバ7のサーバ処理部22aは電子メールを指定された宛先のメールアドレスに送信し、FTPサーバ9のサーバ処理部22aは画像データを転送し、タイムサーバ10のサーバ処理部22aは時間データをクライアントであるネットワークカメラ2に通知する。
【0038】
23は各サーバにおいて制御部21内に設けられ異常処理を行う異常処理部、24はネットワークカメラ2から通知された異常情報を含んだ通信/システム状態情報を保存する異常情報保存手段、25は通信端末6等のクライアントからアクセスされたとき異常を通知するため異常情報を含んだ通信/システム状態情報を送信する異常通知手段である。26は各サーバのプログラム等を記憶する記憶部、26aは記憶部26に設けられた異常情報を含んだ通信/システム状態情報を記憶する異常情報格納部、27はIPネットワーク1に接続するための回線インターフェースである。
【0039】
次に、実施例1のネットワークカメラ2の異常処理部13で行われる異常処理について説明する。異常検知手段14は、ネットワークカメラ2に通信エラー、通常HTTPエラーが発生したことを検知すると、異常時通信手段15はSMTP通信部12b、POP通信部12cによってSMTPサーバ7、POPサーバ8に接続要求を送信させ、SMTPサーバ7から「250」、POPサーバ8から「OK」等の応答が返ってきたときを成功とし、応答が所定時間内に返ってこなかったとき失敗と判断する。1回のアクセスだけでは異常か否かを判定するのは正確でないため、異常時通信手段15は接続要求を複数回行わせ、例えば、10回接続要求を通知して5回失敗したような場合、プロトコルSMTP、POPを使っての通信に異常が発生していると判断する。
【0040】
同様に、異常検知手段14がネットワークカメラ2に通信エラーが発生したことを検知すると、異常時通信手段15はFTP通信部12d、NTP通信部12eによってFTPサーバ9、タイムサーバ10に接続要求を送信させ、FTPサーバ9から応答が、またタイムサーバ10から時間データが返ってきたとき成功とし、これらが所定時間内に返ってこなかったとき失敗と判断する。異常時通信手段15はこの処理を複数回行わせ、失敗の比率が所定レベルを越えた場合、プロトコルFTP、NTPでの通信に異常が発生していると判断するものである。
【0041】
また、異常検知手段14がネットワークカメラ2に通信エラーが発生したことを検知した場合も、異常時通信手段15はHTTP通信部12aによってDDNSサーバ4に接続要求を送信させ、DDNSサーバ4から「200 OK」の応答が返ってきたときを成功とし、応答が所定時間内に返ってこなかったとき失敗と判断する。異常時通信手段15はこの処理を複数回HTTP通信部12aに行わせ、失敗の比率が所定レベルを越えた場合、プロトコルHTTPでの通信に異常が発生していると判断する。
【0042】
図4はこのようにして行われた実施例1の通信/システム状態情報を表示したネットワークステータス画面である。図4において、28はネットワークで通信可能なプロトコル、29は接続要求して成功したか失敗したかの成功/失敗、30は接続要求して成功または失敗した回数、31は異常か正常かの判定である。図4に示したように、プロトコルFTP以外は10回のアクセスがすべて成功しているのに対して、プロトコルFTPにおいては8回失敗して2回成功している。成功と失敗の判定基準はいろいろ設定可能であるが
、仮に失敗の比率50%以上の判定基準だとすると、10回中8回失敗しているため異常と判断できるから、異常処理部13はプロトコルFTPを異常とし、失敗のない他のプロトコルを正常として、この通信/システム状態情報を異常情報用格納部16aに記憶している。なお、通信/システム状態情報は、異常情報用格納部16aに異常情報を含んだ場合も、含まない場合も記憶される。
【0043】
図4に示したようなFTPの通信異常がある場合は、この後、異常時通信手段15が異常情報用格納部16aから異常情報を含んだ通信/システム状態情報を取り出して、これをFTP以外の正常なプロトコルを使って、HTTP通信部12a、SMTP通信部12bからDDNSサーバ4、SMTPサーバ7に送信する。
【0044】
この異常情報を含んだ通信/システム状態情報を受信した各サーバの異常処理部23は、異常情報保存手段24が異常情報格納部26aにこれを格納する。その後、通信端末6のようなクライアントから各サーバがアクセスされたとき、異常通知手段25は異常情報を含んだ通信/システム状態情報を異常情報格納部26aから取り出し、クライアントに通知する。
【0045】
例えば、通信端末6等からネットワークカメラ2のIPアドレスを取得するためにDDNSサーバ4URL等でアクセスすると、異常情報を含んだ通信/システム状態情報がHTTPで通知される。実施例1ではWebブラウザで表示できるようにHTML等のネットワークステータス画面生成情報が通信端末6等に通知される。FTPサーバ9もFTPの通信エラーがないときはFTPでこの情報が通知される。なお、SMTPサーバ7は、通信端末6等からのアクセスを待つのではなく、異常情報を含んだ通信/システム状態情報を受信するとメールアドレス宛に転送するか、あるいはこの通知を受けたとき記憶部26に格納されたメールアドレスを参照し、このメールアドレス宛に通信/システム状態情報を添付して送信する。
【0046】
そこで、実施例1における異常処理部の処理について図5に基づいて説明する。プロトコルPOP、NTPは異常を通知する手段としては利用が難しいので、プロトコルSMTP、FTP、HTTP使って通知する場合である。図5において、異常検知手段14がネットワークカメラ2の異常、例えばHTTPによる画像の通信エラーの発生を検知すると(step1)、異常時通信手段15はSMTPサーバ7に接続要求を通知し、成功と失敗の回数をカウントして、プロトコルSMTPでの通信が異常か正常に行えるかを判定する(step2)。
【0047】
step2において、プロトコルSMTPでの通信が正常の場合、他のプロトコルで通信の異常か正常かを判断するものがあるかチェックし(step3)、無い場合はそのまま終了する。step2において異常があった場合と、step3でさらに他のプロトコルで異常か正常かを判断する場合は、異常時通信手段15はFTPサーバ9に接続要求を通知し、成功と失敗の回数をカウントして、プロトコルFTPでの通信が異常か正常に行えるかを判定する(step4)。
【0048】
step4において、プロトコルFTPでの通信が正常の場合、他のプロトコルで通信の異常か正常かを判断するものがあるかチェックし(step5)、無い場合はそのまま終了する。step4において異常があった場合と、step5で他のプロトコルで異常か正常かを判断する場合は、異常時通信手段15はDDNSサーバ4に接続要求を通知し、成功と失敗の回数をカウントして、プロトコルHTTPでの通信が異常か正常に行えるかを判定する(step6)。
【0049】
step6において、プロトコルHTTPでの通信が正常の場合は終了し、異常な場合
は正常なプロトコルがあるか否かをチェックする(step7)。正常なプロトコルが無い場合はそのまま終了し、正常なプロトコルがある場合はその正常なプロトコルのすべて若しくは一部で異常情報を含んだ通信/システム状態情報を該当するプロトコルのサーバに通知して(step8)、終了する。
【0050】
なお、step2、4、6でプロトコルSMTP、FTP、HTTPでの通信に異常が起こっているか否かを判定したが、その他のプロトコルを判定する場合は、同様な判定を繰返せばよい。
【0051】
このように本発明の実施例1のネットワークカメラは、異常が発生したとき複数のプロトコルで順次各サーバに接続要求するので、使用可能なプロトコルが判別できる。そして従来は分らなかった常時使用(データ配信)するプロトコルHTTPの異常発生も確認することができ、すべてのプロトコルが異常でない限りは各サーバに異常を伝えることが可能になり、フェールセーフに適ったネットワークカメラを提供できる。
【0052】
また、実施例1のネットワークカメラは、異常が発生したとき、まずプロトコルSMTPでの通信ができるか否かを判別するので、通知を行うべき相手のメールアドレス宛に異常発生を通知することができる。異常が通信上のエラーの場合は、データ配信するHTTPエラーの可能性が高く、このときSMTPは正常な可能性が高い上に、電子メールなら相手が着信を頻繁にチェックする可能性も高くなる。
【0053】
次に、プロトコルFTPでの通信が行えるか否かを判別するが、同様にデータ配信を行うHTTPでないため、正常な可能性が高い。さらに最後にDDNSサーバとの間でプロトコルHTTPでの通信が使えるか否かを判別するが、既に他の正常なプロトコルで通知ができている場合が多く、HTTPでの通知に対する期待も軽くなっており、DDNSサーバと通信ができればエラーの原因がネットワークカメラ側にはなかったことが分るし、できなければネットワークカメラに原因が在ることが分る。また、これによってDDNSサーバに異常を伝えておけば、データ配信を受けるためアクセスしたユーザがその後無駄なアクセスをすることがない。
【0054】
実施例1においては、各サーバに異常情報を含んだ通信/システム状態情報を、異常を伝える情報として通知し、アクセスされたときユーザにこれを通知するので、どのサーバが正常で、そのサーバが異常かを直ちに判別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、複数のプロトコルで通信可能なデータ配信装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1におけるデータ配信システムの構成図
【図2】本発明の実施例1におけるデータ配信装置の構成図
【図3】本発明の実施例1における各サーバの構成図
【図4】本発明の実施例1におけるネットワークステータス画面の説明図
【図5】本発明の実施例1における異常処理部の処理のフローチャート
【図6】従来のネットワークステータス画面の説明図
【符号の説明】
【0057】
1 IPネットワーク
2 ネットワークカメラ
3 DNSサーバ
4 DDNSサーバ
5 DHCPサーバ
6 通信端末
7 SMTPサーバ
8 POPサーバ
9 FTPサーバ
10 タイムサーバ
11 制御部
12 通信部
12a HTTP通信部
12b SMTP通信部
12c POP通信部
12d FTP通信部
12e NTP通信部
13 異常処理部
14 異常検知手段
14a カウンタ
15 異常時通信手段
16 記憶部
16a 異常情報用格納部
16b アドレス情報部
17 回線インターフェース
18 カメラ部
19 画像信号圧縮手段
20 撮像手段駆動部
21 制御部
22 通信部
22a サーバ処理部
23 異常処理部
24 異常情報保存手段
25 異常通知手段
26 記憶部
26a 異常情報格納部
27 回線インターフェース
28,101 プロトコル
29,102 成功/失敗
30,103 回数
31 判定

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPネットワークに接続されて複数の所定のサーバと通信できると共に、通信端末に対してデータの配信をすることができる通信部と、通信上及び/またはシステム上異常が発生したことを検知する異常検知手段と、前記異常検知手段が異常を検知したとき、前記サーバに対し該サーバが通信に使用するプロトコルでの通信が異常か正常か確認するための通知を順次行うと共に、正常な通信ができるプロトコルのサーバに対して異常を通知する異常時通信手段とを備えたことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項2】
前記データの配信に使用するプロトコルが第1のプロトコルの場合、前記異常時通信手段が、前記通信が異常か正常か確認するための通知を前記第1以外の少なくとも第2のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とする請求項1記載のデータ配信装置。
【請求項3】
前記異常時通信手段が、前記通信が異常か正常か確認するための通知を前記第1以外の少なくとも前記第2のプロトコルで通信するサーバに送信した後、前記通信が異常か正常か確認するための通知を前記第1のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とする請求項2記載のデータ配信装置。
【請求項4】
前記データの配信に使用するプロトコルがHTTP、前記サーバの1つがDDNSサーバのとき、前記異常時通信手段が、前記通信が異常か正常か確認するための通知を少なくとも前記DDNSサーバに行うと共に、正常な通信ができれば前記DDNSサーバに異常を通知することを特徴とする請求項1記載のデータ配信装置。
【請求項5】
画像を撮影するカメラ部と、画像信号を圧縮する圧縮部と、IPネットワークに接続されて複数の所定のサーバと通信できると共に、通信端末に対して前記圧縮部で圧縮されたデータを配信できる通信部を備えた画像配信装置であって、通信上及び/またはシステム上異常が発生したことを検知する異常検知手段と、前記異常検知手段が異常を検知したとき、前記サーバに対し該サーバが通信に使用するプロトコルでの通信が異常か正常か確認するための通知を順次行うと共に、正常な通信ができるプロトコルのサーバに対して異常を通知する異常時通信手段とを備えたことを特徴とする画像配信装置。
【請求項6】
前記データの配信に使用するプロトコルが第1のプロトコルの場合、前記異常時通信手段が、前記通信が異常か正常か確認するための通知を第2のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とする請求項5記載の画像配信装置。
【請求項7】
前記異常時通信手段が、前記通信が異常か正常か確認するための通知を前記第2のプロトコルで通信するサーバに送信した後、前記通信が異常か正常か確認するための通知を前記第1のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とする請求項6記載の画像配信装置。
【請求項8】
請求項6または7の画像配信装置において、前記通信が異常か正常か確認するための通知を第2のプロトコルで通信するサーバに送信するのに代えて、前記通信が異常か正常か確認するための通知を第2のプロトコルで通信するサーバに送信すると共に、さらに第3のプロトコルで通信するサーバに送信する特徴とする画像配信装置。
【請求項9】
前記第1のプロトコルがHTTP、前記第2のプロトコルがSMTPであることを特徴とする請求項6または7記載の画像配信装置。
【請求項10】
前記第1のプロトコルがHTTP、前記第2のプロトコルがSMTP、前記第3のプロトコルがFTPであることを特徴とする請求項8記載の画像配信装置。
【請求項11】
前記データの配信に使用するプロトコルがHTTP、前記サーバの1つがDDNSサーバのとき、前記異常時通信手段が、前記通信が異常か正常か確認するための通知を少なくとも前記DDNSサーバに行うと共に、プロトコルが正常であれば前記DDNSサーバに異常を通知することを特徴とする請求項6記載の画像配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−148852(P2007−148852A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343271(P2005−343271)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】