説明

トリックビュー向けの視野角依存性画素を有するディスプレイ及び方法

【課題】明るさ、コントラスト解像度等の低下を最小限にしつつ、プライベートに情報の閲覧が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は空間光変調により画像を表示する表示パネルとコントローラとを有し、表示パネルは第1のタイプの輝度‐視野角応答を有する第1画素と、第1のタイプの輝度‐視野角応答とは異なる第2のタイプの輝度‐視野角応答を有する第2画素とを各々が含む複数の画素グループを備え、コントローラは、複数の画素グループの各々と動作可能に接続し、複数の画素グループが各画素グループに対応する画像の領域に関して所定の軸上輝度及び所定の軸外輝度を平均して同時に与えるように、複数の画素グループの各々を駆動するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子的に切り替え可能なプライバシー機能を有する表示装置に関し、特に、公共の場において、プライベートに情報の閲覧を可能にする表示装置に関する。本発明はまた表示装置において少なくとも2つの閲覧モードを作り出す方法に関する。本発明の具体的な応用としては、表示装置を搭載する携帯電話や他の携帯型製品がある。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートパソコン、PDA等の電子表示装置は通常、どのような位置からでも閲覧可能にするために、できる限り広い視野角を有するように設計されている(パブリック広視野モード)。しかし、狭い角度の範囲からでしか見えない表示が役に立つ場合がある(プライベート狭視野モード)。例えば、込み合った電車内で携帯式のパソコンを使ってプライベートな文書を読みたい場合がある。表示された情報を読み取れる角度又は位置の範囲を制限するように電子的に切り替え可能な表示装置は数多く知られている。
【0003】
部品を動かさずにパブリック広視野モードからプライベート狭視野モードに切り替える方法は、表示パネルの後ろに光制御フィルムを設け、該光制御フィルムとパネルの間に、ON/OFFを電子的に切り替え可能な散光器を設けるものである。散光器がOFFの状態の時には、光制御フィルムが視野角範囲を制限し、プライベートモードで表示が行われる。散光器がONの状態の時には、広い角度範囲で進む光が上記パネルを通過し、表示はパブリックモードで行われる。また、上記パネルの前に光制御フィルムを設け、光制御フィルムの前に切り替え可能な散光器を設けることによっても同じ効果を得ることができる。これらのタイプの切り替え可能なプライバシー装置は、US5831698(S.W. Depp; IBM 1998)、US6211930(W. Sautter; NCR Corp. 2001)、US5877829(M. Okamoto; Sharp K.K. 2001)に記載されている。これらの技術は、表示がパブリックモードで行われるかプライベートモードで行われるかに関わらず上記光制御フィルムは常に入射光の大部分を吸収してしまうという欠点を共通して有している。よって、表示装置の光の使用効率が悪くなる。また、パブリックモードにおいて散光器は光を広い角度範囲に散乱させるため、これらの表示装置はプライベートモードよりもパブリックモードにおいて暗くなる。もう1つの欠点はこれらの装置の電力消費に関するものである。パブリックモードでの動作においては、散光器はONとなっている。これは、多くの場合、ポリマーを分散させた切り替え可能な液晶散光器に電圧を印加することを意味する。よって、プライベートモードよりもパブリックモードにおいてより多くの電力が消費されることになる。これが大部分の時間パブリックモードで使用される表示装置の欠点である。
【0004】
GB2413394(R. Winlow; Sharp 2005)には、表示パネルに1つ以上の追加の液晶層及び偏光子を有する切り替え可能なプライバシー装置が記載されている。これらの追加の要素の固有の視野角依存性は、周知の方法で電子的に液晶を切り替えることで変えることができる。この技術を利用した装置としては、市販されているSharpのSh851iやSh902iといった携帯電話が含まれる。
【0005】
WO06132384A1(D. Kean; Sharp, 2006)には、液晶表示(LCD)パネルの既存の偏光子の間に位置する追加の液晶層の使用が開示されている。この位置では追加の切り替えセルは、軸外光のグレースケール曲線を変更することができる。これにより、GB2413394に開示されている技術よりも画像に対するプライバシーのレベルが高いものを提供することができる。
【0006】
GB2439961(N. Smith; Sharp 2008)には、表示パネルに追加のコレステリック層や円形偏光子を加えることにより構成した切り替え可能なプライバシー装置の使用が開示されている。上記コレステリック層は、パブリック広視野モードとプライベート狭視野モード間で切り替えることができ、所定の極角範囲で360°のプライバシーを提供する。
【0007】
追加の液晶層を利用する方法(GB2413394、WO06132384A1、GB2439961)では、結果として得られる表示モジュールが厚くなってしまう。厚さの増加は、特に携帯電話やノートパソコンのような携帯型の表示装置への利用において非常に望ましくない。
【0008】
表示装置の1つの液晶層を、軸上の観察者に高品質の画像を表示することが可能な2つの異なる構成の間で切り替えることによりLCDの視野角特性を制御する方法がUS20070040780A1(P. Gass; Sharp 2007)及びWO2009/057417(B. Broughton; Sharp 2009)に記載されている。これらの装置は、表示装置の厚みを増すことなく切り替え可能なプライバシー機能を提供するが、複雑な画素電極設計及び標準の表示装置に対する他の製造変更が必要となる。
【0009】
表示ハードウェアを複雑にすることなくプライバシーモードが可能な表示装置の一例として、市販されているSharpの携帯電話Sh702iSが挙げられる。Sh702iにおけるプライバシー機能は、液晶モードに固有の角度依存性データ‐輝度特性と共に表示画像データの操作により達成される。しかしプライベートモードにおいては、本来の軸上の観察者に対して表示される画像の品質が激しく劣化してしまう。
【0010】
Sh702iSにおいて使用されているものと類似であるが、第2のマスキング画像に依存して画像データを操作し、修正画像が表示される際にマスキング画像を軸外の観察者に知覚させる構成がGB2428152A1(T. Wynne−Powell; Sharp 2007)、US20070040780A1、及びGB2457106A(B. Broughton; Sharp 2009)に記載されている。しかしGB2428152A1に記載の画像処理方法は、軸外‐軸上輝度曲線が強く非線形になっていることに基づいているが、例えばIPS(in−plane switching)LC表示モードやOLED等の表示モードではそうではない。結果として、これらの表示装置においては、プライベート効果は軸外の観察者から軸上画像を隠すほど十分強くはない。
〔発明の目的〕
よって切り替え可能なプライバシー機能を有する高品質の表示装置を提供することが望ましい。そのため本発明の目的は次の内の1つ以上を含む。
【0011】
i)パブリックモードにおいて軸上及び軸外の表示能力(明るさ、コントラスト解像度等)を落とさない。
【0012】
ii)プライベートモードにおいてパブリックモードに対する軸上の表示能力(明るさ、コントラスト解像度等)の低下を最小限にする。
【0013】
iii)プライベートモードにおいて、画像・テキスト等が軸外の観察者に判読できない程度に、プライバシー強度を十分高める。
【0014】
iv)表示モジュールの厚さ及びコストを大幅に増加させない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の側面によれば、画素型画像ディスプレイと、該ディスプレイに指向性画素を形成する光学系と、電子的に切り替え可能なプライバシー機能を有する表示システムを得るための上記ディスプレイのための画像処理方法とを提供する。上記表示装置のプライバシー強度は指向性画素を有しない表示装置よりも強い。
【0016】
本発明の第2の側面によれば、画素型画像ディスプレイと、該ディスプレイに指向性画素を形成する光学系と、電子的に切り替え可能なプライバシー機能を有する表示システムを得るための上記ディスプレイのための画像処理方法とを提供する。上記光学系は、電子的に切り替え可能なプライバシー機能を作成するための上記画像処理技術と適合するように上記ディスプレイに固有の輝度‐データ応答を変形する。
【0017】
本発明の第3の側面によれば、上記画素型画像ディスプレイ及び該ディスプレイに指向性画素を形成する光学系は、通常の2Dの画像・テキストの閲覧能力に加えて裸眼立体3D画像の閲覧能力を提供するように構成される。画像処理を実行することにより、裸眼立体3Dディスプレイのための切り替え可能なプライバシー機能が可能になる。この切り替え可能なプライバシー機能は裸眼立体3D画像閲覧時に起動でき、3D画像のプライベートな閲覧を可能にする。また切り替え可能なプライバシー機能は通常の2Dの画像・テキストの閲覧時にも起動でき、3Dディスプレイ上における非3D画像のプライベートな閲覧を可能にする。
【0018】
本発明の各側面においては、表示装置には第1のタイプの輝度‐視野角応答を有する第1画素(例えば、第1指向性画素)と第2のタイプの輝度‐視野角応答を有する第2画素(例えば、第2指向性画素)が存在する。輝度‐視野角応答は、図3、10、15及び16に示すような、視野角の関数としての画素輝度のグラフの関数型を指している。例えば赤・緑・青等の所定の色成分をそれぞれ有する複数のサブピクセルを各画素が有しているカラーディスプレイでは、各色成分のサブピクセルは僅かに異なる輝度‐視野角応答をそれら自体が有している場合がある。しかし言わんとしていることはこれではなく、この場合、本発明は全ての画素又はカラーサブ画素を含み、当該カラーサブ画素は全画素の差異の範囲内の同じ色タイプであって、異なる輝度‐視野角応答を有するものとしてとられるべきである。上記第1のタイプの輝度−視野角応答は、上記第2のタイプの輝度−視野角応答と異なっている。
【0019】
指向性画素は、例えば視差光学系により形成してもよい。視差光学系は透過及び非透過領域からなる視差バリアであってよい。また視差光学系はレンズアレイから構成されてもよい。また視差光学系は視差バリア及びレンズアレイから構成されてもよい。また視差光学系はプリズムアレイから構成されてもよい。視差光学系は一次元において周期的であってもいいし、二次元において周期的であってもよい。視差光学系のピッチは、画像パネルディスプレイの範囲にわたって、画像の閲覧も可能にするように補正されてもよい。
【0020】
透過型ディスプレイにおける指向性画素は、例えば指向性バックライティングを介して形成してもよい。また指向性画素は、例えばパターン化されたホログラフィック又は回折光学素子により形成されてもよい。また指向性画素は、例えばOLEDディスプレイにおけるパターン化されたアウトカップリング光学系により形成されてもよい。また指向性画素は、例えばパターン化された光学リターダにより形成されてもよい。また指向性画素は、例えばコリメートバックライト及びパターン化された散乱光学系により形成されてもよい。
【0021】
画素型画像ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマ表示パネル(PDP:Plasma Display Panel)、電気泳動ディスプレイ、エレクトロウェッティングディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED: Surface−conduction Electron−emitter Display)、(LED)等から構成されてよいが、これらに限定されるものではない。上記画素型画像ディスプレイの性質は、例えば透過型、放射型、反射型、半透過型のいずれであってもよい。
【0022】
本発明の一側面によると、空間光変調により画像を表示する表示パネルを有する表示装置は、複数の画素グループと、上記複数の画素グループの各々に機能的に接続するコントローラとを備え、上記複数の画素グループの各々は、第1のタイプの輝度‐視野角応答を有する第1画素と、上記第1のタイプの輝度‐視野角応答とは異なる第2のタイプの輝度‐視野角応答を有する第2画素とを含み、上記コントローラは、上記複数の画素グループが同時に各画素グループに対応する画像の領域に関して所定の軸上輝度及び軸外輝度を平均して与えるように、上記複数の画素グループの各々を駆動するよう構成される。
【0023】
本発明の一側面によると、上記コントローラはさらに各画素グループの上記平均軸外輝度が上記平均軸上輝度から独立して制御されるように上記複数の画素グループを制御するよう構成される。
【0024】
本発明の一側面によると、上記コントローラはさらに、上記画素グループの全輝度の内、上記画素グループ内の個々の画素により生み出される輝度を制御するよう構成され、全輝度の内、上記画素グループ内の第1画素により生み出される輝度を増やし、上記画素グループ内の第2画素により生み出される輝度を減らすと全体の軸外輝度が増加し、全輝度の内、上記画素グループ内の第1画素により生み出される輝度を減らし、上記画素グループ内の第2画素により生み出される輝度を増やすと全体の軸外輝度が減少する。
【0025】
本発明の一側面によると、上記コントローラはさらに、上記表示パネルにおいて各画素グループが占める入力画像の空間領域に対応する画像データに依存する平均軸上輝度、及び該軸上輝度に比例する軸外輝度を各画素グループが生み出し、上記表示パネルの表面の法線から35°の範囲の視野角に対して上記入力画像を再生するように上記複数の画素グループの各々を駆動するよう構成される。
【0026】
本発明の一側面によると、上記コントローラはさらに、上記表示パネルにおいて各画素グループが占める主入力画像の空間領域に対応する第1画像データに依存する平均軸上輝度、及び上記第1画像データから独立した同時の軸外輝度を各画素グループが生み出すように各画素グループを駆動するよう構成される。
【0027】
本発明の一側面によると、上記軸外輝度は、上記表示パネルにおいて各画素グループが占める上記第1画像データと異なる第二次画像データの空間領域に対応するデータに依存する。
【0028】
本発明の一側面によると、第1閲覧モードにおいては、上記コントローラは、上記画素グループが所定の視野範囲においてほぼ同じ視野角‐輝度応答を平均して生み出すように、上記第1、第2画素に対して第1、第2信号電圧をそれぞれ印加するよう構成され、第2閲覧モードにおいては、上記コントローラは、少なくとも幾つかの画素グループが上記所定の視野範囲にわたって変化する視野角‐輝度応答を平均して生み出すように、上記第1、第2画素に対して第3、第4信号電圧をそれぞれ印加するよう構成される。
【0029】
本発明の一側面によると、上記第1閲覧モードにおいては、上記各信号電圧は各画素の画像データ値に基づいており、上記第2閲覧モードにおいては、上記各信号電圧は各画素の画像データ値及び所定の第二次値に基づいている。
【0030】
本発明の一側面によると、少なくとも1つの画素グループの上記第1画素及び第2画素の内の少なくとも1つの輝度‐視野角応答は絶対輝度値から独立している(関連画素タイプの輝度、すなわち輝度‐視野角応答が、図3に示すように軸上輝度と共に変化しない)。
【0031】
本発明の一側面によると、少なくとも1つの画素グループの上記第1画素及び第2画素の内の少なくとも1つの輝度‐視野角応答は絶対輝度値に依存している。
本発明の一側面によると、少なくとも1つの画素グループの上記第1画素及び第2画素の異なる輝度‐視野角応答は、少なくとも1つの表示モードにおいて、各画素グループの正規化平均軸外輝度が各画素グループの正規化平均軸上輝度に(図13に示すタイプのディスプレイと同じ精度(常にエラーは20パーセント未満)で)近似するように利用される。
【0032】
本発明の一側面によると、少なくとも1つの画素グループの上記第1画素と第2画素の輝度‐視野角応答は、表示パネルが2D広視野モード、2Dプライベート狭視野モード、裸眼立体3Dモード、プライバシー効果付き裸眼立体3Dモードを可能にするよう構成される。
【0033】
本発明の一側面によると、上記第1画素及び第2画素の少なくとも1つは、上記第1、第2画素に相対的に配置される視差光学系を備える。
【0034】
本発明の一側面によると、上記視差光学系は、上記第1画素及び第2画素の中央に対して対称的に位置している。
【0035】
本発明の一側面によると、上記視差光学系は、レンズアレイ、視差バリア及びプリズムアレイの少なくとも1つから構成される。
【0036】
本発明の一側面によると、上記視差光学系はレンズアレイから構成され、上記レンズアレイのピッチは上記第1画素又は第2画素のピッチの2倍である。
【0037】
本発明の一側面によると、上記視差光学系は視差バリアから構成され、画素‐視差バリア距離は画素ピッチに設定される。
【0038】
本発明の一側面によると、上記視差光学系は少なくとも1つの次元において周期的である。
【0039】
本発明の一側面によると、上記視差光学系は、上記第1画素及び第2画素の固有の輝度‐データ応答を変更するよう構成される。
【0040】
本発明の一側面によると、上記第1画素及び第2画素の輝度‐視野角応答は、指向性バックライト、パターン化されたホログラフィックもしくは回折光学素子、パターン化された光学リターダ、コリメートバックライト及びパターン化された散乱光学系、又は、パターン化されたアウトカップリング光学系の少なくとも1つを用いて生成される。
【0041】
本発明の一側面によると、上記表示パネルは、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、プラズマディスプレイ、電界放出ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイの少なくとも1つから構成される。
【0042】
本発明の一側面によると、上記第1画素と第2画素との輝度‐視野角応答における差異は20パーセント未満である。
【0043】
本発明の一側面によると、上記表示装置は少なくとも2つも画素に関して角度依存輝度関数型を実現する切替装置をさらに備え、第1切替可能状態では、上記切替装置は上記表示装置において風景閲覧用の立体3Dモードを可能にするよう構成され、第2切替可能状態では、上記切替装置は上記表示装置において人物閲覧用の立体3Dモードを可能にするよう構成される。
【0044】
本発明の一側面によると、上記切替装置は、切り替え可能な視差バリア及び切り替え可能かつ再構成可能なレンズアレイの内の少なくとも1つである。
【0045】
本発明の一側面によると、上記切り替え可能な視差バリアは、上記第1切替可能状態において水平配向バリアストライプを形成し、上記第2切替可能状態において垂直配向バリアストライプを形成するよう構成される。
【0046】
本発明の一側面によると、上記表示装置は第1マッピング機能及び第2マッピング機能をさらに備え、上記第1マッピング機能は、上記表示装置が上記第1切替可能状態にある時にデータを表示するのに用いられ、上記第2マッピング機能は、上記表示装置が上記第2切替可能状態にある時にデータを表示するのに用いられる。
【0047】
本発明の一側面によると、少なくとも2つの画素を各々が有する複数の画素グループを備える表示装置において少なくとも2つの視野モードを作り出す方法を提供する。上記方法は、上記少なくとも2つの画素のうちの一画素における第1のタイプの視野角‐輝度応答を生成する工程、上記少なくとも2つの画素のうちの他の画素における、上記第1のタイプの視野角‐輝度応答と異なる第2のタイプの視野角‐輝度応答を生成する工程、上記複数の画素グループが同時に各画素グループに対応する画像の領域に関して所定の軸上輝度及び軸外輝度を平均して与えるように、上記複数の画素グループの各々を駆動する工程とを含む。
【0048】
本発明の利点は、異なる角度依存輝度関数である異なる画素(すなわち、多指向性画素)を作成するための追加の光学系を画像処理技術と共に用いることにより、いかなる種類の画素型画像ディスプレイに対しても電子的に切り替え可能なプライバシー機能を可能にすることである。いかなる種類の画素型情報ディスプレイに対しても切り替え可能なプライバシー機能を提供できる本発明の普遍的な適用性は商業的な優位性を有している。さらなる利点としては、多指向性画素を作成するための追加の光学系を画像処理技術と共に用いることにより、GB2457106Aに記載のタイプの線形的な軸外‐軸上輝度特性を有するディスプレイタイプにおいて切り替え可能なプライバシー効果を可能にすることである。多指向性画素を作成するための追加の光学系も用いなければ、線形的な軸外‐軸上輝度特性を有するディスプレイは、GB2457106Aに記載の方法によるプライバシー効果を提供できない。
【0049】
さらに別の利点は、多指向性画素と共に画像処理技術を用いれば、視野角に対する色のばらつきを最小限にするディスプレイを提供できることである。
【0050】
さらに別の利点は、多指向性画素を作成するための追加の光学系を画像処理技術と共に用いることにより、非線形の軸外‐軸上輝度特性を本質的に有するディスプレイに関して、GB2457106Aに記載のものよりも強いプライバシー機能を提供することができる。
【0051】
さらに別の利点は、指向性画素を適切に作成するための光学系を設計することで、水平及び垂直方向の両方における(360°)プライバシーを適切な画像処理により実現できることである。
【0052】
さらに別の利点は、プライバシー機能は裸眼立体3Dディスプレイとの親和性があり、裸眼立体3D画像のプライベートな閲覧、並びに、通常の2D画像及びデータのプライベートな閲覧を可能にする点である。
【0053】
前述の目的と関連する目的を実現するため、本発明は以後で十分に説明し、特に特許請求の範囲で指摘されている特徴を具備する。以下の説明及び添付図面は本発明のある例示的な実施形態を詳細に説明する。しかしながら、これらの実施形態は本発明の原理を使用することのできる幾つかの種々の方法のうち2、3のものを示しているにすぎない。本発明の他の目的、特徴、新規な特徴は添付図面を伴って考察するとき、本発明の以下の詳細な説明から明白になるであろう。
【発明の効果】
【0054】
本発明は、プライベート閲覧モード及びパブリック閲覧モードの両方を可能にする表示装置及び方法を提供する。該表示装置は複数の画素グループを備え、各画素グループは、第1のタイプの輝度‐視野角応答を有する第1画素と、上記第1のタイプの輝度‐視野角応答とは異なる第2のタイプの輝度‐視野角応答を有する第2画素を含む。また上記表示装置は、上記複数の画素グループの各々と機能的に接続するコントローラを備え、上記コントローラは、上記複数の画素グループが同時に各画素グループに対応する画像の領域に関して所定の軸上輝度及び所定の軸外輝度を平均して与えるように、上記複数の画素グループの各々を駆動するよう構成される。このように上記表示装置は狭(例えば、プライベート)視野範囲及び広(例えば、パブリック)視野範囲の両方を提供することができる。
【0055】
本発明の方法では、少なくとも2つの画素のうちの一画素における第1のタイプの視野角‐輝度応答を生成し、上記少なくとも2つの画素のうちの他の画素における、上記第1のタイプの視野角‐輝度応答と異なる第2のタイプの視野角‐輝度応答を生成する。上記複数の画素グループの各々は、上記複数の画素グループが同時に各画素グループに対応する画像の領域に関して所定の軸上輝度及び所定の軸外輝度を平均して与えるように駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ここで記載する本発明に係る表示装置に関する座標系を定義する図である。
【図2】典型的な表示装置の画素の配列を示す図である。
【図3】周知の表示装置における画素に関する角度依存輝度応答を示すグラフである。
【図4】切り替え可能なプライバシー機能を可能にする画像処理技術を用いる周知の表示装置における1つの画素に関する正規化軸上輝度に対するθにおける正規化輝度を示すグラフである。
【図5】周知の表示装置における一対の画素に関する正規化軸上輝度に対するθにおける正規化輝度を示すグラフである。
【図6】周知の表示装置における一対の画素に関する平均画素輝度を示す表である。
【図7】本発明の実施形態に係る画素の配列及びレンズアレイを示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画素の配列及びレンズアレイを示す側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画素の角度依存輝度応答を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画素の角度依存輝度応答を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る一対の画素に関する正規化軸上輝度に対するθにおける正規化輝度を示すグラフである。
【図12】本発明の実施形態に係る一対の画素に関する平均画素輝度を示す表である。
【図13】周知の表示装置における1つの画素に関する正規化軸上輝度に対するθにおける正規化輝度を示すグラフである。
【図14】本発明の別の実施形態に係る画素の配列及びレンズアレイを示す側面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る画素の角度依存輝度応答を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る画素の角度依存輝度応答を示す図である。[0058]
【図17】従来技術の切り替え可能なプライバシーディスプレイを提供するために標準的なものに変更を加えた表示制御電子回路を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の実施の形態を記載するのに用いる座標系を図1に示し、直交する3つの座標軸1x、1y及び1zとに関する表示装置1を示す。座標軸1zは表示装置1の面に垂直であり、座標軸1x及び1yは表示装置1の面内にある。座標軸1zと1xとの間の極角θは、表示装置1の視野角を表すもので、θ〜0°(−10°<θ<10°)の範囲が略軸上の視野となる。切り替え可能なプライバシー機能は、表示装置1上に表示された情報を、実質的に軸外視野、すなわちθ>〜35°の範囲では判別できないようにしなければならない。方位角φは座標軸1xと1yとの間の角を示している。
【0058】
表示装置1に付属する画素2(画像素子)の配列を図2に示す。各画素2a・2bは、軸上明状態の範囲で、図3に示すほぼ同じ角度依存輝度応答を有している。所定の表示タイプに関して、正規化軸上輝度(θ=0°)に対するθにおける正規化輝度のグラフを概略的に図4に示す。図4に示すように、LCDの輝度応答は軸外の角度(θ〜45°)では非線形となる。この非線形の輝度応答は多くのタイプの垂直配向LCモードにおいて一般的なものである。従来技術のGB2428152A1、US20070040780A1及びGB2457106Aには、切り替え可能なプライバシー機能を可能にするため、図4に示すような軸外における非線形の輝度応答を利用する画像処理技術が記載されている。GB2428152A1、US20070040780A1及びGB2457106Aに記載されている画像処理技術の詳細はここでは省略し、以下読者に明確になるように本質的な特徴を要約して述べる。
【0059】
表示装置1は、ディスプレイの各画素に印加される信号電圧を決定するように構成された表示コントローラ(以下、コントローラともいう)を備えている。パブリック広視野モード(例えば、第1閲覧モード)においては、所定の画素の信号電圧(例えば、第1信号電圧)は、画素の画像データ値(以下、第1画像データともいう)に完全に依存している。この状態を今後「画素非分割(no pixel splitting)」と呼ぶ。プライベート狭視野モード(例えば、第2閲覧モード)においては、所定の画素の信号電圧(例えば、第2電圧)は、画素の画像データ値及び所定の第二次値(画素データ値及び第二次値は以下、第2画像データという)に依存している。この状態を今後「画素分割(pixel splitting)」と呼ぶ。上記第二次値(所定の二次値であってもよい)は正の値、負の値、ゼロのいずれであってもよく、上記データ値と信号電圧との間には所定のマッピングがある。マッピングされたデータ値と第二次値は画像上において変化するよう互いに構成され輝度のばらつきをもたらす。マッピングされたデータ値と第二次データ値は、図4に示すように、表示装置の輝度応答を考慮に入れ、軸上(例えば、所定の視野範囲)に導入された輝度のばらつきを局所空間平均化(local spatial averaging)によってほぼ均等にし、輝度のばらつきが軸上の観察者によって知覚されないようにする。図4に示すように、パネルは非線形の軸外輝度‐軸上輝度関係を有しているため、マッピングされたデータ値と第二次値により導入された輝度のばらつきの一部は、空間平均化によって軸外の観察者に対して局所的に実質的には均等にならず、軸外の観察者に知覚可能となる。この軸外の輝度のばらつきにより軸外の画像は判別不能となり、軸上の観察者に対してプライバシー機能を提供する。
【0060】
以下、切り替え可能なプライバシー機能及び画素分割の役割を図5及び図6を参照して述べる。所定のLCDにおける1対の画素(例えば、第1画素及び第2画素を含む画素群)に関する、正規化軸上輝度(θ=0°)に対する所定のθにおける正規化輝度を概略的に図5に示す。図5は、上記画素非分割状態の軸外輝度(θ〜0°)応答(例えば、第1のタイプの輝度‐視野角応答)と上記画素分割状態の軸外輝度(θ〜0°)応答(例えば、第2のタイプの輝度‐視野角応答)が異なることを示している。それゆえ、軸外コントラストは、分割がなされた1対の画素及び分割がなされていない他の1対の画素の2対の画素間から得られる。軸上においては、両方の画素対も同じ平均輝度とすることができる。図5に示す画素分割ラインと画素非分割ラインにより囲まれた領域は、画素対の軸外輝度が取り得る利用可能な値を示している。画素分割ラインと画素非分割ラインとの間の最大のプライバシーコントラストは図5において両矢印により示されている。コントラスト反転、すなわち軸上で最も明るい画素の状態が軸外でも最も明るい状態がディスプレイにおいて起こらないと仮定すると、この系におけるコントラストの最大理論値は2である。このコントラストの大きさは得られるプライバシー強度の指標である。
【0061】
1対の画素の平均画素輝度を示す表を図6に示す。画素非分割の場合、例えば画素2a及び2bは同じ輝度値を有するように示されており、そのため、軸上で同じ平均輝度を有する。しかし、図5に示すような非線形な軸外輝度‐軸上輝度関係のため、非分割の画素2a及び2bの平均輝度は平均軸上輝度と等しくない。画素分割の場合、画素2a及び2bは異なる輝度値を有するように示されているが、画素非分割状態のように同じ軸上の平均輝度を有する。図5に示すような非線形な軸外輝度‐軸上輝度関係のため、分割の画素2a及び2bの平均輝度は、画素非分割状態の平均軸外輝度と等しくない。その結果、分割されていない画素対と分割された画素対との間の軸外コントラストは明らかになる。一般的に、所定の程度に分割された第1の画素対は、第1の画素対と異なる程度で分割された第2の画素対と同じ軸上輝度を有するが、異なる軸外輝度を有するように構成できる。また図6の表は、「画素分割1」状態及び「画素分割2」状態が、軸上及び軸外の視野に関して同一であることを示している。図3に示すように、画素2a及び2bの輝度‐角度応答が同じであるため、「画素分割1」状態及び「画素分割2」状態は同じとなる。図17を参照し、図3・図4に示すタイプの角度視野特性を有する標準(シングルビューイングモード,2D)ディスプレイに、装置(例えば、表示パネル12)がパブリックモードであるかプライベートモードであるかにより異なる方式で動作可能な変形制御電子回路11(例えば、コントローラ)を備えることにより、上記及びGB2457106Aに記載した「画素分割」方法を利用した切り替え可能なプライバシーモードを提供する。
【0062】
装置がパブリックモードで動作する場合、1つの画像を構成する主画像データのセットが各フレーム期間において制御電子回路に入力される。そして制御電子回路はLCパネルに信号データ電圧のセットを出力する。各信号電圧はLCパネルのアクティブマトリックスアレイにより対応する画素電極に導かれ、その結果生じるLC層における画素の集合電子光学反応により画像が生成される。
【0063】
制御電子回路は出力画素データ電圧に対する入力画素データ値のマッピングを1つ有しており(ルックアップテーブル)、これは全画素の処理に適用される。ディスプレイの赤、緑及び青のサブ画素に異なるルックアップテーブルが使われる場合もあるが、画像内の画素データの空間位置、又は、表示装置内の画素電極の空間位置に基づく、出力電圧に対する入力データのマッピングのばらつきはない。そしてほぼ同じ画像が軸上の観察者及び軸外の観察者によって知覚され、表示装置は広視野モードで動作しているといえる。この状態はLCDの標準的な動作方法といえる。
【0064】
装置がプライベートモードで動作する場合、フレーム期間毎に、2つの画像データセット、すなわち主画像を構成する主画像データ及びサイド画像を構成するサイド画像データが制御回路に入力される。
【0065】
そして制御電子回路は信号データ電圧のセットを出力し、上述のようにLCパネルの各画素に対して1つのデータ電圧を出力する。しかしながら、制御電子回路(表示コントローラ)は今回、拡張ルックアップテーブル(LUT)を利用しており、合成画像を構成するLCパネルの各画素への出力信号データ電圧は、主画像及びサイド画像の両方における(画像における空間位置に関して)対応画素のデータ値に依存している。各画素の出力データ電圧はディスプレイ内の画素の空間位置によって決定される第3のパラメータにも依存してもよい。
【0066】
このように、標準的なLCD制御電子回路は、フレーム期間毎に、1つではなく2つの画像を受け取ってバッファに格納し、画素毎の1つの出力電圧に対して2つの入力画像のデータ値をマッピングする(マッピングに第3の空間的に依存したパラメータを考慮してもよい)ように変形される。この場合、出力画素電圧に対する入力画像データのマッピングは、ディスプレイの全ての画素、又は同じ色成分の全てのサブ画素に関しても同一ではない。
【0067】
上記第3の空間的に依存したパラメータは、空間位置に基づき、画素が2つ以上のグループの内いずれのグループに属すると見なされるかを示す「フラグ」値であってもよい。例えば、画像アレイにおける奇数列の画素が1つのグループを形成し、偶数列の画素がもう1つのグループを形成してもよい。グループは、画素の奇数行と偶数行であってもよいし、格子状に配置された画素アレイを2つに分けた部分等であってもよい。
【0068】
制御電子回路からの出力電圧は、主観察者により観察される際の主画像である合成画像を、主画像の質の低下を最小限に抑え、LCパネルに表示させる。しかし、軸外の観察者に対するLCパネルのガンマ曲線特性の違いにより、これらの軸外の観察者にはサイド画像が最も目立つように知覚され、主画像をぼやけさせ及び/又は劣化させ、ディスプレイの法線を中心とする、限られた円錐状の角度内に主画像情報が確保される。
【0069】
本発明の第1の実施形態は、表示装置1のプライバシー強度を高めるため、GB2428152A1に記載の画像処理技術と共に用いる追加の光学系の使用に関する。この画像処理技術を実施するためには、表示コントローラ電子回路はほぼ、GB2457106Aの切り替え可能なプライバシー表示装置に関して上記に記載した通りであってよい。表示コントローラ電子回路は、空間位置のみに基づき画素が2つ以上のグループの内いずれのグループに属すると見なされるかを示すのではなく、視野角応答に対する輝度が異なるディスプレイの2つ以上の画素タイプのいずれを扱っているかを示す空間「フラグ」パラメータを使用してもよい。表示コントローラ電子回路は、GB2457106Aに記載の空間「フラグ」パラメータ及び第二次「フラグ」パラメータを使って、視野角応答に対する輝度が異なるディスプレイの2つ以上の画素タイプのいずれを扱っているかを示してもよい。この場合、制御電子回路において使用されるLUTは、結果的に増加する入力値の組み合わせに対する出力値を組み入れるため、GB2457106Aに記載のものの2倍の大きさになってもよい。
【0070】
画素3(画像素子)の配置及びレンズアレイ4をそれぞれ図7及び図8に示す(画素3a及び3bがグループ3cを形成する)。該レンズアレイは画素ピッチのほぼ2倍のピッチを有する。画素3aは第1の角度依存輝度応答を有しており、画素3bは画素3aのものとは実質的に異なる第2の角度依存輝度応答を有している。画素3a及び3bの角度依存輝度応答は軸上輝度から独立したものであってよい。所定の軸上輝度に関する好ましい画素3a及び3bの角度依存輝度応答の一例を図9に示す。GB2428152A1に記載の画像処理技術と共に使用する場合、図9に示す角度依存輝度応答は、ノーマル広視野モードにおいて100%の解像度を可能にし、プライベート狭視野モードにおいて良好な軸上明度を可能にする。画素3a及び3bの軸外輝度が大きく異なるため、最大プライバシーコントラストを2よりも大きくすることができるので、追加の光学系の使用によりプライバシー強度は高まる。一般的に、所定のθにおける画素3aと画素3bとの軸外輝度の比(画素3a/画素3b)は、角度θにおける最大プライバシーコントラストに近似する。
【0071】
図9及び図10は、GB2428152A1、US20070040780A1、GB2457106Aに記載の画像処理技術と併用した場合に、プライバシー強度が強化されたプライバシー機能を可能にする2つの画素の角度依存輝度応答の一例である。一見したところ、図9及び図10の関数型はかなり異なるように見えるが、図9及び図10は両方とも、軸上画像に関して100%の解像度を維持したままプライバシー強度を強化することが可能な2つの重要な特徴を示している。第1に、図9及び図10は両方とも、所定の軸外角度範囲に関してかなり異なる輝度を有している。これは、上記画像処理技術と併用する場合に、プライバシー強度の強化を可能にする重要な特徴である。第2に、図9及び10は両方とも、軸上画像に関して100%の解像度を可能にするようにかなり高い軸上輝度を有している。これら2つの主要な特徴を表す角度依存関数型を可能にする多くの光学構成が存在する。
【0072】
プライバシー強度を強化したプライバシー機能を実現するための画素3a及び画素3bの角度依存輝度応答モデルの一例が図10に示されている。画素3a及び画素3bは、ディスプレイ内の白画素であってもよいし、ディスプレイ内のカラーのサブ画素であってもよい。ディスプレイ及び図10のグラフを実現するために使用される視差光学系のパラメータは次の通りである。画素3aの幅=100μm、画素3bの幅=100μm、画素−レンズ間距離=200μm、レンズ幅=200μm、レンズの曲率半径=300μm、レンズの屈折率=1.56。この例では、視差光学系はレンズアレイのみからなる。図8に示すように、レンズの頂点は画素3aの中心に位置している。レンズの湾曲した表面は空気に囲まれている。レンズの湾曲した表面は画素に最も近くてもよいし、最も遠くてもよい。一般的に、画素−レンズ間距離はレンズ幅とほぼ同じである。図8に示すように、画素幅の2倍がレンズ幅とほぼ同じである。レンズ半径は、画素3a及び画素3bの輝度関数型が軸上と軸外とで実質的に異なるように選択される。視差光学系及びディスプレイは、画像を100%の解像度で示せるように、画素3bからの輝度の一部が軸上で見えるように構成されている。異なる輝度関数型を実現するためのレンズオンリーシステムの利点は、表示システムの全体的な明るさがある程度視差バリアで構成されたシステムより高いことである。
【0073】
レンズアレイの使用は、表示装置1と共に使用される際に、複数の角度依存輝度応答を有する画素を形成する光学素子の一例に過ぎない。一般的に、各々実質的に異なる角度依存輝度応答を有する少なくとも2つの異なるタイプの画素を有する表示装置1(すなわち、指向性画素を有する表示装置)は、様々な光学素子又は視差光学素子のどれかによって形成されてもよい。上記視差光学系は、透過及び非透過領域からなる視差バリアであってよい。また上記視差光学系は、レンズ及び視差バリアアレイから構成されてもよい。また上記視差光学系はプリズムアレイから構成されてもよい。上記視差光学系は一次元において周期的であってもいいし、例えば二次元において周期的であってもよい。上記透過型表示装置における指向性画素は、例えば指向性バックライティングによって(例えば、指向性バックライトを使って)形成してもよい。また上記指向性画素は、例えばパターン化されたホログラフィック又は回折光学素子により形成されてもよい。また上記指向性画素は、例えばパターン化された光学リターダにより形成されてもよい。また上記指向性画素は、例えばコリメートバックライト及びパターン化された散乱光学系により形成されてもよい。
【0074】
上記画素型画像ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマ表示パネル(PDP:Plasma Display Panel)、電気泳動ディスプレイ、エレクトロウェッティング型ディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED: Surface−conduction Electron−emitter Display)、(LED)等から構成されてよいが、これらに限定されるものではない。上記画素型画像ディスプレイの性質は、例えば透過型、放射型、反射型、半透過型のいずれであってもよい。
【0075】
プライバシー強度を高めたプライバシー機能を実現するため、視差バリアのみからなる光学系を用いて、図10に示すものとほぼ同じ画素3a・3bの角度依存輝度応答を実現する場合、以下のパラメータで実現される。画素3aの幅=100μm、画素3bの幅=100μm、画素−視差バリア間距離=200μm、視差バリア開口=130μm。視差バリアの開口は画素3aの中心に位置している。一般的に、画素−視差バリア間距離は視差バリアピッチとほぼ同じである。図8に示すように、画素幅の2倍が視差バリアピッチとほぼ同じである。視差バリアの開口は、画素3a及び画素3bの輝度関数型が、軸上と軸外とで実質的に異なるように選択される。また視差バリアの開口は、画像を100%の解像度で表示できるよう画素3a及び画素3bの両方からの輝度が軸上で観察されるようにも選択される。
【0076】
このように、所望の角度依存輝度関数型は、視差バリアのみから構成される視差光学系又はレンズのみから構成される視差光学系を使用することにより実現される。図10に示すような所望の角度依存輝度応答を実現するために視差バリアとレンズとにより構成された視差光学系(レンズは視差バリアの開口内に位置する)も使用することができる。ディスプレイ、並びに、レンズ及び視差バリアから構成される視差光学系の、所望の角度依存輝度応答を実現するためのパラメータの一例は以下の通りである。画素3aの幅=100μm、画素3bの幅=100μm、画素−視差光学系間距離=200μm、視差バリア開口=160μm、レンズ半径=400μm。レンズの頂点は画素3aの中心に位置している。レンズの湾曲した表面は画素に最も近くてもよいし、最も遠くてもよい。レンズの湾曲した表面は空気に囲まれている。一般的に、画素−視差光学系間距離は視差光学系ピッチとほぼ同じである。図8に示すように、画素幅の2倍が視差光学系ピッチとほぼ同じである。視差光学系開口及びレンズ半径は、画素3a及び画素3bの輝度関数型が軸上と軸外とで実質的に異なるように選択される。また視差光学系開口は、画像を100%の解像度で表示できるように画素3a及び画素3bの両方からの輝度が軸上で観察されるようにも選択される。
【0077】
プライバシー強度を高めたプライバシー機能を実現するための画素3a及び画素3bの角度依存輝度応答をプリズムアレイから構成される視差光学系を用いて実現する場合、以下のパラメータで実現される。画素3aの幅=100μm、画素3bの幅=100μm、画素−プリズムアレイ間距離=200μm、プリズム角=30°〜60°。プリズムアレイは、プリズムの底部が画素に近接して位置するように、画素3aの中心に位置している。一般的に、画素−プリズムアレイ間距離は視差光学系ピッチとほぼ同じである。図8に示すように、画素幅の2倍が視差光学系ピッチとほぼ同じである。プリズムアレイは、画像の100%の解像度での閲覧を可能にするよう画素3a及び画素3bの両方からの輝度が軸上で観察されるようにも選択される。
【0078】
図11のグラフは、GB2428152A1に記載の画像処理技術を、図9に示す角度依存輝度関数型を有する画素3a及び画素3bに適用した時の、正規化軸上輝度(θ=0°)に対するθにおける正規化輝度の関数型を概略的に示すものである。図5と図11とを比較すると、図11の最大プライバシーコントラストは図5に示すものよりも大きくできることがわかる。結果として、図7、8及び9に示す表示システムのプライバシー強度は、図2、3、4、5及び6に示す表示システムのプライバシー強度よりも大きくすることができる。GB2428152A1に記載の画像処理技術と組み合わせて、図7、8及び9に示す表示システムの最大プライバシー強度は、画素3a及び画素3bの軸外輝度における違いのため、図2、3、4、5及び6に示す表示システムと比較して高めることができる。一般的に、任意の軸上輝度に関して、画素3a及び画素3bの軸外輝度における違いが大きいほど、達成できる最大プライバシーコントラストは大きくなる。
【0079】
しかし、図7、8及び9に示すタイプの多指向性画素を有するディスプレイを、非分割にする、又は、異なる角度依存輝度関数型を補正するような分割量で処理する場合、2つの画素タイプの合成軸外輝度は、軸上輝度との線形的な関係に従い、そのため、全ての画素において本質的に非線形の軸外‐軸上輝度応答を有する図2〜6に示すタイプの表示システムより、軸外の画像が高い画質を有する広視野モードが提供される。また、全ての画素において本質的に非線形の軸外‐軸上輝度応答を有する図2〜6に示すタイプの表示システムを、本発明の実施形態の画像処理方法及び光学素子の追加により変形してもよい。そして、パブリックモードにおいて、2つの画素タイプの合成軸外輝度がベースパネルのみで可能なものよりもより線形的な軸上輝度との関係に従わせるため、ある程度の分割を画素に適用して、広視野能力を向上し切り替え可能なプライバシーモードを向上するようにしてもよい。
【0080】
一般的に、図11の「画素分割1」ライン及び「画素分割2」ラインに囲まれた領域は、利用可能な軸外/軸上輝度スペースであり、この領域内であればどのような平均軸上・軸外輝度の組み合わせも可能である。パブリックモードにおいて望まれるように、できる限り正確に全ての視野角に関して1つの画像を再生するためには、画素3a及び画素3bによる輝度のバランスは、正規化した軸上及び軸外輝度がほぼ同じになるように決定される。プライベートモードにおいて望まれるように、軸外の観察者に対して軸上画像をぼやけさせた又は偽装した、異なる画像を再生するためには、ディスプレイの各ポイントにおける画素3a及び画素3bによる輝度のバランスは、ディスプレイのそのポイントにおける軸上画像により規定される軸上輝度と、上記利用可能な領域内における、軸外画像により規定されるものに最も近い軸外輝度とを提供するように決定される。
【0081】
異なる軸外輝度応答を有する画素を生成するために光学系の追加により最大プライバシーコントラストを強化することは図12の表にも示されている。図6に対し、図12に示される「画素分割1」状態及び「画素分割2」状態は異なる軸外輝度結果を生じる。図12に示す軸外「画素分割1」と軸外「画素分割2」とのコントラストは、図6に示す軸外「画素分割1」と軸外「画素非分割」とのコントラストよりも大きい。
【0082】
IPS LCD、OLED等の表示装置は、GB2428152A1に記載の画像処理技術と本質的に適合しない輝度‐データ応答を有しており、GB2428152A1に記載の画像処理技術を利用する場合、これらの表示装置ではプライベート狭視野モードは実現できない。本発明の第2の実施の形態は、GB2428152A1に記載の画像処理技術と本質的に適合しないディスプレイタイプに対して切り替え可能なプライバシー機能を実現するために、当該ディスプレイタイプに追加する光学系の使用に関する。
【0083】
図13のグラフは、IPS(in−plane switching)LCD又はOLEDにおいて、1つの画素の正規化軸上輝度に対するθにおける典型的な正規化輝度を示す。図4に対し、図13のグラフは、上記ディスプレイのタイプの軸上正規化輝度と軸外正規化輝度応答との間に固有の差異がほぼないことを示している。どのような正規化軸上輝度値に関しても、対応する正規化軸外輝度との差異は20%を超えることはない。よって、図13に示すものと同様の輝度応答特性を有するディスプレイは、GB2428152A1に記載の画像処理技術と本質的に適合しない。しかし、GB2428152A1に記載の画像処理技術と本質的に適合しないディスプレイタイプに光学系を追加することで、これらのディスプレイタイプに対して切り替え可能なプライバシー機能を可能にする。そのような光学系は、異なる角度依存輝度応答を有する2つの異なる画素タイプを有する表示装置を可能にするため、図7及び図8に示すようなレンズアレイを備えていてもよい。そのような光学系は例えば図9又は図10に示すような角度依存輝度応答を可能にするもので、その詳細は上に述べた通りである。よって、GB2428152A1に記載の画像処理技術と共に、異なる角度依存輝度応答を有する画素を生成するための光学系をIPS LCD又はOLEDに付加することにより切り替え可能なプライバシー機能を実現することができる。IPS LCD又はOLED等に必要な付加光学系の例は、第1の実施形態で記載したものと同じである。
【0084】
本発明の第3の実施形態は、ノーマルモード、裸眼立体3Dモード、2D画像及びテキスト用プライベート狭視野モード、並びに、裸眼立体3D画像用プライベート狭視野モード(すなわち、3D画像のプライベート閲覧用モード)が可能な表示装置を作成するため、GB2428152A1に記載の画像処理技術と共に用いる付加光学系の使用に関する。
【0085】
裸眼立体3D画像を表示できる表示装置は、レンズアレイのみから構成される視差光学系4を用いて実現できる(図14参照)。上記視差光学系は、画素5a及び画素5bの中央に対称に位置している(画素5a及び画素5bがグループ5cを形成する)。画素5a及び画素5bは、ディスプレイ内の白画素であってもよいし、ディスプレイ内のカラーのサブ画素であってもよい。このタイプの裸眼立体3Dディスプレイは以前に開示されており、裸眼立体3Dディスプレイ製造分野の当業者に周知である。よって、読者の理解を助けるため図14について簡潔に説明する。図14に示す裸眼立体3Dディスプレイ10は、接着剤で表示装置6の上表面に付着されたレンズアレイ4から構成される。レンズアレイ4の屈折率は一般的に約1.56で、接着剤7の屈折率は一般的に約1.37である。一般的に、レンズアレイ4と接着剤との屈折率の差異は約0.1〜0.3である。この屈折率のミスマッチによって画素イメージング機能が実施される。画素‐レンズ間高さ8に対する画素幅9の比は約10である。裸眼立体3Dディスプレイ10の角度依存輝度応答モデルを、以下のパラメータを使って図15及び図16に示す。画素幅9=100μm、画素‐レンズ頂点間距離8=1000μm、レンズ幅=200μm、接着剤7の屈折率=1.37、レンズアレイ4の屈折率=1.56、レンズ半径=200μm。図16は図15を拡大したものである。また、上記レンズアレイは、レンズの頂点が画素から最も遠くなるように配置してもよく、その場合屈折率が異なる接着剤7は必要なく、レンズの屈曲面を空気に接触させレンズアレイの半径は約500μmとする。
【0086】
一般的に、観察者に対して立体3D効果を得るためには、左目及び右目視点画像からなる2つの画像を表示装置に入力する。これらの画像はインターレース処理され、1つの合成画像が生成され、それがパネルに表示される。視差光学系がデインターレース処理を行い、各画像が目的の目にのみ見えるようにするために、使用されるインターレースパターンは、第1及び第2のタイプの画素(すなわち、異なる角度輝度型を有するグループ)の空間パターンに一致する。この場合、上記画像処理方法は、インターレース処理の前に左目及び右目の画像のそれぞれに適用されてもよいし、結果生じる合成画像に対するインターレース処理後に適用されてもよい。
【0087】
図15に示すものと同様の2つの画素の角度依存輝度関数型を実現するための別の視差光学系は、以下のパラメータを有する視差バリアのみから構成される視差光学系を用いて実現される。画素5aの幅=100μm、画素5bの幅=100μm、画素‐視差光学系距離=1000μm、視差バリア開口=60μm。視差光学系は画素5a及び画素5bの中央に対称に位置している。図14に示すように、画素幅の2倍が視差光学系ピッチとほぼ同じである。
【0088】
図15に示すものと同様の2つの画素の角度依存輝度関数型を実現するための別の視差光学系は、以下のパラメータを有する視差バリア及びレンズ(レンズは視差バリアの開口内に位置する)から構成される視差光学系を用いて実現できる。画素5aの幅=100μm、画素5bの幅=100μm、画素‐視差光学系距離=1000μm、視差バリア開口=130μm、レンズ半径=300μm、レンズの屈折率=1.56。視差光学系は、画素5a及び画素5bの中央に対称に位置しており、レンズの頂点が画素から最も遠くなるように設けられる。図14に示すように、画素幅の2倍が視差光学系ピッチとほぼ同じである。
【0089】
図15に示すものと同様の2つの画素の角度依存輝度関数型を実現するための別の視差光学系は、風景閲覧及び人物閲覧の両方において表示装置を立体3Dモードで使用できる切替装置であってもよい。上記切替装置は、切り替え可能な視差バリア又は切り替え可能で再構成可能なレンズアレイのような、異なるモードにおいて水平もしくは垂直配向バリアストライプ又は円柱レンズを生成できるものである。上記切替装置は、複数の切替可能状態(例えば、第1切替可能状態、第2切替可能状態)を有しており、各状態は特定の閲覧モード(例えば、風景又は人物)に対応している。このような切り替え可能なバリアはGB2415850A1に開示されており、風景及び人物両方の3Dモードで動作可能な携帯型の立体視装置は、例えばNTT DoCoMoの携帯電話Sh−03C Lynx等、従来技術において周知である。
【0090】
図15及び図16に示す角度依存輝度関数型の特徴としては、所定の角度における第1画素の輝度ピークにおいて、第2画素の輝度は最小になることが挙げられる。図15及び図16に示すような第1及び第2画素の輝度ピークの角度差は約9°である。9°の輝度ピークの角度差が3D裸眼立体画像を見る際の距離を定める。sを目の間隔、aをピーク輝度の角度差とした場合、閲覧距離Vdは以下の式によって決定される。
【0091】
【数1】

【0092】
ノーマルモード、裸眼立体3Dモード、2D画像及びテキスト用プライベート狭視野モード、裸眼立体3D画像用プライベート狭視野モードが可能な表示装置を設計するためには、画像データ値の適切なマッピング機能を確立しなければならない。本発明の上述した実施形態に関しては、このマッピング機能はGB2428152A1に記載の画像処理技術に従って得られるものである。GB2428152A1には、軸上(θ=0°)輝度‐データ応答及び所定のθに関する軸外輝度‐データ応答から得られるものであると記載されている。しかしながら、3Dディスプレイに関しては、θ=0°における軸上輝度‐データ応答を用いることは最適ではなく、第1軸外輝度の最大値に対応する角度θにおける輝度‐データ応答からマッピング機能を得ることが好ましい。図16に示すように、第1軸外輝度の最大値は、約±4.5°の位置に、垂直の点線で示されている。また、輝度最大値と最大プライバシー強度が必要とされる角度との両方に対応する角度θにおける軸外輝度‐データ応答からマッピング機能を得ることが好ましい。名目上、最大プライバシー強度は30°〜60°(〜45°が良好な動作値)の範囲内で求められる。
【0093】
3D画像のためのプライバシー効果を最適化するには、各方向、例えば+4.5°及び−4.5°における第1軸外輝度最大値の各々に関して独立してマッピング機能を得ることが好ましい。つまり、主に+4.5°の方向に輝度を提供する画素に供給されるデータをこの角度に対して得られたマッピング機能で処理し、主に−4.5°の方向に輝度を提供する画素に供給されるデータをこの角度に対して得られたマッピング機能で別に処理するのが好ましい。ディスプレイデータ値‐輝度応答(ガンマ曲線)が0°(軸上)を中心として完全に対称的であればこれは必要ないが、データ値‐輝度応答が対称的でない場合にはこれによりプライバシーモードの能力を高めることができる。
【0094】
風景と人物の3Dモードの両方が可能なように切り替え可能である視差光学系の場合、2つのオリエンテーションの各々(例えば、第1切替可能状態のための第1マッピング機能、第2切替可能状態のための第2マッピング機能)において、再度+4.5°の方向と−4.5°の方向に関して別々にマッピング機能を得て、各オリエンテーションにおいて、各方向に主に光を供給する画素を対応するマッピングに従い別々に変形してもよい。
【0095】
一般的に、ノーマルモード、裸眼立体3Dモード、2D画像及びテキスト用プライベート狭視野モード、並びに、裸眼立体3D画像用プライベート狭視野モード等の上記各ディスプレイモードにおいて、第1画素グループ及び第2画素グループの各々に関してデータ値‐輝度応答が同じままである場合、全てのプライベート表示モードにおいて、全ての画素グループに適用可能な1つのマッピング機能を得るようにしてもよい。これは、複数のプライバシーモードを提供するのに必要な全体のリソースを減らすことができるので好ましい。しかしながら、上記プライベートモードの各々において、表示能力を最適化するためには、2Dモード、風景3Dモード及び人物3Dモードの各々における各画素グループに対して別々のマッピング機能が必要とされる。
【0096】
表示装置のプライベートモードを提供するのに用いられる画像処理方法の上記記載において、主画像及びサイド画像を提供するため軸上及び軸外輝度が平均化される画素グループの大きさ及び形を定める第3の空間的に依存した「フラグ」パラメータの概要を述べた。2Dモード、風景3Dモード及び人物3Dモードの各々におけるプライバシーモードの動作を最適化するには、上記第3の空間的に依存した「フラグ」パラメータにより規定される、異なるパターンが必要となる。プライバシー処理方法により発生する解像度ロスを最小化するためには、例えば、サブ画素スケールでの単純な格子縞パターンが、2Dプライバシーモードに使用される最適なパターンである。しかしながら、上記各3Dモードにおいては、それぞれの目に見える画素の半分を効果的にぼやけさす視差光学系のため、より粗い1×2サブ画素パターン、2×2サブ画素パターン、又は全白画素スケールのパターンが好ましい。その場合上記画像処理方法には、ディスプレイの動作モードに応じて上記第3の空間的に独立した「フラグ」パラメータの構成を切り替える手段が搭載される。
【0097】
一般的に、上記及びGB2428152A1Aに記載の画像処理技術は、ノーマルモード、裸眼立体3Dモード、2D画像及びテキスト用プライベート狭視野モード、並びに、裸眼立体3D画像用プライベート狭視野モードが可能な表示装置を提供するために、どのような裸眼立体3D表示装置とでも併用できる。輝度の最大値に対応する角度における軸上及び軸外輝度応答を用いれば、データ‐信号電圧のマッピング機能を得るのに最適な方法が得られる。
【0098】
ここで述べた方法及び装置は、2D広視野モード、2Dプライベート狭視野モード、裸眼立体3Dモード、及び、プライバシー効果付きの裸眼立体3Dモードが可能な表示装置を提供することができる。
【0099】
以上好ましい実施形態に関して本発明を記載したが、本明細書を読み理解した当業者により同等のものや変更もあることは明らかであり、本発明はそのような同等物及び変更物も含み、以下の請求の範囲のみによって限定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係る方法及び装置は、電子装置(例えば、コンピュータ端末等)にデータを入出力するのに用いられる表示装置のような表示装置に使用できる。よって本発明は産業的に利用可能であるといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間光変調により画像を表示する表示パネルを有する表示装置であって、
複数の画素グループと、
上記複数の画素グループの各々に動作可能に接続するコントローラとを備え、
上記複数の画素グループの各々は、第1のタイプの輝度−視野角応答を有する第1画素と、上記第1のタイプの輝度‐視野角応答とは異なる第2のタイプの輝度‐視野角応答を有する第2画素とを含み、
上記コントローラは、上記複数の画素グループが、各画素グループに対応する画像の領域に関して、所定の軸上輝度及び所定の軸外輝度を平均して同時に与えるように、上記複数の画素グループの各々を駆動するよう構成されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記コントローラは、さらに、各画素グループの上記平均軸外輝度が上記平均軸上輝度から独立して制御されるように、上記複数の画素グループを制御するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記コントローラは、さらに、上記画素グループの全輝度の内、上記画素グループ内の個々の画素により生み出される輝度を制御するよう構成され、
全輝度の内、上記画素グループ内の第1画素により生み出される輝度を増やし、上記画素グループ内の第2画素により生み出される輝度を減らすと全体の軸外輝度が増加し、
全輝度の内、上記画素グループ内の第1画素により生み出される輝度を減らし、上記画素グループ内の第2画素により生み出される輝度を増やすと全体の軸外輝度が減少することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記コントローラは、さらに、上記表示パネルの表面の法線に対して35度以上の視野角において上記入力画像を再生するために、各画素グループが、上記表示パネルにおいて各画素グループが占める入力画像の空間領域に対応する画像データに依存する平均軸上輝度と、上記軸上輝度に比例する軸外輝度とを生み出すように、上記複数の画素グループの各々を駆動するよう構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
上記コントローラは、さらに、各画素グループが、上記表示パネルにおいて各画素グループが占める主入力画像の空間領域に対応する第1画像データに依存する平均軸上輝度と、上記第1画像データから独立した同時の軸外輝度とを生み出すように、各画素グループを駆動するよう構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
上記軸外輝度は、上記表示パネルにおいて各画素グループが占める上記第1画像データと異なる第二次画像データの空間領域に対応するデータに依存することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
第1閲覧モードにおいては、上記コントローラは、上記画素グループが所定の視野範囲においてほぼ同じ視野角‐輝度応答を平均して生み出すように、上記第1及び第2画素に対して第1及び第2信号電圧をそれぞれ印加するよう構成され、第2閲覧モードにおいては、上記コントローラは、少なくとも幾つかの画素グループが上記所定の視野範囲にわたって変化する視野角‐輝度応答を平均して生み出すように、上記第1及び第2画素に対して第3及び第4信号電圧をそれぞれ印加するよう構成されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
上記第1閲覧モードにおいては、上記各信号電圧は各画素の画像データ値に基づいており、上記第2閲覧モードにおいては、上記各信号電圧は各画素の画像データ値及び所定の第二次値に基づいていることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
少なくとも1つの画素グループの上記第1画素及び第2画素の内の少なくとも1つの輝度‐視野角応答は、絶対輝度値から独立していることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
少なくとも1つの画素グループの上記第1画素及び第2画素の内の少なくとも1つの輝度‐視野角応答は、絶対輝度値に依存していることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
少なくとも1つの表示モードにおいて、各画素グループの正規化平均軸外輝度が各画素グループの正規化平均軸上輝度に近似するように、少なくとも1つの画素グループにおける上記第1画素及び第2画素の異なる輝度‐視野角応答が利用されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
少なくとも1つの画素グループにおける上記第1画素及び第2画素の輝度‐視野角応答は、表示パネルが2D広視野モード、2Dプライベート狭視野モード、裸眼立体3Dモード、及び、プライバシー効果付き裸眼立体3Dモードを可能にするよう構成されることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
上記第1及び第2画素の少なくとも1つは、上記第1及び第2画素と相対的に配置される視差光学系を備えることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
上記視差光学系は、上記第1及び第2画素の中央に対称に位置していることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
上記視差光学系は、レンズアレイ、視差バリア及びプリズムアレイの少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項13又は14に記載の表示装置。
【請求項16】
上記視差光学系はレンズアレイから構成され、上記レンズアレイのピッチは上記第1画素又は第2画素のピッチの2倍であることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
上記視差光学系は視差バリアから構成され、画素‐視差バリア間距離は画素ピッチに設定されることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項18】
上記視差光学系は少なくとも1つの次元において周期的であることを特徴とする請求項13〜17の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項19】
上記視差光学系は、上記第1及び第2画素の固有の輝度‐データ応答を変更するよう構成されることを特徴とする請求項13〜18の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項20】
上記第1及び第2画素の輝度‐視野角応答は、指向性バックライト、パターン化されたホログラフィックもしくは回折光学素子、パターン化された光学リターダ、コリメートバックライト及びパターン化された散乱光学系、並びに、パターン化されたアウトカップリング光学系の少なくとも何れかを用いて生成されることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項21】
上記表示パネルは、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、プラズマディスプレイ、電界放出ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイの少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項1〜20の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項22】
上記第1画素と第2画素との輝度‐視野角応答における差異は20パーセント未満であることを特徴とする請求項1〜21の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項23】
少なくとも2つも画素に関して角度依存輝度関数型を実現する切替装置をさらに備え、第1切替可能状態では、上記切替装置は上記表示装置において風景用の立体3Dモードを可能にするよう構成され、第2切替可能状態では、上記切替装置は上記表示装置において人物用の立体3Dモードを可能にするよう構成されることを特徴とする請求項1〜22の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項24】
上記切替装置は、切り替え可能な視差バリア、及び、切り替え可能かつ再構成可能なレンズアレイの少なくとも1つであることを特徴とする請求項23に記載の表示装置。
【請求項25】
上記切り替え可能な視差バリアは、上記第1切替可能状態において水平配向バリアストライプを形成し、上記第2切替可能状態において垂直配向バリアストライプを形成するよう構成されることを特徴とする請求項24に記載の表示装置。
【請求項26】
第1マッピング機能及び第2マッピング機能をさらに備え、上記第1マッピング機能は、上記表示装置が上記第1切替可能状態にある時にデータを表示するのに用いられ、上記第2マッピング機能は、上記表示装置が上記第2切替可能状態にある時にデータを表示するのに用いられることを特徴とする請求項23〜25の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項27】
各々が少なくとも2つの画素を有する複数の画素グループを備える表示装置において少なくとも2つの視野モードを作り出す方法であって、
上記少なくとも2つの画素の内の一画素における第1のタイプの視野角‐輝度応答を生成するステップと、
上記少なくとも2つの画素の内の他の画素における、上記第1のタイプの視野角‐輝度応答とは異なる第2のタイプの視野角‐輝度応答を生成するステップと、
上記複数の画素グループが、各画素グループに対応する画像の領域に関して、所定の軸上輝度及び所定の軸外輝度を平均して同時に与えるように、上記複数の画素グループの各々を駆動するステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−186439(P2011−186439A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−4170(P2011−4170)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】