説明

トロンビンレセプターアンタゴニストの使用方法

治療的状態を治療する方法であって、この方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に、式(I)および式(II)の少なくとも1種の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な異性体、塩、溶媒和物または共結晶形状の有効量を投与する工程を包含し、ここで、この置換基は、本明細書中で定義したとおりであり、この治療的状態は、心血管または循環器疾患または病気、炎症疾患または病気、呼吸器疾患または病気、癌、急性腎不全、アストログリオシス、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、アルツハイマー病、糖尿病、糖尿病性神経障害、関節リウマチ、神経変性疾患、神経毒性疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗鬆症、緑内障、黄斑変性症、乾癬、放射線線維症、内皮障害、創傷または脊髄傷害、またはそれらの症状または結果である。他の治療有効薬剤との併用療法もまた、開示されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(本発明の背景)
トロンビンは、異なる細胞型において種々の活性を有することが公知であり、トロンビンレセプターは、ヒト血小板、血管平滑筋細胞、内皮細胞、および線維芽細胞のような細胞型において存在することが公知である。従って、プロテアーゼ活性化レセプター(PAR)アンタゴニストとしても公知の、トロンビンレセプターアンタゴニストは、血栓、炎症、アテローム性硬化症障害、および線維増殖性障害(fibroproliferative disorder)、ならびにトロンビンおよびそのレセプターが病因の役割を果たす他の障害の処置において有用であり得る。
【0002】
トロンビンレセプターアンタゴニストペプチドは、トロンビンレセプター上のアミノ酸の置換を包含する構造−活性の研究に基づいて同定された。非特許文献1において、テトラペプチドおよびペンタペプチドは、潜在的なトロンビンレセプターアンタゴニスト(例えば、N−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−NHおよびN−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−Arg−NH)であるとして開示される。ペプチドトロンビンレセプターアンタゴニストはまた、1994年2月17日に公開された特許文献1において開示される。
【0003】
トロンビンレセプターアンタゴニストは、種々の疾患または状態の処置に潜在的に有用であるとして文献に提案されている。これらの疾患としては、例えば、血栓症、血管再狭窄、深在静脈血栓症(deep venous thrombosis)、肺塞栓症、脳梗塞、心臓病、播種性血管内凝固症候群、高血圧、炎症、リウマチ、関節炎、糸球体腎炎、骨粗鬆症、神経障害および/または悪性腫瘍(Suzuki,Shuichi,PCT国際出願(特許文献2(2002),特許文献3(2002)および特許文献4)(2002))、不整脈、炎症、アンギナ、脳卒中、アテローム硬化症、虚血状態、新脈管形成に関連する障害、癌、および神経変性障害(Zhang,Han−cheng,PCT国際出願(特許文献5(2001)、特許文献6(2001)および特許文献7)(2001))、肝臓、腎臓、および肺の障害(非特許文献2)、癌(非特許文献3)、黒色腫(非特許文献4)、腎細胞癌(非特許文献5)、腎臓病、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管恒常性(renal vascular homeostasis)(非特許文献6)、糸球体腎炎(非特許文献7)、炎症(非特許文献8)、慢性気道疾患(非特許文献9)、膀胱炎(非特許文献10)、神経変性ならびに/または神経毒性疾患、状態、および損傷(Traynelis, Stephen Francis,PCT国際出願「Treatment of neurodegenerative diseases and conditions using PAR−1 antagonists」(特許文献8)(2002))、放射線線維症、内皮細胞機能不全(endothelial dysfunction)(非特許文献11)、歯周病(非特許文献12)、および創傷(非特許文献13)が挙げられる。
【0004】
トロンビンレセプターアンタゴニストはまた、潜在的な抗新脈管形成因子(非特許文献14)、化学療法に対する腫瘍細胞についての耐性因子(非特許文献15)、血小板凝集インヒビターならびに平滑筋細胞、内皮細胞、線維芽細胞、腎細胞、骨肉腫細胞、筋肉細胞、癌細胞、および/またはグリア細胞の増殖インヒビターとして提案されている(特許文献2)。
【0005】
代用のトロンビンレセプターアンタゴニストは、特許文献9、特許文献10、および米国特許出願第09/880222号明細書(特許文献11)および米国特許出願第10/271715号明細書に開示されている。
【特許文献1】国際公開第94/03479号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/88092号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/85850号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/85855号パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/00659号パンフレット
【特許文献6】国際公開第01/00657号パンフレット
【特許文献7】国際公開第01/00656号パンフレット
【特許文献8】国際公開第02/71847号パンフレット
【特許文献9】米国特許第6,063,847号明細書
【特許文献10】米国特許第6,326,380号明細書
【特許文献11】国際公開第01/96330号パンフレット
【非特許文献1】Bernatowiczら,J.Med.Chem.,1996年、vol.39,4879−4887ページ
【非特許文献2】Chambers,R.C.,「Coagulation cascade proteases and tissue fibrosis」 Biochemical Society Transactions,2002年、第30巻、第2号,194−200ページ
【非特許文献3】Nguyen,Quang−De,「RhoA− and RhoD−dependent regulatory switch of Gα subunit signaling by PAR−1 receptors in cellular invasion」FASEB Journal,2002年、第16巻、第6号,565−576ページ
【非特許文献4】Tellez, Carmen,「Role and regulation of the thrombin receptor(PAR−1) in human melanoma」 Oncogene 2003年、第22巻,3130−3137ページ
【非特許文献5】Kaufman,R.,「Meizothrombin,an intermediate of prothrombin cleavage potently activates renal carcinoma cells by interaction with PAR−type thrombin receptors」 Oncology Reports;2003年、第10巻、第2号,493−496ページ
【非特許文献6】Tognetto,Michele,「Proteinase−activated receptor−1(PAR−1)activation contracts the isolated human renal artery in vitro」 British Journal of Pharmacology,2003年,第139巻、第1号,21−27ページ
【非特許文献7】Ahn,Ho−Sam,「Nonpeptide thrombin receptor antagonists」 Drugs of the Future,2001年,第26巻、第11号,1065−1085ページ
【非特許文献8】Meli,Rosaria,「Thrombin and PAR−1 activating peptide increase iNOS expression in cytokine−stimulated C6 glioma cells」 Journal of Neurochemistry,2001年,第79巻、第3号,556−563ページ
【非特許文献9】Roche,Nicolas,「Effect of acute and chronic inflammatory stimuli on expression of protease−activated receptors 1 and 2 alveolar macrophages」 Journal of Allergy and Clinical Immunology,2003年,第111巻、第2号,367−373ページ
【非特許文献10】D’Andrea,Michael R.,「Expression of protease−activated receptor−1,−2,−3 and −4 in control and experimentally inflamed mouse bladder」 American Journal of Pathology,2003年,第162巻、第3号,907−923ページ
【非特許文献11】Wang,Junru,「Deficiency of microvascular thrombomodulin and up−regulation of protease−activated receptor−1 in irradiated rat intestine:possible link between endothelial dysfunction and chronic radiation fibrosis」 American Journal of Pathology,2002年6月,第160巻、第6号,2063−72ページ
【非特許文献12】Tanaka,Nobuhisa,「Thrombin−induced Ca2+ mobilization in human gingival fibroblasts is mediated by protease−activated receptor−1(PAR−1)」 Life Sciences,2003年,第73巻,301−310ページ
【非特許文献13】Strukova,S.M.,「Thrombin,a regulator of reparation processes in wound healing」 Bioorganicheskaya Khimiya,1998年,第24巻、第4号,288−292ページ
【非特許文献14】Chan,Barden,「Antiangiogenic property of human thrombin」 Microvascular Research,2003年,第66巻、第1号,1−14ページ
【非特許文献15】Schiller,H.,「Thrombin as a survival factor for cancer cells:thrombin activation in malignant effusions in vivo and inhibition of idarubicin−induced cell death in vitro」 Int’l.J.of Clinical Pharmacology and Therapeutics,2002年,第40巻、第8号,329−335ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
1局面では、本発明は、治療的状態を治療する方法に関し、この方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に、次式の少なくとも1種の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な異性体、塩、溶媒和物または共結晶形状の有効量を投与する工程を包含する:
【0007】
【化10】

ここで:
Zは、R10が存在しないとき、
【0008】
【化11】

であり、またはRが存在しないとき、
【0009】
【化12】

である;
34に隣接する単一点線
【0010】
【化13】

は、任意の二重結合を表わす;
Xに隣接する二重点線
【0011】
【化14】

は、任意の単結合を表わす;
nは、0〜2である;
およびRは、別個に、H、C〜Cアルキル、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ−(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、アミノ−(C〜C)アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群から選択される;またはRおよびRは、一緒になって、=O基を形成する;
は、H、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−NR1819、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、C〜Cアルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリール、チオ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルである;
34は、このR34に隣接する任意の二重結合が存在しないとき、(H,R)、(H,R43)、=Oまたは=NOR17である;R34は、この二重結合が存在するとき、R44である;
Hetは、5個〜14個の原子を有する一環式、二環式または三環式ヘテロ芳香族基であり、このヘテロ芳香族基は、1個〜13個の炭素原子および1個〜4個のヘテロ原子から構成され、このヘテロ原子は、別個に、N、OおよびSからなる群から選択され、ここで、環窒素は、C〜Cアルキル基と共に、N−オキシドまたは四級基を形成でき、ここで、Hetは、Hetの炭素原子環員により、Bに結合され、そして、ここで、このHet基は、1個〜4個の部分Wで置換されており、このWは、別個に、以下からなる群から選択される:H;C〜Cアルキル;フルオロ(C〜C)アルキル;ジフルオロ(C〜C)アルキル;トリフルオロ−(C〜C)−アルキル;C〜Cシクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;置換ヘテロシクロアルキルであって、この置換ヘテロシクロアルキルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、OH−(C〜C)アルキルまたは=Oで置換されている;C〜Cアルケニル;R21−アリール(C〜C)アルキル;R21−アリール−(C〜C)−アルケニル;R21−アリールオキシ;R21−アリール−NH−;ヘテロアリール(C〜C)アルキル;ヘテロアリール(C〜C)−アルケニル;ヘテロアリールオキシ;ヘテロアリール−NH−;ヒドロキシ(C〜C)アルキル;ジヒドロキシ(C〜C)アルキル;アミノ(C〜C)アルキル;(C〜C)アルキルアミノ−(C〜C)アルキル;ジ−((C〜C)アルキル−アミノ(C〜C)アルキル;チオ(C〜C)アルキル;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルケニルオキシ;ハロゲン;−NR;−CN;−OH;−COOR17;−COR16;−OSOCF;−CHOCHCF;(C〜C)アルキルチオ;−C(O)NR;−OCHR−フェニル;フェノキシ−(C〜C)アルキル;−NHCOR16;−NHSO16;ビフェニル;−OC(RCOOR;−OC(RC(O)NR;(C〜C)アルコキシ;−C(=NOR17)R18;置換C〜Cアルコキシであって、この置換C〜Cアルコキシは、(C〜C)アルキル、アミノ、−OH、COOR17、−NHCOOR17、−CONR、アリール、置換アリールで置換されており、この置換アリールは、1個〜3個の部分で置換されており、この部分は、別個に、ハロゲン、−CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよび−COOR17からなる群から選択される、隣接炭素が環を形成するアリールであって、この隣接炭素は、メチレンジオキシ基、−C(O)NRまたはヘテロアリールと環を形成する;R21−アリール;隣接炭素が環を形成するアリールてあって、この隣接炭素は、メチレンジオキシ基と環を形成する;R41−ヘテロアリール;および隣接炭素が環を形成するヘテロアリールであって、この隣接炭素原子は、C〜Cアルキレン基またはメチレンジオキシ基と環を形成する;
およびRは、別個に、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択されるか、またはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CHNR−(CH−であり、それらが結合する窒素と共に環を形成する;
は、別個に、H、C〜Cアルキル、フェニル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルおよびアミノ(C〜C)アルキルからなる群から選択される;
は、Hまたは(C〜C)アルキルである;
、R10およびR11は、別個に、Rおよび−ORからなる群から選択されるが、但し、この任意の二重結合が存在するとき、R10は、存在しない;
は、H、OH、C〜Cアルコキシ、ハロゲンまたはハロ(C〜C)アルキルである;
Bは、−(CHn3−、−CH−O−、−CHS−、−CH−NR−、−C(O)NR−、−NRC(O)−、
【0012】
【化15】

シスまたはトランス−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−または−(CHn4C≡C(CHn5−であり、ここで、n3は、0〜5であり、n4およびn5は、別個に、0〜2であり、そしてR12およびR12aは、別個に、H、C〜Cアルキルおよびハロゲンからなる群から選択される;
Xは、Xに隣接するこの二重点線が単結合を表わすとき、−O−または−NR−であり、またはXは、この結合が存在しないとき、H、−OHまたは−NHR20である;
Yは、Xに隣接するこの二重点線が単結合を表わすとき、=O、=S、(H,H)、(H,OH)または(H,C〜Cアルコキシ)であり、またはYは、この結合が存在しないとき、=O、=NOR17、(H,H)、(H,OH)、(H,SH)、(H,C〜Cアルコキシ)または(H,−NHR45)である;
15は、Xに隣接するこの二重点線が単結合を表わすとき、存在しない;R15は、この単結合が存在しないとき、H、C〜Cアルキル、−NR1819または−OR17である;またはYは、
【0013】
【化16】

であり、そしてR15は、HまたはC〜Cアルキルである;
16は、C〜C低級アルキル、フェニルまたはベンジルである;
17、R18およびR19は、別個に、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルからなる群から選択される;
20は、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、−C(O)Rまたは−SOである;
21は、1個〜3個の部分であり、この部分は、別個に、水素、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ−((C〜C)アルキル)アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ(C〜C)アルキル、ジ−((C〜C)アルキル)−アミノ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、−COOR17、−COR17、−NHCOR16、−NHSO16、−NHSOCHCF、ヘテロアリールまたは−C(=NOR17)R18からなる群から選択される;
22およびR23は、別個に、水素、R24−(C〜C10)アルキル、R24−(C〜C10)アルケニル、R24−(C〜C10)アルキニル、R27−ヘテロ−シクロアルキル、R25−アリール、R25−アリール(C〜C)アルキル、R29−(C〜C)シクロアルキル、R29−(C〜C)シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R30、−C(O)OR30、−C(O)R30、−C(O)NR3031、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30、−OC(O)NR3031、R24−(C〜C10)アルコキシ、R24−(C〜C10)−アルケニルオキシ、R24−(C〜C10)アルキニルオキシ、R27−ヘテロシクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロ−アルケニルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキル−NH−、−CH−O−CH−フェニル、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から選択される;
またはR22およびR10は、それらが結合する炭素と一緒になって、またはR23およびR11は、それらが結合する炭素と一緒になって、別個に、3個〜10個の原子を有するR42−置換炭素環、または4個〜10個の原子を有するR42−置換複素環を形成し、ここで、1個〜3個の環員は、別個に、−O−、−NH−および−SO0〜2−からなる群から選択されるが、但し、R22およびR10が環を形成するとき、この任意の二重結合は、存在しない;
24は、1個、2個または3個の部分であり、この部分は、別個に、水素、ハロゲン、−OH、(C〜C)アルコキシ、R35−アリール、(C〜C10)−アルキル−C(O)−、(C〜C10)−アルケニル−C(O)−、(C〜C10)アルキニル−C(O)−、ヘテロシクロアルキル、R26−(C〜C)シクロアルキル、R26−(C〜C)シクロアルケニル、−OC(O)R30、−C(O)OR30、−C(O)R30、−C(O)NR3031、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30、−OC(O)NR3031、R24−(C〜C10)−アルケニルオキシ、R24−(C〜C10)アルキニルオキシ、R27−ヘテロシクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)−シクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロ−アルケニルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から選択される;
25は、1個、2個または3個の部分であり、この部分は、別個に、水素、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、−COOR36、−CN、−C(O)NR3738、−NR39C(O)R40、−OR36、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルおよびR41−ヘテロアリールからなる群から選択される;または隣接環炭素原子上の2個のR25基は、縮合メチレンジオキシ基を形成する;
26は、1個、2個または3個の部分であり、この部分は、別個に、水素、ハロゲンおよび(C〜C)アルコキシからなる群から選択される;
27は、1個、2個または3個の部分であり、この部分は、別個に、水素、R28−(C〜C10)アルキル、R28−(C〜C10)アルケニル、R28−(C〜C10)アルキニルからなる群から選択される;
28は、水素、−OHまたは(C〜C)アルコキシである;
29は、1個、2個または3個の部分であり、この部分は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、−OH、(C〜C)アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される;
30、R31およびR32は、別個に、水素、(C〜C10)−アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C10)−アルキル、R25−アリール(C〜C)−アルキル、R33−(C〜C)シクロアルキル、R34−(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、R25−アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル(C〜C)アルキルおよびヘテロアリール(C〜C)アルキルからなる群から選択される;
33は、水素、(C〜C)アルキル、OH−(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシである;
35は、1個〜4個の部分であり、この部分は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、−OH、ハロゲン、−CN、(C〜C)アルコキシ、トリハロ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−OCF、OH−(C〜C)アルキル、−CHO、−C(O)(C〜C)−アルキルアミノ、−C(O)ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−NH、−NHC(O)(C〜C)アルキルおよび−N((C〜C)アルキル)C(O)(C〜C)アルキルからなる群から選択される;
36は、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、ジハロ(C〜C)アルキルまたはトリフルオロ(C〜C)アルキルである;
37およびR38は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキル、フェニルおよび(C〜C15)シクロアルキルからなる群から選択されるか、またはR37およびR38は、一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CH−NR39−(CH−であり、それらが結合する窒素と一緒になって、環を形成する;
39およびR40は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキル、フェニルおよび(C〜C15)−シクロアルキルからなる群から選択されるか、または−NR39C(O)R40基中のR39およびR40は、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、5個〜8個の環員を有する環状ラクタムを形成する;
41は、1個〜4個の部分であり、この部分は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ、ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−OCF、OH−(C〜C)アルキル、−CHOおよびフェニルからなる群から選択される;
42は、1個〜3個の部分であり、この部分は、別個に、水素、−OH、(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシからなる群から選択される;
43は、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30または−NHCOOR17である;
44は、H、C〜Cアルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、C〜Cアルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリール、チオ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルである;そして
45は、H、C〜Cアルキル、−COOR16または−SOであり、ここで、
この治療的状態は、心血管または循環器疾患または病気、炎症疾患または病気、呼吸器疾患または病気、癌、急性腎不全、糸球体腎炎、アストログリオシス(astrogliosis)、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、アルツハイマー病、糖尿病、糖尿病性神経障害、関節リウマチ、神経変性疾患、神経毒性疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗鬆症、緑内障、黄斑変性症、乾癬、放射線線維症、内皮障害、創傷または脊髄傷害、またはそれらの症状または結果である。
【0014】
他の局面では、本発明は、治療的状態を治療する方法に関し、この方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に、次式の少なくとも1種の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な異性体、塩、溶媒和物または共結晶形状の有効量を投与する工程を包含する:
【0015】
【化17−1】

ここで:
Xに隣接する二重点線
【0016】
【化17−2】

は、任意の単結合を表わす;
10に隣接する単一点線
【0017】
【化17−3】

は、任意の二重結合を表わす;
nは、0〜2である;
Qは、
【0018】
【化18−1】

である;
およびRは、別個に、H、(C〜C)アルキル、フルオロ(C〜C)アルキル−、ジフルオロ(C〜C)アルキル−、トリフルオロ−(C〜C)アルキル−、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル−およびアミノ(C〜C)アルキル−からなる群から選択される;
は、H、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、−(C〜C)アルキル−C(O)NR1819、(C〜C)アルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル−、ジフルオロ(C〜C)アルキル−、トリフルオロ(C〜C)アルキル−、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)−シクロアルキル−(C〜C)アルキル−、(C〜C)アルケニル、アリール(C〜C)アルキル−、アリール(C〜C)アルケニル−、ヘテロアリール(C〜C)アルキル−、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル−、ヒドロキシ(C〜C)−アルキル−、−NR2223、NR2223−(C〜C)アルキル−、アリール、チオ(C〜C)アルキル−、(C〜C)アルキル−チオ(C〜C)アルキル−、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル−、NR1819−C(O)−(C〜C)アルキル−または(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル−である;
Hetは、5個〜10個の原子を有する一環式または二環式ヘテロアリール基であり、このヘテロアリール基は、1個〜9個の炭素原子および1個〜4個のヘテロ原子から構成され、このヘテロ原子は、別個に、N、OおよびSからなる群から選択され、ここで、環窒素は、(C〜C)アルキル基と共に、N−オキシドまたは四級基を形成でき、ここで、Hetは、このHetの炭素原子環員により、Bに結合され、そして、ここで、このHet基は、Wで置換されている;
Wは、1個〜4個の部分であり、この部分は、別個に、以下からなる群から選択される:H、(C〜C)アルキル、フルオロ(C〜C)アルキル−、ジフルオロ(C〜C)アルキル−、トリフルオロ(C〜C)アルキル−、(C〜C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル−、ジヒドロキシ(C〜C)アルキル−、NR2526(C〜C)アルキル−、チオ(C〜C)アルキル−、−OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、−NR、−C(O)OR17、−COR16、(C〜C)アルキルチオ−、R21−アリール、R21−アリール(C〜C)アルキル−、このアリール中の隣接環炭素が2個のO原子と共にメチレンジオキシ基を形成するアリール、およびR21−ヘテロアリール;
およびRは、別個に、H、(C〜C)アルキル、フェニル、ベンジルおよび(C〜C)シクロアルキルからなる群から選択されるか、またはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CHNR−(CH−であり、それらが結合する窒素と共に環を形成する;
は、H、(C〜C)アルキルまたはフェニルである;
は、H、(C〜C)アルキル、−C(O)−R16、−C(O)OR17または−S(O)17である;
、R10およびR11は、別個に、Rおよび−ORからなる群から選択されるが、但し、式IIで示された任意の二重結合が存在するとき、R10は、存在しない;
は、H、OHまたは(C〜C)アルコキシである;
Bは、−(CHn3−、シスまたはトランス−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−または−(CHn4C≡C(CHn5−であり、ここで、n3は、0〜5であり、n4およびn5は、別個に、0〜2であり、そしてR12およびR12aは、別個に、H、(C〜C)アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される;
Xは、式IIにおいてXに隣接して示されたこの点線が単結合を表わすとき、−O−または−NR−であり、またはXは、この結合が存在しないとき、−OHまたは−NHR20である;
Yは、式IIにおいてXに隣接して示されたこの点線が単結合を表わすとき、=O、=S、(H,H)、(H,OH)または(H,(C〜C)アルコキシ)であり、またはこの結合が存在しないとき、Yは、=O、(H,H)、(H,OH)、(H,SH)または(H,(C〜C)アルコキシ)である;
各R13は、別個に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829、ハロアルキルおよびハロゲンから選択され、ここで、n6は、0〜4である;
各R14は、別個に、H、(C〜C)アルキル、−OH、(C〜C)アルコキシ、R27−アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829、ハロゲンおよびハロアルキルから選択され、ここで、n6は、0〜4である;または
13およびR14は、一緒になって、3個〜6個の原子を有するスピロ環状またはヘテロスピロ環状環を形成する;
ここで、R13または14の少なくとも1個は、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829からなる群から選択され、ここで、n6は、0〜4である;
15は、式IIにおいてXに隣接して示されたこの二重点線が単結合を表わすとき、存在せず、そしてこの結合が存在しないとき、H、(C〜C)アルキル、−NR1819または−OR17である;
16は、別個に、(C〜C)アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選択される;
16bは、H、アルコキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル−、R22−O−C(O)−(C〜C)アルキル−、(C〜C)シクロアルキル、R21−アリール、R21−アリール(C〜C)アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロ置換アルケニル、アルキニル、ハロ置換アルキニル、R21−ヘテロアリール、R21−(C〜C)アルキルヘテロアリール、R21−(C〜C)アルキルヘテロシクロアルキル、R2829N−(C〜C)アルキル、R2829N−(CO)−(C〜C)アルキル、R2829N−(CO)O−(C〜C)アルキル、R28O(CO)N(R29)−(C〜C)アルキル、R28S(O)N(R29)−(C〜C)アルキル、R2829N−(CO)−N(R29)−(C〜C)アルキル、R2829N−S(O)N(R29)−(C〜C)アルキル、R28−(CO)N(R29)−(C〜C)アルキル、R2829N−S(O)−(C〜C)アルキル、HOS(O)−(C〜C)アルキル、(OH)P(O)−(C〜C)アルキル、R28−S−(C〜C)アルキル、R28−S(O)−(C〜C)アルキルまたはヒドロキシ(C〜C)アルキルである;
17、R18およびR19は、別個に、H、(C〜C)アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選択される;
20は、H、(C〜C)アルキル、フェニル、ベンジル、−C(O)Rまたは−S(O)である;
21は、1個〜3個の部分であり、この部分は、別個に、H、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、(C〜C)アルキル、−OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)−アルキルアミノ−、ジ−((C〜C)アルキル)アミノ−、NR2526−(C〜C)アルキル−、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル−、−C(O)OR17、−C(O)R17、−NHC(O)R16、−NHS(O)16、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R13、−S(O)13および−SR13からなる群から選択される;
22は、Hまたは(C〜C)アルキルである;
23は、H、(C〜C)アルキル、−C(O)R24、−S(O)24、−C(O)NHR24または−S(O)NHR24である;
24は、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルまたはNR2526−((C〜C)アルキル)−である;
25およびR26は、別個に、Hおよび(C〜C)アルキルからなる群から選択される;
27は、1個、2個または3個の部分であり、この部分は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロゲンおよび−OHからなる群から選択される;そして
28およびR29は、別個に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、R27−アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルおよびハロアルキルからなる群から選択される;または
28およびR29は、一緒になって、3個〜6個の原子を有するスピロ環状またはヘテロスピロ環状環を形成し、ここで、
この治療的状態は、心血管または循環器疾患または病気、炎症疾患または病気、呼吸器疾患または病気、癌、急性腎不全、糸球体腎炎、アストログリオシス、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、アルツハイマー病、糖尿病、糖尿病性神経障害、関節リウマチ、神経変性疾患、神経毒性疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗鬆症、緑内障、黄斑変性症、乾癬、放射線線維症、内皮障害、創傷または脊髄傷害、またはそれらの症状または結果である。
【0019】
さらに他の局面では、本発明は、上記方法に関し、ここで、上記心血管または循環器疾患または病気は、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧症、急性冠状動脈症候群、狭心症、不整脈、心臓病;心不全、心筋梗塞、血栓性または血栓塞栓性卒中、末梢血管病、深在静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した循環器病、播種性血管内凝固症候群、腎虚血、脳卒中、脳虚血、脳梗塞、片頭痛、腎血管恒常性または勃起不全である。
【0020】
さらに他の局面では、本発明は、上記方法に関し、ここで、上記炎症疾患または病気は、過敏性腸症候群、クローン病、腎炎または消化管、肺、膀胱、消化管または他の器官の放射線療法または化学療法誘発増殖性または炎症性障害である。
【0021】
さらに他の局面では、本発明は、上記方法に関し、ここで、上記呼吸器疾患または病気は、可逆性気道閉塞、喘息、慢性喘息、気管支炎または慢性気道疾患である。
【0022】
さらに他の局面では、本発明は、上記方法に関し、ここで、上記癌は、腎細胞癌または血管形成関連障害である。
【0023】
さらに他の局面では、本発明は、上記方法に関し、ここで、上記神経変性疾患は、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンティングトン病またはウィルソン病である。
【0024】
さらに他の局面では、本発明は、上記疾患または病気のいずれかを治療する際に使用する医薬に関し、この医薬は、式IまたはIIの1種またはそれ以上の化合物を含有する。
【0025】
さらに他の局面では、本発明は、上記方法に関し、この方法は、さらに、炎症、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、神経障害および/または悪性腫瘍、血管形成関連障害、癌、肝臓、腎臓または肺の障害、黒色腫、腎細胞癌、腎臓病、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管恒常性、糸球体腎炎、慢性気道疾患、腎炎、神経変性および/または神経毒性疾患、病気または傷害、放射線線維症、内皮障害、歯周病または創傷を治療する際に有用な少なくとも1種の治療有効薬剤を投与する工程を包含する。
【0026】
さらに他の局面では、本発明は、上記方法に関し、この方法は、さらに、少なくとも2種の治療有効薬剤を投与する工程を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(詳細な説明)
上でおよび本明細書全体を通じて使用される以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有することが理解できるはずである:
「哺乳動物」としては、哺乳動物と非哺乳動物との両方が挙げられる。
【0028】
「患者」としては、ヒトと他の哺乳動物との両方が挙げられる。
【0029】
「置換された」との用語とは、指定原子上の1個またはそれ以上の水素が指示された基からの選択で置き換えられたことを意味するが、但し、既存状況下での指定原子の通常の原子価を超えず、その置換は、安定な化合物を生じる。置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ、許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度までの単離および有効な治療剤への処方に耐えるのに十分に頑丈であることを意味する。
【0030】
「必要に応じて置換された」との用語は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。本明細書中の教本、図式、実施例および表における満たされていない原子価を有する任意の原子は、それらの原子価を満たす水素原子を有すると想定されることに、留意すべきである。
【0031】
以下の定義は、特に明記しない限り、用語が単独で使用されているか他の用語と併用されているかとは無関係に、適用される。それゆえ、「アルキル」との定義は、「アルキル」だけでなく、「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルコキシ」などの「アルキル」部分にも適用される。
【0032】
本明細書中で使用する「アルキル」との用語は、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、1個〜約20個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基は、その鎖の中に、1個〜約12個の炭素原子を含有する。さらに好ましいアルキル基は、その鎖の中に、1個〜約6個の炭素原子を含有する。「分枝」とは、直鎖状のアルキル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。このアルキルは、1個またはそれ以上の置換基で置換され得、これらの置換基は、別個に、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)(これらのアルキルは、同一または異なり得る)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から選択される。適当なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0033】
「アルケニル」とは、その鎖の中に、1個またはそれ以上の二重結合を含有する脂肪族炭化水素基(これは、直鎖または分枝炭素鎖であり得る)を意味し、これは、共役または非共役であり得る。有用なアルケニル基は、その鎖の中に、2個〜約15個の炭素原子、好ましくは、その鎖の中に、2個〜約12個の炭素原子、さらに好ましくは、その鎖の中に、2個〜約6個の炭素原子を含有できる。このアルケニル基は、1個またはそれ以上の置換基で置換でき、これらの置換基は、別個に、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノおよびアルコキシからなる群から選択される。適当なアルケニルの非限定的な例には、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブタ−エニルおよびn−ペンテニルが挙げられる。
【0034】
アルキルまたはアルケニル鎖が2個の他の変数と結合し、従って、二価である場合、それぞれ、アルキレンおよびアルケニレンとの用語が使用される。
【0035】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記述したとおりである。有用なアルコキシ基は、1個〜約12個の炭素原子、好ましくは、1個〜約6個の炭素原子を含有する。適当なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシが挙げられる。このアルコキシのアルキル基は、そのエーテル酸素を介して、隣接部分に結合している。
【0036】
「アルキニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、約2個〜約15個の炭素原子を含有する。好ましいアルキニル基は、その鎖の中に、約2個〜約12個の炭素原子を有する;さらに好ましくは、その鎖の中に、約2個〜約4個の炭素原子を有する。分枝とは、直鎖状のアルキニル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。適当なアルキニル基の非限定的な例には、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニルおよびデシニルが挙げられる。このアルキニル基は、1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置換され得、各置換基は、別個に、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から選択される。
【0037】
「アリール」とは、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、これは、約5個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含有する。このアリール基は、1個またはそれ以上の置換基(これらは、上で定義した)で置換でき、これらの置換基は、同一または異なり得る。適当なアリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチルおよびインダニルが挙げられる。「アリーレン」とは、二価フェニル基を意味し、これには、オルト、メタおよびパラ置換が挙げられる。
【0038】
アルキル、アルケニルおよびアルキニル鎖上の置換は、その鎖長、およびその置換基の大きさおよび性質に依存している。当業者は、長い鎖が複数の置換基を収容できるものの、短いアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)は、ハロゲンによる複数の置換を有し得るが、それ以外は、水素以外に、1個または2個の置換基だけを有する可能性が高いことを理解する。短い不飽和鎖は(例えば、エテニルまたはエチニル)は、一般に、非置換であるか、または置換は、利用可能な炭素結合の数に依存して、1個または2個の基に限定されている。
【0039】
「シクロアルキル」とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含む。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含有する。このシクロアルキルは、1個またはそれ以上の置換基(これは、上で定義した)で置換でき、これは、同一または異なり得る。適当な一環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。適当な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルネニル、アダマンチルなどが挙げられる。「シクロアルキレン」とは、対応する二価環を意味し、ここで、他の基との結合点は、全ての位置異性体を含む。
【0040】
「ジヒドロキシ(C〜C)アルキル」とは、2個の異なる炭素原子上の2個のヒドロキシで置換されたアルキル鎖を意味する。
【0041】
「フルオロアルキル」、「ジフルオロアルキル」および「トリフルオロアルキル」とは、それぞれ、その末端炭素が1個、2個または3個のフルオロ原子で置換されたアルキル鎖を意味する(例えば、−CF、−CHCF、−CHCHFまたは−CHCHF)。「ハロアルキル」とは、1個〜3個のハロ原子で置換されたアルキル鎖を意味する。
【0042】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素ラジカルを意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがさらに好ましい。
【0043】
「ヘテロアリール」とは、5個〜14個の環原子、好ましくは、約5個〜10個の環原子を含有する芳香族単環式または多環式環系を意味し、これは、1個〜13個の炭素原子および1個〜4個のヘテロ原子から構成され、このヘテロ原子は、N、OおよびSからなる群から別個に選択されるが、但し、それらの環は、隣接酸素および/またはイオウ原子を含まない。環窒素のN−オキシドもまた、環窒素が(C〜C)アルキル基で置換されて四級アミンを形成する化合物と同様に、含まれる。単環式ヘテロアリール基の例には、ピリジル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、フラニル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニルおよびトリアゾリルがある。二環式ヘテロアリール基の例には、ナフチジル(例えば、1,5または1,7)、イミダゾピリジル、ピリド[2,3]イミダゾリル、ピリドピリミジルおよび7−アザインドリルがある。ベンゾ縮合ヘテロアリール基には、インドリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ベンゾチエニル(すなわち、チオナフテニル)、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾキサゾリルおよびベンゾフラザニルがある。全ての位置異性体(例えば、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジル)は、考慮される。W−置換ヘテロアリールは、置換した環の炭素原子が上で定義した置換基を有するこのような基、または隣接炭素原子がアルキレン基またはメチレンジオキシ基と共に環を形成するこのような基を意味するか、または、ここで、隣接炭素原子は、アルキレン基またはメチレンジオキシ基と共に環を形成するか、または、ここで、このHet環内の窒素は、R21−アリールで置換でき、または必要に応じて、Wで定義されたアルキル置換基で置換できる。
【0044】
「Het」との用語は、すぐ上で定義したような単環式基(この環は、他の環(これは、同一または異なり得る)で置換されている)、ベンゾ縮合ヘテロアリールだけでなく、三環式基(例えば、ベンゾキノリニル(例えば、1,4または7,8)またはフェナントロリニル(例えば、1,7;1,10;または4,7)により、例示される。Het基は、炭素環メンバーにより、B基に結合される(例えば、Hetは、2−ピリジル,3−ピリジルまたは2−キノリルである)。
【0045】
隣接炭素原子がアルキレン基と環を形成するヘテロアリール基の例には、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキシノピリジンおよび2,3−シクロヘプテノピリジンがある。
【0046】
「ヘテロシクロアルキル」とは、3個〜5個の炭素原子および1個または2個のヘテロ原子を含有する4員〜6員飽和環を意味し、このヘテロ原子は、N、SおよびOからなる群から選択されるが、但し、このヘテロ原子は、隣接していない。ヘテロシクロアルキル環の例には、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルおよびテトラヒドロチオピラニルがある。
【0047】
「ヘテロスピロ環式」との用語は、3個〜5個の炭素原子および1個または2個のヘテロ原子を含有するスピロ環式構造を意味し、このヘテロ原子は、N、SおよびOからなる群から選択されるが、但し、このヘテロ原子は、隣接していない。
【0048】
【化18−2】

で表わされる「任意の単結合」との用語は、式IおよびIIの構造において、Xと、YおよびR15が結合する炭素との間の二重点線により示される結合を意味する。「任意の単結合」とは、単結合が存在し得るか、または結合が存在しないことを意味する。
【0049】
【化18−3】

で表わされる「任意の二重結合」とは、式IおよびIIについて示された構造の真ん中の環において、組み合わせた実線/単一点線により示される結合を意味し、そして少なくとも単結合が存在しなければならないが、二重結合が存在できることを意味する。この二重結合が存在するとき、R10は、存在しない。
【0050】
およびRが、それらが結合する窒素と結合して、環を形成するとき、形成される環は、1−ピロリジニル、1−ピペリジニルおよび1−ピペラジニルであり、ここで、このピペラジニル環はまた、その4−位置の窒素で、R基により置換され得る。
【0051】
上記記載(ここで、例えば、RおよびRは、一群の置換基から別個に選択されると言われている)は、RおよびRが、同じ窒素に結合されるとき、別個に選択されることを意味するが、また、RまたはR変数が分子内で1回より多く出現するとき、これらの出現は、別個に選択されることを意味する。同様に、R13またはR14の各存在は、同じQ環内の任意の他のR13またはR14とは無関係である。当業者は、この置換基の大きさおよび性質が、存在できる置換基の数に影響を与えることを認識する。
【0052】
本発明の化合物は、少なくとも1個の非対称炭素原子を有し、従って、式IまたはIIの化合物の全ての異性体(鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびラセミ化合物を含めて)は、存在する場合、本発明の一部であると見なされる。本発明は、純粋な形状および混合物(ラセミ混合物を含めて)の両方でのd異性体およびl異性体を含む。異性体は、光学的に純粋なまたは光学的に濃縮した出発物質を反応させることにより、または式IまたはIIの化合物の異性体を分離することにより、いずれかによって、通常の技術を使用して調製できる。異性体には、また、例えば、二重結合が存在しているとき、幾何異性体が挙げられ得る。
【0053】
「多形」とは、他の結晶形状とは異なるが同じ化学式を共有する物質の結晶形状を意味する。式IまたはIIの化合物の多形形状は、結晶性であろうと非晶質であろうと、また、本発明の一部と見なされる。
【0054】
本明細書および/または請求の範囲における満たされていない原子価を有する任意の式、化合物、部分または化学図式は、それらの原子価を満たすのに十分な水素原子を有すると想定されることもまた、留意すべきである。
【0055】
「有効量」または「治療有効量」とは、トロンビンレセプタのアンタゴニズムの際に有効な(それにより、所望の治療効果、改善効果、抑制効果または予防効果を生じる)本発明の化合物の量を意味する。
【0056】
当業者は、式IまたはIIの化合物のいくつかについて、1つの異性体が他の異性体よりも高い薬理活性を示すことを理解する。
【0057】
式IおよびIIの典型的な好ましい化合物は、以下の立体配置を有する:
【0058】
【化19】

これらの絶対立体配置を有する化合物は、さらに好ましい。
【0059】
塩基性基を有する本発明の化合物は、有機酸および無機酸と薬学的に受容可能な塩を形成できる。塩形成に適当な酸の例には、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、および当業者に周知の他の鉱酸およびカルボン酸がある。好ましい実施態様には、重硫酸塩が挙げられる。この塩は、その遊離塩基形状を、塩を生成するのに十分な量の所望の酸と接触することにより、調製される。この遊離塩基形状は、この塩を適当な希薄塩基水溶液(例えば、希薄炭酸水素ナトリウム水溶液)で処理することにより、再生され得る。この遊離塩基形状は、ある種の物理的特性(例えば、極性溶媒中での溶解性)の点で、それらの各個の塩とはある程度異なるが、この塩は、その他の点では、本発明の目的上、その各個の遊離塩基形状と同等である。本発明の化合物はまた、薬学的に受容可能な溶媒和物(水和物を含めて)を形成する。
【0060】
本発明のある種の化合物(例えば、カルボキシル基を持つ化合物)は、酸性である。これらの酸性化合物は、無機塩基および有機塩基と薬学的に受容可能な塩を形成できる。このような塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩、金塩および銀塩がある。また、薬学的に受容可能なアミン(例えば、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N−メチルグルカミンなど)で形成される塩も、考慮される。
【0061】
本明細書中では、本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、企図される。「プロドラッグ」との用語は、本明細書中で使用するとき、薬剤前駆体である化合物を意味し、これは、被験体に投与すると、代謝または化学プロセスにより化学変換を受けて、式IまたはIIの化合物またはその塩および/または溶媒和物を生じる(例えば、プロドラッグは、生理学的pHにされて、または酵素作用を介して、所望の薬剤形状に変換される)。プロドラッグの論述は、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987),Volume 14 of the A.C.S.Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche編集、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressで提供されており、両文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0062】
「溶媒和物」とは、1種またはそれ以上の溶媒分子による本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合には、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含めて)が関与している。ある場合には、この溶媒和物は、例えば、1種またはそれ以上の溶媒分子を結晶性固形物の結晶格子に取り込むとき、単離できる。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能溶媒の両方を包含する。適当な溶媒和物の非限定的な例には、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」とは、その溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0063】
「共結晶」とは、薬学的に活性な分子と不活性な分子とを同時に含む結晶構造を意味する。共結晶は、水素結合ドナーとアクセプターとを適合させるように選択された弱塩基と弱酸とを混ぜ合わせることにより、形成され得る。共役対のpKa差は、水中での塩形成とは一致しない場合がある。共結晶を形成するのに使用される共結晶化剤は、通常、二官能性酸(例えば、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸および酒石酸)である。共結晶は、J.F.Remenarら、「Crystal Engineering of Novel Cocrystals of a Triazole Drug with 1,4−Dicarboxylic Acids」、Journal of the American Chemical Society,2003,vol.125,pp.8456−8457で論述されている。
【0064】
カルボン酸基を有する本発明の化合物は、アルコールと薬学的に受容可能なエステルを形成できる。適当なアルコールの例には、メタノールおよびエタノールが挙げられる。
【0065】
式IおよびIIの化合物は、それぞれ、米国特許第6,645,987および出願番号第10/412,982号で記載された方法により調製され、これらのスキームおよび実施例の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0066】
(式Iの化合物)
式Iの化合物について、それらの変数の好ましい定義は、以下のとおりである:
、R、R10およびR11は、それぞれ、好ましくは、水素である。Rは、好ましくは、水素、OH、C〜Cアルコキシ、−NHR18またはC〜Cアルキルである。変数nは、好ましくは、0または1である。Rは、好ましくは、H、OHまたはアルコキシである。Rは、好ましくは、C〜Cアルキル、さらに好ましくは、メチルである。その二重点線は、好ましくは、単結合を表わす;Xは、好ましくは、−O−であり、そしてYは、好ましくは、=Oまたは(H,−OH)である。Bは、好ましくは、トランス−CH=CH−である。Hetは、好ましくは、ピリジル、置換ピリジル、キノリルまたは置換キノリルである。Het上の好ましい置換基(W)は、R21−アリール、R41−ヘテロアリールまたはアルキルである。Hetが、その5−位置でR21−アリール、R41−ヘテロアリールまたはアルキルで置換された2−ピリジル、またはその6−位置でアルキルで置換された2−ピリジルである化合物は、さらに好ましい。R34は、好ましくは、(H,H)または(H,OH)である。
【0067】
22およびR23は、好ましくは、OH、(C〜C10)アルキル、(C〜C10)−アルケニル、(C〜C10)−アルキニル、トリフルオロ(C〜C10)アルキル、トリフルオロ(C〜C10)−アルケニル、トリフルオロ(C〜C10)アルキニル、(C〜C)−シクロアルキル、R25−アリール、R25−アリール(C〜C)アルキル、R25−アリールヒドロキシ(C〜C)アルキル、R25−アリール−アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、(C〜C10)アルコキシ、(C〜C)シクロアルキルオキシ、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、OH−(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C10)アルコキシおよびR27−ヘテロシクロ−アルキル(C〜C)アルキルから選択される。R22およびR23が、別個に、(C〜C10)アルキルおよびOH−(C〜C)アルキルからなる群から選択される化合物は、さらに好ましい。
【0068】
さらに好ましくは、本発明は、以下の構造式で表わされるトロンビンレセプターアンタゴニスト、またはそれらの薬学的に受容可能な異性体、塩、溶媒和物、多形物または共結晶に関する:
【0069】
【化20】

【0070】
【化21】

以下は、式Iの化合物の例である。
【0071】
【化22】

【0072】
【化23−1】

実施例8のさらに他の化合物は、表1で開示されている。
【0073】
【化23−2】

【0074】
【表1−1】

【0075】
【表1−2】

【0076】
【表1−3】

【0077】
【表1−4】

【0078】
【表1−5】

【0079】
【表1−6】

【0080】
【表1−7】

実施例8のさらに他の化合物は、表2で開示されている。
【0081】
【化23−3】

【0082】
【表2−1】

【0083】
【表2−2】

【0084】
【表2−3】

【0085】
【表2−4】

(実施例9A)
【0086】
【化24】

次式の類似の化合物を調製し、ここで、Wは、表3で定義されている:
【0087】
【化25】

【0088】
【表3】

(実施例10A)
【0089】
【化26】

(式IIの化合物)
式IIの化合物について、それらの変数の好ましい定義は、以下のとおりである:
変数nは、好ましくは、0〜2であり、さらに好ましくは、0である。任意の二重結合は、好ましくは、存在しない(すなわち、この結合は、単結合である)。
【0090】
Qは、好ましくは、以下である:
【0091】
【化27】

6員のQ環は、さらに好ましい。R13は、好ましくは、Hまたは−CHである。R14は、好ましくは、Hまたは−CHである。5員のQ環について、好ましくは、2個以下のR13およびR14置換基は、水素以外のものである。6員のQ環について、好ましくは、4個以下のR13およびR14置換基は、水素以外のものであり、さらに好ましくは、2個以下のR13およびR14置換基は、水素以外のものである。
【0092】
特に好ましいQ環には、以下がある:
【0093】
【化28】

好ましくは、それぞれ、
【0094】
【化29】

として、示される。
【0095】
上記好ましいQ環において、Rは、好ましくは、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16または−(CHn6NHSONRであり、ここで、n6は、0〜2であり、そしてR16b、R16およびRは、(C〜C)アルキルであり、そしてRは、Hである。Rが、−NHC(O)OR16b、−NHC(O)R16b、−NHC(O)NR、−NHSO16または−NHSONRであり、ここで、R16b、R16およびRが、(C〜C)アルキルであり、そしてRが、Hである式IIの化合物は、さらに好ましい。Rが、−NHC(O)OR16b、−NHC(O)R16bまたは−NHC(O)NRであり、ここで、R16bおよびRが、(C〜C)アルキルであり、そしてRが、Hである式IIの化合物は、さらにより好ましい。
【0096】
およびRは、好ましくは、別個に、Hおよび(C〜C)アルキルである;さらに好ましくは、Rは、(C〜C)アルキルであり、そしてRは、Hである;Rが、−CHであり、そしてRが、Hである化合物は、特に好ましい。
【0097】
は、好ましくは、H、−OH、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、(C〜C)シクロアルキル、−C(O)OR17または−NR2223である;さらに好ましくは、Rは、Hまたは(C〜C)アルキルである。
【0098】
Hetは、好ましくは、炭素環員によりBに結合されたピリジルであり、そして好ましくは、1個または2個の置換基、さらに好ましくは、1個の置換基で置換されており、この置換基は、Wから選択される。Wは、好ましくは、R21−アリールまたはR21−ヘテロアリールである。アリールは、好ましくは、フェニルである。ヘテロアリールは、好ましくは、ピリジルである。R21は、好ましくは、H、ハロゲンまたは−CN、または−CFであり、特に、F、−CNまたは−CFである。
【0099】
、R10およびR11は、それぞれ別個に、好ましくは、Hまたは(C〜C)アルキル、さらに好ましくは、Hまたは−CHである;R、R10およびR11がそれぞれHである式IIの化合物は、特に好ましい。
【0100】
は、好ましくは、H、−OHまたは(C〜C)アルコキシである;さらに好ましくは、Rは、Hである。
【0101】
Bは、好ましくは、シスまたはトランス−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−であり、ここで、n、n、R12およびR12aは、上で定義したとおりである;さらに好ましくは、R12およびR12aは、それぞれ、Hであり、そしてnおよびnは、それぞれ、0である。Bが、トランス−アルケニル、特に、−CH=CH−である化合物は、特に好ましい。
【0102】
好ましい化合物の一群には、任意の単結合が存在しており、Xが−O−であり、Yが=Oであり、そしてR15が存在していないものがある。他の好ましい群の化合物には、任意の単結合が存在しておらず、Xが−OHであり、Yが(H,OH)であり、そしてR15がHであるものがある。任意の単結合が存在しており、Xが−O−であり、Yが=Oであり、そしてR15が存在していない化合物は、さらに好ましい。
【0103】
Rが、−NHC(O)OR16bであり、ここで、R16bが、(C〜C)アルキルである式IIの化合物は、特に好ましい。R16bは、好ましくは、メチルまたはエチルである。また、以下の式IIABで示すように、R基がQ環のC−7位置に結合されている化合物も、好ましい。
【0104】
本発明の好ましい実施態様は、式IIABの化合物である:
【0105】
【化30】

ここで、R、R、R、R、R10、R11、BおよびHetは、上で好ましいように定義されている。環炭素原子5〜8の少なくとも1個は、好ましくは、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHCOR16b、−(CHn6NHCONR、−(CHn6NHSO16または−(CHn6NHSONRで置換されており、ここで、n6は、0〜2であり、そしてR16b、R16およびRは、(C〜C)アルキルであり、そしてRは、Hである。
【0106】
本発明のさらに好ましい実施態様は、式IIBBの化合物である:
【0107】
【化31】

ここで、Hetは、R21−アリール基、好ましくは、R21−フェニル基で置換されたピリジルであり、ここで、R21は、好ましくは、F、−CNまたは−CFである。
【0108】
環炭素原子5〜8の少なくとも1個が、−NHC(O)OR16bで置換されており、ここで、R16bが、(C〜C)アルキルである式IIABまたはIIBBの化合物は、特に好ましい。R16bは、好ましくは、メチルまたはエチルである。
【0109】
n6が0である式IIの化合物は、当該技術分野で公知の方法により、例えば、米国特許6,063,847号(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記載された方法により、調製できる。
【0110】
n6が1または2である式IIの化合物は、一般に、米国特許出願第10/412,982号で開示されたスキームに従った方法により、調製される。
【0111】
以下は、式IIの化合物の例である。
【0112】
【化32】

以下の構造の化合物を調製した。
【0113】
【化33】

ここで、R21およびRは、表4で定義したとおりである:
【0114】
【表4−1】

【0115】
【表4−2】

化合物1Bのピリジン基をキノリン基で置き換えて、以下の構造の化合物を調製した:
【0116】
【化34】

ここで、RおよびArは、表5で定義したとおりである:
【0117】
【表5−1】

【0118】
【表5−2】

置換フェニル基およびヘテロアリール基から選択されるWのさらに別のバリエーションを使用して、以下の類似物を調製した:
【0119】
【化35】

ここで、RおよびArは、表6で定義したとおりである:
【0120】
【表6−1】

【0121】
【表6−2】

(実施例69B)
【0122】
【化36】

(実施例70B)
【0123】
【化37】

(実施例71B)
【0124】
【化38−1】

(実施例72B)
【0125】
【化38−2】

(実施例73B)
【0126】
【化39−1】

(実施例74B)
【0127】
【化39−2】

表7は、Rの定義を示すことにより、以下の構造の化合物を開示している:
【0128】
【化40】

【0129】
【表7】

(実施例85B〜92B)
【0130】
【化41】

表8は、NRR’の定義を示すことにより、以下の構造の化合物を開示している:
【0131】
【化42】

【0132】
【表8】

(処方および投薬)
本発明により記載される化合物から薬学的組成物を調製するために、不活性の薬学的に受容可能なキャリアは、固体かまたは液体かのいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤、および坐剤が挙げられる。散剤および錠剤は、約5%〜約95%の活性成分から構成され得る。適切な固体キャリア(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトース)は、当該分野で公知である。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適切な固体投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアの例および種々の組成物についての製造方法は、A.Gennaro編,The Science and Practice of Pharmacy,第20版,Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,MD,(2000)に見出され得る。
【0133】
液体形態調製物としては、溶液、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。例として非経口注射のための水またはプロピレングリコール水溶液、または経口溶液、懸濁液および乳濁液のための甘味料および乳白剤(opacifier)の添加が言及され得る。液体形態の調製物はまた、鼻内投与のための液剤を包含し得る。
【0134】
吸入に適切なエアロゾル調製物としては、溶液および粉末形態の固体が挙げられ得、この調製物は、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性な圧縮ガス(例えば、窒素))と組み合わされ得る。
【0135】
また、経口投与または非経口投与のいずれかのために、使用直前に液体形態の調製物に変換されることが意図される、固体形態の調製物も挙げられる。このような液体形態としては、液剤、懸濁液、および乳剤が挙げられる。
【0136】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮性組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル、および/または乳剤の形態をとり得、そしてこの組成物は、この目的のために当該分野で慣用的であるように、マトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0137】
好ましくは、上記化合物は、経口投与される。
【0138】
好ましくは、薬学的調製物は、単位投薬形態にある。このような形態において、この調製物は、適切な量(例えば、所望の目的を達成するための有効量)の活性成分を含有する適切な大きさにされた単位用量に細分化される。
【0139】
上に引用される疾患または状態を処置するための式Iまたは式IIの化合物の毎日の用量は、1日あたり体重1kgあたり約0.001mg〜約100mg、好ましくは1日あたり体重1kgあたり0.001mg〜約10mgである。それゆえに、70kgの平均体重に対して、投薬レベルは、単回投薬かまたは2〜4回に分割された用量で与えられる、1日あたり約0.1mg〜約700mgの薬物である。
【0140】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与の量ならびに頻度は、患者の年齢、状態および大きさならびに処置される症状の重篤度のような因子を考慮する在籍する担当医の判断に従って調節される。
【0141】
本発明のさらなる実施形態は、式Iまたは式IIの化合物を、少なくとも1つのさらなる治療学的に有効な薬剤とともに投与する工程を包含する。企図されたさらなる治療学的に有効な薬剤は、式Iまたは式IIの化合物と原子の構成(atomic make up)または原子配列(atomic arrangement)のいずれかにおいて異なるものである。本発明の新規化合物と組み合わせて使用され得る治療学的に有効な薬剤としては、公知であり、かつ炎症、リウマチ、ぜん息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、神経障害および/または悪性腫瘍、新脈管形成に関連する障害、癌、肝臓、腎臓および肺の障害、黒色腫、腎細胞癌、腎臓病、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管恒常性、糸球体腎炎、慢性気道疾患、膀胱炎、神経変性ならびに/または神経毒性疾患、状態、および損傷、放射線線維症、内皮細胞機能不全、歯周病、および創傷の処置において使用される薬物が挙げられる。式Iまたは式IIの化合物と組み合わせて投与され得る治療学的に有効な薬剤のさらなる例としては、化学療法に対する腫瘍細胞についての耐性因子、ならびに平滑筋細胞、内皮細胞、線維芽細胞、腎細胞、骨肉腫細胞、筋肉細胞、癌細胞、および/またはグリア細胞の増殖インヒビターが挙げられる。治療学的に有効な薬剤は、心臓脈管薬であり得る。
【0142】
本発明の新規化合物と組み合わせて使用され得る心臓脈管薬としては、抗血栓活性、抗血小板凝集活性、抗アテローム硬化活性、抗再狭窄活性および/または抗凝血活性を有する薬物が挙げられる。このような薬物は、血栓症関連の疾患(血栓症、アテローム硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性の脳卒中および血栓塞栓性の脳卒中、末梢血管の疾患、他の心血管疾患、大脳虚血、炎症性障害および癌、ならびに、トロンビンおよび他のレセプターが病理学的役割を果たす他の障害)の処置において有用である。適切な心臓脈管薬は、トロンボキサンA2生合成インヒビター(例えば、アスピリン);トロンボキサンアンタゴニスト(例えば、セラトロダスト(seratrodast)、ピコタミド(picotamide)およびラマトロバン(ramatroban));アデノシン二リン酸(ADP)インヒビター(例えば、クロピドグレル);シクロオキシゲナーゼインヒビター(例えば、アスピリン;メロキシカム、ロフェコキシブ(rofecoxib)およびセレコキシブ(celecoxib));アンギオテンシンアンタゴニスト(例えば、バルサルタン(valsartan)、テルミサルタン(telmisartan)、カンデサルタン(candesartran)、イルベサルタン(irbesartran)、ロサルタンおよびエプロサルタン(eprosartan))、エンドセリンアンタゴニスト(例えば、テゾセンタン(tezosentan));ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、ミルリノンおよびエノキシモン);アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター(例えば、カプトプリル、エナラプリル、エナリプリラート、スピラプリル、キナプリル,ペリンドプリル,ラミプリル,ホシノプリル,トランドラプリル,リジノプリル,モエキシプリルおよびベナザプリル);中性エンドペプチダーゼインヒビター(例えば、カンドキサトリルおよびエカドトリル(ecadotril));抗凝血薬(例えば、キシメラガトラン(ximelagatran),フォンダプリン(fondaparin)およびエノキサパリン);利尿剤(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、エタクリン酸、フロセミドおよびアミロライド);血小板凝集インヒビター(例えば、アブシキシマブおよびエプチフィバチド(eptifibatide));およびGP IIb/IIIaアンタゴニストからなる群から選択される。
【0143】
本発明の新規化合物と組み合わせて使用するための薬物の好ましい型は、トロンボキサンA2生合成インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビターおよびADPアンタゴニストである。アスピリンおよび硫酸水素クロピドグレルが、組成物における使用のために特に好ましい。
【0144】
本発明のさらなる実施形態は、1つより多いさらなる治療学的に有効な薬剤とともに式Iまたは式IIの化合物を投与する工程を包含する。これらの実施形態において、さらなる治療学的に有効な薬剤は、同じ状態の処置において一般に使用されるものでも使用されないものでも良い。例えば、式Iまたは式IIの化合物は、2種類の心血管薬剤とともに投与され得る。あるいは、式Iまたは式IIの化合物は、心臓脈管薬および炎症の処置において有用な治療学的に有効な薬剤とともに投与され得る。
【0145】
本発明が、式Iまたは式IIの化合物と、1つ以上の他の治療学的に有効な薬剤との組み合わせを含有する場合、2種類以上の活性成分は、同時にともに投与され得るかまたは逐次的に投与され得るか、あるいは薬学的に受容可能なキャリア中に式Iまたは式IIの化合物および他の治療学的に有効な薬剤を含有する単一の薬学的組成物が投与され得る。この組み合わせの構成成分は、任意の従来の投薬形態(例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁剤、液剤、坐剤、鼻内スプレーなど)において個々にか、または一緒に投与され得る。他の治療学的に活性な薬剤の投薬量としては、刊行物から決定され得、1回の用量あたり1〜1000mgの範囲であり得る。
【0146】
本明細書において、用語「少なくとも1つの式Iの化合物」とは、1〜3つの異なる式Iの化合物は、薬学的組成物または処置方法において使用され得ることを意味する。好ましくは、式Iの1つの化合物が使用され得る。同様に、用語「1つ以上のさらなる心血管薬剤」とは、1〜3つのさらなる薬物が、式Iの化合物と組み合わせて投与され得;好ましくは、1つのさらなる化合物が、式Iの化合物と組み合わせて投与されることを意味する。さらなる心血管薬剤は、式Iの化合物に続いて、または式Iの化合物と同時に投与され得る。用語「少なくとも1つの式IIの化合物」は、式IIの化合物に関して同じ意味を有する。
【0147】
本発明は、上に示される特定の実施形態と関連して記載されるが、その多くの代替物、改変、およびバリエーションは、当業者に明らかである。このような代替物は、当業者に明らかである。このような全ての代替物、改変体およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的状態を治療する方法であって、該方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に、次式の少なくとも1種の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な異性体、塩、溶媒和物または共結晶形状の有効量を投与する工程を包含する:
【化1】

ここで:
Zは、R10が存在しないとき、
【化2】

であり、またはRが存在しないとき、
【化3】

である;
34に隣接する単一点線
【化4】

は、任意の二重結合を表わす;
Xに隣接する二重点線
【化5】

は、任意の単結合を表わす;
nは、0〜2である;
およびRは、別個に、H、C〜Cアルキル、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ−(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、アミノ−(C〜C)アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群から選択される;またはRおよびRは、一緒になって、=O基を形成する;
は、H、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−NR1819、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、C〜Cアルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリール、チオ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルである;
34は、該R34に隣接する任意の二重結合が存在しないとき、(H,R)、(H,R43)、=Oまたは=NOR17である;R34は、該二重結合が存在するとき、R44である;
Hetは、5個〜14個の原子を有する一環式、二環式または三環式ヘテロ芳香族基であり、該ヘテロ芳香族基は、1個〜13個の炭素原子および1個〜4個のヘテロ原子から構成され、該ヘテロ原子は、別個に、N、OおよびSからなる群から選択され、ここで、環窒素は、C〜Cアルキル基と共に、N−オキシドまたは四級基を形成でき、ここで、Hetは、Hetの炭素原子環員により、Bに結合され、そして、ここで、該Het基は、1個〜4個の部分Wで置換されており、該Wは、別個に、以下からなる群から選択される:H;C〜Cアルキル;フルオロ(C〜C)アルキル;ジフルオロ(C〜C)アルキル;トリフルオロ−(C〜C)−アルキル;C〜Cシクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;置換ヘテロシクロアルキルであって、該置換ヘテロシクロアルキルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、OH−(C〜C)アルキルまたは=Oで置換されている;C〜Cアルケニル;R21−アリール(C〜C)アルキル;R21−アリール−(C〜C)−アルケニル;R21−アリールオキシ;R21−アリール−NH−;ヘテロアリール(C〜C)アルキル;ヘテロアリール(C〜C)−アルケニル;ヘテロアリールオキシ;ヘテロアリール−NH−;ヒドロキシ(C〜C)アルキル;ジヒドロキシ(C〜C)アルキル;アミノ(C〜C)アルキル;(C〜C)アルキルアミノ−(C〜C)アルキル;ジ−((C〜C)アルキル−アミノ(C〜C)アルキル;チオ(C〜C)アルキル;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルケニルオキシ;ハロゲン;−NR;−CN;−OH;−COOR17;−COR16;−OSOCF;−CHOCHCF;(C〜C)アルキルチオ;−C(O)NR;−OCHR−フェニル;フェノキシ−(C〜C)アルキル;−NHCOR16;−NHSO16;ビフェニル;−OC(RCOOR;−OC(RC(O)NR;(C〜C)アルコキシ;−C(=NOR17)R18;置換C〜Cアルコキシであって、該置換C〜Cアルコキシは、(C〜C)アルキル、アミノ、−OH、COOR17、−NHCOOR17、−CONR、アリール、置換アリールで置換されており、該置換アリールは、1個〜3個の部分で置換されており、該部分は、別個に、ハロゲン、−CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよび−COOR17からなる群から選択される、隣接炭素が環を形成するアリールであって、該隣接炭素は、メチレンジオキシ基、−C(O)NRまたはヘテロアリールと環を形成する;R21−アリール;隣接炭素が環を形成するアリールてあって、該隣接炭素は、メチレンジオキシ基と環を形成する;R41−ヘテロアリール;および隣接炭素が環を形成するヘテロアリールてあって、該隣接炭素原子は、C〜Cアルキレン基またはメチレンジオキシ基と環を形成する;
およびRは、別個に、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択されるか、またはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CHNR−(CH−であり、それらが結合する窒素と共に環を形成する;
は、別個に、H、C〜Cアルキル、フェニル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルおよびアミノ(C〜C)アルキルからなる群から選択される;
は、Hまたは(C〜C)アルキルである;
、R10およびR11は、別個に、Rおよび−ORからなる群から選択されるが、但し、該任意の二重結合が存在するとき、R10は、存在しない;
は、H、OH、C〜Cアルコキシ、ハロゲンまたはハロ(C〜C)アルキルである;
Bは、−(CHn3−、−CH−O−、−CHS−、−CH−NR−、−C(O)NR−、−NRC(O)−、
【化6】

シスまたはトランス−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−または−(CHn4C≡C(CHn5−であり、ここで、n3は、0〜5であり、n4およびn5は、別個に、0〜2であり、そしてR12およびR12aは、別個に、H、C〜Cアルキルおよびハロゲンからなる群から選択される;
Xは、Xに隣接する該二重点線が単結合を表わすとき、−O−または−NR−であり、またはXは、該結合が存在しないとき、H、−OHまたは−NHR20である;
Yは、Xに隣接する該二重点線が単結合を表わすとき、=O、=S、(H,H)、(H,OH)または(H,C〜Cアルコキシ)であり、またはYは、該結合が存在しないとき、=O、=NOR17、(H,H)、(H,OH)、(H,SH)、(H,C〜Cアルコキシ)または(H,−NHR45)である;
15は、Xに隣接する該二重点線が単結合を表わすとき、存在しない;R15は、該単結合が存在しないとき、H、C〜Cアルキル、−NR1819または−OR17である;またはYは、
【化7】

であり、そしてR15は、HまたはC〜Cアルキルである;
16は、C〜C低級アルキル、フェニルまたはベンジルである;
17、R18およびR19は、別個に、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルからなる群から選択される;
20は、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、−C(O)Rまたは−SOである;
21は、1個〜3個の部分であり、該部分は、別個に、水素、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ−((C〜C)アルキル)アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ(C〜C)アルキル、ジ−((C〜C)アルキル)−アミノ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、−COOR17、−COR17、−NHCOR16、−NHSO16、−NHSOCHCF、ヘテロアリールまたは−C(=NOR17)R18からなる群から選択される;
22およびR23は、別個に、水素、R24−(C〜C10)アルキル、R24−(C〜C10)アルケニル、R24−(C〜C10)アルキニル、R27−ヘテロ−シクロアルキル、R25−アリール、R25−アリール(C〜C)アルキル、R29−(C〜C)シクロアルキル、R29−(C〜C)シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R30、−C(O)OR30、−C(O)R30、−C(O)NR3031、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30、−OC(O)NR3031、R24−(C〜C10)アルコキシ、R24−(C〜C10)−アルケニルオキシ、R24−(C〜C10)アルキニルオキシ、R27−ヘテロシクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロ−アルケニルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキル−NH−、−CH−O−CH−フェニル、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から選択される;
またはR22およびR10は、それらが結合する炭素と一緒になって、またはR23およびR11は、それらが結合する炭素と一緒になって、別個に、3個〜10個の原子を有するR42−置換炭素環、または4個〜10個の原子を有するR42−置換複素環を形成し、ここで、1個〜3個の環員は、別個に、−O−、−NH−および−SO0〜2−からなる群から選択されるが、但し、R22およびR10が環を形成するとき、該任意の二重結合は、存在しない;
24は、1個、2個または3個の部分であり、該部分は、別個に、水素、ハロゲン、−OH、(C〜C)アルコキシ、R35−アリール、(C〜C10)−アルキル−C(O)−、(C〜C10)−アルケニル−C(O)−、(C〜C10)アルキニル−C(O)−、ヘテロシクロアルキル、R26−(C〜C)シクロアルキル、R26−(C〜C)シクロアルケニル、−OC(O)R30、−C(O)OR30、−C(O)R30、−C(O)NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30、−OC(O)NR3031、−NR3031、R24−(C〜C10)−アルケニルオキシ、R24−(C〜C10)アルキニルオキシ、R27−ヘテロシクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)−シクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロ−アルケニルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から選択される;
25は、1個、2個または3個の部分であり、該部分は、別個に、水素、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、−COOR36、−CN、−C(O)NR3738、−NR39C(O)R40、−OR36、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルおよびR41−ヘテロアリールからなる群から選択される;または隣接環炭素原子上の2個のR25基は、縮合メチレンジオキシ基を形成する;
26は、1個、2個または3個の部分であり、該部分は、別個に、水素、ハロゲンおよび(C〜C)アルコキシからなる群から選択される;
27は、1個、2個または3個の部分であり、該部分は、別個に、水素、R28−(C〜C10)アルキル、R28−(C〜C10)アルケニル、R28−(C〜C10)アルキニルからなる群から選択される;
28は、水素、−OHまたは(C〜C)アルコキシである;
29は、1個、2個または3個の部分であり、該部分は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、−OH、(C〜C)アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される;
30、R31およびR32は、別個に、水素、(C〜C10)−アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C10)−アルキル、R25−アリール(C〜C)−アルキル、R33−(C〜C)シクロアルキル、R34−(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、R25−アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル(C〜C)アルキルおよびヘテロアリール(C〜C)アルキルからなる群から選択される;
33は、水素、(C〜C)アルキル、OH−(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシである;
35は、1個〜4個の部分であり、該部分は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、−OH、ハロゲン、−CN、(C〜C)アルコキシ、トリハロ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−OCF、OH−(C〜C)アルキル、−CHO、−C(O)(C〜C)−アルキルアミノ、−C(O)ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−NH、−NHC(O)(C〜C)アルキルおよび−N((C〜C)アルキル)C(O)(C〜C)アルキルからなる群から選択される;
36は、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、ジハロ(C〜C)アルキルまたはトリフルオロ(C〜C)アルキルである;
37およびR38は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキル、フェニルおよび(C〜C15)シクロアルキルからなる群から選択されるか、またはR37およびR38は、一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CH−NR39−(CH−であり、それらが結合する窒素と一緒になって、環を形成する;
39およびR40は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキル、フェニルおよび(C〜C15)−シクロアルキルからなる群から選択されるか、または−NR39C(O)R40基中のR39およびR40は、それらが結合する炭素原子および窒素原子と一緒になって、5個〜8個の環員を有する環状ラクタムを形成する;
41は、1個〜4個の部分であり、該部分は、別個に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ、ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−OCF、OH−(C〜C)アルキル、−CHOおよびフェニルからなる群から選択される;
42は、1個〜3個の部分であり、該部分は、別個に、水素、−OH、(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシからなる群から選択される;
43は、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30または−NHCOOR17である;
44は、H、C〜Cアルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、C〜Cアルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリール、チオ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルである;そして
45は、H、C〜Cアルキル、−COOR16または−SOであり、ここで、
該治療的状態は、心血管または循環器疾患または病気、炎症疾患または病気、呼吸器疾患または病気、癌、急性腎不全、糸球体腎炎、アストログリオシス、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、アルツハイマー病、糖尿病、糖尿病性神経障害、関節リウマチ、神経変性疾患、神経毒性疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗鬆症、緑内障、黄斑変性症、乾癬、放射線線維症、内皮障害、創傷または脊髄傷害、またはそれらの症状または結果である、
方法。
【請求項2】
前記心血管または循環器疾患または病気が、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧症、急性冠状動脈症候群、狭心症、不整脈、心臓病;心不全、心筋梗塞、血栓性または血栓塞栓性卒中、末梢血管病、深在静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した循環器病、播種性血管内凝固症候群、腎虚血、脳卒中、脳虚血、脳梗塞、片頭痛、腎血管恒常性または勃起不全である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炎症疾患または病気が、過敏性腸症候群、クローン病、腎炎または消化管、肺、膀胱、消化管または他の器官の放射線療法または化学療法誘発増殖性または炎症性障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記呼吸器疾患または病気が、可逆性気道閉塞、喘息、慢性喘息、気管支炎または慢性気道疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記癌が、腎細胞癌または血管形成関連障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンティングトン病またはウィルソン病である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、炎症、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、神経障害および/または悪性腫瘍、血管形成関連障害、癌、肝臓、腎臓または肺の障害、黒色腫、腎細胞癌、腎臓病、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管恒常性、糸球体腎炎、慢性気道疾患、腎炎、神経変性および/または神経毒性疾患、病気または傷害、放射線線維症、内皮障害、歯周病または創傷を治療する際に有用な少なくとも1種の治療有効薬剤を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、少なくとも2種の治療有効薬剤を投与する工程を包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
治療的状態を治療する方法であって、該方法は、このような治療を必要とする哺乳動物に、次式の少なくとも1種の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な異性体、塩、溶媒和物または共結晶形状の有効量を投与する工程を包含する:
【化8−1】

ここで:
Xに隣接する二重点線
【化8−2】

は、ともに任意の単結合を表わす;
10に隣接する単一点線
【化8−3】

は、任意の二重結合を表わす;
nは、0〜2である;
Qは、
【化9】

である;
およびRは、別個に、H、(C〜C)アルキル、フルオロ(C〜C)アルキル−、ジフルオロ(C〜C)アルキル−、トリフルオロ−(C〜C)アルキル−、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル−およびアミノ(C〜C)アルキル−からなる群から選択される;
は、H、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、−(C〜C)アルキル−C(O)NR1819、(C〜C)アルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル−、ジフルオロ(C〜C)アルキル−、トリフルオロ(C〜C)アルキル−、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)−シクロアルキル−(C〜C)アルキル−、(C〜C)アルケニル、アリール(C〜C)アルキル−、アリール(C〜C)アルケニル−、ヘテロアリール(C〜C)アルキル−、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル−、ヒドロキシ(C〜C)−アルキル−、−NR2223、NR2223−(C〜C)アルキル−、アリール、チオ(C〜C)アルキル−、(C〜C)アルキル−チオ(C〜C)アルキル−、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル−、NR1819−C(O)−(C〜C)アルキル−または(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル−である;
Hetは、5個〜10個の原子を有する一環式または二環式ヘテロアリール基であり、該ヘテロアリール基は、1個〜9個の炭素原子および1個〜4個のヘテロ原子から構成され、該ヘテロ原子は、別個に、N、OおよびSからなる群から選択され、ここで、環窒素は、(C〜C)アルキル基と共に、N−オキシドまたは四級基を形成でき、ここで、Hetは、該Hetの炭素原子環員により、Bに結合され、そして、ここで、該Het基は、Wで置換されている;
Wは、1個〜4個の部分であり、該部分は、別個に、以下からなる群から選択される:H、(C〜C)アルキル、フルオロ(C〜C)アルキル−、ジフルオロ(C〜C)アルキル−、トリフルオロ(C〜C)アルキル−、(C〜C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル−、ジヒドロキシ(C〜C)アルキル−、NR2526(C〜C)アルキル−、チオ(C〜C)アルキル−、−OH、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、−NR、−C(O)OR17、−COR16、(C〜C)アルキルチオ−、R21−アリール、R21−アリール(C〜C)アルキル−、該アリール中の隣接環炭素が2個のO原子と共にメチレンジオキシ基を形成するアリール、およびR21−ヘテロアリール;
およびRは、別個に、H、(C〜C)アルキル、フェニル、ベンジルおよび(C〜C)シクロアルキルからなる群から選択されるか、またはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CHNR−(CH−であり、それらが結合する窒素と共に環を形成する;
は、H、(C〜C)アルキルまたはフェニルである;
は、H、(C〜C)アルキル、−C(O)−R16、−C(O)OR17または−S(O)17である;
、R10およびR11は、別個に、Rおよび−ORからなる群から選択されるが、但し、式IIで示された任意の二重結合が存在するとき、R10は、存在しない;
は、H、OHまたは(C〜C)アルコキシである;
Bは、−(CHn3−、シスまたはトランス−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−または−(CHn4C≡C(CHn5−であり、ここで、n3は、0〜5であり、n4およびn5は、別個に、0〜2であり、そしてR12およびR12aは、別個に、H、(C〜C)アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される;
Xは、式IIにおいてXに隣接して示された該点線が単結合を表わすとき、−O−または−NR−であり、またはXは、該結合が存在しないとき、−OHまたは−NHR20である;
Yは、式IIにおいてXに隣接して示された該点線が単結合を表わすとき、=O、=S、(H,H)、(H,OH)または(H,(C〜C)アルコキシ)であり、または該結合が存在しないとき、Yは、=O、(H,H)、(H,OH)、(H,SH)または(H,(C〜C)アルコキシ)である;
各R13は、別個に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829、ハロアルキルおよびハロゲンから選択され、ここで、nは、0〜4である;
各R14は、別個に、H、(C〜C)アルキル、−OH、(C〜C)アルコキシ、R27−アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829、ハロゲンおよびハロアルキルから選択され、ここで、nは、0〜4である;または
13およびR14は、一緒になって、3個〜6個の原子を有するスピロ環状またはヘテロスピロ環状環を形成する;
ここで、R13またはR14の少なくとも1個は、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829からなる群から選択され、ここで、n6は、0〜4である;
15は、式IIにおいてXに隣接して示された該二重点線が単結合を表わすとき、Hであり、そして該結合が存在しないとき、H、(C〜C)アルキル、−NR1819または−OR17である;
16は、別個に、(C〜C)アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選択される;
16bは、H、アルコキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル−、R22−O−C(O)−(C〜C)アルキル−、(C〜C)シクロアルキル、R21−アリール、R21−アリール(C〜C)アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロ置換アルケニル、アルキニル、ハロ置換アルキニル、R21−ヘテロアリール、R21−(C〜C)アルキルヘテロアリール、R21−(C〜C)アルキルヘテロシクロアルキル、R2829N−(C〜C)アルキル、R2829N−(CO)−(C〜C)アルキル、R2829N−(CO)O−(C〜C)アルキル、R28O(CO)N(R29)−(C〜C)アルキル、R28S(O)N(R29)−(C〜C)アルキル、R2829N−(CO)−N(R29)−(C〜C)アルキル、R2829N−S(O)N(R29)−(C〜C)アルキル、R28−(CO)N(R29)−(C〜C)アルキル、R2829N−S(O)−(C〜C)アルキル、HOS(O)−(C〜C)アルキル、(OH)P(O)−(C〜C)アルキル、R28−S−(C〜C)アルキル、R28−S(O)−(C〜C)アルキルまたはヒドロキシ(C〜C)アルキルである;
17、R18およびR19は、別個に、H、(C〜C)アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選択される;
20は、H、(C〜C)アルキル、フェニル、ベンジル、−C(O)Rまたは−S(O)である;
21は、1個〜3個の部分であり、該部分は、別個に、H、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、(C〜C)アルキル、−OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)−アルキルアミノ−、ジ−((C〜C)アルキル)アミノ−、NR2526−(C〜C)アルキル−、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル−、−C(O)OR17、−C(O)R17、−NHC(O)R16、−NHS(O)16、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R13、−S(O)13および−SR13からなる群から選択される;
22は、Hまたは(C〜C)アルキルである;
23は、H、(C〜C)アルキル、−C(O)R24、−S(O)24、−C(O)NHR24または−S(O)NHR24である;
24は、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルまたはNR2526−((C〜C)アルキル)−である;
25およびR26は、別個に、Hおよび(C〜C)アルキルからなる群から選択される;
27は、1個、2個または3個の部分であり、該部分は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロゲンおよび−OHからなる群から選択される;そして
28およびR29は、別個に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、R27−アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルおよびハロアルキルからなる群から選択される;または
28およびR29は、一緒になって、3個〜6個の原子を有するスピロ環状またはヘテロスピロ環状環を形成し、ここで、
該治療的状態は、心血管または循環器疾患または病気、炎症疾患または病気、呼吸器疾患または病気、癌、急性腎不全、糸球体腎炎、アストログリオシス、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、アルツハイマー病、糖尿病、糖尿病性神経障害、関節リウマチ、神経変性疾患、神経毒性疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗鬆症、緑内障、黄斑変性症、乾癬、放射線線維症、内皮障害、創傷または脊髄傷害、またはそれらの症状または結果である、
方法。
【請求項10】
前記心血管または循環器疾患または病気が、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧症、急性冠状動脈症候群、狭心症、不整脈、心臓病、心不全、心筋梗塞、血栓性または血栓塞栓性卒中、末梢血管病、深在静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した循環器病、播種性血管内凝固症候群、腎虚血、脳卒中、脳虚血、脳梗塞、片頭痛、腎血管恒常性または勃起不全である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記炎症疾患または病気が、過敏性腸症候群、クローン病、腎炎または消化管、肺、膀胱、消化管または他の器官の放射線療法または化学療法誘発増殖性または炎症性障害である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記呼吸器疾患または病気が、可逆性気道閉塞、喘息、慢性喘息、気管支炎または慢性気道疾患である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記癌が、腎細胞癌または血管形成関連障害である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンティングトン病またはウィルソン病である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
さらに、炎症、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、神経障害および/または悪性腫瘍、血管形成関連障害、癌、肝臓、腎臓または肺の障害、黒色腫、腎細胞癌、腎臓病、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管恒常性、糸球体腎炎、慢性気道疾患、腎炎、神経変性および/または神経毒性疾患、病気または傷害、放射線線維症、内皮障害、歯周病または創傷を治療する際に有用な少なくとも1種の治療有効薬剤を投与する工程を包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
さらに、少なくとも2種の治療有効薬剤を投与する工程を包含する、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2007−510750(P2007−510750A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539810(P2006−539810)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/037519
【国際公開番号】WO2005/046688
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】