ナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールド
【課題】樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用モールドの製造方法等を提供する。
【解決手段】ナノインプリント用モールドの製造方法は、パターン5Pが形成された第1面5S1と、第1面5S1とは反対側の第2面5S2とを有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部5を準備する工程と、モールド本体部5を固定するための表面3Sを有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド基体部3を準備する工程と、モールド本体部5の第2面5S2をモールド基体部3の表面3Sの一部に固定する工程とを備える。モールド本体部5において、第1面5S1から第2面5S2に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、第1面5S1から第2面5S2に向かうに従って減少する。
【解決手段】ナノインプリント用モールドの製造方法は、パターン5Pが形成された第1面5S1と、第1面5S1とは反対側の第2面5S2とを有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部5を準備する工程と、モールド本体部5を固定するための表面3Sを有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド基体部3を準備する工程と、モールド本体部5の第2面5S2をモールド基体部3の表面3Sの一部に固定する工程とを備える。モールド本体部5において、第1面5S1から第2面5S2に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、第1面5S1から第2面5S2に向かうに従って減少する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールドに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ナノインプリント法による微細パターンの製造方法が記載されている。この方法によれば、ナノインプリントに用いるモールドを、紫外線が透過する材料で構成することにより、ウェハとモールドとのアライメントを行うことが可能であることが記載されている。
【0003】
下記非特許文献1には、ステップアンドリピート方式と呼ばれるナノインプリント法の転写方式による微細パターンの製造方法が記載されている。この微細パターンの製造方法においては、平板状のモールド基体部と、このモールド基体部に設けられ、上面に転写用パターンが形成された盛り上げ部とを有するモールドが用いられる。この方式によってパターン転写を行う際は、まず、加工対象の基板上に液状の紫外線硬化樹脂等からなる樹脂部を形成する。その後、樹脂部の部分領域とモールドのマスターパターンを対向させ、当該部分領域にマスターパターンを押し付け、当該部分領域に光を照射して当該部分領域を硬化させ、モールドを光樹脂層から離間させる、という一連の工程を樹脂部の各部分領域に対して順に繰り返す。これにより、樹脂部にモールドのマスターパターンが転写され、樹脂パターンが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−323461号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M.Miller, et. al., “Fabrication of Nanometer Sized Features onNon-Flat Substrate Using a Nano-Imprint Lithography Process”, Proc. SPIE 5751,994, pp.995-998, (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
分布帰還型半導体レーザが有する回折格子等の微細パターンを製造する方法として、ナノインプリント法を採用することが検討されている。このような微細パターンをナノインプリント法で製造すれば、分布帰還型半導体レーザ等のデバイスの製造コストを低減させることができる等の利点がある。
【0007】
ナノインプリント法で微細パターンを製造する場合には、まず、半導体基板等の基板上に、微細パターンを形成する半導体層等の加工対象層と、紫外線硬化樹脂等からなる樹脂部とをこの順に形成する。そして、微細パターンのための凹凸パターン(転写用パターン)が形成されたパターン面を有するモールドをこの樹脂部に押し付け、その状態で樹脂部に紫外線を照射して樹脂部を硬化させた後にモールドと樹脂部とを離間させる。このようにして、モールドの凹凸パターンを樹脂部に転写する。そして、このようなモールドの凹凸パターンの樹脂部への転写は、通常、ナノインプリントを行う位置を変えながら複数回行われる(ステップアンドリピート方式)。つまり、加工対象層を複数の部分領域に分割し、それぞれの部分領域上の樹脂部の部分領域のそれぞれに対して順にモールドによる凹凸パターンの転写が行われる。このようにして、樹脂パターンが製造される。
【0008】
その後、この樹脂パターンを有する樹脂部をマスクとして加工対象層をエッチングすると、加工対象層上に残存する樹脂部(樹脂部の残膜)の厚さが薄い領域程、加工対象層の表面が早く露出して深くエッチングされるため、モールドの凹凸パターンを加工対象層に転写することができる。このようにして、微細パターンが製造される。
【0009】
このようなステップアンドリピート方式のナノインプリント法による微細加工を行う際に用いられるモールドは、樹脂部の上記部分領域のみにモールドを押し付けることを可能とするために、一般的に、平板状の基体部と、その基体部の表面に設けられ、パターン面となる上面に転写用パターンが形成された盛り上げ部とを有する。このような構成のモールドによれば、モールド基体部とパターン面とが本体部の高さに相当する距離だけ離間しているため、樹脂部の上記部分領域にモールドのパターン面を押し付ける際、モールド基体部が樹脂部に接触することが抑制される。
【0010】
そして、このような形状のモールドは、一般的に、石英等からなる平板状部材を用意し、その表面のうち、盛り上げ部に対応する領域以外の領域をドライエッチング法等でエッチングすることによって製造される。そのため、盛り上げ部の形状は、一般的に、メサ状(四角錘台形状)となる。言い換えると、盛り上げ部は、モールド基体部に固定された底面と、底面よりも面積が小さく、転写用パターンが形成された上面(パターン面)と、を有し、パターン面と盛り上げ部の側面とが成す内角は、90度より大きい。
【0011】
また、このようなモールドは、一般的に、樹脂部を硬化させる際に用いられる紫外線を透過可能な材料で構成される。これにより、モールドのパターン面を樹脂部に押し付けた状態で、モールドの上方から樹脂部に向けて紫外線を照射することにより、当該紫外線をモールドを透過させて樹脂部に到達させることができる。これにより、樹脂部を硬化させる工程が簡略化される。
【0012】
しかしながら、本発明者らは、上述のような従来のモールドを用いてステップアンドリピート方式で樹脂パターンを形成し、その樹脂パターンを利用して微細パターンを製造することには、以下のような問題点があることを見出した。
【0013】
即ち、モールドのパターン面を樹脂部に押し付けると、樹脂部を構成する樹脂の一部がモールドと樹脂部との接触領域の外側へ押し出され、はみ出し樹脂部となる場合がある。さらに、このはみ出し樹脂部は、モールド本体部の側面を伝って、モールド基体部に達する場合がある。このようにモールド基体部にはみ出し樹脂部が達している状態で樹脂部に紫外線を照射すると、はみ出し樹脂部とモールド基体部の紫外線に対する屈折率の差が小さいため、モールド上方から樹脂部に向かって照射された紫外線は、はみ出し樹脂部と接するモールド基体部の表面では反射し難い。そのため、はみ出し樹脂部にも紫外線が照射されてしまい、はみ出し樹脂部は硬化してバリとなる場合があることを、本発明者らは見出した。
【0014】
このようなバリは、完成品(例えば、分布帰還型半導体レーザ)の歩留まり悪化の原因となるため、ドライエッチング法等のエッチング法で除去することが好ましい。しかしながら、このバリを除去する工程が必要になる分だけ生産性は低下する上に、このバリを除去する際に、バリ周辺の領域(例えば、分布帰還型半導体レーザの回折格子層)にダメージを与えてしまうことがある。そのため、はみ出し樹脂部に由来するバリが発生すると、完成品の生産性や歩留まりが低下するという問題点がある。特にバリの高さが高いと、その除去に時間がかかるため、上述のようのバリに起因する悪影響は顕著となる。
【0015】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するため、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法は、ナノインプリント用のパターンが形成された第1面と、当該第1面とは反対側の第2面と、を有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部を準備するモールド本体部準備工程と、モールド本体部を固定するための表面を有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド基体部を準備するモールド基体部準備工程と、モールド本体部の第2面がモールド基体部の表面の縁の少なくとも一部から離間するように、モールド本体部の第2面をモールド基体部の表面の一部に固定する固定工程とを備え、モールド本体部において、第1面から第2面に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、第1面から第2面に向かうに従って減少することを特徴とする。
【0017】
本発明のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、モールド本体部準備工程で準備されるモールド本体部の第1面から第2面に向かう方向と垂直方向の幅は、一定、又は、第1面から第2面に向かうに従って減少しており、固定工程においては、モールド本体部の第2面をモールド基体部の表面に固定しているため、モールド本体部の側面と第1面とが成す内角は、90度以下となる。
【0018】
そのため、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法によって得られるモールドによれば、従来のナノインプリント用モールドのようにパターン面と盛り上げ部の側面とが成す内角が90度より大きくなっている場合と比較して、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、樹脂部の一部が第1面と樹脂部との接触領域の外側に押し出され、はみ出し樹脂部となっても、そのはみ出し樹脂部がモールド本体部の側面を伝ってモールド基体部の表面に達することを抑制することができる。これにより、モールド基体部の表面のうちモールド本体部が固定されていない面が、ナノインプリント用モールドの使用雰囲気と接する状態が維持される。
【0019】
そのため、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付けた状態でナノインプリント用モールドの上方から樹脂部に向かって紫外線を照射すると、ナノインプリント用モールドの使用雰囲気とモールド基体部の紫外線に対する屈折率の差が大きいため、当該紫外線はモールド基体部の表面のうちモールド本体部が固定されていない面で反射され易い。これにより、はみ出し樹脂部に紫外線が照射されることを抑制し、はみ出し樹脂部が硬化することを抑制することができるため、はみ出し樹脂部に由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる。その結果、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法によれば、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用モールドを製造することができる。
【0020】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法において、モールド本体部の側面と第1面とが成す内角は、40度以上、90度以下であることが好ましい。当該内角が90度以下であると、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、はみ出し樹脂部がモールド本体部の側面を伝ってモールド基体部の表面に達することを十分に抑制することができる。その結果、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。また、当該内角が40度以上であると、モールド本体部の当該内角を規定する角部の強度を十分に高くすることができる。
【0021】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法において、モールド基体部は、第1基体部と、第1基体部の表面の縁の少なくとも一部に沿って延びるように第1基体部の表面の一部に設けられた第2基体部と、を有し、固定工程では、第2基体部がモールド本体部と離間するように、モールド本体部の第2面を、第1基体部の表面に固定し、固定工程後において、第2基体部の第1基体部の表面からの高さは、第1基体部の表面からモールド本体部の第1面までの距離よりも低いことが好ましい。
【0022】
第2基体部の第1基体部の表面からの高さは、第1基体部の表面からモールド本体部の第1面までの距離よりも低いため、当該第2基体部によって、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付けることが妨害されることはない。そして、当該第2基体部は、モールド本体部が他の部材等に接触して損傷することを抑制する保護部材として機能する。
【0023】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法は、モールド本体部の第1面に対して濡れ性を増加させる表面処理を行う表面処理工程をさらに備えることが好ましい。これにより、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、はみ出し樹脂部はモールド本体部の側面上をモールド基体部の表面に向かって移動し難くなるため、はみ出し樹脂部がモールド基体部の表面に達することをより抑制することができる。その結果、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。
【0024】
また、上述の課題を解決するため、本発明に係る樹脂パターンの製造方法は、基板上に樹脂部を形成する樹脂部形成工程と、上述のいずれかの方法で製造されたナノインプリント用モールドの第1面を樹脂部に押し付ける押し付け工程と、当該ナノインプリント用モールドの第1面を樹脂部に押し付けた状態で、当該ナノインプリント用モールドを透過してから樹脂部に到達するように紫外線を照射することによって、樹脂部を硬化させる硬化工程と、硬化工程後に、当該ナノインプリント用モールドと樹脂部とを離間させる離間工程と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る樹脂パターンの製造方法によれば、上述のようなナノインプリント用モールドの製造方法によって製造されたナノインプリント用モールドを使用しているため、はみ出し樹脂部に由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる。その結果、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能となる。
【0026】
また、上述の課題を解決するため、本発明に係るナノインプリント用モールドは、紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部と、ナノインプリント用のパターンが形成された第1面と、当該第1面とは反対側の第2面と、を有し、透過可能な材料からなるモールド本体部と、を備え、モールド本体部の第2面は、モールド基体部の表面の縁の少なくとも一部から離間するように、モールド基体部の表面に設けられており、モールド本体部において、第1面から第2面に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、第1面から第2面に向かうに従って減少することを特徴とする。
【0027】
本発明のナノインプリント用モールドによれば、モールド本体部の第1面から第2面に向かう方向と垂直方向の幅は、一定、又は、第1面から第2面に向かうに従って減少しており、モールド本体部の第2面はモールド基体部の表面に設けられているため、モールド本体部の側面と第1面とが成す内角は、90度以下となる。
【0028】
そのため、本発明に係るナノインプリント用モールドによれば、従来のナノインプリント用モールドのようにパターン面と盛り上げ部の側面とが成す内角が90度より大きくなっている場合と比較して、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、樹脂部の一部が第1面と樹脂部との接触領域の外側に押し出され、はみ出し樹脂部となっても、そのはみ出し樹脂部がモールド本体部の側面を伝ってモールド基体部の表面に達することを抑制することができる。これにより、モールド基体部の表面のうちモールド本体部が固定されていない面が、ナノインプリント用モールドの使用雰囲気と接する状態が維持される。
【0029】
そのため、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付けた状態でナノインプリント用モールドの上方から樹脂部に向かって紫外線を照射すると、ナノインプリント用モールドの使用雰囲気とモールド基体部の紫外線に対する屈折率の差が大きいため、当該紫外線はモールド基体部の表面のうちモールド本体部が固定されていない面で反射され易い。これにより、はみ出し樹脂部に紫外線が照射されることを抑制し、はみ出し樹脂部が硬化することを抑制することができるため、はみ出し樹脂部に由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる。その結果、本発明に係るナノインプリント用モールドによれば、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明のナノインプリント用モールドにおいて、モールド本体部の側面と第1面とが成す内角は、40度以上、90度以下であることが好ましい。当該内角が90度以下であると、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、はみ出し樹脂部がモールド本体部の側面を伝ってモールド基体部の表面に達することを十分に抑制することができる。その結果、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。また、当該内角が40度以上であると、モールド本体部の当該内角を規定する角部の強度を十分に高くすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態のモールド基体部準備工程を説明するためのモールド基体部を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態のモールド本体部準備工程を説明するためのモールド本体部の斜視図である。
【図3】図3(A)は、図2のIIIA−IIIA線に沿ったモールド本体部の断面図であり、図3(B)は、図2のIIIB−IIIB線に沿ったモールド本体部の断面図である。
【図4】第1実施形態の表面処理工程を説明するためのモールド本体部の断面図である。
【図5】第1実施形態の固定工程を説明するためのモールドの斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿ったモールドの断面図である。
【図7】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図8】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための平面図である。
【図9】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図10】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図11】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図13】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図14】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図15】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図16】微細パターンが形成された半導体層の断面図である。
【図17】第2実施形態のモールド基体部準備工程を説明するためのモールド基体部を示す斜視図である。
【図18】図17のXVIII―XVIII線に沿ったモールド基体部の断面図である。
【図19】第2実施形態における固定工程を説明するためのモールドの斜視図である。
【図20】図19のX−X線に沿ったモールドの断面図である。
【図21】比較例に係る樹脂パターンが製造された後の樹脂部等の断面を示す図である。
【図22】実施例に係る樹脂パターンが製造された後の樹脂部等の断面を示す図である。
【図23】比較例のはみ出し樹脂部の高さ測定の結果を示す図である。
【図24】実施例のはみ出し樹脂部の高さ測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施の形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールドについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0034】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法及びナノインプリント用モールドについて説明する。
【0035】
本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法は、モールド基体部準備工程と、モールド本体部準備工程と、表面処理工程と、固定工程と、を備える。
【0036】
(モールド基体部準備工程)
図1は、モールド基体部準備工程を説明するためのモールド基体部を示す斜視図である。なお、図1及び図2以降の各図においては、直交座標系2を示している。
【0037】
本工程においては、図1に示すようなモールド基体部3を準備する。モールド基体部3は、後述のモールド本体部5を固定するための表面3Sを有する。本実施形態においては、表面3Sは平坦な面である。より具体的には、モールド基体部3は、Z軸方向を厚さ方向とし、XY平面に沿って延びる表面3Sを有する矩形の平板状の部材である。表面3Sは、X軸に沿って延びる外縁と、Y軸に沿って延びる外縁を有する。
【0038】
モールド基体部3は、後述の硬化工程において樹脂部を硬化させるために当該樹脂部に照射する紫外線が透過可能な材料からなる。例えば、モールド基体部3は、波長365nmの紫外線に対する透過率が90%以上の材料からなることができる。モールド基体部3を構成する材料としては、例えば、石英、合成石英等を挙げることができる。
【0039】
このようなモールド基体部3は、例えば、モールド基体部3を構成する材料からなる板状の基板を、切断手段で所定の形状に切断することによって、得ることができる。
【0040】
モールド基体部3のZ軸方向の厚さT3は、特に制限されないが、例えば、0.6mm以上、10mm以下とすることができる。モールド基体部3のX軸方向の幅W3は、特に制限されないが、例えば、60mm以上、150mm以下とすることができる。モールド基体部3のY軸方向の長さL3は、特に制限されないが、例えば、60mm以上、150mm以下とすることができる。
【0041】
(モールド本体部準備工程)
図2は、モールド本体部準備工程を説明するためのモールド本体部の斜視図であり、図3は、図3(A)は、図2のIIIA−IIIA線に沿ったモールド本体部の断面図であり、図3(B)は、図2のIIIB−IIIB線に沿ったモールド本体部の断面図である。
【0042】
本工程においては、図2及び図3に示すようなモールド本体部5を準備する。
【0043】
図2及び図3に示すように、モールド本体部5は、本実施形態においては、Z軸方向を厚さ方向とし、XY平面に沿って延びる第1面5S1と、XY平面に沿って延びる第2面5S2とを有する矩形の平板状の部材である。第2面5S2は、第1面5S1とは反対側の面である。第1面5S1及び第2面5S2は、それぞれ、X軸に沿って延びる外縁と、Y軸に沿って延びる外縁を有する。
【0044】
第1面5S1には、ナノインプリント用のパターン5Pが形成されている。本実施形態においては、パターン5Pは、分布帰還型半導体レーザ等が有する回折格子を形成するためのパターンである。具体的には、本実施形態のパターン5Pは、X軸に沿って延び、それぞれY軸方向の幅及びZ軸方向の高さが同一の複数のライン部と、X軸に沿って延び、それぞれY軸方向の幅及びZ軸方向の高さが同一の複数のスペース部を有している。パターン5Pは、各ライン部と各スペース部とが交互にY軸方向に配置されたラインアンドスペースパターンである。
【0045】
各ライン部と各スペース部のZ軸方向の高さは、例えば、50nm以上、300nm以下とすることができる。各ライン部と各スペース部のY軸方向の幅は、例えば、50nm以上、300nm以下とすることができる。Y軸方向のパターン5Pの周期、即ち、一つのライン部のY軸方向の幅と一つのスペース部のY軸方向の幅の合計値は、例えば、200nm以上、250nm以下とすることができる。
【0046】
モールド本体部5は、後述の硬化工程において樹脂部を硬化させるために当該樹脂部に照射する紫外線が透過可能な材料からなる。例えば、モールド本体部5は、波長365nmの紫外線に対する透過率が90%以上の材料からなることができる。モールド本体部5を構成する材料としては、例えば、石英、合成石英等を挙げることができる。モールド本体部5は、モールド基体部3を構成する材料と同様の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0047】
また、図3(A)及び図3(B)に示すように、モールド本体部5において、第1面5S1から第2面5S2に向かう方向(Z軸の正側から負側に向かう方向)と垂直方向の幅(X軸方向の幅及びY軸方向の幅)が、第1面5S1から第2面5S2に向かうに従って減少している。そのため、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、90度未満となる。モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とで、角部5Cが規定される。
【0048】
なお、モールド本体部5において、第1面5S1から第2面5S2に向かう方向(Z軸の正側から負側に向かう方向)と垂直方向の幅(X軸方向の幅及びY軸方向の幅)は、一定であってもよい。この場合、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、90度となる。
【0049】
モールド本体部5の第1面5S1のX軸方向の長さ及びY軸方向の長さは、特に制限されないが、例えば、それぞれ5mm以上、25mm以下、及び、5mm以上、25mm以下とすることができる。また、モールド本体部5の第2面5S2のX軸方向の長さ及びY軸方向の長さは、特に制限されないが、例えば、それぞれ5mm以上、25mm以下、及び、5mm以上、25mm以下とすることができる。モールド本体部5のZ軸方向の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.5mm以上、1mm以下とすることができる。また、モールド本体部5の第1面5S1及び第2面5S2の面積は、モールド基体部3の表面3Sの面積よりも小さい。
【0050】
このようなモールド本体部5は、例えば、モールド本体部5を構成する材料からなる板状の基板を用意し、その基板の表面にパターン5Pとなる凹凸パターンを形成し、切断手段で所定の形状に切断することによって、得ることができる。モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θを90度未満とする場合には、切断手段として、当該内角5θに対応したV字形状の切断刃を有する切断機で上記基板を切断することができる。
【0051】
(表面処理工程)
図4は、表面処理工程を説明するためのモールド本体部の断面図である。本工程においては、モールド本体部5の少なくとも第1面5S1に対して、後述の樹脂部17(図9〜図13参照)に対する濡れ性を増加させる表面処理を行う。
【0052】
このような表面処理は、モールド本体部5の第1面5S1のみに対して行ってもよいし、第1面5S1に加えて、第2面5S2及び側面5Rの全体又は一部に対して行ってもよい。
【0053】
このような表面処理としては、例えば、処理対象を疎水化する処理や、脱水する処理を挙げることができる。処理対象を疎水化する処理としては、例えば、ヘキサメチルジンラザン(HMDS)等の疎水化作用のある処理剤を準備し、液状の当該処理剤を処理対象にスピン塗布する処理、液体の当該処理剤中に処理対象を漬浸する処理、及び、このような処理剤の蒸気中に処理対象を暴露させる処理をあげることができる。
【0054】
また、処理対象を脱水する処理としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)等の脱水化作用のある処理剤を準備し、液状の当該処理剤を処理対象にスピン塗布する処理、液体の当該処理剤中に処理対象を漬浸してから処理対象を乾燥させる処理、及び、このような処理剤の蒸気中に処理対象を暴露させる処理をあげることができる。
【0055】
なお、表面処理工程は、後述の固定工程の後に行ってもよい。また、表面処理工程は、省略することもできる。
【0056】
(固定工程)
図5は、固定工程を説明するためのモールドの斜視図であり、図6は、図5のVI−VI線に沿ったモールドの断面図である。
【0057】
本工程においては、図5及び図6に示すように、モールド基体部3の表面3Sの一部に、接着剤等の固定手段によって、モールド本体部5の第2面5S2を固定する。この際、モールド本体部5の第2面5S2がモールド基体部3の表面3Sの縁3Eから離間するようにする。本実施形態においては、モールド本体部5の第2面5S2は、基体部3の表面3Sの縁3Eの全体から離間しているが、基体部3の表面3Sの縁3Eの少なくとも一部から離間していればよい。
【0058】
これにより、モールド基体部3の表面3Sは、モールド本体部5が固定された固定面3SFと、モールド本体部5が固定されていない非固定面3SEと、を有することになる。
【0059】
以上のような工程を経ることにより、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aが得られる。
【0060】
続いて、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法について説明する。本実施形態の樹脂パターンの製造方法は、樹脂部形成工程と、押し付け工程と、硬化工程と、離間工程と、を備える。
【0061】
図7及び図9〜図15は、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図であり、図8は、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための平面図である。
【0062】
(樹脂部形成工程)
樹脂部形成工程においては、まず、図7に示すように、半導体基板13を準備する。半導体基板13は、例えば、円板状の基板とすることができる。半導体基板13は、例えば、SiやGe等の単元素半導体や、InP等のIII−V族化合物半導体等の化合物半導体からなる。そして、図7及び図8に示すように、半導体基板13の表面13S上に、加工対象としての半導体層15を形成する。この半導体層15は、複数の部分領域15Aに分割されている。後の工程において、各部分領域15A上の樹脂部に対して順に、モールド1aによるパターンの転写が行われる(ステップアンドリピート方式)。
【0063】
続いて、図9に示すように、半導体層15の表面15S上に、紫外線硬化樹脂からなる樹脂部17を形成する。樹脂部17は、例えば、半導体層15の表面15S上に、滴下法やスピンコート法によって紫外線硬化樹脂を含む樹脂液を設けた後、当該樹脂液を所定の温度に加熱処理することにより、形成することができる。半導体層15の表面15S上に形成された樹脂部17は、図9に示される段階においては、流動性を有している。
【0064】
樹脂部17は、図9に示すように、複数の部分に分割された状態で半導体層15の表面15S上に分散していてもよいし、半導体層15の表面15S全体を覆うように層状に形成されていてもよい。また、半導体層15と樹脂部17との密着性を向上させる機能を有する密着層を、半導体層15と樹脂部17との間に介在させてもよい。
【0065】
(押し付け工程)
次に、図10に示すように、上述の本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法によって製造されたモールド1aを準備する。そして、半導体層15の一つの部分領域15Aの表面15Sと、モールド1aの第1面5S1とを対向させる。この際、半導体層15の表面15Sと、モールド本体部5の第1面5S1とが、略平行になるようにする。
【0066】
続いて、図11に示すように、モールド1aをZ軸正方向に移動させて、モールド本体部5の第1面5S1を上記一つの部分領域15A上の樹脂部17に押し付ける。すると、樹脂部17のうちの一部は、第1面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出される場合がある。この押し出された樹脂部17の一部は、はみ出し樹脂部17Cとなる。はみ出し樹脂部17Cは、モールド本体部5の側面5Rに付着する場合があるが、上述のように、第1面5S1と側面5Rとが成す内角5θは90度未満又は90度であるため、はみ出し樹脂部17Cが側面5Rと伝ってモールド基体部3の非固定面3SEに達することは抑制される。
【0067】
(硬化工程)
次に、図12に示すように、モールド1aの第1面5S1を樹脂部17に押し付けた状態で、上記一つの部分領域15A上の樹脂部17に紫外線Lを照射することによって、当該樹脂部17を硬化させる。この際、紫外線Lは、モールド1aを透過してから上記一つの部分領域15A上の樹脂部17に到達するようにする。
【0068】
照射する紫外線Lの波長は、例えば、310nm以上、400nm以下とすることができる。
【0069】
紫外線Lのうち、モールド本体部5の第1面5S1に到達する紫外線成分L1の大部分は、モールド本体部5と樹脂部17との紫外線Lに対する屈折率の差が小さいため、第1面5S1を透過して樹脂部17に到達する。それに対して、紫外線Lのうち、モールド基体部3の非固定面3SEに到達する紫外線成分L2の大部分は、モールド基体部3とモールド1aの使用雰囲気(例えば、大気雰囲気、窒素雰囲気、真空雰囲気等)の紫外線Lに対する屈折率の差が大きいため、非固定面3SEにおいて反射する。はみ出し樹脂部17Cに紫外線が照射されるとバリとなる場合があるが、上述のように紫外線成分L2の大部分は非固定面3SEで反射されるため、はみ出し樹脂部17Cに起因したバリは発生しないか、はみ出し樹脂部17Cに起因したバリの発生は抑制される。
【0070】
(離間工程)
その後、図13に示すように、モールド1aと上記一つの部分領域15A上の樹脂部17とを離間させる。このようにして、当該樹脂部17に樹脂パターン17Pが製造される。
【0071】
(繰り返し工程)
そして、上述の一連の工程(樹脂部形成工程、押し付け工程、硬化工程、及び、離間工程)を半導体層15の他の部分領域15A上の樹脂部17に対して、それぞれ順に行う。このようにして、図14に示すように、半導体層15の全ての部分領域15A上の樹脂部17に、樹脂パターン17Pが製造される。このようにして、モールド本体部5の第1面5S1のパターン5Pが転写されたパターンである樹脂パターン17Pが製造される。
【0072】
また、繰り返し工程後、図15に示すように、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤等によって、未硬化のはみ出し樹脂部17Cを除去することが好ましい。硬化工程において、はみ出し樹脂部17Cの一部又は全部が硬化してバリが形成されている場合には、アッシング処理等によって、当該バリを除去する工程を行うことが好ましい。
【0073】
このように形成された樹脂パターン17Pを利用して、加工対象である半導体層15に微細パターンを形成するには、例えば、以下のような工程を行う。
【0074】
即ち、例えば、反応性イオンエッチング法等のドライエッチング法等によって、樹脂パターン17Pが製造された樹脂部17及び半導体層15の一部をエッチングする。すると、樹脂パターン17Pのうち、残膜の厚さが薄い領域程、その領域下の半導体層15の表面15Sは早く露出して深くエッチングされる。これにより、図16に示すように、樹脂パターン17Pを半導体層15に転写することができる。図16は、微細パターンが形成された半導体層の断面図である。このようにして、微細パターンとしての回折格子15Pを、加工対象である半導体層15に形成することができる。
【0075】
上述のような本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、モールド本体部準備工程で準備されるモールド本体部5の第1面5S1から第2面5S2に向かう方向(Z軸の正側から負側に向かう方向)と垂直方向の幅(X軸方向の幅及びY軸方向の幅)は、一定、又は、第1面5S1から第2面5S2に向かうに従って減少しており、固定工程においては、モールド本体部5の第2面5S2をモールド基体部3の表面3Sに固定しているため、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、90度以下となる(図2〜図6参照)。
【0076】
そのため、本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法によって得られるモールド1aによれば、従来のナノインプリント用モールドのようにパターン面と盛り上げ部(本体部)の側面とが成す内角が90度より大きくなっている場合と比較して、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付ける際、樹脂部17の一部が第1面5S1と樹脂部17との接触領域の外側に押し出され、はみ出し樹脂部17Cとなっても、そのはみ出し樹脂部17Cがモールド本体部5の側面5Rを伝ってモールド基体部3の非固定面3SEに達することを抑制することができる(図11参照)。これにより、モールド基体部3の表面3Sのうちモールド本体部5が固定されていない非固定面3SEが、モールド1aの使用雰囲気と接する状態が維持される(図11参照))。
【0077】
そのため、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付けた状態でモールド1aの上方から樹脂部17に向かって紫外線Lを照射すると、モールド1aの使用雰囲気とモールド基体部3の紫外線Lに対する屈折率の差が大きいため、当該紫外線Lはモールド基体部3の表面3Sのうちモールド本体部5が固定されていない非固定面3SEで反射され易い(図12参照)。
【0078】
これにより、はみ出し樹脂部17Cに紫外線成分L2が照射されることを抑制し、はみ出し樹脂部17Cが硬化することを抑制することができるため、はみ出し樹脂部17Cに由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる。その結果、本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法によれば、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用のモールド1aを製造することができる。
【0079】
さらに、本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法において、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、40度以上、90度以下であることが好ましく、75度以上、80度以下であることがさらに好ましい(図3参照)。当該内角5θが90度以下、さらに好ましくは、80度以下であると、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付ける際、はみ出し樹脂部17Cがモールド本体部5の側面5Rを伝ってモールド基体部3の非固定面3SEに達することを十分に抑制することができる(図11参照)。その結果、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。
【0080】
また、当該内角5θが40度以上、さらに好ましくは、75度以上であると、モールド本体部5の当該内角5θを規定する角部5Cの強度を十分に高くすることができる(図3参照)。
【0081】
さらに、本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法は、モールド本体部5の第1面5S1に対して濡れ性を増加させる表面処理を行う表面処樹脂部17に押し付ける際、はみ出し樹脂部17Cはモールド本体部5の側面5R上をモールド基体部3の表面3Sに向かって移動し難くなるため、はみ出し樹脂部17Cがモールド基体部3の非固定面3SEに達することをより抑制することができる(図11参照)。その結果、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。
【0082】
また、上述のような本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法によれば、上述のようなナノインプリント用モールドの製造方法によって製造されたナノインプリント用のモールド1aを使用しているため、はみ出し樹脂部17Cに由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる(図11及び図12参照)。その結果、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能となる。
【0083】
また、上述のような本実施形態のナノインプリント用モールドによれば、モールド本体部5の第1面5S1から第2面5S2に向かう方向(Z軸の正側から負側に向かう方向)と垂直方向の幅(X軸方向の幅及びY軸方向の幅)は、一定、又は、第1面5S1から第2面5S2に向かうに従って減少しており、モールド本体部5の第2面5S2はモールド基体部3の表面3Sに設けられているため、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、90度以下となる(図3、図5及び図6参照)。
【0084】
そのため、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aによれば、従来のナノインプリント用モールドのようにパターン面と盛り上げ部(本体部)の側面とが成す内角が90度より大きくなっている場合と比較して、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付ける際、樹脂部17の一部が第1面5S1と樹脂部17との接触領域の外側に押し出され、はみ出し樹脂部17Cとなっても、そのはみ出し樹脂部17Cがモールド本体部5の側面5Rを伝ってモールド基体部3の表面3Sに達することを抑制することができる(図11参照)。
【0085】
これにより、モールド基体部3の表面3Sのうちモールド本体部5が固定されていない非固定面3SEが、ナノインプリント用のモールド1aの使用雰囲気と接する状態が維持される(図11参照)。
【0086】
そのため、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付けた状態でモールド1aの上方から樹脂部17に向かって紫外線Lを照射すると、モールド1aの使用雰囲気とモールド基体部3の紫外線Lに対する屈折率の差が大きいため、当該紫外線Lはモールド基体部3の表面3Sのうちモールド本体部5が固定されていない非固定面3SEで反射され易い(図12参照)。
【0087】
これにより、はみ出し樹脂部17Cに紫外線L(紫外線成分L2)が照射されることを抑制し、はみ出し樹脂部17Cが硬化することを抑制することができるため、はみ出し樹脂部17Cに由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる(図12参照)。その結果、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aによれば、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能となる。
【0088】
さらに、本実施形態のナノインプリント用のモールド1aにおいて、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、40度以上、90度以下であることが好ましく、75度以上、80度以下であることがさらに好ましい(図3参照)。当該内角5θが90度以下、さらに好ましくは、80度以下であると、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付ける際、はみ出し樹脂部17Cがモールド本体部5の側面5Rを伝ってモールド基体部3の表面3Sに達することを十分に抑制することができる。その結果、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。
【0089】
また、当該内角5θが40度以上、さらに好ましくは、75度以上であると、モールド本体部5の当該内角5θを規定する角部5Cの強度を十分に高くすることができる(図3参照)。
【0090】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法について説明する。本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法においては、モールド基体部準備工程で準備されるモールド基体部の形状が、第1実施形態における場合のモールド基体部の形状と異なる。
【0091】
図17は、本実施形態のモールド基体部準備工程を説明するためのモールド基体部を示す斜視図であり、図18は、図17のXVIII―XVIII線に沿ったモールド基体部の断面図である。
【0092】
本実施形態においては、図17及び図18に示すようなモールド基体部3bを準備する。モールド基体部3bは、第1基体部3xと、第2基体部3yと、を有する。
【0093】
第1基体部3xは、第1実施形態におけるモールド基体部3(図1参照)と同様の構成を有している。
【0094】
第2基体部3yは、第1基体部3xの表面3Sの縁3Eに沿うように、モールド基体部3の表面3Sの一部に設けられている。本実施形態においては、第2基体部3yは、表面3Sの縁3Eの全体に沿って設けられており、第1基体部3xと第2基体部3yとで凹部が規定される。第2基体部3yは、表面3Sの縁3Eの一部に沿って設けられていてもよい。
【0095】
第2基体部3yは、硬化工程において樹脂部を硬化させるために当該樹脂部に照射する紫外線が透過可能な材料からなる。例えば、第2基体部3yは、波長365nmの紫外線に対する透過率が90%以上の材料からなることができる。第2基体部3yを構成する材料としては、例えば、石英、合成石英等を挙げることができる。
【0096】
モールド基体部3bは、第1基体部3xと第2基体部3yが一体形成されたものであることができる。その場合、モールド基体部3bは、例えば、モールド基体部3bを構成する材料からなる板状の基板を、切断手段で所定の形状に切断後、表面の中央部をエッチングして上記凹部を形成することにより、製造することができる。
【0097】
また、モールド基体部3bは、別途独立して製造された第1基体部3xと第2基体部3yとを互いに固定したものであってもよい。
【0098】
図19は、本実施形態における固定工程を説明するためのモールドの斜視図であり、図20は、図19のX−X線に沿ったモールドの断面図である。
【0099】
固定工程においては、第1実施形態における場合と同様に、モールド基体部3の表面3Sの一部に、接着剤等の固定手段によって、モールド本体部5の第2面5S2を固定する。即ち、モールド本体部5は、第1基体部3xと第2基体部3yによって規定される上記凹部内に位置するように、モールド基体部3の表面3Sの一部に固定する。この際、第2基体部3yがモールド本体部5と離間するようにする。
【0100】
本工程後において、第2基体部3yのモールド基体部3の表面3Sからの高さT3yは、第1基体部3xの表面3Sからモールド本体部5の第1面5S1までの距離T5よりも低い。
【0101】
このようにして、ナノインプリント用のモールド1bが得られる。
【0102】
本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、第1実施形態における場合と同様の理由により、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用のモールド1bを製造することができる。
【0103】
さらに、本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、第2基体部3yの第1基体部3xの表面3Sからの高さT3yは、第1基体部3xの表面3Sからモールド本体部5の第1面5S1までの距離T5よりも低いため(図20参照)、当該第2基体部3yによって、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付けることが妨害されることはない(図11参照)。そして、当該第2基体部3yは、モールド本体部5が他の部材等に接触して損傷することを抑制する保護部材として機能する(図19及び図20参照)。
【0104】
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。
【0105】
図21は、比較例に係る樹脂パターンが製造された後の樹脂部等の断面を示す図である。図22は、実施例に係る樹脂パターンが製造された後の樹脂部等の断面を示す図である。
【0106】
比較例及び実施例においては、上述の各実施形態における場合に対応して、半導体基板13上の樹脂部17に樹脂パターン17P(図21及び図22においては図示せず)を製造した。半導体層15と樹脂部17の間には、密着層16を介在させた。
【0107】
図21に示す比較例においては、モールド本体部5の第1面5S1と側面5Rとが成す内角5θが124度であるナノインプリント用のモールドを用いて樹脂パターン17Pを製造した。それに対して、図22に示す実施例においては、モールド本体部5の第1面5S1と側面5Rとが成す内角5θが90度であるナノインプリント用のモールドを用いて樹脂パターン17Pを製造した。
【0108】
このように樹脂パターン17Pを製造した比較例及び実施例において、密着層16と樹脂部17との間に、はみ出し樹脂部17Cが生じた。そして、比較例及び実施例において、はみ出し樹脂部17Cの高さ(Y軸方向の高さ)を、それぞれ、A1−A2線及びB1−B2線に沿って触針式段差計によって測定した。
【0109】
図23は、比較例のはみ出し樹脂部の高さ測定の結果を示す図であり、図24は、実施例のはみ出し樹脂部の高さ測定の結果を示す図である。図23及び図24において、横軸は、高さ測定の際のスキャン長さを示し、縦軸は高さを示している。
【0110】
図23及び図24に示されるように、比較例におけるはみ出し樹脂部17Cの高さは、約15μmであり、実施例におけるはみ出し樹脂部17Cの高さは、約0.2μmであった。
【符号の説明】
【0111】
1a、1b・・・ナノインプリント用のモールド、3・・・モールド基体部、3S・・・モールド基体部の表面、5・・・モールド本体部、5P・・・ナノインプリント用のパターン、5S1・・・モールド本体部の第1面、5S2・・・モールド本体部の第2面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールドに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ナノインプリント法による微細パターンの製造方法が記載されている。この方法によれば、ナノインプリントに用いるモールドを、紫外線が透過する材料で構成することにより、ウェハとモールドとのアライメントを行うことが可能であることが記載されている。
【0003】
下記非特許文献1には、ステップアンドリピート方式と呼ばれるナノインプリント法の転写方式による微細パターンの製造方法が記載されている。この微細パターンの製造方法においては、平板状のモールド基体部と、このモールド基体部に設けられ、上面に転写用パターンが形成された盛り上げ部とを有するモールドが用いられる。この方式によってパターン転写を行う際は、まず、加工対象の基板上に液状の紫外線硬化樹脂等からなる樹脂部を形成する。その後、樹脂部の部分領域とモールドのマスターパターンを対向させ、当該部分領域にマスターパターンを押し付け、当該部分領域に光を照射して当該部分領域を硬化させ、モールドを光樹脂層から離間させる、という一連の工程を樹脂部の各部分領域に対して順に繰り返す。これにより、樹脂部にモールドのマスターパターンが転写され、樹脂パターンが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−323461号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M.Miller, et. al., “Fabrication of Nanometer Sized Features onNon-Flat Substrate Using a Nano-Imprint Lithography Process”, Proc. SPIE 5751,994, pp.995-998, (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
分布帰還型半導体レーザが有する回折格子等の微細パターンを製造する方法として、ナノインプリント法を採用することが検討されている。このような微細パターンをナノインプリント法で製造すれば、分布帰還型半導体レーザ等のデバイスの製造コストを低減させることができる等の利点がある。
【0007】
ナノインプリント法で微細パターンを製造する場合には、まず、半導体基板等の基板上に、微細パターンを形成する半導体層等の加工対象層と、紫外線硬化樹脂等からなる樹脂部とをこの順に形成する。そして、微細パターンのための凹凸パターン(転写用パターン)が形成されたパターン面を有するモールドをこの樹脂部に押し付け、その状態で樹脂部に紫外線を照射して樹脂部を硬化させた後にモールドと樹脂部とを離間させる。このようにして、モールドの凹凸パターンを樹脂部に転写する。そして、このようなモールドの凹凸パターンの樹脂部への転写は、通常、ナノインプリントを行う位置を変えながら複数回行われる(ステップアンドリピート方式)。つまり、加工対象層を複数の部分領域に分割し、それぞれの部分領域上の樹脂部の部分領域のそれぞれに対して順にモールドによる凹凸パターンの転写が行われる。このようにして、樹脂パターンが製造される。
【0008】
その後、この樹脂パターンを有する樹脂部をマスクとして加工対象層をエッチングすると、加工対象層上に残存する樹脂部(樹脂部の残膜)の厚さが薄い領域程、加工対象層の表面が早く露出して深くエッチングされるため、モールドの凹凸パターンを加工対象層に転写することができる。このようにして、微細パターンが製造される。
【0009】
このようなステップアンドリピート方式のナノインプリント法による微細加工を行う際に用いられるモールドは、樹脂部の上記部分領域のみにモールドを押し付けることを可能とするために、一般的に、平板状の基体部と、その基体部の表面に設けられ、パターン面となる上面に転写用パターンが形成された盛り上げ部とを有する。このような構成のモールドによれば、モールド基体部とパターン面とが本体部の高さに相当する距離だけ離間しているため、樹脂部の上記部分領域にモールドのパターン面を押し付ける際、モールド基体部が樹脂部に接触することが抑制される。
【0010】
そして、このような形状のモールドは、一般的に、石英等からなる平板状部材を用意し、その表面のうち、盛り上げ部に対応する領域以外の領域をドライエッチング法等でエッチングすることによって製造される。そのため、盛り上げ部の形状は、一般的に、メサ状(四角錘台形状)となる。言い換えると、盛り上げ部は、モールド基体部に固定された底面と、底面よりも面積が小さく、転写用パターンが形成された上面(パターン面)と、を有し、パターン面と盛り上げ部の側面とが成す内角は、90度より大きい。
【0011】
また、このようなモールドは、一般的に、樹脂部を硬化させる際に用いられる紫外線を透過可能な材料で構成される。これにより、モールドのパターン面を樹脂部に押し付けた状態で、モールドの上方から樹脂部に向けて紫外線を照射することにより、当該紫外線をモールドを透過させて樹脂部に到達させることができる。これにより、樹脂部を硬化させる工程が簡略化される。
【0012】
しかしながら、本発明者らは、上述のような従来のモールドを用いてステップアンドリピート方式で樹脂パターンを形成し、その樹脂パターンを利用して微細パターンを製造することには、以下のような問題点があることを見出した。
【0013】
即ち、モールドのパターン面を樹脂部に押し付けると、樹脂部を構成する樹脂の一部がモールドと樹脂部との接触領域の外側へ押し出され、はみ出し樹脂部となる場合がある。さらに、このはみ出し樹脂部は、モールド本体部の側面を伝って、モールド基体部に達する場合がある。このようにモールド基体部にはみ出し樹脂部が達している状態で樹脂部に紫外線を照射すると、はみ出し樹脂部とモールド基体部の紫外線に対する屈折率の差が小さいため、モールド上方から樹脂部に向かって照射された紫外線は、はみ出し樹脂部と接するモールド基体部の表面では反射し難い。そのため、はみ出し樹脂部にも紫外線が照射されてしまい、はみ出し樹脂部は硬化してバリとなる場合があることを、本発明者らは見出した。
【0014】
このようなバリは、完成品(例えば、分布帰還型半導体レーザ)の歩留まり悪化の原因となるため、ドライエッチング法等のエッチング法で除去することが好ましい。しかしながら、このバリを除去する工程が必要になる分だけ生産性は低下する上に、このバリを除去する際に、バリ周辺の領域(例えば、分布帰還型半導体レーザの回折格子層)にダメージを与えてしまうことがある。そのため、はみ出し樹脂部に由来するバリが発生すると、完成品の生産性や歩留まりが低下するという問題点がある。特にバリの高さが高いと、その除去に時間がかかるため、上述のようのバリに起因する悪影響は顕著となる。
【0015】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するため、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法は、ナノインプリント用のパターンが形成された第1面と、当該第1面とは反対側の第2面と、を有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部を準備するモールド本体部準備工程と、モールド本体部を固定するための表面を有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド基体部を準備するモールド基体部準備工程と、モールド本体部の第2面がモールド基体部の表面の縁の少なくとも一部から離間するように、モールド本体部の第2面をモールド基体部の表面の一部に固定する固定工程とを備え、モールド本体部において、第1面から第2面に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、第1面から第2面に向かうに従って減少することを特徴とする。
【0017】
本発明のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、モールド本体部準備工程で準備されるモールド本体部の第1面から第2面に向かう方向と垂直方向の幅は、一定、又は、第1面から第2面に向かうに従って減少しており、固定工程においては、モールド本体部の第2面をモールド基体部の表面に固定しているため、モールド本体部の側面と第1面とが成す内角は、90度以下となる。
【0018】
そのため、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法によって得られるモールドによれば、従来のナノインプリント用モールドのようにパターン面と盛り上げ部の側面とが成す内角が90度より大きくなっている場合と比較して、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、樹脂部の一部が第1面と樹脂部との接触領域の外側に押し出され、はみ出し樹脂部となっても、そのはみ出し樹脂部がモールド本体部の側面を伝ってモールド基体部の表面に達することを抑制することができる。これにより、モールド基体部の表面のうちモールド本体部が固定されていない面が、ナノインプリント用モールドの使用雰囲気と接する状態が維持される。
【0019】
そのため、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付けた状態でナノインプリント用モールドの上方から樹脂部に向かって紫外線を照射すると、ナノインプリント用モールドの使用雰囲気とモールド基体部の紫外線に対する屈折率の差が大きいため、当該紫外線はモールド基体部の表面のうちモールド本体部が固定されていない面で反射され易い。これにより、はみ出し樹脂部に紫外線が照射されることを抑制し、はみ出し樹脂部が硬化することを抑制することができるため、はみ出し樹脂部に由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる。その結果、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法によれば、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用モールドを製造することができる。
【0020】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法において、モールド本体部の側面と第1面とが成す内角は、40度以上、90度以下であることが好ましい。当該内角が90度以下であると、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、はみ出し樹脂部がモールド本体部の側面を伝ってモールド基体部の表面に達することを十分に抑制することができる。その結果、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。また、当該内角が40度以上であると、モールド本体部の当該内角を規定する角部の強度を十分に高くすることができる。
【0021】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法において、モールド基体部は、第1基体部と、第1基体部の表面の縁の少なくとも一部に沿って延びるように第1基体部の表面の一部に設けられた第2基体部と、を有し、固定工程では、第2基体部がモールド本体部と離間するように、モールド本体部の第2面を、第1基体部の表面に固定し、固定工程後において、第2基体部の第1基体部の表面からの高さは、第1基体部の表面からモールド本体部の第1面までの距離よりも低いことが好ましい。
【0022】
第2基体部の第1基体部の表面からの高さは、第1基体部の表面からモールド本体部の第1面までの距離よりも低いため、当該第2基体部によって、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付けることが妨害されることはない。そして、当該第2基体部は、モールド本体部が他の部材等に接触して損傷することを抑制する保護部材として機能する。
【0023】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法は、モールド本体部の第1面に対して濡れ性を増加させる表面処理を行う表面処理工程をさらに備えることが好ましい。これにより、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、はみ出し樹脂部はモールド本体部の側面上をモールド基体部の表面に向かって移動し難くなるため、はみ出し樹脂部がモールド基体部の表面に達することをより抑制することができる。その結果、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。
【0024】
また、上述の課題を解決するため、本発明に係る樹脂パターンの製造方法は、基板上に樹脂部を形成する樹脂部形成工程と、上述のいずれかの方法で製造されたナノインプリント用モールドの第1面を樹脂部に押し付ける押し付け工程と、当該ナノインプリント用モールドの第1面を樹脂部に押し付けた状態で、当該ナノインプリント用モールドを透過してから樹脂部に到達するように紫外線を照射することによって、樹脂部を硬化させる硬化工程と、硬化工程後に、当該ナノインプリント用モールドと樹脂部とを離間させる離間工程と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る樹脂パターンの製造方法によれば、上述のようなナノインプリント用モールドの製造方法によって製造されたナノインプリント用モールドを使用しているため、はみ出し樹脂部に由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる。その結果、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能となる。
【0026】
また、上述の課題を解決するため、本発明に係るナノインプリント用モールドは、紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部と、ナノインプリント用のパターンが形成された第1面と、当該第1面とは反対側の第2面と、を有し、透過可能な材料からなるモールド本体部と、を備え、モールド本体部の第2面は、モールド基体部の表面の縁の少なくとも一部から離間するように、モールド基体部の表面に設けられており、モールド本体部において、第1面から第2面に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、第1面から第2面に向かうに従って減少することを特徴とする。
【0027】
本発明のナノインプリント用モールドによれば、モールド本体部の第1面から第2面に向かう方向と垂直方向の幅は、一定、又は、第1面から第2面に向かうに従って減少しており、モールド本体部の第2面はモールド基体部の表面に設けられているため、モールド本体部の側面と第1面とが成す内角は、90度以下となる。
【0028】
そのため、本発明に係るナノインプリント用モールドによれば、従来のナノインプリント用モールドのようにパターン面と盛り上げ部の側面とが成す内角が90度より大きくなっている場合と比較して、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、樹脂部の一部が第1面と樹脂部との接触領域の外側に押し出され、はみ出し樹脂部となっても、そのはみ出し樹脂部がモールド本体部の側面を伝ってモールド基体部の表面に達することを抑制することができる。これにより、モールド基体部の表面のうちモールド本体部が固定されていない面が、ナノインプリント用モールドの使用雰囲気と接する状態が維持される。
【0029】
そのため、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付けた状態でナノインプリント用モールドの上方から樹脂部に向かって紫外線を照射すると、ナノインプリント用モールドの使用雰囲気とモールド基体部の紫外線に対する屈折率の差が大きいため、当該紫外線はモールド基体部の表面のうちモールド本体部が固定されていない面で反射され易い。これにより、はみ出し樹脂部に紫外線が照射されることを抑制し、はみ出し樹脂部が硬化することを抑制することができるため、はみ出し樹脂部に由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる。その結果、本発明に係るナノインプリント用モールドによれば、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明のナノインプリント用モールドにおいて、モールド本体部の側面と第1面とが成す内角は、40度以上、90度以下であることが好ましい。当該内角が90度以下であると、モールド本体部の第1面を樹脂部に押し付ける際、はみ出し樹脂部がモールド本体部の側面を伝ってモールド基体部の表面に達することを十分に抑制することができる。その結果、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。また、当該内角が40度以上であると、モールド本体部の当該内角を規定する角部の強度を十分に高くすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、樹脂部へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態のモールド基体部準備工程を説明するためのモールド基体部を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態のモールド本体部準備工程を説明するためのモールド本体部の斜視図である。
【図3】図3(A)は、図2のIIIA−IIIA線に沿ったモールド本体部の断面図であり、図3(B)は、図2のIIIB−IIIB線に沿ったモールド本体部の断面図である。
【図4】第1実施形態の表面処理工程を説明するためのモールド本体部の断面図である。
【図5】第1実施形態の固定工程を説明するためのモールドの斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿ったモールドの断面図である。
【図7】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図8】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための平面図である。
【図9】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図10】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図11】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図13】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図14】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図15】第1実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図である。
【図16】微細パターンが形成された半導体層の断面図である。
【図17】第2実施形態のモールド基体部準備工程を説明するためのモールド基体部を示す斜視図である。
【図18】図17のXVIII―XVIII線に沿ったモールド基体部の断面図である。
【図19】第2実施形態における固定工程を説明するためのモールドの斜視図である。
【図20】図19のX−X線に沿ったモールドの断面図である。
【図21】比較例に係る樹脂パターンが製造された後の樹脂部等の断面を示す図である。
【図22】実施例に係る樹脂パターンが製造された後の樹脂部等の断面を示す図である。
【図23】比較例のはみ出し樹脂部の高さ測定の結果を示す図である。
【図24】実施例のはみ出し樹脂部の高さ測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施の形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法、ナノインプリント法による樹脂パターンの製造方法、及び、ナノインプリント用モールドについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0034】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法及びナノインプリント用モールドについて説明する。
【0035】
本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法は、モールド基体部準備工程と、モールド本体部準備工程と、表面処理工程と、固定工程と、を備える。
【0036】
(モールド基体部準備工程)
図1は、モールド基体部準備工程を説明するためのモールド基体部を示す斜視図である。なお、図1及び図2以降の各図においては、直交座標系2を示している。
【0037】
本工程においては、図1に示すようなモールド基体部3を準備する。モールド基体部3は、後述のモールド本体部5を固定するための表面3Sを有する。本実施形態においては、表面3Sは平坦な面である。より具体的には、モールド基体部3は、Z軸方向を厚さ方向とし、XY平面に沿って延びる表面3Sを有する矩形の平板状の部材である。表面3Sは、X軸に沿って延びる外縁と、Y軸に沿って延びる外縁を有する。
【0038】
モールド基体部3は、後述の硬化工程において樹脂部を硬化させるために当該樹脂部に照射する紫外線が透過可能な材料からなる。例えば、モールド基体部3は、波長365nmの紫外線に対する透過率が90%以上の材料からなることができる。モールド基体部3を構成する材料としては、例えば、石英、合成石英等を挙げることができる。
【0039】
このようなモールド基体部3は、例えば、モールド基体部3を構成する材料からなる板状の基板を、切断手段で所定の形状に切断することによって、得ることができる。
【0040】
モールド基体部3のZ軸方向の厚さT3は、特に制限されないが、例えば、0.6mm以上、10mm以下とすることができる。モールド基体部3のX軸方向の幅W3は、特に制限されないが、例えば、60mm以上、150mm以下とすることができる。モールド基体部3のY軸方向の長さL3は、特に制限されないが、例えば、60mm以上、150mm以下とすることができる。
【0041】
(モールド本体部準備工程)
図2は、モールド本体部準備工程を説明するためのモールド本体部の斜視図であり、図3は、図3(A)は、図2のIIIA−IIIA線に沿ったモールド本体部の断面図であり、図3(B)は、図2のIIIB−IIIB線に沿ったモールド本体部の断面図である。
【0042】
本工程においては、図2及び図3に示すようなモールド本体部5を準備する。
【0043】
図2及び図3に示すように、モールド本体部5は、本実施形態においては、Z軸方向を厚さ方向とし、XY平面に沿って延びる第1面5S1と、XY平面に沿って延びる第2面5S2とを有する矩形の平板状の部材である。第2面5S2は、第1面5S1とは反対側の面である。第1面5S1及び第2面5S2は、それぞれ、X軸に沿って延びる外縁と、Y軸に沿って延びる外縁を有する。
【0044】
第1面5S1には、ナノインプリント用のパターン5Pが形成されている。本実施形態においては、パターン5Pは、分布帰還型半導体レーザ等が有する回折格子を形成するためのパターンである。具体的には、本実施形態のパターン5Pは、X軸に沿って延び、それぞれY軸方向の幅及びZ軸方向の高さが同一の複数のライン部と、X軸に沿って延び、それぞれY軸方向の幅及びZ軸方向の高さが同一の複数のスペース部を有している。パターン5Pは、各ライン部と各スペース部とが交互にY軸方向に配置されたラインアンドスペースパターンである。
【0045】
各ライン部と各スペース部のZ軸方向の高さは、例えば、50nm以上、300nm以下とすることができる。各ライン部と各スペース部のY軸方向の幅は、例えば、50nm以上、300nm以下とすることができる。Y軸方向のパターン5Pの周期、即ち、一つのライン部のY軸方向の幅と一つのスペース部のY軸方向の幅の合計値は、例えば、200nm以上、250nm以下とすることができる。
【0046】
モールド本体部5は、後述の硬化工程において樹脂部を硬化させるために当該樹脂部に照射する紫外線が透過可能な材料からなる。例えば、モールド本体部5は、波長365nmの紫外線に対する透過率が90%以上の材料からなることができる。モールド本体部5を構成する材料としては、例えば、石英、合成石英等を挙げることができる。モールド本体部5は、モールド基体部3を構成する材料と同様の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0047】
また、図3(A)及び図3(B)に示すように、モールド本体部5において、第1面5S1から第2面5S2に向かう方向(Z軸の正側から負側に向かう方向)と垂直方向の幅(X軸方向の幅及びY軸方向の幅)が、第1面5S1から第2面5S2に向かうに従って減少している。そのため、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、90度未満となる。モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とで、角部5Cが規定される。
【0048】
なお、モールド本体部5において、第1面5S1から第2面5S2に向かう方向(Z軸の正側から負側に向かう方向)と垂直方向の幅(X軸方向の幅及びY軸方向の幅)は、一定であってもよい。この場合、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、90度となる。
【0049】
モールド本体部5の第1面5S1のX軸方向の長さ及びY軸方向の長さは、特に制限されないが、例えば、それぞれ5mm以上、25mm以下、及び、5mm以上、25mm以下とすることができる。また、モールド本体部5の第2面5S2のX軸方向の長さ及びY軸方向の長さは、特に制限されないが、例えば、それぞれ5mm以上、25mm以下、及び、5mm以上、25mm以下とすることができる。モールド本体部5のZ軸方向の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.5mm以上、1mm以下とすることができる。また、モールド本体部5の第1面5S1及び第2面5S2の面積は、モールド基体部3の表面3Sの面積よりも小さい。
【0050】
このようなモールド本体部5は、例えば、モールド本体部5を構成する材料からなる板状の基板を用意し、その基板の表面にパターン5Pとなる凹凸パターンを形成し、切断手段で所定の形状に切断することによって、得ることができる。モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θを90度未満とする場合には、切断手段として、当該内角5θに対応したV字形状の切断刃を有する切断機で上記基板を切断することができる。
【0051】
(表面処理工程)
図4は、表面処理工程を説明するためのモールド本体部の断面図である。本工程においては、モールド本体部5の少なくとも第1面5S1に対して、後述の樹脂部17(図9〜図13参照)に対する濡れ性を増加させる表面処理を行う。
【0052】
このような表面処理は、モールド本体部5の第1面5S1のみに対して行ってもよいし、第1面5S1に加えて、第2面5S2及び側面5Rの全体又は一部に対して行ってもよい。
【0053】
このような表面処理としては、例えば、処理対象を疎水化する処理や、脱水する処理を挙げることができる。処理対象を疎水化する処理としては、例えば、ヘキサメチルジンラザン(HMDS)等の疎水化作用のある処理剤を準備し、液状の当該処理剤を処理対象にスピン塗布する処理、液体の当該処理剤中に処理対象を漬浸する処理、及び、このような処理剤の蒸気中に処理対象を暴露させる処理をあげることができる。
【0054】
また、処理対象を脱水する処理としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)等の脱水化作用のある処理剤を準備し、液状の当該処理剤を処理対象にスピン塗布する処理、液体の当該処理剤中に処理対象を漬浸してから処理対象を乾燥させる処理、及び、このような処理剤の蒸気中に処理対象を暴露させる処理をあげることができる。
【0055】
なお、表面処理工程は、後述の固定工程の後に行ってもよい。また、表面処理工程は、省略することもできる。
【0056】
(固定工程)
図5は、固定工程を説明するためのモールドの斜視図であり、図6は、図5のVI−VI線に沿ったモールドの断面図である。
【0057】
本工程においては、図5及び図6に示すように、モールド基体部3の表面3Sの一部に、接着剤等の固定手段によって、モールド本体部5の第2面5S2を固定する。この際、モールド本体部5の第2面5S2がモールド基体部3の表面3Sの縁3Eから離間するようにする。本実施形態においては、モールド本体部5の第2面5S2は、基体部3の表面3Sの縁3Eの全体から離間しているが、基体部3の表面3Sの縁3Eの少なくとも一部から離間していればよい。
【0058】
これにより、モールド基体部3の表面3Sは、モールド本体部5が固定された固定面3SFと、モールド本体部5が固定されていない非固定面3SEと、を有することになる。
【0059】
以上のような工程を経ることにより、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aが得られる。
【0060】
続いて、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法について説明する。本実施形態の樹脂パターンの製造方法は、樹脂部形成工程と、押し付け工程と、硬化工程と、離間工程と、を備える。
【0061】
図7及び図9〜図15は、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための断面図であり、図8は、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を説明するための平面図である。
【0062】
(樹脂部形成工程)
樹脂部形成工程においては、まず、図7に示すように、半導体基板13を準備する。半導体基板13は、例えば、円板状の基板とすることができる。半導体基板13は、例えば、SiやGe等の単元素半導体や、InP等のIII−V族化合物半導体等の化合物半導体からなる。そして、図7及び図8に示すように、半導体基板13の表面13S上に、加工対象としての半導体層15を形成する。この半導体層15は、複数の部分領域15Aに分割されている。後の工程において、各部分領域15A上の樹脂部に対して順に、モールド1aによるパターンの転写が行われる(ステップアンドリピート方式)。
【0063】
続いて、図9に示すように、半導体層15の表面15S上に、紫外線硬化樹脂からなる樹脂部17を形成する。樹脂部17は、例えば、半導体層15の表面15S上に、滴下法やスピンコート法によって紫外線硬化樹脂を含む樹脂液を設けた後、当該樹脂液を所定の温度に加熱処理することにより、形成することができる。半導体層15の表面15S上に形成された樹脂部17は、図9に示される段階においては、流動性を有している。
【0064】
樹脂部17は、図9に示すように、複数の部分に分割された状態で半導体層15の表面15S上に分散していてもよいし、半導体層15の表面15S全体を覆うように層状に形成されていてもよい。また、半導体層15と樹脂部17との密着性を向上させる機能を有する密着層を、半導体層15と樹脂部17との間に介在させてもよい。
【0065】
(押し付け工程)
次に、図10に示すように、上述の本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法によって製造されたモールド1aを準備する。そして、半導体層15の一つの部分領域15Aの表面15Sと、モールド1aの第1面5S1とを対向させる。この際、半導体層15の表面15Sと、モールド本体部5の第1面5S1とが、略平行になるようにする。
【0066】
続いて、図11に示すように、モールド1aをZ軸正方向に移動させて、モールド本体部5の第1面5S1を上記一つの部分領域15A上の樹脂部17に押し付ける。すると、樹脂部17のうちの一部は、第1面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出される場合がある。この押し出された樹脂部17の一部は、はみ出し樹脂部17Cとなる。はみ出し樹脂部17Cは、モールド本体部5の側面5Rに付着する場合があるが、上述のように、第1面5S1と側面5Rとが成す内角5θは90度未満又は90度であるため、はみ出し樹脂部17Cが側面5Rと伝ってモールド基体部3の非固定面3SEに達することは抑制される。
【0067】
(硬化工程)
次に、図12に示すように、モールド1aの第1面5S1を樹脂部17に押し付けた状態で、上記一つの部分領域15A上の樹脂部17に紫外線Lを照射することによって、当該樹脂部17を硬化させる。この際、紫外線Lは、モールド1aを透過してから上記一つの部分領域15A上の樹脂部17に到達するようにする。
【0068】
照射する紫外線Lの波長は、例えば、310nm以上、400nm以下とすることができる。
【0069】
紫外線Lのうち、モールド本体部5の第1面5S1に到達する紫外線成分L1の大部分は、モールド本体部5と樹脂部17との紫外線Lに対する屈折率の差が小さいため、第1面5S1を透過して樹脂部17に到達する。それに対して、紫外線Lのうち、モールド基体部3の非固定面3SEに到達する紫外線成分L2の大部分は、モールド基体部3とモールド1aの使用雰囲気(例えば、大気雰囲気、窒素雰囲気、真空雰囲気等)の紫外線Lに対する屈折率の差が大きいため、非固定面3SEにおいて反射する。はみ出し樹脂部17Cに紫外線が照射されるとバリとなる場合があるが、上述のように紫外線成分L2の大部分は非固定面3SEで反射されるため、はみ出し樹脂部17Cに起因したバリは発生しないか、はみ出し樹脂部17Cに起因したバリの発生は抑制される。
【0070】
(離間工程)
その後、図13に示すように、モールド1aと上記一つの部分領域15A上の樹脂部17とを離間させる。このようにして、当該樹脂部17に樹脂パターン17Pが製造される。
【0071】
(繰り返し工程)
そして、上述の一連の工程(樹脂部形成工程、押し付け工程、硬化工程、及び、離間工程)を半導体層15の他の部分領域15A上の樹脂部17に対して、それぞれ順に行う。このようにして、図14に示すように、半導体層15の全ての部分領域15A上の樹脂部17に、樹脂パターン17Pが製造される。このようにして、モールド本体部5の第1面5S1のパターン5Pが転写されたパターンである樹脂パターン17Pが製造される。
【0072】
また、繰り返し工程後、図15に示すように、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤等によって、未硬化のはみ出し樹脂部17Cを除去することが好ましい。硬化工程において、はみ出し樹脂部17Cの一部又は全部が硬化してバリが形成されている場合には、アッシング処理等によって、当該バリを除去する工程を行うことが好ましい。
【0073】
このように形成された樹脂パターン17Pを利用して、加工対象である半導体層15に微細パターンを形成するには、例えば、以下のような工程を行う。
【0074】
即ち、例えば、反応性イオンエッチング法等のドライエッチング法等によって、樹脂パターン17Pが製造された樹脂部17及び半導体層15の一部をエッチングする。すると、樹脂パターン17Pのうち、残膜の厚さが薄い領域程、その領域下の半導体層15の表面15Sは早く露出して深くエッチングされる。これにより、図16に示すように、樹脂パターン17Pを半導体層15に転写することができる。図16は、微細パターンが形成された半導体層の断面図である。このようにして、微細パターンとしての回折格子15Pを、加工対象である半導体層15に形成することができる。
【0075】
上述のような本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、モールド本体部準備工程で準備されるモールド本体部5の第1面5S1から第2面5S2に向かう方向(Z軸の正側から負側に向かう方向)と垂直方向の幅(X軸方向の幅及びY軸方向の幅)は、一定、又は、第1面5S1から第2面5S2に向かうに従って減少しており、固定工程においては、モールド本体部5の第2面5S2をモールド基体部3の表面3Sに固定しているため、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、90度以下となる(図2〜図6参照)。
【0076】
そのため、本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法によって得られるモールド1aによれば、従来のナノインプリント用モールドのようにパターン面と盛り上げ部(本体部)の側面とが成す内角が90度より大きくなっている場合と比較して、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付ける際、樹脂部17の一部が第1面5S1と樹脂部17との接触領域の外側に押し出され、はみ出し樹脂部17Cとなっても、そのはみ出し樹脂部17Cがモールド本体部5の側面5Rを伝ってモールド基体部3の非固定面3SEに達することを抑制することができる(図11参照)。これにより、モールド基体部3の表面3Sのうちモールド本体部5が固定されていない非固定面3SEが、モールド1aの使用雰囲気と接する状態が維持される(図11参照))。
【0077】
そのため、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付けた状態でモールド1aの上方から樹脂部17に向かって紫外線Lを照射すると、モールド1aの使用雰囲気とモールド基体部3の紫外線Lに対する屈折率の差が大きいため、当該紫外線Lはモールド基体部3の表面3Sのうちモールド本体部5が固定されていない非固定面3SEで反射され易い(図12参照)。
【0078】
これにより、はみ出し樹脂部17Cに紫外線成分L2が照射されることを抑制し、はみ出し樹脂部17Cが硬化することを抑制することができるため、はみ出し樹脂部17Cに由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる。その結果、本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法によれば、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用のモールド1aを製造することができる。
【0079】
さらに、本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法において、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、40度以上、90度以下であることが好ましく、75度以上、80度以下であることがさらに好ましい(図3参照)。当該内角5θが90度以下、さらに好ましくは、80度以下であると、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付ける際、はみ出し樹脂部17Cがモールド本体部5の側面5Rを伝ってモールド基体部3の非固定面3SEに達することを十分に抑制することができる(図11参照)。その結果、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。
【0080】
また、当該内角5θが40度以上、さらに好ましくは、75度以上であると、モールド本体部5の当該内角5θを規定する角部5Cの強度を十分に高くすることができる(図3参照)。
【0081】
さらに、本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法は、モールド本体部5の第1面5S1に対して濡れ性を増加させる表面処理を行う表面処樹脂部17に押し付ける際、はみ出し樹脂部17Cはモールド本体部5の側面5R上をモールド基体部3の表面3Sに向かって移動し難くなるため、はみ出し樹脂部17Cがモールド基体部3の非固定面3SEに達することをより抑制することができる(図11参照)。その結果、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。
【0082】
また、上述のような本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法によれば、上述のようなナノインプリント用モールドの製造方法によって製造されたナノインプリント用のモールド1aを使用しているため、はみ出し樹脂部17Cに由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる(図11及び図12参照)。その結果、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能となる。
【0083】
また、上述のような本実施形態のナノインプリント用モールドによれば、モールド本体部5の第1面5S1から第2面5S2に向かう方向(Z軸の正側から負側に向かう方向)と垂直方向の幅(X軸方向の幅及びY軸方向の幅)は、一定、又は、第1面5S1から第2面5S2に向かうに従って減少しており、モールド本体部5の第2面5S2はモールド基体部3の表面3Sに設けられているため、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、90度以下となる(図3、図5及び図6参照)。
【0084】
そのため、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aによれば、従来のナノインプリント用モールドのようにパターン面と盛り上げ部(本体部)の側面とが成す内角が90度より大きくなっている場合と比較して、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付ける際、樹脂部17の一部が第1面5S1と樹脂部17との接触領域の外側に押し出され、はみ出し樹脂部17Cとなっても、そのはみ出し樹脂部17Cがモールド本体部5の側面5Rを伝ってモールド基体部3の表面3Sに達することを抑制することができる(図11参照)。
【0085】
これにより、モールド基体部3の表面3Sのうちモールド本体部5が固定されていない非固定面3SEが、ナノインプリント用のモールド1aの使用雰囲気と接する状態が維持される(図11参照)。
【0086】
そのため、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付けた状態でモールド1aの上方から樹脂部17に向かって紫外線Lを照射すると、モールド1aの使用雰囲気とモールド基体部3の紫外線Lに対する屈折率の差が大きいため、当該紫外線Lはモールド基体部3の表面3Sのうちモールド本体部5が固定されていない非固定面3SEで反射され易い(図12参照)。
【0087】
これにより、はみ出し樹脂部17Cに紫外線L(紫外線成分L2)が照射されることを抑制し、はみ出し樹脂部17Cが硬化することを抑制することができるため、はみ出し樹脂部17Cに由来するバリの発生を抑制し、また、バリが発生してもその高さを低くすることができる(図12参照)。その結果、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aによれば、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能となる。
【0088】
さらに、本実施形態のナノインプリント用のモールド1aにおいて、モールド本体部5の側面5Rと第1面5S1とが成す内角5θは、40度以上、90度以下であることが好ましく、75度以上、80度以下であることがさらに好ましい(図3参照)。当該内角5θが90度以下、さらに好ましくは、80度以下であると、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付ける際、はみ出し樹脂部17Cがモールド本体部5の側面5Rを伝ってモールド基体部3の表面3Sに達することを十分に抑制することができる。その結果、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響をより抑制することが可能となる。
【0089】
また、当該内角5θが40度以上、さらに好ましくは、75度以上であると、モールド本体部5の当該内角5θを規定する角部5Cの強度を十分に高くすることができる(図3参照)。
【0090】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法について説明する。本実施形態に係るナノインプリント用モールドの製造方法においては、モールド基体部準備工程で準備されるモールド基体部の形状が、第1実施形態における場合のモールド基体部の形状と異なる。
【0091】
図17は、本実施形態のモールド基体部準備工程を説明するためのモールド基体部を示す斜視図であり、図18は、図17のXVIII―XVIII線に沿ったモールド基体部の断面図である。
【0092】
本実施形態においては、図17及び図18に示すようなモールド基体部3bを準備する。モールド基体部3bは、第1基体部3xと、第2基体部3yと、を有する。
【0093】
第1基体部3xは、第1実施形態におけるモールド基体部3(図1参照)と同様の構成を有している。
【0094】
第2基体部3yは、第1基体部3xの表面3Sの縁3Eに沿うように、モールド基体部3の表面3Sの一部に設けられている。本実施形態においては、第2基体部3yは、表面3Sの縁3Eの全体に沿って設けられており、第1基体部3xと第2基体部3yとで凹部が規定される。第2基体部3yは、表面3Sの縁3Eの一部に沿って設けられていてもよい。
【0095】
第2基体部3yは、硬化工程において樹脂部を硬化させるために当該樹脂部に照射する紫外線が透過可能な材料からなる。例えば、第2基体部3yは、波長365nmの紫外線に対する透過率が90%以上の材料からなることができる。第2基体部3yを構成する材料としては、例えば、石英、合成石英等を挙げることができる。
【0096】
モールド基体部3bは、第1基体部3xと第2基体部3yが一体形成されたものであることができる。その場合、モールド基体部3bは、例えば、モールド基体部3bを構成する材料からなる板状の基板を、切断手段で所定の形状に切断後、表面の中央部をエッチングして上記凹部を形成することにより、製造することができる。
【0097】
また、モールド基体部3bは、別途独立して製造された第1基体部3xと第2基体部3yとを互いに固定したものであってもよい。
【0098】
図19は、本実施形態における固定工程を説明するためのモールドの斜視図であり、図20は、図19のX−X線に沿ったモールドの断面図である。
【0099】
固定工程においては、第1実施形態における場合と同様に、モールド基体部3の表面3Sの一部に、接着剤等の固定手段によって、モールド本体部5の第2面5S2を固定する。即ち、モールド本体部5は、第1基体部3xと第2基体部3yによって規定される上記凹部内に位置するように、モールド基体部3の表面3Sの一部に固定する。この際、第2基体部3yがモールド本体部5と離間するようにする。
【0100】
本工程後において、第2基体部3yのモールド基体部3の表面3Sからの高さT3yは、第1基体部3xの表面3Sからモールド本体部5の第1面5S1までの距離T5よりも低い。
【0101】
このようにして、ナノインプリント用のモールド1bが得られる。
【0102】
本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、第1実施形態における場合と同様の理由により、樹脂部17へのパターン転写の際に生じるバリに起因する悪影響を抑制することが可能なナノインプリント用のモールド1bを製造することができる。
【0103】
さらに、本実施形態のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、第2基体部3yの第1基体部3xの表面3Sからの高さT3yは、第1基体部3xの表面3Sからモールド本体部5の第1面5S1までの距離T5よりも低いため(図20参照)、当該第2基体部3yによって、モールド本体部5の第1面5S1を樹脂部17に押し付けることが妨害されることはない(図11参照)。そして、当該第2基体部3yは、モールド本体部5が他の部材等に接触して損傷することを抑制する保護部材として機能する(図19及び図20参照)。
【0104】
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。
【0105】
図21は、比較例に係る樹脂パターンが製造された後の樹脂部等の断面を示す図である。図22は、実施例に係る樹脂パターンが製造された後の樹脂部等の断面を示す図である。
【0106】
比較例及び実施例においては、上述の各実施形態における場合に対応して、半導体基板13上の樹脂部17に樹脂パターン17P(図21及び図22においては図示せず)を製造した。半導体層15と樹脂部17の間には、密着層16を介在させた。
【0107】
図21に示す比較例においては、モールド本体部5の第1面5S1と側面5Rとが成す内角5θが124度であるナノインプリント用のモールドを用いて樹脂パターン17Pを製造した。それに対して、図22に示す実施例においては、モールド本体部5の第1面5S1と側面5Rとが成す内角5θが90度であるナノインプリント用のモールドを用いて樹脂パターン17Pを製造した。
【0108】
このように樹脂パターン17Pを製造した比較例及び実施例において、密着層16と樹脂部17との間に、はみ出し樹脂部17Cが生じた。そして、比較例及び実施例において、はみ出し樹脂部17Cの高さ(Y軸方向の高さ)を、それぞれ、A1−A2線及びB1−B2線に沿って触針式段差計によって測定した。
【0109】
図23は、比較例のはみ出し樹脂部の高さ測定の結果を示す図であり、図24は、実施例のはみ出し樹脂部の高さ測定の結果を示す図である。図23及び図24において、横軸は、高さ測定の際のスキャン長さを示し、縦軸は高さを示している。
【0110】
図23及び図24に示されるように、比較例におけるはみ出し樹脂部17Cの高さは、約15μmであり、実施例におけるはみ出し樹脂部17Cの高さは、約0.2μmであった。
【符号の説明】
【0111】
1a、1b・・・ナノインプリント用のモールド、3・・・モールド基体部、3S・・・モールド基体部の表面、5・・・モールド本体部、5P・・・ナノインプリント用のパターン、5S1・・・モールド本体部の第1面、5S2・・・モールド本体部の第2面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノインプリント用のパターンが形成された第1面と、当該第1面とは反対側の第2面と、を有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部を準備するモールド本体部準備工程と、
前記モールド本体部を固定するための表面を有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド基体部を準備するモールド基体部準備工程と、
前記モールド本体部の前記第2面が前記モールド基体部の前記表面の縁の少なくとも一部から離間するように、前記モールド本体部の前記第2面を前記モールド基体部の前記表面の一部に固定する固定工程と、
を備え、
前記モールド本体部において、前記第1面から前記第2面に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、前記第1面から前記第2面に向かうに従って減少することを特徴とするナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項2】
前記モールド本体部の側面と前記第1面とが成す内角は、40度以上、90度以下であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項3】
前記モールド基体部は、第1基体部と、前記第1基体部の表面の縁の少なくとも一部に沿って延びるように前記第1基体部の前記表面の一部に設けられた第2基体部と、を有し、
前記固定工程では、前記第2基体部が前記モールド本体部と離間するように、前記モールド本体部の前記第2面を、前記第1基体部の前記表面に固定し、
前記固定工程後において、前記第2基体部の前記第1基体部の前記表面からの高さは、前記第1基体部の前記表面から前記モールド本体部の前記第1面までの距離よりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項4】
前記モールド本体部の前記第1面に対して濡れ性を増加させる表面処理を行う表面処理工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項5】
基板上に樹脂部を形成する樹脂部形成工程と、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法で製造されたナノインプリント用モールドの前記第1面を前記樹脂部に押し付ける押し付け工程と、
当該ナノインプリント用モールドの前記第1面を前記樹脂部に押し付けた状態で、前記ナノインプリント用モールドを透過してから前記樹脂部に到達するように紫外線を照射することによって、前記樹脂部を硬化させる硬化工程と、
前記硬化工程後に、当該ナノインプリント用モールドと前記樹脂部とを離間させる離間工程と、
を備えることを特徴とする樹脂パターンの製造方法。
【請求項6】
紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部と、
ナノインプリント用のパターンが形成された第1面と、当該第1面とは反対側の第2面と、を有し、透過可能な材料からなるモールド本体部と、
を備え、
前記モールド本体部の前記第2面は、前記モールド基体部の表面の縁の少なくとも一部から離間するように、前記モールド基体部の前記表面に設けられており、
前記モールド本体部において、前記第1面から前記第2面に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、前記第1面から前記第2面に向かうに従って減少することを特徴とするナノインプリント用モールド。
【請求項7】
前記モールド本体部の側面と前記第1面とが成す内角は、40度以上、90度以下であることを特徴とする請求項6に記載のナノインプリント用モールド。
【請求項1】
ナノインプリント用のパターンが形成された第1面と、当該第1面とは反対側の第2面と、を有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部を準備するモールド本体部準備工程と、
前記モールド本体部を固定するための表面を有し、紫外線が透過可能な材料からなるモールド基体部を準備するモールド基体部準備工程と、
前記モールド本体部の前記第2面が前記モールド基体部の前記表面の縁の少なくとも一部から離間するように、前記モールド本体部の前記第2面を前記モールド基体部の前記表面の一部に固定する固定工程と、
を備え、
前記モールド本体部において、前記第1面から前記第2面に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、前記第1面から前記第2面に向かうに従って減少することを特徴とするナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項2】
前記モールド本体部の側面と前記第1面とが成す内角は、40度以上、90度以下であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項3】
前記モールド基体部は、第1基体部と、前記第1基体部の表面の縁の少なくとも一部に沿って延びるように前記第1基体部の前記表面の一部に設けられた第2基体部と、を有し、
前記固定工程では、前記第2基体部が前記モールド本体部と離間するように、前記モールド本体部の前記第2面を、前記第1基体部の前記表面に固定し、
前記固定工程後において、前記第2基体部の前記第1基体部の前記表面からの高さは、前記第1基体部の前記表面から前記モールド本体部の前記第1面までの距離よりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項4】
前記モールド本体部の前記第1面に対して濡れ性を増加させる表面処理を行う表面処理工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項5】
基板上に樹脂部を形成する樹脂部形成工程と、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法で製造されたナノインプリント用モールドの前記第1面を前記樹脂部に押し付ける押し付け工程と、
当該ナノインプリント用モールドの前記第1面を前記樹脂部に押し付けた状態で、前記ナノインプリント用モールドを透過してから前記樹脂部に到達するように紫外線を照射することによって、前記樹脂部を硬化させる硬化工程と、
前記硬化工程後に、当該ナノインプリント用モールドと前記樹脂部とを離間させる離間工程と、
を備えることを特徴とする樹脂パターンの製造方法。
【請求項6】
紫外線が透過可能な材料からなるモールド本体部と、
ナノインプリント用のパターンが形成された第1面と、当該第1面とは反対側の第2面と、を有し、透過可能な材料からなるモールド本体部と、
を備え、
前記モールド本体部の前記第2面は、前記モールド基体部の表面の縁の少なくとも一部から離間するように、前記モールド基体部の前記表面に設けられており、
前記モールド本体部において、前記第1面から前記第2面に向かう方向と垂直方向の幅が、一定、又は、前記第1面から前記第2面に向かうに従って減少することを特徴とするナノインプリント用モールド。
【請求項7】
前記モールド本体部の側面と前記第1面とが成す内角は、40度以上、90度以下であることを特徴とする請求項6に記載のナノインプリント用モールド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−39012(P2012−39012A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179690(P2010−179690)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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