説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション用画像データ、及びナビゲーション方法

【課題】注意地点の風景画像を注視することなく、その中の注目地点を容易に認識することができるようにする。
【解決手段】案内経路上の運転に注意を要する所定の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、注意地点の風景を示す画像を表示するナビゲーションシステムにおいて、注意地点の風景を示す画像24を、その中の注目すべき地点25を直ちに認識させるための所定の処理が施されたものとする。風景画像の表示は所定の画像データに基づいて行い、注目すべき地点を直ちに認識させるための処理は、その画像データにおいて予めなされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内経路上の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、その注意地点の風景を示す画像を表示するようにしたナビゲーションシステム、これに使用できるナビゲーション用画像データ、及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステムとして、システムを搭載した車両が事故多発地帯等の注意地点に近づいたとき、ナビゲーションシステムに格納された当該注意地点付近の写真データに基づき、その写真の画像を表示するようにしたものが知られている。この表示は、当該注意地点の様子を写真の画像で示すことによって、ユーザに対し当該注意地点に関する直感的でわかりやすい案内となることを意図して行われるものである。
【0003】
図4はこのようなナビゲーションシステムにおける画面表示例を示す。図中の41はシステムを搭載した車両の現在位置近傍における地図の表示、42は地図表示41における車両の現在位置を示すマーク、43は地図表示41における注意地点、44は注意地点付近の風景を写した写真の画像である。
【0004】
同図に示されるように、現在位置がマーク42で示される車両が、注意地点43から所定距離の地点まで近づいたとき、注意地点43付近の写真の画像44が表示される。この表示を見ることにより、ユーザは、車両が注意地点の近傍に達したとき、実際に視界内に入ってくる注意地点を直感的に認識することができる。
【0005】
なお、特許文献1には、これに関連する技術として、運転上の各種注意事項に対応する各種マークを、ナビゲーション画面に表示されている地図上の、予め設定された位置に表示するとともに、車両が各種マークで示される地図上の位置に近づいたとき、そのマークに対応する警告情報を音声によって知らせるようにしたナビゲーション装置が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−318371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の図4で示される従来技術によれば、注意地点に近づいたときに表示される写真の画像は、実際に走行する注意地点付近の道路等の風景を撮影した写真の画像をそのまま表示したものであるため、ユーザにとっては、イラストで注意地点付近を表したものよりも直感的にその場所を把握することができる反面、表示された画像内において注目すべき地点を発見するために、画像を注視することになり、運転の妨げとなる。また、注目地点のみを拡大した画像を表示するようにすると、その周辺の風景がわからないので、実際に注意地点に到達したときに、注目地点がどこにあるのかを捜すのが困難となる。
【0008】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、ナビゲーションシステムにおいて、注意地点の風景画像を注視することなく、その中の注目地点を容易に認識することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の発明は、案内経路上の運転に注意を要する所定の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、注意地点の風景を示す画像を表示するナビゲーションシステムに関する。このナビゲーションシステムは、前記風景画像が、その中の注目すべき地点を直ちに認識させるための所定の処理が施されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、ナビゲーションシステムとしては、たとえば、車載用のナビゲーションシステムが該当する。所定の注意地点としては、たとえば、事故多発地帯が該当する。注目地点を直ちに認識させるための所定の処理としては、たとえば、ユーザが、注目地点を、風景画像を注視することなく容易に認識することができるような処理や、一目見るだけで認識することができるような処理や、運転に支障がないように容易に認識することができるような処理が該当する。注目地点としてはたとえば、大きな事故が発生した横断歩道や、小さな事故が多発している曲がり角が該当する。
【0011】
この構成において、案内経路上の運転に注意を要する所定の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、ナビゲーションシステムは、注意地点の風景を示す画像を表示する。その際、表示される風景画像は、その中の注目すべき地点を直ちに認識させるための所定の処理が施されている。したがって、ユーザは、風景画像を一見しただけで、特に注視することなく、注意地点の風景全体の様子と、その中で特に注目すべき注目地点とを同時に把握することができる。これによりユーザは、注意地点を通過する際に、その全体の様子から注意地点であることを確実に理解し、かつその中の注目地点を容易に見分け、システムが搭載された車両を安全に走行させることができる。
【0012】
第2の発明に係るナビゲーションシステムは、第1発明において、前記風景画像の表示は所定の画像データに基づいて行われるものであり、前記所定の処理は前記画像データにおいて予めなされているものであることを特徴とする。
【0013】
第3の発明に係るナビゲーションシステムは、第1又は第2発明において、前記所定の処理は、前記注目地点を画像処理により強調させる処理、前記注目地点を枠囲いとする処理、又は前記注目地点の色調を他の部分の色調と異なるものにする処理であることを特徴とする。
【0014】
第4の発明に係るナビゲーションシステムは、第1〜第3のいずれかの発明において、前記風景画像の表示は所定の画像データに基づいて行われるものであり、前記所定の画像データは、前記注意地点の風景を撮像して得られた画像の画像データ、又は前記注意地点の風景をイラスト若しくは模式図により表した画像の画像データに基づくものであることを特徴とする。
【0015】
第5の発明に係るナビゲーションシステムは、第1〜第4のいずれかの発明において、前記風景画像の表示に際し、所定の警告音を発する手段を有することを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、案内経路上の運転に注意を要する所定の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、前記注意地点の風景を示す画像を、所定の画像データに基づいて表示するナビゲーションシステムにおいて使用する前記画像データに関する。このナビゲーション用の画像データは、それに基づいて表示される前記風景画像が、その風景中の注目すべき地点を直ちに認識させることができるようにするための所定の処理が施されていることを特徴とする。
【0017】
第7の発明は、ナビゲーションシステムが、案内経路上の運転に注意を要する所定の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、前記注意地点の風景を示す画像を表示するナビゲーション方法に関する。このナビゲーション方法は、前記風景画像の表示に際し、前記風景画像として、その中の注目すべき地点を直ちに認識させるための所定の処理が施されているものを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、注意地点の風景を示す画像は、その中の注目すべき地点を直ちに認識させるための所定の処理が施されているので、ユーザは、風景画像を注視することなく、注意地点の風景全体の様子とともに、その中における注目地点を容易に認識することができる。つまり、注意地点の風景の表示範囲を広く維持したまま、狭い注目地点をユーザに対して報知することができる。
【0019】
また、注目地点を直ちに認識させるための所定の処理は、画像データにおいて予めなされているので、注意地点の風景画像の表示を行うときに注目地点を強調するための重ね合せ処理を行ったりする必要はない。したがって、風景画像を表示するためのソフトウェアを変更する必要はなく、従来のソフトウェアをそのまま用いて風景画像の表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、このナビゲーションシステムは、システムが搭載された車両の現在位置を検出する自車位置検出部11、ナビゲーションに必要な情報を記憶している記憶部12、システム及びユーザ間のインタフェースとして機能する表示部13、並びに自車位置検出部11や記憶部12からの情報に基づき、表示部13を用いてナビゲーション処理を行う処理部14を備える。
【0021】
記憶部12は地図データベースが格納された地図データ記憶部12a及び注意地点付近の写真データが格納された案内データ記憶部12bを有する。案内データ記憶部12bにはまた、個々の写真データに対応させて、対応する注意地点に関する情報が記憶されている。各注意地点情報には、注意地点の経緯度、進入方向、案内距離、及び地図データベースにおける関連道路の情報が含まれる。
【0022】
「進入方向」は、ナビゲーションシステムが当該注意地点を案内対象とするための条件を規定するものであり、ナビゲーションシステムは「進入方向」で規定される方向から車両がその注意地点に進入する場合にその注意地点を案内対象とする。「案内距離」は、当該注意地点についての案内を開始するための条件を規定するものであり、ナビゲーションシステムはその注意地点までの距離が「案内距離」で規定される距離となったときに対応する写真画像の表示を開始する。
【0023】
図2は表示部13におけるナビゲーション画面の表示例を示す。図中の21はナビゲーションシステムを搭載した車両の現在位置近傍における地図の表示、22は地図表示21における車両の現在位置を示すマーク、23は地図表示21における注意地点、24は注意地点23付近の写真の画像である。案内データ記憶部12bに格納されている写真データによる画像は、画像24のように、画像処理ソフトウェア等により、最も注目しなければならない部分25が強調されている。また、「飛び出し注意」の警告メッセージ26が含められている。なお、図2と同内容の、より実際のイメージに近い画面を図5に示す。
【0024】
図3は処理部14における処理の一部を示すフローチャートである。この処理は、所定の間隔で、繰り返し行われる。自車位置検出部11からの信号を受信すると、判定部14aが、その信号に基づいて、車両の現在位置を示す経度及び緯度を算出し、この経緯度情報に基づき、車両の現在位置付近の地図データを地図データ記憶部12aから読み出し、現在走行中の道路を特定する(ステップ31)。このとき描画部14bは、読み出された地図データや車両の現在位置に基づき、表示部13における地図の表示21や、現在位置を示すマーク22の表示を行う。さらに判定部14aは、案内データ記憶部12bから、現在位置付近の注意点情報を読み出す(ステップ32)。
【0025】
次に、判定部14aは、読み出した注意点情報に基づき、走行中の道路の前方に注意地点が存在し、かつ該注意地点から「案内距離」で規定される距離内に達したか否かの判定を行う(ステップ33)。注意地点が存在しないと判定した場合には図3の処理を終了する。注意地点が存在し、かつ「案内距離」で規定される距離内に達したと判定した場合には、描画部14bが、該注意地点の写真データを案内データ記憶部12bから読出し(ステップ34)、写真データに基づく描画処理を行い、画像24の表示を行う(ステップ35)。またこのとき、処理部14は、所定の警告音、たとえば「飛び出し注意」を出力する。この後、図3の処理を終了する。
【0026】
これによれば、写真データによる画像24において、従来の風景写真のような広い表示範囲を維持したまま、狭い注目地点25をユーザに認識させることができる。したがってユーザは、注意地点近傍の様子を容易に認識し、かつその中の注目地点25を容易に把握して、運転に反映させることができる。すなわち、表示部13において表示される注意地点の写真データは、広角で撮影されたものであっても、写真データに基づいて表示される画像24においては注目地点25が強調されているので、ユーザは画像24を注視することなく、注意地点付近の様子と共にその中の注目地点25を一目で直ちに認識し、認識結果を安全運転に供することができる。
【0027】
その際、実際の運転に際して視覚による確認の目標物となる注目地点25が、背景と同化して見分けづらいものであっても、画面上では目標物が強調されているので、瞬時にユーザは目標物の場所を知ることができる。また、予め目標物の部分が強調された写真データが記憶部12bに格納されており、処理部14はその写真データに基づいて描画を行うだけで目標物を容易に認識させることができるので、処理部14において目標物が見分けづらいかどうかを判定したりする処理は不要である。つまり、ナビゲーションシステムのソフトウェアによって注目地点を強調するための重ね合せ処理を行うのではなく、格納している写真データ自体に注目地点を一目で把握できるようにするための装飾や強調が行われているので、従来のソフトウェアをそのまま使用して画像24の表示を行うことができる。
【0028】
なお、本発明は、上述実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば上述においては、注意地点付近の風景を示す画像の画像データとして写真データを用いているが、この代わりに注意地点付近の風景を示すイラストや模式図の画像データを用い、その中の注目地点を一目で把握することができるようにしてもよい。
【0029】
また、上述においては、注目地点を一目で把握することができるようにするために、画像処理によって注目地点を強調するようにしているが、この代わりに、注目地点を枠囲いしたり、注目地点の色調を他の部分と異なるものにしたりすることによって、注目地点を一目で把握することができるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のシステムの表示部におけるナビゲーション画面の表示例を示す図である。
【図3】図1のシステムの処理部における処理の一部を示すフローチャートである。
【図4】従来のナビゲーションシステムにおける画面表示例を示す図である。
【図5】図2と同内容の、より実際のイメージに近い画面を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
11:自車位置検出部、12:記憶部、12a:地図データ記憶部、12b:案内データ記憶部、13:表示部、14:処理部、14a:判定部、14b:描画部、21,41:地図表示、22,42:車両の現在位置を示すマーク、23,43:注意地点、24,44:注意地点付近の写真の画像、25:注目地点、26:メッセージ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内経路上の運転に注意を要する所定の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、前記注意地点の風景を示す画像を表示するナビゲーションシステムにおいて、
前記風景画像は、その中の注目すべき地点を直ちに認識させるための所定の処理が施されていることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記風景画像の表示は所定の画像データに基づいて行われるものであり、前記所定の処理は前記画像データにおいて予めなされているものであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記所定の処理は、前記注目地点を画像処理により強調させる処理、前記注目地点を枠囲いとする処理、又は前記注目地点の色調を他の部分の色調と異なるものにする処理であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記風景画像の表示は所定の画像データに基づいて行われるものであり、前記所定の画像データは、前記注意地点の風景を撮像して得られた画像の画像データ、又は前記注意地点の風景をイラスト若しくは模式図により表した画像の画像データに基づくものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記風景画像の表示に際し、所定の警告音を発する手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
案内経路上の運転に注意を要する所定の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、前記注意地点の風景を示す画像を、所定の画像データに基づいて表示するナビゲーションシステムにおいて使用する前記画像データであって、
それに基づいて表示される前記風景画像が、その風景中の注目すべき地点を直ちに認識させることができるようにするための所定の処理が施されていることを特徴とするナビゲーション用画像データ。
【請求項7】
ナビゲーションシステムが、案内経路上の運転に注意を要する所定の注意地点に対し、所定の距離に近づいたとき、前記注意地点の風景を示す画像を表示するナビゲーション方法であって、
前記風景画像の表示に際し、前記風景画像として、その中の注目すべき地点を直ちに認識させるための所定の処理が施されているものを表示することを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−187535(P2007−187535A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5465(P2006−5465)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】