説明

ナビゲーションシステム

【課題】煩わしい操作を行わずに地図データを更新することができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】車両を駆動する車両駆動部3と、操作に応じて、車両駆動部3を駆動する駆動信号を生成する操作部2と、地図データを更新する地図更新部12と、ナビゲーション機能の演算を行うナビゲーション機能演算部16と、操作部2からの駆動信号に応じて車両駆動部3が作動している場合に、地図更新部12の動作を停止させるとともにナビゲーション機能演算部16を動作させ、操作部2からの駆動信号に応じて車両駆動部3が停止している場合に、地図更新部12の動作を先に停止された時点から再開させるとともにナビゲーション機能演算部16の動作を停止させる制御部17を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザを目的地まで案内するナビゲーションシステムに関し、特に、ナビゲーションシステムに保持されている地図データを更新する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステムに保持されている地図データを更新する技術として、特許文献1は、地図データを更新する際に、更新地図データを地図データ格納手段の空き領域から書き始めることにより、ナビゲーション機能を使用しつつ地図データの更新を可能にしたナビゲーションシステムを開示している。このナビゲーションシステムは、更新された地図データを取得する更新地図データ取得手段を備え、ナビゲーションシステム全体の機能を制御する制御手段により、地図データ格納手段に格納されている更新前の地図データを使用してナビゲーション機能を使用している場合においても、地図データ格納手段の空き領域に更新地図データ取得手段からの更新された地図データを書き込むことにより地図データを更新する。
【0003】
また、特許文献2は、使い心地の悪化およびユーザの負担を軽減しつつ、外部から所望のデータを取得できる車載用情報端末を開示している。この車載用情報端末は、ユーザによって指定されたデータ受信開始時にバッテリ残量が所定値以上である場合に、車載用情報端末としてのナビゲーション装置において地図更新データなどのコンテンツの受信および記憶を行なう。したがって、ユーザがナビゲーション装置を使用しない時間帯において受信開始時を指定することにより、使い心地の悪化およびユーザの負担を招くことなく、外部から必要なデータを受信して記憶することが可能になる。つまり、この車載用情報端末では、車両のイグニッションスイッチがオフされた駐車中の時間帯であっても、データ受信開始時を指定できる。同時に、バッテリ残量が所定値以上であるという条件が設けられているので、車両のエンジンが切られた状態でデータの受信および記憶が行なわれる場合であっても、バッテリの過放電を未然に防止できる。
【0004】
さらに、特許文献3は、データの更新を確実かつ操作性良く行う更新システムおよびそれを用いたナビゲーションシステムを開示している。この特許文献3に開示された技術では、地図データが格納された第1の記憶媒体に対して、電源の供給を受けて、更新地図データが格納されている第2の記憶媒体から更新地図データを読み出して第1の記憶媒体に書き込み、更新する際、第2の記憶媒体の読み込みを開始し、読み込まれた更新データに所定の処理を施して第1の記憶媒体への書き込み動作を開始させる。このとき電源の供給およびタイマ監視部による計時を開始させ、すべての更新地図データの書き込みが終了したとき、またはタイマ監視部による計時が所定時間以上になったときに、更新動作を停止させる。この技術によれば、ユーザは、電源をOFFする直前に新地図媒体をナビゲーション装置に挿入するだけで、内部の記憶媒体に格納されている地図データを自動的に更新し、その後、電源がOFFになるため、地図データの更新を意識することなく、また、時間的に拘束されることがないので、操作性が改善される。また、ユーザは、地図データの更新終了を監視して電源をOFFする必要がなくなるので、操作性が改善される。
【0005】
【特許文献1】特開2006−170660号公報
【特許文献2】特開2006−47112号公報
【特許文献3】特開2003−294454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示された技術は、地図データの更新が実施されている場合に、ナビゲーション機能が旧地図データを参照することによって、地図データの更新が実施されている時間帯においてもナビゲーション機能を使用できるようにしたものであるが、ナビゲーション機能のための処理と地図データの更新処理とが競合し、ナビゲーション機能の性能(応答性能)が低下するという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するために、特許文献2および特許文献3に開示された技術では、車両が駐車している時間帯を有効に利用し、運転中はナビゲーション機能を動作させ、駐車中は地図データの更新を実施する。しかしながら、これらの技術では、駐車している時間内に地図データの更新が完了しなかった場合は、ユーザが運転を開始してナビゲーション機能の使用を開始する際に、手動で地図データの更新の動作を止めない限り、ナビゲーション機能の性能低下は避けられない。
【0008】
また、ユーザが手動で地図データの更新の動作を中断させて運転を開始した場合、その後に運転を終了して駐車に移行する場合、中断された地図データの更新の続きを再開させるために、手動で地図データの更新を継続させる操作を行わなければならない。
【0009】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、煩わしい操作を行わずに地図データを更新することができるナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明に係るナビゲーションシステムは、車両を駆動する車両駆動部と、操作に応じて、車両駆動部を駆動する駆動信号を生成する操作部と、地図データを更新する地図更新部と、ナビゲーション機能の演算を行うナビゲーション機能演算部と、操作部からの駆動信号に応じて車両駆動部が作動している場合に、地図更新部の動作を停止させるとともにナビゲーション機能演算部を動作させ、操作部からの駆動信号に応じて車両駆動部が停止している場合に、地図更新部の動作を先に停止された時点から再開させるとともにナビゲーション機能演算部の動作を停止させる制御部を備えている。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るナビゲーションシステムによれば、操作部からの駆動信号に応じて車両駆動部が作動している場合に、地図更新部の動作を停止させるとともにナビゲーション機能演算部を動作させ、操作部からの駆動信号に応じて車両駆動部が停止している場合に、地図更新部の動作を先に停止された時点から再開させるとともにナビゲーション機能演算部の動作を停止させるように構成したので、ユーザの意志によって車両の運転を開始してナビゲーション機能を使用する場合に、ナビゲーション機能の動作と地図更新の動作が競合することを自動的に回避することができ、また、車両駆動部が停止するように操作されると地図更新処理が自動的に再開されるので、特別な操作を行うことなく、駐車中の時間帯を有効に利用して地図更新を進めることができる。その結果、煩わしい操作を行わずに地図データを更新することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【0013】
実施の形態1に係るナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1、操作部2および車両駆動部3から構成されている。ナビゲーション装置1は、地図データに基づきナビゲーション機能を実施する。このナビゲーション装置1の詳細は、後述する。
【0014】
操作部2は、例えば、エンジンの始動および停止を指示するイグニッションスイッチから構成されており、ユーザの操作に応じて駆動信号を生成する。駆動信号は、操作部2としてのイグニッションスイッチがターンオンされた場合に「ON」状態になり、ターンオフされた場合に「OFF」状態になるレベル信号である。この操作部2で生成された駆動信号は、ナビゲーション装置1および車両駆動部3に送られる。
【0015】
なお、例えば、車速がゼロである状態が一定時間継続すると自動的にエンジンが停止し、その後、ユーザがイグニッションスイッチをターンオンさせるとエンジンが再動作する車両が知られている。このような車両に適用されるナビゲーションシステムでは、操作部2は、イグニッションスイッチがターンオンされた場合に「ON」状態になり、イグニッションスイッチがターンオフされた場合、または、車速センサ(図示は省略)で検出された車速がゼロになって一定時間が経過した場合に「OFF」状態になる駆動信号を生成する。
【0016】
車両駆動部3は、車両を動かすための動力を発生する。この車両駆動部3は、燃料自動車の場合は、エンジンとセルモータから構成され、電気自動車の場合は、モータおよびその制御機器から構成される。この車両駆動部3は、操作部2から送られてくる駆動信号のON/OFFにしたがって作動または停止となるように制御される。例えば、イグニッションスイッチがONになるとエンジンが始動し、イグニッションスイッチがOFFになるとエンジンが停止する。
【0017】
次に、ナビゲーション装置1の詳細を説明する。ナビゲーション装置1は、第1地図データ記憶部11、地図更新部12、第2地図データ記憶部13、自車位置検出部14、マンマシンインタフェース15、ナビゲーション機能演算部16および制御部17を備えている。このナビゲーション装置1には、常時、つまり車両駆動部3が停止している状態であっても電源が供給されている。
【0018】
第1地図データ記憶部11は、脱着可能な記憶媒体、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)または半導体メモリなどが装着されたドライブから構成されている。脱着可能な記憶媒体には、更新された地図データ(以下、「新地図データ」という)が複数のブロックに分割されて記憶されている。この第1地図データ記憶部11に記憶されている新地図データは、地図更新部12によって読み出される。
【0019】
地図更新部12は、第1地図データ記憶部11がナビゲーション装置1に装着することにより起動され、制御部17から再開指令を表す地図更新制御信号が送られてきた場合に、第1地図データ記憶部11から新地図データをブロック毎に順次に読み出し、第2地図データ記憶部13に送って書き込む地図更新処理を実行する。より詳しくは、地図更新部12は、地図データのブロックをカウントするブロックカウンタ(図示しない)を備えており、図2に示すように、最初はブロックカウンタを「1」に初期化し、第1地図データ記憶部11の中のブロックカウンタの内容「1」に対応するブロックの地図データを読み出して第2地図データ記憶部13に送り、次に、ブロックカウンタの内容をインクリメント(+1)し、第1地図データ記憶部11の中のブロックカウンタの内容「2」に対応するブロックの地図データを読み出して第2地図データ記憶部13に送り、以下、同様の処理を繰り返し、最後のブロックの地図データ(図2に示す例では、ブロックカウンタの内容「200」)に対応するブロックの地図データに対する処理が終了したら地図更新処理は終了する。この地図更新部12で行われる処理については、後に、フローチャートを参照してさらに詳細に説明する。
【0020】
なお、地図更新部12は、単純に、第1地図データ記憶部11から地図データを順次に読み出して第2地図データ記憶部13に送る以外に、第1地図データ記憶部11から読み出した地図データに何らかの加工を施して第2地図データ記憶部13に送るように構成することもできる。例えば、第1地図データ記憶部11に格納されている圧縮された地図データを解凍し、解凍された地図データを第2地図データ記憶部13に送るように構成することができる。
【0021】
地図更新部12において地図更新処理が開始されると、地図更新が完了するまでに時間を要する。この地図更新が完了するまでの時間に、ユーザがナビゲーション機能を使用したい場合がある。このような事態に対処するために、地図更新部12は、第2地図データ記憶部13に既に格納されている地図データ(以下、「旧地図データ」という)はそのままにして、別途に新地図データを書き込む。これにより、地図更新処理が開始されてから完了するまでの間であっても、ナビゲーション機能演算部16は、旧地図データを参照することによってユーザにナビゲーション機能を提供することができる。
【0022】
また、地図更新部12は、制御部17から送られてくる地図更新制御信号が中断指令を示している場合は、地図更新処理を中断する。その後、再度、制御部17から再開指令を表す地図更新制御信号が送られてくると、地図更新部12は、中断した地図更新処理を再開する。これにより、図3に示すように、駆動信号がONの区間は運転中と判断されてナビゲーション機能が動作し、駆動信号がOFFの区間は駐車中と判断されて地図更新処理が動作する。この地図更新部12で行われる地図更新処理について、後に、さらに詳細に説明する。
【0023】
第2地図データ記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)または半導体メモリなどといった読み書き可能な記録媒体から構成されており、ナビゲーション機能を実現するための地図データを記憶する。この第2地図データ記憶部13に記憶されている地図データは、ナビゲーション機能演算部16によって読み出される。この第2地図データ記憶部13には、新地図データと旧地図データとの両方が格納されおり、各々は独立して完結している。ただし、地図更新部12で地図更新処理が未だ実行されていない場合は、第2地図データ記憶部13には新地図データは格納されない。
【0024】
自車位置検出部14は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されるGPS信号を受信し、この受信したGPS信号に基づき自己の現在位置、つまり緯度および経度を検出する。この自車位置検出部14で検出された自己の現在位置は現在位置信号としてナビゲーション機能演算部16に送られる。
【0025】
マンマシンインタフェース15は、例えば、情報を入力するための入力装置および情報を出力する出力装置から構成されている。このマンマシンインタフェース15は、ユーザが目的地を入力するために使用される。このマンマシンインタフェース15から入力された目的地は、目的地データとしてナビゲーション機能演算部16に送られる。
【0026】
また、マンマシンインタフェース15は、ナビゲーション機能演算部16から送られてくる経路情報、案内情報および地図情報などをディスプレイまたはスピーカといった出力装置に出力し、ナビゲーション機能をユーザに提供する。
【0027】
ナビゲーション機能演算部16は、制御部17から送られてくるナビ制御信号が開始指令を示している場合に、自車位置検出部14から送られてくる現在位置信号によって示される位置の周辺の地図データ(新地図データまたは旧地図データ)を第2地図データ記憶部13から読み出して経路情報、案内情報および地図情報を生成し、マンマシンインタフェース15に送る。
【0028】
より詳しくは、ナビゲーション機能演算部16は、自車位置検出部14から送られてくる現在位置信号によって示される自車位置から、マンマシンインタフェース15を用いて設定された目的地までの経路を、第2地図データ記憶部13から読み出した地図データに基づいて演算し、経路情報としてマンマシンインタフェース15のディスプレイに表示する。
【0029】
また、ナビゲーション機能演算部16は、運転中は、自車位置検出部14から送られてくる現在位置信号によって示される自車位置に応じた案内情報を、マンマシンインタフェース15のディスプレイに表示する。また、ナビゲーション機能演算部16は、自車位置検出部14から送られてくる現在位置信号によって示される自車位置の周辺の地図を表す地図情報を、第2地図データ記憶部13から読み出した地図データに基づいて生成し、マンマシンインタフェース15のディスプレイに表示する。
【0030】
なお、ナビゲーション機能演算部16は、上述した各処理を実施する場合、第2地図データ記憶部13から読み出した地図データを使用するが、地図データの更新が完了するまでは、旧地図データを使用し、地図データの更新が完了すると、新地図データを使用して処理を実行する。
【0031】
また、ナビゲーション機能演算部16は、制御部17から送られてくるナビ制御信号が終了指令を示している場合に、全ての処理を終了する。これにより、例えばイグニッションスイッチがターンオンされるとナビゲーション機能が動作し、イグニッションスイッチがターンオフされるとナビゲーション機能の動作が停止する。
【0032】
制御部17は、操作部2から送られてくる駆動信号のON/OFFに応じて、地図更新部12とナビゲーション機能演算部16とを排他的に起動する。図4は、上記のように構成される制御部17の動作を示すフローチャートである。
【0033】
制御部17においては、まず、駆動信号の変化があったかどうかが調べられる(ステップST11)。このステップST11において、駆動信号の変化がないことが判断されると、このステップST11を繰り返し実行しながら待機状態に入る。
【0034】
このステップST11の繰り返し実行による待機状態において、駆動信号の変化があったことが判断されると、駆動信号の変化の内容が調べられる(ステップST12)。このステップST12において、図3のT3およびT5に示すような、駆動信号のOFFからONへの変化であることが判断されると、開始指令を表すナビ制御信号が生成されてナビゲーション機能演算部16に送られる(ステップST13)。
【0035】
次いで、中断指令を表す地図更新制御信号が生成されて地図更新部12に送られる(ステップST14)。その後、シーケンスはステップST11に戻り上述した処理が繰り返される。これにより、地図更新部12において地図更新処理が中断され、ナビゲーション機能演算部16におけるナビゲーション機能を実現するための処理は開始される。
【0036】
上記ステップST12において、図3のT2およびT4に示すような、駆動信号のONからOFFへの変化であることが判断されると、終了指令を表すナビ制御信号が生成されてナビゲーション機能演算部16に送られる(ステップST15)。
【0037】
次いで、再開指令を表す地図更新制御信号が生成されて地図更新部12に送られる(ステップST16)。その後、シーケンスはステップST11に戻り上述した処理が繰り返される。これにより、地図更新部12において地図更新処理が再開され、ナビゲーション機能演算部16におけるナビゲーション機能を実現するための処理は終了する。
【0038】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの動作を、地図更新部12で行われる地図更新処理を中心に、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0039】
地図更新処理では、まず、ブロックカウンタが初期化されて待避される(ステップST21)。すなわち、地図更新部12は、自己の内部に設けられた図示しないブロックカウンタを「0」に初期化して、図示しない待避レジスタに待避する。
【0040】
次いで、再開指令が有るかどうかが調べられる(ステップST22)。すなわち、地図更新部12は、制御部17から送られてくる地図更新制御信号が開始指令を表しているかどうかを調べる。このステップST22において、再開指令がないことが判断されると、このステップST22を繰り返し実行しながら待機状態に入る。
【0041】
このステップST22の繰り返し実行による待機状態において、再開指令があることが判断されると、次いで、ブロックカウンタが復元される(ステップST23)。すなわち、地図更新部12は、待避レジスタに待避されている内容をブロックカウンタに設定する。
【0042】
次いで、ブロックカウンタの内容がインクリメントされる(ステップST24)。すなわち、地図更新部12は、ブロックカウンタの内容に「1」を加える。次いで、地図データの1つのブロックが第1地図データ記憶部11から読み出される(ステップST25)。すなわち、地図更新部12は、ブロックカウンタの内容に対応するブロックの地図データを第1地図データ記憶部11から読み出す。
【0043】
次いで、読み出された地図データのブロックが第2地図データ記憶部13に書き込まれる(ステップST26)。すなわち、地図更新部12は、ステップST25で第1地図データ記憶部11から読み出した地図データのブロックを第2地図データ記憶部13に書き込む。
【0044】
次いで、地図更新完了であるかどうかが調べられる(ステップST27)。すなわち、地図更新部12は、ブロックカウンタの内容が予め定められた値(図2に示す例では「200)」になったかどうかを調べる。なお、予め定められた値は、第1地図データ記憶部11から最初に読み出したヘッダデータから得るように構成できる。このステップST27において、地図更新完了であることが判断されると、地図更新処理は終了する。この後は、ナビゲーション機能演算部16は、第2地図データ記憶部13に格納されている更新された地図データを用いて各種処理を実行する。
【0045】
一方、ステップST27において、地図更新完了でないことが判断されると、次いで、中断指令が有るかどうかが調べられる(ステップST28)。すなわち、地図更新部12は、制御部17から送られてくる地図更新制御信号が中断指令を表しているかどうかを調べる。このステップST28において、中断指令がないことが判断されると、シーケンスはステップST24に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0046】
一方、ステップST28において、中断指令があることが判断されると、ブロックカウンタの内容が待避される(ステップST29)。すなわち、地図更新部12は、その時点でブロックカウンタに保持されている内容を、図示しない待避レジスタに待避する。その後、シーケンスはステップST22に戻り、再開指令が送られてくるのを待つ待機状態に入る。
【0047】
次に、上述した地図更新処理によって実現される動作の一例を、図3に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0048】
地図更新部12は、タイミングT1で第1地図データ記憶部11がナビゲーション装置1に着装されることによって起動される。この場合、駆動信号がONであり、制御部17から中断指令を表す地図更新制御信号が送られてきている状態であるので、この段階では実質的な地図更新処理は実行されず、アイドリング中となる。
【0049】
次に、タイミングT2で駆動信号がOFFになり、制御部17から再開指令を表す地図更新制御信号が送られてくると、地図更新部12は、地図更新処理を開始する。例えば、地図データとブロックカウンタとが図2に示すような関係を有し、T2からT3の間にブロックカウンタの内容が「1」から「120」まで更新されるとすると、第2地図データ記憶部13には、ブロックカウンタの内容「120」までに対応する新地図データが格納される。
【0050】
次に、タイミングT3で駆動信号がONになり、制御部17から中断指令を表す地図更新制御信号が送られてくると、地図更新部12における地図更新処理は中断する。この場合、図5に示すように、更新済みのブロックカウンタの内容が待避され、次回の地図更新処理の再開に備えられる。その後、地図更新部12はアイドリング状態となる。T3からT4の間は、ナビゲーション機能演算部16が第2地図データ記憶部13に記憶されている旧地図データを参照することによって、ナビゲーション機能を実行する。この場合、地図更新部12は、アイドリング状態にとなっているので、ナビゲーション機能演算部16におけるナビゲーション機能のための処理と競合することがない。したがって、ナビゲーション機能の応答性能が低下することがないので、操作性が確保される。
【0051】
次に、タイミングT4で駆動信号がOFFになり、制御部17から再開指令を表す地図更新制御信号が送られてくると、地図更新部12は、地図更新処理を再開する。このとき、待避レジスタに待避されていた内容がブロックカウンタに戻される。その結果、ブロックカウンタの内容「121」に対応するブロックから地図データの格納が再開され、残りのブロックの地図データについて地図更新処理が行われる。
【0052】
次に、タイミングT5で駆動信号がONになり、制御部17から中断指令を表す地図更新制御信号が送られてくると、地図更新部12における地図更新処理は中断されて、地図更新部12はアイドリング状態となり、ナビゲーション機能演算部16が動作する。以下、同様の動作が繰り返される。
【0053】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムによれば、ユーザの意志によって車両駆動部3が作動するように操作されると、地図更新部12における地図更新処理は、次回に再開可能な状態で中断される。これにより、例えば駐車中の時間を利用して地図データの更新を実施する場合に、駐車中の時間内に地図更新が完了しなかった場合であっても、次回に再開可能な状態で地図更新処理が中断する。したがって、ユーザの意志によって車両の運転を開始してナビゲーション機能を使用する場合に、ナビゲーション機能の動作と地図更新の動作が競合することを自動的に回避することができる。
【0054】
また、ユーザの意志によって車両駆動部3が停止するように操作されると、地図更新部12における地図更新処理は自動的に再開される。したがって、特別な操作を行うことなく、駐車中の時間帯を有効に利用して地図更新を進めることができる。
【0055】
なお、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムにおいては、地図更新部12は、装着された第1地図データ記憶部11(脱着可能な記憶媒体)から新地図データを取り込むように構成したが、図6に示すように、第1地図データ記憶部11に代えて受信部18を備え、この受信部18から新地図データを取り込むように構成できる。この場合、受信部18は、電波などを介して遠隔から新地図データを取り込み、地図更新部12に送る。この構成によっても、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムと同様の効果を奏する。
【0056】
また、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムにおいては、ナビゲーション装置1の全体に常時電源を供給するように構成したが、地図データの更新に必要な構成要素、例えば第1地図データ記憶部11、地図更新部12、第2地図データ記憶部13および制御部17のみに電源を供給するように構成することができる。この構成によれば、車両駆動部3が停止している状態で地図更新が行われる場合であっても消費される電力を抑えることができるので、電源の消耗を抑止できる。さらに、電源の残容量を検知し、残容量が所定値以下になった場合は、地図更新処理の実行を行わないように構成することもできる。
【0057】
また、自車位置検出部14から出力される現在位置信号を地図更新部12に送り、地図更新部12は、現在位置信号で示される位置の周辺の地図に対応する地図データを優先的に第1地図データ記憶部11から読み出して第2地図データ記憶部13に書き込むように構成できる。この構成によれば、例えばフェリーなどにより車両駆動部3が停止している状態で移動した場合に、ユーザは、移動先において新しい地図に基づく情報を得ることができる。
【0058】
また、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムにおいては、車両駆動部3に送られる駆動信号は、操作部2を構成する例えばイグニッションスイッチがターンオンされた場合にONになり、ターンオフされた場合にOFFになるように構成したが、さらに、車速センサ(図示しない)で車速がゼロになったことが検出されてから所定時間(例えば10秒)が経過した場合にもOFFになるように構成できる。この構成によれば、車速がゼロなってから所定時間が経過した場合に車両駆動部3が自動的に停止するような車両のナビゲーションシステムにも適用できる。
【0059】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。このナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1、アクセサリスイッチ4、バッテリ5、電源供給スイッチ6および電装品7から構成されている。電装品7には、オーディオ装置21、空調機器22、照明機器23およびディスプレイ装置24が含まれる。以下においては、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーションシステムと同一の構成要素には、図1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
アクセサリスイッチ4は、電装品7に供給する電源のON/OFFを制御するスイッチであり、機構上はイグニッションスイッチと一体に構成される場合もある。アクセサリスイッチ4は、ユーザの操作に応じてアクセサリ信号を生成する。アクセサリ信号は、アクセサリスイッチ4がターンオンされた場合に「ON」状態になり、ターンオフされた場合に「OFF」状態になるレベル信号である。このアクセサリスイッチ4で生成されたアクセサリ信号は、ナビゲーション装置1および電源供給スイッチ6に送られる。
【0061】
バッテリ5は、車両に搭載されている直流電源である。このバッテリ5から出力される電力は、常時、ナビゲーション装置1および電源供給スイッチ6に供給される。したがって、ナビゲーション装置1は、アクセサリスイッチ4のON/OFF状態に関わらず、常に動作可能になっている。
【0062】
電源供給スイッチ6は、アクセサリスイッチ4からのアクセサリ信号がONである場合に閉成してバッテリ5の出力を電装品7に供給し、OFFである場合に開放してバッテリ5の出力を電装品7に供給するのを停止する。
【0063】
ナビゲーション装置1は、制御部17に入力される信号の種類を除けば実施の形態1に係るナビゲーションシステムのそれと同じである。すなわち、制御部17は、実施の形態1に係るナビゲーションシステムで操作部2から送られてくる駆動信号の代わりに、アクセサリスイッチ4から送られてくるアクセサリ信号にしたがって動作する。これにより、ナビゲーション装置1では、アクセサリスイッチ4がONのときにナビゲーション機能が動作し、OFFのときに地図更新処理が動作する。
【0064】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムによれば、ユーザによってアクセサリスイッチ4がONに操作されると、地図更新部12における地図更新処理は、次回に再開可能な状態で中断される。これにより、例えば駐車中の時間を利用して地図データの更新を実施する場合に、駐車中の時間内に地図更新が完了しなかった場合であっても、次回に再開可能な状態で地図更新処理が中断する。したがって、ユーザが車両の運転を開始してナビゲーション機能を使用する場合に、ナビゲーション機能の動作と地図更新の動作が競合することを自動的に回避することができる。
【0065】
また、ユーザによりアクセサリスイッチ4がOFFに操作されると、地図更新部12にける地図更新処理は自動的に再開される。したがって、アクセサリスイッチ4の操作以外の特別な操作を行うことなく、駐車中の時間帯を有効に利用して地図更新を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムで使用されるブロックカウンタを説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの地図更新部の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1の変形例に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ナビゲーション装置、2 操作部、3 車両駆動部、4 アクセサリスイッチ、5 バッテリ、6 電源供給スイッチ、7 電装品、11 第1地図データ記憶部、12 地図更新部、13 第2地図データ記憶部、14 自車位置検出部、15 マンマシンインタフェース、16 ナビゲーション機能演算部、17 制御部、18 受信部、21 オーディオ装置、22 空調機器、23 照明機器、24 ディスプレイ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動する車両駆動部と、
操作に応じて、前記車両駆動部を駆動する駆動信号を生成する操作部と、
地図データを更新する地図更新部と、
ナビゲーション機能の演算を行うナビゲーション機能演算部と、
前記操作部からの駆動信号に応じて前記車両駆動部が作動している場合に、前記地図更新部の動作を停止させるとともに前記ナビゲーション機能演算部を動作させ、前記操作部からの駆動信号に応じて前記車両駆動部が停止している場合に、前記地図更新部の動作を先に停止された時点から再開させるとともに前記ナビゲーション機能演算部の動作を停止させる制御部
とを備えたナビゲーションシステム。
【請求項2】
操作に応じて、電装品へ電源を供給するかどうかを指示するアクセサリ信号を生成するアクセサリスイッチと、
地図データを更新する地図更新部と、
ナビゲーション機能の演算を行うナビゲーション機能演算部と、
前記アクセサリスイッチから、前記電装品へ電源を供給することを指示するアクセサリ信号が送られてきた場合に、前記地図更新部の動作を停止させるとともに前記ナビゲーション機能演算部を動作させ、前記アクセサリスイッチから、前記電装品へ電源を供給しないことを指示するアクセサリ信号が送られてきた場合に、前記地図更新部の動作を先に停止された時点から再開させるとともに前記ナビゲーション機能演算部の動作を停止させる制御部
とを備えたナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−127898(P2010−127898A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306453(P2008−306453)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】