説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の動作制御方法、およびナビゲーションプログラム

【課題】使用感を損なわないようにナビゲーション装置の消費電力を抑えることができるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置10が、ナビゲーション装置10の各構成要素における制御内容にそれぞれ消費電力改善度が対応付けされた改善度情報が記憶された改善度情報テーブルと、予め定められた設定条件と、制御対象と、制御対象に設定する設定制御内容とが対応付けされた設定条件情報が記憶された設定条件情報テーブルとを備え、目的地までの移動経路を探索し、探索された移動経路が何れの設定条件を満たしているか確認し、移動経路について、各制御対象の設定制御内容を決定し、決定された設定制御内容を設定して移動経路を移動する場合の消費電力改善度を算出し、算出された移動経路の消費電力改善度に基づいて、移動経路について決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末の消費電力を抑える機能を備えたナビゲーション装置、ナビゲーション装置の動作制御方法、およびナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置のバッテリの持ちを良くするために、例えば所定の条件に応じて液晶パネルの表示をオフにするなど、消費電力が高いデバイスの動作を抑えることが一般的に行なわれている。このような装置には、例えば、予めユーザが経路案内を必要としない場所を登録しておき、ナビゲーション装置が示す現在地が登録地点に一致する場合には電源をオフにし、登録地点に一致しなくなったときに電源をオンにするナビゲーション装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006―208304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の装置のように、各種デバイスの電源をオフにすれば、バッテリの持ちは良くなるが、例えばユーザが道路状況の変化などにより、電源がオフになっているデバイスの機能を利用したいと考えたときに、改めてそのデバイスの電源をオンにする必要があり、使用感が損なわれてしまうという問題があった。なお、ここでいう「使用感」とは、ユーザの操作に応じたナビゲーション装置の反応速度や、ナビゲーション装置が提供する情報の有用性に係わるものであり、反応速度が速く、提供する情報がユーザにとって有用であるほど損なわれないものを意味する。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消し、使用感を損なわないようにナビゲーション装置の消費電力を抑えることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナビゲーション装置は、表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置であって、ナビゲーション装置を構成する各構成要素における制御段階別の制御内容にそれぞれ消費電力改善度が対応付けされた改善度情報が記憶された改善度情報テーブルと、予め定められた設定条件と、前記各構成要素の何れかを示す制御対象と、該制御対象に設定する設定制御内容とが対応付けされた設定条件情報が記憶された設定条件情報テーブルと、前記移動体の現在位置から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索手段と、前記設定条件情報を参照して、前記移動経路探索手段によって探索された各移動経路がそれぞれ何れの前記設定条件を満たしているか確認し、各移動経路について、各制御対象の設定制御内容を決定する設定制御内容決定手段と、前記改善度情報を参照して、前記設定制御内容決定手段によって決定された設定制御内容を設定して移動経路を移動する場合の消費電力改善度を各移動経路毎に算出する改善度算出手段と、該改善度算出手段によって算出された各移動経路毎の消費電力改善度に基づいて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する誘導経路決定手段と、前記誘導経路について前記設定制御内容決定手段によって決定された各設定制御内容が示す制御内容の制御を該当する各制御対象に実行させるために、前記誘導経路について前記設定制御内容決定手段によって決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する制御内容設定手段とを含むことを特徴とする。
【0007】
上記の構成としたことで、使用感を損なわないようにナビゲーション装置の消費電力を抑えることができるようにすることを目的とする。
【0008】
前記改善度算出手段によって算出された各移動経路毎の消費電力改善度を表示する改善度表示手段と、各移動経路の何れを誘導経路とするか受け付ける誘導経路受付手段とを含み、前記誘導経路決定手段は、前記誘導経路受付手段によって受け付けられた移動経路を誘導経路に決定する構成とされていてもよい。
【0009】
前記誘導経路決定手段は、前記改善度算出手段によって算出された各移動経路毎の消費電力改善度のうち消費電力改善度が最も高い移動経路を誘導経路に決定する構成とされていてもよい。
【0010】
前記設定制御内容決定手段は、前記移動経路探索手段によって探索された各移動経路における各移動区間がそれぞれ何れの前記設定条件を満たしているか確認し、各移動経路における各移動区間について、各制御対象の設定制御内容を決定し、前記制御内容設定手段は、前記誘導経路における最初の移動区間について前記設定制御内容決定手段によって決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定し、設定制御内容を変更する設定変更地点に到達する毎に、前記誘導経路における前記設定変更地点後の移動区間について前記設定制御内容決定手段によって決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する構成とされていてもよい。
【0011】
前記設定制御内容決定手段は、移動経路を移動した場合の移動時間、移動経路の移動距離、移動経路の経路タイプ等の移動経路の経路内容が何れの前記設定条件を満たしているか確認することで、移動経路が何れの前記設定条件を満たしているか確認する構成とされていてもよい。
【0012】
また、本発明のナビゲーション方法は、表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション方法であって、前記移動体の現在位置から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索処理と、予め定められた設定条件とナビゲーション装置を構成する各構成要素の何れかを示す制御対象と該制御対象に設定する設定制御内容とが対応付けされた設定条件情報が記憶された設定条件情報テーブルに記憶されている当該設定条件情報を参照して、前記移動経路探索処理にて探索した各移動経路がそれぞれ何れの前記設定条件を満たしているか確認し、各移動経路について、各制御対象の設定制御内容を決定する設定制御内容決定処理と、前記各構成要素における制御段階別の制御内容にそれぞれ消費電力改善度が対応付けされた改善度情報が記憶された改善度情報テーブルに記憶された当該改善度情報を参照して、前記設定制御内容決定処理にて決定した設定制御内容を設定して移動経路を移動する場合の消費電力改善度を各移動経路毎に算出する改善度算出処理と、該改善度算出処理にて算出した各移動経路毎の消費電力改善度に基づいて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する誘導経路決定処理と、前記誘導経路について前記設定制御内容決定処理にて決定した各設定制御内容が示す制御内容の制御を該当する各制御対象に実行させるために、前記誘導経路について前記設定制御内容決定処理にて決定した各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する制御内容設定処理とを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明のナビゲーションプログラムは、表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導する処理を実行させるためのナビゲーションプログラムであって、コンピュータに、前記移動体の現在位置から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索処理と、予め定められた設定条件とナビゲーション装置を構成する各構成要素の何れかを示す制御対象と該制御対象に設定する設定制御内容とが対応付けされた設定条件情報が記憶された設定条件情報テーブルに記憶されている当該設定条件情報を参照して、前記移動経路探索処理にて探索した各移動経路がそれぞれ何れの前記設定条件を満たしているか確認し、各移動経路について、各制御対象の設定制御内容を決定する設定制御内容決定処理と、前記各構成要素における制御段階別の制御内容にそれぞれ消費電力改善度が対応付けされた改善度情報が記憶された改善度情報テーブルに記憶された当該改善度情報を参照して、前記設定制御内容決定処理にて決定した設定制御内容を設定して移動経路を移動する場合の消費電力改善度を各移動経路毎に算出する改善度算出処理と、該改善度算出処理にて算出した各移動経路毎の消費電力改善度に基づいて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する誘導経路決定処理と、前記誘導経路について前記設定制御内容決定処理にて決定した各設定制御内容が示す制御内容の制御を該当する各制御対象に実行させるために、前記誘導経路について前記設定制御内容決定処理にて決定した各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する制御内容設定処理とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用感を損なわないようにナビゲーション装置の消費電力を抑えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置を用いたナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】デバイス制御テーブルにおける消費電力改善度情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図4】モジュール制御テーブルにおける消費電力改善度情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図5】設定条件情報記憶部における設定条件情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図6】ナビゲーション処理の例を示すフローチャートである。
【図7】誘導経路選択画面の例を示す説明図である。
【図8】省エネ度算出処理の例を示すフローチャートである。
【図9】ナビゲーション処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置10を用いたナビゲーションシステム100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、ナビゲーションシステム100は、ナビゲーション装置10と、自車位置測位装置50と、出力装置60と、入力装置70と、通信装置80と、バッテリ200を含む。また、本例におけるナビゲーションシステム100は、経路誘導に直接関係する装置以外にも、使用する電源が同じ装置(すなわち、バッテリ200からの電力供給を受ける装置)、例えば車両に取り付けられた空調設備や音響機器などを含むものとする。
【0018】
自車位置測位装置50は、移動体(この「移動体」は、ナビゲーション装置10自体や、このナビゲーション装置10とともに移動する車両や人間などの物体を含む概念である。以下、「車両」を例に説明する。)の現在位置を測定する装置であり、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて位置を測定するGPSセンサや、車両の移動速度を計測する速度センサや加速度センサ、進行(移動)方位を計測するジャイロセンサ、及び地磁気センサを利用した電子コンパスなど(以下、GPSユニットという)からなる。
【0019】
なお、GPSセンサは、いわゆるGPS受信機と称されるものであり、GPS衛星から放射されるGPS信号を受信してGPS衛星とGPS受信機自身との距離(疑似距離)を測定し、複数の衛星からのGPS信号を同時に受信することによりGPS受信機自身の現在位置(GPS測位解)を算出する。
【0020】
また、自車位置測位装置50は、車両に搭載されており、GPS信号を受信するGPS受信機(アンテナ)の他、受信したGPS信号のデコードなどの処理を行い、ナビゲーション装置10へ出力する信号処理部を備える。
【0021】
出力装置60は、ナビゲーション装置10からの経路誘導情報や案内情報、広告情報など各種の情報を出力する装置であり、例えば画像情報を表示する画像表示装置(ディスプレイ装置、モニタ)61と、音声情報を音声出力する音声出力装置(スピーカ装置)62とを含む。画像表示装置61は、例えば地図情報と車両の現在位置情報とを表示画面上に表示するとともに、目的地までの最適な誘導経路を表示画面上に併せて表示することで、視覚によって移動経路の道順を報知する。また、音声出力装置62は、案内音声情報を音声出力することで、聴覚によって移動経路の道順を報知する。また、音声出力部62は、POI(Point Of Interest)情報や広告情報などが案内音声情報を含む場合に、それらを音声出力することでPOI情報が示す案内対象物に関する情報や広告情報を報知する。
【0022】
入力装置70は、ナビゲーション装置10に対して各種の指示を行うための装置である。本例では、入力装置70は、例えば画像表示装置61の表示画面に表示される操作ボタン(タッチパネル)などによって構成される。
【0023】
通信装置80は、インターネットなどの通信ネットワークに無線あるいは有線によって接続し、通信ネットワークに接続された管理サーバなどの外部の装置と情報の送受信を行うための機能を有する。具体的には、通信装置80は、通信処理部16と連動して、例えばBluetooth(登録商標)、3G(第3世代移動通信システム)、WiMAX(Worldwide Interoperability For Microwave
Access)、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)802.11などの規格に準拠した通信システムによる通信を行う。
【0024】
バッテリ200は、ナビゲーションシステム100の各構成要素に供給するための電気を蓄える二次電池(蓄電池)であり、本例においては車両に搭載される公知の鉛蓄電池を用いるものとする。また、ナビゲーションシステム100には、バッテリ200の電気残量を計測する計量センサや、ナビゲーションシステム100の各構成要素の消費電力を測定するための電流センサ及び電圧センサ、電力の消費量を計測する電力計などが含まれる。
【0025】
ナビゲーション装置10は、例えば、モバイルタイプのパーソナルコンピュータ、PND(Portable Navigation Device)や専用デバイスなどの情報処理装置によって構成される。ナビゲーション装置10は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、DSP(Digital Signal Processor)、プログラム記憶部、OS(オペレーティング・システム)、等を有する。CPUは、プログラム記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従い、ナビゲーション装置10の各構成要素を統制制御し、経路探索処理や経路誘導処理、情報検索処理を含む各種の処理を実行する機能を有する。DSPは、CPUとは別に音声処理や画像処理などの処理を実行する機能を有する。プログラム記憶部は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成され、ナビゲーション装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体である。なお、これらの各種の機能は、一般のナビゲーション装置が備える公知の技術によって実現される。
【0026】
図2は、本例におけるナビゲーション装置10の構成例を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、図2に示すように、制御部Cと、経路探索部11と、自車位置情報受付部12と、表示画面作成部13と、検索部14と、POI情報案内部15と、通信処理部16と、消費電力評価部17と、記憶部Fとを含む。なお、ナビゲーション装置10を構成する各部は、制御信号やデータ等を伝送するバスBに接続されている。
【0027】
制御部(情報処理部)Cは、CPU、ROM、RAMなどを具備し、記憶部Fに記憶されたコンピュータプログラム(ナビゲーションプログラム)に従い、ナビゲーション装置10の各構成要素を統制制御し、各種処理を実行するための機能を有する。
【0028】
経路探索部11は、出発位置(例えば、現在位置)から目的地までの移動経路を導出する経路探索処理を行う。経路探索処理では、例えば、車両の乗員(以下、適宜「ユーザ」という。)からの目的地情報の入力を受け付けて、受け付けた目的地情報に基づいて目的地の位置情報を特定し、この目的地を参照して現在位置から目的地までの複数種類の移動経路(特に、設定された探索条件に応じた推奨移動経路)を導出する処理を行う。なお、経路探索処理については公知の技術を用いるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0029】
自車位置情報受付部12は、車両の現在位置情報を受け付けるための処理を行う。ここで、現在位置は、例えば緯度と経度により示される。本例においては、自車位置測位装置50により測定された現在位置情報を受け付けるものとする。
【0030】
表示画面作成部13は、ポジションモジュール13aと地図描画モジュール13bとを含む種々のモジュールにより構成されたアプリケーションソフトウェアを備え、これにより地図画面を作成して画像表示装置61に送信する機能を有する。
【0031】
ここで、ポジションモジュール13aは、車両の現在位置(ポジション)を示す現在位置情報と地図情報記憶部F2に格納された地図情報との位置合わせ(マッチング)を行う(すなわち、地図情報が示す地図上に車両の現在位置を示す)機能を有する。また、地図描画モジュール13bは、道路地図と車両の現在位置とを示す地図画面を画像表示装置61に表示させる機能を有する。
【0032】
検索部14は、制御部Cが実行する各種処理に応じて、記憶部Fに格納された種々の情報を検索する機能を有する。
【0033】
POI情報案内部15は、検索されたPOI情報や、目的地に設定されたPOI情報に関する情報を出力装置60により出力することでユーザに案内するための機能を有する。また、ユーザが、経路探索処理により導出された移動経路上の走行を望む場合に、誘導経路情報記憶部F1に記憶された誘導経路情報に基づいて経路案内を行なうための処理を実行する機能を有する。
【0034】
通信処理部16は、通信装置80により、外部機器を介した音声通話やデータの送受信などを実行するための通信処理を実行する機能を有する。
【0035】
記憶部Fは、ROMやRAM等で構成され、ナビゲーション装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体である。本例における記憶部Fは、誘導経路情報記憶部F1と、地図情報記憶部F2と、POI情報記憶部F3と、消費電力改善度情報記憶部F4と、設定条件情報記憶部F5とを含む。
【0036】
消費電力評価部17は、ナビゲーションシステム100の各部の消費電力を算出して消費電力改善度を評価し、評価結果に応じて消費電力改善度情報を更新する機能を有する。また、消費電力評価部17は、消費電力改善度情報の設定に車両走行時の消費電力(実測値)をフィードバックする機能を有する。すなわち、例えば、車両が実際に誘導経路を走行して目的地に到着したときに、移動に要した時間と消費した電力量とを確認して、その結果を消費電力改善度に反映する。具体的には、消費した電力量と移動に要した時間から消費電力を算出し、所定の規則に基づいて各制御対象の消費電力を算出し、算出した消費電力と基準消費電力とを比較して消費改善度を更新するようにすればよい。なお、所定の規則としては、例えば、「実際の消費電力のうち何割は液晶パネル、何割はGPSユニット、・・・」というような規則を用いることが考えられる。これにより、消費電力改善度の精度(実際の消費電力量に対する妥当性)を向上させることができる。
【0037】
誘導経路情報記憶部F1は、経路探索部11が導出した移動経路を示す移動経路情報と、移動経路のうち、ユーザを目的地まで誘導するために用いる誘導経路(例えば、導出した移動経路のうちユーザにより選択された経路や、最短経路など)に関する誘導経路情報を記憶する記憶媒体である。なお、移動経路情報や誘導経路情報としては、経路を特定するための道路情報の他、目的地に到着するまでの移動距離(道程)や、目的地への到着予想時間なども含まれるものとする。
【0038】
地図情報記憶部F2は、一定の経度幅と緯度幅で区切られた矩形状の範囲(メッシュ)に分割して地図情報を記憶する記憶媒体である。地図情報は、地図情報記憶部F2に記憶されるほか、例えばSDメモリカードと呼ばれるリムーバルメディアとしての補助記憶装置や、CD−ROMやDVD−ROM等に保存することができる。また、インターネット等の通信ネットワークを介して地図情報をダウンロードするようにしてもよい。また、地図情報記憶部F2は、道路情報として、道路をノードとリンクで表して管理し、各道路に関して道路構成ノード情報と道路構成リンク情報とを位置情報と対応付けて記憶する。
【0039】
POI情報記憶部F3は、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア、ラーメン店、ホテル、旅館といった店舗情報、有名な施設を示す施設情報、行楽地を示す行楽地情報といった案内対象物(店舗、施設、行楽地など)を示すPOI情報を記憶する記憶媒体である。本例におけるPOI情報は、施設などの案内対象物を一意に特定するためのPOI−IDと、施設などの案内対象物のジャンルと、施設名称と、住所と、緯度・経度と、電話番号と、ランキング(位)と、お勧め時期(時刻)と、紹介記事などが対応付けされた情報である。
【0040】
消費電力改善度情報記憶部F4は、制御部Cが制御する周辺デバイス(ハードウェアを含む)やモジュール(ナビゲーション装置10の各部を機能させる各種プログラムの構成単位)など、ナビゲーション装置10を構成する各構成要素における制御段階別の制御内容にそれぞれバッテリの持ちの改善度(消費電力改善度)が対応付けされた消費電力改善度情報を記憶する記憶媒体である。なお、本例においては、消費改善度情報記憶部F4は、ナビゲーションシステム100の各構成要素における制御段階別の制御内容と対応する消費改善度情報も記憶しているものとする。
【0041】
本例においては、消費電力改善度情報記憶部F4は、各種デバイスに関する消費改善度情報を記憶するデバイス制御テーブルF41と、各種モジュールに関する消費電力改善度情報を記憶するモジュール制御テーブルF42とを含む。
【0042】
ここで、消費電力改善度とは、制御対象となる各デバイスとモジュール毎に、予め定められた制御内容を実行したときの消費電力(基準消費電力)を基準値として、基準値よりも小さい消費電力となる制御内容ほど大きい数値が付与されるものである(例えば、基準消費電力に対して1割小さい消費電力の場合には「2」を設定し、2割小さい場合には「3」を設定するなど)。すなわち、各制御対象の消費電力大きさを「改善度」という概念で示したものである。なお、消費電力の大きいデバイスやモジュールにおいては、その制御段階を細かく分けることで消費電力改善度の精度を高めることが可能である。
【0043】
また、ナビゲーション装置10では、消費電力改善度の合計値を走行時間で除算することにより、走行時の省エネルギー度合いを示す省エネ度が算出される。すなわち、本例における省エネ度は、消費電力改善度に比例し、走行時間に反比例する値である。なお、本例における省エネ度は、ユーザが消費電力の大小を認識する目安としての役割を果たすものであればよい。省エネ度算出処理については後で詳しく説明する。
【0044】
また、本例における消費電力改善度情報は、管理番号(No.)と、制御対象名(ナビゲーション装置10、またはナビゲーションシステム100の構成要素の何れかを示す。以下同じ)と、制御項目と、制御内容と、消費電力改善度とが対応付けされた情報である。
【0045】
図3は、デバイス制御テーブルF41における消費電力改善度情報の格納状態の例を示す説明図である。図3に示すように、デバイス制御テーブルF41にて管理される消費電力改善度情報は、管理番号(No.)と、制御対象を示すデバイス名と、制御項目と、制御内容と、消費電力改善度とを含む。本例においては、制御対象とするデバイスの例として、液晶パネルとGPSユニットを挙げて説明する。例えば、液晶パネルの場合、輝度を制御項目として、輝度値が高いほど消費電力が大きくなるので、消費電力改善度が低く設定される。また、GPSユニットの場合、GPS信号の受信間隔が短いほど消費電力が大きくなるので、消費電力改善度は低く設定される。
【0046】
図4は、モジュール制御テーブルF42における消費電力改善度情報の格納状態の例を示す説明図である。図4に示すように、モジュール制御テーブルF42にて管理される消費電力改善度情報は、管理番号(No.)と、制御対象を示すモジュール名と、制御項目と、制御内容と、消費電力改善度とを含む。本例においては、制御対象とするモジュールの例として、ポジションモジュール13aと地図描画モジュール13bを挙げて説明する。例えば、ポジションモジュール13aの場合、車両の現在位置と地図とのマッチングを行う間隔(マッチング間隔)が短いほど消費電力が大きくなるので、消費電力改善度は低く設定される。また、ポジションモジュールのマッチングの精度に対しても消費電力改善度が設定されるものとする。また、地図描画モジュール13bの場合、地図の描画間隔を長くする(すなわち、フレームレートを下げる)ことで消費電力を減少させることができるので、描画間隔に応じて消費電力改善度を設定することができる。
【0047】
また、各デバイスやモジュールの電源を入れる(または、電源を切る)制御内容についても消費電力改善度が設定されるものとする。
【0048】
設定条件情報記憶部F5は、予め定められた設定条件と、ナビゲーション装置10やナビゲーションシステム100を構成する構成要素の何れかを示す制御対象と、制御対象に設定する制御内容(設定制御内容)とが対応付けされた設定条件情報を記憶する記憶媒体である。
【0049】
図5は、設定条件情報記憶部F5における設定条件情報の格納状態の例を示す説明図である。図5に示すように、本例における設定条件情報は、管理番号(No.)と、設定条件と、制御対象名と、設定制御内容とを含む。本例における設定条件情報としては、例えば、移動経路情報が、「道なりに2〜5km」進む経路を示す部分を含む場合には、その部分においては液晶パネルの輝度を「1」にし、ポジションモジュール13aの受信感覚を「10秒」にして、GPSユニットの受信間隔を「10秒」にする処理を実行することが設定制御内容として記憶されている。また、移動経路情報において、ある区間の予想移動時間が20分以上である場合には、「車両がその区間の開始点に進入してから10分間だけ、ナビゲーション装置10の本体電源をスリープ状態にする」処理を実行することが記憶されている。なお、設定条件はこれに限定されず、移動経路の経路内容が示す可能性のある条件が設定されていればよい。すなわち、例えば、移動経路情報が示す移動時間、移動経路の移動距離(道程)、移動経路を構成する(あるいは、移動経路周辺の)道路の道路タイプ(例えば、高速道路、有料道路、国道など。)や道路状況(渋滞など)、天候など、種々の条件が設定可能であるものとする。また、「トンネルを通過するときは音楽プレイヤーの音量を1.5倍にする」なお、設定条件とそれに応じた設定制御内容とを、ユーザが設定可能な構成としてもよい。
【0050】
次に、本発明のナビゲーション装置10の動作について図面を参照して説明する。なお、本発明に特にかかわらない処理については、その詳細な説明を省略している場合がある。
【0051】
図6は、ナビゲーション装置10が実行するナビゲーション処理の例を示すフローチャートである。ナビゲーション処理では、ナビゲーションシステム100が設定条件情報に応じた制御内容でユーザを誘導するための処理が行なわれる。
【0052】
本例におけるナビゲーション処理は、制御部Cが入力装置70を介してユーザからの経路探索要求を受け付けたことに応じて開始される。なお、ユーザが設定条件情報に応じた制御を望まない場合には、予めその旨を受け付けておくことで、経路探索実行時の設定で移動経路を走行した場合の省エネ度を算出して表示するものとする。
【0053】
ナビゲーション処理において、制御部Cは、経路探索部11により、経路探索処理を実行する(ステップS101)。なお、ここで実行する経路探索処理は、目的地の入力を受け付けて、現在位置(あるいはユーザから受け付けた出発位置)からの推奨移動経路を導出する一般的な経路探索処理である。また、制御部Cは、経路探索部11により、所定の検索条件(例えば、有料道路の有無や交差点の数など)に応じた1以上の経路を探索する。
【0054】
経路探索処理により移動経路を探索すると、制御部Cは、推奨移動経路に関する誘導経路情報に基づいて省エネ度を算出するための省エネ度算出処理を実行する(ステップS102)。省エネ度算出処理については後で詳しく説明する(図8参照)。
【0055】
省エネ度算出処理を実行して各移動経路の省エネ度を算出すると、制御部Cは、画像表示装置61の表示画面61Aに誘導経路選択画面を表示する(ステップS103)。
【0056】
図7は、誘導経路選択画面の例を示す説明図である。図7に示すように、誘導経路選択画面は、地図と誘導経路の候補となる誘導経路候補を識別可能に表示する地図表示領域101と、各誘導経路候補上を移動した場合の、到着予想時間を表示する到着予想時間表示領域102と、道程を表示する道程表示領域103と、省エネ度を表示する省エネ度表示領域104とを含む。
【0057】
なお、本例においては、制御部Cは、経路探索処理において探索された移動経路のうち、省エネ度算出処理において算出される省エネ度が高いものを優先して選択し(図8、ステップS208参照)、誘導経路候補として地図表示領域101にそれぞれ識別可能に表示するものとする。
【0058】
誘導経路選択画面を表示すると、制御部Cは、ユーザによる誘導経路候補の選択を受け付ける(ステップS104)。ここで、例えばユーザの指により地図表示領域101に表示された誘導経路候補を示す部分が押下されたことによる誘導経路候補の選択を受け付けると(ステップS104のY)、制御部Cは、選択された誘導経路候補を誘導経路として記憶し、各デバイスとモジュールの制御内容を、誘導経路に応じた設定制御内容に決定する(ステップS105)。なお、誘導経路に応じた設定制御内容は、省エネ度算出処理にて対応付けされるものとする(図8、ステップS203,S204参照)。また、誘導経路が複数の区間を有している場合には、誘導経路における最初の区間について決定された設定制御内容を該当する各制御対象に設定する。
【0059】
制御内容を設定すると、制御部Cは、誘導経路情報に基づいて経路誘導を開始する(ステップS106)。経路誘導を開始すると、制御部Cは、車両が、制御対象の設定制御内容を変更する地点(設定変更地点)に到達したか否かを判定する(ステップS107)。ここで、設定変更地点と設定変更地点に応じた設定制御内容とは、省エネ度算出処理にて記憶されるものとする(図8、ステップS203参照)。
【0060】
車両が設定変更地点に到達していないと判定すると(ステップS107のN)、制御部CはステップS109に遷移する。一方、設定変更地点に到達したと判定すると(ステップS107のY)、制御部Cは、設定変更地点に応じて制御対象の制御内容を変更する(ステップS108)。すなわち、誘導経路における設定変更地点後の区間に対応する設定制御内容を、該当する各制御対象に設定する。
【0061】
制御内容を設定すると、制御部Cは、バッテリ200のバッテリ残量(バッテリ200に蓄えられた電気量)が予め設定された基準値以下であるか否かを判定する(ステップS109)。ここで、バッテリ残量が基準値以下ではないと判定すると(ステップS109のN)、制御部Cは、ステップS111に遷移する。
【0062】
一方、バッテリ残量が基準値以下であると判定すると(ステップS109のY)、制御部Cは、バッテリの充電が可能な施設などの位置情報(充電可能ポイント)を検索して、検索結果を出力装置60を介してユーザに報知するための処理を行う。本例においては、制御部Cは、表示画面作成部F13により、現在位置と充電可能ポイントを識別可能に表示した地図画面を作成して画像表示装置61の表示画面61Aに表示するための処理を行う。
【0063】
充電可能ポイントを報知すると、制御部Cは、車両が目的地に到着したか否かを判定し(ステップS111)、到着していないと判定すると(ステップS111のN)、ステップS107に遷移する。一方、車両が目的地に到着したと判定すると(ステップS111のY)、制御部Cはここでの処理を終了する。なお、制御部Cは、消費電力評価部17により、車両が誘導経路を走行して目的地に到着するのに実際に要した時間と、消費した電力量とを確認して、消費電力改善度にフィードバックする。
【0064】
なお、ナビゲーションシステム100による経路の誘導中は、制御部Cにより、設定条件が満たされた設定制御内容が該当する制御対象に設定されるが、ユーザの操作に応じて制御内容の変更を受け付ける構成としてもよい。
【0065】
次に、ナビゲーション装置10が実行する省エネ度算出処理について説明する。省エネ度算出処理では、経路探索処理(図6、ステップS101参照)にて探索された移動経路の省エネ度を算出するための処理が行われる。なお、本発明に特にかかわらない処理については、その詳細な説明を省略している場合がある。
【0066】
ここで、本例における省エネ度は、車両が1つの移動経路を設定条件情報における設定制御内容に従った状態で走行した場合において、消費電力改善値の総和(合計値)を車両走行時間(ここでは、到着予想時間)で除算した値を用いる。
【0067】
図8は、本例における省エネ度算出処理の例を示すフローチャートである。本例における省エネ度算出処理は、ナビゲーション処理において経路探索処理により移動経路が導出されたことに応じて実行される(図6、ステップS102参照)。
【0068】
省エネ度算出処理において、先ず、制御部Cは、経路探索処理により導出された移動経路のうち、予め定められた数の算出対象経路を選択する(ステップS201)。本例においては、制御部Cは、到着予想時間が短い順に5つの移動経路を算出対象経路として選択するものとする。なお、移動経路が1つしかない場合は、省エネ度算出処理が省略される構成としてもよい。
【0069】
算出対象経路を選択すると、制御部Cは、選択した算出対象経路のうち、予め定められた基準距離よりも移動距離が長い移動経路があるか否かを判定する(ステップS202)。ここで、算出対象経路のなかに、移動距離が基準距離よりも長いものがないと判定すると(ステップS202のN)、制御部Cは、ステップS204に遷移する。なお、ここでの判定要素は距離に限定されず、例えば、移動時間など移動経路に関するものであればよい。
【0070】
一方、算出対象経路のなかに、移動距離が所定距離よりも長いものがあると判定すると(ステップS202のY)、制御部Cは、移動距離が所定距離よりも長い算出対象経路を所定条件(例えば、特定の距離間隔や主要交差点の位置など)で複数の区間に分割し、区間の分割地点を設定変更地点として誘導経路情報記憶部F1に記憶する(ステップS203)。なお、本例においては、経路の分割地点として、算出対象経路が示す経路上にある道路タイプの変更点を用いることとする。
【0071】
設定変更地点を記憶すると、制御部Cは、設定条件情報における設定条件に基づいて、各算出対象経路を走行した場合の、各制御対象の設定制御内容を、各算出対象経路を示す移動経路情報と対応付けて誘導経路情報記憶部F1に記憶する(ステップS204)。
【0072】
なお、算出対象経路のうち、複数の区間に分割されたものがある場合は、制御部Cは、区間毎に、それぞれ何れの設定条件を満たしているかを確認し、各区間について設定制御内容を決定して誘導経路情報記憶部F1に記憶する。
【0073】
また、算出対象経路が設定条件を満たさないために、設定制御内容が決定されなかった制御対象がある場合は、それらの制御内容は、予め記憶部Fに記憶された基準設定の内容に基づいて設定されることとする。
【0074】
また、算出対象経路の内容によっては、複数の設定条件を満たす場合も考えられる。そのため、設定制御内容には優先度が設けられていることが好ましい。また、優先度を設ける構成とする他、例えば、制御部Cが、消費電力改善度が高い制御内容を優先して選択する構成としてもよいし、ユーザによる制御内容の選択を受け付ける構成としてもよい。また、制御部Cが、複数の設定制御内容に応じた消費電力改善度の平均値を算出し、算出した平均値に応じた制御内容を設定制御内容とする構成としてもよい。この場合、例えば消費電力改善度が整数のみで構成されている場合には平均値の小数点以下は四捨五入するなどして、必ず平均値に応じた制御内容が決定できるようにすればよい。
【0075】
設定制御内容を記憶すると、制御部Cは、消費電力改善度情報記憶部F4に記憶された消費改善度情報と設定制御内容とを対比して、車両が1つの算出対象経路を走行した場合の消費電力改善度の合計値を算出する(ステップS205)。
【0076】
消費電力改善度の合計値を算出すると、制御部Cは、車両が算出対象経路を走行した場合の省エネ度を算出する(ステップS206)。なお、複数の区間に分割された算出対象経路においては、各区間での消費電力改善度の合計値を算出し、算出した合計値の平均値を算出して、算出した平均値を目的地までの到着予想時間で除算することで省エネ度を算出する構成としてもよい。
【0077】
省エネ度を算出すると、制御部Cは、全ての算出対象経路について省エネ度を算出したか否かを判定する(ステップS207)。ここで、全ての算出対象経路について省エネ度を算出していないと判定すると(ステップS207のN)、制御部Cは、ステップS205に遷移する。
【0078】
一方、全ての算出対象経路について省エネ度を算出したと判定すると(ステップS207のY)、制御部Cは、算出対象経路のうち、省エネ度が高いものを特定数だけ選択して、誘導経路候補として記憶し(ステップS208)、ここでの処理を終了してナビゲーション処理におけるステップS103に遷移する(図6参照)。
【0079】
なお、ナビゲーション処理において、車両が設定変更地点に到達すると、制御部Cが、設定変更地点に応じて制御対象の制御内容を変更する場合について説明したが(図6、ステップS108参照)、ナビゲーション処理の構成はこれに限定されない。すなわち、例えば、制御部Cが、車両が設定変更地点に到達したと判定しても、経路誘導を開始するときの制御内容を維持する構成としてもよい。このような構成とすることにより、制御部Cの処理負荷(例えば、車両の位置判定や制御内容の変更などに要する処理負荷)を軽減させることができるようになる。
【0080】
また、ナビゲーション処理の他の例として、制御部Cが、例えば特定の時間間隔で車両の走行状況を確認して、確認した走行状況に応じて制御対象の制御内容を決定し、決定した制御内容による消費電力を監視して、監視結果を消費電力改善度情報にフィードバックする構成としてもよい。
【0081】
図9は、この場合のナビゲーション処理の変形例を示すフローチャートである。本例においては、上述したナビゲーション処理(図6参照)のうち、ステップS107からステップS110を、ステップS302からステップS306に置き換えた場合について説明する。なお、ナビゲーション装置10が実行するナビゲーション処理として、ステップS302からステップS306を、上述したナビゲーション処理(図6参照)におけるステップS111の前に実行される一連のステップとして追加した構成のものを用いてもよい。
【0082】
誘導経路情報に基づいて経路誘導を開始すると(ステップS106)、制御部Cは、センサ情報を取得する(ステップS301)。なお、センサ情報として、自車位置情報受付部12により受け付ける現在位置情報の他、車両に搭載された加速度センサや温度センサなどによって検出される情報を用いる構成としてもよい。この場合、設定条件情報における設定条件として、車両の速度や温度を考慮した条件を設定することができようになる。
【0083】
センサ情報を取得すると、制御部Cは、設定条件情報を参照して設定条件が満たされているかを確認し、条件が満たされた設定条件がある場合には該当する制御対象の制御内容を設定制御内容に応じて変更する(ステップS302)。
【0084】
設定条件情報の確認と制御内容の変更とを行うと、制御部Cは、消費電力評価部17により、ナビゲーションシステム100の構成要素のそれぞれ消費電力を測定する(ステップS303)。
【0085】
各構成要素の消費電力を測定すると、制御部Cは、消費電力評価部17により、各制御対象(各デバイスやモジュール)の消費電力を算出する(ステップS304)。なお、本例においては、電力センサと電圧センサとによりナビゲーションシステム100の構成要素のうち主な電力消費源となる装置(例えば、画像出力装置61など)の消費電力を測定し、測定値に応じて関連する制御対象の消費電力を算出するものとする。
【0086】
各制御対象の消費電力を算出すると、制御部Cは、現在の消費電力改善度情報の設定時に用いた消費電力と比べて変化があるか否かを判定する(ステップS305)。ここで、消費電力に変化がないと判定すると(ステップS305のN)、制御部Cは、ステップS111に遷移する。
【0087】
一方、消費電力に変化があると判定すると(ステップS305のY)、制御部Cは、消費電力改善度情報を更新して(ステップS306)、ステップS111に遷移する。
【0088】
なお、消費電力の変化の有無の判定と、判定結果に応じた消費電力改善度情報の更新は、以下のように行う。
【0089】
例えば、消費電力改善度情報における消費電力改善度の設定時に、液晶パネルの制御内容を「輝度1」にすると、消費電力が基準電力よりも1割小さくなるので、消費改善度として「2」を設定していたとする(図3参照)。この場合に、ナビゲーション処理において算出された液晶パネル(制御内容「輝度1」の状態)の消費電力が基準電力よりも2割小さくなっていると判定すると、制御部Cは、制御内容「輝度1」に応じた消費改善度を「3」に変更する処理を行う。
【0090】
このような構成とすることにより、消費電力改善度の実測値をより適切な値に近づけていくことができるようになる。
【0091】
以上に説明したように、上述した一実施の形態では、表示装置(例えば、画像表示装置61)の表示画面61Aにおける地図上に移動体(例えば、車両)の現在位置を表示して移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置10が、ナビゲーション装置10を構成する各構成要素(ナビゲーション装置10により制御されるナビゲーションシステム100の構成要素を含む)における制御段階別の制御内容にそれぞれ消費電力改善度が対応付けされた改善度情報(例えば、消費電力改善度情報)が記憶された改善度情報テーブル(例えば、消費電力改善度情報記憶部F4)と、予め定められた設定条件と、各構成要素(例えば、各種デバイスやモジュール)の何れかを示す制御対象と、制御対象に設定する設定制御内容とが対応付けされた設定条件情報が記憶された設定条件情報テーブル(例えば、設定条件情報記憶部F5)とを備え、移動体の現在位置から目的地までの複数種類の移動経路を探索し、設定条件情報を参照して、探索された各移動経路(例えば、算出対象経路)がそれぞれ何れの設定条件を満たしているか確認し、各移動経路について、各制御対象の設定制御内容を決定し、改善度情報(例えば、消費電力改善度情報)を参照して、決定された設定制御内容を設定して移動経路を移動する場合の消費電力改善度を各移動経路毎に算出し、算出された各移動経路毎の消費電力改善度に基づいて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定し、誘導経路について決定された各設定制御内容が示す制御内容の制御を該当する各制御対象に実行させるために、誘導経路について決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する構成としているので、使用感を損なわないようにナビゲーション装置の消費電力を抑えることができるようになる。
【0092】
すなわち、経路の内容に応じて、ナビゲーション装置を構成する各構成要素の制御内容を段階的に変更することができるので、単純な電源のON/OFFによる省エネルギー化によっては実現されない、利便性の良い使用感をユーザに提供することができるようになる。
【0093】
また、ユーザが目的地への移動を開始する前に、消費電力を抑えた移動経路を提供することができるので、ユーザが予期しないタイミングで制御対象の電源が落とされるようなことを回避できるようになる。
【0094】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置10が、算出された各移動経路毎の消費電力改善度を表示し(例えば、算出された消費電力改善度により算出される省エネ度の表示)、各移動経路の何れを誘導経路とするか受け付け、受け付けられた移動経路を誘導経路に決定する構成としているので、消費電力改善度の高い移動経路の中からユーザの希望に応じた移動経路を用いて、ユーザを目的地まで誘導することができるようになる。
【0095】
なお、上述した実施の形態では移動経路の選択をユーザから受け付けたが、ナビゲーション装置10が、算出された各移動経路毎の消費電力改善度のうち消費電力改善度が最も高い移動経路(例えば、算出された消費電力改善度から算出した省エネ度が最も高い移動経路)を誘導経路に決定する構成としてもよい。このような構成とすることにより、省エネ度を優先した経路誘導を行うことができるようになる。
【0096】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置10が、探索された各移動経路における各移動区間(例えば、所定の分割条件で分割された区間)がそれぞれ何れの設定条件を満たしているか確認し、各移動経路における各移動区間について、各制御対象(例えば、各デバイスやモジュール)の設定制御内容を決定し、移動経路における最初の移動区間について決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定し、設定制御内容を変更する設定変更地点に到達する毎に、誘導経路における設定変更地点後の移動区間について決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する構成としているので、各制御対象をそれぞれ誘導経路を構成する道路の状況に応じて制御することができるようになる。また、経路誘導の開始前に、各制御対象の制御内容の変更について記憶しておくことができ、経路誘導中に設定条件が満たされたか否かを判定する必要がないので、経路誘導を実行しているときのナビゲーション装置10の処理負荷を軽減させることができる。
【0097】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置10が、移動経路を移動した場合の移動時間、移動経路の移動距離、移動経路の経路タイプ(例えば、移動経路を構成する道路の道路タイプ)等の移動経路の経路内容が何れの設定条件を満たしているか確認することで、移動経路が何れの設定条件を満たしているか確認する構成としているので、移動経路に適した設定制御内容を決定することができるようになる。すなわち、移動経路に応じて、各制御対象が必要以上に大きな消費電力を要する処理を実行しないようにすることにより、ナビゲーション装置全体での消費電力を抑えることができるようになる。
【0098】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、車両が目的地に対して所定の範囲内に接近したことに応じて、制御部Cが、設定制御内容に応じた制御を解除し、制御対象の制御内容を予め設定された制御内容に変更する構成としてもよい。
【0099】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置10が、エリア情報(行政・観光)と連動し、例えば予め記憶されたエリア(地域)では全くPOI情報の案内を行わないといった設定条件情報を備えた構成としてもよい。また、周囲の電波(携帯電話の電波やテレビジョン放送等の電波)を利用して、ある基地局の電波を受信するまでスリープモードに入るなどの設定条件情報を備えた構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、車両の進路案内を実現するデバイスを扱う業種において産業上有用であり、電子地図の表示が可能なカーナビゲーション装置等の電化製品市場においても有用である。
【符号の説明】
【0101】
B バス
C 制御部
F 記憶部
10 ナビゲーション装置
11 経路探索部
12 自車位置情報受付部
13 表示画面作成部
14 検索部
15 POI情報案内部
16 通信処理部
17 消費電力評価部
50 自車位置測位装置
60 出力装置
61 画像表示装置
62 音声出力装置
70 入力装置
80 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置であって、
ナビゲーション装置を構成する各構成要素における制御段階別の制御内容にそれぞれ消費電力改善度が対応付けされた改善度情報が記憶された改善度情報テーブルと、
予め定められた設定条件と、前記各構成要素の何れかを示す制御対象と、該制御対象に設定する設定制御内容とが対応付けされた設定条件情報が記憶された設定条件情報テーブルと、
前記移動体の現在位置から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索手段と、
前記設定条件情報を参照して、前記移動経路探索手段によって探索された各移動経路がそれぞれ何れの前記設定条件を満たしているか確認し、各移動経路について、各制御対象の設定制御内容を決定する設定制御内容決定手段と、
前記改善度情報を参照して、前記設定制御内容決定手段によって決定された設定制御内容を設定して移動経路を移動する場合の消費電力改善度を各移動経路毎に算出する改善度算出手段と、
該改善度算出手段によって算出された各移動経路毎の消費電力改善度に基づいて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する誘導経路決定手段と、
前記誘導経路について前記設定制御内容決定手段によって決定された各設定制御内容が示す制御内容の制御を該当する各制御対象に実行させるために、前記誘導経路について前記設定制御内容決定手段によって決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する制御内容設定手段とを含む
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記改善度算出手段によって算出された各移動経路毎の消費電力改善度を表示する改善度表示手段と、
各移動経路の何れを誘導経路とするか受け付ける誘導経路受付手段とを含み、
前記誘導経路決定手段は、前記誘導経路受付手段によって受け付けられた移動経路を誘導経路に決定する
請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記誘導経路決定手段は、前記改善度算出手段によって算出された各移動経路毎の消費電力改善度のうち消費電力改善度が最も高い移動経路を誘導経路に決定する
請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記設定制御内容決定手段は、前記移動経路探索手段によって探索された各移動経路における各移動区間がそれぞれ何れの前記設定条件を満たしているか確認し、各移動経路における各移動区間について、各制御対象の設定制御内容を決定し、
前記制御内容設定手段は、
前記誘導経路における最初の移動区間について前記設定制御内容決定手段によって決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定し、
設定制御内容を変更する設定変更地点に到達する毎に、前記誘導経路における前記設定変更地点後の移動区間について前記設定制御内容決定手段によって決定された各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記設定制御内容決定手段は、移動経路を移動した場合の移動時間、移動経路の移動距離、移動経路の経路タイプ等の移動経路の経路内容が何れの前記設定条件を満たしているか確認することで、移動経路が何れの前記設定条件を満たしているか確認する
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション方法であって、
前記移動体の現在位置から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索処理と、
予め定められた設定条件とナビゲーション装置を構成する各構成要素の何れかを示す制御対象と該制御対象に設定する設定制御内容とが対応付けされた設定条件情報が記憶された設定条件情報テーブルに記憶されている当該設定条件情報を参照して、前記移動経路探索処理にて探索した各移動経路がそれぞれ何れの前記設定条件を満たしているか確認し、各移動経路について、各制御対象の設定制御内容を決定する設定制御内容決定処理と、
前記各構成要素における制御段階別の制御内容にそれぞれ消費電力改善度が対応付けされた改善度情報が記憶された改善度情報テーブルに記憶された当該改善度情報を参照して、前記設定制御内容決定処理にて決定した設定制御内容を設定して移動経路を移動する場合の消費電力改善度を各移動経路毎に算出する改善度算出処理と、
該改善度算出処理にて算出した各移動経路毎の消費電力改善度に基づいて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する誘導経路決定処理と、
前記誘導経路について前記設定制御内容決定処理にて決定した各設定制御内容が示す制御内容の制御を該当する各制御対象に実行させるために、前記誘導経路について前記設定制御内容決定処理にて決定した各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する制御内容設定処理とを含む
ことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項7】
表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導する処理を実行させるためのナビゲーションプログラムであって、
コンピュータに、
前記移動体の現在位置から目的地までの複数種類の移動経路を探索する移動経路探索処理と、
予め定められた設定条件とナビゲーション装置を構成する各構成要素の何れかを示す制御対象と該制御対象に設定する設定制御内容とが対応付けされた設定条件情報が記憶された設定条件情報テーブルに記憶されている当該設定条件情報を参照して、前記移動経路探索処理にて探索した各移動経路がそれぞれ何れの前記設定条件を満たしているか確認し、各移動経路について、各制御対象の設定制御内容を決定する設定制御内容決定処理と、
前記各構成要素における制御段階別の制御内容にそれぞれ消費電力改善度が対応付けされた改善度情報が記憶された改善度情報テーブルに記憶された当該改善度情報を参照して、前記設定制御内容決定処理にて決定した設定制御内容を設定して移動経路を移動する場合の消費電力改善度を各移動経路毎に算出する改善度算出処理と、
該改善度算出処理にて算出した各移動経路毎の消費電力改善度に基づいて、各移動経路から経路誘導に用いる誘導経路を決定する誘導経路決定処理と、
前記誘導経路について前記設定制御内容決定処理にて決定した各設定制御内容が示す制御内容の制御を該当する各制御対象に実行させるために、前記誘導経路について前記設定制御内容決定処理にて決定した各設定制御内容を該当する各制御対象に設定する制御内容設定処理とを
実行させるためのナビゲーションプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−169685(P2011−169685A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32454(P2010−32454)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】