説明

ナビゲーション装置、及び経路案内制御方法

【課題】 電話の通信相手側との会話中に、経路の音声案内が出力されることを防止できるナビゲーション装置及びナビゲーション装置の制御方法を提供する。
【解決手段】 所定の地点Aから所定の地点Aに関する経路案内が開始されるまでの第1の距離L1の地点Bと、所定の地点Aからの距離が第1の距離L1よりも長くかつ第1の距離L1の地点Bよりも進行方向反対側にある第2の距離L2の地点Cと、の間に現在位置があるときに、電話通信部30に着信が生じた場合には、制御部32により経路案内がスピーカ14から出力されるとともに、経路案内の出力後に着信音が報知される。これにより、ユーザーが電話の会話中に経路案内が音声出力されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話通信部のハンズフリー機能を備えたナビゲーション装置及び経路案内制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電話通信部を備えたナビゲーション装置が知られている。この種のナビゲーション装置では、経路案内を音声にてスピーカから出力する機能の他に、ハンズフリー機能によりスピーカとマイクを介して電話の通信相手側と会話することができる。このナビゲーション装置によれば、電話の通信相手側から着信があったときには、上記スピーカから報知音が出力される。
【特許文献1】特開平10−239084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記ナビゲーション装置によれば、音声案内の開始直前に着信があると、ユーザーはハンズフリー機能により着信に応じて電話の通信相手側と会話を始めるため、その後に音声案内があってもユーザーが聞き取れ難いことがある。この結果、ユーザーは、曲がるべき交差点に気付かず、道を間違えてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、電話の通信相手側との会話中に、経路の音声案内が出力されることを防止できるナビゲーション装置及び経路案内制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
通話相手と通信可能な電話通信部と、
該電話通信部に着信があると着信を報知する着信報知手段と、
出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、
該経路検索手段によって検索された経路上の案内ポイントを記憶する経路記憶手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
該現在位置検出手段によって検出された現在位置が前記経路記憶手段に記憶された案内ポイントから第1の所定距離にあるとき前記案内ポイントでの経路案内を行う経路案内制御手段と、
を備えたナビゲーション装置であって、
該経路案内制御手段は、前記案内ポイントから前記第1の所定距離よりも離れた第2の所定距離以内に現在位置があるとき前記電話通信部に着信があると前記案内ポイントでの経路案内を行うことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、
案内ポイントから第1の所定距離よりも離れた第2の所定距離以内に現在位置があるとき電話通信部に着信があると前記案内ポイントでの経路案内を行う。これにより、ユーザーが電話の会話中に経路案内が音声出力されることがない。この結果、ユーザーが電話の会話に夢中になり、曲るべき交差点に気付かなくなるということを防止できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
経路案内を行ったのち前記着信報知手段に着信を報知させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、
経路案内が行われたのち着信の報知が行われる。この結果、ユーザーが経路を確認したのち着信に応答するので電話の会話に夢中になり、曲るべき交差点に気付かなくなるということを防止できる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、
通話相手と通信可能な電話通信部に着信があると着信を報知する着信報知工程と、
出発地から目的地までの経路を検索する経路検索工程と、
該経路検索工程によって検索された経路上の案内ポイントを記憶する経路記憶工程と、
現在位置を検出する現在位置検出工程と、
該現在位置検出工程によって検出された現在位置が前記経路記憶工程において記憶された案内ポイントから第1の所定距離にあるとき前記案内ポイントでの経路案内を行う経路案内工程と、
を備えた経路案内制御方法において、
該経路案内工程は、前記案内ポイントから前記第1の所定距離よりも離れた第2の所定距離以内に現在位置があるとき、前記電話通信部に着信があると前記案内ポイントでの経路案内を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、
案内ポイントから第1の所定距離よりも離れた第2の所定距離以内に現在位置があるとき電話通信部に着信があると前記案内ポイントでの経路案内を行う。これにより、ユーザーが電話の会話中に経路案内が音声出力されることがない。この結果、ユーザーが電話の会話に夢中になり、曲るべき交差点に気付かなくなるということを防止できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、
経路案内を行ったのち着信を報知させることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、
経路案内が行われたのち着信の報知が行われる。この結果、ユーザーが経路を確認したのち着信に応答するので電話の会話に夢中になり、曲るべき交差点に気付かなくなるということを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電話の通信相手側との会話中に、経路の音声案内が出力されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、表示部12と、スピーカ14と、マイク16と、現在位置検出部18と、地図記憶部20と、操作部22と、ROM24と、RAM26と、オーディオ装置28と、ハンズフリー機能を有した電話通信部30と、制御部32と、を備えている。
【0016】
表示部12は、所定の情報を表示するとともに、特に走行経路付近の地図を表示する。
【0017】
スピーカ14は、着信があったときに報知音及び通信相手側からの音声を出力し、また経路案内などの所定の音声を出力する。
【0018】
マイク16に所定の音声を入力することにより通信相手側と会話することができる。
【0019】
現在位置検出部18は、いわゆるGPS機能を有しており、現在位置を検出する。
【0020】
地図記憶部20は、地図に関するデータを記憶する。
【0021】
操作部22により、所定の入力操作を行うことができる。
【0022】
ROM24には、各部の制御を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0023】
RAM26には、後述する制御部32によって検索された経路上にある目標とする場所(例えば曲るべき交差点など)が記憶され、この目標とする場所から第1の距離だけ進行方向手前の位置に到達した場合には、所定の経路案内を音声出力させるためのプログラムが記憶されている。特に、RAM26には、図3に示すように、所定の地点A(例えば、交差点A)から所定の地点Aに関する経路案内が開始されるまでの第1の距離L1の地点Bと、所定の地点Aからの距離が第1の距離L1よりも長くかつ第1の距離L1の地点Bよりも進行方向反対側にある第2の距離L2の地点Cと、の間に現在位置があるときに、電話通信部30に着信が生じた場合には、制御部32により第1の距離L1の地点Bでなくても所定の地点Aに関する経路案内をスピーカ14から出力させるとともに、所定の地点Aに関する経路案内の出力後に着信音をスピーカ14から報知させるプログラムが記憶されている。
【0024】
オーディオ装置28は、例えばCD−ROMなどを挿入することにより所定の音楽を出力させる。
【0025】
電話通信部30により、外部の携帯電話34などの通信装置と通信(通話)することが可能になる。この電話通信部30は、ハンズフリー機能を有しているため、ユーザーが所定の操作をしなくてもマイク16に対して話すだけで電話の通信相手側と会話することができる。
【0026】
制御部32は、ROM24、RAM26及び地図記憶部20にそれぞれ記憶されたプログラム及びデータに基づいて各部を制御する。具体的には、図3に示すように、所定の地点A(例えば交差点A)から所定の地点Aに関する経路案内が開始されるまでの第1の距離L1の地点Bと、所定の地点Aからの距離が第1の距離L1よりも長くかつ第1の距離L1の地点Bよりも進行方向反対側にある第2の距離L2の地点Cと、の間にユーザーの現在位置があるときに、電話通信部30に着信が生じた場合には、制御部32により第1の距離L1の地点Bでなくても所定の地点Aに関する経路案内をスピーカ14から出力させるように制御するとともに、所定の地点Aに関する経路案内の出力後に着信音をスピーカ14から報知させるように制御する。
【0027】
また、制御部32は操作部22を介してユーザーによって出発地及び目的地が入力されると地図記憶部に記憶された地図データに基づいて最適な経路を検索する。
【0028】
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置10の作用を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0029】
図2に示すように、現在位置検出部18及び制御部32により前方の案内交差点までの距離が計測される(S10)。次に、外部の携帯電話34から電話通信部30に着信が有るか否かが制御部32により判断される(S20)。この結果、外部の携帯電話34から電話通信部30に着信が無いと判断されると(S20:NO)、交差点案内ポイントか否かが現在位置検出部18の検出結果、地図記憶部20及びRAM26に記憶された内容に基づいて制御部32により判断される(S30)。具体的には、図3に示すように、交差点Aから第1の距離L1の地点Bであるか否かが判断さる。交差点案内ポイントである(交差点Aから第1の距離L1の地点Bである)と判断されると(S30:YES)、スピーカ14から交差点案内(経路案内)に関する音声が出力される(S40)。スピーカ14から交差点案内(経路案内)に関する音声が出力された後、又は交差点案内ポイントではない(交差点Aから第1の距離L1の地点Bではない)と判断された場合には(S30:NO)、S10に移行する。
【0030】
一方、S20において、外部の携帯電話34から電話通信部30に着信が有ると判断されると(S20:YES)、案内交差点(例えば、図3の交差点A)からの距離が所定の距離(例えば、図3の第2の距離L2)以内であるか否かが現在位置検出部18の検出結果及び地図記憶部20の内容に基づいて制御部32により判断される(S50)。この結果、S50において、案内交差点(例えば、図3の交差点A)からの距離が所定の距離(例えば、図3の第2の距離L2)以内であると判断されると(S50:YES)、スピーカ14から交差点案内(経路案内)に関する音声が出力される(S70)。そして、交差点案内(経路案内)が終了したか否かが制御部32により判断される(S80)。交差点案内(経路案内)が終了したと判断された場合には(S80:YES)、スピーカ14から着信を示す着信音が報知される(S90)。スピーカ14から着信を示す着信音が報知されると、電話の通信相手側と通話が開始される(S100)。そして、通話が終了したか否かが制御部32により判断される(S110)。通話が終了したと制御部32により判断されると(S110:YES)、S10に移行する。なお、S50において、案内交差点(例えば、図3の交差点A)からの距離が所定の距離(例えば、図3の第2の距離L2)以内ではないと判断されると(S50:NO)、S90にそのまま移行する。
【0031】
以上のように、本実施形態のナビゲーション装置10によれば、所定の地点Aから所定の地点Aに関する経路案内が開始されるまでの第1の距離L1の地点Bと、所定の地点Aからの距離が第1の距離L1よりも長くかつ第1の距離L1の地点Bよりも進行方向反対側にある第2の距離L2の地点Cと、の間に現在位置があるときに、電話通信部30に着信が生じた場合には、制御部32により経路案内がスピーカ14から出力されるとともに、経路案内の出力後に着信音が報知される。これにより、ユーザーが電話の会話中に経路案内が音声出力されることがない。この結果、ユーザーが電話の会話に夢中になり、曲るべき交差点に気付かなくなるということを防止できる。
【0032】
なお、本実施例ではナビゲーション装置内に電話通信部30を備え、携帯電話34と通話をするようにしたがこれに限定されるものではなく、例えば、ナビゲーション装置と携帯電話とを有線あるいは近距離無線通信を用いて接続し、接続された携帯電話を介して携帯電話34と通話するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置により着信音が報知される位置と経路案内が開始される位置との位置関係を示した図である。
【符号の説明】
【0034】
10 ナビゲーション装置
14 スピーカ(音声出力部)
18 現在位置検出部
20 地図記憶部(記憶部)
24 ROM(記憶部)
26 RAM(記憶部)
30 電話通信部
32 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話相手と通信可能な電話通信部と、
該電話通信部に着信があると着信を報知する着信報知手段と、
出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、
該経路検索手段によって検索された経路上の案内ポイントを記憶する経路記憶手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
該現在位置検出手段によって検出された現在位置が前記経路記憶手段に記憶された案内ポイントから第1の所定距離にあるとき前記案内ポイントでの経路案内を行う経路案内制御手段と、
を備えたナビゲーション装置であって、
該経路案内制御手段は、前記案内ポイントから前記第1の所定距離よりも離れた第2の所定距離以内に現在位置があるとき前記電話通信部に着信があると前記案内ポイントでの経路案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路案内制御手段は、経路案内を行ったのち前記着信報知手段に着信を報知させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
通話相手と通信可能な電話通信部に着信があると着信を報知する着信報知工程と、
出発地から目的地までの経路を検索する経路検索工程と、
該経路検索工程によって検索された経路上の案内ポイントを記憶する経路記憶工程と、
現在位置を検出する現在位置検出工程と、
該現在位置検出工程によって検出された現在位置が前記経路記憶工程において記憶された案内ポイントから第1の所定距離にあるとき前記案内ポイントでの経路案内を行う経路案内工程と、
を備えた経路案内制御方法において、
該経路案内工程は、前記案内ポイントから前記第1の所定距離よりも離れた第2の所定距離以内に現在位置があるとき、前記電話通信部に着信があると前記案内ポイントでの経路案内を行うことを特徴とする経路案内制御方法。
【請求項4】
前記経路案内工程は、経路案内を行ったのち着信を報知させることを特徴とする請求項3に記載の経路案内制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−85986(P2007−85986A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277573(P2005−277573)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】