説明

ナビゲーション装置および車両制御装置

【課題】検知した現在地情報の信頼性を判断するナビゲーション装置および車両制御装置を提供する。
【解決手段】センサフュージョン部21はセンサ22a〜22dが検出した最新の検出値を取得して現在地を検出する。次に、各々のセンサの誤差と、検出された現在地の確からしさを表す指標値とを算出し、指標値を判定部24へ出力する。センサ監視部23はセンサ22a〜22dの状態を監視し、特定のセンサが異常な状態にある場合には異常信号を判定部24へ出力する。判定部24はまず、センサフュージョン部21が出力する指標値が所定のしきい値を上回っているか否かを調べる。上回っていた場合、スイッチ25を遮断し、自車両2に現在地情報が出力されないようにする。他方、指標値が所定のしきい値以下であった場合には、判定部24は、一定時間後の指標値の予測を行う。一定時間後の指標値がしきい値を上回る場合、自車両2に対してその時刻を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在地を検知する機能を有するナビゲーション装置および車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のナビゲーション装置や車両には、速度センサや加速度センサなどの種々のセンサが搭載されている。ナビゲーション装置や車両の制御装置は、これらのセンサが出力する情報に基づいて所定の制御を行う。このような装置の中には、センサが出力する情報から周辺環境を認識し、制御が困難な環境であると判断した場合に、利用者に対して制御を中止する旨を報知するものが存在する。例えば特許文献1には、走行中の道路状況を認識し、運転支援制御に支障が生じる可能性がある場合には、ドライバーに制御を中止する可能性があることを通知する車両用運転支援装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−205805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、センサから得られた情報を基に道路状況を認識し、今後道路状況を正しく認識できるか否かを判定する。しかしながら、例えば故障によりセンサの精度が低下する等、センサから得られる情報自体の信頼性が低下することを考慮していない。従って、そのような障害が発生した場合には、期待する動作を得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、複数のセンサからそれぞれ出力される複数の検出値を入力する入力手段と、前記複数の検出値に基づいて所定のセンサフュージョン処理を実行することにより、現在地を検出する現在地検出手段と、前記現在地に基づいて、前記複数の検出値の誤差を表す誤差情報を算出する誤差算出手段と、前記複数の検出値と、前記誤差情報とに基づいて、前記現在地の確からしさを表す指標値を算出する指標値算出手段と、前記指標値に基づいて、前記現在地の信頼性を判断する信頼性判断手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置である。
請求項9に係る発明は、車両制御信号の一つとして、請求項4〜8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置からの出力信号を用いることを特徴とする車両制御装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数あるセンサのうち一部のセンサに異常が発生した場合であっても、検知した現在地情報の信頼性を正確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態におけるナビゲーション装置による現在地の検出処理を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態におけるナビゲーション装置による現在地の検出処理を示すフローチャートである。
【図4】第3の実施の形態におけるナビゲーション装置による現在地の検出処理を示すフローチャートである。
【図5】第4の実施の形態におけるナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】第4の実施の形態におけるナビゲーション装置による現在地の検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
――第1の実施の形態――
図1は、本実施形態におけるナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【0009】
ナビゲーション装置1は、制御回路11、記憶装置12、表示モニタ13、入力装置14、タッチパネルコントロール部15、タッチパネル16、センサフュージョン部21、振動ジャイロ22a、速度センサ22b、加速度センサ22c、GPSセンサ22d、センサ監視部23および判定部24を有している。
【0010】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、記憶装置12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。記憶装置12は制御プログラムが格納されたROM、制御プログラムの作業用領域として用いられるRAM、地図データが格納されたHDDなどである。制御回路11が記憶装置12に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ13に表示される。
【0011】
記憶装置12に格納される地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。リンク情報には、各リンクの旅行時間(以下、リンク旅行時間)の情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、地図データが格納される記憶装置12は、HDD以外の他の記録メディア、例えばDVD−ROMやCD−ROMであってもよい。
【0012】
表示モニタ13は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。入力装置14は、ユーザが各種コマンドを設定するための入力スイッチを有し、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ13の表示画面の指示にしたがって入力装置14を操作することにより、目的地を設定する。
【0013】
タッチパネル16は、表示モニタ13の表面に積層される透明のタッチスイッチであり、表示モニタ13に表示される画像はタッチパネル16を通して表示される。タッチパネル16は、タッチパネル16上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部15に送出する。そして、タッチパネルコントロール部15はタッチパネル16の押圧位置を算出する。
【0014】
センサフュージョン部21は、複数のセンサ(22a〜22d)から取得したセンサ値に基づいて、車両の現在地を検出する回路である。センサフュージョン部21によって検出された現在地を含む現在地情報は、制御回路11へ出力される。制御回路11は、現在地情報に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0015】
上記の処理に加えて、制御回路11は、センサフュージョン部21が出力した現在地情報を、スイッチ25を経由して自車両2へと出力する。自車両2は制御回路11が出力した現在地情報を用いて、例えば急カーブの手前で自動的に減速したり、一時停止線の手前で自動的に停止するなどといった車両の制御を実行する。
【0016】
センサフュージョン部21が用いるセンサは、振動ジャイロ22a、速度センサ22b、加速度センサ22cおよびGPS(Global Positioning System)センサ22dである。なお、センサフュージョン部21は現在地を検出するために、これら以外のセンサを用いてもよい。センサフュージョン部21は、所定時間が経過するか、あるいは所定距離を走行する度に、これらのセンサが検出した最新の検出値を取得し、現在地の検出を行う。本実施例では、カルマンフィルターを用いて各々のセンサの検出値から現在地を検出する。
【0017】
振動ジャイロ22aは車両の進行方向を、速度センサ22bは車両の速度を、加速度センサ22cは車両の加速度をそれぞれ取得するためのセンサである。GPSセンサ22dは、GPS衛星からのGPS信号を検出する。
【0018】
センサフュージョン部21は現在地を検出した後、現在地に対する各々のセンサの検出値に含まれる誤差を算出する。本実施例では、この誤差はカルマンフィルターで用いた誤差共分散行列の値である。
【0019】
次にセンサフュージョン部21は、各々のセンサにおける誤差と検出された現在地とを用いて、検出された現在地の確からしさを表す指標値を算出し、判定部24へ出力する。この指標値は、検出した現在地が実際の現在地と異なる確率が低ければ小さくなり、検出した現在地が実際の現在地とは異なる確率が高ければ大きくなる数値である。すなわち、検出した現在地の信頼性が高ければ、指標値は低くなる。本実施例では、現在地に対する各々のセンサの検出値のマハラノビス距離を算出し、指標値とする。
【0020】
センサ監視部23は、センサフュージョン部21が用いる各々のセンサの状態を監視する。そして、特定のセンサが異常な状態にあることを検知した場合には、異常信号を判定部24へ出力する。異常な状態とは、例えばセンサが一定期間検出値を出力しない、センサが検出値を出力するはずのタイミングで検出を出力しない、一定期間明らかな誤りを含む検出値を出力し続けた、などの状態が挙げられる。なお、ある検出値が明らかな誤りを含むか否かは、例えば検出値が所定の範囲に含まれるか否かで判定してもよいし、センサフュージョン部21が算出した現在地から推定される検出値との差が所定のしきい値を上回るか否かにより判定してもよい。
【0021】
判定部24は、まず、センサフュージョン部21が出力する指標値が所定のしきい値を上回っているか否かを調べる。指標値が所定のしきい値を上回っていた場合、センサフュージョン部21が出力する現在地情報は信頼できない情報であると判断し、スイッチ25を遮断する。これにより、自車両2には現在地情報が出力されなくなり、自車両2は現在地情報を用いた制御を行わなくなる。
【0022】
他方、指標値が所定のしきい値以下であった場合には、判定部24は、センサフュージョン部21が出力する指標値と、センサ監視部23が出力する信号とに基づいて、一定時間後の指標値の予測を行う。この予測は、センサの状態が現在と変わらないことを仮定して行われる。すなわち、判定部24は、現在の状態のまま自車両が一定時間走行を継続した場合に、指標値がどのように変化するかを予測する。そして、一定時間後に指標値がしきい値を上回ると予測された場合には、自車両2に対して、一定時間後に指標値がしきい値を上回ることを通知する。自車両2はこの通知に応じて、車両の現在地情報が利用できなくなることを利用者に通知したり、一定時間後に自動的に制御を中止したりする。
【0023】
判定部24によりスイッチ25が遮断された後、スイッチ25を遮断した原因が解消された場合には、判定部24は再びスイッチ25を接続する。これにより、自車両2へ再び現在地情報が出力されるようになる。例えば、特定のセンサが一定期間明らかな誤りを含む検出値を出力し続けていたためにスイッチ25が遮断された場合には、このセンサが再び正しい検出値を出力するようになった時点で、判定部24によりスイッチ25が接続される。
【0024】
なお、スイッチ25が遮断されてから再び接続されるまで、必ず一定の間隔を空けるようにしてもよい。例えば、一時的に指標値が高くなりスイッチ25が遮断され、その1秒後には指標値が低下ししきい値以下になった場合であっても、最低5秒間が経過するまでスイッチ25が接続されないようにしてもよい。
【0025】
次に、ナビゲーション装置1による現在地の検出処理について、図を用いて説明する。図2は、ナビゲーション装置1による現在地の検出処理を示すフローチャートである。まずステップS11では、センサ22a〜22dから最新の検出値を取得する。ステップS12では、センサから取得した検出値に対しカルマンフィルタを適用して、現在地を算出する。ステップS13では、ステップS12で算出した現在地を現在地情報として自車両2に出力する。ステップS14では、センサから取得した検出値を用いて誤差共分散行列を算出する。
【0026】
ステップS15では、ステップS14で算出した誤差共分散行列のマハラノビス距離を算出し、検出された現在地の指標値とする。ステップS16では、ステップS15で算出した指標値が、所定のしきい値を上回っているか否かを判定する。指標値がしきい値よりも大きかった場合、ステップS16により肯定判定がなされ、ステップS17に進む。ステップS17では、センサフュージョン部21から自車両2へ出力される現在地情報を遮断し、処理を終了する。他方、ステップS16により否定判定がなされた場合には、ステップS18へ進む。
【0027】
ステップS18では、センサ監視部23がセンサの異常を通知しているか否かを判定する。センサ監視部23が異常信号を出力していない場合には、ステップS18により否定判定がなされ、処理を終了する。他方、ステップS18により肯定判定がなされた場合には、ステップS19へ進む。
【0028】
ステップS19では、指標値と、現在地の検出に用いる自車両2のモデルとに基づいて、一定時間後の指標値を予測する。ステップS20では、指標値が一定期間内にしきい値よりも大きくなると予測された否かを判定する。指標値がしきい値よりも大きくなると予測された場合にはステップS20により肯定判定がなされ、ステップS21へ進む。ステップS21では、指標値がしきい値よりも大きくなると予想される時刻を自車両2へ出力して、処理を終了する。他方、ステップS20により否定判定がなされた場合には、そのまま処理を終了する。
【0029】
上述した第1の実施の形態によるナビゲーション装置によれば、次の作用効果が得られる。
(1)センサフュージョン部21は、複数のセンサ22a〜22dからそれぞれ出力される複数の検出値に基づいてセンサフュージョン処理を実行することにより現在地を検出する。そして、検出した現在値に基づいて各々のセンサに対応する複数の検出値の誤差を算出し、その後現在地の確からしさを表す指標値を算出する。判定部24は、この指標値に基づいて、検出された現在地の信頼性を判断する。これにより、検出した現在地がどれくらい確かなのかを認識することができる。
【0030】
(2)判定部24は、現時点から一定時間後の指標値を予測することにより、検出された現在地の信頼性を判定する。これにより、今後検出される現在地が信頼できるものなのかを事前に把握することが出来る。
【0031】
(3)センサ監視部23はセンサ22a〜22dの状態を監視し、異常なセンサが存在した場合には判定部24にその旨を通知する。判定部24はこの通知を受けると、指標値の予測を行うことにより検出された現在地の信頼性を判断する。これにより、センサの故障等による現在地の信頼性への影響を早期に確認することができる。
【0032】
(4)制御回路11は、センサフュージョン部21が検出された現在地を自車両2へ出力し、判定部24は一定時間内に指標値が所定のしきい値を上回ると予測した場合に、指標値がしきい値を上回る時刻を自車両2へ出力する。これにより、自車両2は制御を中止する可能性があることを事前に利用者へ通知することができる。
【0033】
(5)判定部24は、指標値が所定のしきい値を上回った場合、検出された現在地が信頼できないと判断して、制御回路11から自車両2へ出力される現在地情報を遮断する。これにより、自車両2が大きく誤った現在地情報を用いて制御を行うことを回避することができる。
【0034】
(6)判定部24は、現在地情報を遮断した後に再び指標値がしきい値以下になった場合、制御回路11から自車両2へ出力される現在地情報の遮断を解除する。これにより、ノイズ等によりセンサが一時的に異常であった場合でも、自車両2が再び制御を開始することができる。
【0035】
上述した第1の実施の形態では、センサの監視結果を指標値の予測に用いていた。以下に詳述する第2の実施の形態では、センサの監視結果をセンサの誤差の算出に用いる。
【0036】
――第2の実施の形態――
図3は、第2の実施の形態におけるナビゲーション装置による現在地の検出処理を示すフローチャートである。図2に示した第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の処理との違いは、ステップS34およびステップ38に存在する。
【0037】
ステップS34では、誤差共分散行列ではなく、センサの検出値とセンサが本来出力するであろう検出値との差をとり、センサの誤差としている。またこのとき、センサ監視部がセンサの異常を通知している場合には、該当するセンサの検出値が大きな誤差を含んでいるものとして扱う。また第1の実施の形態では、指標値の予測を行う前にセンサの監視結果に基づく分岐が存在したが、本実施形態におけるステップS38の前にはこのような分岐は存在しない。
【0038】
上述した第2の実施の形態によるナビゲーション装置によれば、第1の実施の形態によるナビゲーション装置で得られる作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0039】
上述した第2の実施の形態では、センサの監視結果を指標値の予測に用いていた。以下に詳述する第3の実施の形態では、センサの監視結果をセンサの誤差の算出に用いる。
【0040】
――第3の実施の形態――
図4は、第3の実施の形態におけるナビゲーション装置による現在地の検出処理を示すフローチャートである。図3に示した第2の実施の形態におけるナビゲーション装置の処理との違いは、ステップS44およびステップ45に存在する。
【0041】
ステップS44では、ステップS34とは異なり、センサ監視部による異常の通知を用いずにセンサの誤差としている。代わりに、ステップS45で、センサ監視部の通知を考慮した指標値の算出を行う。
【0042】
上述した第3の実施の形態によるナビゲーション装置によれば、第2の実施の形態によるナビゲーション装置で得られる作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0043】
上述した第3の実施の形態では、センサの監視や指標値に基づいた現在地情報の遮断を行っていた。以下に詳述する第4の実施の形態では、センサの監視結果をセンサの誤差の算出に用いる。
【0044】
――第4の実施の形態――
図5は、第4の実施の形態におけるナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置101は、第1の実施の形態におけるナビゲーション装置1とは異なり、センサの状態を監視するセンサ監視部と、自車両への現在地情報の出力を遮断するためのスイッチとを有さない。
【0045】
図6は、第4の実施の形態におけるナビゲーション装置による現在地の検出処理を示すフローチャートである。まずステップS51では、センサ22a〜22dから最新の検出値を取得する。ステップS52では、センサから取得した検出値に対しカルマンフィルタを適用して、現在地を算出する。ステップS53では、ステップS52で算出した現在地を現在地情報として自車両2に出力する。ステップS54では、センサの検出値とセンサが本来出力するであろう検出値との差をとり、センサの誤差を算出する。
【0046】
ステップS55では、ステップS54で算出したセンサの誤差を用いて、ステップS52で検出した現在地の指標値を算出する。ステップS56では、指標値と、現在地の検出に用いる自車両102のモデルとに基づいて、一定時間後の指標値を予測する。ステップS57では、指標値が一定期間内にしきい値よりも大きくなると予測された否かを判定する。指標値がしきい値よりも大きくなると予測された場合にはステップS57により肯定判定がなされ、ステップS58へ進む。ステップS58では、指標値がしきい値よりも大きくなると予想される時刻を自車両102へ出力して、処理を終了する。他方、ステップS57により否定判定がなされた場合には、そのまま処理を終了する。
【0047】
本実施形態において、ナビゲーション装置101は、自車両102への現在地情報の出力を、現在地情報にどれだけ誤りが含まれていようとも継続する。自車両102は、ナビゲーション装置101より送信された現在地情報を利用するか否かを、判定部124が出力する情報に基づいて決定する。なお、判定部124が自車両102へ指標値がしきい値よりも大きくなると予想される時刻を出力する際に、現在の指標値がしきい値よりも大きいか否かを表す情報を併せて出力してもよい。
【0048】
上述した第4の実施の形態によるナビゲーション装置によれば、第3の実施の形態によるナビゲーション装置で得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)制御回路111が出力する現在地情報は、常に自車両102へ入力され、判定部124により遮断されることがない。これにより、制御を続けるか否かを自車両2が自由に判断できる。
【0049】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(1)センサフュージョン部が現在地の検出にカルマンフィルター以外のアルゴリズムを用いてもよい。例えばベイズフィルタや最小自乗法、最尤推定などにより現在地の検出を行ってもよい。
【0050】
(2)センサの誤差として、誤差共分散行列以外の値を用いてもよい。例えば推定値とセンサの検出値との差をセンサの誤差としてもよいし、センサの検出値の分散をセンサの誤差としてもよい。
【0051】
(3)指標値として、マハラノビス距離以外の値を用いてもよい。例えばセンサの検出値の分散値を指標値としてもよいし、センサの検出値のS/N比を指標値としてもよい。
【0052】
(4)判定部24が自車両2へ、指標値がしきい値を上回る時刻以外の情報を出力してもよい。例えば現在地が信頼できるか否かの二値を出力するようにしてもよいし、現在地の信頼性を表す数値を出力するようにしてもよい。
【0053】
(5)複数のセンサを用いて現在地を算出するナビゲーション装置であれば、車載用であるか否かを問わない。また、信頼性の判断結果は車両以外の装置に出力されてもよい。例えば現在地の信頼性を液晶モニタに表示する携帯用のPND(Personal Navigation Device)であってもよい。
【0054】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1,101 ナビゲーション装置
2,102 自車両
11,111 制御回路
21 センサフュージョン部
22a 振動ジャイロ
22b 速度センサ
22c 加速度センサ
22d GPSセンサ
24,124 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサからそれぞれ出力される複数の検出値を入力する入力手段と、
前記複数の検出値に基づいて所定のセンサフュージョン処理を実行することにより、現在地を検出する現在地検出手段と、
前記現在地に基づいて、前記複数の検出値の誤差を表す誤差情報を算出する誤差算出手段と、
前記複数の検出値と、前記誤差情報とに基づいて、前記現在地の確からしさを表す指標値を算出する指標値算出手段と、
前記指標値に基づいて、前記現在地の信頼性を判断する信頼性判断手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記指標値算出手段が算出した前記指標値に基づいて現時点から一定時間後の指標値を予測する指標値予測手段をさらに備え、
前記信頼性判断手段は、前記指標値予測手段が前記予測した指標値に基づいて、前記現在地の信頼性を判断することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記複数のセンサの状態を識別する状態識別手段をさらに備え、
前記信頼性判断手段は、前記状態識別手段が識別した前記複数のセンサの状態を併せ用いて、前記現在地の信頼性を判断することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記信頼性判断手段により前記現在地の信頼性が信頼できると判断した場合に、前記ナビゲーション装置が搭載されている車両へ前記現在地を出力することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記信頼性判断手段は、前記現在地の信頼性を判断した結果を前記ナビゲーション装置が搭載されている車両へ出力することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記信頼性判断手段は、前記指標値予測手段により現時点から一定時間内に指標値が所定のしきい値を上回ると予測された場合に、前記指標値予測手段による予測結果を前記車両へ出力することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記信頼性判断手段は、前記指標値予測手段により現時点から一定時間内に指標値が所定のしきい値を上回らないと予測されている間、前記現在地が信頼できることを表す情報を前記車両へ出力し続けることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記現在地検出手段は、前記信頼性判断手段により前記現在地が信頼できないと判断された場合には、前記車両への前記現在地の出力を遮断することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項8に記載のナビゲーション装置において、
前記現在地検出手段は、前記現在地の出力を遮断した後、前記信頼性判断手段により前記現在地が信頼できると判断された場合には、前記車両への前記現在地の出力を再開することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
車両制御信号の一つとして、請求項5〜9のいずれか一項に記載のナビゲーション装置からの出力信号を用いることを特徴とする車両制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−2355(P2011−2355A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146202(P2009−146202)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】