説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション関連情報表示方法

【課題】本発明は、測位結果に信頼性があることを分かり易く提示できるようにする。
【解決手段】本発明は、複数のGPS衛星から複数の軌道データS2(S2A、S2B、S2C)を取得し、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)及び複数のGPS衛星との距離データに基づいて自身の現在位置を測位し、測位を行うに足りる複数の軌道データS2(S2A、S2B、S2C)を取得し終わるまでの取得経過レベルをレベルマークLMとして表示部13に表示し、現在位置の測位に用いることが許された複数の軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する有効残時間をカウントし、当該有効残時間をレベルマークLMに対するグラデーション化表示によって提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション関連情報表示方法に関し、例えば持ち運び自在なポータブルナビゲーションデバイスに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ。)においては、少なくとも3個のGPS(Global Positioning System)衛星から送信されてくる測位に必要なデータをそれぞれ取得し、これを解析することにより、車両の現在位置(緯度、経度)を算出するようになされている。
【0003】
またPNDにおいては、3個以上のGPS衛星から測位に必要なデータを取得し解析することにより、車両の現在位置(緯度、経度)に加えて高度についても算出し得るようになされている。
【0004】
そしてPNDでは、車両の現在位置を地図上に表示し、出発地から目的地までの走行経路を探索した後、当該走行経路を介してユーザを目的地までナビゲーションするようになされている。
【0005】
ところでPNDでは、現在位置を測位するに当って、当該PNDにとって受信可能なGPS衛星から衛星軌道情報等でなる軌道データが必要である。この軌道データは約2時間毎に更新され、更新後4時間程度まで有効な寿命を持った情報である。
【0006】
従ってPNDでは、電源がオフされたままの状態で4時間以上経過したような場合、改めてそれぞれのGPS衛星から新たな軌道データを取得し直さなければならない。このときPNDは、GPS衛星から約30秒周期で軌道データが送られてくるため、最低でも30秒間連続して軌道データを受信できるという通信環境が確保されていることが望ましい。
【0007】
しかしながらPNDでは、GPS衛星から送られてくる軌道データを最低でも30秒間連続して受信できる良好な通信環境を確保したいところ、走行中であったり、停車中であってもビルの陰になっていたり、良好な通信環境を確保できないことが多い。
【0008】
このような場合PNDは、GPS衛星からの軌道データが全て完全には揃わないため、次の周期で当該軌道データを再取得して全て揃うのを待ち、それでも揃わなければ、更に次の周期で当該軌道データを再取得して全て揃うのを待つことになる。
【0009】
実際上PNDでは、少なくとも3個以上のGPS衛星からの軌道データをそれぞれ全て完全に取得しなければならないため、通信環境によっては、3個以上のGPS衛星からの軌道データが全て完全に揃うまでには数分間程度を要することもある。
【0010】
そうなるとPNDでは、前回電源がオフされてから4時間以上経過した後に、再度電源が投入された場合や、GPS衛星からの電波を4時間以上も受信できない通信環境にある場合、ユーザに対して車両の現在位置が特定されるのを数分間も待たせることになり、不安感を抱かせることになる。
【0011】
そこで、このような軌道データをGPS衛星から取得しているときの進捗状況を数値や棒グラフで表現することにより、軌道データの取得経過の進捗状況をユーザに提示し、不安感を解消させるようになされた衛星情報表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002-181915公報
【0012】
また、軌道データではないが、GPS衛星からの電波の受信レベルを棒グラフ状にバー表示したGPS受信装置についても提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献2】特許第3700882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところでかかる上述した特許文献1の衛星情報表示装置においては、軌道データの取得経過の進捗状況をユーザに対してGPS衛星毎に確認させることができるものの、それぞれの軌道データを一旦取得してから更新することなく測位に用い得ることが可能な有効残時間についてまで提示してはいない。
【0014】
この場合、衛星情報表示装置においては、例えば車両が地下にあってGPS衛星からの軌道データを長時間取得できず、その間に軌道データの有効残時間を超過したような場合、再びGPS衛星を受信できる状況になっても、再度軌道データを取得するために、現在位置を測位するまでユーザを数分間程度待たせることになり、また現在位置を測位するまでに要する時間の原因が何であるかを通知することもないためユーザに対して不要な不安を抱かせるという問題があった。
【0015】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、測位が可能または不可能になるまでの軌道データの取得具合を直感的かつ分かり易く提示し得るナビゲーション装置及びナビゲーション関連情報表示方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる課題を解決するため本発明においては、複数の衛星から当該衛星の軌道データをそれぞれ復調することにより複数の軌道データを取得する取得し、複数の軌道データ又はそれ以外のデータを受信したときの到達時間に基づいて複数の衛星から複数の距離データをそれぞれ算出し、複数の軌道データ及び複数の距離データに基づいて自身の現在位置を測位し、測位を行うに足りる複数の軌道データを取得し終わるまでの取得経過レベルを監視し、複数の軌道データに対する測位を行うに足りるまでの取得率を所定のバー表示でなるレベルマークとして表示部に表示し、現在位置の測位に用いられた軌道データに対する有効残時間をカウントし、当該有効残時間を表示部に所定の表示形態で表示するようにする。
【0017】
これにより、複数の軌道データに対する測位を行うに足りるまでの取得率をバー表示のレベルマークとして提示することによって現在位置を正確に測位するまでの待ち時間をおおよそ通知した後、現在位置の測位に用いた軌道データの有効残時間を表示したことによって測位できなくなる要因と測位できなくなるまでの残時間を明示的にユーザに対して認識させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の軌道データに対する測位を行うに足りるまでの取得率をバー表示のレベルマークとして提示することによって現在位置を正確に測位するまでの待ち時間をおおよそ通知した後、現在位置の測位に用いた軌道データの有効残時間を表示したことによって測位できなくなる要因と測位できなくなるまでの残時間を明示的にユーザに対して認識させることができ、かくして測位が可能または不可能になるまでの軌道データの取得具合を直感的かつ分かり易く提示し得るナビゲーション装置及びナビゲーション関連情報表示方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0020】
(1)PNDの全体構成
図1において、1は全体として本発明のポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ。)を示し、4.8型の液晶ディスプレイを搭載した表示部13の裏側にクレードル部15が設けられた構成を有し、当該クレードル部15の吸盤15Aを介して車両のダッシュボードに対して容易に装着し得、かつ容易に取り外しできるようになされている。
【0021】
一般的に、GPSにより現在位置を測位するだけでなく、当該GPSによる測位が出来ないときには、車両から取り込んだ車速パルスに基づいて車両の走行速度を算出し、ジャイロセンサからの出力に基づいて車両の進行方向を算出することにより、当該車両の現在位置を推測する所謂フルナビゲーションシステムが存在する。
【0022】
これに対して、この種のPND1は車両に対して容易に脱着を可能とした構成を有するものであるため、フルナビゲーションシステムとは異なり、車速パルスやジャイロセンサに頼ることなくGPSによってのみ現在位置を測位するタイプの簡易型のナビゲーションシステムであることを特徴とする。
【0023】
(2)PNDの回路構成
図2に示すようにPND1は、マイクロコンピュータ構成の制御部9が基本プログラムに従って全体を統括制御すると共に、記憶部6に格納された種々のアプリケーションプログラムに従って各種ナビゲーション処理を実行するようになされている。
【0024】
実際上PND1は、GPSアンテナ2によって受信した複数のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)からの衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を復調部3によって復調することにより軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)を復元し、これらを軌道データ取得率算出部4及び測位演算部5へ送出する。
【0025】
ここで軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)は、GPS衛星がどのような軌道で周回しているかを示す詳細軌道情報(パラメータ)であり、車両の現在位置を正確に測位するために少なくとも3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)から取得しておく必要があるものであって、およそ2時間毎に更新され、更新後4時間まで有効な寿命のある情報である。
【0026】
この場合、「有効」とは更新後4時間までであれば、その軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)を用いて車両の現在位置を測位したときに所定レベルの精度を保証することができることを意味し、逆に更新後4時間を越えた軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)を用いて車両の現在位置を測位したときには所定レベルの精度を保証し得ないことを意味する。
【0027】
因みに軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)は、GPS衛星から約50[bps]で送信されており、PND1が軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)を受信するのに約30秒間程度を要する。
【0028】
従ってPND1では、電源投入時、有効な軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)を保持していなければ、少なくとも3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)からの軌道データS2(S2A、S2B、S2C)を新たに取得し直さなければならなくなる。
【0029】
実際上PND1では、3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)に限らず、GPSの電波を受信可能な6個〜8個程度のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……、衛星H)から軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……、S2H)を取得し得るようになされており、その中から任意の3個以上の軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)を用いるようになされている。
【0030】
また復調部3は、軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)に含まれる時刻情報T1を抽出し、これをクロック出力部10へ供給するようになされている。これによりクロック出力部10では、復調部3から供給された時刻情報T1に基づいて現在時刻を正確な値に補正した後、その補正後の正確な時刻データCLKを制御部9へ供給するようになされている。
【0031】
軌道データ取得率算出部4は、図3に示すように、現在位置の測位結果が得られる最低3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)から送られてくる軌道データS2(S2A、S2B、S2C)の取得経過レベルS4(S4A、S4B、S4C)をそれぞれ個別に監視すると共に、個々の取得経過レベルS4(S4A、S4B、S4C)を全てマージした全体の取得率S4ALLを算出し、これをレベルマーク/有効残時間表示生成部7へ送出する。
【0032】
レベルマーク/有効残時間表示生成部7は、軌道データ取得率算出部4から供給された3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)に対する軌道データS2(S2A、S2B、S2C)の全体における取得率S4ALLに応じたバー表示をレベルマーク(後述する)として生成し、このレベルマークデータS5を合成部11へ送出する。
【0033】
測位演算部5は、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)及び3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)から車両までの距離データに基づいて当該車両の現在位置を測位し、その現在位置データS3を経路案内地図生成部8へ送出すると共に、ハードディスクや不揮発性メモリ等でなる記憶部6へ送出する。
【0034】
記憶部6は、測位演算部5により測位毎に随時送られてくる現在位置データS3を順次記憶して保持しておくようになされている。
【0035】
なお測位演算部5は、3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)からの軌道データS2(S2A、S2B、S2C)を全て取得できた時点、すなわち軌道データ取得率算出部4による取得率S4ALLが100%となったときに軌道データS2(S2A、S2B、S2C)が全て揃うため、このとき車両の測位演算を行うことができるようになされている。
【0036】
経路案内地図生成部8は、PND1の表面パネル(図示せず)に設けられた各種操作ボタン等でなる操作ボタン部11に対するユーザの押下操作に応じて供給される経路探索命令S10に従い、現在位置データS3に応じた車両の現在位置から設定された目的地までの走行経路を探索し、その走行経路を含む経路案内地図を生成し、その経路案内地図データS6を合成部12へ送出する。
【0037】
合成部12は、図4に示すように、経路案内地図データS6に応じた経路案内地図MAPの所定位置に、レベルマークデータS5に応じたレベルマークLMが含まれるレベルマーク画像LMDを重ねるように合成する。
【0038】
これにより合成部12は、車両の現在位置を示す現在位置アイコンPSTから目的地(図示せず)までの経路案内を行うためであり、経路案内地図MAPにレベルマーク画像LMDが重ねられた案内地図画像G1を生成し、その案内地図画像G1に対応した案内地図画像データS7を表示部13へ出力する。
【0039】
表示部13は、案内地図画像データS7に応じた案内地図画像G1(図4)を表示することにより、現在位置アイコンPSTから目的地までの走行経路と共に、レベルマーク画像LMDのレベルマークLMをユーザに対して目視確認させ得るようになされている。
【0040】
因みに、レベルマーク画像LMDは、レベルマークLMの左側に「E(Empty)」が表示され、レベルマークLMの右側に「F(Full)」が表示され、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する全体の取得率S4ALLが現在どのようなレベルにあるのかをバー表示によって提示するようになされている。
【0041】
ところでレベルマーク/有効残時間表示制御部7は、軌道データ取得率算出部4から供給された3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)に対する軌道データS2(S2A、S2B、S2C)全体の取得率S4ALL(図3)が100%の「F(Full)」に達した時点からの経過時間(即ち軌道データS2(S2A、S2B、S2C)の有効残時間)をカウントするようになされている。
【0042】
このときレベルマーク/有効残時間表示制御部7は、受信できている全てのGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)から送られてくる軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)の取得率を個別に監視しているため、受信できている全てのGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)からそれぞれ取得した個々の軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)に対する有効残時間が3番目に長いものを基準にして経過時間をカウントするようになされている。
【0043】
実際上レベルマーク/有効残時間表示制御部7は、図5に示すように、受信できている全てのGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)のうち、最後から3番目に全て取得し終わった軌道データS2Aの衛星Aを基準として、軌道データS2Aを取得し終わった時点から有効残時間をカウントし始めるようになされている。
【0044】
そしてレベルマーク/有効残時間表示制御部7は、最大の有効残時間である4時間から徐々にカウントダウンしていき、例えば図6(A)〜図6(F)に示すように、残り1時間(残60分)を切った時点から10分刻みでレベルマークの色を次第に薄くなるようにグラデーション化し、そのグラデーション化したレベルマークLMA〜LMFに対応したレベルマークデータS5GA〜S5GFを合成部12へ送出する。
【0045】
これにより合成部12は、経路案内地図データS6に応じた経路案内地図MAPの所定位置に、レベルマークデータS5G(S5GA〜S5GF)に応じて、その色が次第に薄くなるようなグラデーション化されたレベルマークLMA〜LMF(S5GA〜S5GF)を重ねるように合成して案内地図を順次生成し、その案内地図データS7Gを表示部13へ出力する。
【0046】
表示部13は、図7に示すように、案内地図データS7Gに応じた案内地図画像G1Gを表示することにより、現在位置から目的地までの走行経路と共にグラデーション化した例えばレベルマークLME(S5GE)が含まれたレベルマーク画像LMDをユーザに対して目視確認させることにより、軌道データS2の測位可能な有効残時間が少なくなっていることをユーザに対して直感的かつ容易に認識させ得るようになされている。
【0047】
このようなPND1における軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に関連したレベルマークLM等のナビゲーション関連情報をユーザに対して直感的かつ容易に認識させるためのナビゲーション関連情報表示処理手順を、図8のフローチャートを用いて詳述する。
【0048】
(3)ナビゲーション関連情報表示処理手順
図8に示すようにPND1の制御部9は、記憶部6から起動したアプリケーションプログラムであるナビゲーション関連情報表示プログラムに従い、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移り、複数のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)からの軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)をそれぞれ取得し、次のステップSP2へ移る。
【0049】
ステップSP2において制御部9は、複数のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)のうち、測位に最低限必要な3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)から取得中である軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対するそれぞれの取得率S4(S4A、S4B、S4C)を監視し、次のステップSP3へ移る。
【0050】
ステップSP3において制御部9は、図3に示したように、3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)から取得中である3個の軌道データS2(S2A、S2B及びS2C)に対する取得経過レベルS4(S4A、S4B、S4C)を全てマージすることにより、軌道データS2(S2A、S2B及びS2C)全体の取得率S4ALLを算出し、次のステップSP4へ移る。
【0051】
ステップSP4において制御部9は、ステップSP3で算出した軌道データS2(S2A、S2B及びS2C)全体の取得率S4ALLを示すレベルマークLMを生成し、このレベルマークLMに対応したレベルマークデータS5と経路案内地図データS6とを合成することにより案内地図データS7を生成した後、当該案内地図データS7に応じた案内地図画像G1(図4)を表示部13に表示し、次のステップSP5へ移る。
【0052】
この場合、制御部9は、案内地図画像G1の画面右上部分の所定位置に、軌道データS2(S2A、S2B及びS2C)全体の取得率S4ALLに対応したバー表示でなるレベルマークLMが含まれたレベルマーク画像LMDを重ねて表示することにより、測位に必要な最低3個の軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する全体の取得率S4ALLの度合いをユーザに対して直感的かつ容易に認識させ得るようになされている。
【0053】
なお、このとき制御部9は、レベルマークLMのバー表示を取得率S4ALLに合わせて増加させながら表示するが、同時に、その増加具合に合わせて所定の音を次第に大きくさせたり、或いは音を変化させることにより、視覚的かつ聴覚的に軌道データS2(S2A、S2B、S2C)全体の取得率S4ALLにおける増加割合の変化をユーザに認識させることもできる。
【0054】
ステップSP5において制御部9は、レベルマークLMのバー表示が「F」の位置まで到達したとき、すなわち3個の軌道データS2(S2A、S2B、S2C)を全て取得し終わった時点で、図5に示したように、最後から3番目に相当する軌道データS2Aの取得終了タイミングからの経過時間(すなわち軌道データS2Aの有効残時間)をカウントし、次のステップSP6へ移る。
【0055】
ここで、GPS衛星Aの取得終了タイミングから有効残時間のカウントを開始するのは、3個の軌道データS2(S2A、S2B、S2C)が全て揃ったときから測位を開始することが出来るものの、この場合GPS衛星Aから取得した軌道データS2Aが最も早く有効残時間が切れるのであり、そのときには現在位置を測位することができなるからである。
【0056】
ステップSP6において制御部9は、軌道データS2Aの有効残時間が残り1時間を切ったか否かを判定し、否定結果が得られるとステップSP5へ戻って上述の処理を繰り返すのに対し、肯定結果が得られると次のステップSP7へ移る。
【0057】
ステップSP7において制御部9は、軌道データS2Aの有効残時間が1時間しか残されていない中で、図6(A)〜(F)に示したように、有効残時間が残60分、残50分、残40分、残30分、残20分、残10分と減少すると共に、レベルマークLMA〜LMFのように、その色を次第に薄くなるようにグラデーション化して表示し(図7)、次のステップSP8へ移る。
【0058】
ステップSP8において制御部9は、GPS衛星Aから取得した軌道データS2Aの有効残時間が0分になったか否かを判定し、否定結果が得られると、このことは有効残時間が何分か残っていることを表しており、このときステップSP7へ移ってグラデーション表示を継続する。
【0059】
これに対してステップSP8で肯定結果が得られると、このことはGPS衛星Aから取得した軌道データS2Aの有効残時間が0分になって、3個の軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に基づいて車両の現在位置を測位することができなくなったことを表しており、このとき制御部9は次のステップSP9へ移る。
【0060】
ステップSP9において制御部9は、有効残時間が0分になったので、図6(G)に示したようにレベルマークLMを地図案内画像G1Gから消滅させることにより、車両の現在位置については測位不可能であることをユーザに対して直感的かつ容易に認識させ、次のステップSP10へ移って処理を終了する。
【0061】
(4)動作及び効果
以上の構成において、PND1は受信可能な複数のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)からそれぞれ軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得し、その中から最低3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)の軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する取得経過レベルS4(S4A、S4B、S4C)をマージすることにより全体の取得率S4ALLを求め、それをバー表示でなるレベルマークLMとして経路案内地図MAPの所定位置に重ねることにより地図案内画像G1を生成し、これを表示する。
【0062】
これによりPND1は、レベルマークLMにおけるバー表示の増加度合いをユーザに対して目視確認させることができるので、車両の現在位置を正確に測位するまでに、どれ位の時間だけ待てば良いかの目安を当該ユーザに与えることができる。
【0063】
またPND1は、レベルマークLMにおけるバー表示の増加度合いをユーザに対して提示することが出来るので、当該ユーザが当該PND1を車両に持ち込む前に、予め自宅の部屋においてPND1の電源が投入されれば、少なくとも3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)からの軌道データS2(S2A、S2B、S2C)を取得し易い場所へ当該レベルマークLMを手掛かりとして当該ユーザを導き、車両に搭載する前に軌道データS2(S2A、S2B、S2C)を全て予め取得してしまうことができる。
【0064】
その後PND1は、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)を全て取得し終わると、レべルマークLMのバー表示が100%の「F(Full)」に達することになり、その時点から、最後から3番目に相当する軌道データS2Aの取得終了タイミングからの経過時間(有効残時間)をカウントする。
【0065】
そしてPND1は、軌道データS2Aに対する有効残時間が残り1時間を切ったタイミングで、レベルマークLMの色を次第に薄くするようにグラデーション化しながら表示することによって、車両の現在位置を所定レベルの精度で正確に測位することのできる軌道データS2(S2A、S2B、S2C)の有効残時間が残り少ないことを、色の薄さ加減を介してユーザに直感的かつ容易に理解できるように提示することができる。
【0066】
このようにPND1は、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する全体の取得率S4ALLの増加割合については、レベルマークLMのバー表示が増加するときの色を最も濃い状態のまま増加させながら表示するのに対し、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する有効残時間の残り具合については、レベルマークLMのバー表示に対する増加割合のレベルを固定したまま、その色を次第に薄くするようにグラデーション化して表示する。
【0067】
これによりPND1は、現在位置を測位するための軌道データS2(S2A、S2B、S2C)全体に対する取得率S4ALLの増加割合を示す場合と、現在位置を測位可能な有効残時間の残り度合いを示す場合とでは、その表示形態を変えたことによって、ユーザに混乱を生じさせること無く、双方の意味合いをユーザに対して正確かつ確実に認識させることができる。
【0068】
またPND1は、3個以上のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)からの軌道データS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得できていた場合、軌道データS2Aが最も早いタイミングで有効残時間が切れたとしても、例えば衛星Dの軌道データS2Dの有効残時間が余っているのであれば、軌道データS2Aから軌道データS2Dへ切り換えて用いることが可能である。
【0069】
従って、この場合PND1は、軌道データS2(S2B、S2C、S2D)のうち最も早く取得し終えた例えば軌道データS2Bに基づく有効残時間に応じてグラデーション化して表示し直すことができる。
【0070】
以上の構成によれば、PND1は軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する全体の取得率S4ALLの増加割合をレベルマークLMのバー表示を介して、ユーザに直感的かつ分かり易く提示することが出来ると共に、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する有効残時間の残り度合いについても、レベルマークLMにおけるバー表示の色をグラデーション化して表示することにより、現在位置の測位が可能または不可能になるまでの軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する取得具合をユーザへ直感的かつ分かり易く提示することが出来る。
【0071】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、有効残時間が残り1時間を切ったときからレベルマークLMをグラデーション化するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、有効残時間が最大4時間を切ったときからレベルマークLMをグラデーション化したり、有効残時間が残り2時間を切ったときからレベルマークLMをグラデーション化したり、或いは有効残時間が残り30分を切ったときからレベルマークLMをグラデーション化する等、任意に設定した残り時間に基づいてグラデーション化するようにしても良い。
【0072】
また上述の実施の形態においては、図6(G)に示したレベルマークLMGのように地図案内画像G1Gから完全に消滅させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、レベルマークLMが存在していたことをユーザに認識させる程度の形跡を残すように表示するようにしても良い。
【0073】
さらに上述の実施の形態においては、バー表示でなるレベルマークLMを有効残時間に応じてグラデーション化するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図9に示すように、地図案内画像G2の中でレベルマークLMとは個別にバー表示でなる有効残時間表示部RT1を表示するようにしても良い。
【0074】
この場合PND1は、有効残時間表示部RT1のバー表示を介して、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する有効残時間の残り度合いを直感的かつ分かり易く提示することができる。
【0075】
さらに上述の実施の形態においては、バー表示でなるレベルマークLMを有効残時間に応じてグラデーション化するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図10に示すように、地図案内画像G3の中でレベルマークLMとは個別に時計表示でなる有効残時間表示部RT2を表示するようにしても良い。
【0076】
この場合もPND1は、有効残時間表示部RT2の時計表示を介して、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)に対する有効残時間の残り度合いを直感的かつ分かり易く提示することができる。
【0077】
さらに上述の実施の形態においては、バー表示でなるレベルマークLMを有効残時間に応じてグラデーション化するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図11に示すように、地図案内画像G4のレベルマーク画像LMDの中で、レベルマークLMに加えて、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)の有効残時間が残り1時間であることを示す「軌道データの有効残時間はあと1時間です」のコメント文CMを並列して表示するようにしても良い。
【0078】
この場合PND1は、ユーザに対して有効残時間をテキストによって認識させることもできる。またPND1は、このときレベルマークLMをグラデーション化して表示すると共に、コメント文CMについても並列表示するようにしても良い。
【0079】
さらに上述の実施の形態においては、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)の中で、最後から3番目に取得し終わった軌道データS2Aの取得終了タイミングから経過時間(すなわち軌道データS2Aの有効残時間)をカウントするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、軌道データS2(S2A、S2B、S2C)全てに対する取得終了タイミングを平均化した時点から経過時間すなわち有効残時間をカウントするようにしても良い。
【0080】
さらに上述の実施の形態においては、PND1の制御部9が記憶部6から起動したナビゲーション関連情報表示プログラムに従い、ルーチンRT1のナビゲーション関連情報表示処理手順を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CD(Compact Disc)や半導体メモリ等の記録媒体からインストールしたナビゲーション関連情報表示プログラムや、インターネットからダウンロードしたナビゲーション関連情報表示プログラム、その他種々のルートによってインストールしたナビゲーション関連情報表示プログラムに従って上述したナビゲーション関連情報表示処理手順を実行するようにしても良い。
【0081】
さらに上述の実施の形態においては、取得手段としての復調部3、現在位置測位手段としての測位演算部5、取得経過レベル表示手段としての軌道データ取得率算出部4、レベルマーク/有効残時間表示生成部7及び制御部9、有効残時間表示手段としてのレベルマーク/有効残時間表示生成部7及び制御部9とによって、本発明のナビゲーション装置を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる受信手段、現在位置測位手段、取得経過レベル表示手段及び有効残時間表示手段によって、本発明のナビゲーション装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のナビゲーション装置及びナビゲーション関連情報表示方法は、例えばPND以外にも、測位手段をGPSだけに頼ったノートブック型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機及びポータブル型ゲーム機等のその他種々の電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明におけるPNDの全体構成を示す略線的斜視図である。
【図2】本発明におけるPNDの回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図3】軌道データの取得率をマージするときの説明に供する略線図である。
【図4】レベルマークを表示した案内地図画像示す略線図である。
【図5】有効残時間をカウントする基準の衛星を選択するときの説明に供する略線図である。
【図6】グラデーション表示例を示す略線図である。
【図7】グラデーション化されたレベルマークを表示した地図案内画像を示す略線図である。
【図8】本発明におけるナビゲーション関連情報表示処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図9】他の実施の形態におけるナビゲーション関連情報表示例(1)を示す略線図である。
【図10】他の実施の形態におけるナビゲーション関連情報表示例(2)を示す略線図である。
【図11】他の実施の形態におけるナビゲーション関連情報表示例(3)を示す略線図である。
【符号の説明】
【0084】
1……ナビゲーション装置、2……GPSアンテナ、3……復調部、4……軌道データ取得率算出部、5……測位演算部、6……記憶部、7……レベルマーク/有効残時間表示生成部、8……経路案内地図生成部、9……制御部、10……クロック出力部、11……操作ボタン部、12……合成部、13……表示部、LM……レベルマーク、PST……現在位置アイコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛星から当該衛星の軌道データをそれぞれ復調することにより複数の軌道データを取得する取得手段と、
上記受信手段によって上記複数の軌道データ又はそれ以外のデータを受信したときの到達時間に基づいて上記複数の衛星から複数の距離データをそれぞれ算出し、上記複数の軌道データ及び上記複数の距離データに基づいて自身の現在位置を測位する現在位置測位手段と、
上記測位を行うに足りる上記複数の軌道データを取得し終わるまでの取得経過レベルを監視し、上記複数の軌道データに対する上記測位を行うに足りるまでの取得率を所定のバー表示でなるレベルマークとして表示部に表示する取得経過レベル表示手段と、
上記現在位置の測位に用いられた上記軌道データに対する有効残時間をカウントし、当該有効残時間を上記表示部に所定の表示形態で表示する有効残時間表示手段と
を具えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
上記有効残時間表示手段は、上記レベルマークの上記バー表示を上記有効残時間の減少と共にその色を次第に薄くするようなグラデーション化した上記表示形態で表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
上記有効残時間表示手段は、上記有効残時間が所定時間以下になったときから上記グラデーション化を開始する
ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
上記有効残時間表示手段は、上記グラデーション化した上記表示形態で上記有効残時間を表示すると共に、上記有効残時間をテキスト表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
上記有効残時間表示手段は、上記グラデーション化した上記表示形態で上記有効残時間を表示すると共に、上記有効残時間をテキスト表示する
ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
上記有効残時間表示手段は、上記レベルマークとは別に上記有効残時間の減少度合いを所定のバー表示でなる上記表示形態で表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
上記有効残時間表示手段は、上記レベルマークとは別に上記有効残時間の減少度合いを所定の円グラフでなる上記表示形態で表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
複数の衛星から当該衛星の軌道データをそれぞれ復調することにより複数の軌道データを取得する取得する軌道データ取得ステップと、
上記受信手段によって上記複数の軌道データ又はそれ以外のデータを受信したときの到達時間に基づいて上記複数の衛星から複数の距離データをそれぞれ算出し、上記複数の軌道データ及び上記複数の距離データに基づいて自身の現在位置を測位する現在位置測位ステップと、
上記測位を行うに足りる上記複数の軌道データを取得し終わるまでの取得経過レベルを監視し、上記複数の軌道データに対する上記測位を行うに足りるまでの取得率を所定のバー表示でなるレベルマークとして表示部に表示する取得経過レベル表示ステップと
上記現在位置の測位に用いられた上記軌道データに対する有効残時間をカウントし、当該有効残時間を上記表示部に所定の表示形態で表示する有効残時間表示ステップと
を有することを特徴とするナビゲーション関連情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−128310(P2009−128310A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306365(P2007−306365)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】