説明

ナビゲーション装置

【課題】 運転中に地図スクロール操作する際に、運転者の視線をタッチパネルディスプレイに移す時間および間隔を最小限にして、運転を安全に行うことを可能とするナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 タッチパネルディスプレイに指が接触して移動した長さを検出するタッチ移動距離検出手段101と、移動した方向を検出するタッチ移動方向検出手段102を備え、タッチパネルディスプレイに表示された地図上を指等でスライドすることで、地図が指等と一緒にスクロールするようになるため、指先の動作で細やかな地図スクロール制御が可能となり、運転者が視線をタッチパネルディスプレイ上の地図に移す時間および間隔を最小限して、運転を安全に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイを使用して地図をスクロールする車載用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置では、液晶ディスプレイ等の表示装置の画面に地図を表示してユーザに地図情報を提供するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図4に示した従来のナビゲーション装置は、方位を検出する方位センサ301、距離を測定する距離センサ302、ナビゲーション装置全体の動作を制御するCPU304、CPU304が処理するデータを一時的に記憶するRAM304a、プログラムを記録したプログラムROM304b、方位センサ301および距離センサ302とCPU304との間でデータをやりとりする入力インタフェース303、全地球測位システム(GPS)を利用して現在位置を表すGPSデータを受信するGPS受信機306、地図データを記憶するCD−ROM/DVD−ROM307、GPS受信機306とCD−ROM/DVD−ROM307とCPU304との間でデータをやりとりする通信インタフェース305、画像を処理する画像処理プロセッサ308、画像を表示するタッチパネルディスプレイ309、およびタッチパネルディスプレイ309を操作するユーザからの指示を入力する操作部310とを備えている。
【0004】
方位センサ301と距離センサ302から入力インタフェース303を介してデータが入力されるCPU304は、自己の車両位置、車両方位、走行軌跡等を求め、通信インタフェース305を経て得られたGPS受信機306により受信された現在位置を表すGPSデータと、CD−ROM/DVD−ROM307からの地図データを用いて、RAM304aとプログラムROM304bとで推定位置を算出する。また、CD−ROM/DVD−ROM307から読み込んだ地図データと操作部310により入力されたタッチパネルディスプレイ309を操作するユーザの指示に基づいてCPU304はRAM304aとプログラムROM304bとで地図上の車両位置をユーザの指示を処理し、画像処理プロセッサ308を経てタッチパネルディスプレイ309に地図上の車両位置、ユーザの指示の処理結果等を表示する。
【0005】
従来のナビゲーション装置でタッチパネルディスプレイを使用した地図スクロール操作について説明する。図5に示されるように、タッチパネルディスプレイ309に表示される自車位置601からスクロールしたい方向に指等を接触させてその方向に地図をスクロールさせ、表示したい場所が現れたら指を離してスクロールを停止させる。
【0006】
このようなナビゲーション装置において、地図をスクロールさせる処理を図6のフローチャートを参照して説明する。まず、タッチパネルに指等が触れたかを判断し(ステップS401)、指等が触れたタッチパネルの座標を検出し(ステップS402)、その座標と自車位置から移動方向を算出し(ステップS403)、地図スクロール動作を実行する(ステップS404)、指等がタッチパネルから離れたか判断し(ステップS405)、離れていなければステップS402に戻りスクロール動作し続け、指等が離れていればスクロール動作を終了する。
【特許文献1】特開2002―323850号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のナビゲーション装置においては、表示したい場所で地図スクロールを止めるためには、表示したい場所が現れた時にタッチパネルディスプレイから指を離すことによってのみ実現されるので運転者がスクロールしている地図を注視していなければならず、運転中に視線を相当の時間タッチパネルディスプレイに移す必要があるため、非常に危険であるという問題を有していた。
【0008】
そこで本発明は、上記従来技術の問題を解決するもので、運転中に地図スクロールする場合でも運転者の視線をタッチパネルディスプレイに移す時間および間隔を最小限にする、優れたナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のナビゲーション装置は、地図を表示するタッチパネルディスプレイと、タッチパネルディスプレイに指が接触して移動した長さを検出するタッチ移動距離検出手段と、移動した方向を検出するタッチ移動方向検出手段と、表示された地図の縮尺より前記タッチ移動距離検出手段から得られる画面での移動距離を地図スクロールの距離として算出する地図スクロール距離算出手段と、前記タッチ移動方向検出手段から得られる画面での移動方向を地図スクロールの方向として算出する地図スクロール方向算出手段と、前記地図スクロール距離算出手段から得られる距離と前記地図スクロール方向算出手段から得られる方向に地図をスクロールする地図スクロール制御手段を備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、タッチパネルディスプレイに表示された地図上を指等で接触してスライドすると、地図が指等と一緒にスクロールするようになるため、指先の動作で細やかな地図スクロール制御が可能となり、運転中に地図スクロールする場合でも運転者の視線をタッチパネルディスプレイに移す時間および間隔を最小限にすることができる。
【0011】
また、本発明のナビゲーション装置は、前記地図スクロール距離算出手段から得られる地図スクロール距離を任意の倍率に補正する地図スクロール距離補正手段を備えた構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、タッチパネルディスプレイに表示された地図上を指等で接触してスライドすると、地図が指等と一緒に任意の倍率の距離だけスクロールするようになるため、指先の動作でより細やかな地図スクロール制御が可能となり、運転中に地図スクロールする場合でも運転者の視線をタッチパネルディスプレイに移す時間および間隔を最小限にすることができる。
【0013】
また、本発明のナビゲーション装置の前記地図スクロール距離補正手段は、前記地図スクロール距離を補正する倍率をユーザが任意に設定できる地図スクロール距離補正倍率設定手段を備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明のナビゲーション装置は、タッチパネルディスプレイに表示された地図上を指等で接触してスライドすると、地図が指等と一緒にユーザが指定する任意の倍率の距離だけスクロールするようになるため、指先の動作でより細やかな地図スクロール制御が可能となり、運転中に地図スクロールする場合でも運転者の視線をタッチパネルディスプレイに移す時間および間隔を最小限にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のナビゲーション装置によれば、タッチパネルディスプレイに指等をスライドすることで地図を指等と一緒にスクロールすることが可能となり、運転中に運転者がタッチパネルディスプレイに視線を移す時間および間隔を最小限にできるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図1、図2、図3を参照して説明する。
【0017】
まず、本発明のナビゲーション装置の構成について説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施の形態のナビゲーション装置は、タッチパネルディスプレイに指等が接触して移動する距離を検出するタッチ移動距離検出手段101と、タッチパネルディスプレイ上で指等が移動する方向を検出するタッチ移動方向検出手段102と、タッチ移動距離検出手段101より得られるタッチパネルディスプレイ上の移動距離を表示している地図の縮尺を基に地図のスクロール距離を算出する地図スクロール距離算出手段103と、タッチ移動方向検出手段102より得られるタッチパネルディスプレイ上の移動方向を基に地図のスクロール方向を算出する地図スクロール方向算出手段104と、地図スクロール距離算出手段103から得られる地図スクロール距離に任意の倍率を掛け合わせて地図スクロール距離を補正する地図スクロール距離補正手段105と、地図スクロール距離補正手段105が地図スクロール距離を補正する倍率をユーザが設定した倍率に設定する地図スクロール距離補正倍率設定手段106と、地図スクロール距離補正手段105より得られる地図スクロールの距離と地図スクロール方向算出手段より得られる地図スクロールの方向を基に地図スクロールを制御する地図スクロール制御手段107とを備えている。
【0019】
地図スクロール距離補正倍率設定手段106は、ユーザが地図スクロール距離を補正する倍率を入力し、地図スクロール距離補正手段105を設定するものである。
【0020】
地図スクロール距離補正手段105は、地図スクロール距離算出手段103から得られる地図スクロール距離に地図スクロール距離補正倍率設定手段106により設定された倍率を掛け合わせて地図スクロール距離を補正するものである。
【0021】
ユーザが地図スクロール距離補正倍率設定手段106に補正する倍率として、例えば1を設定した場合、地図スクロール距離補正手段105は地図スクロール距離算出手段103から得られる地図スクロール距離をそのまま地図スクロール距離として出力する。また、ユーザが地図スクロール距離補正倍率設定手段106に補正する倍率として、例えば2を設定した場合、地図スクロール距離補正手段105は地図スクロール距離算出手段103から得られる地図スクロール距離の2倍を地図スクロール距離として出力する。一方で、ユーザが地図スクロール距離補正倍率設定手段106に補正する倍率として例えば0.5を設定した場合、地図スクロール距離補正手段105は地図スクロール距離算出手段103から得られる地図スクロール距離の半分を地図スクロール距離として出力する。
【0022】
次に、本発明のナビゲーション装置の動作について図2のフローチャートを参照して説明する。まずタッチパネルに指等が触れたか否かがタッチ移動距離検出手段101により判断される(ステップS201)。触れたと判断された場合は指等がタッチパネル上を移動した距離がタッチ移動距離検出手段101により検出され(ステップS202)、指等のタッチパネル上の移動方向がタッチ移動方向検出手段102により検出される(ステップS203)。そしてタッチパネル上の移動距離と表示されている地図の縮尺から地図スクロール距離が地図スクロール距離算出手段103により算出され(ステップS204)、タッチパネル上の移動方向から地図スクロール方向が地図スクロール方向算出手段により算出される(ステップS205)。更に、地図スクロール距離算出手段103により算出された地図スクロール距離に、ユーザが地図スクロール補正倍率設定106により設定した地図スクロール距離を補正する倍率を掛け合わせて地図スクロール距離が地図スクロール距離補正手段105により補正される(ステップS206)。このようにして補正された地図スクロール速度と地図スクロール方向から地図スクロールが地図スクロール制御手段107により実行される(ステップS207)。その後タッチパネルから指が離れたかがタッチ移動距離検出手段101により判断され(ステップS208)、指が離れていないと判断されると、ステップS202に戻りスクロール動作をし続け、指が離れていると判断されるとスクロール動作を終了する。
【0023】
ステップS207では、ユーザが地図スクロール距離補正倍率設定手段106に補正する倍率として例えば1を設定した場合、地図スクロール距離補正手段105は地図スクロール距離算出手段103から得られる地図スクロール距離をそのまま地図スクロール距離として出力するため、タッチパネルディスプレイ上で指等が移動した地図上の距離と同等の距離だけ地図がスクロールされることになり、ユーザが地図スクロール距離補正倍率設定手段106に補正する倍率として例えば2を設定した場合は、地図スクロール距離補正手段105は地図スクロール距離算出手段103から得られる地図スクロール距離の2倍を地図スクロール距離として出力するため、タッチパネルディスプレイ上で指等が移動した地図上の距離の2倍の距離だけ地図がスクロールされることになる。一方で、ユーザが地図スクロール距離補正倍率設定手段106に補正する倍率として例えば0.5を設定した場合、地図スクロール距離補正手段105は地図スクロール距離算出手段103から得られる地図スクロール距離の半分を地図スクロール距離として出力するため、ステップS207では、タッチパネルディスプレイ上で指等が移動した地図上の距離の半分の距離だけ地図がスクロールされることになる。このように、補正する倍率を大きく設定すると指等を少し移動させるだけで長距離をスクロールすることができる。反対に、補正する倍率を小さく設定すると指等を移動させても短い距離しかスクロールされないため、注意深く地図をスクロールすることが可能になる。
【0024】
本発明のナビゲーション装置における地図スクロールの操作について図3を用いて説明する。図3に示されるように、タッチパネルディスプレイに表示された地図上を指等で接触してスライドすると、地図も指等と一緒にスクロール開始位置501からスクロール終了位置502にスクロールするようになる。
【0025】
本実施の形態では、タッチパネルディスプレイに指を接触してスクロールするとしたが、タッチパネルディスプレイが検出可能なものであれば、入力用ペン等、指以外の如何なるものであってもよいことは言うまでもない。
【0026】
このように、本発明のナビゲーション装置では、タッチパネルディスプレイを指等でスライドすることにより地図も一緒について来るようにスクロールすることが可能となる。さらに地図をスクロールする距離も、ユーザが地図スクロール距離補正倍率設定手段106に補正する倍率を設定することにより、タッチパネル上で指等が移動した地図上の距離の任意の倍率の距離にすることができる。したがって、指先の動作で細やかな地図スクロール制御が可能となり、運転中に地図スクロールする場合でも運転者の視線をタッチパネルディスプレイに移す時間、回数、および間隔を最小限にすることができるため、運転を安全に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明のナビゲーション装置によれば、タッチパネルディスプレイに指等をスライドすることで地図を指等と一緒にスクロールすることが可能となり、運転中に運転者がタッチパネルディスプレイに視線を移す時間および間隔を最小限にできるため、安全な運転の実現に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の一実施の形態のナビゲーション装置の動作図
【図4】従来のナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図5】従来のナビゲーション装置の動作図
【図6】従来のナビゲーション装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0029】
101 タッチ移動距離検出手段
102 タッチ移動方向検出手段
103 地図スクロール距離算出手段
104 地図スクロール方向算出手段
105 地図スクロール距離補正手段
106 地図スクロール補正倍率設定手段
107 地図スクロール制御手段
301 方位センサ
302 距離センサ
303 入力インタフェース
304 CPU
304a RAM
304b プログラムROM
305 通信インタフェース
306 GPS受信機
307 CD−ROM/DVD−ROM
308 画像処理プロセッサ
309 タッチパネルディスプレイ
310 操作部
601 自車位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示するタッチパネルディスプレイと、タッチパネルディスプレイに物体が接触して移動した長さを検出するタッチ移動距離検出手段と、移動した方向を検出するタッチ移動方向検出手段と、表示された地図の縮尺より前記タッチ移動距離検出手段から得られる画面での移動距離を地図スクロールの距離として算出する地図スクロール距離算出手段と、前記タッチ移動方向検出手段から得られる画面での移動方向を地図スクロールの方向として算出する地図スクロール方向算出手段と、前記地図スクロール距離算出手段から得られる距離と前記地図スクロール方向算出手段から得られる方向に地図をスクロールする地図スクロール制御手段を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図スクロール距離算出手段から得られる地図スクロール距離を任意の倍率に補正する地図スクロール距離補正手段を備えた請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記地図スクロール距離補正手段は、前記地図スクロール距離を補正する倍率をユーザが任意に設定できる地図スクロール距離補正倍率設定手段を備えた請求項2記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−90962(P2006−90962A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279765(P2004−279765)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】